JPH09156929A - マンガン−亜鉛フェライトの製造方法 - Google Patents

マンガン−亜鉛フェライトの製造方法

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JPH09156929A
JPH09156929A JP7338137A JP33813795A JPH09156929A JP H09156929 A JPH09156929 A JP H09156929A JP 7338137 A JP7338137 A JP 7338137A JP 33813795 A JP33813795 A JP 33813795A JP H09156929 A JPH09156929 A JP H09156929A
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ferrite
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Shinji Nagata
伸二 永田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 廃マンガン乾電池あるいは廃アルカリマンガ
ン乾電池などの原料から、水銀汚染が生じないように、
磁気特性に優れたMn−Znフェライト粉末を製造す
る。 【解決手段】 廃マンガン乾電池あるいは廃アルカリマ
ンガン乾電池を、水銀を気化除去するために加熱処理
し、次に、過酸化水素を含有する酸性水溶液に溶解さ
せ、その溶液から不溶解物を除去する。得られる水溶液
をアルカリ性とすることにより、水溶液中にイオンとし
て溶解しているMn、Zn及びFeを水酸化物に変換
し、その水酸化物を酸化することによりMn−Znフェ
ライトを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、使用済みもしくは
廃棄されたマンガン乾電池あるいはアルカリマンガン乾
電池(以下、両者を併せて廃(アルカリ)マンガン乾電
池と称する。)や、磁気テープの製造時に生ずる廃フェ
ライト材料などのような、マンガン(Mn)、亜鉛(Z
n)及び鉄(Fe)を含有する産業廃棄物材料のリサイ
クルあるいは再資源化に関する。より詳しくは、廃(ア
ルカリ)マンガン乾電池からマンガン−亜鉛フェライト
(以下、Mn−Znフェライトと略する)を製造する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境問題に対する世界的な意
識が高まり、急増する産業廃棄物に対しても資源の有効
利用、即ちリサイクルが求められている。この点につい
ては、現在、簡便且つ安価な電源として大量に消費され
ている(アルカリ)マンガン乾電池も例外ではなく、そ
の廃(アルカリ)マンガン乾電池に大量に含まれている
二酸化マンガンや亜鉛等を資源として再利用すること
や、ソフトフェライト(Mn−Znフェライト)に再生
することが望まれている。また、磁気テープ関連産業に
おいても大量の廃フェライト材料が生じているが、それ
らをリサイクルすることも強く望まれている。
【0003】ところで、現在、日本国内で商業的に生産
されているほとんどの(アルカリ)マンガン乾電池は水
銀を含有していないが、廃(アルカリ)マンガン乾電池
の再資源化を考えた場合には、水銀を含有する古い(ア
ルカリ)マンガン乾電池を処理する可能性も考慮する必
要がある。従って、廃(アルカリ)マンガン乾電池のリ
サイクル化あるいは再資源化を図る場合、廃(アルカ
リ)マンガン乾電池から人体に有害な水銀を完全に除去
できるようにしておくことが要請されている。また、磁
気テープ関連の廃フェライト材料を再利用するに際して
も、水銀を含有する古い(アルカリ)マンガン乾電池等
も同時に混合して再生処理する可能性も否定できないこ
とを考慮すると、水銀を含有する古い(アルカリ)マン
ガン乾電池等が原料として混入した場合でも確実に水銀
を除去できるプロセスを確立しておくことが要請され
る。
【0004】このような要請に応える方法として、廃
(アルカリ)マンガン乾電池などのMn、Zn及びFe
を含有する再生用材料を酸化雰囲気中で500℃以上に
煤燃加熱して水銀及び水銀化合物を分解・気化させて回
収した後に、得られる酸化亜鉛と酸化マンガンとを含む
回収残渣を、Mn−Znフェライト焼結体を製造するた
めの亜鉛及びマンガンの原料として使用する方法(J.IEE
Japan,110(6),502(1990))や、あるいは回収残渣にコー
クスを還元剤として加えて1400〜1500℃で溶融
還元することにより亜鉛を還元気化させて回収し、マン
ガンと鉄とを合金(フェロ・マンガン)として回収する
方法などの乾式回収方法が知られている。
【0005】しかしながら、これらの方法に従って得ら
れた回収原料には、廃(アルカリ)マンガン乾電池等に
由来するカーボン電極やプラスチックや無機フィラーな
どの不純物が混入しているために、これらの回収原料か
ら、十分な磁気特性を有するMn−Znフェライトが得
られにくいという問題があった。
【0006】また、これらの回収原料からMn−Znフ
ェライトを製造する場合、所望のMn:Zn:Feの組
成比率を実現するためには、回収原料粉末の金属含有量
を求め、次に所定の焼結体組成になる様に各原料を秤量
しボールミルを使用して混合するという煩雑な操作が必
要となるという問題があった。
【0007】これらの問題に対し、廃(アルカリ)マン
ガン乾電池から水銀を除去してMn−Znフェライトを
湿式で製造する方法が提案されている(特開平5−19
8418号公報及び特開平7−33442号公報)。こ
れらの公報に記載された技術は、廃(アルカリ)マンガ
ン乾電池を過酸化水素含有酸性水溶液に溶解し、その溶
液に金属鉄を添加することにより水銀を還元析出させ、
その水銀を酸性水溶液に溶解しない他のプラスチックや
カーボン電極などと共に濾別除去し、得られた溶液に適
宜Mn化合物、Zn化合物又はFe化合物を添加するこ
とによりMn/Zn/Feの組成比率を調整した後に、
その溶液をアルカリ性とし、更に酸化剤として塩素酸塩
を添加することによりMn−Znフェライトの微粒子を
溶液から共沈させている(湿式共沈法)。得られるMn
−Znフェライトには水銀は検出されず、しかも良好な
磁気特性を示している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
5−198418号公報あるいは特開平7−33442
号公報に記載されたように廃(アルカリ)マンガン乾電
池から湿式共沈法により微粒子状のMn−Znフェライ
トを製造する場合、酸性水溶液中に溶解させた水銀を金
属Feで還元析出させ濾別しても完全には濾別できない
ので、Mn−Znフェライトの微粒子を共沈させたあと
の溶液中にも水銀がわずかであるが残存するおそれがあ
る。このため、このような湿式共沈法において排出され
る大量の排水から水銀を除去するために、キレート樹脂
を吸着体とする排水処理設備を設ける必要があり、設備
的にも時間的にも処理コストが上昇するという問題があ
った。
【0009】本発明は、上述した従来技術の課題を解決
しようとするものであり、廃(アルカリ)マンガン乾電
池などのマンガン、亜鉛及び鉄を含有する材料から、水
銀を含有しないMn−Znフェライトを湿式で製造する
にあたり、製造時に発生する排水から水銀を除去する操
作を省略できるようにすることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、廃(アルカ
リ)マンガン乾電池などのマンガン、亜鉛及び鉄を含有
する材料を、酸性水溶液に溶解する前に、予めその材料
を所定の温度以上に加熱処理して水銀を気化除去するこ
とにより上述の目的が達成できることを見出し、本発明
を完成させるに至った。
【0011】即ち、本発明は、マンガン、亜鉛及び鉄を
含有する材料からMn−Znフェライトを製造する方法
において: (a)該材料を350℃以上に加熱処理する工程; (b)加熱処理された該材料を、過酸化水素を含有する
酸性水溶液に溶解する工程; (c)得られた溶液から不溶解物を除去する工程; (d)不溶解物が除去された溶液をアルカリ性とするこ
とにより、水溶液中にイオン化して溶解しているマンガ
ン、亜鉛及び鉄を水酸化物に変換し、続いてそれらの水
酸化物を酸化して微粒子状のMn−Znフェライトを共
沈させる工程を含むことを特徴とする製造方法を提供す
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】本発明は、上述したように、基本的には工
程(a)〜(d)の4つの工程からなる。
【0014】工程(a) まず、マンガン、亜鉛及び鉄を含有する材料(Mn/Z
n/Fe含有材料)に含有されている水銀を除去するた
めに、この材料を350℃以上、好ましくは500℃以
上の温度に加熱する。加熱温度が350℃未満である
と、水銀の気化速度が著しく遅くなるので好ましくな
い。
【0015】この加熱処理工程において、加熱時間は処
理するMn/Zn/Fe含有材料の量や形状により適宜
設定することができる。また、加熱雰囲気は大気雰囲気
で行うことができる。
【0016】なお、Mn/Zn/Fe含有材料として
は、廃(アルカリ)マンガン乾電池や廃マンガン乾電池
を好ましく挙げることができるが、これらに限定され
ず、磁気テープ製造時に発生する廃フェライト材料等も
使用することもできる。
【0017】気化除去された水銀は公知の水銀凝縮装置
を使用することにより回収することができる。
【0018】以上のように、本工程では水銀を加熱によ
り気化除去する。従って、後の工程において廃水中に水
銀が残存することがないので、水銀を除去するための廃
水処理が不要となる。
【0019】工程(b) 次に、加熱処理により水銀が除去されたMn/Zn/F
e含有材料を、過酸化水素を含有する酸性水溶液に溶解
する。これにより、Mn/Zn/Fe含有材料中に含ま
れているマンガン、亜鉛、鉄が溶解し、一方、プラスチ
ックや炭素棒等は不溶解物として除去可能となる。
【0020】過酸化水素を含有する酸性水溶液として
は、塩酸や硫酸などの鉱酸水溶液に過酸化水素を添加し
た液や、鉱酸水溶液に過酸化水素源となる過硫酸カリウ
ムを溶解させた液を使用することができる。この場合、
鉱酸水溶液の酸強度は好ましくは3規定以上とする。酸
強度が3規定未満の場合には、乾電池を溶解する速度が
遅くなり、また、溶解残渣量が増大し、溶解収率が低下
する可能性がある。また、酸性水溶液中の過酸化水素の
含有量としては、特に限定はないが、好ましくは0.1
重量%以上である。
【0021】なお、不溶解物を濾別除去した溶液中には
過酸化水素が残存しているが、この過酸化水素を、工程
(c)を実施する前に予め除去しておくことが、最終的
に得られるMn−Znフェライト中への不純物への混入
を防ぐことができるという点から好ましい。その場合、
溶液を加熱還流させることにより、過酸化水素を分解除
去することができる。
【0022】工程(c) 次に、工程(b)で得られたマンガン、亜鉛、鉄が溶解
した酸性溶液から、不溶解物を除去する。これにより、
それらの不溶解物に由来する不純物が、最終的に得られ
るMn−Znフェライト中に混入することを防止するこ
とができる。
【0023】不溶解物の除去する具体的な方法には特に
限定はなく、公知の方法、例えば減圧濾過法、デカンテ
ーション法などを利用することができる。
【0024】工程(d) 工程(c)において不溶解物が除去された溶液をアルカ
リ性にすることにより、水溶液中にイオン化して溶解し
ているマンガン、亜鉛及び鉄を水酸化物に変換し、続い
てそれらの水酸化物を酸化する。これにより微粒子状の
Mn−Znフェライトを共沈させることができる。
【0025】本工程において溶液をアルカリ性にする場
合、そのpHを約9とすることが好ましい。このために
は水溶液に、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどの
アルカリ金属水酸化物の水溶液を添加することが好まし
い。また、水酸化物の酸化方法としては、まず、溶液か
ら水酸化物を濾取し、次に濾取した水酸化物を酸素存在
下で焼成してもよいが、水酸化物を予め濾取することな
く、水酸化物を含んだ反応液に酸化剤として塩素酸ナト
リウムなどの塩素酸塩や硝酸カリウムなどの硝酸塩を添
加し、還流下で撹拌することによりMn−Znフェライ
トに変換することが好ましい。このように、酸化剤の存
在下で加熱還流するという温和な条件且つ簡便な操作で
容易にMn−Znフェライトに変換できることは、高熱
を必要とする従来の熱冶金あるいは粉末冶金的な手法に
比べ、製造コスト、安全性、操作性などの点から非常に
有利となる。このようにして得られたMn−Znフェラ
イトは、濾別し洗浄し乾燥することにより製品となる。
【0026】なお、Mn/Zn/Fe含有材料、例えば
廃(アルカリ)マンガン乾電池のマンガン、亜鉛及び鉄
のそれぞれの含有量は、好ましい磁気特性を有するMn
−Znフェライトの組成比とは通常異なっている。例え
ば、磁気ヘッドやトランスなどに多く用いられているM
n−Znフェライト材は、50〜55モル%のFe23
と20〜30モル%のMnOと15〜30モル%のZn
Oから構成されている。従って、工程(c)と工程
(d)との間に、工程(c)で得られた溶液中のマンガ
ンイオン、亜鉛イオン及び鉄イオン濃度を、例えば、M
nOとZnOとFe23に換算したモル比が28対20
対52となるよう調整する工程を実施することが好まし
い。
【0027】なお、マンガンイオンを補充するために
は、例えば硫酸マンガン(MnSO4・5H20)を添加
することが好ましく、また、亜鉛イオンを補充する場合
には、例えば硫酸亜鉛(ZnSO4・7H20)を添加す
ることが好ましい。鉄イオンを補充する場合には、金属
鉄、塩化第一鉄(FeCl2・4H2O)、硫酸第一鉄
(FeSO4・7H2O)などを使用することができる。
【0028】このようにして得られたMn−Znフェラ
イトは、その優れた磁性特性を利用して電子部品原材料
や電波吸収材として使用することができる。また、水銀
が除去されているために安全性が高く、煉瓦、タイルや
コンクリートブロックなどの建材用のフィラーとしても
利用することができる。
【0029】
【実施例】以下の実施例により本発明を更に詳細に説明
する。
【0030】実施例1〜4 単一型の廃マンガン乾電池(R20、ソニー・エナジー
・テック株式会社製)を、電気炉中に入れ500℃で1
2時間加熱した。加熱処理した乾電池を1リットルの希
塩酸に浸漬し、さらに過酸化水素水(30%)50ml
を加え、廃マンガン乾電池の溶解可能成分を酸性水溶液
に溶解させた。
【0031】なお、使用した希塩酸の酸強度は実施例1
では4規定、実施例2では6規定、実施例3では2規
定、そして実施例4では3規定のものを使用した。
【0032】次に、この廃アルカリマンガン乾電池溶解
水溶液を濾過し、炭素棒や合剤中のカーボン等の溶解残
渣を取り除いた。更に、この濾過液を加熱して1時間煮
沸処理することにより、過剰の過酸化水素を分解除去し
た。
【0033】なお、溶解残渣と使用した酸強度との関係
を図1に示した。これによれば、3規定以上の酸強度の
酸を使用した場合には溶解残渣の重量が飽和状態となる
ことが確認できた。従って、3規定以上の酸強度の酸の
使用が好ましいことが確認できた。
【0034】次に、反応溶液中のMn、Zn及びFeの
濃度を、MnOとZnOとFe23に換算したモル比が
28対20対52となるような量の硫酸マンガン(Mn
SO4・5H20)と硫酸亜鉛(ZnSO4・7H20)と
塩化第一鉄(FeCl2・4H2O)とを適宜溶解させ
た。この時、溶液のpHを3〜5の範囲に保つために、
希塩酸の添加を適宜行った。
【0035】なお、この酸性水溶液中の水銀の存在の有
無を原子吸光分析により調べたところ、検出限界以下で
あり、水銀は含有されていないことがわかった。
【0036】次に、得られた酸性水溶液に水酸化ナトリ
ウム水溶液を加えて溶液のpHを約9に調整した。これ
により水溶液中にイオン化して溶解しているマンガン、
亜鉛及び鉄を水酸化物に変換した。
【0037】続いて、塩素酸カリウム水溶液を添加し、
反応溶液を還流条件下(100℃)で1時間撹拌するこ
とにより水酸化物を酸化することにより微粒子状のMn
−Znフェライトを共沈させ、これを濾別し、十分に水
洗した後、乾燥させることによりMn−Znフェライト
微粒子粉末を得た。
【0038】得られたMn−Znフェライト微粒子粉末
について化学分析を行ったところ、本実施例1〜4のフ
ェライト粉末には水銀の痕跡がなかった。
【0039】また、実施例1で得られたMn−Znフェ
ライト微粒子粉末から、以下に説明するように焼結体を
製造した。
【0040】まず、Mn−Znフェライト微粒子粉末
を、窒素ガス雰囲気中、1000℃で仮焼成した。次
に、このMn−Znフェライト微粒子粉末を、放電プラ
ズマ焼結法により大気中で、500kg/cm2の圧力
を印加し2000アンペアーの電流を供給して2分間焼
成することにより多結晶Mn−Znフェライト材を得
た。このようにして得られた多結晶Mn−Znフェライ
ト材に対してアニール処理(窒素雰囲気下、600℃)
を施した。
【0041】このようにアニール処理した多結晶Mn−
Znフェライト材の真密度は理論密度の99%以上であ
り、十分に緻密化されていた。また、この多結晶Mn−
Znフェライト材からリング成形品(内径3mm、外径
6mm、厚さ0.5mm)を製造し、周波数1MHzで
の透磁率(μ´)を測定したところ、極めて高い数値
(μ´=1600)を示した。また、飽和磁束密度(B
s)を測定したところ、Bs=0.55Tという高い数
値を示した。このように、本実施例で得られたMn−Z
nフェライト微粒子粉末から優れたMn−Znフェライ
ト焼結体を製造することができた。
【0042】実施例5 単一型の廃アルカリマンガン乾電池(LR20(198
4年製造)、ソニー・エナジー・テック株式会社製)
を、電気炉中に入れ500℃で12時間加熱した。加熱
処理した乾電池を1リットルの5規定希硫酸に浸漬し、
さらに過酸化水素水(30%)100mlを加え、廃マ
ンガン乾電池の溶解可能成分を酸性水溶液に溶解させ
た。
【0043】次に、この廃アルカリマンガン乾電池溶解
水溶液を濾過し、炭素棒や合剤中のカーボン等の溶解残
渣を取り除いた。更に、この濾過液を加熱して1時間煮
沸処理することにより、過剰の過酸化水素を分解除去し
た。
【0044】次に、得られた水溶液に水酸化ナトリウム
を加えて溶液のpHを3〜5となる様に調整した。得ら
れた水溶液中のMn、Zn、Fe濃度(MnO、ZnO
及びFe23換算)を表1に示した。
【0045】
【表1】換算成分 モル濃度(mol%) MnO 60 ZnO 25Fe23 15
【0046】次に、このようにして水銀が除去された反
応溶液のMn、Zn及びFeの濃度を、MnOとZnO
とFe23に換算したモル比が28対20対52となる
ような量の硫酸マンガン(MnSO4・5H20)と硫酸
亜鉛(ZnSO4・7H20)と金属鉄とを溶解させた。
この時、溶液のpHを3〜5の範囲に保つために、希硫
酸の添加を適宜行った。
【0047】なお、この酸性水溶液中の水銀の存在の有
無を原子吸光分析により調べたところ、水銀の痕跡は観
察されなかった。
【0048】次に、得られた水溶液に水酸化ナトリウム
水溶液を加えて溶液のpHを約9に調整した。これによ
り水溶液中にイオン化して溶解しているマンガン、亜鉛
及び鉄を水酸化物に変換した。続いて、硝酸カリウム水
溶液を添加し、反応溶液を還流条件下(100℃)で1
時間撹拌することにより水酸化物を酸化することにより
微粒子状のMn−Znフェライトを共沈させ、これを濾
別し、十分に水洗した後、乾燥させることによりMn−
Znフェライト微粒子粉末を得た。
【0049】得られたMn−Znフェライト微粒子粉末
について化学分析を行ったところ、本実施例5のフェラ
イト粉末には水銀の痕跡がなかった。
【0050】また、本実施例で得られたMn−Znフェ
ライト微粒子粉末のX線回折分析をし、そのX線回折チ
ャートを図2に示す。同図から明らかなように、このM
n−Znフェライト微粒子粉末は、磁気材料として好適
な単一スピネル相から構成されていることが確認でき
た。
【0051】比較例1 単一型の廃アルカリマンガン乾電池(LR20(198
4年製造)、ソニー・エナジー・テック株式会社製)
を、電気炉で加熱処理することなく、1リットルの4規
定希塩酸に浸漬し、さらに過酸化水素水(30%)50
mlを加え、廃マンガン乾電池の溶解可能成分を酸性水
溶液に溶解させた。
【0052】次に、この廃アルカリマンガン乾電池溶解
水溶液を濾過し、炭素棒や合剤中のカーボン等の溶解残
渣を取り除いた。更に、この濾過液を加熱して1時間煮
沸処理することにより、過剰の過酸化水素を分解除去し
た。
【0053】次に、得られた水溶液に水酸化ナトリウム
を加えて溶液のpHを3〜5となるように調整した。こ
の溶液中の総水銀濃度は約2g/リットルであった。
【0054】次に、この溶液に金属鉄パウダーを添加す
ることにより水銀を還元析出させた。そして、濾過を2
回行うことにより析出した水銀を除去した。
【0055】次に、反応溶液中のMn、Zn及びFeの
濃度を、MnOとZnOとFe23に換算したモル比が
28対20対52となるような量の硫酸マンガン(Mn
SO4・5H20)と硫酸亜鉛(ZnSO4・7H20)と
金属鉄とを適宜溶解させた。この時、溶液のpHを3〜
5の範囲に保つために、希塩酸の添加を適宜行った。
【0056】次に、得られた水溶液に水酸化ナトリウム
水溶液を加えて溶液のpHを約9に調整した。これによ
り水溶液中にイオン化して溶解しているマンガン、亜鉛
及び鉄を水酸化物に変換した。続いて、塩素酸カリウム
水溶液を添加し、反応溶液を還流条件下(100℃)で
1時間撹拌することにより水酸化物を酸化することによ
り微粒子状のMn−Znフェライトを共沈させ、これを
濾別し、十分に水洗した後、乾燥させることによりMn
−Znフェライト微粒子粉末を得た。この粉末からは、
実施例1と同様に優れたMn−Znフェライト焼結体が
得られた。
【0057】なお、得られたMn−Znフェライト微粒
子粉末について化学分析を行ったところ、本比較例1の
フェライト粉末には水銀の痕跡がなかった。
【0058】しかし、微粒子状のMn−Znフェライト
を共沈させ、これを濾別した際の濾液(廃液)には、水
銀が1.2mg/リットルの濃度で含有されていること
がわかった。そのため、水銀を除去するために、水銀吸
着用のキレート樹脂(エポラス、ミヨシ油脂社製)カラ
ム中に廃液を通過させる必要があった。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、極めて簡単な化学的プ
ロセスで、廃(アルカリ)マンガン乾電池などのMn/
Zn/Fe含有材料中の水銀を分離回収でき、水銀を含
有しない磁気特性の良好なMn−Znフェライトを製造
することができる。従って、本発明によれば、廃(アル
カリ)マンガン乾電池などのMn/Zn/Fe含有材料
を、水銀汚染という問題を生じさせることなく、Mn−
Znフェライトをリサイクルあるいは再資源化すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】廃マンガン乾電池を酸性水溶液で溶解させたと
きの酸強度と溶解残渣との関係図である。
【図2】Mn−Znフェライト粉末のX線回析チャート
図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マンガン、亜鉛及び鉄を含有する材料か
    らマンガン−亜鉛フェライトを製造する方法において: (a)該材料を350℃以上に加熱処理する工程; (b)加熱処理された該材料を、過酸化水素を含有する
    酸性水溶液に溶解する工程; (c)得られた溶液から不溶解物を除去する工程; (d)不溶解物が除去された溶液をアルカリ性とするこ
    とにより、水溶液中にイオン化して溶解しているマンガ
    ン、亜鉛及び鉄を水酸化物に変換し、続いてそれらの水
    酸化物を酸化して微粒子状のマンガン−亜鉛フェライト
    を共沈させる工程を含むことを特徴とする製造方法。
  2. 【請求項2】 マンガン、亜鉛及び鉄を含有する材料が
    廃アルカリマンガン乾電池又は廃マンガン乾電池である
    請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 工程(b)において使用する酸性水溶液
    の酸強度が3規定以上である請求項1又は2記載のマン
    ガン−亜鉛フェライトの製造方法。
  4. 【請求項4】 工程(c)と工程(d)との間に、 水溶液中のマンガンイオン、亜鉛イオン及び鉄イオンの
    ぞれぞれの濃度を調整する工程を有する請求項1〜3の
    いずれかに記載のマンガン−亜鉛フェライトの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 工程(d)における水酸化物の酸化を、
    塩素酸塩又は硝酸塩を水酸化物に作用させることにより
    行う請求項1〜4のいずれかに記載のマンガン−亜鉛フ
    ェライトの製造方法。
JP7338137A 1995-12-01 1995-12-01 マンガン−亜鉛フェライトの製造方法 Pending JPH09156929A (ja)

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CN107188293A (zh) * 2017-06-08 2017-09-22 武汉大学 一种利用废旧电池制备锰锌铁氧体活化过硫酸盐降解有机污染物的方法

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CN107188293B (zh) * 2017-06-08 2020-02-18 武汉大学 一种利用废旧电池制备锰锌铁氧体活化过硫酸盐降解有机污染物的方法

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