JPH09151712A - バルブシートおよびその製造方法 - Google Patents

バルブシートおよびその製造方法

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JPH09151712A
JPH09151712A JP31058695A JP31058695A JPH09151712A JP H09151712 A JPH09151712 A JP H09151712A JP 31058695 A JP31058695 A JP 31058695A JP 31058695 A JP31058695 A JP 31058695A JP H09151712 A JPH09151712 A JP H09151712A
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JP
Japan
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valve seat
powder
upper member
less
sintered
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Pending
Application number
JP31058695A
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English (en)
Inventor
Teruo Takahashi
輝夫 高橋
Toshiaki Sato
利明 佐藤
Mizunari Tanno
瑞成 丹野
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Nippon Piston Ring Co Ltd
Original Assignee
Nippon Piston Ring Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性、耐脱落性に優れた焼結合金製バル
ブシートおよびその製造方法を提供する。 【解決手段】 焼結により一体化された上部材と下部材
の二層からなるシリンダヘッドに圧入されるバルブシー
トで、上部材の気孔率は体積率で5%未満、下部材は、
気孔率が体積率で5%以下でかつ上部材と成分組成が異
なる焼結合金である。さらに、上部材には、硬質粒子が
面積率で5〜25%分散している。上部材用および下部
材用のそれぞれの原料粉を金型に充填して、圧縮・成形
し、上下二層からなる一体の圧粉体とし、ついで、保護
雰囲気中で加熱し焼結させて、さらに、軟化焼鈍を施し
たのち、回転鍛造により高密度化する。その後、再焼結
し、焼入焼戻しを行い、切削・研削によりバルブシート
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関用のバル
ブシートに関し、とくに耐脱落性、耐摩耗性に優れた焼
結合金製バルブシートに関する。
【0002】
【従来の技術】焼結合金は、合金粉末を配合混練し、金
型に充填し圧縮成形したのち、所定の温度雰囲気中で焼
結したものであり、通常の溶製法では得難い金属や合金
が容易に製造でき、また、機能の複合化が容易なため独
特な機能を付与した部品の製造が可能である。さらに、
多孔質材や難加工材などの製造や、形の複雑な機械部品
の製造に適している。近年、耐摩耗性が要求されるバル
ブシートにこの焼結合金が適用されるようになってき
た。
【0003】バルブシートは、エンジンのシリンダヘッ
ドに圧入されて使用され、燃焼ガスのシールとバルブを
冷却する役目を担っている。そのため、バルブによる叩
かれとか、すべりによる摩耗、燃焼ガスによる熱サイク
ル、燃料と燃料に含まれる添加物およびその燃焼、熱変
成物による腐食をうける。バルブシートは、エンジン運
転中に燃焼ガスにより加熱され温度が上昇する。一方、
シリンダヘッドは、水または空気で冷却されているた
め、温度は低く保持されている。したがって、温度が上
昇すればするほど、バルブシートには大きな圧縮応力が
生じることになる。この圧縮応力が材料の弾性限を越え
るとバルブシートは塑性変形を起こし、シリンダヘッド
から脱落しやすくなる。脱落防止のためには、バルブシ
ートの弾性限を大きくする必要がある。
【0004】焼結合金製のバルブシートでは、内部に多
くの気孔を有しており、エンジン運転中に燃焼ガスによ
り加熱されることにより、気孔中に酸化鉄が生成され耐
摩耗性の向上に有利となる。しかし、逆に、多くの気孔
を有するため、熱伝導率が小さくなるという欠点を有し
ている。バルブシートの高温での弾性限を高めるため、
軟化抵抗を高める合金元素を添加した合金粉末を配合し
て焼結する方法が試みられている。しかし、合金元素を
多く含む粉末は圧縮性が悪く、得られた焼結体の密度が
低いため、弾性限を高めることが難しい。
【0005】このようなことから、耐摩耗性が大きく、
しかもシリンダヘッドから脱落し難い焼結合金製のバル
ブシートが要望されていた。特公昭61−10644号
公報には、表層部と基層部との二層一体となった焼結合
金製バルブシートが提案されている。このバルブシート
は、5〜20%の気孔率を有する表層部と、5%以下の
気孔率を有する基層部に分かれ、さらに表層部と基層部
が一体化されているため、耐摩耗性を維持したまま、機
械的強度を大きくでき、その結果、耐摩耗性が大きく、
しかも脱落事故を防止できるとしている。
【0006】しかしながら、このような従来のバルブシ
ートでは、表層部の気孔率が5〜20%と高気孔率を有
しているため、基層部に比較し、強度・熱伝導性等の特
性が劣り、脱落防止が完全ではないという問題点を残し
ていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を有利に解決し、耐摩耗性、耐脱落性に優れた焼結合金
製バルブシートおよびその製造方法を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、内燃機関のシ
リンダヘッドに圧入されるバルブシートであって、焼結
により一体化されたバルブフェイスとの当り面を有する
上部材とシリンダヘッド圧入穴の底に当接する下部材の
二層からなり、該上部材はその気孔率が体積率で5%未
満であり、該下部材は、該上部材と成分組成が異なり、
かつその気孔率が体積率で5%以下であることを特徴と
する焼結合金製バルブシートであり、さらに、前記上部
材が、平均粒径250μm以下で硬さHv400以上の
硬質粒子を面積率で5〜25%分散させた焼結合金であ
ることが好ましい。
【0009】また本発明は、前記上部材が、重量%で、
C:0.7〜 1.8%、Cr:3.0〜12.0%、
Ni:1.0〜5.0%、Mo:0.3〜5.0%、
W:1.0〜5.0%、Co:3.0〜12.0%を含
有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる焼結合
金であり、前記下部材が、重量%で、C:0.5〜1.
5%、Cr:0.5〜5.0%、Mo:0.1〜3.0
%、V:0.1〜3.0%を含有し、残部がFeおよび
不可避的不純物からなる焼結合金が好適である。
【0010】また本発明は、上部材用および下部材用の
それぞれの原料粉を金型に充填して、圧縮・成形し、上
下二層からなる一体の圧粉体を得る成形工程と、該圧粉
体を保護雰囲気中で900〜1200℃の温度範囲で加
熱し焼結させて焼結体を得る焼結工程と、該焼結体を保
護雰囲気中で600〜900℃の温度範囲で加熱し、そ
の後徐冷し軟化焼結体を得る軟化工程と、該軟化焼結体
を回転鍛造により高密度化した鍛圧体を得る鍛圧工程
と、該鍛圧体を保護雰囲気中で1000〜1200℃の
温度範囲で再焼結する再焼結工程と、基地組織の均一化
を図る焼入焼戻しを行う熱処理工程とからなることを特
徴とするバルブフェイスとの当り面を有する上部材とシ
リンダヘッド圧入穴の底に当接する下部材との二層より
なる一体化した焼結合金製バルブシートの製造方法であ
る。
【0011】また本発明は、前記上部材用原料粉が、重
量%で、C:0.020%以下を含有し、残部がFeお
よび不可避的不純物からなる鉄粉を、60〜90%、M
o:60〜70%含有し、残部がFeおよび不可避的不
純物からなる硬質粒子粉末を0.5〜5%、C:2.0
〜3.0%、Co:7.0〜15.0%、W:15.0
〜25.0%、Fe:1.0〜8.0%含有し、残部C
および不可避的不純物からなる硬質粒子粉末を4.5〜
24.5%、Ni粉を1.0〜5.0%、Co粉を2.
0〜8.5%および黒鉛粉を0.7〜1.8%を配合し
たものであり、前記下部材用原料粉が、重量%で、C:
0.10%以下、Cr:0.5〜5.0%、Mo:0.
1〜3.0%、V:0.1〜3.0%を含有し、残部が
Feおよび不可避的不純物からなる合金鉄粉を99.5
〜98.5%および黒鉛粉を0.5〜1.5%配合した
ものを用いることが好適である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明では、バルブシートは、上
下二層が一体化された焼結合金製である。上部材は、気
孔率を5%未満とした。従来材と異なり、気孔の数が減
少したことにより酸化鉄の生成は期待できないが、高密
度化による粒子間結合力の増加、および硬質粒子の添加
により、耐摩耗性が向上する。気孔率が5%以上では、
耐脱落性が劣化するため、5%未満を上限とした。
【0013】上部材には、平均粒径250μm以下で硬
さHv400以上の硬質粒子を、体積率で5〜25%含
有する。硬質粒子は、耐摩耗性の向上のため添加する。
硬質粒子は、5%未満では、耐摩耗性を十分に発揮させ
るためには不足であり、25%を超えると混合粉の圧粉
性が著しく低下し、再焼結体の気孔率を5%未満とする
ことが困難となる。したがって、硬質粒子の含有量は、
体積率で5〜25%の範囲とした。硬質粒子の硬さは、
Hv400未満では、耐摩耗性が不十分である。また、
平均粒径250μmを超えると相手を摩耗し易くする。
硬質粒子としては、FeMo、ステライトが好適であ
る。図1に示すように、上部材はバルブフェイスとの当
り面を有する構造である。
【0014】上部材の原料粉は、鉄粉、硬質粒子粉およ
び各合金元素の粉末を配合し、混練したものを用いる。
あるいは、予め各合金元素を溶解して合金化した粉末を
用いてもよい。潤滑剤としてステアリン酸亜鉛等を配合
してもよい。焼結後の上部材の化学組成は、C:0.7
〜1.8%、さらに必要に応じて、Cr:3.0〜1
2.0%、Ni:1.0〜5.0%、Mo:0.3〜
5.0%、W:1.0〜5.0%、Co:3.0〜1
2.0%を添加し、残部鉄および不可避的不純物とする
ことが好適である。必要に応じて添加する合金元素量
は、合計で5〜25%の範囲とする。5%未満では、高
温での強度、耐食性および耐摩耗性が不足し、25%を
超えると再焼結体の気孔率が5%未満とするのが困難に
なる。
【0015】つぎに、上部材の各元素の含有量の限定理
由を述べる。 C:0.7〜1.8% Cは0.7%未満では、焼結促進効果が十分でなく、ま
た1.8%を超えると過焼結および脆化が起こり、また
セメンタイト組織・炭化物の析出により相手攻撃性が増
加する。
【0016】Cr:3.0〜12.0% Crは耐熱性および焼戻し軟化抵抗を向上させるが、
3.0%未満では効果が十分でなく、12.0%を超え
ると連結性が低下し、強度低下の原因となるため、Cr
は3.0〜12.0%の範囲とした。 Ni:1.0〜5.0% Niは焼結性および焼入れ性を高め、強度・靱性を向上
させるが、1.0%未満では効果が十分でなく、5.0
%を超えると残留オーステナイトを生成し基地組織を不
均一にする。
【0017】Mo:0.3〜5.0% Moは強度および焼戻し軟化抵抗を向上させるが、0.
3%未満では効果が十分でなく、5.0%を超えると鍛
圧性の低下、相手攻撃性の増加が生じるため、Moは
0.3〜5.0%の範囲とした。 W:1.0〜5.0% Wは強度および焼戻し軟化抵抗を向上させるが、1.0
%未満では効果が十分でなく、5.0%を超えると鍛圧
性の低下、相手攻撃性の増加が起こるため、Wは1.0
〜5.0%の範囲とした。
【0018】Co:3.0〜12.0% Coは耐食性、耐熱性および焼戻し軟化抵抗を向上させ
るが、3.0%未満では効果が十分でなく、12.0%
を超えても一層の向上効果が望めずコスト高となるた
め、Coは3.0〜12.0%の範囲とした。つぎに、
下部材は、気孔率を5%以下とした。気孔率が5%超で
は、密度が低く高温での強度が不足するため、5%を上
限とした。下部材は図1に示すように、上部材と一体化
され、シリンダヘッド圧入穴の底に当接するような構造
となっている。
【0019】下部材の原料粉は、合金鉄粉と黒鉛粉を配
合し、混練したものを用いる。あるいは、鉄粉、および
各合金元素粉末を配合し混練したものを用いてもよい。
さらに、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛等を配合しても
よい。焼結後の下部材の化学組成は、C:0.5〜1.
5%、必要に応じてCr:0.5〜5.0%、Mo:
0.1〜3.0%、V:0.1〜3.0%を添加し、残
部鉄および不可避的不純物とすることが好適である。必
要に応じて添加する合金元素量は、合計で2〜15%の
範囲とする。2%未満では、高温での強度、耐食性が不
足し、15%を超えると経済的に高価となり、二層にし
た経済的効果が低下する。
【0020】つぎに、下部材の各元素の含有量の限定理
由を述べる。 C:0.5〜1.5% Cは0.5%未満では、焼結促進効果が十分でなく、
1.5%を超えると過焼結および脆化が起こる。 Cr:0.5〜5.0% Crは耐熱性および焼戻し軟化抵抗を向上させるが、
0.5%未満では効果が十分でなく、5.0%を超える
と焼結性が低下し、強度低下の原因となるため、0.5
〜5.0%の範囲とした。
【0021】Mo:0.1〜3.0% Moは強度および焼戻し軟化抵抗を向上させるが、0.
1%未満では効果が十分でなく、3.0%を超えると硬
さの増加とともに鍛圧性が低下するため、0.1〜3.
0%の範囲とした。 V:0.1〜3.0% Vは組織の粗大化を抑制し、強度を向上させるが、0.
1%未満では効果が十分でなく、3.0%を超えると硬
さの増加とともに鍛圧性が低下するため、0.1〜3.
0%の範囲とした。
【0022】つぎに、製造工程について述べる。圧粉体
を得る成形工程では、上部材用および下部材用のそれぞ
れの原料粉を二層になるように金型に充填して圧縮・成
形し、上下二層からなる一体の圧粉体を得る。上部材用
の原料粉は、鉄粉、硬質粒子粉、各合金元素の粉末およ
び黒鉛粉であり、これらを配合し、混練する。下部材の
原料粉は、合金鉄粉および黒鉛粉であり、これらを配合
し、混練する。また、潤滑剤としてステアリン酸亜鉛等
を配合してもよい。
【0023】これら粉末を圧縮・成形し、好ましくは、
圧粉体密度を理論密度の90%以上(6.8〜7.1g
/cm3 )とする。圧粉体は、次工程の前に、脱脂する
のが好ましい。脱脂工程は、400〜500℃に保持す
るのが好適である。つぎに、圧粉体を焼結させて焼結体
を得る焼結工程では、該圧粉体を保護雰囲気中で900
〜1200℃の温度範囲で加熱し焼結させる。900℃
未満では、塑性変形能が小さく高密度化が達成できな
い。また、1200℃を超えると硬質粒子および基地の
過拡散が生じ耐摩耗性が劣化するため、焼結工程の温度
は、900〜1200℃の範囲とした。
【0024】つぎに、軟化焼結体を得る軟化焼鈍工程で
は、焼結体を保護雰囲気中で600〜900℃の温度範
囲で加熱し、その後徐冷する。この軟化焼鈍により、上
下部材ともHRB60〜90とする。HRB60未満で
は、次工程の回転鍛造時に過度の変形を起こし、HRB
90を超えると鍛圧体の密度が理論密度比の95%以上
にならないうえ、再焼結体の気孔率を5%以下にするこ
とが困難になる。
【0025】つぎに、鍛圧工程では、軟化した焼結体を
回転鍛造により、理論密度比の95%以上の高密度の鍛
圧体とする。回転鍛造は、円錐曲面によるころがり加圧
による鍛圧で、直円錐を横にして焼結体の面上をころが
しながら、かつ焼結体を上昇させながら、円錐曲面によ
って焼結体を局部的に、順次加圧し鍛圧する方法であ
る。円錐の頂角は170〜176度が適当である。円錐
のころがり回転数と焼結体の上昇速度により鍛圧効果が
異なるため、上下部材の変形能力に合わせ、上部材の気
孔率を5%未満、下部材の気孔率を5%以下になるよう
に選定する。鍛圧時の潤滑方法は、ステアリン酸亜鉛等
の潤滑剤を表面に塗布しても良い。
【0026】つぎに、再焼結工程では、鍛圧体を保護雰
囲気中で1000〜1200℃の温度範囲で再焼結させ
る。1000℃未満では、鍛圧体において焼結のための
拡散が起こりにくく、1200℃を超えると耐摩耗性向
上に必要な硬質粒子および基地の過拡散が起きるため、
再焼結工程の温度範囲は、1000〜1200℃の範囲
とした。
【0027】つぎに、熱処理工程では、基地組織の均一
化を図る焼入焼戻しを行う。焼入焼戻し条件は、部品が
要求される特性を十分発揮できるよう選択される。
【0028】
【実施例】表1に示す化学成分の原料粉を用い、上部材
および下部材について下記のような配合とした。
【0029】
【表1】
【0030】 潤滑材としていずれも重量比で混合粉100に対し1の
ステアリン酸亜鉛を配合した。
【0031】これらの配合粉を混練後、金型に二層にな
るように充填し、密度6.9g/cm3 になるように圧
縮・成形して、図1に示すような上下二層構造の圧粉体
とした。この圧粉体を窒素ガス中で450℃×45mi
n保持し脱脂した。その後、圧粉体をNH3 雰囲気中で
1130℃×30min保持し、焼結体とした。この焼
結体を真空炉中で830℃に加熱し、700℃まで徐冷
し、その後窒素ガス冷却を施した。この処理により、上
下部材とも硬さはHRB65〜75と低下した。
【0032】この軟化焼結体を、回転鍛造により狙い密
度7.4g/cm3 まで高密度化した。その後、116
0℃×30min保持し、再焼結させた。再焼結体の密
度は、7.4g/cm3 、硬さは、上・下部材ともHR
C40であり、気孔率は上部材が3.0〜4.0%、下
部材が2.0〜3.0%であった。
【0033】ついで、再焼結体の組織均一をはかるた
め、1050℃×60min保持し、ついで窒素ガス急
冷により焼入れ、650℃×120min保持し窒素ガ
ス冷却により焼戻した。この処理によりマルテンサイト
相と高合金オーステナイト相との混合組織となった。焼
戻し後、切削、研削加工し、バルブシートとした。比較
材として、上部材用原料粉配合のみで圧粉体を作製し、
その後の処理は、本発明材と同じ条件とした(比較例
1)。また、本発明材の軟化焼鈍工程を省略したものを
比較例2とした。
【0034】上記のように製作したバルブシートについ
て、気孔率、圧環強度、熱伝導率を測定し、さらに耐摩
耗性・耐脱落性の評価試験を実施し、その結果を表2に
示す。
【0035】
【表2】
【0036】気孔率は、上部材では表面から1mmの位
置で、下部材では、1mmを残した位置で測定した。圧
環強度は、JIS Z 2507により求めた。熱伝導
率は、レーザーフラッシュ法(試験片φ10mm×10
mm)で測定した。耐摩耗性は、単体リグ摩耗試験で評
価した。試験装置の概略を図2に示す。単体リグ摩耗試
験は、バルブシート1をシリンダヘッド相当品2の治具
に圧入後、試験機に装着し、ガスバーナ3によりバルブ
4およびバルブシート1を加熱しながらクランク機構で
回転するカム6によりバルブ4を上下させ、沈み量によ
り摩耗量を測定する。なお、符号7はシリンダヘッド相
当品2を水冷するための冷却水ノズルを示した。
【0037】試験条件は、つぎのとおりである。 試験温度:450℃(シート面) 試験時間:13hr カム回転数:2000rpm バルブ回転数:20rpm スプリング荷重:100kgf(リフト時) バルブ材質:SUH35 リフト量:10mm 耐脱落性は、抜き出し試験で評価した。抜き出し試験
は、200℃に加熱したシリンダヘッド相当の治具にバ
ルブシートを冷しばめしたのち、400℃×15hr保
持後空冷し、万能試験機でバルブシートを抜き出すとき
の、抜き出し荷重を測定する。
【0038】 シート形状:φ39×φ32.5×6(mm) 治具材質:FC25 初期締代:100〜110μm 加熱条件:400℃×15hr 抜き出し速度:2mm/min 本発明材は、比較例1と比べ、上部材の気孔率および耐
摩耗性は同等で、かつ抜き出し荷重は増加している。こ
れは、下部材の強度および熱伝導性が1000℃を超え
る焼鈍鍛造による粒子間結合力のアップにより増加し、
圧縮耐力が増加したためと考えられる。比較例2は、特
に鍛圧による上部材の気孔率の減少が少なく、再焼結体
の強度・熱伝導性および粒子間結合力の低下により耐摩
耗性・耐脱落性が低下している。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、運転時のシリンダヘッ
ドでの加熱冷却熱サイクルにより発生する圧縮応力に耐
えられ、耐摩耗性および耐脱落性に優れた焼結合金製バ
ルブシートが容易に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧粉体の断面図である。
【図2】単体リグ摩耗試験機の概略断面図である。
【符号の説明】
1 バルブシート 2 シリンダヘッド相当品 3 ガスバーナ 4 バルブ 5 スプリング 6 カム 7 冷却水

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関のシリンダヘッドに圧入される
    バルブシートであって、焼結により一体化されたバルブ
    フェイスとの当り面を有する上部材とシリンダヘッド圧
    入穴の底に当接する下部材の二層からなり、該上部材は
    その気孔率が体積率で5%未満であり、該下部材は、該
    上部材と成分組成が異なり、かつその気孔率が体積率で
    5%以下であることを特徴とする焼結合金製バルブシー
    ト。
  2. 【請求項2】 前記上部材が、平均粒径250μm以下
    で硬さHv400以上の硬質粒子を体積率で5〜25%
    分散させた焼結合金である請求項1記載の焼結合金製バ
    ルブシート。
  3. 【請求項3】 前記上部材が、重量%で、 C :0.7〜 1.8%、 Cr:3.0〜12.0%、 Ni:1.0〜 5.0%、 Mo:0.3〜 5.0%、 W :1.0〜 5.0%、 Co:3.0〜12.0%を含有し、残部がFeおよび
    不可避的不純物からなる焼結合金であり、前記下部材
    が、重量%で、 C :0.5〜1.5%、 Cr:0.5〜5.0%、 Mo:0.1〜3.0%、 V :0.1〜3.0%を含有し、残部がFeおよび不
    可避的不純物からなる焼結合金であることを特徴とする
    請求項1または2記載の焼結合金製バルブシート。
  4. 【請求項4】 上部材用および下部材用のそれぞれの原
    料粉を金型に充填して、圧縮・成形し、上下二層からな
    る一体の圧粉体を得る成形工程と、該圧粉体を保護雰囲
    気中で900〜1200℃の温度範囲で加熱し焼結させ
    て焼結体を得る焼結工程と、該焼結体を保護雰囲気中で
    600〜900℃の温度範囲で加熱し、その後徐冷し軟
    化焼結体を得る軟化工程と、該軟化焼結体を回転鍛造に
    より高密度化した鍛圧体を得る鍛圧工程と、該鍛圧体を
    保護雰囲気中で1000〜1200℃の温度範囲で再焼
    結する再焼結工程と、基地組織の均一化を図る焼入焼戻
    しを行う熱処理工程とからなることを特徴とするバルブ
    フェイスとの当り面を有する上部材とシリンダヘッド圧
    入穴の底に当接する下部材との二層よりなる一体化した
    焼結合金製バルブシートの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記上部材用原料粉が、重量%で、 C:0.020%以下を含有し、残部がFeおよび不可
    避的不純物からなる鉄粉を60〜90%、 Mo:60〜70%含有し、残部がFeおよび不可避的
    不純物からなる硬質粒子粉末を0.5〜5%、 C:2.0〜3.0%、Co:7.0〜15.0%、
    W:15.0〜25.0%、Fe:1.0〜8.0%含
    有し、残部Cおよび不可避的不純物からなる硬質粒子粉
    末を4.5〜24.5%、 Ni粉を1.0〜5.0%、Co粉を2.0〜8.5%
    および黒鉛粉を0.7〜1.8%を配合したものであ
    り、 前記下部材用原料粉が、重量%で、 C:0.10%以下、Cr:0.5〜5.0%、Mo:
    0.1〜3.0%、V:0.1〜3.0%を含有し、残
    部がFeおよび不可避的不純物からなる合金鉄粉を9
    9.5〜98.5%および黒鉛粉を0.5〜1.5%配
    合したものであることを特徴とする請求項4記載の上部
    材と下部材との二層よりなる一体化した焼結合金製バル
    ブシートの製造方法。
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