JPH09149087A - Ｆｓｋ信号復調装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ＦＳＫ信号が時間的伸縮を含んでいても、Ｎ
ＲＺ信号を確実かつ安定に復調する。 【解決手段】 信号処理手段３は、波形整形したＦＳＫ
信号２をクロック信号９で順次サンプルし、一連のサン
プルデータの組合せに対して、特定のサンプルデータを
反転し、反転したデータを含んだ一連のサンプルデータ
を順次出力する。遅延検波手段５は、信号処理手段３の
出力信号４を遅延検波し、デジタルＬＰＦ７は遅延検波
手段５の出力信号６から不要信号を取り除き、ＮＲＺ信
号を得る。これにより、波形整形したＦＳＫ信号２に時
間的伸縮が含まれていても、信号処理手段３でその時間
的伸縮を緩和もしくは除去するため、ＦＳＫ信号がクロ
ック信号のｋ周期間以下の時間的伸縮を含むときでも、
デジタルＬＰＦ出力からＮＲＺ信号１０を確実に得るこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、非同期デジタル通
信において使用される、ＦＳＫ（周波数シフトキーイン
グ）変調信号をＮＲＺ（Ｎｏｎ Ｒｅｔｕｒｎ ｔｏ
Ｚｅｒｏ）信号に復調する回路に関し、特に、時間的伸
縮を含むＦＳＫ変調信号を確実にＮＲＺ信号に復調でき
るＦＳＫ信号復調装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】デジタル通信では、伝送信号として、変
調の仕方により高調波成分を減らして狭帯域化を図るこ
とができるＦＳＫ信号が使用され、一方、ベースバンド
信号の伝送ではデータ処理の容易さ等の点からＮＲＺ符
号が広く使用されている。そのため受信機の復調回路で
は、ＦＳＫ信号をＮＲＺ信号に復調するための操作が必
要になる。

【０００３】従来のＦＳＫ信号復調回路は、図５に示す
ように、受信したＦＳＫ信号８を波形整形する波形整形
回路１と、波形整形回路１の出力２を遅延検波する遅延
検波回路５と、遅延検波回路５の出力６から不要パルス
を取り除いてＮＲＺ信号１０を出力するデジタルＬＰＦ
７とを備えている。

【０００４】ＦＳＫ信号８は、クロック信号９の８周期
間をデータの１単位としており、例えばｆ／１６（ｆは
クロック信号９の周波数）をクロック信号の８周期間続
けることによってデータの１を表示し、ｆ／８の変調周
波数クロック信号の８周期間続けることによってデータ
の０を表示する。波形整形回路１は、このＦＳＫ信号８
を図６に示すように波形整形する。

【０００５】この波形整形回路１の出力２は遅延検波回
路５に入力する。この波形整形回路１の出力信号２及び
遅延検波回路５の出力信号６のタイミングチャートを図
７に示している。遅延検波回路５は、波形整形回路１の
出力２をクロック信号９に同期させるとともに、この信
号（ａ）をクロック信号９の８周期間遅延させて、信号
（ｂ）を作成し、これらの信号（ａ）と（ｂ）を内部の
ＥＸ−ＯＲゲートに入力する。遅延検波回路５の出力信
号６は、このＥＸ−ＯＲゲートの出力であり、図７に示
すようにＮＲＺ信号１０になる。

【０００６】この図７は、ＦＳＫ信号８が時間的伸縮の
無い、理想的な状態にあるときのタイミングチャートを
表している。しかし、ＦＳＫ信号８には、非同期通信で
受信したため、時間的に伸縮しており、それに伴い、Ｆ
ＳＫ信号を波形整形する波形整形回路１の出力信号２
も、時間的伸縮を含んでいる。こうした状態では、図８
のタイミングチャートに示すように、遅延検波回路５の
出力信号６に不要パルス１〜４が含まれる。

【０００７】デジタルＬＰＦ７は、遅延検波回路５の出
力信号６に含まれるこれらの不要パルスを除く働きをし
ている。このデジタルＬＰＦ７は、遅延検波回路５の出
力信号６をクロック信号９でサンプルし、連続した３つ
のサンプル値を多数決をとって出力する。その結果、図
８に示すように、不要パルスの値は反転し、不要パルス
が除去され、ＮＲＺ信号１０が得られる。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のＦＳＫ
信号復調装置では、図９に示すように、クロック信号９
に同期させた波形整形回路１の出力信号（ａ）がクロッ
ク信号９の１周期間の時間的伸縮を含んでいる場合で
も、遅延検波回路５の出力信号６に、クロック信号９の
２週間分のパルス幅を有する不要パルス２が発生する。
この不要パルス２はデジタルＬＰＦ７でも除去すること
ができない。そのため、デジタルＬＰＦ７から正しいＮ
ＲＺ信号１０を復調することができなくなる。

【０００９】また、遅延検波回路５の出力信号６に発生
する２周期間分のパルス幅を有する不要パルス２を除去
するのは非常に困難であり、これを実現するためには複
雑かつ高度な信号処理を行わなければならず、これに伴
って回路規模が大幅に増大する。

【００１０】このため、復調装置は、受信信号の時間的
伸縮の影響を受けて高速通信ができなかったり、厳しい
車載環境において誤動作を招くなどの問題を有してい
た。

【００１１】本発明は、このような従来の問題を解決す
るものであり、時間的伸縮を含んだＦＳＫ信号に対して
も、確実かつ安定に、ＮＲＺ信号を復調でき、かつ回路
規模を大幅に増やすことなく安定した高速動作を行うこ
とができるＦＳＫ信号復調回路を提供することを目的と
する。

【００１２】

【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明は、波形整形したＦＳＫ信号をＮＲＺ信号に復
調するＦＳＫ信号復調装置において、波形整形されたＦ
ＳＫ信号をクロック信号で順次サンプルし、このサンプ
ルした一連のデータを元にそのサンプルしたデータに対
して信号処理を行う信号処理手段と、前記信号処理手段
の出力信号に対して遅延検波を行う遅延検波手段と、前
記遅延検波手段の出力に含まれるクロック信号の１周期
間信号が反転した値を示す不要パルスを除去するデジタ
ルＬＰＦとを備えてなるものである。

【００１３】これにより、ＦＳＫ信号が時間的伸縮を含
んでいても、ＮＲＺ信号を確実かつ安定に復調する。

【００１４】

【発明の実施の形態】本発明の請求項１の発明は、波形
整形したＦＳＫ信号をＮＲＺ信号に復調するＦＳＫ信号
復調装置において、波形整形されたＦＳＫ信号をクロッ
ク信号に同期して処理する信号処理手段と、前記信号処
理手段の出力信号を前記クロック信号で遅延検波する遅
延検波手段と、前記遅延検波手段の出力信号から不要パ
ルスを取り除くフィルタとを設けてなるものであり、ク
ロック信号の整数（ｊ）周期間をデータの単位とするＦ
ＳＫ信号は波形整形された後信号処理手段に入力され、
信号処理手段内部でクロック信号によって順次サンプリ
ングされる。波形整形したＦＳＫ信号に時間的伸縮が含
まれるとき、信号処理手段は、サンプリングした一連の
データパターンによって時間的伸縮を検出し、波形整形
されたＦＳＫ信号の伸縮によって生じた特定のサンプリ
ングデータを反転することでＦＳＫ信号に含まれる時間
的伸縮を緩和もしくは除去し、遅延検波手段へ出力す
る。遅延検波手段は、時間的伸縮を緩和もしくは除去し
たＦＳＫ信号を遅延検波し、ＮＲＺ信号に復調する遅延
検波手段から出力されるＮＲＺ信号に最大でクロック信
号の１周期間の不要パルスが含まれるときは、遅延検波
手段の出力信号をフィルタに入力することで不要パルス
を取り除く。

【００１５】請求項２に記載の発明は前記クロック信号
で順次サンプルするｎ段シフトレジスタと、前記ｎ段シ
フトレジスタにサンプルされた一連のデータによって、
前記ｎ段シフトレジスタ中の特定のレジスタに保持する
データを反転する反転処理手段で構成したものであり、
波形整形されたＦＳＫ信号はクロック信号によりｎ段シ
フトレジスタに順次サンプリングされる。反転処理手段
は、サンプリングされた一連のデータに対し、ＦＳＫ信
号の時間的伸縮により生じた特定のサンプリングデータ
を反転し、これによりＦＳＫ信号に含まれる時間的伸縮
を除去もしくは緩和する。

【００１６】以下、本発明の実施の形態について、図１
〜図３について説明する。図１は、本発明の実施形態を
示すＦＳＫ信号復調装置のブロック図であり、このＦＳ
Ｋ信号復調装置は、ＦＳＫ信号８を波形整形する波形整
形回路１と、波形整形回路１の出力信号をクロック信号
９で２０段シフトレジスタに順次サンプリングし、この
サンプリングした一連のデータに対し、時間的伸縮の生
じた特定のサンプリングデータを反転する処理を行い、
シフトレジスタの最終段から、信号処理によって反転し
たデータを含む一連のサンプリングデータを順次出力す
る信号処理回路３と、信号処理回路３の出力信号４をク
ロック信号９で遅延検波する遅延検波回路５と、遅延検
波回路５の出力信号６から、クロック信号９の１周期間
の不要パルスを取り除き、ＮＲＺ信号１０を出力するデ
ジタルＬＰＦ７とを備えている。

【００１７】なお、ＦＳＫ信号８は、クロック信号９の
８周期間をデータの１単位とし、データ１に対する変調
周波数をｆ／１６（ｆはクロック信号９の周波数）、デ
ータ０に対する変調周波数をｆ／８としている。

【００１８】次に、上記のように構成されたＦＳＫ信号
復調装置の動作について説明する。図２は、本実施形態
の復調装置のタイミングチャートを示している。

【００１９】ＦＳＫ信号８のうち、変調周波数の低周波
数に割り当てたデータを１とし、高周波数に割り当てた
データを０とする。また復調したＮＲＺ信号１０は、出
力がＬｏｗのとき１に割り当て、Ｈｉｇｈのとき０を割
り当てるものとする。

【００２０】まず、波形整形回路１にＦＳＫ信号８を入
力すると、このＦＳＫ信号８は波形整形されて図２に示
すＦＳＫ信号２となる。次に、この波形整形されたＦＳ
Ｋ信号２を信号処理回路３に入力する。このＦＳＫ信号
２は、クロック信号９で信号処理回路３の内部の２０段
シフトレジスタの各レジスタに順次サンプリングされ
る。なお、シフトレジスタの最初の段のレジスタは、波
形整形されたＦＳＫ信号２をクロック信号９に同期させ
るためのものであり、この時のＦＳＫ信号２は図２の出
力波形（ｃ）に示すようになる。

【００２１】次に、各レジスタに順次サンプリングされ
た一連のデータの組合せによって特定のレジスタに保持
されたデータを反転する。特定のレジスタに保持された
データとは、波形整形されたＦＳＫ信号２の時間的伸縮
によって、時間的伸縮が含まれないときと比べて、値が
反転しているデータを示す。

【００２２】信号処理回路３では、この波形整形された
ＦＳＫ信号２の時間的伸縮により反転してレジスタに保
持されたデータを、信号処理回路３の各シフトレジスタ
に保持した一連のデータの組合せから検出し、その検出
したデータを信号処理回路３の働きで反転する。その結
果、図２に示した通り、信号処理回路３から出力される
出力信号４は図２の出力（ａ）のようになる。

【００２３】図２に示す信号処理回路３の出力信号４
（ａ）をクロック信号９の８周期間遅延した出力信号４
を図２の（ｂ）で示す。

【００２４】信号処理の動作の詳細は図３及び図４に示
す。この図３のタイミングチャートでは、波形整形され
たＦＳＫ信号２と信号処理回路３によって信号処理を行
った後の出力信号４を比較しやすいように、処理によっ
て発生した遅延時間は示さずに信号に対して行った処理
結果だけを示している。

【００２５】なお、図３及び図４に示す各部の出力波形
において、上段は信号処理回路３のシフトレジスタに順
次サンプリングした一連のデータを表し、下段は上段の
データパターンに対しての処理動作後の一連のデータを
表す。

【００２６】このように、信号処理回路３でＦＳＫ信号
２を処理することで、ＦＳＫ信号２に含まれていた時間
的伸縮を緩和もしくは除去する。これにより、従来デジ
タルＬＰＦだけでは除去できなかったクロック信号９の
２周期間の不要パルスが発生するところを、デジタルＬ
ＰＦ７で除去可能なクロック信号９の１周期間の不要パ
ルスの発生に押さえることができる。

【００２７】図２は、波形整形されたＦＳＫ信号２から
時間的伸縮による不要パルスが完全に取り除かれた場合
である。波形整形されたＦＳＫ信号２から時間的伸縮が
完全に取り除くことができなくても、信号処理回路３と
デジタルＬＰＦ７との組合せでＮＲＺ信号１０を復調す
ることができる。

【００２８】なお、上記実施形態では、受信データの基
本周期をクロック信号の８周期間、ＦＳＫ信号の変調周
波数をクロック信号の周波数の１／１６及び１／８とし
ているが、受信データの基本周期はｊを任意の整数とし
て、クロック信号のｊ周期間とすることができ、また、
ＦＳＫ変調周波数は、ａ、ｂを任意の整数として、ａｆ
／２ｊ、ｂｆ／２ｊ（ａ≠２ｊ、ｆ：クロック信号周波
数）とすることができる。

【００２９】また、信号処理回路３内部のシフトレジス
タの段数は２０段に限るものではなく、ｊを越える任意
の整数をｎとしてｎ段シフトレジスタとすることができ
る。また、信号処理回路３を、かならずしもシフトレジ
スタで構成しなくてもよい。ｊ−ｋ値は、データ１とデ
ータ０が区別できるように、ｊ／２を越える整数である
ことが必要である。

【００３０】また、この実施形態では、ＦＳＫ変調周波
数の低周波数を、データ１に対して割り当てたが、デー
タ１、データ０どちらに対しても割り当ててよい。さら
に、信号処理回路３の動作は、図３及び図４に示すもの
に限らず、入力されるＦＳＫ信号８の特性に合わせて動
作するようにする。

【００３１】さらに、本実施形態においては、復調に際
して、波形整形回路以外の回路の動作はクロック信号に
同期して行われるため、復調動作が安定しており、遅延
の発生も避けられる。また、信号処理回路では複雑な信
号処理を必要としないため、回路規模を大きく増加させ
なくてもよい。

【００３２】また、本実施形態の回路の論理回路部を、
ＦＰＧＡ等のユーザが自由に書き込むことが可能な論理
回路にプログラムして形成する場合にも、本発明のＦＳ
Ｋ信号復調装置ではクロック信号に同期して動作するた
め、各デバイス特有の遅延に依存することが少ない。そ
のため、書き込み用論理回路の回路構成に変更を加える
必要がなく、それがどのようなデバイスから成っていて
も、それに対応可能で、書き込んだデバイスの性能を最
大限に発揮することができる。

【００３３】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、通信ライ
ンのノイズや、非同期通信における位相のずれ、波形整
形回路の特性のばらつきによる時間的伸縮を含んでいる
場合にも、このＦＳＫ信号から、クロック信号に同期し
たＮＲＺ信号を確実かつ安定して復調することができる

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態におけるＦＳＫ信号復調装置
の構成を示すブロック図

【図２】本実施形態のＦＳＫ信号復調装置の動作を示す
タイミングチャート

【図３】本実施形態のＦＳＫ信号復調回路に利用する信
号処理回路の動作を示す説明用波形図

【図４】本実施形態のＦＳＫ信号復調回路に利用する信
号処理回路の動作を示す説明用波形図

【図５】従来のＦＳＫ信号復調回路の構成を示すブロッ
ク図

【図６】従来のＦＳＫ信号復調装置の波形整形回路への
入力信号と出力信号とを示す波形図

【図７】従来の波形整形出力に時間的伸縮を含まない場
合のＦＳＫ信号復調装置の動作を示すタイミングチャー
ト

【図８】従来の波形整形出力に時間的伸縮を含む場合の
ＦＳＫ信号復調装置の動作を示すタイミングチャート

【図９】従来の波形整形出力に大きな時間的伸縮を含む
場合のＦＳＫ信号復調装置の動作を示すタイミングチャ
ート。

【符号の説明】

１ 波形整形回路 ２ 波形整形回路の出力 ３ 信号処理回路 ４ 信号処理回路の出力 ５ 遅延検波回路 ６ 遅延検波回路の出力 ７ デジタルＬＰＦ ８ ＦＳＫ信号 ９ クロック信号 １０ ＮＲＺ信号

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 波形整形したＦＳＫ信号をＮＲＺ信号に
   復調するＦＳＫ信号復調装置において、 波形整形されたＦＳＫ信号をクロック信号に同期して処
   理する信号処理手段と、前記信号処理手段の出力信号を
   前記クロック信号で遅延検波する遅延検波手段と、前記
   遅延検波手段の出力信号から不要パルスを取り除くフィ
   ルタとを設けたことを特徴とするＦＳＫ信号復調装置。
2. 【請求項２】 前記信号処理検出手段は、前記波形整形
   されたＦＳＫ信号を前記クロック信号で順次サンプルす
   るｎ段シフトレジスタと、前記ｎ段シフトレジスタにサ
   ンプルされた一連のデータによって、前記ｎ段シフトレ
   ジスタ中の特定のレジスタに保持するデータを反転する
   反転処理手段で構成することを特徴とする請求項１記載
   のＦＳＫ信号復調装置。