JPH09145640A - X線吸収微細構造分析方法およびその装置 - Google Patents

X線吸収微細構造分析方法およびその装置

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JPH09145640A
JPH09145640A JP7307345A JP30734595A JPH09145640A JP H09145640 A JPH09145640 A JP H09145640A JP 7307345 A JP7307345 A JP 7307345A JP 30734595 A JP30734595 A JP 30734595A JP H09145640 A JPH09145640 A JP H09145640A
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ray
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武慶 田口
Yuji Kobayashi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一枚の平板結晶によってX線のエネルギ領域
を広範囲にカバーできるようにして、測定作業の容易化
を図る。 【解決手段】 放射状に広がるX線aを所定の角度範囲
で結晶平板1に照射することにより、その照射角度に対
応してエネルギが連続的に変化する回折X線bを該結晶
平板1から出力させ、この回折X線bの強度を検出する
とともに、平板結晶1から出力してきた回折X線bを試
料Sに照射したとき該試料Sを透過するX線cの強度を
検出し、これらの検出結果に基づいて試料SのX線吸収
微細構造を分析する。平板結晶1から出力される回折X
線bのエネルギ領域を変えたい場合には、平板結晶1を
X線の照射面と直交する軸oを中心に任意の角度回転さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、X線吸収微細構
造分析方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図5に示す如く物質MにX線を照射する
と、X線は物質Mを通り抜けるとともに一部が吸収され
るため、透過したX線の強度Iは照射X線の強度I0
りも弱くなる。照射するX線のエネルギを変化させなが
ら、その吸収の度合を精密に観察していくと、その物質
特有のエネルギ領域で図6に示すような不連続な変化が
みられる。このように吸収の度合が不連続に変化する点
1,L2,L3,K 等を吸収端(Absorption Edge)と呼
び、この点をさらに拡大 ln(I0/I)すると、図7に示す
ように吸収端Kよりも高エネルギ側で微細な振幅Nが観
察される。
【0003】この現象を考察すると、物質にとって一定
以上のエネルギのX線を照射したとき、原子が励起され
て電子をランダムに放出する。もし、この原子のまわり
に何もなければ、吸収の度合いも連続的なものとなるは
ずである。ところが周囲に別の原子が存在する場合、放
出された電子がそれらの周囲原子に衝突して散乱現象が
生じ、一部の電子は元に戻っていく。この散乱現象が、
上述した吸収端よりも高エネルギ側における微細な振幅
に大きく影響しているものと考えられている。そして、
この微細な振幅を解析して、逆にX線を吸収した原子の
周囲原子に関する情報を分析する手法を、一般にX線吸
収微細構造分析(Extended X-Ray Absorption Fine Stru
cture:EXAFS)と呼んでいる。
【0004】このX線吸収微細構造分析によれば、X線
を吸収した原子から周囲原子までの距離や、周囲原子の
数,種類などを分析することができ、しかも単結晶に限
らず、多結晶,非晶質など各種の試料形態での分析が可
能となる。
【0005】さて、従来のX線吸収微細構造分析は、モ
ノクロメータを用いたいわゆる角度走査型の分析方法
と、平板結晶を用いたいわゆる角度分散型の分析方法と
が知られており、特にこの発明は後者の分析方法を改良
したものである。そこで、従来の角度分散型のX線吸収
微細構造分析方法についてその概要を説明すると、まず
光源から放射状に発射したX線を所定の角度範囲から平
板結晶の任意の格子面群(ミラー指数:h,k,l)に
照射する。そうすると、平板結晶からはX線の入射角度
θに応じて次の数1に示すブラッグの公式(Bragg's fo
rmura)のとおりの波長λをもった回折X線が出力され
る。なお、同式におけるdは、X線を反射または屈折さ
せる各格子面(同一ミラー指数)の間隔である。
【0006】
【数1】
【0007】ここで、図4に示すように平板結晶1へ入
射する照射X線aは放射状に広がっているため、同X線
aの入射角度は一端から他端にかけて連続的に変化(θ
1〜θ2)しており、したがって平板結晶1から出力され
る回折X線bの波長も、一端から他端にかけて連続的に
変化(λ1〜λ2)したものとなる。そして、回折X線b
の波長λとエネルギEとは数2に示す関係にあるため、
平板結晶1からは波長の変化(λ1〜λ2)に対応した一
定のエネルギ領域をもつ回折X線bが出力されることに
なる。
【0008】
【数2】
【0009】この回折X線bの強度(入射X線強度
0)を検出器4で検出し、次いで照射X線a乃至回折
X線bの光路上に試料を配置して、試料を透過してきた
X線の強度(透過X線強度I)を検出器4で検出するこ
とにより、試料のX線吸収度合が求まる。そして、試料
に特有のエネルギ領域に現われた吸収端より高エネルギ
側に観察される微細な振幅を解析して、試料の構造分析
を行なうことができる。このような従来のX線吸収微細
構造分析方法は、平板結晶から出力された回折X線が、
上記のとおり一定のエネルギ領域を有しているので、そ
のエネルギ領域を一括して測定することができるという
特徴を有していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、吸収端
およびその高エネルギ側に観察される微細な振幅の現わ
れるエネルギ領域は物質によって異なり、上記従来のX
線吸収微細構造分析方法では、各種物質について一枚の
平板結晶でそのエネルギ領域をカバーすることができな
かった。したがって、複数種類の平板結晶を用意すると
ともに、測定対象となる物質の種類に応じて適宜平板結
晶を交換する必要があり、作業性が悪いという課題を有
していた。この発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、一枚の平板結晶によってX線のエネルギ領域を
広範囲にカバーできるようにして、測定作業の容易化を
図ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
にこの発明は、放射状に広がるX線を所定の角度範囲で
平板結晶に照射することにより、その照射角度に対応し
てエネルギが連続的に変化する回折X線を該平板結晶か
ら出力させ、この回折X線の強度を検出するとともに、
上記X線乃至回折X線の光路上に試料を配置して該試料
を透過したX線の強度を前記結晶平板の後段側で検出
し、これらの検出結果に基づいて試料のX線吸収微細構
造を分析するX線吸収微細構造分析方法において、平板
結晶を、X線の照射面と直交する軸を中心に任意の角度
回転させることにより、出力する回折X線のエネルギ領
域を可変させるようにしたことを特徴としている。
【0012】上記発明方法のように平板結晶を任意の角
度回転させることにより、X線が入射する格子面群を変
えることができる。前述したブラッグの公式(数1)に
おける格子面間隔dは、平板結晶内の格子面群によって
それぞれ異なっているため、このようにX線の入射する
格子面群を変えることによって、出力される回折X線の
波長λも変化させることができる。その結果、一枚の平
板結晶によって回折X線のエネルギ領域を変えてX線吸
収微細構造分析を行なうことができる。
【0013】また、この発明のX線吸収微細構造分析装
置は、放射状に広がるX線を出力するX線源と、このX
線源から出射したX線を所定の角度範囲で入射して回折
X線を出力する平板結晶と、この平板結晶をX線の照射
面と直交する軸を中心に回転させる回転手段と、上記平
板結晶から出力された回折X線の光路上に配設したX線
検出手段と、上記X線乃至回折X線の光路上に試料を配
置するための試料台とを備えたことを特徴としている。
【0014】X線吸収微細構造分析装置によれば、回転
手段によって平板結晶を回転させるだけで、平板結晶か
ら出力される回折X線のエネルギ領域を可変することが
でき、上述のX線吸収微細構造分析方法を簡易に実施す
ることができるとともに、平板結晶を何種類も用意する
必要がなくなり、設備コストの低減を図ることができ
る。なお、X線検出手段をイメージングプレートとする
ことにより、ダイナミックレンジが広くなり、微弱なX
線も高精度に検出することが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態につ
いて図面を参照して詳細に説明する。図1の(a)はこ
の発明の第1実施形態に係るX線吸収微細構造分析装置
の構成を示す模式図である。この発明のX線吸収微細構
造分析装置は、先に略説した角度分散型のX線吸収微細
構造分析装置を改良したものであり、図1の(a)に示
す第1実施形態は、反射式の平板結晶1を備えた構成と
なっている。
【0016】X線源2は、例えば回転対陰極型のX線発
生装置を用いており、電子の衝突によって回転対陰極の
表面から放射状に発射されるX線を、スリット3によっ
て任意の幅に制限して平板結晶1へと照射する。X線吸
収微細構造分析ではX線の吸収度合に現われる微細な振
幅の分析を要求されるので、その振幅を一層明瞭化する
ために、X線源2は強力なX線を発生する構造のもので
あることが好ましい。
【0017】平板結晶1は、X線源2から発射されたX
線の光路上に配設してある。この平板結晶1はX線を反
射する単結晶材料で形成し、X線の照射面(表面)に対
する各格子面の方位をあらかじめ測定しておくことが好
ましい。平板結晶1の照射面は、X線源2からのX線a
の光路に対し所定角度の傾きをつけて配置し、X線aが
所定の角度範囲で入射するようにしてある。
【0018】平板結晶1は、回転駆動装置(回転手段)
に装着され、X線の照射面と直交する軸oを中心に任意
の角度回転できるようになっている。回転駆動装置は、
平板状の部材を回転させる各種の周知構造を応用して形
成することができる。図3は、回転駆動装置の一例を示
す側面図である。同図に示す回転駆動装置は、軸受11
で回転自在に支持されたホルダ12の前端面に、円板状
の平板結晶1を装着し、駆動モータ13によってホルダ
12とともに平板結晶1を回転駆動する構成となってい
る。駆動モータ13からの駆動力をホルダ12に伝える
機構としては、同図に示した歯車機構14の他、ベルト
伝導機構など公知の各種機構を採用できることは勿論で
ある。
【0019】X線aを所定の角度範囲で入射した平板結
晶1からは、回折X線bが出力される。この回折X線b
の光路上にX線検出器4が設けてある。X線検出器4
は、写真フィルムや位置敏感形比例計数管(PSPC)等を採
用することもできるが、好ましくはイメージングプレー
ト(IP)を採用した方がよい。イメージングプレートは、
輝尽性蛍光体の微結晶を表面に高密度充填塗布した柔軟
性のあるフィルムである。X線がイメージングプレート
に入射すると、輝尽性蛍光体中にそのX線エネルギが蓄
積され、その後、励起光の照射によってX線エネルギの
蓄積部分から蛍光が発せられる。この蛍光を光電子増倍
管により増幅して検出することにより、X線強度の測定
が行なえる。
【0020】このイメージングプレートは、感度が高く
しかもダイナミックレンジが広いため、微弱なX線も高
精度に検出することができ、吸収端の高エネルギ側に現
われる微細な振幅を検出するには好適なX線検出器であ
る。また、露光/読み取り後、露光されたデータを消去
し、再利用することが簡単に行なえるため、写真フィル
ムよりも取り扱いが易しいという利点がある。
【0021】図1の(a)に示したX線吸収微細構造分
析装置では、平板結晶1とX線検出器4との間の任意の
位置に、試料台(図示せず)が設置してある。この試料
台は、平板結晶1から出力される回折X線bの光路上で
かつX線検出器4の手前位置に、試料Sを配置できるよ
うに位置決めしてある。
【0022】次に、上述した構成の第1実施形態に係る
装置を用いたX線吸収微細構造分析方法について説明す
る。X線源2から発生した放射状に広がるX線aを、ス
リット3により一定の幅に制限して平板結晶1に照射す
る。ここで、平板結晶1の照射面に対するX線aの照射
角度範囲は、平板結晶1内の所定の格子面群における反
射によって、ピーク強度の回折X線bが出力される所定
の角度に設定してある。
【0023】X線aの照射によって平板結晶1からは回
折X線bが出力される。このとき平板結晶1へ入射する
X線aは放射状に広がっているため、同X線aの入射角
度は一端から他端にかけて連続的に変化(θ1〜θ2)し
ており(図4参照)、したがって平板結晶1から出力さ
れる回折X線bの波長も、一端から他端にかけて連続的
に変化(λ1〜λ2)したものとなる。そして、回折X線
bの波長λとエネルギEとは前述した数2に示す関係に
あるため、平板結晶1からは波長の変化(λ1〜λ2)に
対応した一定のエネルギ領域をもつ回折X線bが出力さ
れることになる。
【0024】まず、この回折X線bの強度を測定するた
め、試料台には試料Sを装着せず、同回折X線bをその
ままX線検出器4に入射させる。これによって、回折X
線bの強度I0(入射X線強度に相当)を検出する。次
いで、試料Sを試料台に装着し、平板結晶1からの回折
X線bを試料Sに照射して、同試料Sを透過してきたX
線cの強度I(透過X線強度に相当)をX線検出器4に
よって測定する。これらのX線強度I0,Iに基づいて
試料SのX線吸収の度合を回折X線bのエネルギ領域に
沿って検出し、図6,図7に示すようないずれかの吸収
端L1,L2,L3,Kおよびその高エネルギ領域に現わ
れる振幅Nを求めるとともに、この振幅Nを解析して試
料Sの原子構造等を分析する。
【0025】測定対象となる試料Sに応じて吸収端の現
われるエネルギ領域が変化した場合には、そのエネルギ
領域をカバーできる回折X線bを出力する平板結晶1内
の格子面群を捜し、該格子面群を入射X線aの反射面と
すべく結晶方位を調整する。この調整は、回転駆動装置
により平板結晶1を、X線の照射面と直交する軸oを中
心に任意の角度回転させることによって行なう。入射X
線aの反射する格子面群が変わった場合、前述したブラ
ッグの公式(数1)における格子面間隔dが変わるた
め、同式で導かれる回折X線の波長λも変わることにな
り、その結果、測定に好適なエネルギ領域の回折X線b
を同一の平板結晶1によって出力することが可能とな
る。
【0026】図1の(b)は、上述した第1実施形態に
係るX線吸収微細構造分析装置の変形例を示している。
すなわち、図1の(b)に示したX線吸収微細構造分析
装置では、スリット3と平板結晶1との間の任意の位置
に、試料台(図示せず)が設置してある。この試料台
は、X線源2から出力され、スリット3を通過したX線
aの光路上に、試料Sを配置できるように位置決めして
ある。なお、試料Sを配置する位置以外の構成は、上述
した第1実施形態に係るX線吸収微細構造分析装置と同
じであるため、その詳細な説明は省略する。。
【0027】このような構造の場合、回折X線bの強度
0(入射X線強度に相当)を測定した後、試料Sを試
料台に装着し、X線源2から発生したX線aを、スリッ
ト3により一定の幅に制限して試料Sに照射し、同試料
Sを透過してきたX線dを平板結晶1に照射して回折X
線eを出力させ、この回折X線eの強度I(透過X線強
度に相当)をX線検出器4によって測定する。これらの
X線強度I0,Iに基づいて試料SのX線吸収の度合を
回折X線のエネルギ領域に沿って検出し、図6,図7に
示すようないずれかの吸収端L1,L2,L3,Kおよび
その高エネルギ領域に現われる振幅Nを求めるととも
に、この振幅Nを解析して試料Sの原子構造等を分析す
る。
【0028】次に、図2を参照して、この発明の第2実
施形態に係るX線吸収微細構造分析装置の構成説明す
る。図1の(a)に示した第1実施形態のX線吸収微細
構造分析装置と異なるのは、透過式の平板結晶1を備え
た構成となっている点であり、その他の構成については
第1実施形態のX線吸収微細構造分析装置と略同じであ
るので、その部分の詳細な説明は省略する。
【0029】図2に示した第2実施形態に係るX線吸収
微細構造分析装置は、X線源2から発射されたX線aの
光路上に、X線を透過する形態の単結晶材料で形成した
透過式平板結晶1を配設してある。この平板結晶1につ
いても、X線の照射面(表面)に対する各格子面の方位
をあらかじめ測定しておくことが好ましい。そして、平
板結晶1の照射面は、X線源2からのX線aの光路に対
し所定角度の傾きをつけて配置し、X線aが所定の角度
範囲で入射するようにしてある。
【0030】平板結晶1は、第1実施形態と同様、回転
駆動装置(回転手段)に装着され、X線の照射面と直交
する軸oを中心に任意の角度回転できるようになってい
る。回転駆動装置は、平板状の部材を回転させる各種の
周知構造を応用して形成することができるが、平板結晶
1を透過してきた回折X線bの光路を妨げない構造にす
ることが必要である。例えば、図3に示した如き構成の
回転駆動装置を用いる場合、ホルダ12を中空の円筒形
状とし、該ホルダ12の中空部を回折X線bが通りぬけ
る構成とすればよい。なお、回折X線bの光路上には、
散乱X線をカットするためのスリット5が設けてある。
【0031】試料台(図示せず)は、平板結晶1とX線
検出器4との間の任意の位置に設置するが、好ましくは
平板結晶1から出力された回折X線bの焦点部分に試料
Sを配置できるように位置決めする方がよい。
【0032】次に、上述した構成の第2実施形態に係る
装置を用いたX線吸収微細構造分析方法について説明す
る。X線源2から発生した放射状に広がるX線aを、ス
リット3により一定の幅に制限して平板結晶1に照射す
る。ここで、平板結晶1の照射面に対するX線aの照射
角度範囲は、平板結晶1内の所定の格子面群における反
射によって、ピーク強度の回折X線bが出力される所定
の角度に設定してあるのは、第1実施形態の方法と同様
である。X線aの照射によって平板結晶1の背面側に回
折X線bが出力される。このとき平板結晶1へ照射した
X線aは放射状に広がっているため、第1実施形態の方
法と同じ原理で、平板結晶1からは一定のエネルギ領域
をもつ回折X線bが出力されることになる。
【0033】まず、この回折X線bの強度を測定するた
め、試料台には試料Sを装着せず、同回折X線bをその
ままX線検出器4に入射させる。これによって、回折X
線bの強度I0(入射X線強度に相当)を検出する。次
いで、試料Sを試料台に装着し、平板結晶1からの回折
X線bを試料Sに照射して、同試料Sを透過してきたX
線cの強度I(透過X線強度に相当)をX線検出器4に
よって測定する。これらのX線強度I0,Iに基づいて
試料SのX線吸収の度合を回折X線bのエネルギ領域に
沿って検出し、図6,図7に示すようないずれかの吸収
端L1,L2,L3,Kおよびその高エネルギ領域に現わ
れる振幅Nを求めるとともに、この振幅Nを解析して試
料Sの原子構造等を分析する。
【0034】測定対象となる試料に応じて吸収端の現わ
れるエネルギ領域が変化した場合には、そのエネルギ領
域をカバーできる回折X線を出力する平板結晶1内の格
子面群を捜し、該格子面群を入射X線aの反射面とすべ
く結晶方位を調整する。この調整は、回転駆動装置によ
り平板結晶1を、X線の照射面と直交する軸oを中心に
任意の角度回転させることによって行なう。入射X線の
反射する格子面群が変わった場合、前述したブラッグの
公式(数1)における格子面間隔dが変わるため、同式
で導かれる回折X線の波長λも変わることになり、その
結果、測定に好適なエネルギ領域の回折X線bを同一の
平板結晶1によって出力することが可能となる。
【0035】なお、この発明は上述した実施形態に限定
されるものではない。例えば、図1,図2に示した構成
は、この発明装置における必須の構成要件を説明するた
め模式的に示した図であり、現実の実施にあたっては、
必要に応じて各種の周辺機器や付属部材を装備すること
になることは勿論である。また、この発明は1枚の結晶
平板によってX線のエネルギ領域を広範囲にカバーでき
るようにしたものであるが、実施に際して使用できる結
晶平板を1枚に限定するものではなく、必要に応じ結晶
平板を交換してもよい。
【0036】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明のX線吸収
微細構造分析方法によれば、一枚の平板結晶によってX
線のエネルギ領域を広範囲にカバーでき、測定作業の容
易化を図ることができる。さらに、この発明のX線吸収
微細構造分析装置によれば、X線吸収微細構造分析方法
を簡易に実施することができるとともに、平板結晶を何
種類も用意する必要がなくなり、設備コストの低減を図
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】同図(a)この発明の第1実施形態に係るX線
吸収微細構造分析装置の構成を示す模式図、同図(b)
は第1実施形態に係るX線吸収微細構造分析装置の変形
例を示す模式図である。
【図2】この発明の第2実施形態に係るX線吸収微細構
造分析装置の構成を示す模式図である。
【図3】回転駆動装置の一例を示す側面図である。
【図4】平板結晶に対するX線の入射角度と回折X線の
波長との関係を説明するための図である。
【図5】物質に対するX線の透過現象を模式的に示す図
である。
【図6】物質のX線吸収度合とX線エネルギとの関係を
示す図である。
【図7】図6におけるK吸収端とその高エネルギ側に現
われる振幅現象を示す図である。
【符号の説明】
1:平板結晶 2:X線源 3:スリット 4:X線検出器 5:スリット

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放射状に広がるX線を所定の角度範囲で
    結晶平板に照射することにより、その照射角度に対応し
    てエネルギが連続的に変化する回折X線を該結晶平板か
    ら出力させ、この回折X線の強度を検出するとともに、
    前記X線乃至回折X線の光路上に試料を配置して該試料
    を透過したX線の強度を前記結晶平板の後段側で検出
    し、これらの検出結果に基づいて試料のX線吸収微細構
    造を分析する方法において、 前記平板結晶を、X線の照射面と直交する軸を中心に任
    意の角度回転させることにより、出力する回折X線のエ
    ネルギ領域を可変させるようにしたことを特徴とするX
    線吸収微細構造分析方法。
  2. 【請求項2】 放射状に広がるX線を出力するX線源
    と、このX線源から出射したX線を所定の角度範囲で入
    射して回折X線を出力する平板結晶と、この平板結晶を
    X線の照射面と直交する軸を中心に回転させる回転手段
    と、前記平板結晶から出力された回折X線の光路上に配
    設したX線検出手段と、前記X線乃至回折X線の光路上
    に試料を配置するための試料台とを備えたことを特徴と
    するX線吸収微細構造分析装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のX線吸収微細構造分析装
    置において、 前記X線検出手段をイメージングプレートとしたことを
    特徴とするX線吸収微細構造分析装置。
JP30734595A 1995-11-27 1995-11-27 X線吸収微細構造分析方法およびその装置 Expired - Fee Related JP3590681B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011033537A (ja) * 2009-08-04 2011-02-17 Hiroshima Univ 測定装置及び測定方法
KR101535454B1 (ko) * 2014-12-30 2015-07-13 한국세라믹기술원 그래핀 시편의 연신이 가능한 x선 분석 장치 및 이를 이용한 극 미세 두께를 갖는 그래핀에 대한 x선 분석 방법
JP2018021836A (ja) * 2016-08-04 2018-02-08 株式会社島津製作所 X線回折装置

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