JPH09144849A - 車輌用ギヤ付ドライブプレート及びその製造方法 - Google Patents

車輌用ギヤ付ドライブプレート及びその製造方法

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JPH09144849A
JPH09144849A JP32359395A JP32359395A JPH09144849A JP H09144849 A JPH09144849 A JP H09144849A JP 32359395 A JP32359395 A JP 32359395A JP 32359395 A JP32359395 A JP 32359395A JP H09144849 A JPH09144849 A JP H09144849A
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drive plate
gear
vehicle
engine
teeth
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JP32359395A
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Nobumichi Hirashima
信道 平島
Kunio Hirano
邦夫 平野
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MORITETSUKU STEEL KK
Molitec Steel Co Ltd
Original Assignee
MORITETSUKU STEEL KK
Molitec Steel Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】製作工程を短縮化でき、低コストで得られる車
輌用ギヤ付ドライブプレート及びその製造方法を提供す
る。 【構成】0.35%程度以下の炭素と少量のボロンとを
包含させた鋼板を用い、抜き加工、絞り加工した後、外
周の全周に複数の歯22…22を成形加工することによ
りギヤ部2を形成するとともに、ギヤ部2の径内側の部
分にミッション取付け孔32…32、エンジン取付け孔
33…33等の複数の孔を穿設することによりドライプ
レート部3を形成する。次に、全体を、侵炭焼入れ、焼
戻しを行い、更に、歪み取りを行うことにより、ギヤ部
2とドライプレート部3とを一体に形成した車輌用ギヤ
付ドライブプレートを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、車輌におけるエ
ンジンとトランスミッションとの間に配設され、エンジ
ンの動力をトランスミッションに伝達する等の役目をな
す車輌用ギヤ付ドライブプレート及びその製造方法の改
良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、例えばオートマチック車輌に
おいてはオートトランスミッションとエンジンとの間に
は、円板状のドライブプレート部材と、複数の歯を有す
るリング状のギヤ部材とが配設されている。詳しくは、
ドライブプレート部材は、トランスミッションとエンジ
ンとの双方に取付けられ、一方、ギヤ部材は、ドライブ
プレート部材に取付けられており、車輌に設けたスター
ターの始動によりギヤ部材が回転するとドライブプレー
ト部材が回転し、そのドライブプレート部材の回転力に
よりエンジンを回転始動させる。又、エンジンが回転し
た後は、ドライブプレート部材がエンジンと共に回転
し、エンジンの動力をトランスミッションに伝達できる
ようになされている。尚、車輌におけるギヤ部材及びド
ライブプレート部材の配設位置等については、本願発明
の実施例の説明の中で更に後述する。このような役目を
なすドライブプレート部材は、エンジンの動力をトラン
スミッションに伝達するに際して相当な力がかかるた
め、それに耐え得る強度を必要とするが、強度を持たせ
るために厚さの厚い鋼板を用いたのでは、重量が重くな
ってしまい、ひいては車両の軽量化が図れない。一方、
ギヤ部材は、車輌のスターターに係合し得る複数の歯を
形成しなければならないため、素材の伸びの良好な加工
し易い鋼材から製作する必要がある。そのため、従来、
ドライブプレート部材を、JIS規格の炭素工具鋼(S
K材)等から製作し、一方のギヤ部材を、化学成分とし
て炭素をあまり包含しない炭素鋼等から製作しており、
各々を製作した後にドライブプレート部材とギヤ部材と
をボルト等で固定する方法が採られていた。しかしなが
ら、各々別途に加工成形して各々を製作したのでは、各
別に打ち抜き等の工程が必要となって製造工程が重複す
ることになり、その結果、製造コストが高く付いている
という課題がある。又、ドライブプレート部材及びギヤ
部材は、強度や耐磨耗性を持たせるために、高周波焼入
れ等の手段により焼入れされているが、熱処理に伴う熱
影響により熱歪みを生じるため、車輌に取り付けた際に
支障を来たさないように歪み取りを行う必要がある。と
ころが、ギヤ部材の場合、リング状を呈するため、歪み
が厚さ方向のみならず径方向にも発生するため、それを
支障を来たさない程度にまで除去するのが困難である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本願発明は、以上の実
情に鑑み提案されたもので、製作工程を短縮化でき、低
コストで得られる車輌用ギヤ付ドライブプレート及びそ
の製造方法を提供することを第1の目的とする。
【0004】又、本願発明は、低コストで得られ、しか
も、軽量化を図ることのできる車輌用ギヤ付ドライブプ
レート及びその製造方法を提供することを第2の目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願発明は、以下の特徴
を有する車輌用ギヤ付ドライブプレートを提供すること
により、上記課題を解決する。本願第1の発明に係る車
輌用ギヤ付ドライブプレートは、円板状のドライブプレ
ート部3と、ギヤ部2とを備える。ドライブプレート部
3は、車輌に設けられたエンジン110と接続するエン
ジン接続部33と、車輌に設けられたトランスミッショ
ン101と接続するミッション接続部32とを備える。
そして、このドライブプレート部3が、車輌におけるエ
ンジン110とトランスミッション101との間に回転
可能に配設されることにより、エンジン110の動力を
トランスミッション101に伝達し得るようになされ、
ギヤ部2は、車輌に設けられたスターターと係合し得る
複数の歯22を備える。そして、これらの歯22が、ド
ライブプレート部3の外周の全周に渡って形成されるこ
とにより、ギヤ部2とドライブプレート部3とが一体と
されたものである。
【0006】本願第2の発明に係る車輌用ギヤ付ドライ
ブプレートは、本願第1の発明に係るドライブプレート
部3とギヤ部2とが、0.35%程度以下の炭素と、少
量のボロンとを含有した鋼材からなるものを提供する。
【0007】本願発明は、以下の特徴を有する車輌用ギ
ヤ付ドライブプレートの製造方法を提供することによ
り、上記課題を解決する。本願発明に係る車輌用ギヤ付
ドライブプレートの製造方法は、一枚の円板状の鋼板の
外周に、全周に渡って複数の歯22を形成するととも
に、その歯22の径内側に、車輌に設けられたエンジン
110に接続させるためのエンジン接続部32及び車輌
に設けられたトランスミッション101に接続させため
のミッション接続部33を形成することにより、ギヤ部
2とドライブプレート部3とを一体に形成する。その
後、全体に熱処理を施すことにより、車輌用ギヤ付ドラ
イブプレートを得る方法である。
【0008】以上のように構成した本願第1の発明に係
る車輌用ギヤ付ドライブプレート及びその製造方法の発
明においては、車輌に設けられたスターターと係合する
歯22を備えたギヤ部2とドライブプレート部3とを一
体的に形成するため、従来のように各別に抜き加工等し
なくても一度で済ませることができ、従来に比して製作
工程を短縮化でき、低コストで得られる。又、ギヤ部2
とドライブプレート部3とを一体に形成し、ギヤ部2の
径内側にドライブプレート部3を配位させているため、
焼入れした場合の径方向への歪みを抑えることができ
る。
【0009】又、本願第2の発明に係る車輌用ギヤ付ド
ライブプレートにおいては、0.35%程度以下の炭素
を含有した鋼材から構成すため、ギヤ部2の歯22の成
形加工の際、鋼材が十分に伸び、所定の寸法に容易に形
成できる。一方、少量のボロンとを含有するため、鋼材
の焼入れ性を向上させることができ、焼入れすること
で、鋼材の深部の硬度を高めることができ、強度を持た
せることができる。これにより、歯22の破損や、エン
ジン110からトランスミッション101への動力伝達
に際してのドライブプレート部3の変形を防止できる。
【0010】
【実施例】以下、図を基に本願発明の一実施例を具体的
に説明する。図1は、本願発明の一実施例の車輌用ギヤ
付ドライブプレートの正面図、図2は、図1のII−II線
断面図であり、図3は、車輌用ギヤ付ドライブプレート
の製造工程図を示す。
【0011】本願発明の車輌用ギヤ付ドライブプレート
1は、図1に示すように円板状を呈しており、外周にギ
ヤ部2が備えられ、ギヤ部2の径内側にドライブプレー
ト部3が備えられている。尚、この実施例では、直径が
280mm程度の大きさのものから構成されているが、
車輌の機種等に応じて適宜変更できる。
【0012】そして、これらのギヤ部2とドライブプレ
ート部3とは、図3に示す工程に従って一体に形成され
る。先ず、厚さ2.3mm程度の鋼板を打ち抜き加工
し、円板状に形成する。本実施例で用いられている鋼板
は、下記の表1に示すような化学成分を有する鋼材から
構成されており、0.20〜0.25%の炭素(元素記
号C)を包含し、焼入性向上元素としてマンガン(元素
記号Mn)、クロム(元素記号Cr)、ボロン(元素記
号B)を包含したものである。又、この鋼材の焼鈍状態
における機械的性質を下記の表2に示す。この表2に
は、比較例としてJIS規格の機械構造用炭素鋼S20
Cと共に上記鋼材(本願鋼材)の機械的性質を示した
が、表2に示すように上記鋼材はS20Cと略同等な伸
び等を有する。一般に鋼は、炭素量が少なくなると素材
が十分な延性を有し、塑性変形加工等の機械的加工が容
易となるが、その一方、焼入れ処理がきき難くなり、焼
入れ処理しても硬度が上がらず強度を持たせることがで
きない。そこで、本願発明は、上記のように炭素量が少
なく素材が十分な延性を有し塑性変形加工が容易であ
り、しかも、炭素量が少ないにも係わらずマンガン、ク
ロム、ボロンの焼入性向上元素によって焼入れ処理によ
り硬度が上がり、強度を持たせることができる鋼材を使
用したものである。尚、炭素量は、0.20〜0.25
%の範囲が焼入れ性等の点で好ましいが、0.35%程
度以下であれば良く、機械的加工も比較的容易に行え
る。一方、マンガンについては、0.30〜0.60%
の範囲が焼入れ性や焼入れ後の強度等の点で好ましい
が、0.20〜0.70%程度の範囲であれば焼入れ性
や焼入れ後の強度等を向上できる。また、クロムについ
ても、マンガンの場合と同様に0.20〜0.40%の
範囲に限らず、0.10〜0.50%程度の範囲であれ
ば良い。又、マンガン、クロム、ボロンの各元素は、同
時に包含させるのが好ましいが、単独で包含させても良
く、例えばボロンのみを0.001〜0.005%の範
囲で包含させても焼入れ性を向上させることができる。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】次に、絞り加工を行う。この絞り加工は、
図4に示すように外周縁を所定長さで全周に渡って後方
側(図4の左側)に折り曲げることにより鍔部21を形
成するとともに、その鍔部21より径内側の部分を前方
側に押圧して凹凸を形成する。この鍔部21は、後述の
ように複数の歯22…22が刻設されてギヤ部2をな
し、鍔部21より径内側の部分がドライブプレート部3
をなす。尚、ドライブプレート部3に凹凸を形成させて
いるのは、後述の車輌におけるトルクコンバーター10
1(図5に図示)の側壁に沿わせられるようにしたもの
で、その形状等は限定されず、又、凹凸を形成しなくて
も良い。
【0016】その後、ドライブプレート部3に穴明け加
工を行う。この穴明け加工は、図1に示すように中心部
のクランクシャフト挿通孔31と、径外側のギヤ部2近
傍に周方向に等間隔で並設された4つのミッション取付
け孔32…32と、これらの間に周方向に等間隔で並設
された7つのエンジン取付け孔33…33とを穿設す
る。クランクシャフト挿通孔31は、図8に示す車輌に
おけるエンジン110のクランクシャフトに挿通させる
ためのものであり、ミッション取付け孔32…32は、
車輌におけるミッション101に接続させるためのもの
である。又、エンジン取付け孔33…33は、エンジン
110に接続させるためのものである。又、本実施例で
は、上記の3種類の孔に加え、上記のエンジン取付け孔
33…33とミッション取付け孔32…32との間に、
周方向に沿う8つの軽量化用孔34…34を穿設し、軽
量化を図れるようにしている。尚、この穴明け加工は、
上述の打ち抜き加工又は絞り加工の前に、あるいは打ち
抜き加工に際して同時に行うようにしても良い。又、後
述の鍔部21への歯22…22の刻設の後に行っても良
い。
【0017】穴明け加工後、絞り加工により形成した鍔
部21に複数の歯22…22を刻設することにより、ギ
ヤ部2を形成する。このギヤ部2の歯22…22は、車
輌に設けられたスターターのピニオンギヤ(図示せず)
に係合させるためのもので、本実施例では転造加工法を
採用し、図5(A) に示すように歯形を有する2つの型
6、7を、鍔部21の径内側と径外側の両側から径方向
に互いに噛み合わせるようにして鍔部21を加圧しつ
つ、2つの型6、7を同方向に回転させ、その回転に伴
い鍔部21も共に回転させることにより鍔部21の全周
に渡って型6、7の歯形状に塑性変形させるようにして
形成する。その際、鍔部21が0.20〜0.25%の
炭素しか包含していない鋼材から構成されているため、
型の押圧に際して十分に塑性変形し、欠肉等を生じるこ
となく円滑に、且つ正規の寸法に形成できる。そして、
このようにして鍔部21が塑性変形されることにより、
図5(B) に示すように歯高さhが8mm程度で歯幅bが
3.6mm程度の歯22…22が形成される。又、鍔部
21の厚さが各歯22…22の歯の肉厚となるが、型の
押圧による鍔部21の変形に伴う伸びによって歯の肉厚
tが2.0〜2.1mm程度になっている。
【0018】次に、熱処理を施す。この熱処理は、ドラ
イブプレート部3に十分な強度を持たせるとともに、ギ
ヤ部2の各歯22…22に耐磨耗性等を持たせるための
もので、ドライブプレート部3及びギヤ部2の全体を浸
炭焼入れを行い、表面から0.1〜0.15mm程度の
浸炭硬化層を形成した後、所定温度で焼戻しすることに
より行う。図6は、本実施例における焼戻し後、マイク
ロビッカース硬度計により、歯22における表面から肉
厚の厚さ方向に順次測定した硬さ分布を示すものである
が、この図6に示すように表面から0.1〜0.15m
m程度の範囲は、浸炭層によって硬化層が形成されてい
る。又、浸炭層の形成されていない深部は、浸炭されて
いないために焼入れ硬化層ほど硬くなっていないが、鋼
材に包含されているマンガン、クロム、ボロンによる焼
入れ性効果により硬度が上昇されており、例えば同程度
の炭素を含有する炭素鋼に焼入れを施した場合のビッカ
ース硬度が一般にHv180〜200程度であるのに対
し、本実施例ではビッカース硬度がHv480程度(測
定値の平均n=480.2)と高くなっている。尚、上
記硬さ分布は、歯の一部についての測定値であるが、本
願発明では、全体を侵炭雰囲気中の炉に入れて焼入れ焼
戻し処理しているため、ドライブプレート部3等の全て
の部分で同硬さ分布となっている。
【0019】その後、歪み取りを行う。上記のようにし
て浸炭焼入れを行うと熱影響を受け、その結果、熱歪み
を生じるが、歪みがあまり大きいと車輌に取付けた場合
に支障をきたすことになるので、その熱歪みを除去する
ためのものである。本実施例では、ドライブプレート部
3の前後両面に型を押し付け、その状態で所定時間、熱
を加えることにより歪み取りを行っている。詳しくは、
図7に示すようにドライブプレート部3の前面に沿う形
状をした当接面41を有する型4と、ドライブプレート
部3の後面に沿う形状をした当接面51を有する型5と
の間に、ドライブプレート部3を挿入し、型5の側方側
に設けたナット8を、型4に取り付けた軸ねじ部9に締
め込むことにより一方の型5を他方側の型4の方に押し
付ける。又、この型4、5の押圧は、ドライブプレート
部3の前面及び後面の略全体が各々の当接面41、51
に沿って当接させ、型4、5とドライブプレート部3と
の間に隙間がない程度まで行う。そして、その状態で、
加熱炉に入れ、300〜500°Cに所定時間、保持す
る。これにより、ドライブプレート部3の平面度が0.
5以下となるようにしている。この歪み取りに際し、従
来のようにギヤ部2をドライブプレート部3と別途にリ
ング状に形成し、ギヤ部2を焼入れ処理した場合には、
厚さ方向及び径方向に変形することになるが、本願発明
においては、ギヤ部2とドライブプレート部3とを一体
に形成してギヤ部2の径内側にドライブプレート部3を
配しているため、全体を焼入れ処理するため、ドライブ
プレート部3によって径方向の歪みが抑えられ、厚さ方
向の歪みのみを矯正すれば良く、しかも、上記のように
してドライブプレート部3を型4、5により押圧して歪
みを矯正すればギヤ部2の歪みも同時に除去でき、容易
に歪み取り行うことができる。尚、この歪み取りは、先
の焼入れ工程で歪みが少ない場合、例えば焼入れ後にド
ライブプレート部3の平面度が0.5以下になっている
ような場合は省略しても良い。
【0020】この歪み取り工程で加熱する結果、再び焼
戻しされることになり、歪み取り後におけるドライブプ
レート部3やギヤ部2の深部の硬さは、ビッカース硬度
Hv400程度となる。尚、歪み取り工程を行う場合
は、全体を焼戻しでき、時間と温度の調整によって所定
の硬度にできるため、上記の焼入れ後の焼戻し工程を省
いても良い。以上が、製造工程である。
【0021】次に、上記のようにして製造された車輌用
ギヤ付ドライブプレート1の車輌における機能につい
て、図8に基づき説明する。図8は、オートマチック車
輌におけるオートトランスミッション100内のトルク
コンバーター101部の要部分拡大断面図を示してお
り、図の左方側にはエンジン110が、右方側にはクラ
ッチや変速ギヤー等が設置される。そして、本願発明に
係る車輌用ギヤ付ドライブプレート1は、図8において
トルクコンバーター101の左方側に配設される。詳し
くは、ドライブプレート部3のクランクシャフト挿通孔
31にエンジン110のクランクシャフトが挿通され、
エンジン取付け孔33…33にエンジン110の取付け
軸111が通された後、その取付け軸にナットが締め付
けられることにより固定される。これにより、ドライブ
プレート部3とエンジン110とが接続して共に回転す
る。一方、ドライブプレート部3のミッション取付け孔
32…32とトルクコンバーター101とがボルトによ
り固定される。これにより、ドライブプレート部3とト
ルクコンバーター101とが接続する。尚、オートマチ
ック車輌でない場合には、ドライブプレート部3はクラ
ッチ板に取付けられることによりトランスミッションに
接続される。又、このようにして所定位置に配設された
車輌用ギヤ付ドライブプレート1のギヤ部2は、図示し
ないがスターターのピニオンギヤに係合された状態とな
る。
【0022】そして、スターターのピニオンギヤを回転
させると、それに係合したギヤ部2が回転させられるこ
とによりドライブプレート部3が回転し、その回転によ
ってエンジン110を回転始動させる。その際、スター
ターのピニオンギヤと係合した歯22の表面は、焼入れ
硬化層によって耐磨耗性が向上し、係合による歯22の
磨耗を防止できる。又、歯22は、形成時の変形によっ
て歯厚tが2.0〜2.1mm程度と薄くなっている
が、歯22の深部がビッカース硬度Hv400程度の硬
度を有するため、十分な靱性を保持するとともに、十分
な強度を有し、強度不足による歯22の破損をも防止で
きる。又、ドライブプレート部3がエンジン110を回
転させる際には、ドライブプレート部3に相当な力がか
かることになるが、ドライブプレート部3の深部が、歯
22の深部と同様にビッカース硬度Hv400程度の硬
度を有するため、十分な靱性を保持するとともに、十分
な強度を有し、強度不足による変形をきたすようなこと
を防止できる。
【0023】エンジン110が回転した後は、ドライブ
プレート部3は、エンジン110と共に回転し、トルク
コンバーター101の作動に伴ってエンジン110の動
力をトルクコンバーター101に伝達する。その場合に
おいても、ドライブプレート部3が、強度不足による変
形をきたすことなく、円滑に機能させることができる。
【0024】以上のようにして、ドライブプレート部3
とギヤ部2とを一体に形成することにより、抜き加工等
の機械的加工や熱処理を一度に行うことができ、従来の
ようにドライブプレート部3とギヤ部2とを別途に形成
していた場合に比して製作工程を短縮化でき、低コスト
で得られる。又、例えば、本実施例で使用した鋼材と同
等な炭素を含有した炭素鋼から同厚さに形成した鋼板を
用いてドライブプレート部3とギヤ部2とを一体に形成
した場合、歯22の形成は炭素をあまり含有しておらず
十分な伸びを有するため、所定形状の歯に形成できる
が、歯22の厚さが2.0〜2.1mm程度となり、侵
炭焼入れ後の歯22の深部の硬度がビッカース硬度Hv
200程度までにしかならないため、スターターのピニ
オンギヤとの係合に際して強度不足による破損の恐れが
生じる。従って、これを防止するためには、図4に示し
た絞り加工工程後、歯22の形成前に予め圧造工程を設
け、図4において一点鎖線で示す鍔部21を高さ方向
(図示のX方向)に押圧して鍔部21の厚さを厚くして
おかなければならず、工程が増えてしまう。しかも、こ
の場合には、ドライブプレート部3の深部が、ビッカー
ス硬度Hv200程度までしかならないため、強度的に
弱く、エンジン110を回転させる際、変形する恐れが
ある。その一方、予め、厚さの厚い鋼板、例えば板厚
3.0mm程度のものを用いたのでは、強度を持たせら
れるが全体の重量が重くなってしまい、ひいては車輌の
軽量化が図れないことになる。よって、本願発明は、こ
のような課題を解消し、軽量化が図れ、しかも、十分な
強度を備え、又、製造工程を極力少なくして低コストで
車輌用ギヤ付ドライブプレート1を得ることができる。
【0025】尚、本実施例では、上記の表2に示すよう
な化学成分を有する厚さ2.3mm程度の鋼板を使用し
ているが、車の種類等により適宜変更できるが、1.8
〜2.5mm程度の厚さのものが好ましく、1.8mm
以下では、強度不足になる恐れがあり、2.5mm以上
になると重量が重くなって軽量化が図れない。
【0026】又、ギヤ部2の歯22…22の成形は、本
実施例のように転造加工法により行うのが最も容易で低
コストで形成できる点で好ましいが、この方法に限ら
ず、鍛造加工法等により形成しても良い。
【0027】
【発明の効果】以上、実施例で述べたように本願第1の
発明の車輌用ギヤ付ドライブプレート及びその製造方法
は、従来のように各別に抜き加工等しなくても一度で済
ませることができ、従来に比して製作工程を短縮化で
き、低コストで得られるものとなる。又、ギヤ部とドラ
イブプレート部とを一体に形成してギヤ部の径内側にド
ライブプレート部を配位させているため、焼入れした場
合の径方向への歪みを抑えることができる。従って、焼
入れ後、熱影響による歪みを除去する場合は、厚さ方向
の歪みを除去すれば良く、容易に行うことができる。
【0028】本願第2の発明に係る車輌用ギヤ付ドライ
ブプレートは、本願第1の発明の効果に加え、ギヤ部の
歯の成形加工の際、鋼材が十分に伸び、所定の寸法に容
易に形成できる。一方、少量のボロンによって、鋼材の
焼入れ性を向上させることができ、焼入れすることで、
鋼材の深部の硬度を高めることができ、強度を持たせる
ことができる。これにより、ギヤ部の歯の破損や、エン
ジンからトランスミッションへの動力伝達に際してのド
ライブプレート部の強度不足による変形を防止できる。
従って、厚さの薄い鋼板から構成することができ、軽量
化を図ることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の車輌用ギヤ付ドライブプレートの一
実施例の正面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】本願発明の車輌用ギヤ付ドライブプレートの一
実施例の加工工程図である。
【図4】円形状の鋼板の外周に鍔部を形成した状態の要
部拡大断面図である。
【図5】(A) は、ギヤ部の要部拡大背面図、(B) は、
(A) のV−V線断面図である。
【図6】侵炭焼入れ、焼戻し後の硬さ分布図である。
【図7】歪み取りをする際の説明図である。
【図8】本願発明の車輌用ギヤ付ドライブプレートを、
車輌におけるオートトランスミッションに取り付けた状
態の説明図である。
【符号の説明】
1 車輌用ギヤ付ドライブプレート 2 ギヤ部 3 ドライブプレート部 22 歯 31 クランクシャフト挿通孔 32 ミッション取付け孔 33 エンジン取付け孔 100 トランスミッション 101 トルクコンバーター 110 エンジン

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】円板状のドライブプレート部(3) と、ギヤ
    部(2) とを備え、 ドライブプレート部(3) が、車輌に設けられたエンジン
    (110) と接続するエンジン接続部(33)と、車輌に設けら
    れたトランスミッション(101) と接続するミッション接
    続部(32)とを備え、このドライブプレート部(3) が、車
    輌におけるエンジン(110) とトランスミッション(101)
    との間に回転可能に配設されることにより、エンジン(1
    10) の動力をトランスミッション(101) に伝達し得るよ
    うになされ、 ギヤ部(2) が、車輌に設けられたスターターと係合し得
    る複数の歯(22)を備え、これらの歯(22)が、ドライブプ
    レート部(3) の外周の全周に渡って形成されることによ
    り、ギヤ部(2) とドライブプレート部(3) とが一体とさ
    れたものであることを特徴とする車輌用ギヤ付ドライブ
    プレート。
  2. 【請求項2】上記ドライブプレート部(3) とギヤ部(2)
    とが、0.35%程度以下の炭素と、少量のボロンとを
    含有した鋼材からなるものであることを特徴とする請求
    項1記載の車輌用ギヤ付ドライブプレート。
  3. 【請求項3】一枚の円板状の鋼板の外周に、全周に渡っ
    て複数の歯(22)を形成するとともに、その歯(22)の径内
    側に、車輌に設けられたエンジン(110) に接続させるた
    めのエンジン接続部(32)及び車輌に設けられたトランス
    ミッション(101) に接続させためのミッション接続部(3
    3)を形成することにより、ギヤ部とドライブプレート部
    (3) とを一体に形成し、 その後、全体に熱処理を施することを特徴とする車輌用
    ギヤ付ドライブプレートの製造方法。
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