JPH0914453A - オイルシール - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 シールリップと圧接し、軸の挿入に伴いシー
ルリップから離脱するするシールリップ保護環を備えた
ことにより、軸の挿入時のシールリップの傷付き防止を
図り、シール性の向上を図り得るオイルシールを提供す
ることにある。 【構成】 嵌合部５Ａは軸方向に伸びる突起部２を有
し、この突起部２の内周とシールリップ保護環１の外径
部１Ｄとが嵌合し、シールリップ保護環１の内径部１Ａ
の内壁でシールリップ７を径方向に押し拡げるように組
み立ててあり、軸１２の挿入により軸１２とシールリッ
プ保護環内径部の内径側端部４とが干渉し、シールリッ
プ保護環１がオイル側αに移動することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車用デフサイドシ
ール等の各種装置の軸封部に用いられるオイルシールに
関し、特にシールリップを保護する手段を備えたオイル
シールに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のオイルシールとしては、図３に示
すようなものがある。このオイルシール１００は、互い
に同心的に相対移動自在に組み付けられるハウジング１
０８と回転軸１１０との環状の隙間をシールするもので
ある。

【０００３】図３に示すオイルシール１００は、ゴム状
弾性体のシール本体１０１と金属環１０６とを一体成形
したものである。このシール本体１０１は円筒状の嵌合
部１０１Ａに、サイドリップ１０５を有する内向きフラ
ンジ１０１Ｂを設け、その内周壁に軸方向に伸びるシー
ルリップ１０３とダストリップ１０４がとを設けたもの
で、シールリップ１０３の外周には溝が設けられ、その
溝にばね１０７を装着してある。

【０００４】このオイルシール１００は、ハウジング１
０８の内周面１０９に嵌合部１０１Ａが嵌合し、先端に
スプライン１１１を有する回転軸１１０が矢印Ａ方向に
組み付け、挿入されるようになっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところが、回転軸１１
０の組み付け、挿入は人手に頼っているのが現状であ
る。また、回転軸１１０は、機器の構造上先端にスプラ
イン１１１を有し、相当の重量をも有するのが一般的で
あるため、回転軸１１０の挿入時に、シールリップ１０
３と回転軸１１０のスプライン１１１が干渉し、シール
リップ１０３が傷付く可能性がある。

【０００６】本発明は、上記従来技術の課題を解決する
ためになされたもので、その目的とするところは、シー
ルリップと圧接し、軸の挿入に伴いシールリップから離
脱する断面略コの字形のシールリップ保護環を備えるこ
とにより、シールリップの傷付き防止を図り、シール性
の向上を図り得るオイルシールを提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明にあっては、内周面に大径部と小径部とを有す
るハウジングと、該ハウジングに対して同心的に相対運
動自在に組み付けられる軸との隙間をシールするもので
あって、前記ハウジングの大径部に嵌合される円筒部
と、前記軸に密封接触するシールリップとを有するオイ
ルシールにおいて、前記円筒部から軸方向に延長する延
長部と、円筒状の外径部が該延長部に移動可能に嵌合さ
れ、該外径部に径方向のフランジを介して連設された円
筒状の内径部の内壁によって前記シールリップと圧接す
る断面略コの字形のシールリップ保護環とを備え、該シ
ールリップ保護環は軸の挿入に伴い前記シールリップか
ら離脱し、前記ハウジングの大径部と小径部との間の段
と前記延長部の内壁によって位置決めされることを特徴
とする。

【０００８】

【作用】上記構成のオイルシールにあっては、軸に密封
接触するシールリップをシールリップ保護環によって保
護しているため、ハウジングと軸とを組み付ける時に軸
とシールリップが接触して、シールリップを傷付けるこ
とがない。

【０００９】また、軸の挿入に伴いシールリップ保護環
がシールリップから離脱することにより、組み付け後
は、シールリップが軸に密封接触し、互いに同心的に相
対運動自在なハウジングと軸との環状の隙間がシールさ
れる。

【００１０】シールリップから離脱したシールリップ保
護環は、ハウジングの大径部と小径部との間の段と延長
部の内壁によって位置決めされる。

【００１１】

【実施例】以下に本発明を図示の実施例に基づいて説明
する。本発明の一実施例に係るオイルシールを図１及び
図２において示す。このオイルシール１５は、互いに同
心的に相対運動自在に組み付けられるハウジング１３と
スプライン軸１２の環状の隙間をシールするものであ
る。

【００１２】オイルシール１５は、ゴム状弾性体のシー
ル本体５と金属環９とを一体成形したもので、このシー
ル本体５は、ハウジング１３の内周面に嵌合する円筒状
の嵌合部５Ａに内向きフランジ５Ｂを連設し、フランジ
５Ｂの大気側βには径方向外向きに傾いて伸びるサイド
リップ１１が設けられている。フランジ５Ｂの内周端に
軸方向オイル側αに伸びるシールリップ７と大気側βに
径方向内向きに傾いて伸びるダストリップ１０を設け、
シールリップ７の外周には溝が設けられ、ばね６が装着
されている。嵌合部５Ａは軸方向に伸びる延長部たる突
起部２を有し、この突起部２の内周とシールリップ保護
環１の円筒状の外径部１Ｄとが嵌合する。シールリップ
保護環１の外径部１Ｄには径方向内向きのフランジ１Ｅ
を介して円筒状の内径部１Ａが設けられ、内径部１Ａの
内壁でシールリップ７を径方向に押し拡げるように組み
立ててある。シールリップ７は、ばね６によって内径方
向に付勢されているため、シールリップ７は先端８にお
いてシールリップ保護環１の内径部１Ａの内壁と圧接す
る。

【００１３】シールリップ保護環１は、金属又は樹脂製
で、断面が略コの字形をしている。シール本体５の突起
部２には、外径部に小突起３がハウジング１３とのしめ
しろが０となるように設けられており、突起部２の内径
はシールリップ保護環１の外径と相対しめしろを設定す
るように寸法設定する。シールリップ保護環１には、シ
ールリップ保護環１のオイル側αとシール本体５側とに
オイルを流通させるための孔１Ｂが設けられている。こ
の孔は、シールリップ保護環１の中心に対して対称に少
なくとも４個以上設けられていることが望ましい。

【００１４】スプライン軸１２を矢印Ａ方向に挿入する
時には、シールリップ保護環１によってシールリップ７
が保護されているため、スプライン軸１２のスプライン
部１２Ａが自重で落下しても、リップ先端８に傷がつく
ことはない。図２に示すように、挿入途中からは、シー
ルリップ保護環１の内径部１Ａの内径側端部４とスプラ
イン軸１２の肩部１２Ｃとが干渉することにより、シー
ルリップ保護環１は、オイル側αに移動する。この移動
に従って、シールリップ保護環１はシールリップ７から
離脱し、シールリップ７がスプライン軸１２に密封接触
する。シールリップ保護環１の外径部１Ｄは上述したよ
うに突起部２の内径と相対しめしろを設定するように寸
法設定されているため移動中もガタつくことはない。こ
の場合、シールリップ７は先端８がシールリップ保護環
１の内径部１Ａの内壁の摺動により傷付くのを防止する
ため、シールリップ保護環１の内径部１Ａの内壁は一定
の荒さに仕上げられていることが必要である。また、シ
ールリップ保護環１とスプライン軸１２の肩部１２Ｃが
干渉するため、シールリップ保護環１の内径をスプライ
ン軸１２の肩部１２Ｃの外径よりも小さくすることが必
要である。

【００１５】オイル側αに移動したシールリップ保護環
１は、外径部１Ｄにおいて突起部２に嵌合され、共廻り
等を防止する。また、シールリップ保護環１の軸方向の
移動は、フランジ１Ｅの肩部１Ｃがハウジング１３の段
１４と接することにより規制されている。このため、シ
ールリップ保護環１のフランジ１Ｅの肩部１Ｃがハウジ
ング１３の段１４と接した状態で内径部１Ａの内壁はシ
ールリップ７から完全に離脱するように、内径部１Ａの
長さを設定する必要がある。スプライン軸１２は、挿入
後、大気側β方向に少し引き出されるため、回転時に、
シールリップ保護環１とスプライン軸１２とが干渉する
ことはない。

【００１６】

【発明の効果】本発明は以上の構成及び作用を有するも
ので、シールリップと圧接し、軸の挿入に伴いシールリ
ップから離脱するシールリップ保護環を備えたことによ
り、軸の挿入時のシールリップの傷付き防止を図り、シ
ール性の向上を図り得るオイルシールを提供することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】ハウジングに嵌合された本発明の一実施例に係
るオイルシールにスプライン軸を挿入する状態を示す縦
断面図である。

【図２】ハウジングに嵌合された本発明の一実施例に係
るオイルシールにスプライン軸が挿入され位置決めされ
る状態を示す縦断面図である。

【図３】ハウジングに嵌合された従来のオイルシールに
スプライン軸を挿入する状態を示す縦断面図である。

【符号の説明】

１ シールリップ保護環 １Ａ シールリップ保護環内径部 １Ｂ 孔 １Ｃ シールリップ保護環フランジの肩部 １Ｄ シールリップ保護環外径部 １Ｅ シールリップ保護環フランジ ２ 突起部（延長部） ３ 小突起 ４ シールリップ保護環内径部の内径側端部 ５ シール本体 ６ ばね ７ シールリップ ８ シールリップ先端 ９ 金属環 １０ ダストリップ １１ サイドリップ １２ スプライン軸 １２Ａ スプライン １２Ｂ スプライン軸大径部 １２Ｃ スプライン軸肩部 １３ ハウジング １４ ハウジング段部 １５ オイルシール

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内周面に大径部と小径部とを有するハウ
   ジングと、該ハウジングに対して同心的に相対運動自在
   に組み付けられる軸との隙間をシールするものであっ
   て、前記ハウジングの大径部に嵌合される円筒部と、前
   記軸に密封接触するシールリップとを有するオイルシー
   ルにおいて、 前記円筒部から軸方向に延長する延長部と、円筒状の外
   径部が該延長部に移動可能に嵌合され、該外径部に径方
   向のフランジを介して連設された円筒状の内径部の内壁
   によって前記シールリップと圧接する断面略コの字形の
   シールリップ保護環とを備え、該シールリップ保護環は
   軸の挿入に伴い前記シールリップから離脱し、前記ハウ
   ジングの大径部と小径部との間の段と前記延長部の内壁
   によって位置決めされることを特徴とするオイルシー
   ル。