JPH0914365A - ベルトテンションオンオフ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 複数の駆動源を備え、いずれかの駆動源によ
りエンドレスベルトを介して主軸を回転する装置におい
て、駆動力を伝達するためのエンドレスベルトを掛け替
える必要が無く、かつクラッチも不要な、トルク検出兼
用動釣り合い試験機に適用可能なベルトテンションオン
オフ装置を提供する。 【構成】 タイミングプーリ１Ａの外側にタイミングベ
ルト５をプーリ１Ａから離れた位置に移動するベルト移
動機構１０Ａ，１０Ｂ，１０Ｃを設ける。ベルト移動機
構１０Ａ，１０Ｂ，１０Ｃの爪部１２Ａ，１２Ｂ，１２
Ｃがプーリ１Ａに形成された切り欠き１５Ａ，１５Ｂ，
１５Ｃからタイミングベルト５をプーリ１Ａの外側へ移
動する。これにより、平ベルト６から伝達される小容量
モータ３の駆動力は、タイミングベルト５に影響を受け
ることなく主軸１に伝達される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、複数の駆動源によりエ
ンドレスベルトを介して回転軸を回転する、例えばトル
ク検出兼用動釣り合い試験機に適用可能なベルトテンシ
ョンオンオフ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】動釣り合い試験に供される被試験体、例
えばトルクコンバータは、トルクコンバータ油を充填し
たハウジングと、このハウジングに固定されたポンプ羽
根車と、小径スプラインにより出力軸に嵌合したタービ
ン羽根車と、この羽根車間に位置し固定軸に固定された
ワンウェイクラッチの外周部に大径スプラインで嵌合さ
れた案内羽根車とを備え、入力回転を変速して出力する
ものである。

【０００３】このようなトルクコンバータの動釣り合い
試験に際しては、動釣り合い試験機のバランステーブル
上にトルクコンバータのハウジング側をセットし、ター
ビン羽根車と案内羽根車のスプライン穴に固定用スプラ
イン軸を係合して２つの羽根車を固定する。この状態で
バランステーブルに結合された主軸を駆動モータにより
回転すると、ハウジングおよびポンプ羽根車は２つの羽
根車の周囲を油の粘性抵抗を受けながら回転する。そし
て、トルクコンバータ、すなわちハウジングとポンプ羽
根車に回転不釣り合いがあれば、これが動釣り合い試験
機により検出される。

【０００４】一方、トルクコンバータは入力トルクに対
する出力トルクを検出する必要があり、従来からトルク
検出試験機により入出力トルクが測定されている。しか
しながら、トルクコンバータの性能試験のために動釣り
合い試験機とトルク検出機をそれぞれ使用するのはコス
ト高になるからトルク検出兼用動釣り合い試験機の開発
が要望されていた。このトルク検出兼用動釣り合い試験
機は、トルク検出試験を行う場合に主軸を回転するため
の比較的大容量の駆動源（以下で大容量駆動源と呼ぶ）
および動釣り合い試験を行う場合に主軸を回転するため
の比較的小容量の駆動源（以下で小容量駆動源と呼ぶ）
とを備え、各駆動源の駆動力をエンドレスベルトを介し
てバランステーブルに結合された主軸に伝達する。すな
わち、各駆動源のいずれか一方を駆動し、エンドレスベ
ルトを介して主軸を回転することによりトルクコンバー
タを回転し、回転中に生ずるトルクコンバータの入出力
トルクあるいは不釣り合い量を検出する。

【０００５】このようなトルク検出兼用動釣り合い試験
機においては、トルク検出に際して大容量駆動源により
主軸を回転する場合、小容量駆動源と主軸とを連動する
エンドレスベルトはそのまま主軸に掛けておいてもよい
が、不釣り合い量検出に際して小容量駆動源により主軸
を回転する場合は、大容量駆動源のエンドレスベルトを
主軸に掛けた状態にしておくと、小容量駆動源が大容量
駆動源をも回転することとなるため、小容量駆動源の負
担が大きくなる。また、大容量駆動源のエンドレスベル
トが駆動することによりノイズが混入し、正確な不釣り
合い量を検出することができない。このため、動釣り合
い試験を行う場合は、大容量駆動源側のエンドレスベル
トを主軸から取り外したり、また主軸にクラッチを設け
て、小容量駆動源の駆動力のみを主軸に伝達して主軸を
回転するようにしていた。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、トルク
検出試験あるいは動釣り合い試験を行う度に、大容量駆
動源側のエンドレスベルトを掛けたり外したりするの
は、試験を行うための段取りが悪くなり効率的でない。
また、主軸にクラッチを設けても、大容量駆動源側のエ
ンドレスベルトは主軸と連結された状態にあるため、不
釣り合い量を測定する際に大容量駆動源側のエンドレス
ベルトが駆動してノイズが混入し、正確な不釣り合い量
を測定することができない。さらに、主軸にクラッチを
設けると、大容量駆動源により主軸を回転する場合は比
較的大きいトルクが主軸に作用するため、このトルクを
主軸の回転に変換するための大トルクのクラッチが必要
となり、装置が大型化してしまう。

【０００７】本発明の目的は、駆動力を伝達するための
エンドレスベルトを掛けたり外したりする必要が無く、
かつクラッチも不要な、上述したトルク検出兼用動釣り
合い試験機に適用可能なベルトテンションオンオフ装置
を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】一実施例を示す図１〜図
４に対応付けて説明すると、本発明によるベルトテンシ
ョンオンオフ装置は、回転軸１と、回転軸１をエンドレ
スベルト５，６を介して回転する複数の駆動源２，３
と、複数の駆動源２，３のうちいずれか１つの駆動源３
により回転軸１を回転する際に、他の駆動源２の駆動力
を回転軸１に伝達するエンドレスベルト５を回転軸１か
ら離れた位置に移動するベルト移動機構１０Ａ，１０
Ｂ，１０Ｃとを備えたことを特徴とする。

【０００９】

【作用】複数の駆動源２，３のうちいずれか１つの駆動
源３により回転軸１を回転する際、他の駆動源２により
駆動するエンドレスベルト５がベルト移動機構１０Ａ，
１０Ｂ，１０Ｃにより回転軸１から離れた位置に移動さ
れ、一の駆動源３の駆動力は他の駆動源２の影響を受け
ることなく回転軸１に伝達される。

【００１０】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段と作用の項では、本発明を分かり易
くするために実施例の図を用いたが、これにより本発明
が実施例に限定されるものではない。

【００１１】

【実施例】以下図面を参照して本発明の実施例について
説明する。図１および図２は本発明によるベルトテンシ
ョンオンオフ装置を適用したトルク検出兼用動釣り合い
試験機の一例を示す図であり、図１は側面図、図２は平
面図である。図１および図２に示すように、本発明によ
るベルトテンションオンオフ装置を適用したトルク検出
兼用動釣り合い試験機は、主軸１と、トルク検出試験用
大容量モータ２と、動釣り合い試験用小容量モータ３
と、トルク検出試験用大容量モータ２の入力トルクを検
出する入力トルクセンサ７と、被試験体であるトルクコ
ンバータ２０の出力トルクを検出する出力トルクセンサ
３０（ロードセル）とからなる。主軸１にはトルク検出
試験用タイミングプーリ１Ａ、バランス測定用平ベルト
プーリ１Ｂ、トルクコンバータ２０を載置するためのバ
ランステーブル８および被試験体であるトルクコンバー
タ２０の不釣り合い量を測定するための互いに平行な一
対の板バネ９Ａ，９Ｂが設けられている。

【００１２】バランス測定用小容量モータ３の駆動力
は、小容量モータ３のプーリ３Ａに掛けられた平ベルト
６によりバランス測定用平ベルトプーリ１Ｂに伝達され
る。入力トルクセンサ７には入力軸７ａと出力軸７ｂに
それぞれタイミングプーリ７Ａ，７Ｂが設けられてお
り、トルク検出試験用大容量モータ２の駆動力は、大容
量モータ２のプーリ２Ａに掛けられた第１のタイミング
ベルト４を介して入力トルクセンサ７のプーリ７Ａに伝
達されて、さらに入力トルクセンサ７のプーリ７Ｂおよ
び第２のタイミングベルト５を介してトルク検出試験用
タイミングプーリ１Ａに伝達される。試験機にはテンシ
ョンローラ３１が設けられており、トルク検出試験時に
は図２の実線位置に位置せしめられて第２のタイミング
ベルト５を押圧して第２のタイミングベルト５の張りを
強め、不釣り合い量測定時には、図２の破線位置に位置
せしめられて第２のタイミングベルト５の張りを弱め
る。

【００１３】図１に示すように主軸１のバランステーブ
ル８には被試験体としてのトルクコンバータ２０が載置
され、このトルクコンバータ２０のトルクおよび不釣り
合い量がトルク検出兼用動釣り合い試験機により測定さ
れる。被試験体のトルクコンバータ２０は、偏平楕円状
のハウジング２１と、不図示のポンプ羽根車が一体化さ
れているハウジング２１内に同心に配置したタービン羽
根車２２および案内羽根車２３とを備え、各羽根車２
２，２３の中心には、スプライン穴２２ａ，２３ａがそ
れぞれ形成されている。また、ハウジング２１内にはト
ルクコンバータ油が充填されている。

【００１４】トルクコンバータ２０は、主軸１のバラン
ステーブル８上に載置され、ハウジング２１はバランス
テーブル８にチャックなどで固定される。バランステー
ブル８の上方には、トルク検出時と動釣り合い試験時に
羽根車２２，２３を固定状態に支持するための固定用ス
プライン軸２７が主軸１と軸線を一致して設けられてい
る。主軸と一体に連結された腕２８の先端に押圧部材２
９が設けられ、この押圧部材２９がトルクセンサ３０と
当設している。腕２８が矢印のように回転すると押圧部
材２９がトルクセンサ３０を押圧する。スプライン軸２
７，腕２８，押圧部材２９およびトルクセンサ３０は図
示しない昇降装置で上下動可能に構成され、トルクコン
バータ２０をバランステーブル８上に載置することが可
能となっている。

【００１５】トルク検出兼用動釣り合い試験機のタイミ
ングプーリ１Ａの近傍には、ベルトテンションオンオフ
装置が設けられている。このベルトテンションオンオフ
装置は図３および図４に示すように、タイミングプーリ
１Ａの外側に互いに所定の間隔を空けて設けられた３つ
のベルト移動機構１０Ａ，１０Ｂ，１０Ｃからなる。ベ
ルト移動機構１０Ａ，１０Ｂ，１０Ｃは、先端に爪部１
２Ａ，１２Ｂ，１２Ｃを有するロッド１１Ａ，１１Ｂ，
１１Ｃがシリンダ１３Ａ，１３Ｂ，１３Ｃにより往復移
動可能なように形成されている。タイミングプーリ１Ａ
の円周上には各ベルト移動機構１０Ａ，１０Ｂ，１０Ｃ
と対向する位置に３カ所の切り欠き１５Ａ，１５Ｂ，１
５Ｃが形成されており、さらにタイミングプーリ１Ａの
下面には爪部１２Ａ，１２Ｂ，１２Ｃを収容するための
溝１６が回転軸と同心円上に形成されている。

【００１６】トルク検出試験を行う場合は、爪部１２
Ａ，１２Ｂ，１２Ｃはタイミングプーリ１Ａに形成され
た溝１６内において待機しており、タイミングプーリ１
Ａは大容量モータ２の駆動力を伝達するタイミングベル
ト５により回転可能となっている。そして、テンション
ローラ３１が図１の実線位置に移動してタイミングベル
ト５を押圧し、タイミングベルト５の張りを強める。こ
れにより大容量モータ２の駆動力がタイミングプーリ１
Ａさらには主軸１に伝達されて主軸１が回転し、ハウジ
ング２１も同様に回転する。そしてハウジング２１に一
体化されたポンプ羽根車が回転し、さらにトルクコンバ
ータ油を介して流体結合された案内羽根車２３およびタ
ービン羽根車２２が微小回転する。案内羽根車２３およ
びタービン羽根車２２の微小回転によりスプライン軸２
７が微小回転し、これによりトルクコンバータ２０の出
力トルクが出力トルクセンサ３０により検出される。

【００１７】動釣り合い試験を行う場合、タイミングベ
ルト５がタイミングプーリ１Ａに掛けられた状態にあっ
ては、小容量モータ３により大容量モータ２の回転子
（入力トルクセンサ７など）を駆動することとなり、小
容量モータ３の負担となるとともに、タイミングベルト
５が駆動することによりノイズが発生し、不釣り合い量
を正確に検出することができない。したがって、動釣り
合い試験を行う場合には、ベルト移動機構１０Ａ，１０
Ｂ，１０Ｃによりタイミングベルト５をタイミングプー
リ１Ａから離れた位置に移動する。

【００１８】すなわち、まず不図示の切り欠き位置検出
センサにより、タイミングプーリ１Ａの切り欠き１５
Ａ，１５Ｂ，１５Ｃとベルト移動機構１０Ａ，１０Ｂ，
１０Ｃとの位置の整合が行われる。そしてテンションロ
ーラ３１を図１の破線位置に移動し、テンションローラ
３１の張りを弱める。次いでベルト移動機構１０Ａ，１
０Ｂ，１０Ｃのロッド１１Ａ，１１Ｂ，１１Ｃをタイミ
ングプーリ１Ａの外側に移動することにより、張りが弱
められたタイミングベルト５が爪部１２Ａ，１２Ｂ，１
２Ｃに係合し、タイミングプーリ１Ａの外側に移動す
る。この結果タイミングベルト５とタイミングプーリ１
Ａとは非接触状態となる。これにより、小容量モータ３
の駆動力はタイミングベルト５に影響されることなく主
軸１に伝達されるため、小容量モータ３に負担がかかる
ことが無くなり、さらにタイミングベルト５によるノイ
ズも発生することが無くなるため、不釣り合い量を正確
に検出することができる。この不釣り合い量の検出は、
板バネ９Ａ，９Ｂに設けられた不図示の圧電素子により
検出される。

【００１９】そして再度トルク検出試験を行う場合は、
タイミングプーリ１Ａの切り欠き１５Ａ，１５Ｂ，１５
Ｃとベルト移動機構１０Ａ，１０Ｂ，１０Ｃとの位置の
整合が行われ、ベルト移動機構１０Ａ，１０Ｂ，１０Ｃ
のロッド１１Ａ，１１Ｂ，１１Ｃをタイミングプーリ１
Ａの中心に向かって移動することにより、爪部１２Ａ，
１２Ｂ，１２Ｃに係合したタイミングベルト５が、タイ
ミングプーリ１Ａの溝１６内に移動する。この結果タイ
ミングベルト５とタイミングプーリ１Ａとは接触状態と
なり、大容量駆動源２の駆動力はタイミングプーリ１Ａ
に伝達され、トルク検出試験が行われる。

【００２０】なお、上述した実施例においては、３つの
ベルト移動機構１０Ａ，１０Ｂ，１０Ｃによりタイミン
グベルト５をタイミングプーリ１Ａから離れた位置に移
動するようにしているが、ベルト移動機構１０Ａ，１０
Ｂ，１０Ｃの位置を変更することにより、ベルト移動機
構１０Ａ，１０Ｂ，１０Ｃの数を２つにしてもよい。

【００２１】また、上記実施例においては、駆動源を２
つ設けたものについて説明したが、３以上の複数の駆動
源により主軸を駆動する装置にも本発明によるベルトテ
ンションオンオフ装置を適用できる。さらに、トルク検
出兼用動釣り合い試験機について説明したが、本発明は
ベルトをプーリーから切り離す必要がある各種ベルト伝
達装置に適用することができる。

【００２２】以上の実施例と請求項との対応において、
主軸１が回転軸を、タイミングベルト５および平ベルト
６がエンドレスベルトを、トルク検出試験用大容量モー
タ２および動釣り合い試験用小容量モータ３が駆動源を
構成する。

【００２３】

【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
るベルトテンションオンオフ装置は、複数の駆動源のう
ちいずれか１つの駆動源により回転軸を回転する場合
に、他の駆動源の駆動力を伝達するエンドレスベルトを
ベルト移動機構により回転軸から離れた位置に移動する
ようにしたため、一の駆動源の駆動力は他の駆動源の影
響を受けることなく回転軸に伝達される。したがって、
回転軸を回転する駆動源が他の駆動源を回転することが
なくなり、駆動源の負担を軽減することができる。ま
た、ベルト移動機構によってエンドレスベルトを介して
回転軸に伝達される駆動源の駆動力を切り換えることが
できるため、クラッチも不要となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるベルトテンションオンオフ装置を
適用したトルク検出兼用動釣り合い試験機の一実施例の
側面図

【図２】図１のトルク検出兼用動釣り合い試験機の平面
図

【図３】図１のベルトテンションオンオフ装置の一例を
示す側面図

【図４】図４のベルトテンションオンオフ装置の平面図

【符号の説明】

１ 主軸 １Ａ トルク検出試験用タイミングプーリ １Ｂ バランス測定用平ベルトプーリ ２ トルク検出試験用大容量モータ ３ 動釣り合い試験用小容量モータ ４，５ タイミングベルト ６ 平ベルト ７ 入力トルクセンサ ８ バランステーブル １０Ａ，１０Ｂ，１０Ｃ ベルト移動機構 １１Ａ，１１Ｂ，１１Ｃ ロッド １２Ａ，１２Ｂ，１２Ｃ 爪部 １３Ａ，１３Ｂ，１３Ｃ シリンダ １５Ａ，１５Ｂ，１５Ｃ 切り欠き １６ 溝

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転軸と、該回転軸をエンドレスベルト
   を介して回転する複数の駆動源と、前記複数の駆動源の
   うちいずれか１つの駆動源により前記回転軸を回転する
   際に、他の駆動源の駆動力を該回転軸に伝達するエンド
   レスベルトを前記回転軸から離れた位置に移動するベル
   ト移動機構とを備えたことを特徴とするベルトテンショ
   ンオンオフ装置。