JPH09143563A - グラス被膜の良好な高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

グラス被膜の良好な高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法

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JPH09143563A
JPH09143563A JP7308981A JP30898195A JPH09143563A JP H09143563 A JPH09143563 A JP H09143563A JP 7308981 A JP7308981 A JP 7308981A JP 30898195 A JP30898195 A JP 30898195A JP H09143563 A JPH09143563 A JP H09143563A
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annealing
steel sheet
oxide film
sio
magnetic flux
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Withdrawn
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JP7308981A
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English (en)
Inventor
Isao Iwanaga
功 岩永
Osamu Tanaka
収 田中
Katsuro Kuroki
克郎 黒木
Koji Yamazaki
幸司 山崎
Maretama Ishibashi
希瑞 石橋
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Nippon Steel Corp
Nippon Steel Plant Designing Corp
Original Assignee
Nittetsu Plant Designing Corp
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、グラス被膜の良好な高磁束密度方
向性電磁鋼板の製造方法を提供する。 【解決方法】 素材S:0.012〜0.023%で、
且つ脱炭焼鈍工程において生成する酸化膜成分{(F
e,Mn)O}a・(SiO2 )b中のFe,Mn分が
(FeO+MnO)/酸化膜中全SiO2 として0.1
0〜0.50、且つ酸化膜中全SiO2 が0.6〜1.
7g/m2 となるように脱炭焼鈍し、且つ焼鈍分離剤と
してMgO100重量部に対し塩素化合物を塩素分とし
て0.01〜0.10重量部、および/またはSb,
B,Sr,Baの化合物の1種または2種以上を0.0
5〜2.0重量部添加することにより、優れたグラス被
膜を有する方向性電磁鋼板が得られる。 【効果】 本発明によれば、高磁束密度特性と良好なグ
ラス被膜を兼ね備えた、優れた方向性電磁鋼板を工業的
に製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、2.5〜4.5%
のSiを含む、グラス被膜が良好で、高い磁束密度を有
する方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一方向性電磁鋼板は、トランス等の電気
機器の鉄心材料として使用されており、磁気特性として
励磁特性と鉄損特性が良好でなくてはならない。しかも
近年特にエネルギーロスの少ない低鉄損素材への市場要
求が強まっている。
【0003】磁束密度の高い鋼板は、鉄損が低く又鉄心
が小さく出来るので、極めて重要な開発目標である。こ
の高い磁束密度を有する一方向性電磁鋼板は、適切な冷
延と焼鈍とにより熱延板から最終板厚にした鋼板を仕上
げ焼鈍して{110}<001>方位を有する一次再結
晶粒を選択成長させる、いわゆる二次再結晶によって得
られる。
【0004】二次再結晶は、二次再結晶前の鋼板中に微
細な析出物、例えばMnS,AlN,MnSe,Cu2
S,BN,(Al,Si)N等が存在すること、あるい
はSn,Sb等の粒界偏析型の元素が存在することによ
って達成される。これら析出物、粒界偏析型の元素はJ.
B.May and Turnbull (Trans. Met. Soc. AIME 212(195
8)P769/781)によって説明されているように仕上げ焼鈍
工程で{110}<001>方位以外の一次再結晶粒の
成長を抑え、{110}<001>方位粒を選択的に成
長させる機能を持つ。この様な粒成長の抑制効果は一般
にはインヒビター効果と呼ばれている。従って当該分野
の研究開発の重点課題はいかなる種類の析出物、あるい
は粒界偏析型のを用いて二次再結晶を安定させるか、そ
して正確な{110}<001>方位粒の存在割合を高
めるためにそれらの適切な存在状態をいかに達成するか
にある。特に最近では一種類の析出物による方法では
{110}<001>方位の高度の制御に限界があるた
め、各析出物について長所、短所を深く解明することに
より、いくつかの析出物を有機的に組み合わせて、より
磁束密度の高い製品を安定に、且つコストを低く製造で
きる技術の開発が進められている。
【0005】現在、工業生産されている代表的な一方向
性電磁鋼板の製造方法として3種類あるが、各々につい
ては長所、短所がある。第一の技術はM.F.Littmannによ
る特公昭30−3651号公報に示されたMnSを用い
た二回冷延工程であり、得られる二次再結晶粒は安定し
て発達するが、高い磁束密度が得られない。第二の技術
は田口等による特公昭40−15644号公報に示され
たAlN+MnSを用いた最終冷延を80%以上の高圧
下率とするプロセスであり、高い磁束密度は得られる
が、工業生産に際しては製造条件の厳密なコントロール
が要求される。第三の技術は今中等による特公昭51−
13469号公報に示されたMnS(および/またはM
nSe)+Sbを含有する珪素鋼を二回冷延工程によっ
て製造するプロセスであり、比較的高い磁束密度は得ら
れるが、Sb,Seのような有害でかつ高価な元素を使
用し、しかも二回冷延法であることから製造コストが高
くなる。
【0006】また上記3種類の技術においては、共通し
て次のような問題がある。すなわち上記技術はいずれも
析出物を微細、均一に制御する技術として熱延に先立つ
スラブ加熱温度を、第一の技術では1260℃以上、第
二の技術では特開昭48−51852号公報に示すよう
に素材Si量によるが3%Siの場合で1350℃、第
三の技術では特開昭51−20716号公報に示すよう
に1230℃以上、高い磁束密度の得られた実施例では
1320℃といった極めて高い温度にすることによって
粗大に存在する析出物をいったん固溶させ、その後の熱
延中、あるいは熱処理中に析出させている。スラブ加熱
温度を上げることは、加熱時の使用エネルギーの増大の
ノロの発生による歩留り低下及び加熱炉の補修頻度の増
大に起因する設備稼働率の低下、さらには特公昭57−
41526号公報に示されるように線状二次再結晶不良
が発生するため連続鋳造スラブが使用できないという問
題がある。
【0007】しかしこのようなコスト上の問題以上に重
要なことは、鉄損向上のためにSiを多く、製品板厚を
薄くといった手段を取ると、この線状二次再結晶不良の
発生が増大し、高温スラブ加熱法を前提にした技術では
将来の鉄損向上に希望を持てない。これに対し特公昭6
1−60896号公報に開示されている技術では鋼中の
Sを少なくすることによって二次再結晶が極めて安定
し、高Si薄手製品を可能にした。しかしこの技術は量
産規模で工場生産する上で、磁束密度の安定性に問題が
あり、例えば特開昭62−40315号公報に開示され
ているような改良技術が提案されているが、今まで完全
に解決するに至っていない。
【0008】一方、方向性電磁鋼板の需要家での使用時
に於いて、磁気特性と共に重要なのは被膜特性である。
これは、被膜特性が方向性電磁鋼板を使用したトランス
鉄心において絶縁性のみならず、ビルディングファクタ
ーや騒音に影響する磁歪、歪敏感度等に対して大きい影
響を与えるからである。この方向性電磁鋼板の被膜特性
は、このように製品特性に対して多大な影響を与えると
共に、その被膜形成過程に於いては鋼板中のインヒビタ
ーの制御の面から重要な役割を持っているため、高磁束
密度、低鉄損の方向性電磁鋼板を得るためにも、被膜製
造過程での形成速度、量、質を厳密にコントロールする
ことが重要である。
【0009】通常、方向性電磁鋼板は最終仕上げ焼鈍過
程で形成するグラス被膜(一次被膜:フィルステライト
+スピネル)とヒートフラットニング時に形成される絶
縁被膜(二次被膜)の2層被膜によって表面処理がなさ
れている。グラス被膜は焼鈍分離剤のMgOと脱炭焼鈍
時に形成したSiO2 主体の酸化膜との反応により形成
するフォルステライト被膜を主成分とし、本発明のよう
にAl鋼成分に利用する場合にはAl2 3 や他の焼鈍
分離剤添加物等によりもたらされる酸化物成分やこれら
によるスピネル構造の化合物によって構成されている。
このグラス被膜はその張力効果によって絶縁性、鉄損、
磁歪等を改善する一方、形成状態によっては磁束密度、
占積率、密着性、加工性、製品外観を低下させたり、張
力による鉄損改善効果にも差異を生じる。またこのグラ
ス被膜は本発明のようにインヒビターとしてAlN,M
nS等を利用する場合には、その形成時期、形成速度、
形成量等が、鋼板界面に於いて雰囲気ガスからのNの侵
入をコントロールしたり、逆に鋼中からのインヒビター
の分解挙動に多大な影響を及ぼす。このため、適正量の
グラス被膜を適正時期に形成させることは、被膜特性と
磁気特性が両立した製品を得る上で重要であり、このた
めの新技術開発のニーズは高まっている。
【0010】脱炭焼鈍酸化膜の形成条件によってグラス
被膜や磁気特性を改善する技術としては数々の提案がな
されている。特開昭59−185725号公報には本発
明と同様な素材の高磁束密度方向性電磁鋼板の脱炭焼鈍
工程に於いて、脱炭焼鈍後の鋼板の酸素量を、−250
0X+1163≦Y≦−2500X+1413(但し
X:鋼板の板厚(mm)、Y:鋼板の酸素量(ppm))式で
与えられる範囲に制御するものである。前期公報記載の
発明は磁気特性の優れる高磁束密度方向性電磁鋼板の製
造方法として、脱炭焼鈍で形成する酸化被膜の[O]量
を特定域にコントロールすることで、高磁束密度且つ低
鉄損の特性が得られるというもので、[O]量と板厚の
関係で磁気特性への影響が述べられている。また特開昭
60−103173号公報には低鉄損を得るための製造
方法として、最終冷延された冷延板に脱炭焼鈍を施すに
際し、冷延鋼板が0.25mm以下の板厚を有し、該鋼板
の表面に脱炭焼鈍で形成される酸化層の酸素目付け量O
s(g/m2 )を上記板厚に応じ、4t+1.6≧Os
≧−8t+8.1(tは板厚(mm))の範囲に制御する
一方向性珪素鋼板の製造方法が提案されている。しか
し、これらの酸化被膜によるグラス被膜、磁性等の制御
技術は酸化膜の酸素量に注目しているもので、質、反応
性等に関する研究には至っていない。このため、高磁束
密度の方向性電磁鋼板の製造に於いてグラス被膜や磁気
特性を向上する上で未だ安定した技術を提供するに至っ
ていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従来より工業化されて
いる製造方法は二次再結晶に必要なインヒビターを冷間
圧延以前の工程で造り込むものである。これに対し本発
明は特開昭62−40315号公報と同一技術思想に基
づく製造方法である。即ち二次再結晶に必要なインヒビ
ターは、脱炭焼鈍(一次再結晶)完了以降から仕上げ焼
鈍における二次再結晶発現以前までに造り込むものでそ
の手段として、鋼中にNを侵入させることによって、イ
ンヒビターとして機能する(Al,Si)Nを形成させ
る。鋼中にNを侵入させる手段としては、従来技術で提
案されているように仕上げ焼鈍昇温過程での雰囲気ガス
からのNの侵入を利用するか、脱炭焼鈍後段領域あるい
は脱炭焼鈍完了後のストリップを連続ラインでNH3
の窒化源となる雰囲気ガスを用いて行う。
【0012】ところで以上のような方法で適正なインヒ
ビターを造り込んでも、窒化時の一次再結晶組織の状態
が適当でなければ高磁束密度を有する良好な二次再結晶
は得られない。しかしながら従来方式の溶鋼成分では、
この方式の特徴である1280℃以下の温度に加熱した
後熱延したのでは析出物が粗大化し過ぎてインヒビター
としての機能はほとんど無く、結晶組織制御のため脱炭
焼鈍条件を厳密にコントロールする必要がある。そこで
本発明者らは、グラス被膜のより優れた高磁束密度方向
性電磁鋼板のさらに工業的に安定した製造方法を検討し
た。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決すべく検討を重ねた結果、鋼中のSを特開昭62
−40315号公報に開示されているような量よりさら
に多くすることで、二次再結晶前のMnS析出物量を増
やしインヒビター力の安定性を高めて高磁束密度特性を
得易くし、なおかつ鋼中Sの増加に伴い脱炭焼鈍後の鋼
板表層のFe2SiO4 生成が容易になることで、安定
して良好なグラス被膜が形成され易いことを発見した。
さらにこの成分を有する鋼板の脱炭焼鈍工程において生
成する酸化膜成分{(Fe,Mn)O}a・(Si
2 )b中のFe,Mn分の量、及び酸化膜中全SiO
2 量を制御し、且つ焼鈍分離剤中の塩素分を制御し、お
よび/またはSb,B,Sr,Baの化合物の1種また
は2種以上を適正量添加することで、本発明であるグラ
ス被膜が優れ、且つ磁束密度特性の著しく良好な方向性
電磁鋼板の製造方法を完成した。
【0014】本発明の要旨は、重量でC :0.025
〜0.10%、 Si:2.5〜4.5%、Mn:
0.05〜0.45%、 酸可溶性Al:0.01
〜0.06%、N :0.0005〜0.013%、S
n:0.01〜0.50%を含み、残部Fe及び不可避
的不純物からなるスラブを素材とし、1280℃以下の
温度に加熱した後熱延し、最終冷延圧下率50%以上の
1回ないし中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を施し、
さらに脱炭焼鈍、焼鈍分離剤塗布及び仕上げ焼鈍を行
い、また脱炭焼鈍後から最終仕上げ焼鈍の二次再結晶開
始までの間に鋼板に窒化処理を施す方向性電磁鋼板の製
造方法において、素材S:0.012〜0.023%
で、且つ脱炭焼鈍工程において生成する酸化膜成分
{(Fe,Mn)O}a・(SiO2 )b中のFe,M
n分が(FeO+MnO)/酸化膜中全SiO2 として
0.10〜0.50、且つ酸化膜中全SiO2 が0.6
〜1.7g/m2 となるように脱炭焼鈍し、且つ焼鈍分
離剤としてMgO100重量部に対し塩素化合物を塩素
分として0.01〜0.10重量部、および/またはS
b,B,Sr,Baの化合物の1種または2種以上を
0.05〜2.0重量部添加することを特徴とする、グ
ラス被膜の良好な高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法
にある。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
まず本発明の特徴の一つである、鋼中Sの効果について
述べる。本発明である素材Sが0.012〜0.023
%(好ましくは0.015〜0.020%)の場合、二
次再結晶前のMnS析出物がインヒビター力の安定性を
高め、従って高磁束密度特性を得られ易くなることがわ
かった。さらに図1に示すように、鋼中Sの増加に伴い
脱炭焼鈍後の鋼板表層のFe2 SiO4 生成が容易にな
ることがわかった。これはS量が本発明の範囲では、安
定して良好なグラス被膜が形成され易い(被膜欠陥の発
生率が減る)利点があることを意味する。このS量の限
定理由は、0.012%未満ではインヒビターの作用が
弱く、二次再結晶の安定化効果が低く、一方0.023
%を超えるとスラブ加熱温度が1280℃以下と低いた
めに偏析による被膜、二次再結晶のバラツキという弊害
が顕在化することにある。
【0016】次に本発明のもう一つの特徴である、脱炭
焼鈍工程において生成する酸化膜成分{(Fe,Mn)
O}a・(SiO2 )b中のFe,Mn分の量、及び酸
化膜中全SiO2 量の制御と、焼鈍分離剤中の塩素分の
制御、および/またはSb,B,Sr,Baの化合物の
添加効果について述べる。
【0017】最終冷延された素材は連続ラインに於いて
脱炭焼鈍される。この脱炭焼鈍により鋼中のCの除去と
一次再結晶が行われ、同時に鋼板表面にSiO2 を主成
分とする酸化膜の形成が行われる。本発明に於いてはそ
の際に脱炭焼鈍の雰囲気の酸化度として熱化学平衡上F
eOを生成しないFe2 SiO4 生成領域で行うのが良
質の酸化膜を得る上で重要である。本発明の成分系で
は、このような雰囲気条件では鋼板表層部に{(Fe,
Mn)O}a・(SiO2 )bの酸化層を生成し、内層
部にSiO2 主体のヌードル状に発達した酸化層を生成
するのが特徴である。生成条件としては表層部の{(F
e,Mn)O}a・(SiO2 )b中のFe,Mn分が
(FeO+MnO)/酸化膜中全SiO2 として0.1
0〜0.50、且つ酸化膜中全SiO2 が0.6〜1.
7g/m2 となるように脱炭焼鈍される。
【0018】またその際の酸化膜中全SiO2 形成量は
板厚に応じて、下記の式により制御される。 (10t+2)/7≦W≦(22t+3)/7 ここで t:板厚で0.15〜0.4(mm)、 W:酸化膜中全SiO2 量(g/m2
【0019】本発明ではこのように酸化膜を制御するた
めに脱炭焼鈍条件としては、好ましくは800〜875
℃の温度に於いて、N2 +H2 雰囲気下で、PH2 O/
PH2 、均熱時間、加熱温度、ガス量等を調節して焼鈍
を行う。
【0020】つぎに脱炭焼鈍の後半あるいは別ラインに
於いて窒化処理が行われる。その際の最適窒化量は一次
際結晶粒径にもよるが、好ましくは150〜300ppm
として処理される。その後、焼鈍分離剤として水和水分
1.5〜5.0%のMgO100重量部に対し、Ti,
Sb,Zr,Sr,Cu,Mn,Na,Kの酸化物、硫
化物、硫酸塩、ほう酸塩、塩化物の1種または2種以上
を0.1〜10重量部添加した焼鈍分離剤が塗布され、
コイルに巻取られる。
【0021】つぎに1200℃×20Hrの最終仕上げ
焼鈍が行われる。本発明に於いてはこの仕上げ焼鈍の雰
囲気が重要で、1200℃までの雰囲気ガスとしてN2
/(N2 +H2 )≧0.25のガスが用いられる。12
00℃に到達後の雰囲気ガスはH2 100%で焼鈍され
る。この仕上げ焼鈍では二次再結晶、純化、グラス被膜
形成が行われる。
【0022】このようにして得られたグラス被膜付きの
鋼帯は、連続ラインに於いて800〜900℃で絶縁被
膜処理とヒートフラットニングが行われる。方向性電磁
鋼板の場合、前述の如くグラス被膜の形成状態と共に被
膜張力が鉄損得性、磁歪特性の改善に効果的であり、こ
のため例えば特公昭53−28375号公報に記載され
ているようなリン酸−コロイダルシリカ系の張力付与型
のコーティング剤を塗布し、焼付け処理される。また、
さらに鉄損改善を行う場合には、ヒートフラットニング
の前または後にレーザー、歯形ロール、プレスロール、
ケガキ、局部エッチング等により、付加さ1〜30μ
m、間隔2〜15mmで圧延方向に対し、45〜90°の
方向に点状または線状の歪あるいは溝が付与される。
【0023】本発明者らは、脱炭焼鈍後に窒化処理を行
い、(Al,Si)N主体のインヒビターを形成し、焼
鈍分離剤と最終仕上げ焼鈍条件によって良質のグラス被
膜と優れた磁気特性を得るためには、脱炭酸化膜の質、
量、焼鈍分離剤、仕上げ焼鈍条件を特定域に制御するこ
とが重要であることを膨大な実験と研究を行いつきとめ
た。すなわち、これらの工程条件の適切な制御を行うこ
とにより、グラス被膜の形成が昇温時低温側で開始し、
シール性の良好な被膜を形成することにより、昇温時後
段の900℃以降に於ける鋼板表面の追加酸化等を防止
して、均一で、磁性に有害な内部被膜層の少ない、良好
な被膜と優れた磁気特性を有する方向性電磁鋼板の製造
技術の開発に至ったものである。
【0024】つぎに、本発明に於ける構成技術の限定理
由について述べる。本発明に於ける特徴として、次の脱
炭焼鈍に於ける酸化膜の形成である。この酸化膜の構成
は表層に形成する{(Fe,Mn)O}a・(Si
2 )b中のFe,Mn分が(FeO+MnO)/酸化
膜中全SiO2 として0.10〜0.50、且つ酸化膜
中全SiO2 が0.6〜1.7g/m2 となるようにす
る。
【0025】またその際の酸化膜中全SiO2 形成量は
板厚に応じて、下記の式により制御される。 (10t+2)/7≦W≦(22t+3)/7 ここで t:板厚で0.15〜0.4(mm)、 W:酸化膜中全SiO2 量(g/m2
【0026】本発明に於ける成分系素材では、脱炭焼鈍
で形成される酸化膜は表層部の{(Fe,Mn)O}a
・(SiO2 )bの薄膜層と内層のSiO2 主体のヌー
ドル状に発達する酸化膜によって構成される。本発明者
らは膨大な実験と研究により、酸化膜性状のグラス被膜
形成や磁気特性への影響を検討しこれらの形成条件を確
立するに至った。
【0027】すなわち被膜形成反応においては表層の
{(Fe,Mn)O}a・(SiO2)bの形成量によ
ってグラス被膜の形成反応速度が著しく影響を受け、酸
化膜中全SiO2 量によってグラス被膜(フォルステラ
イト+スピネル)の形成量、形成状態が支配される。こ
れらを適正化することにより、グラス被膜の性状の適正
化とグラス被膜形成過程での鋼中インヒビターの安定化
がもたらされて良好なグラス被膜と良好な磁気特性の両
立が得られることを発見するに至った。
【0028】{(Fe,Mn)O}a・(SiO2 )b
中のFe,Mn分は、(FeO+MnO)/酸化膜中全
SiO2 として0.10〜0.50に制限される。0.
10未満ではグラス被膜形成時の反応促進効果が弱く、
形成反応が遅れると共に良好なグラス被膜が得られな
い。このため仕上げ焼鈍昇温過程での表面のシール効果
がえられず、脱インヒビターも早まって、磁気特性の劣
化傾向が見られる。逆に0.50を超えるとグラス被膜
形成時に被膜の融点が下がりすぎたり、FeO,MnO
リッチなグラス被膜層を形成する。このような場合に
は、ピンホール状の欠陥が生じたり、極端な場合にはグ
ラス被膜中のFeO,MnO等が仕上げ焼鈍の均熱中で
還元され、薄膜化して密着性、低張力のポーラスな被膜
となる。
【0029】酸化膜中の全SiO2 量は、0.6〜1.
7g/m2 とする。前述のようにグラス被膜の主成分は
フォルステライト(Mg2 SiO4 )であり、本発明の
成分系素材では鋼中のAlによりもたらされるAl2
3 や焼鈍分離剤中のMgO,SiO2 ,Al2 3 ,T
iO2 等によりスピネル構造被膜によって構成される。
全SiO2 量はこれらの最終的なグラス被膜の形成量と
形成状態を支配するために重要である。SiO2 量が
0.6g/m2 未満ではグラス被膜形成量が不足して良
好な密着性が得られず、被膜張力による鉄損の改善効果
も小さい。また昇温過程での過剰な追加窒化や脱インヒ
ビターが早まって磁束密度が低下する。逆に1.7g/
2 を超えるとグラス被膜が厚くなりすぎたり、内部の
スピネル構造部の厚みや凹凸が増大して、鉄損得性や磁
束密度の低下をもたらすため好ましくない。0.6〜
1.7g/m2 の範囲ではこれらの問題がなく、良好な
被膜と磁性が得られる。
【0030】またその際の酸化膜中全SiO2 形成量
は、前述のごとく最終的なグラス被膜量と被膜の界面状
態を決めるため、板厚に応じて下記の式により制御する
のが良い。 (10t+2)/7≦W≦(22t+3)/7 ここで t:板厚で0.15〜0.4(mm)、 W:酸化膜中全SiO2 量(g/m2
【0031】このように制御すれば各板厚に於いて同一
の被膜張力が得られ、磁性に対するグラス被膜の悪影響
がない。またこれによってグラス被膜下部に存在するス
ピネルによるサブスケール層も適正に制御され、最終製
品をレーザー等で磁区細分化する場合の鉄損改善効果も
顕著に得られる。また被膜の密着性も各板厚に於いて良
好に保たれる。このような酸化膜成分、性状のコントロ
ールは焼鈍温度、雰囲気露点、均熱時間、雰囲気ガス量
等によって行われる。脱炭焼鈍温度は800〜875℃
の範囲が好ましい。他の焼鈍条件は板厚、鋼成分等に応
じて選択される。図2は脱炭焼鈍後の全酸化膜中SiO
2 と(FeO+MnO)の最適領域を示し、図3は酸化
膜中全SiO2 と鋼板板厚の最適領域を示す。
【0032】つぎに焼鈍分離剤としては水和水分1.5
〜5.0のMgO100重量部に対し、Ti,Sb,Z
r,Sr,Cu,Mn,Na,Kの酸化物、硫化物、硫
酸塩、ほう酸塩、塩化物の1種または2種以上を0.1
〜10重量部添加したものが使用される。
【0033】水和水分が1.5%未満では、仕上げ焼鈍
昇温過程でコイル板間の酸化度が下がりすぎ、前記
{(Fe,Mn)O}a・(SiO2 )bの還元が進行
し、(FeO+MnO)が減少しグラス被膜形成反応を
阻害するため制限される。一方5.0%を超えると板間
の酸化度が高くなって表層部の追加酸化現象を生じ、こ
のため(FeO+MnO)の増加や、SiO2 量の増加
をもたらし、脱炭焼鈍で形成した酸化膜成分が適正域か
らはずれるという問題が生じる。
【0034】MgO添加物は酸化膜中の{(Fe,M
n)O}a・(SiO2 )bと同様にグラス被膜特性を
向上し、表面のシール性を高め、インヒビターの安定化
をはかる目的で添加される。これにより、グラス被膜の
形成時期まで(FeO+MnO)が安定に保たれ、グラ
ス被膜形成の促進効果とこれによりインヒビターの安定
化効果が得られる。この結果グラス被膜と磁気特性が安
定向上する。
【0035】前記添加物が0.1重量部未満では、この
ような酸化膜の保護、グラス被膜形成促進効果が弱く、
前記効果がえられ難い。一方10重量部を超えると(F
eO+MnO)量との関係で過酸化現象を起こし易く、
特に酸化物、塩化物系物質の添加の場合にはシモフリ、
スケール状の被膜欠陥が生じ、さらに追加酸化等による
内部被膜層の増加により磁性の劣化をもたらす。
【0036】つぎに本発明により、被膜特性が優れ、且
つ磁気特性の著しく優れた方向性電磁鋼板が得られるメ
カニズムとしては次のように考えられる。本発明である
素材Sが0.012〜0.023%の場合、二次再結晶
前のMnS析出物がインヒビター力の安定性を高め、従
って高磁束密度特性を得易くなることがわかった。さら
に図1に示すように、鋼中Sの増加に伴い脱炭焼鈍後の
鋼板表層のFe2 SiO4 生成が容易になることがわか
った。これはS量が本発明の範囲では、安定して良好な
グラス被膜が形成され易いことを意味する。さらに本発
明では脱炭焼鈍時に形成した適正量のSiO2 と同時に
適正量の{(Fe,Mn)O}a・(SiO2 )bを形
成することにより、焼鈍分離剤MgOとの反応性を著し
く高めてフォルステライト被膜形成を低温下、均一化
し、最終的に適正量のフォルステライト及びスピネル構
造のグラス被膜を形成する。その際本発明領域では追加
酸化抑制と表面均一化効果によって、磁性に有害な内部
被膜層(スピネル主体)が適正な形成状態に制御され、
均一緻密で密着性が良く、磁区細分化効果能に優れるグ
ラス被膜を形成する。このグラス被膜形成過程において
は昇温時前段に於いて前記良質グラス被膜の表面シール
効果によって雰囲気からのN2 の進入等によるインヒビ
ターの弱体化を防止し、さらに昇温時後段に於いては追
加酸化による酸化膜中のSiO2 の増加を抑え、磁性に
有害な内部被膜層の増加を防止する。以上のような作用
により、被膜特性が優れ、且つ磁気特性の著しく優れた
方向性電磁鋼板が得られる。このようにして得られた製
品では、グラス被膜界面が比較的スムーズで鉄損改善の
ために行われる磁区細分化処理に於いて著しい改善効果
が得られ、低鉄損化が可能となる。
【0037】
【実施例】次に本発明の実施例を挙げて説明する。 [実施例1]表1に示す鋼の成分組成を含む溶鋼を鋳造
したスラブを、1150℃で加熱した後熱延し、2.0
mm厚みの熱延板とした。ついでこれらの熱延板を105
0℃×2.5分+900℃×2分間焼鈍を行った後10
0℃の湯中に冷却し、更に酸洗した後冷間圧延を行い
0.23mm厚にした。
【0038】次にこの冷延板を830℃、N2 25%+
2 75%ガス中で露点と均熱時間を変えて脱炭焼鈍を
行い、さらにN2 25%+H2 75%ガス中にNH3
ス量を変えて添加し、鋼板窒化量が200ppm になるよ
うに窒化処理した。この時点での酸化膜の成分を表2に
示す。この鋼板上に、MgOパウダー中の塩素量をSr
Cl2 を添加して0.03〜0.04重量部になるよう
に調整し、またNa24 7 を0.3重量部とTiO
2 を5重量部添加した焼鈍分離剤を塗布し、乾燥した。
この時の水和水分は2.0%であった。この鋼板を昇温
時雰囲気としてN2 50%+H2 50%、均熱時H2
00%で1200℃×20時間の最終仕上げ焼鈍を行っ
た。その後絶縁被膜剤として30%コロイド状シリカ7
0ml+50%リン酸Al50ml+クロム酸5gからなる
処理剤を乾燥後の重量で5g/m2 になるように塗布
し、850℃×30秒の焼き付け処理を行って製品とし
た。この試験に於ける被膜特性と磁気特性の結果を表3
に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】この結果、鋼中Sが多くなると、本発明域
に於いて高磁束密度特性が得られた。また(FeO+M
nO)/酸化膜中全SiO2 が多くなる傾向を示した。
(FeO+MnO)/酸化膜中全SiO2 を本発明域に
制御した条件では、いずれもグラス被膜が均一で良好な
外観を呈し、密着性も良好な結果が得られた。またこの
場合にはいずれも良好な磁気特性が得られた。
【0043】一方(FeO+MnO)/酸化膜中全Si
2 が0.05と少ない場合にはグラス被膜が薄く不均
一で、磁気特性も不良であった。また(FeO+Mn
O)/酸化膜中全SiO2 が0.55と多すぎる場合は
グラス被膜は厚いが金属光沢状の斑点が多く、部分的に
はスケール状のムラが見られ、この場合も磁気特性は劣
化傾向であった。
【0044】[実施例2]表1に示す鋼Cの成分組成を
含む溶鋼を鋳造したスラブを、1150℃で加熱した後
熱延し、2.0mm厚みの熱延板とした。ついでこれらの
熱延板を1050℃×2.5分+900℃×2分間焼鈍
を行った後100℃の湯中に冷却し、更に酸洗した後冷
間圧延を行い0.30mm厚にした。
【0045】次にこの冷延板を830℃、N2 25%+
2 75%ガス中で露点と均熱時間を変えて脱炭焼鈍を
行い、さらにN2 25%+H2 75%ガス中にNH3
ス量を変えて添加し、鋼板窒化量が200ppm になるよ
うに窒化処理し、表4に示すように酸化膜の成分を変更
した。この鋼板上に、MgOパウダー中の塩素量をMn
Cl2 を添加して0.03〜0.04重量部になるよう
に調整し、またSb2(SO4 3 を0.3重量部とT
iO2 を5重量部添加した焼鈍分離剤を塗布し、乾燥し
た。この時の水和水分は3.0%であった。
【0046】この鋼板を昇温時雰囲気としてN2 75%
+H2 25%、均熱時H2 100%で1200℃×20
時間の最終仕上げ焼鈍を行った。その後絶縁被膜剤とし
て30%コロイド状シリカ70ml+50%リン酸Al5
0ml+クロム酸5gからなる処理剤を乾燥後の重量で5
g/m2 になるように塗布し、850℃×30秒の焼き
付け処理を行って製品とした。この試験に於ける被膜特
性と磁気特性の結果を表5に示す。
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】この結果、本発明によるものはいずれも均
一で光沢があり、被膜の密着性が良好で、磁気特性も良
好であった。一方比較例のものは(FeO+MnO)/
酸化膜中全SiO2 量の少ない場合は被膜が薄く不均一
であり、多い場合は被膜が不均一でスケール上のムラが
発生した。これらの場合、磁気特性も不良であった。
【0050】[実施例3]表1に示す鋼Cの成分組成を
含む溶鋼を鋳造したスラブを、1150℃で加熱した後
熱延し、2.0mm厚みの熱延板とした。ついでこれらの
熱延板を1050℃×2.5分+900℃×2分間焼鈍
を行った後100℃の湯中に冷却し、更に酸洗した後冷
間圧延を行い0.30mm厚にした。
【0051】次にこの冷延板を830℃、N2 25%+
2 75%ガス中で露点と均熱時間を変えて脱炭焼鈍を
行い、さらにN2 25%+H2 75%ガス中にNH3
ス量を変えて添加し、鋼板窒化量が200ppm になるよ
うに窒化処理し、表6に示すような酸化膜の成分を得
た。この鋼板上に、表6に示すようにMgOパウダー中
の塩素量をCoCl2 を添加して調整し、さらにSb,
B化合物としてSb2 (SO4 3 とNa2 4 7
使用、またいずれの場合もTiO2 を5重量部添加した
焼鈍分離剤を塗布し、乾燥した。この時の水和水分は
3.0%であった。この鋼板を昇温時雰囲気としてN2
75%+H2 25%、均熱時H2 100%で1200℃
×20時間の最終仕上げ焼鈍を行った。その後絶縁被膜
剤として30%コロイド状シリカ70ml+50%リン酸
Al50ml+クロム酸5gからなる処理剤を乾燥後の重
量で5g/m2 になるように塗布し、850℃×30秒
の焼き付け処理を行って製品とした。この試験に於ける
被膜特性と磁気特性の結果を表7に示す。
【0052】
【表6】
【0053】
【表7】
【0054】この結果、本発明によるものはいずれも均
一で光沢があり、被膜の密着性が良好で、磁気特性も良
好であった。特に焼鈍分離剤中にSb,Bの化合物添加
した場合は、磁気特性がさらに優れていた。一方比較例
のものは、塩素分が少ない場合は被膜が薄く不均一であ
り、多い場合は被膜が不均一でスケール上のムラが発生
した。これらの場合、磁気特性も不良であった。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、仕上げ焼鈍昇温時前段
でタイトなグラス質被膜が早期に形成され、最終製品と
して均一で適正な内部被膜層を有する良好なグラス被膜
が得られる。また、これにより鋼中のインヒビターが二
次再結晶磁気まで安定に保たれ、且つ鋼中Sの作用と併
せて、高磁束密度特性を有する方向性電磁鋼板を製造す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱炭焼鈍に於ける酸化膜の成分{(Fe,M
n)O}a・(SiO2 )b中の(FeO+MnO)/
酸化膜中全SiO2 の量と、鋼中S量との関係を示す。
【図2】本発明の脱炭焼鈍に於ける酸化膜の成分SiO
2 と、{(Fe,Mn)O}a・(SiO2 )b中の
(FeO+MnO)/酸化膜中全SiO2 の量の最適条
件を示す。本発明の条件域は図中の斜線域で示す。
【図3】本発明の鋼板板厚と最適SiO2 形成域を示
す。本発明では、良好な磁気特性と被膜特性を得るため
図中の斜線域にSiO2 量が制限される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒木 克郎 福岡県北九州市戸畑区大字中原46−59 日 鐵プラント設計株式会社内 (72)発明者 山崎 幸司 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 石橋 希瑞 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量で C :0.025〜0.10%、 Si:2.5〜4.5%、 Mn:0.05〜0.45%、 酸可溶性Al:0.01〜0.06%、 N :0.0005〜0.013%、 Sn:0.01〜0.50%を含み、残部Fe及び不可
    避的不純物からなるスラブを素材とし、1280℃以下
    の温度に加熱した後熱延し、最終冷延圧下率50%以上
    の1回ないし中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延を施
    し、さらに脱炭焼鈍、焼鈍分離剤塗布及び仕上げ焼鈍を
    行い、また脱炭焼鈍後から最終仕上げ焼鈍の二次再結晶
    開始までの間に鋼板に窒化処理を施す方向性電磁鋼板の
    製造方法において、素材S:0.012〜0.023%
    で、且つ脱炭焼鈍工程において生成する酸化膜成分
    {(Fe,Mn)O}a・(SiO2 )b中のFe,M
    n分が(FeO+MnO)/酸化膜中全SiO2 として
    0.10〜0.50、且つ酸化膜中全SiO2 が0.6
    〜1.7g/m2 となるように脱炭焼鈍し、且つ焼鈍分
    離剤としてMgO100重量部に対し塩素化合物を塩素
    分として0.01〜0.10重量部、および/またはS
    b,B,Sr,Baの化合物の1種または2種以上を
    0.05〜2.0重量部添加することを特徴とする、グ
    ラス被膜の良好な高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記素材で、熱延板焼鈍を行い、且つ最
    終冷延圧下率が80%以上であることを特徴とする請求
    項1記載のグラス被膜の良好な高磁束密度方向性電磁鋼
    板の製造方法。
  3. 【請求項3】 脱炭焼鈍における酸化膜中全SiO2
    成量W(g/m2 )を下記の式により制御することを特
    徴とする請求項1或いは2記載のグラス被膜の良好な高
    磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法。 (10t+2)/7≦W≦(22t+3)/7 ここで t:板厚で0.15〜0.4(mm)
JP7308981A 1995-11-28 1995-11-28 グラス被膜の良好な高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法 Withdrawn JPH09143563A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20200022016A (ko) * 2017-07-13 2020-03-02 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 방향성 전자 강판

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20200022016A (ko) * 2017-07-13 2020-03-02 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 방향성 전자 강판
JPWO2019013354A1 (ja) * 2017-07-13 2020-04-30 日本製鉄株式会社 方向性電磁鋼板

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