JPH09141003A - 金属吸蔵方法及び金属吸着剤 - Google Patents
金属吸蔵方法及び金属吸着剤Info
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- JPH09141003A JPH09141003A JP30289695A JP30289695A JPH09141003A JP H09141003 A JPH09141003 A JP H09141003A JP 30289695 A JP30289695 A JP 30289695A JP 30289695 A JP30289695 A JP 30289695A JP H09141003 A JPH09141003 A JP H09141003A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 選鉱・精錬、貴金属や放射性元素の採取また
は回収による有効利用、もしくは微量重金属の検出等に
おいて、特に有用な卵殻膜・羽毛・羊毛の液体化及び粉
体化技術、これらを用いた金属吸蔵方法及び金属吸着剤
を提供する。 【解決手段】 卵殻膜・羽毛・羊毛のような生物体を原
料として、何れかを水酸化ナトリウム溶液のようなアル
カリ液に溶解させ、しかる後に酸により中和することに
より得られる液体吸着剤、あるいは更に酸を加え酸性と
することにより得られる粉体状吸着剤を用いることを特
徴とする金属吸蔵方法、及び上記液体吸着剤及び粉体状
吸着剤。
は回収による有効利用、もしくは微量重金属の検出等に
おいて、特に有用な卵殻膜・羽毛・羊毛の液体化及び粉
体化技術、これらを用いた金属吸蔵方法及び金属吸着剤
を提供する。 【解決手段】 卵殻膜・羽毛・羊毛のような生物体を原
料として、何れかを水酸化ナトリウム溶液のようなアル
カリ液に溶解させ、しかる後に酸により中和することに
より得られる液体吸着剤、あるいは更に酸を加え酸性と
することにより得られる粉体状吸着剤を用いることを特
徴とする金属吸蔵方法、及び上記液体吸着剤及び粉体状
吸着剤。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、金属吸蔵(吸
着)方法及び金属吸着剤に関するものである。さらに詳
しくは、この発明は貴金属や放射性元素の採取または回
収による資源の有効利用、もしくは排水中の有害微量重
金属の検出、吸着等に好適な金属吸蔵方法及び金属吸着
剤に関するものである。
着)方法及び金属吸着剤に関するものである。さらに詳
しくは、この発明は貴金属や放射性元素の採取または回
収による資源の有効利用、もしくは排水中の有害微量重
金属の検出、吸着等に好適な金属吸蔵方法及び金属吸着
剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、クロレラ、海産褐藻類、菌体等の
生物膜を利用した金属吸蔵方法が開発されているが、金
属吸着性能、生物膜としての機能の寿命継続性、生物膜
作製の困難性等においてまだ充分実用的とは言えなかっ
た。これにに対し、本発明者らは生物膜として卵殻膜
(エッグシェル膜)を用い、前処理した該卵殻膜を充填
層に詰めて吸着層として使用することを特徴とする方法
を特願平5−175281号明細書にて提案している。
この前処理は、卵殻のついた卵殻膜を5重量%の塩酸に
約10時間浸漬することにより、炭酸カルシウムを主成
分とする卵殻を溶解させる。残留した卵殻膜を蒸留水で
洗浄し、乾燥後0.1N水酸化ナトリウムで洗浄する。
これで卵殻膜の前処理の完了である。
生物膜を利用した金属吸蔵方法が開発されているが、金
属吸着性能、生物膜としての機能の寿命継続性、生物膜
作製の困難性等においてまだ充分実用的とは言えなかっ
た。これにに対し、本発明者らは生物膜として卵殻膜
(エッグシェル膜)を用い、前処理した該卵殻膜を充填
層に詰めて吸着層として使用することを特徴とする方法
を特願平5−175281号明細書にて提案している。
この前処理は、卵殻のついた卵殻膜を5重量%の塩酸に
約10時間浸漬することにより、炭酸カルシウムを主成
分とする卵殻を溶解させる。残留した卵殻膜を蒸留水で
洗浄し、乾燥後0.1N水酸化ナトリウムで洗浄する。
これで卵殻膜の前処理の完了である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記特願平5−175
281号の方法は、材料調達が容易でコストが安価であ
り、しかも食肉工場からの廃棄物の有効利用につながる
点で非常に実用性の高いものであるが、前記したように
煩雑な前処理が必要である。また、卵殻膜を充填層とし
た場合、空隙率が約93〜95%近くあり、処理液と卵
殻膜の接触効率が悪く、充填層をすぐに破過してしま
い、卵殻膜の吸着能力を有効に活用できないという欠点
があった。すなわち、卵殻膜の間を流体が素通りする現
象がある。ここで、破過とは、充填層に処理液を流した
時に、出口液にその対象金属が漏出し始める現象をい
う。さらに前記のような前処理では、卵殻膜は膜状であ
り、一般のキレート樹脂吸着剤と比較して、単位重量当
りの吸着量が小さく、従って吸着層の容積が大きくなる
欠点があった。本発明はこのような現状に鑑み、材料調
達が容易で単位重量当たりの吸着量が大きい新規な生物
膜系の金属吸着剤の開発、及び該吸着剤を用いた新規な
金属吸蔵方法の開発を課題とするものである。
281号の方法は、材料調達が容易でコストが安価であ
り、しかも食肉工場からの廃棄物の有効利用につながる
点で非常に実用性の高いものであるが、前記したように
煩雑な前処理が必要である。また、卵殻膜を充填層とし
た場合、空隙率が約93〜95%近くあり、処理液と卵
殻膜の接触効率が悪く、充填層をすぐに破過してしま
い、卵殻膜の吸着能力を有効に活用できないという欠点
があった。すなわち、卵殻膜の間を流体が素通りする現
象がある。ここで、破過とは、充填層に処理液を流した
時に、出口液にその対象金属が漏出し始める現象をい
う。さらに前記のような前処理では、卵殻膜は膜状であ
り、一般のキレート樹脂吸着剤と比較して、単位重量当
りの吸着量が小さく、従って吸着層の容積が大きくなる
欠点があった。本発明はこのような現状に鑑み、材料調
達が容易で単位重量当たりの吸着量が大きい新規な生物
膜系の金属吸着剤の開発、及び該吸着剤を用いた新規な
金属吸蔵方法の開発を課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段として、本発明は 1)卵殻膜、羽毛及び羊毛か
ら選ばれる1種以上を原料とし、該原料をアルカリ液に
溶解させた後、酸で中和することにより得られた溶解液
を吸着剤として金属イオンまたは金属化合物イオンを吸
着させることを特徴とする金属吸蔵方法、及び 2)卵
殻膜、羽毛及び羊毛から選ばれる1種以を原料とし、該
原料をアルカリ液に溶解させた後に液性を酸性にするこ
とにより生成する粉体状析出物を吸着剤として金属イオ
ンまたは金属化合物イオンを吸着させることを特徴とす
る金属吸蔵方法、及び 3)卵殻膜、羽毛及び羊毛から
選ばれる1種以を原料とし、該原料をアルカリ液に溶解
させた後に液性を酸性にすることにより生成する粉体状
析出物からなることを特徴とする金属吸着剤、を提供す
る。
の手段として、本発明は 1)卵殻膜、羽毛及び羊毛か
ら選ばれる1種以上を原料とし、該原料をアルカリ液に
溶解させた後、酸で中和することにより得られた溶解液
を吸着剤として金属イオンまたは金属化合物イオンを吸
着させることを特徴とする金属吸蔵方法、及び 2)卵
殻膜、羽毛及び羊毛から選ばれる1種以を原料とし、該
原料をアルカリ液に溶解させた後に液性を酸性にするこ
とにより生成する粉体状析出物を吸着剤として金属イオ
ンまたは金属化合物イオンを吸着させることを特徴とす
る金属吸蔵方法、及び 3)卵殻膜、羽毛及び羊毛から
選ばれる1種以を原料とし、該原料をアルカリ液に溶解
させた後に液性を酸性にすることにより生成する粉体状
析出物からなることを特徴とする金属吸着剤、を提供す
る。
【0005】
【発明の実施の形態】従来法では前処理を施しても生物
膜は原料の形態を保持したままであり、これを吸着剤と
して使用していた。本発明者らは生物膜の吸着性能を損
なわずに液状、または固体(粉体)状に加工できれば、
取扱が容易でしかも単位体積当たりの吸着量が増大する
と考え、鋭意研究の結果、生物体を構成する蛋白質がア
ルカリ溶液には溶解することに着目して上記1)の発明
に至った。さらに一旦アルカリに溶解した後に酸で中和
すると、沈殿が析出し、該沈殿を単離すると粉状の吸着
剤が析出することも見い出し、上記2)及び3)の発明
に至った。
膜は原料の形態を保持したままであり、これを吸着剤と
して使用していた。本発明者らは生物膜の吸着性能を損
なわずに液状、または固体(粉体)状に加工できれば、
取扱が容易でしかも単位体積当たりの吸着量が増大する
と考え、鋭意研究の結果、生物体を構成する蛋白質がア
ルカリ溶液には溶解することに着目して上記1)の発明
に至った。さらに一旦アルカリに溶解した後に酸で中和
すると、沈殿が析出し、該沈殿を単離すると粉状の吸着
剤が析出することも見い出し、上記2)及び3)の発明
に至った。
【0006】本発明は生物膜として卵殻膜、羽毛、羊毛
を用いるが、卵殻膜及び羽毛については特にその種類を
限定されるところはないが、材料調達の容易さとコスト
の点から一般には家禽類のもの、特に鶏のものが好まし
い。卵殻膜、羽毛、羊毛は希酸、希アルカリには不溶で
あるが、例えば30重量%NaOH等のアルカリに浸漬
することにより溶解して、そののち酸を加えてpH7に
中和することにより、最終的には生物体構成分を含有す
る液体吸着剤が得られる。該液体吸着剤を、金属イオン
または金属化合物イオンを含有する溶液に直接加えるこ
とにより金属が沈殿捕集される。
を用いるが、卵殻膜及び羽毛については特にその種類を
限定されるところはないが、材料調達の容易さとコスト
の点から一般には家禽類のもの、特に鶏のものが好まし
い。卵殻膜、羽毛、羊毛は希酸、希アルカリには不溶で
あるが、例えば30重量%NaOH等のアルカリに浸漬
することにより溶解して、そののち酸を加えてpH7に
中和することにより、最終的には生物体構成分を含有す
る液体吸着剤が得られる。該液体吸着剤を、金属イオン
または金属化合物イオンを含有する溶液に直接加えるこ
とにより金属が沈殿捕集される。
【0007】本発明の上記した金属捕集の作用機構は次
のように考えられる。一般に蛋白質分子は卵殻膜、羽
毛、羊毛はいずれも蛋白質を主成分としているので、ア
ルカリには溶解しやすく、溶解状態においてその末端に
はペプチド骨格由来のNH基やCO基、また側鎖にはN
H2 基、COOH基、−S−S−基等の一般に蛋白質の
有する基が存在していることに加え、本発明材料では酵
素により生成されるCHO基等が存在する。溶解状態で
のタンパク質自体の高分子構造及び上記の末端極性基あ
るいは側鎖の極性基との相互作用により各種金属イオン
を結合し、沈殿化する。
のように考えられる。一般に蛋白質分子は卵殻膜、羽
毛、羊毛はいずれも蛋白質を主成分としているので、ア
ルカリには溶解しやすく、溶解状態においてその末端に
はペプチド骨格由来のNH基やCO基、また側鎖にはN
H2 基、COOH基、−S−S−基等の一般に蛋白質の
有する基が存在していることに加え、本発明材料では酵
素により生成されるCHO基等が存在する。溶解状態で
のタンパク質自体の高分子構造及び上記の末端極性基あ
るいは側鎖の極性基との相互作用により各種金属イオン
を結合し、沈殿化する。
【0008】溶解に用いるアルカリとしては、例えば3
0〜40重量%の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
水酸化アンモニウム等が挙げられ、その後に中和するの
で溶解して得られる液体吸着剤のpHは〜7である。中
和に用いる酸としては例えば塩酸、硫酸、硝酸等が挙げ
られる。なお、本発明においても原材料を予め0.1〜
0.5N程度の塩酸溶液、あるいは0.1〜0.5N程
度のアルカリ水溶液で前処理して不要な蛋白質、油分、
汚れ等を除去しておくことが好ましい。液体吸着剤中の
生物膜量は特に限定されるところはなく、生物膜の吸着
性能、その他の条件に従い適宜選択できる。一方、金属
イオンまたは金属化合物イオンは通常pH1〜6の酸性
領域において吸着されるので、本発明に係る液体吸着剤
を用いて吸着する場合に、系全体の液性は酸性域になる
ように、液体吸着剤と被吸着金属含有溶液の量を調整す
る。
0〜40重量%の水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、
水酸化アンモニウム等が挙げられ、その後に中和するの
で溶解して得られる液体吸着剤のpHは〜7である。中
和に用いる酸としては例えば塩酸、硫酸、硝酸等が挙げ
られる。なお、本発明においても原材料を予め0.1〜
0.5N程度の塩酸溶液、あるいは0.1〜0.5N程
度のアルカリ水溶液で前処理して不要な蛋白質、油分、
汚れ等を除去しておくことが好ましい。液体吸着剤中の
生物膜量は特に限定されるところはなく、生物膜の吸着
性能、その他の条件に従い適宜選択できる。一方、金属
イオンまたは金属化合物イオンは通常pH1〜6の酸性
領域において吸着されるので、本発明に係る液体吸着剤
を用いて吸着する場合に、系全体の液性は酸性域になる
ように、液体吸着剤と被吸着金属含有溶液の量を調整す
る。
【0009】上記の本発明に係る液体吸着剤にさらに酸
を添加してpH3前後の酸性にすると、溶解量が激減
し、粉末状の生体膜が沈殿する。これを遠心分離、ろ過
等適当な手段により単離することにより粉末状生体膜吸
着剤が得られる。本発明に係る粉末状生体膜吸着剤は取
扱いが容易となり、ちょうどキレート樹脂吸着剤と同様
に扱える。また粉体状であるため、空隙率が小さくなる
ので、充填層の容量が小さくても従来より大量に金属を
吸蔵できる。金属を吸蔵するには、本発明の粉末状生体
膜吸着剤を充填した容器内またはカラム等に金属イオン
または金属化合物イオンを含有する水溶液を添加して所
定時間保持するか、カラム中を所定流量で流下する。す
なわち、バッチ方式でも流通方式でもよい。温度、p
H、流量等の条件は吸着剤の種類及び被吸着剤金属種に
より適宜選択すればよい。
を添加してpH3前後の酸性にすると、溶解量が激減
し、粉末状の生体膜が沈殿する。これを遠心分離、ろ過
等適当な手段により単離することにより粉末状生体膜吸
着剤が得られる。本発明に係る粉末状生体膜吸着剤は取
扱いが容易となり、ちょうどキレート樹脂吸着剤と同様
に扱える。また粉体状であるため、空隙率が小さくなる
ので、充填層の容量が小さくても従来より大量に金属を
吸蔵できる。金属を吸蔵するには、本発明の粉末状生体
膜吸着剤を充填した容器内またはカラム等に金属イオン
または金属化合物イオンを含有する水溶液を添加して所
定時間保持するか、カラム中を所定流量で流下する。す
なわち、バッチ方式でも流通方式でもよい。温度、p
H、流量等の条件は吸着剤の種類及び被吸着剤金属種に
より適宜選択すればよい。
【0010】本発明により吸着できる金属イオンまたは
金属化合物イオンとしては特に限定されるところはない
が、例えば金、水銀、鉄、コバルト、ニッケル、白金、
ロジウム、銅、亜鉛、銀、カドミウム、カルシウム、及
びランタノイド元素のうちプラセオジム、ネオジム、サ
マリウム、ガドリニウム等のイオンあるいはこれらの金
属の化合物のイオン例えば、塩化物、硫化物、水酸化物
等、さらに有機金属化合物等のイオンを挙げることがで
きる。
金属化合物イオンとしては特に限定されるところはない
が、例えば金、水銀、鉄、コバルト、ニッケル、白金、
ロジウム、銅、亜鉛、銀、カドミウム、カルシウム、及
びランタノイド元素のうちプラセオジム、ネオジム、サ
マリウム、ガドリニウム等のイオンあるいはこれらの金
属の化合物のイオン例えば、塩化物、硫化物、水酸化物
等、さらに有機金属化合物等のイオンを挙げることがで
きる。
【0011】なお、本発明により吸着された金属イオン
または金属化合物イオンを吸着剤より回収するには溶解
度の小さい化合物にして脱離させる。例えば金属の塩酸
水溶液を吸着させた場合には、硫化物や水酸化物等の塩
酸に対して溶解度の小さい化合物にして脱離させる。
または金属化合物イオンを吸着剤より回収するには溶解
度の小さい化合物にして脱離させる。例えば金属の塩酸
水溶液を吸着させた場合には、硫化物や水酸化物等の塩
酸に対して溶解度の小さい化合物にして脱離させる。
【0012】
【実施例】以下の各実施例において、卵殻のついた卵殻
膜は5重量%塩酸溶液に浸漬して卵殻を溶解・除去する
ことにより、卵殻膜のみを単離した。次に該卵殻膜に付
着している卵白タンパク質を除去するためにアルカリ溶
液(0.5N水酸化ナトリウム溶液)で洗浄し、さらに
蒸留水で洗浄した後室温で乾燥する前処理を施し、これ
を吸着剤原料とした。羽毛と羊毛については、アルカリ
(0.5N水酸化ナトリウム水溶液)で洗浄して油分を
除いた後、さらに蒸留水で洗浄し、室温で乾燥したもの
を、吸着剤の原料とした。
膜は5重量%塩酸溶液に浸漬して卵殻を溶解・除去する
ことにより、卵殻膜のみを単離した。次に該卵殻膜に付
着している卵白タンパク質を除去するためにアルカリ溶
液(0.5N水酸化ナトリウム溶液)で洗浄し、さらに
蒸留水で洗浄した後室温で乾燥する前処理を施し、これ
を吸着剤原料とした。羽毛と羊毛については、アルカリ
(0.5N水酸化ナトリウム水溶液)で洗浄して油分を
除いた後、さらに蒸留水で洗浄し、室温で乾燥したもの
を、吸着剤の原料とした。
【0013】以下の実施例1〜実施例5において、生体
膜の液状吸着剤は、上記の前処理を施した吸着剤原料約
5gを各々30重量%の水酸化ナトリウム溶液50ml
中に約20時間浸漬し、常温で溶解させた。その後、塩
酸を加えてpH7に調整した。得られた各液体吸着剤約
0.6mlを精秤し、pHを所定値に調整した金属塩水
溶液(25℃)に混合し、所定時間振とう保持した後、
生成した沈殿を濾取し、原子吸光分析法又はプラズマ発
光分析法により定量した。
膜の液状吸着剤は、上記の前処理を施した吸着剤原料約
5gを各々30重量%の水酸化ナトリウム溶液50ml
中に約20時間浸漬し、常温で溶解させた。その後、塩
酸を加えてpH7に調整した。得られた各液体吸着剤約
0.6mlを精秤し、pHを所定値に調整した金属塩水
溶液(25℃)に混合し、所定時間振とう保持した後、
生成した沈殿を濾取し、原子吸光分析法又はプラズマ発
光分析法により定量した。
【0014】〔実施例1及び比較例1〕卵殻膜、羽毛、
羊毛から得られた本発明の液状吸着剤0.6mlを、各
々HgCl2 水溶液(Hg2+濃度:3×10-3モル/
l)20mlに添加し、pH1.5,25℃、振とう時
間3時間の条件で吸着させ、水銀沈殿物吸着量を原子吸
光分析法により定量した。吸着剤1g当たりの水銀吸蔵
量(mg/g)を図1のグラフ図に示す(実施例1)。
なお、以下において吸蔵量は吸着量と同意である。別に
上記前処理のみを施してアルカリ溶解は行わない卵殻
膜、羽毛、羊毛それぞれについても比較のために実施例
1と同様に行い、水銀沈殿物量を定量した(比較例
1)。結果を図1に併せて示す。図1に示されるように
本発明の液状吸着剤はg当たりのHg2+吸着量が100
〜160mg/gであった。通常のキレート樹脂吸着剤
の場合はHg2+に対し80〜110mg/g程度である
ことから、本発明吸着剤の優れていることがわかる。
羊毛から得られた本発明の液状吸着剤0.6mlを、各
々HgCl2 水溶液(Hg2+濃度:3×10-3モル/
l)20mlに添加し、pH1.5,25℃、振とう時
間3時間の条件で吸着させ、水銀沈殿物吸着量を原子吸
光分析法により定量した。吸着剤1g当たりの水銀吸蔵
量(mg/g)を図1のグラフ図に示す(実施例1)。
なお、以下において吸蔵量は吸着量と同意である。別に
上記前処理のみを施してアルカリ溶解は行わない卵殻
膜、羽毛、羊毛それぞれについても比較のために実施例
1と同様に行い、水銀沈殿物量を定量した(比較例
1)。結果を図1に併せて示す。図1に示されるように
本発明の液状吸着剤はg当たりのHg2+吸着量が100
〜160mg/gであった。通常のキレート樹脂吸着剤
の場合はHg2+に対し80〜110mg/g程度である
ことから、本発明吸着剤の優れていることがわかる。
【0015】〔実施例2及び比較例2〕HgCl2 及び
H2 SeO4 を水に溶解した水溶液(Hg2+濃度3×1
0-3モル/l、Se6+濃度9×10-3モル/l)20m
lを被吸着金属含有溶液とし、pH6.0、温度25
℃、浸漬時間3時間の条件とした以外は実施例1,比較
例1とそれぞれ同様に操作し、得られた沈殿物量をHg
2+については原子吸光分析法により、Se6+については
プラズマ発光分析装置(ICP)によりそれぞれ定量し
た。結果を図2のグラフ図に併せて示す。図2に示され
るように本発明の液状吸着剤のHg2+吸着量は110〜
190mg/g、Se6+ 吸着量は10〜20mg/g
と優れていた。
H2 SeO4 を水に溶解した水溶液(Hg2+濃度3×1
0-3モル/l、Se6+濃度9×10-3モル/l)20m
lを被吸着金属含有溶液とし、pH6.0、温度25
℃、浸漬時間3時間の条件とした以外は実施例1,比較
例1とそれぞれ同様に操作し、得られた沈殿物量をHg
2+については原子吸光分析法により、Se6+については
プラズマ発光分析装置(ICP)によりそれぞれ定量し
た。結果を図2のグラフ図に併せて示す。図2に示され
るように本発明の液状吸着剤のHg2+吸着量は110〜
190mg/g、Se6+ 吸着量は10〜20mg/g
と優れていた。
【0016】〔実施例3及び比較例3〕Na〔Au(C
N)2 〕(シアン化金)水溶液(Au(CN)2 - 濃度
3×10-3モル/l)20mlを被吸着金属含有溶液と
し、pH1.5、温度25℃、浸漬時間3時間の条件と
した以外は実施例1,比較例1とそれぞれ同様に操作
し、得られた沈殿物量をICPにより定量した。結果を
図3のグラフ図に併せて示す。図3に示されるように、
本発明の液状吸着剤のAu+ 吸着量は120〜220m
g/gと優れていた。
N)2 〕(シアン化金)水溶液(Au(CN)2 - 濃度
3×10-3モル/l)20mlを被吸着金属含有溶液と
し、pH1.5、温度25℃、浸漬時間3時間の条件と
した以外は実施例1,比較例1とそれぞれ同様に操作
し、得られた沈殿物量をICPにより定量した。結果を
図3のグラフ図に併せて示す。図3に示されるように、
本発明の液状吸着剤のAu+ 吸着量は120〜220m
g/gと優れていた。
【0017】〔実施例4及び比較例4〕UO2 SO4 水
溶液(UO2 2+濃度3×10-3モル/l)20mlを被
吸着金属含有溶液とし、pH5.8、温度25℃、浸漬
時間5時間の条件で、実施例1,比較例1とそれぞれ同
様に操作し、得られた沈殿物量をICPにより定量し
た。結果を図4のグラフ図に併せて示す。図4に示され
るように、本発明の液体吸着剤のUO2 2+吸着量は20
〜520mg/gであり、特に液体化した卵殻膜は約5
20mg/gと極めて高かった。
溶液(UO2 2+濃度3×10-3モル/l)20mlを被
吸着金属含有溶液とし、pH5.8、温度25℃、浸漬
時間5時間の条件で、実施例1,比較例1とそれぞれ同
様に操作し、得られた沈殿物量をICPにより定量し
た。結果を図4のグラフ図に併せて示す。図4に示され
るように、本発明の液体吸着剤のUO2 2+吸着量は20
〜520mg/gであり、特に液体化した卵殻膜は約5
20mg/gと極めて高かった。
【0018】〔実施例5及び比較例5〕表1に示す組成
の銅スラッジ(銅電解プロセスで発生したスラッジ)を
3倍の王水(濃塩酸:濃硝酸=3:1)に溶解させて得
た銅スラッジ王水をさらに水で10倍に希釈したもの
(金145mg/l、パラジウム5mg/l)20ml
を被吸着金属含有溶液とし、pH2.5、温度25℃、
浸漬時間6時間の条件で、実施例1,比較例1と同様の
各吸着剤についてそれぞれ同様に操作し、得られた金・
パラジウム含有沈殿物量をICPにより定量した。結果
を図5のグラフ図に併せて示す。図5に示されるよう
に、本発明の液体吸着剤は金については320〜480
mg/g、パラジウムについては420〜580mg/
gと非常に高い吸着量を示した。
の銅スラッジ(銅電解プロセスで発生したスラッジ)を
3倍の王水(濃塩酸:濃硝酸=3:1)に溶解させて得
た銅スラッジ王水をさらに水で10倍に希釈したもの
(金145mg/l、パラジウム5mg/l)20ml
を被吸着金属含有溶液とし、pH2.5、温度25℃、
浸漬時間6時間の条件で、実施例1,比較例1と同様の
各吸着剤についてそれぞれ同様に操作し、得られた金・
パラジウム含有沈殿物量をICPにより定量した。結果
を図5のグラフ図に併せて示す。図5に示されるよう
に、本発明の液体吸着剤は金については320〜480
mg/g、パラジウムについては420〜580mg/
gと非常に高い吸着量を示した。
【0019】
【表1】
【0020】次に、本発明の粉体化した生体膜吸着剤の
実施例を示す。以下の実施例6〜実施例10及び比較例
6〜比較例10において、卵殻膜、羽毛、羊毛はいずれ
も前記した前処理を施したものを原料とした。本発明品
は該原料を各々30重量%のNaOH水溶液に約20時
間浸漬し、常温で溶解させる。次に、塩酸を添加し、p
H3に調整すると粉体状のものが析出してくる。これを
ろ過し、蒸留水で洗浄し、室温で乾燥すると卵殻膜、羽
毛、羊毛の粉体状吸着剤が得られる。粒子径は10〜2
0μmである。本発明の粉体状吸着剤約0.03gを精
秤し、pH調整した被吸着金属塩の水溶液あるいは各種
廃液等の中に温度25℃で浸漬し、所要時間振とう保持
し、当該金属の吸蔵量を定量した。定量方法は、原子吸
光分析法又はプラズマ発光分析法によった。
実施例を示す。以下の実施例6〜実施例10及び比較例
6〜比較例10において、卵殻膜、羽毛、羊毛はいずれ
も前記した前処理を施したものを原料とした。本発明品
は該原料を各々30重量%のNaOH水溶液に約20時
間浸漬し、常温で溶解させる。次に、塩酸を添加し、p
H3に調整すると粉体状のものが析出してくる。これを
ろ過し、蒸留水で洗浄し、室温で乾燥すると卵殻膜、羽
毛、羊毛の粉体状吸着剤が得られる。粒子径は10〜2
0μmである。本発明の粉体状吸着剤約0.03gを精
秤し、pH調整した被吸着金属塩の水溶液あるいは各種
廃液等の中に温度25℃で浸漬し、所要時間振とう保持
し、当該金属の吸蔵量を定量した。定量方法は、原子吸
光分析法又はプラズマ発光分析法によった。
【0021】〔実施例6,比較例6〕卵殻膜、羽毛、羊
毛から得られた本発明の粉体状吸着剤30mgを、各々
HgCl2 水溶液(Hg2+濃度:3×10-3モル/l)
20mlに添加し、pH1.5,25℃、浸漬時間3時
間の条件で吸着させ、Hg2+吸着量を原子吸光分析法に
より定量した。吸着剤(g)当たりのHg2+吸着量(m
g)を図6のグラフ図に示す(実施例6)。別に上記前
処理のみを施してアルカリ溶解は行わない卵殻膜、羽
毛、羊毛それぞれについても比較のために実施例6と同
様に行い、Hg2+吸着量を定量した(比較例6)。結果
を図6に併せて示す。図6に示されるように本発明の粉
体状吸着剤は高い吸着性を有する。また、この結果か
ら、例えばHg2+を含有している一般廃水からの水銀処
理に本発明を適用できることが判る。
毛から得られた本発明の粉体状吸着剤30mgを、各々
HgCl2 水溶液(Hg2+濃度:3×10-3モル/l)
20mlに添加し、pH1.5,25℃、浸漬時間3時
間の条件で吸着させ、Hg2+吸着量を原子吸光分析法に
より定量した。吸着剤(g)当たりのHg2+吸着量(m
g)を図6のグラフ図に示す(実施例6)。別に上記前
処理のみを施してアルカリ溶解は行わない卵殻膜、羽
毛、羊毛それぞれについても比較のために実施例6と同
様に行い、Hg2+吸着量を定量した(比較例6)。結果
を図6に併せて示す。図6に示されるように本発明の粉
体状吸着剤は高い吸着性を有する。また、この結果か
ら、例えばHg2+を含有している一般廃水からの水銀処
理に本発明を適用できることが判る。
【0022】〔実施例7及び比較例7〕実施例6,比較
例6で用いたと同様の各吸着剤について、HgCl2 及
びH2SeO4 を水に溶解した水溶液(Hg2+濃度3×
10-3モル/l、Se6+ 濃度9×10-3モル/l)2
0mlを被吸着金属含有溶液とし、pH6.0、温度2
5℃、浸漬時間3時間の条件で、実施例6,比較例6と
それぞれ同様に操作し、得られた吸着量をHg2+は原子
吸光分析法、Se6+はICPにより定量した。結果を図
7のグラフ図に併せて示す。図7に示されるように本発
明の粉体状吸着剤は高い吸着性を示した。この結果か
ら、表2に示すような成分を有する脱硫廃水からのHg
2+及びSe6+の同時回収に本発明を適用できることが判
る。
例6で用いたと同様の各吸着剤について、HgCl2 及
びH2SeO4 を水に溶解した水溶液(Hg2+濃度3×
10-3モル/l、Se6+ 濃度9×10-3モル/l)2
0mlを被吸着金属含有溶液とし、pH6.0、温度2
5℃、浸漬時間3時間の条件で、実施例6,比較例6と
それぞれ同様に操作し、得られた吸着量をHg2+は原子
吸光分析法、Se6+はICPにより定量した。結果を図
7のグラフ図に併せて示す。図7に示されるように本発
明の粉体状吸着剤は高い吸着性を示した。この結果か
ら、表2に示すような成分を有する脱硫廃水からのHg
2+及びSe6+の同時回収に本発明を適用できることが判
る。
【0023】
【表2】
【0024】〔実施例8及び比較例8〕実施例6,比較
例6で用いたと同様の各吸着剤について、表3に示す金
属イオン等を含有するメッキ廃液をAu(CN)2 - 濃
度が3×10-3モル/lになるように調整した溶液20
mlを被吸着金属含有溶液とし、pH1.5、温度25
℃、浸漬時間3時間の条件で、実施例6,比較例6とそ
れぞれ同様に操作し、Au(CN)2 - 吸着量を、IC
Pにより定量した。結果を図8のグラフ図に併せて示
す。図8に示されるように本発明の粉体状吸着剤はメッ
キ廃液から高い吸着性能でAu(CN)2 - を吸着でき
るので、本発明を金の回収に適用して有利である。
例6で用いたと同様の各吸着剤について、表3に示す金
属イオン等を含有するメッキ廃液をAu(CN)2 - 濃
度が3×10-3モル/lになるように調整した溶液20
mlを被吸着金属含有溶液とし、pH1.5、温度25
℃、浸漬時間3時間の条件で、実施例6,比較例6とそ
れぞれ同様に操作し、Au(CN)2 - 吸着量を、IC
Pにより定量した。結果を図8のグラフ図に併せて示
す。図8に示されるように本発明の粉体状吸着剤はメッ
キ廃液から高い吸着性能でAu(CN)2 - を吸着でき
るので、本発明を金の回収に適用して有利である。
【0025】
【表3】
【0026】〔実施例9及び比較例9〕ウラン廃液の組
成は一例ではU(ウラン)1.5×10-7μCi/
m3 、F(フッ素)5mg/l、P(リン)5〜20m
g/lであるが、実施例4と同様にUO2 SO4 水溶液
をUO2 2+濃度が3×10-3モル/lとなるように調整
した溶液20mlを被吸着金属含有溶液とし、実施例
6,比較例6で用いたと同様の各吸着剤について、pH
5.8、温度25℃、浸漬時間5時間の条件で、実施例
6,比較例6とそれぞれ同様に操作し、得られた吸着物
量をICPにより定量した。結果を図9のグラフ図に併
せて示す。図9に示されるように本発明の粉体状吸着剤
はウラン廃液から高い吸着性能でウランを吸着できるの
で、ウランの回収に本発明を適用して有利である。
成は一例ではU(ウラン)1.5×10-7μCi/
m3 、F(フッ素)5mg/l、P(リン)5〜20m
g/lであるが、実施例4と同様にUO2 SO4 水溶液
をUO2 2+濃度が3×10-3モル/lとなるように調整
した溶液20mlを被吸着金属含有溶液とし、実施例
6,比較例6で用いたと同様の各吸着剤について、pH
5.8、温度25℃、浸漬時間5時間の条件で、実施例
6,比較例6とそれぞれ同様に操作し、得られた吸着物
量をICPにより定量した。結果を図9のグラフ図に併
せて示す。図9に示されるように本発明の粉体状吸着剤
はウラン廃液から高い吸着性能でウランを吸着できるの
で、ウランの回収に本発明を適用して有利である。
【0027】〔実施例10及び比較例5〕実施例6,比
較例6で用いたと同様の各吸着剤について、実施例5で
用いたと同じ銅スラッジ王水を水で10倍に希釈した溶
液(金145mg/l、パラジウム5mg/l)20m
lを被吸着金属含有溶液とし、pH2.5、温度25
℃、浸漬時間6時間の条件で、実施例6,比較例6とそ
れぞれ同様に操作し、得られた金・パラジウム含有吸着
物量を定量した。結果を図10のグラフ図に併せて示
す。図10に示されるように、本発明の粉体状吸着剤は
銅スラッジ廃水から金・パラジウムを高い吸着性能で吸
着できるので、金・パラジウムの回収に本発明を適用し
て有利である。
較例6で用いたと同様の各吸着剤について、実施例5で
用いたと同じ銅スラッジ王水を水で10倍に希釈した溶
液(金145mg/l、パラジウム5mg/l)20m
lを被吸着金属含有溶液とし、pH2.5、温度25
℃、浸漬時間6時間の条件で、実施例6,比較例6とそ
れぞれ同様に操作し、得られた金・パラジウム含有吸着
物量を定量した。結果を図10のグラフ図に併せて示
す。図10に示されるように、本発明の粉体状吸着剤は
銅スラッジ廃水から金・パラジウムを高い吸着性能で吸
着できるので、金・パラジウムの回収に本発明を適用し
て有利である。
【0028】以上の実施例及び比較例の結果から、1)本
発明の液体吸着剤、粉体状吸着剤はいずれも金属イオ
ン、金属化合物イオンに対して高い吸着性を有し、液体
吸着剤の場合例えば水銀に対し従来のキレート樹脂吸着
剤よりもかなり吸着性能が高いこと、2)本発明の粉体状
吸着剤は上記液体吸着剤よりも若干、g当たりの吸着量
は少ないが取扱い、商品化の上で非常に有利である。ま
た水銀に対して従来のキレート樹脂吸着剤よりもかなり
吸着性能が高い。3)本発明の方法は一般廃水はもとよ
り、メッキ廃液、電解廃液、ウラン廃液等からの金属イ
オン、金属化合物イオンの除去や回収に適用できるこ
と、が確認された。
発明の液体吸着剤、粉体状吸着剤はいずれも金属イオ
ン、金属化合物イオンに対して高い吸着性を有し、液体
吸着剤の場合例えば水銀に対し従来のキレート樹脂吸着
剤よりもかなり吸着性能が高いこと、2)本発明の粉体状
吸着剤は上記液体吸着剤よりも若干、g当たりの吸着量
は少ないが取扱い、商品化の上で非常に有利である。ま
た水銀に対して従来のキレート樹脂吸着剤よりもかなり
吸着性能が高い。3)本発明の方法は一般廃水はもとよ
り、メッキ廃液、電解廃液、ウラン廃液等からの金属イ
オン、金属化合物イオンの除去や回収に適用できるこ
と、が確認された。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば従来の生体膜吸着剤に比
較して生体膜原料単位重量当りの吸着量が大きいので、
吸着性能の向上とともに、装置サイズの縮小が図れる。
また、吸着条件を被吸着金属種に対応した適切な溶液p
Hにすることにより、金属の選択的な吸着・脱離が可能
となる。さらに、原料として安価かつ大量に調達できる
卵殻膜や羽毛、羊毛を用いるので生産コスト上有利であ
るに加え、原料そのものが廃棄物として適切な処理を要
するものでもあるため、資源再利用として非常に望まし
い方法及び金属吸着剤である。従って本発明は、廃水中
の水銀処理、廃水中の水銀とセレンの同時吸着処理、メ
ッキ廃液中のシアン化金の回収、廃水中のウラン回収、
銅スラッジ王水液からの金、パラジウム回収等に用いて
有利である。
較して生体膜原料単位重量当りの吸着量が大きいので、
吸着性能の向上とともに、装置サイズの縮小が図れる。
また、吸着条件を被吸着金属種に対応した適切な溶液p
Hにすることにより、金属の選択的な吸着・脱離が可能
となる。さらに、原料として安価かつ大量に調達できる
卵殻膜や羽毛、羊毛を用いるので生産コスト上有利であ
るに加え、原料そのものが廃棄物として適切な処理を要
するものでもあるため、資源再利用として非常に望まし
い方法及び金属吸着剤である。従って本発明は、廃水中
の水銀処理、廃水中の水銀とセレンの同時吸着処理、メ
ッキ廃液中のシアン化金の回収、廃水中のウラン回収、
銅スラッジ王水液からの金、パラジウム回収等に用いて
有利である。
【図1】本発明の実施例1及び比較例1で得られた各種
吸蔵剤と水銀吸蔵量の関係を表わすグラフ図。
吸蔵剤と水銀吸蔵量の関係を表わすグラフ図。
【図2】本発明の実施例2及び比較例2で得られた各種
吸蔵剤と水銀とセレンの吸蔵量の関係を表わすグラフ
図。
吸蔵剤と水銀とセレンの吸蔵量の関係を表わすグラフ
図。
【図3】本発明の実施例3及び比較例3で得られた各種
吸蔵剤とAu(CN)2 吸蔵量の関係を表わすグラフ
図。
吸蔵剤とAu(CN)2 吸蔵量の関係を表わすグラフ
図。
【図4】本発明の実施例4及び比較例4で得られた各種
吸蔵剤とウラン吸蔵量の関係を表わすグラフ図。
吸蔵剤とウラン吸蔵量の関係を表わすグラフ図。
【図5】本発明の実施例5及び比較例5で得られた各種
吸蔵剤と金とパラジウムの吸蔵量の関係を表わすグラフ
図。
吸蔵剤と金とパラジウムの吸蔵量の関係を表わすグラフ
図。
【図6】本発明の実施例6及び比較例6で得られた各種
吸蔵剤と水銀の吸蔵量の関係を表わすグラフ図。
吸蔵剤と水銀の吸蔵量の関係を表わすグラフ図。
【図7】本発明の実施例7及び比較例7で得られた各種
吸蔵剤と水銀とセレンの吸蔵量の関係を表わすグラフ
図。
吸蔵剤と水銀とセレンの吸蔵量の関係を表わすグラフ
図。
【図8】本発明の実施例8及び比較例8で得られた各種
吸蔵剤とAu(CN)2 の吸蔵量の関係を表わすグラフ
図。
吸蔵剤とAu(CN)2 の吸蔵量の関係を表わすグラフ
図。
【図9】本発明の実施例9及び比較例9で得られた各種
吸蔵剤とウランの吸蔵量の関係を表わすグラフ図。
吸蔵剤とウランの吸蔵量の関係を表わすグラフ図。
【図10】本発明の実施例10及び比較例10で得られ
た各種吸蔵剤と金とパラジウムの吸蔵量の関係を表わす
グラフ図。
た各種吸蔵剤と金とパラジウムの吸蔵量の関係を表わす
グラフ図。
【手続補正書】
【提出日】平成7年12月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正内容】
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段として、本発明は 1)卵殻膜、羽毛及び羊毛か
ら選ばれる1種以上を原料とし、該原料をアルカリ液に
溶解させた後、酸で中和することにより得られた溶解液
を吸着剤として金属イオンまたは金属化合物イオンを吸
着させることを特徴とする金属吸蔵方法、及び 2)卵
殻膜、羽毛及び羊毛から選ばれる1種以上を原料とし、
該原料をアルカリ液に溶解させた後に液性を酸性にする
ことにより生成する粉体状析出物を吸着剤として金属イ
オンまたは金属化合物イオンを吸着させることを特徴と
する金属吸蔵方法、及び 3)卵殻膜、羽毛及び羊毛か
ら選ばれる1種以上を原料とし、該原料をアルカリ液に
溶解させた後に液性を酸性にすることにより生成する粉
体状析出物からなることを特徴とする金属吸着剤、を提
供する。
の手段として、本発明は 1)卵殻膜、羽毛及び羊毛か
ら選ばれる1種以上を原料とし、該原料をアルカリ液に
溶解させた後、酸で中和することにより得られた溶解液
を吸着剤として金属イオンまたは金属化合物イオンを吸
着させることを特徴とする金属吸蔵方法、及び 2)卵
殻膜、羽毛及び羊毛から選ばれる1種以上を原料とし、
該原料をアルカリ液に溶解させた後に液性を酸性にする
ことにより生成する粉体状析出物を吸着剤として金属イ
オンまたは金属化合物イオンを吸着させることを特徴と
する金属吸蔵方法、及び 3)卵殻膜、羽毛及び羊毛か
ら選ばれる1種以上を原料とし、該原料をアルカリ液に
溶解させた後に液性を酸性にすることにより生成する粉
体状析出物からなることを特徴とする金属吸着剤、を提
供する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C02F 1/62 ZAB C02F 1/62 ZABZ (72)発明者 福永 正美 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 鈴村 洋 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 岡田 等 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島研究所内 (72)発明者 生田 義明 神奈川県横浜市西区みなとみらい三丁目3 番1号 菱和エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 谷中 佑吉 神奈川県横浜市西区みなとみらい三丁目3 番1号 菱和エンジニアリング株式会社内
Claims (10)
- 【請求項1】 卵殻膜、羽毛及び羊毛から選ばれる1種
以上を原料とし、該原料をアルカリ液に溶解させた後、
酸で中和することにより得られた溶解液を吸着剤として
金属イオンまたは金属化合物イオンを吸着させることを
特徴とする金属吸蔵方法。 - 【請求項2】 卵殻膜、羽毛及び羊毛から選ばれる1種
以上を原料とし、該原料をアルカリ液に溶解させた後に
液性を酸性にすることにより生成する粉体状析出物を吸
着剤として金属イオンまたは金属化合物イオンを吸着さ
せることを特徴とする金属吸蔵方法。 - 【請求項3】 上記金属イオンまたは金属化合物イオン
が、金、水銀、鉄、コバルト、ニッケル、白金、ロジウ
ム、銅、亜鉛、銀、カドミウム、カルシウム、及びラン
タノイド元素のうちプラセオジム、ネオジム、サマリウ
ム、ガドリニウムのイオン及びこれら金属の化合物のイ
オンからなる群れから選ばれる1種以上であることを特
徴とする請求項1または請求項2記載の金属吸蔵方法。 - 【請求項4】 請求項1または請求項2に記載の吸着剤
により廃液中の水銀を処理することを特徴とする金属吸
蔵方法。 - 【請求項5】 請求項1または請求項2に記載の吸着剤
により廃水中の水銀及びセレンを同時に吸着することを
特徴とする金属吸蔵方法。 - 【請求項6】 請求項1または請求項2に記載の吸着剤
によりメッキ廃液中のシアン化金を回収することを特徴
とする金属吸蔵方法。 - 【請求項7】 請求項1または請求項2に記載の吸着剤
により廃液中のウランを回収することを特徴とする金属
吸蔵方法。 - 【請求項8】 請求項1または請求項2に記載の吸着剤
により銅スラッジ王水液から貴金属を回収することを特
徴とする金属吸蔵方法。 - 【請求項9】 上記貴金属が金及び/またはパラジウム
であることを特徴とする請求項8記載の金属吸蔵方法。 - 【請求項10】卵殻膜、羽毛及び羊毛から選ばれる1種
以上を原料とし、該原料をアルカリ液に溶解させた後に
液性を酸性にすることにより生成する粉体状析出物から
なることを特徴とする金属吸着剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30289695A JPH09141003A (ja) | 1995-11-21 | 1995-11-21 | 金属吸蔵方法及び金属吸着剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30289695A JPH09141003A (ja) | 1995-11-21 | 1995-11-21 | 金属吸蔵方法及び金属吸着剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09141003A true JPH09141003A (ja) | 1997-06-03 |
Family
ID=17914418
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30289695A Pending JPH09141003A (ja) | 1995-11-21 | 1995-11-21 | 金属吸蔵方法及び金属吸着剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH09141003A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005072863A1 (ja) * | 2004-01-29 | 2005-08-11 | Muromachi Chemicals Inc. | 貴金属吸着剤およびこれを使用した貴金属吸着方法ならびに貴金属回収方法 |
JP2008127604A (ja) * | 2006-11-17 | 2008-06-05 | Kyushu Univ | 貴金属元素の回収方法 |
CN103482799A (zh) * | 2013-10-15 | 2014-01-01 | 无锡艾科瑞思产品设计与研究有限公司 | 一种用瓜子皮吸附水中铜离子的方法 |
JP2016196561A (ja) * | 2015-04-03 | 2016-11-24 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 | セリシン−リン酸銅ハイブリッド構造体及びその製造方法並びに重金属イオン吸着剤 |
CN108310988A (zh) * | 2018-01-31 | 2018-07-24 | 天津科技大学 | 高性能pu/pvb/ff过滤膜 |
-
1995
- 1995-11-21 JP JP30289695A patent/JPH09141003A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005072863A1 (ja) * | 2004-01-29 | 2005-08-11 | Muromachi Chemicals Inc. | 貴金属吸着剤およびこれを使用した貴金属吸着方法ならびに貴金属回収方法 |
JP2008127604A (ja) * | 2006-11-17 | 2008-06-05 | Kyushu Univ | 貴金属元素の回収方法 |
CN103482799A (zh) * | 2013-10-15 | 2014-01-01 | 无锡艾科瑞思产品设计与研究有限公司 | 一种用瓜子皮吸附水中铜离子的方法 |
JP2016196561A (ja) * | 2015-04-03 | 2016-11-24 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 | セリシン−リン酸銅ハイブリッド構造体及びその製造方法並びに重金属イオン吸着剤 |
CN108310988A (zh) * | 2018-01-31 | 2018-07-24 | 天津科技大学 | 高性能pu/pvb/ff过滤膜 |
CN108310988B (zh) * | 2018-01-31 | 2021-01-26 | 天津科技大学 | 高性能pu/pvb/ff过滤膜 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040302 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20040629 |