JPH09140984A - 洗濯機 - Google Patents

洗濯機

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JPH09140984A
JPH09140984A JP7310865A JP31086595A JPH09140984A JP H09140984 A JPH09140984 A JP H09140984A JP 7310865 A JP7310865 A JP 7310865A JP 31086595 A JP31086595 A JP 31086595A JP H09140984 A JPH09140984 A JP H09140984A
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laundry
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dehydrating tub
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 洗濯物9を洗浄するための洗浄液を洗濯兼脱
水槽4の外部に排出する排出孔を有して設けられ、ノズ
ル10によって洗濯兼脱水槽4内の洗濯物9に対し洗浄
液を噴射して供給するとともに、洗濯兼脱水槽4に設け
られた排出孔を介して排出された洗浄液をポンプ13に
よって循環させる洗濯機において、洗濯物9の洗浄度に
優れるとともに、洗浄度の均一性に優れた洗濯機を提供
する。 【解決手段】 交流電力を発生して洗濯兼脱水槽4を回
転駆動する駆動モータ5に印加するインバータ回路44
を、上記交流電力の電圧および周波数をそれぞれ可変し
得るように設け、上記電圧および周波数を制御して駆動
モータ5の回転数および回転方向を設定する主制御部4
7を、洗濯物9の洗いおよびすすぎ工程において洗濯兼
脱水槽4の回転数を少なくとも2種の間で変化させるよ
うに設け、洗濯物9が洗濯兼脱水槽4の内壁に押し付け
られる遠心力を変化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有底筒状の洗濯槽
内に保持した洗濯物に洗剤液やすすぎ水等の洗浄液を噴
射するとともに、洗濯槽を回転することによって洗濯物
を洗浄する洗濯機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、洗濯機としては、洗濯物を入れた
洗濯槽内を洗剤液やすすぎ水等の洗浄液で満たし、洗濯
槽の底部に設けられた攪拌翼の回転により水流を発生さ
せることによって洗濯物を攪拌して洗浄する洗濯機が主
流となっている。
【0003】これに対して、最近は、より一層の洗浄性
能の向上と洗浄のための使用水量の低減を図るために、
例えば、特開平6-31088 号公報に記載されているよう
に、洗濯物を入れた洗濯槽を回転させながら、ポンプに
よって洗浄液を洗濯物に吹き付けることによって洗濯物
を洗浄する洗濯機が提案されている。
【0004】上記構成の洗濯機では、ポンプにより加圧
された洗浄液が、洗濯槽に設けられたノズルから洗濯物
に向けて噴射される。そして、噴射された洗浄液が、洗
濯物の布地の編み目を通過することによって、洗濯物の
布地を構成する繊維に付着した汚れを離脱して洗浄す
る。それとともに、洗濯槽の回転による生じる遠心力に
よって、洗濯物を洗濯槽の内壁に押し付けて、いわゆる
押し付け洗いによって、洗濯物を効率良く洗浄する。こ
のため、上記構成では、従来の攪拌翼を用いた洗濯機の
ように洗濯物を攪拌しないので、洗濯物の布がらみが少
なくなり、洗濯物の痛みや布のほつれが緩和される。
【0005】また、上記構成の洗濯機では、従来のよう
に洗濯物を洗剤液の中に浸す必要がない。従って、多量
の洗剤液を洗濯槽に入れる必要がなく、少量の洗剤液で
洗浄を行うことができる。さらに、従来の洗濯機では、
多量の水を洗濯槽に入れて洗濯物を水の中に浸してすす
ぎを行う必要があったが、上記構成によれば、少量の水
を噴射することによってすすぎを行うことができる。
【0006】しかも、噴射された洗剤液やすすぎ水等の
洗浄液は回収されて、ポンプ等を用いて再びノズルに送
られ、繰り返し使用されるので、洗浄液の無駄が軽減さ
れる。また、槽の回転方向を正逆反転させたときには、
洗濯物同士の擦れ合いによる擦れ洗い効果によってさら
に洗浄度を向上させることができる。
【0007】上述のような、洗濯物を洗濯槽に入れて、
洗濯物に洗浄液を噴射するとともに、洗濯槽を回転する
ことによって洗濯物を洗浄する洗濯機は、従来の攪拌翼
の回転を利用した洗濯機とは異なり、洗浄液の噴射によ
って洗濯物を洗浄する洗浄効果(以下、押し洗い効果と
称する)と、洗濯槽を回転させることにより洗濯物を遠
心力で洗濯槽の側面に押し付けて洗濯物を洗浄する効
果、即ち押し付け洗い効果との両方を利用したものとな
っている。
【0008】ここで、洗濯槽内の洗濯物が、洗濯槽の回
転によって受ける遠心力について考察する。遠心力F
は、一般的に、 F=(W/g)・r・(2πN/60)2 ………(1) (W:洗濯物の重量(kg)、g=9.8(m/sec2) 、r:洗濯
槽の半径(m) 、N:洗濯槽の回転数)となる。r は定数
であるから、上式より、遠心力Fは、洗濯槽の回転数の
2乗に比例し、洗濯物の重量に比例することが分かる。
洗濯物は、この遠心力Fによって洗濯槽の内壁に押し付
けられることになる。
【0009】押し洗い効果は、洗濯物の表面に洗浄液が
直接噴射される程度が大きくなるほど大きくなり、洗浄
度も向上する。即ち、洗濯槽の回転数を高くした場合に
は、洗濯物の遠心力による洗濯槽壁面への押し付け力が
大きく、洗濯槽を回転させても洗濯物の位置が変わりに
くく、布替わりが起こりにくい。従って、洗浄液が噴射
される槽の上部に位置する洗濯物の表面にのみ洗浄液が
当たり、内部には洗浄液が当たらない。このため、内部
の洗濯物については、押し洗い効果が小さくなる。
【0010】これに対して、洗濯槽の回転数を低く設定
すると、遠心力による洗濯槽壁面への押し付け力が弱め
られ、洗濯物が自由に動きやすくなり、全ての洗濯物に
対して均等に押し洗い効果が得られる。即ち、遠心力を
小さくするほど、洗濯物に対する押し洗い効果を均一に
することができる。
【0011】一方、押し付け洗い効果は、洗濯物の遠心
力による洗濯槽壁面への押し付け力に比例するので、遠
心力が大きいほど大きくなる。即ち、洗濯槽の回転数を
高くした場合には、遠心力による洗濯槽壁面への押し付
け力が大きいので、洗浄度が向上する。これに対して、
洗濯槽の回転数を低く設定すると、遠心力による洗濯槽
壁面への押し付け力が弱められ、洗浄度が低下する。
【0012】上記構成の洗濯機の洗濯槽を回転駆動する
駆動手段として、従来は、交流電源に接続された単相の
リバーサル誘導モータが用いられている。そして、通
常、モータと洗濯槽の回転軸は直結されず、洗濯槽の回
転軸側に減速ギヤを取り付けて、プーリを用いたベルト
による間接駆動方式によって洗濯槽が駆動される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の構成では、駆動手段として誘導モータを使用してお
り、交流電源の周波数によってその同期回転数が決めら
れる。従って、洗濯槽の回転数が一義的に決められ、一
定となっている。
【0014】このため、回転数を高く設定した場合に
は、遠心力が大きくなり押し付け洗いの効果は増大する
が、洗濯物が槽の外周部に集まってしまい、布替わりが
起こりにくくなる。従って、洗浄液の当たる位置が変わ
りにくくなり、洗浄液の噴射による押し洗い効果が不均
一となり、位置によって洗浄度のばらつきを生じてい
た。
【0015】逆に、回転数を低く設定した場合には、遠
心力が小さくなり、洗濯物が槽の中心部に集まって、布
替わりがしやすくなるため、洗浄液が各洗濯物に均等に
噴射され、押し洗い効果が均一となり、洗浄度のばらつ
きがなくなる。しかしながら、洗濯槽壁面での押し付け
洗い効果が小さくなり、洗浄度が低下していた。
【0016】即ち、上記従来の構成では、押し付け洗い
の効果の増大と、押し洗い効果の均一化を両立できない
ため、洗濯物の洗浄度が劣っていたり、不均一であった
りするという欠点を有している。
【0017】本発明の目的は、洗濯物の洗浄度に優れる
とともに、洗浄度の均一性に優れた洗濯機を提供するこ
とにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の洗
濯機は、上記の課題を解決するために、洗濯物を洗浄す
るための回転槽が、洗濯物を洗浄するための洗浄液を回
転槽の外部に排出する排出孔を有して設けられ、洗濯物
に対し洗浄液を噴射して供給する洗浄手段が設けられ、
排出孔を介して排出された洗浄液を回転槽内に循環させ
るための循環手段が、上記洗浄液を洗浄手段に輸送する
ように設けられ、交流電力によって回転槽を回転駆動す
るモータが、上記回転槽内の洗濯物を回転槽の内壁に対
し遠心力によって押し付け得るように設けられ、交流電
力を発生してモータに印加するインバータが、上記交流
電力の電圧および周波数をそれぞれ可変し得るように設
けられ、上記インバータが出力する交流電力の電圧およ
び周波数を制御してモータの回転数および回転方向を設
定する制御手段が、洗濯物の洗いおよびすすぎ工程にお
いて回転槽の回転数を少なくとも2種の間で変化させる
ように設けられていることを特徴としている。
【0019】上記構成によれば、上記制御手段は、回転
槽の回転数を少なくとも2種の間で変化させる。従っ
て、回転槽の回転数が高い方の回転数であるときに洗濯
物の遠心力が大きくなり、押し付け洗い効果によって効
率的に洗浄が行われる。また、回転槽の回転数が低い方
の回転数であるときに、洗濯物の遠心力が小さく、洗濯
物の布替わりが促進されるので、押し洗い効果を均一化
することができる。これにより、洗浄効果の向上と、洗
浄度の均一化を両立することができる。
【0020】さらに、回転槽の回転数が低い方の回転数
であるときには、洗濯物の移動が促進されるので、洗浄
液の噴射による押し洗い効果だけでなく、洗濯物が移動
して互いに擦れ合うことにより洗浄される擦れ洗い効果
も得ることができる。これにより、押し洗い効果、押し
付け洗い効果、擦れ洗い効果と3種類の洗浄効果を利用
することができるので、多様な汚れに対応することがで
きる。その結果、洗浄効果をさらに向上させることがで
きる。
【0021】請求項2記載の発明の洗濯機は、上記の課
題を解決するために、請求項1記載の洗濯機において、
制御手段は、回転槽の回転数が立ち上がるときの所定期
間は、上記交流電力の電圧/周波数の比を通常回転時の
設定値より高くするようになっていることを特徴として
いる。
【0022】上記構成によれば、回転槽の回転数を急速
に上昇させることができるので、さらに洗濯物の布替わ
りを促進することができ、洗浄効果を向上させることが
できる。
【0023】すなわち、攪拌翼を用いずに、回転槽を回
転させて洗濯する場合、モータ側から見た負荷が、以下
の点で大きく異なっている。回転槽の素材としては、ス
テンレスが主流となっており、バランサ等も含めると、
約11kgとかなり重くなっている。また、回転槽の外
径もφ400mm〜500mmと大きい。このため、回
転槽の慣性モーメントが大きく、回転槽の起動時に回転
数が上昇しにくいという問題があった。
【0024】請求項2記載の構成によれば、回転槽の回
転数が立ち上がるときの所定期間、交流電力の電圧/周
波数の比を通常回転時の設定値より高くするため、回転
槽の駆動トルクを通常回転時よりも大きくすることがで
きる。このため、慣性モーメントの大きい回転槽を回転
させやすくなり、目標回転数に到達するまでの時間も短
縮できる。また、回転起動時に、最初に回転槽の回転数
だけが迅速に目標回転数に到達し、洗濯物が遅れて回転
するため、洗濯物が相対的に回転槽の回転方向と逆に動
きやすく、布替わりが起きやすくなる。
【0025】請求項3記載の発明の洗濯機は、上記の課
題を解決するために、請求項1記載の洗濯機において、
制御手段は、回転槽を減速するときに上記交流電力の電
圧/周波数の比を徐々に低くするようになっていること
を特徴としている。
【0026】上記構成によれば、回転している回転槽に
電気的な制動がかかり、回転槽を確実に停止させること
ができる。
【0027】すなわち、従来は、回転槽の回転方向を切
り替える場合、回転槽を駆動するモータの印加電圧の電
圧/周波数比の大きさを一定にしたまま、瞬間的に切り
替えを行っていた。このため、回転槽の停止期間がな
く、回転槽の回転方向を変えるときには、ギヤ、プーリ
とベルト、モータの回転軸等に過大な力が加わり、信頼
性および寿命を著しく損なっていた。また、プーリとベ
ルトの間に滑りが生じて、発熱や磨耗を生じるという問
題点があった。
【0028】上記請求項3記載の構成によれば、回転槽
の回転方向を切り替えるまでの減速時の所定期間、モー
タに印加する交流電力の電圧/周波数比を徐々に下げて
いく。これにより、回転している回転槽に電気的な制動
がかかり、回転槽を確実に停止させることができる。従
って、その後回転槽を逆方向に回転し始めたときに、ギ
ヤ、プーリとベルト、モータの回転軸等に大きな力が加
わることが抑制できる。このため、プーリとベルトの滑
りが軽減でき、プーリとベルトの伝達効率の低下を防止
することができる。また、プーリやベルトの磨耗や発熱
を回避することができ、ベルトの寿命を向上させること
ができる。その上、ギヤやモータの回転軸の負荷も軽減
され、信頼性や寿命を向上させることができる。
【0029】請求項4記載の発明の洗濯機は、上記の課
題を解決するために、請求項3記載の洗濯機において、
制御手段は、回転槽を減速するときにインバータの出力
を所定期間停止するようになっていることを特徴として
いる。
【0030】上記構成によれば、回転槽を確実に停止さ
せることができるだけでなく、常に交流電力を印加する
必要がないので、省電力化することができる。
【0031】すなわち、回転槽は、前述のように、慣性
モーメントが大きいため、一度回転しだすと停止させに
くい。そのため、回転槽の回転方向を切り替える際、モ
ータへの印加電圧を0にしてそのままにしておくと、モ
ータのロータは拘束されずにフリー状態となり、慣性の
大きな回転槽は回転し続ける。このため、回転槽が停止
するまでに時間がかかり、回転槽の回転方向の切り替え
を迅速に行うことができない。その結果、布替わりが起
こりにくくなり、洗浄効果が低下したり、不均一になっ
たりする。
【0032】上記請求項4記載の構成によれば、例え
ば、回転槽を減速するときに、まずインバータの出力を
停止し、回転槽が減速し始めてから、再度インバータを
出力して、電圧/周波数比を徐々に減少させていく。こ
れにより、上記請求項3記載の構成と同様に回転槽を確
実に停止させることができるだけでなく、常に交流電力
を印加する必要がないので、省電力化することができ
る。
【0033】請求項5記載の発明の洗濯機は、上記の課
題を解決するために、請求項1記載の洗濯機において、
インバータは、モータを制動するために直流電力も発生
し得るようになっており、制御手段は、回転槽を減速す
るときにインバータから直流電力をモータに所定期間印
加させるようになっていることを特徴としている。
【0034】上記構成によれば、回転槽を減速するとき
に、インバータからモータに直流を印加して直流制動を
かけて、回転槽を停止させる。これにより、強い制動を
与えることができるので、さらに迅速に回転槽を停止さ
せることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態について図
1ないし図9に基づいて説明すれば、以下の通りであ
る。本発明に係る洗濯機では、図1に示すように、筐体
1内に、外水槽3が、吊棒2a・2bによって吊り上げ
られて支持されている。筐体1内には、衣類等の洗濯物
9を収容する洗濯兼脱水槽(回転槽)4が、外水槽3に
対し回転自在に保持されている。また、洗濯兼脱水槽4
の上面には、洗濯物9を収容したり、取り出したりする
ための開口部が設けられている。上記開口部の周辺部に
は、洗濯兼脱水槽4の回転を安定化させるためのリング
状のバランサ18が取り付けられている。
【0036】洗濯兼脱水槽4の底部の外側には、洗濯兼
脱水槽4を回転駆動するための駆動モータ(モータ)5
が設けられている。本実施の形態においては、駆動モー
タ5として、三相誘導モータを用いている。駆動モータ
5の駆動力は、モータ側プーリ6a、槽側プーリ6b、
および、洗濯兼脱水槽4の底部に取り付けられた減速ギ
ヤ8を介して洗濯兼脱水槽4に伝達される。これによ
り、洗濯兼脱水槽4は、駆動モータ5の回転数よりも低
い回転数で回転する。また、、駆動モータ5には、洗濯
兼脱水槽4の回転数および回転方向を制御するために駆
動モータ5のV/F値(電圧/周波数の比)を制御する
制御部19が接続されている。
【0037】洗濯兼脱水槽4は、肉厚の薄い金属板で構
成され、上方に向かうに従い徐々に径が増大する有底円
筒状材料に対して、その上端部付近に多数の排出孔が設
けられてなっている。上記排出孔は、洗濯兼脱水槽4が
回転したときに、洗濯兼脱水槽4内の洗剤液やすすぎ水
等の洗浄液を、遠心力によって外水槽3に排出できるよ
うに設けられている。また、該洗濯兼脱水槽4の開口部
から内部に向かって、洗濯兼脱水槽4内の洗濯物9に向
けて洗浄液を噴射するためのノズル(洗浄手段)10が
差し込まれている。
【0038】外水槽3は、洗濯兼脱水槽4から排出され
た洗浄液を集めて、洗浄時およびすすぎ時にはノズル1
0へ戻し、排水時または脱水時には下水管等へ排出する
ものである。外水槽3は、洗濯兼脱水槽4の外側を覆う
ように設けられた有底円筒状材料であり、その底面に
は、洗浄液を排出するための排水孔11が設けられてい
る。排水孔11は、排出された洗浄液をノズル10へ戻
すための配管12、および、洗浄液を下水管等へ送るた
めの排水管15に接続されている。そして、排水管15
には、排水時または脱水時にのみ、洗浄液を下水管等へ
送るための排水弁14が取り付けられている。
【0039】また、配管12には、洗浄液を加圧してノ
ズル10へ送るためのポンプ(循環手段)13が取り付
けられている。配管12は、給水弁17を介してノズル
10に接続されており、洗浄時にのみ、洗浄液をノズル
10へ送るようになっている。給水弁17には、すすぎ
のための水を給水する給水管16が接続されており、給
水管16は、例えば各家庭の水道に接続されている。そ
して、給水弁17は、給水時にのみ、水をノズル10へ
送るようになっている。また、給水弁17は、ノズル1
0へ送る水の量を調節できるようになっている。
【0040】以下、上記構成の洗濯機の洗浄時、すすぎ
時および脱水時の動作について、簡単に説明する。洗浄
時には、まず、洗浄液および洗濯物9を洗濯兼脱水槽4
に入れる。このとき、洗浄液の量は、液面が洗濯物9の
上端付近となるようにしておくとよい。洗浄液の量が多
すぎると、ノズル10から噴射された洗浄液が洗濯物9
に当たることによる押し洗い効果が得られにくくなる。
また、洗浄液の量が少なすぎると、洗濯物9に洗浄液が
浸透しにくくなって洗浄効果が低下したり、洗濯物9の
間に洗浄液の層を形成しにくくなって布替わりが起こり
にくくなったりする。
【0041】次に、モータ5を起動して洗濯兼脱水槽4
の回転を開始するとともに、ポンプ13を始動する。こ
れにより、洗濯兼脱水槽4内の洗浄液は、遠心力によっ
て飛び散り、洗濯兼脱水槽4の排出孔から排出されて、
ポンプ13に送られる。そして、ポンプ13は洗浄液を
加圧して、ノズル10から噴射する。
【0042】噴射された洗浄液は、洗濯物9に当たって
押し洗い効果によって洗濯物9を洗浄する。また、洗濯
物9に当たった洗浄液は、洗濯物9に浸透した後、洗濯
物9が洗濯兼脱水槽4の内壁に強く押し付けられたとき
に滲み出し、押し付け洗い効果によって洗濯物9を洗浄
する。また、噴射された洗浄液は、遠心力によって飛び
散り、洗濯兼脱水槽4の排出孔から排出されて、再びポ
ンプ13に送られる。このようにして、洗浄液が循環さ
れるので、洗浄液が無駄になることがない。
【0043】次に排水を行う。即ち、排水弁14を開い
て、洗濯兼脱水槽4内の洗浄後の洗浄液を下水管等へ送
る。続いて、洗浄液を全て排出した後、給水弁17を開
いて、水をノズル10へ送り、洗濯兼脱水槽4への給水
を行う。このときも、洗浄液と同様に、水量は、液面が
洗濯物9の上端付近となるようにしておくとよい。
【0044】そして、洗浄時と同様に、モータ5を起動
して洗濯兼脱水槽4の回転を開始するとともに、ポンプ
13を始動する。これにより、すすぎ水がノズル10か
ら噴射され、押し洗い効果と押し付け洗い効果とによっ
て、洗濯物9のすすぎが行われる。
【0045】すすぎが終了すると、再び排水弁14を開
いて、洗濯兼脱水槽4内のすすぎ水を下水管等へ送り、
排水する。そして、排水弁14を開いたまま、洗濯兼脱
水槽4を高速で回転して、洗濯物を脱水する。以上のよ
うにして、洗濯が終了する。
【0046】以下、洗濯時およびすすぎ時の洗濯兼脱水
槽4の回転数制御について説明する。まず、洗濯兼脱水
槽4の回転数を高速、例えば300 rpm にした場合につい
て考えてみる。この場合には、図2(a)に示すよう
に、洗濯兼脱水槽4内の洗濯物9が、強い遠心力を受け
て、洗濯兼脱水槽4の内側の側壁に押し付けられる。こ
のため、図2(b)に示すように、洗濯物9と洗濯兼脱
水槽4は一緒に回転し、洗濯物9の表面にノズル10よ
り噴射された洗浄液が当たり、洗濯される。また、洗濯
物9は洗濯兼脱水槽4の内側の側壁に押し付けられてい
るので、この押し付け洗いの効果により、洗浄力が向上
している。しかしながら、この場合、洗濯物9が洗濯兼
脱水槽4に押し付けられて、ほとんど移動できない状態
になっている。このため、洗濯兼脱水槽4の回転数を高
速にしたままでは、洗濯物9が移動できないので、ノズ
ル10より噴射された洗浄液が、常に洗濯物9の同じ位
置に当たるため、洗濯物9の洗浄度が不均一となってい
た。
【0047】そこで、本実施の形態の構成では、洗濯時
およびすすぎ時には、洗濯兼脱水槽4の回転数を、2種
類以上の回転数の間で交互に変化させる。具体的には、
洗濯兼脱水槽4の回転数は、例えば100rpm〜300 rpm の
範囲内に制御される。尚、洗濯兼脱水槽4は、脱水時に
は 1000rpmの回転数で定速回転される。
【0048】遠心力は回転数の2乗に比例するので、洗
濯兼脱水槽4の回転数を低速、例えば100 rpm にした場
合には遠心力が小さくなるので、図3(a)に示すよう
に、洗濯物9が洗濯兼脱水槽4の内側壁に押し付けられ
る力も小さくなる。また、洗浄液は、高速回転時のよう
に洗濯兼脱水槽4の内側壁に偏在することがなく、洗濯
兼脱水槽4の内側壁と洗濯物9の間に層を形成すること
ができる。このため、図3(b)に示すように、洗濯物
9は洗濯兼脱水槽4と一緒には回転せず、自由に移動で
きるようになる。これにより、ノズル10より噴射され
た洗浄液が洗濯物9に均等に当たるので、洗濯物9の洗
浄度が均一となる。また、押し付け洗いに比べると洗浄
力は落ちるが、洗濯物9が移動して、洗濯物9同士が擦
れ合うことによる擦れ洗い効果によって洗浄を行うこと
もできる。
【0049】以上のように、上記構成では、洗濯兼脱水
槽4の回転数を、2種類以上の回転数の間で交互に変化
させる。従って、洗濯兼脱水槽4の回転数が高い方の回
転数(本実施の形態では300rpm)であるときには遠心力
による押し付け洗いの効果を最大限に利用でき、低い方
の回転数(本実施の形態では100rpm)であるときには洗
濯物9の布替わりを促進し、押し洗い効果を均一化する
ことができる。これにより、洗浄効果の向上と、洗浄度
の均一化を両立することができる。
【0050】また、本実施の形態では、洗濯兼脱水槽4
を急起動、急停止させることによって、洗濯物9の布替
わりを促進する。即ち、洗濯兼脱水槽4を急起動させる
と、洗濯兼脱水槽4が最初に回転し、洗濯兼脱水槽4内
の洗浄液は静止しようとするので、この回転により水流
が生じ、水流によって洗濯物9が移動する。また、洗濯
兼脱水槽4を急停止させると、洗濯兼脱水槽4が最初に
停止し、槽内の洗濯物9は慣性で回転し続けようとして
移動する。このように、洗濯兼脱水槽4を急起動、急停
止させることにより、さらに洗濯兼脱水槽4内の洗濯物
9の位置が変わる布替わりを促進することができるの
で、洗浄度をさらに均一化することができる。洗濯兼脱
水槽4を急起動、急停止させる方法については、後述す
る。
【0051】次に、洗濯兼脱水槽4の回転を制御するた
めの制御部19について、図4を用いて説明する。図4
(a)の構成では、商用交流電源41で発生された交流
が、ダイオードブリッジ42aで全波整流された後、平
滑コンデンサ43で直流に変換されて、インバータ回路
44に入力される。尚、ダイオードブリッジ42aで全
波整流を行う代わりに、図4(b)に示すように、全波
整流ダイオード回路42bで全波整流を行った後、さら
に倍電圧コンデンサ45a・45bで倍電圧整流しても
よい。このようにして整流された交流が、平滑コンデン
サ43で直流に変換されて、インバータ回路44に入力
される。尚、商用交流電源41とダイオードブリッジ4
2の間には、力率を改善するためのチョークコイル46
が挿入されている。
【0052】主制御部(制御手段)47では、洗濯兼脱
水槽4の定速回転時の回転数、および、洗濯兼脱水槽4
の回転方向を切り替える周期を設定する。V/F設定部
48は、設定された洗濯兼脱水槽4の定速回転時の回転
数、洗濯兼脱水槽4の回転方向を切り替える周期、およ
び回転数検出部50で検出された回転数から、対応する
V/F値を求める。
【0053】V/F設定部48は、求められたV/F値
に基づいてPWM(pulse width modulation)信号を生成
し、インバータ駆動回路49に出力する。インバータ駆
動回路49は、PWM信号に基づいてインバータ回路4
4内のスイッチング素子を駆動することによって、平滑
コンデンサ43から入力された直流から、求められたV
/F値を有する疑似正弦波、すなわち交流を生成する。
そして、生成された交流は、駆動モータ5に印加され
る。この場合、インバータは、インバータ回路44、V
/F設定部48およびインバータ駆動回路49によって
構成されることになる。
【0054】次に、洗濯兼脱水槽4を急起動させる方法
について、図5および図6に基づいて説明する。通常、
インバータを用いないで駆動モータ5を駆動する場合に
は、商用電源の周波数と電圧で一義的に決まる一定のV
/F値が、駆動モータ5に印加される。このため、駆動
モータ5は、起動時から目標回転数で回転しようとす
る。従って、駆動モータ5には、図5(b)に示すよう
に、定格以上の起動電流(過電流)が流れる。このた
め、駆動モータ5の巻線を太くしなければならなくな
り、駆動モータ5の外形も大きくなってしまっていた。
【0055】また、駆動モータ5の回転を制御するサイ
リスタ、トライアック等のモータ制御に用いられる電気
部品の定格を大きくして余裕を持たせる必要があり、コ
スト・アップとなっていた。その上、駆動モータ5への
入力電流も大きくなり消費電力が増えるという問題点も
有している。さらに、V/F値を下げて駆動モータ5の
起動電流を低く抑えることも考えられるが、その場合に
は駆動モータ5の回転数の立ち上がりが悪くなる。
【0056】また、上記構成では、駆動モータ5に入力
される交流の電圧および周波数が一定であるため、駆動
モータ5の回転数は徐々にしか上昇せず、目標回転数に
到達するまでに長い時間がかかる。
【0057】これらの問題を解決するために、本発明に
かかる洗濯機は、図6(a)に示すように、インバータ
回路44を用いて駆動モータ5に交流を印加し、V/F
設定部48およびインバータ駆動回路49によって交流
のV/F値を制御する。このようにインバータ回路44
を用いることにより、起動時のV/F値をゼロにし、洗
濯兼脱水槽4の回転数の増加に合わせて、徐々に印加電
圧を増加していく。このように起動直後からT1の期間
は、V/F値を徐々に上昇させていくことにより、図6
(b)に示すように、駆動モータ5の起動電流を低く抑
えることができる。
【0058】従って、いきなり電圧/周波数比を所定値
まで上げた場合のように駆動モータ5の始動電流が大き
くならず、始動電力を抑制することができる。これによ
り、駆動モータ5を制御するための電気部品の定格を下
げることができ、コストダウンが実現できる。また、駆
動モータ5に入力する電流を低く抑えることができるの
で、消費電力を抑制することができる。
【0059】次に、T1からT2までの期間、定速回転
時の所定値より高いV/F値を有する交流を駆動モータ
5に印加することにより、洗濯兼脱水槽4の駆動トルク
を大きくして、洗濯兼脱水槽4の回転数の立ち上がりを
改善する。そして、洗濯兼脱水槽4の回転数が目標回転
数に達した後は、V/F値を定速回転時の所定値にす
る。
【0060】これにより、洗濯兼脱水槽4の回転数が目
標回転数に到達するまでの時間を短縮できる。また、最
初に洗濯兼脱水槽4の回転数だけが迅速に目標回転数に
到達し、洗濯物9が遅れて回転するため、洗濯物9が相
対的に洗濯兼脱水槽4の回転方向と逆に動きやすくな
り、布替わりが促進される。
【0061】次に、洗濯兼脱水槽4を急停止させる方法
について、図7ないし図10に基づいて説明する。通
常、洗濯兼脱水槽4の回転方向切り替えのシーケンス
は、図7に示すようになる。例えば、まず、電源周波数
と電圧とで決定される一定のV/F値を有する交流が、
回転方向の切り替え周期t1の期間、駆動モータ5に印
加されて、洗濯兼脱水槽4が正回転する。そして、t1
の期間終了後に洗濯兼脱水槽4を正回転から逆回転に切
り替えるため、洗濯兼脱水槽4を急停止する必要があ
る。しかしながら、従来は、切り替え直前まで正回転方
向に一定のV/F値を有する交流電圧を印加しているた
めに、洗濯兼脱水槽4を急停止することができなかっ
た。
【0062】特に、本発明の洗濯機に用いられるよう
な、慣性モーメントの大きな洗濯兼脱水槽4を急停止さ
せることは困難であった。また、洗濯兼脱水槽4がまだ
正回転方向に回転しているときに、逆回転方向に電圧が
印加されるので、モータ軸や減速ギヤ部に負担がかかっ
たり、プーリとべルト部で滑りが生じ、発熱や磨耗を生
じたりするといった問題を生じていた。
【0063】本発明にかかる洗濯機では、この問題を解
決するために、図8に示すように、t2の期間は通常の
V/F値を駆動モータ5に印加し、正逆回転切り替え時
のt3の期間、V/F値を徐々に減少させていく。これ
により、駆動モータ5に印加されるV/F値が徐々に小
さくなり、電気的な制動がかかって、洗濯兼脱水槽4が
急停止する。さらに、回転数を低くしていくことによ
り、プーリとべルトの滑りを防止することができる。
【0064】また、図9に示すように、目標回転数で駆
動している期間t4の後、インバータの出力をt5の期
間停止させて、慣性力によって洗濯兼脱水槽4を回転さ
せる。洗濯兼脱水槽4は慣性で回転しようとするが、徐
々に減速し始める。このときに再びインバータを出力さ
せて、前記同様の電気的制動をかける。このようにイン
バータの出力を停止させることにより、消費電力を抑え
ることができる。また、制動動作に入る前には、洗濯兼
脱水槽4に回転駆動力を与えていないので、より迅速に
洗濯兼脱水槽4を停止させることができる。
【0065】また、図10に示すように、t9の期間、
インバータから駆動モータ5に直流を印加して、直流制
動をかける。これにより、洗濯兼脱水槽4を短時間で確
実に停止させることができる。
【0066】次に、図4(a)、図4(b)に示すよう
に、洗濯物9の量を検出する洗濯量検出部51と、ノズ
ル10から噴射される洗浄液等の水量を検出する水量検
出部52を設けて、図11に示すように、洗濯量に応じ
て洗濯兼脱水槽4の回転数を制御する。
【0067】洗濯兼脱水槽4の回転数が一定であるとす
ると、以下のような問題が生じる。すなわち、洗濯量が
増えるほど、遠心力が大きくなり、押し付け洗い力が強
くなるが、洗濯物9は移動しにくくなる。逆に、洗濯量
が減るほど、遠心力が小さくなり、洗濯物9の移動は容
易となるが、押し付け洗い力が弱くなる。このように、
洗濯物9の量によって洗濯物9にかかる遠心力が変化
し、押し付け洗い力が弱くなったり、布替わりが起こり
にくくなったりする。また、洗濯兼脱水槽4の慣性モー
メントが変化するので、駆動モータ5の加減速時間も変
化していた。
【0068】このため、洗濯量検出部51により洗濯物
9の量を検出して、遠心力が洗濯物9の量に関係なく一
定になるように、洗濯兼脱水槽4の回転数を制御する。
具体的には、例えば、洗濯物9の量が6kgのときの洗濯
兼脱水槽4の回転数を100rpmに設定した場合に
は、洗濯物9の量が1kgのときの洗濯兼脱水槽4の回
転数を約245rpmに制御する。これにより、押し付け洗い
効果、押し洗い効果や布替わり等を、洗濯物9の量に関
係なく常にほぼ一定に保つことができるので、押し付け
洗い効果が弱くなったり、布替わりが起こりにくくなっ
たりすることを防止することができる。
【0069】また、ノズル10から噴射される洗浄液等
の水量が多いときほど、洗濯物9の布替わりを起こしや
すい。従って、水量検出部52によりノズル10から噴
射される洗浄液等の水量を検出することによって、水量
が多いときには洗濯兼脱水槽4の回転数を高めに制御
し、水量が少ないときには洗濯兼脱水槽4の回転数を低
めに制御する。これにより、押し洗い効果や布替わり
を、水量の大小に関係なく常にほぼ一定に保つことがで
きるので、押し洗い効果が弱くなったり、布替わりが起
こりにくくなったりすることを防止することができる。
【0070】上記構成では、洗濯物9の量およびノズル
10から噴射される水量に基づいて洗濯兼脱水槽4の回
転数を制御していたが、洗濯物9の量およびノズル10
から噴射される水量に基づいて洗濯兼脱水槽4の回転数
を切り換える周期を制御してもよい。これにより、洗濯
物9の量およびノズル10から噴射される水量に合わせ
た最適な急起動・急停止時の布替わりを実現することが
できる。
【0071】さらに、図4(a)、図4(b)に示すよ
うに、洗濯物9の布質を、使用者が設定するか、また
は、自動的に判別する布質検出部53を設けて、洗濯物
9の布質に基づいて洗濯兼脱水槽4の回転数を制御す
る。図12に示すように、一般に、洗濯物9がジーンズ
等の“ごわごわ”した布質である場合には、遠心力によ
る押し付け洗い力を大きくしても、洗濯物9の傷みが少
ないので、洗濯物9が“普通”の布質である場合よりも
洗濯兼脱水槽4の回転数を高くする。これにより、押し
付け洗い効果が向上し、洗浄度も向上する。
【0072】逆に、洗濯物9がシルクやウール等の“し
なやか”な布質である場合には、布が傷みやすいので、
洗濯物9が“普通”の布質である場合よりも洗濯兼脱水
槽4の回転数を低く設定し、押し付け力を小さくして布
を傷めないようにする。このように洗濯物がシルクやウ
ール等の傷みやすい素材である場合には槽の回転数を低
くするように制御するので、押しつけ洗い効果や擦れ洗
い効果が大きくなり過ぎて洗濯物を傷めてしまうことを
防止することができる。
【0073】以上の説明では、洗濯兼脱水槽4の回転駆
動を制御することにより、洗濯物9の布替わりと押し付
け洗い効果を両立させる方法について説明したが、次に
洗濯兼脱水槽4の形状を変えることにより、布替わりを
促進する方法について説明する。
【0074】通常の洗濯機の洗濯兼脱水槽は、図13に
示すように、薄肉金属で構成された、上方に向かって僅
かに径が増大する有底円筒状材料からなっている。この
洗濯兼脱水槽の側面は、鉛直線に対する傾斜角αが約1
°程度になっている。また、洗濯兼脱水槽の底面は、平
面状であり、側面に対してほぼ直角となっている。
【0075】このため、洗濯兼脱水槽の回転数を上げて
いくと、遠心力によって、回転軸から側面に向かう力が
洗濯物9にかかり、洗濯物9は側面に押し付けられる。
このとき、重力も働くので、結果的に洗濯物9は、槽の
底面の外周部に集中し、布替わりが起こりにくくなって
いた。このため、常に同じ洗濯物の表面に洗浄液が噴射
され、底部の洗濯物には洗浄液が当たらないため、洗濯
物の洗浄度にバラツキを生じていた。
【0076】そこで、本発明にかかる洗濯機は、図14
に示すように、洗濯兼脱水槽4の底面を半球状としてい
る。これにより、洗濯兼脱水槽4の回転による水平方向
の遠心力が垂直方向にも分散されるので、洗濯物9が洗
濯兼脱水槽4の側面を伝って上方に移動する。従って、
洗濯兼脱水槽4の回転数が高いほど、洗濯物9が高い位
置に移動する。そして、洗濯兼脱水槽4の回転数を急激
に下げると、それまで上方にあった洗濯物9が、底面へ
と下がってくる。このように、洗濯兼脱水槽4の回転数
を急激に変化させることで、洗濯物9は洗濯兼脱水槽4
内を移動し、布替わりが起こりやすくなる。また、押し
付け洗いや布同士の擦れ洗い効果も向上する。
【0077】また、図15に示すように、洗濯兼脱水槽
4全体を半球状にして洗濯物9の移動量をさらに大きく
することもできる。しかしながら、この場合には、洗濯
兼脱水槽4の回転数を上昇させていくと、洗濯物9が、
洗濯兼脱水槽4の槽の上部開口部より洗浄液が飛び散っ
たり、場合によっては洗濯物が槽外部に飛び出してしま
う恐れがあった。また、ノズル10から噴射された洗浄
液は、洗濯物9の量が多い場合等には、洗濯物9に当た
って跳ね返り、洗濯兼脱水槽4の上面の開口部から飛び
出すことがある。
【0078】従って、本実施の形態では、洗濯兼脱水槽
4の上面の開口部に蓋20を設けている。これにより、
洗濯物9の飛び出しを防止することができる。蓋20
は、ノズル10から噴射された洗浄液が洗濯物9に当た
って跳ね返り、洗濯兼脱水槽4の上面の開口部から飛び
出すことも防止することができる。
【0079】以上の説明においては、洗濯兼脱水槽4
は、側面の上端部付近に多数の排出孔が設けられた槽で
あったが、側面全体に多数の排出孔が設けられた槽、す
なわち一般に用いられている有孔周壁槽であってもよ
い。
【0080】また、洗濯兼脱水槽4を回転駆動するモー
タ5は、直接洗濯兼脱水槽4の回転軸に直結されて、ダ
イレクトドライブ方式となっていてもよい。さらに、モ
ータ5は、プーリとベルトを介して直接洗濯兼脱水槽4
の回転軸を駆動するベルトドライブ方式や複数のギヤを
介して直接洗濯兼脱水槽4の回転軸を駆動するギヤドラ
イブ方式であってもよい。
【0081】尚、本実施の形態では、モータとして、三
相誘導モータである駆動モータ5を用いた場合について
説明したが、本発明に用いるモータは、単相であっても
よく、また二相であってもよい。さらに、モータとし
て、DCモータやブラシレスDCモータを用いることも
できる。
【0082】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の洗濯機は、以上
のように、洗濯物を洗浄するための回転槽が、洗濯物を
洗浄するための洗浄液を回転槽の外部に排出する排出孔
を有して設けられ、洗濯物に対し洗浄液を噴射して供給
する洗浄手段が設けられ、排出孔を介して排出された洗
浄液を回転槽内に循環させるための循環手段が、上記洗
浄液を洗浄手段に輸送するように設けられ、交流電力に
よって回転槽を回転駆動するモータが、上記回転槽内の
洗濯物を回転槽の内壁に対し遠心力によって押し付け得
るように設けられ、交流電力を発生してモータに印加す
るインバータが、上記交流電力の電圧および周波数をそ
れぞれ可変し得るように設けられ、上記インバータが出
力する交流電力の電圧および周波数を制御してモータの
回転数および回転方向を設定する制御手段が、洗濯物の
洗いおよびすすぎ工程において回転槽の回転数を少なく
とも2種の間で変化させるように設けられている構成で
ある。
【0083】上記構成によれば、回転槽の回転数が高い
方の回転数であるときに洗濯物の遠心力が大きくなり、
押し付け洗い効果によって効率的に洗浄が行われ、回転
槽の回転数が低い方の回転数であるときに、洗濯物の遠
心力が小さくなり、洗濯物の布替わりが促進される。こ
れにより、上記洗濯機は、洗濯物の洗浄度に優れるとと
もに、洗浄度の均一性に優れるという効果を奏する。
【0084】請求項2記載の洗濯機は、以上のように、
請求項1記載の洗濯機において、制御手段は、回転槽の
回転数が立ち上がるときの所定期間は、上記交流電力の
電圧/周波数の比を通常回転時の設定値より高くするよ
うになっている構成である。
【0085】上記構成によれば、回転槽の回転数を急速
に上昇させることができるので、さらに洗濯物の布替わ
りを促進することができ、洗浄効果を向上させることが
できる。
【0086】請求項3記載の洗濯機は、以上のように、
請求項1記載の洗濯機において、制御手段は、回転槽を
減速するときに上記交流電力の電圧/周波数の比を徐々
に低くするようになっている構成である。
【0087】上記構成によれば、回転している回転槽に
電気的な制動がかかり、回転槽を確実に停止させること
ができるので、回転槽を逆方向に回転し始めたときに、
ギヤ、プーリとベルト、モータの回転軸等に大きな力が
加わることが抑制でき、信頼性や寿命を向上させること
ができる。
【0088】請求項4記載の洗濯機は、以上のように、
請求項3記載の洗濯機において、制御手段は、回転槽を
減速するときにインバータの出力を所定期間停止するよ
うになっている構成である。
【0089】上記構成によれば、回転槽を確実に停止さ
せることができ、ギヤ、プーリとベルト、モータの回転
軸等の信頼性や寿命を向上させることができるだけでな
く、常に交流電力を印加する必要がないので、省電力化
することができる。
【0090】請求項5記載の洗濯機は、以上のように、
請求項1記載の洗濯機において、インバータは、モータ
を制動するために直流電力も発生し得るようになってお
り、制御手段は、回転槽を減速するときにインバータか
ら直流電力をモータに所定期間印加させるようになって
いる構成である。
【0091】上記構成によれば、回転槽を減速するとき
に強い制動を与えることができるので、さらに迅速に回
転槽を停止させることができる。従って、回転槽を逆方
向に回転し始めたときに、ギヤ、プーリとベルト、モー
タの回転軸等に大きな力が加わることをさらに効果的に
抑制でき、信頼性や寿命をより一層向上させることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の洗濯機の一構成例の概略を一部断面図
で示す側面図である。
【図2】洗濯兼脱水槽の回転数が高い場合には、洗濯兼
脱水槽内の洗濯物が洗濯兼脱水槽の内壁に押し付けられ
ることを示す説明図であり、(a)は斜視図、(b)は
上面図である。
【図3】洗濯兼脱水槽の回転数が低い場合には、洗濯兼
脱水槽内の洗濯物が洗濯兼脱水槽の内壁に押し付けらな
いことを示す説明図であり、(a)は斜視図、(b)は
上面図である。
【図4】(a)および(b)は、それぞれ図1に示す洗
濯機が備えている制御部の構成例を示すブロック図であ
る。
【図5】従来の洗濯機において、洗濯兼脱水槽の起動時
に、駆動モータに印加する交流の電圧/周波数比および
電流を示す波形図である。
【図6】本発明の洗濯兼脱水槽の起動時に駆動モータに
印加する交流の電圧/周波数比および電流を示す波形図
である。
【図7】従来の洗濯機において、洗濯兼脱水槽の回転方
向を切り替える場合に、駆動モータに印加する交流の電
圧/周波数比を示す波形図である。
【図8】本発明の洗濯機の一構成例において、駆動モー
タに印加する交流の電圧/周波数比を示す波形図であ
る。
【図9】本発明の洗濯機の他の構成例において、駆動モ
ータに印加する交流の電圧/周波数比を示す波形図であ
る。
【図10】本発明の洗濯機のさらに他の構成例におい
て、駆動モータに印加する交流の電圧/周波数比を示す
波形図である。
【図11】本発明の洗濯機において、洗濯量および水量
に応じて、洗濯兼脱水槽の回転数を制御することを示す
グラフである。
【図12】本発明の洗濯機において、洗濯量および洗濯
物の種類に応じて、洗濯兼脱水槽の回転数を制御するこ
とを示すグラフである。
【図13】従来の洗濯機が備える洗濯兼脱水槽の縦断面
図である。
【図14】本発明の洗濯機が備える洗濯兼脱水槽の一例
の縦断面図である。
【図15】本発明の洗濯機が備える洗濯兼脱水槽の他の
一例の縦断面図である。
【符号の説明】
4 洗濯兼脱水槽(回転槽) 5 駆動モータ(モータ) 9 洗濯物 10 ノズル(洗浄手段) 13 ポンプ(循環手段) 19 制御部 44 インバータ回路(インバータ) 47 主制御部(制御手段) 48 V/F設定部(インバータ) 49 インバータ駆動回路(インバータ)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】洗濯物を洗浄するための回転槽が、洗濯物
    を洗浄するための洗浄液を回転槽の外部に排出する排出
    孔を有して設けられ、 洗濯物に対し洗浄液を噴射して供給する洗浄手段が設け
    られ、 排出孔を介して排出された洗浄液を回転槽内に循環させ
    るための循環手段が、上記洗浄液を洗浄手段に輸送する
    ように設けられ、 交流電力によって回転槽を回転駆動するモータが、上記
    回転槽内の洗濯物を回転槽の内壁に対し遠心力によって
    押し付け得るように設けられ、 交流電力を発生してモータに印加するインバータが、上
    記交流電力の電圧および周波数をそれぞれ可変し得るよ
    うに設けられ、 上記インバータが出力する交流電力の電圧および周波数
    を制御してモータの回転数および回転方向を設定する制
    御手段が、洗濯物の洗いおよびすすぎ工程において回転
    槽の回転数を少なくとも2種の間で変化させるように設
    けられていることを特徴とする洗濯機。
  2. 【請求項2】請求項1記載の洗濯機において、 制御手段は、回転槽の回転数が立ち上がるときの所定期
    間は、上記交流電力の電圧/周波数の比を通常回転時の
    設定値より高くするようになっていることを特徴とする
    洗濯機。
  3. 【請求項3】請求項1記載の洗濯機において、 制御手段は、回転槽を減速するときに上記交流電力の電
    圧/周波数の比を徐々に低くするようになっていること
    を特徴とする洗濯機。
  4. 【請求項4】請求項3記載の洗濯機において、 制御手段は、回転槽を減速するときにインバータの出力
    を所定期間停止するようになっていることを特徴とする
    洗濯機。
  5. 【請求項5】請求項1記載の洗濯機において、 インバータは、モータを制動するために直流電力も発生
    し得るようになっており、 制御手段は、回転槽を減速するときにインバータから直
    流電力をモータに所定期間印加させるようになっている
    ことを特徴とする洗濯機。
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WO2020009530A1 (ko) * 2018-07-06 2020-01-09 엘지전자 주식회사 세탁물 처리기기

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