JPH0914089A - 燃料噴射装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、複数の方向に燃料を噴射するため
の燃料噴射装置に関し、ノズルプレートをアダプタに対
し正規の位置に位置決めすることを目的とする。 【構成】 インジェクタ１２のノズル本体１８先端面上
にそのノズル本体１８のノズル口２２に連通する噴口２
４を形成したノズルプレート２０を取り付け、ノズル本
体１８をアダプタ１６内に嵌着するようにした燃料噴射
装置１０において、上記ノズルプレート２０の周縁部に
凹状部又は凸状部２８を形成すると共にアダプタ１６内
に上記凹状部又は凸状部２８と係合してノズルプレート
２０をアダプタ１６に対し正規の位置に位置決めする係
合壁３４を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、燃料を噴射するた
めの燃料噴射装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、各気筒毎に複数の吸気ポートを
有する内燃機関において、各吸気ポートに燃料を噴射す
るために、複数の方向に燃料を噴射する燃料噴射装置が
必要とされる。

【０００３】例えばこのような燃料噴射装置として、特
開平５−１２６０１１号公報には、インジェクタのノズ
ル本体先端面上にそのノズル本体の１つのノズル口に連
通する複数の噴口を形成したノズルプレートを取り付
け、複数の燃料通路を有するアダプタ内にそのノズル本
体を嵌着するようにしたものが開示されている。

【０００４】このような構成の燃料噴射装置において、
噴口から噴射される燃料を調量するために、噴口の内径
は高精度に仕上げられることが要求され、この加工にド
リルを使用するとその後の研磨加工が必要となる。この
ようなさらなる加工を省略して加工時間を短縮するため
に、前述したように、ノズルの製造において、プレスに
よって噴口が加工されたノズルプレートをノズル本体に
溶接等によって取り付けるようになっている。そしてノ
ズルプレートの複数の噴口を複数の燃料通路に対し一致
させるように、ノズルプレートをアダプタに対し径方向
及び回転方向、すなわち正規の位置に位置決めすること
が必要となってくる。

【０００５】ノズルプレートのアダプタに対する径方向
の位置決めは、ノズルプレートが取り付けられたノズル
を円柱形とし、その側面に嵌合する凹部をアダプタの凹
部にその側面を嵌合することによって実現しており、比
較的簡単な加工によって両者を高い同心度を持って配置
することが可能である。回転方向の位置決めについては
上述の従来技術では特に示唆していないが、一般的に、
ノズル本体の側面においてキー又はピンを使用し行って
いる。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】このキー溝又はピン穴
の加工は、噴口を有するノズルプレートをノズル本体に
取り付けた後に、噴口を基準にして行われるために、加
工工程が多くなり、燃料噴射装置のコストアップがもた
らされるだけでなく、キー溝及びピン穴の深さ分だけノ
ズルの外径を増大させ、燃料噴射装置の大型化をもたら
すものであった。

【０００７】従って、本発明の目的は、ノズルプレート
をアダプタに対し正規の位置に簡単に位置決めすること
が可能な燃料噴射装置を提供することである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明による燃料噴射装
置は、インジェクタのノズル本体先端面上に該ノズル本
体のノズル口に連通する噴口を形成したノズルプレート
を取り付け、該ノズル本体をアダプタ内に嵌着するよう
にした燃料噴射装置において、上記ノズルプレートの周
縁部に凹状部又は凸状部を形成すると共にアダプタ内に
上記凹状部又は凸状部と係合してノズルプレートをアダ
プタに対し正規の位置に位置決めする係合壁を設けたこ
とを特徴とする。

【０００９】

【作用】前述の燃料噴射装置は、インジェクタのノズル
本体先端面上にそのノズル本体のノズル口に連通する噴
口を形成したノズルプレートを取り付け、ノズル本体を
アダプタ内に嵌着するようにし、上記ノズルプレートの
周縁部に凹状部又は凸状部を形成し、その凹状部又は凸
状部がアダプタ内の係合壁と係合し、ノズルプレートが
アダプタに対し正規の位置に位置決めされる。

【００１０】

【実施例】以下、添付図面を参照しながら本発明を詳細
に説明する。図１は本発明の実施例を示す燃料噴射装置
の全体外形図、図２は図１のＡ−Ａ断面図、図３は図２
とは９０°ずれた位置の長手方向断面図を示している。
これら図において、１０は燃料噴射装置、１２はインジ
ェクタ、１４はインジェクタ１２の先端部に取り付けら
れたノズル、１６はノズル１４の側面に嵌合するアダプ
タを示している。

【００１１】ノズル１４は、円形断面のノズル本体１８
と、ノズル本体１８の先端部に取り付けられたノズルプ
レート２０とから構成されている。ノズル本体１８の中
央部には、インジェクタ１２から噴射された燃料よって
満たされるノズル口２２を有する空洞が形成されてお
り、ノズルプレート２０の中央部には、このノズル口２
２に連通する複数の噴口２４がインジェクタ１２の軸線
に対し斜めに設けられている。各噴口２４の内径は、正
確に調量された燃料を噴射するために、高精度に加工さ
れなければならず、プレス加工が選択され、これを可能
にするために、噴口２４が加工されるノズルプレート２
０は、ノズル本体１８とは別部材として形成され、溶接
等によってノズル本体１８に取り付けられる。

【００１２】この溶接に際して、互いに中央部に位置す
るノズルプレート２０の複数の噴口２４とノズル本体１
８のノズル口２２とが連通するように、ノズルプレート
２０とノズル本体１８とを位置決めして押さえる必要が
ある。これを容易にするために、ノズル１４の先端部の
斜視図である図５に示してあるように、ノズルプレート
２０は、ノズル本体１８の先端部形状に一致する円弧側
面２６を有している。また、円弧側面２６同士を接続す
る側面は、円形断面形状に対し凹状部となった互いに平
行な直線側面２８として形成されている。

【００１３】また図２のＢ−Ｂ断面図である図４に示し
たように、アダプタ１６は、ノズル１４の側面に嵌合す
る凹部３０に加えて、その凹部３０の底面から延在して
二対の噴口２４から噴射される燃料を通過させる２つの
燃料通路３２とを有する。凹部３０には、ノズルプレー
ト２０の直線側面２８のそれぞれに係合する係合壁とし
て二つの突出部３４が形成されている。したがってノズ
ル１４にアダプタ１６を嵌合させると、直線側面２８が
突出部３４の直線内面３６に当接することによって、ノ
ズルプレート２０とアダプタ１６との回転方向の位置決
めが正確になされる。同時に、ノズル本体１８の側面が
凹部３０に嵌合して径方向の位置決めがなされ、ノズル
本体１８の前方面３８が突出部３４に当接して長手方向
の位置決めがなされる。このような構成においては、従
来のようにノズルの側面を使用したピンによる位置決め
は不要であり、したがって位置合わせ後にピンを打ち込
むための作業時間を省くことも可能である。

【００１４】本実施例の燃料噴射装置１０は、エアアシ
ストが行われるようになっており、その機構を以下に説
明する。図２及びそのＣ−Ｃ断面の図６で示すように、
アダプタ１６の側面には、対向する位置に設けられた２
つの空気導入口４０が形成され、これら空気導入口４０
は、エアポンプに接続されている。ノズル本体１８は、
凹部３０に嵌合する側面を有する大径部分４２と、小径
部分４４とを有する。ノズル本体１８が凹部３０内の所
定位置に配置されたとき、小径部分４４の外周面と、凹
部３０の内周面とによって環状空間４６（図６参照）が
形成され、空気導入口４０とこの環状空間４６とが連通
している。またノズルプレート２０の円弧側面２６の直
径は、ノズル本体１８の小径部分４４と同径であり、凹
部３０の環状内面４８の直径より小さいために、この環
状内面４８と円弧側面２６との間には環状空間４６に連
通する空気通路５０が形成される。突出部３４の直線内
面３６の高さＨは、ノズルプレート２０の厚さｔより大
きく形成されており、空気通路５０に連通するノズルプ
レート２０上の空間５２が形成され、その空間５２が燃
料通路３２に形成された微粒化空間５４へ連通してい
る。したがってエアポンプにより空気導入口４０を介し
て空気が導入されると、その空気は、環状空間４６、空
気通路５０、空間５２を通り、微粒化空間５４へ流入
し、そこで噴射された燃料を微粒化し、この微粒化され
た燃料を燃料通路３２を介して機関へ供給することが可
能となる。空気は、対向した両空気通路５０から微粒化
空間５４へ導入されるので、噴口２４から噴射された燃
料が微粒化空間５４の内壁面へ押しつけられ付着するこ
とを少なくできる。このように回転方向の位置決めのた
めに突出部３４を設ける際に、その直線内面３６の高さ
Ｈをノズルプレート２０の厚さｔより大きくすることに
よって、簡単にアシストエアをノズルプレート２０の噴
口２４近傍に導くことが可能となる。

【００１５】また環状空間４６へ導入された空気は、ノ
ズル本体１８を冷却する作用もする。燃料噴射装置１０
は、概してエンジン近傍に配置されているので非常に高
温になり、ノズル本体１８の内部で燃料が気化するとい
う現象が起こる。ノズル本体１８の周囲に空気を導入し
て冷却することによって燃料の気化を防ぐことができ、
燃料噴射量を正確に制御することが可能となる。

【００１６】図７は、空気導入口４０を備えたアダプタ
１６の他の実施例を示している。図６の２つの空気導入
口４０が互いにノズル本体１８の中心方向へ向けて設け
られているのに対し、図７の２つの空気導入口４０は、
中心に関して互いに対称に中心方向からずらして設けら
れている。したがって環状空間４６には旋回流が生じ、
この旋回流が微粒化空間５４へ導入され、燃料をより微
粒化することが可能になる。

【００１７】上述の実施例において、ノズルプレートの
側面に凹状部として直線側面を形成したが、これは本発
明を限定するものではなく、ノズルプレートの上面に凹
状部を設け、また凹状部の代わりに凸状部を設け、その
凹状部又は凸状部をアダプタ内の係合壁に係合させても
よい。また上述の実施例において、ノズルプレート及び
アダプタは、それぞれ複数の噴口及び燃料通路を有する
が、本発明は、１つの噴口及び１つの燃料通路を有し、
燃料の噴射方向を偏向するような場合にも適用できる。

【００１８】

【発明の効果】このように、本発明の燃料噴射装置によ
れば、インジェクタのノズル本体先端面上にそのノズル
本体のノズル口に連通する噴口を形成したノズルプレー
トを取り付け、ノズル本体をアダプタ内に嵌着するよう
にし、上記ノズルプレートの周縁部に凹状部又は凸状部
を形成し、その凹状部又は凸状部がアダプタ内の係合壁
と係合することによりノズルプレートをアダプタに対し
正規の位置に位置決めでき、ノズル本体へのノズルプレ
ートの取付け後、キー溝又はピン穴を加工する必要はな
くなり、加工コストを低減できるとともに、噴口を基準
としてノズル本体に位置決めのためのキー溝又はピン穴
を形成するためにノズルを大型化する必要もない。

【図面の簡単な説明】

【図１】燃料噴射装置を示す全体外形図である。

【図２】図１のＡ−Ａ断面図である。

【図３】図２とは９０°ずれた位置の燃料噴射装置の先
端部を示す長手方向断面図である。

【図４】図２のＢ−Ｂ断面図である。

【図５】ノズルプレートを備えたノズルの斜視図であ
る。

【図６】図２のＣ−Ｃ断面図である。

【図７】他の実施例を示す図６に相当する断面図であ
る。

【符号の説明】

１０…燃料噴射装置 １２…インジェクタ １６…アダプタ １８…ノズル本体 ２０…ノズルプレート ２２…ノズル口 ２４…噴口 ３２…燃料通路 ３４…突出部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 インジェクタのノズル本体先端面上に該
   ノズル本体のノズル口に連通する噴口を形成したノズル
   プレートを取り付け、該ノズル本体をアダプタ内に嵌着
   するようにした燃料噴射装置において、上記ノズルプレ
   ートの周縁部に凹状部又は凸状部を形成すると共にアダ
   プタ内に上記凹状部又は凸状部と係合してノズルプレー
   トをアダプタに対し正規の位置に位置決めする係合壁を
   設けたことを特徴とする燃料噴射装置。