JPH091327A - パイプ円周自動溶接装置による開先壁の溶解方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 高速にウィービング溶接を行って開先端に来
た時点で、開先壁溶解による溶接を行う場合に、アーク
が安定した状態で溶接を行うことができ、アンダーカッ
ト，融合不良の発生を未然に防止できるパイプ円周自動
溶接装置による開先壁の溶解方法を提供する。 【構成】 高速ウィービング制御におけるパイプ円周自
動溶接装置において、開先端で停止させるとともに、停
止時のパルス幅をウィービング中のパルス幅より大きく
して開先壁を安定したアークによって溶解させるモード
を有することを特徴とする。 【効果】 高速ウィービングにおいて、開先壁を安定し
たアークで溶融できるので、融合不良、アンダーカット
のない高品質のパイプ円周自動溶接ができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は新規なパイプの自動溶接
装置に係り、特に開先先端でスムーズに開先壁を溶解で
きるパイプの円周自動溶接装置による開先壁の溶解方法
に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のパイプの円周自動溶接装置では、
マグナテック社の「サイバーＭＩＧ」に示されるよう
に、ウィービングをその両端（開先壁）で一時停止さ
せ、この停止期間中に溶接電流あるいはアーク電圧を上
げ、開先壁を溶解していた。あるいは、ダイヘン社の
「ウィーブパルス」では定められた周期でパルスモード
を切り替え、重ね隅肉溶接のギャップ裕度を拡大してい
た。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の溶接電流やアー
ク電圧を上げる方法はワイヤ溶融速度の時定数が数１０
０ｍｓオーダで遅く、また、定められた周期でパルスモ
ードを切り替える方法ともそれぞれ開先壁の溶融を行う
時に同期化ができないという問題があった。

【０００４】本発明の目的は高速にウィービング溶接を
行って開先端に来た時点で、開先壁溶解による溶接を行
う場合に、アークが安定した状態で溶接を行うことがで
き、アンダーカット，融合不良の発生を未然に防止でき
るパイプ円周自動溶接装置による開先壁の溶解方法を提
供するにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、溶接トーチを
溶接進行方向に対して直交する方向にウィービングさせ
ながら所定のパルス電流、パルス幅の溶接電流によって
溶接するパイプの円周自動溶接装置による開先壁の溶解
において、溶接開先端で前記ウィービングを停止させ、
該停止信号によって前記パルス幅を前記ウィービング中
のパルス幅より大きくするように制御することによって
アーク長を長くすることを特徴とする。なお、ウィ−ビ
ングの停止は任意の位置で実施可能である。

【０００６】

【作用】前記構成とすることにより、高速にウィービン
グ溶接を行って開先端に来た時点で、開先溶解による溶
接を行う場合に、アークが安定した状態で溶接を行うこ
とができ、アンダーカット，融合不良の発生を未然に防
止できる。

【０００７】

【実施例】本発明では、パイプの円周に沿って移動可能
なように取り付けられた溶接ヘッドの先端に設けられた
トーチを、溶接ヘッドに設けられたウィービング用のサ
ーボモータによって、高速で左右に移動させながら溶接
を行っている。これらの制御は、制御装置で制御信号を
発生させ、ウィービング用のサーボモータ等を駆動制御
している。この制御のため制御装置には、サンプリング
クロックにより位置カウンタ及び溶接電流、アーク電圧
Ａ／Ｄ変換データをラッチする回路が設けられる。さら
に、サンプリングクロック毎の割込み処理によって各ラ
ッチデータを読込み演算する回路が設けられている。更
に、各ラッチデータの位置情報から、ウィービングの左
及び右の位置を確認してその位置での電流又は電圧を用
いて倣い制御を行う。このようなアーク中溶接線倣い制
御の結果、サンプリングクロックで完全同期してサンプ
リングするため、各サンプリングでの溶接トーチの位置
と電流、電圧は完全に同時性が得られる。従って、実際
の溶接トーチの位置を基に左と右を判断してその時点で
の電流、電圧の値を使用できる。

【０００８】また、アーク中溶接線倣いやワイヤによる
開先形状計測の検出信号に基づいて溶接条件の補正が行
われるように構成されている。

【０００９】次に、開先端におけるパルス切り替え制御
について、図１及び図２を用いて説明する。なお、本発
明のパルス周波数は３００Ｈｚ以上の高周波数である。
ウィービング溶接動作について先に説明したように、ワ
イヤによる開先形状計測により開先形状を検出してお
き、その時同時にサーボモータのサーボパルスも位置情
報として開先端部に至るパルス数を記録している。この
サーボモータの信号によって、開先端部に到達したこと
を検出してウィービングを停止し、前記ウィービング停
止信号に基づいて、ウィービング時のパルス電流とパル
ス幅を制御するものである。

【００１０】通常のウィービング動作時は図１の曲線Ｂ
を上限としてそれ以下のパルス数とパルス電流になるよ
うに制御しているが、開先端溶接時は曲線Ａを上限とし
て当然ながら、通常のウィービング動作時よりは曲線Ａ
に近づく方向に制御するものである。その時のパルス幅
の変化の１例を図２に示している。Ａモードはウィービ
ング停止期間（開先壁）のパルスモード（例えば、パル
ス電流を最大のI_P＝４８０Ａとしたとき、パルス幅０.
４ｍｓとなる) でＢモードにくらべアーク長が長くなり
開先壁を溶解できる。Ｂモードはそれ以外のモード（Ｉ
_p ＝４８０Ａ，パルス幅０. ２ｍｓ) で短いアークであ
る。図２において、Ｉ_p はパルス電流を、Iav は溶接電
流を、Ｉ_b はベース電流を表している。

【００１１】図３にウィービングとパルス幅及びアーク
長との関係を示す。ウィービングは開先間において左右
に行い、中間で停止せず、開先の左右端で停止するよう
にする。この時、パルス幅は、左右端において広くさ
れ、中間では狭くされる。また、アーク長は左右端にお
いて長くされ、中間では短くされる。

【００１２】以上のように、本実施例ではウィービング
用のサーボモータの駆動パルスに同期して、開先壁に至
ったときのパルス電流とパルス幅を制御するという簡単
な同期制御のため制御しやすい。さらに、パルス電流の
制御を採用したため、従来の電圧制御方式に比べて４倍
以上の速さでアーク長を制御できるため、アークを停止
せずに連続して開先壁の溶融を実行できる。本実施例に
よれば、アークが安定した状態で開先壁を溶解できるの
で、開先壁の角に発生する溶融不良やアンダーカットを
防止することができる。

【００１３】

【発明の効果】本発明によれば、開先壁を安定したアー
クで溶融できるので、融合不良，アンダーカットのない
高品質のパイプの円周自動溶接が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】パルス電流とパルス幅との関係を示す線図であ
る。

【図２】パルス電流を示すモードである。

【図３】ウィービングとパルス幅及びアーク長との関係
である。

【符号の説明】

Ｉｐ…パルス電流 Ｉａｖ…溶接電流 Ｉｂ…ベース電流 ｔｐ…パルス幅

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 浩司 茨城県ひたちなか市大成町14−19

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】溶接トーチを溶接進行方向に対して直交す
   る方向にウィービングさせながら所定のパルス幅の溶接
   電流によって溶接するパイプの円周自動溶接装置による
   開先壁の溶解において、ウィ−ビング停止は任意の位置
   で実施可能だが、溶接開先端で前記ウィービングを停止
   させ、該停止期間中の前記パルス幅を前記ウィービング
   中のパルス幅より大きくするように制御することによっ
   てアーク長を長くすることを特徴とするパイプ円周自動
   溶接装置による開先壁の溶解方法。