JPH09131399A - 内視鏡用穿刺針 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 可撓性の低下、及び肉厚の増加を抑えながら
内筒のコシの強化、及び伸縮率の低減を図って針の穿刺
性、及び手元操作に対する針の追従性を向上させるこ
と。また、先端部の可撓性を損ねたり、使用時の信頼性
を低下させることなく針突出時の外筒の突き破りを防ぐ
こと。更に、針落下の懸念を無くすこと。 【解決手段】 外筒１、及び内筒３を、樹脂製の内層６
と、その外周に施された金属細線を網目状に編んだ金属
ブレード７と、その外周に施された樹脂製の外層８より
構成した。また、内筒３は先端から所定の長さ内層６を
剥離して金属ブレード７を露出し、露出した金属ブレー
ド７に針２を接着した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、内視鏡の鉗子孔に
通されて身体の内部の所望の部位まで導かれ、内視鏡か
ら得られる画像を見ながら身体の外部から操作されるこ
とにより所望の部位に対して穿刺を行う内視鏡用穿刺針
に関する。

【０００２】

【従来の技術】身体の内部の所望の部位、例えば、食
道、胃等に対して薬液注入、或いは生検検査を行う場
合、内視鏡の鉗子孔に通されて身体の内部の所望の部位
まで導かれ、内視鏡から得られる画像で穿刺する位置を
確認しながら身体の外部から操作されることにより、所
望の部位に対する穿刺を行う内視鏡用穿刺針が広く用い
られている。

【０００３】従来の内視鏡用穿刺針として、例えば、接
着によって先端に針が固定された所定の長さのフッ素樹
脂製の内筒と、この内筒を被覆し、先端に針落下防止機
構を有した内筒より小なる長さのフッ素樹脂製の外筒
と、内筒と外筒を相対的に移動させる手元操作部より構
成されるものがある。この内視鏡用穿刺針は、手元操作
部で外筒と内筒を相対的に移動させることにより、針が
外筒の先端から突出したり、外筒の内部に収納するよう
になっている。このため、針を外筒に収納させた状態で
外筒を内視鏡の鉗子孔に挿入して所望の部位まで到達さ
せた後、身体の外部の手元操作部の操作によって外筒か
ら針を突出させることにより所望の部位に対して穿刺す
ることができる。

【０００４】また、上記構成において外筒がステンレス
製のコイルシースより構成される内視鏡用穿刺針も実用
化されており、外筒をユーザブルとし、先端に針を有し
た内筒のみをディスポーザブル化して、経済性の向上を
図るようにしている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の内視鏡
用穿刺針によると、以下のような問題点がある。 (1) 何れも内筒が樹脂から構成されているため、内筒の
コシが弱く、穿刺時に曲がり等が発生して穿刺が困難と
なる。内筒の肉厚を大にすれば、内筒のコシを強くでき
るが、外筒の外径が大になり、鉗子孔が小径な内視鏡に
対応できなくなると共に、目的の針に必要な径に合致し
なくなるという問題が生じる。また、樹脂製の内筒は伸
縮性が大きいため、手元操作部から与えられた力が穿刺
針に十分に伝達され難く、手元操作に対する針の追従性
が低い。更に、樹脂と金属である針は接着強度が弱く、
針が落下する可能性があるため、外筒の先端に針落下防
止機構を必ず設ける必要がある。 (2) 外筒が樹脂製のものによると、針突出時に外筒が針
によって突き破られる可能性がある。また、この対策と
して先端に金属片を装着したものもあるが、先端部の可
撓性を損なうと同時にそれが落下する可能性があり、使
用時の信頼性が低くなる。 (3) 外筒がコイルシースのものによると、針突出時に突
き破られることはないが、肉厚が大なために全体の外径
が大きくなり、(1) の問題と同様、鉗子孔が小径な内視
鏡に対応できなくなるという問題がある。特に、(1) に
前述したように、内筒のコシを強くするために内筒の肉
厚を大にすると、それが更に顕著となる。

【０００６】従って、本発明の目的は可撓性の低下、及
び肉厚の増加を抑えながら内筒のコシの強化、及び伸縮
率の低減を図って針の穿刺性、及び手元操作に対する針
の追従性を向上させることができる内視鏡用穿刺針を提
供することである。

【０００７】本発明の他の目的は先端部の可撓性を損な
うことなく、また、使用時の信頼性を低下させることな
く針突出時の外筒の突き破りを防ぐことができる内視鏡
用穿刺針を提供することである。

【０００８】本発明の更に他の目的は針落下の懸念を無
くすことができる内視鏡用穿刺針を提供することであ
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は以上の目的を実
現するため、外筒、及び内筒を、樹脂製の内層と、その
外周に施された金属細線を網目状に編んだ金属ブレード
と、その外周に施された樹脂製の外層より構成した内視
鏡用穿刺針を提供するものである。

【００１０】上記内筒は、先端から所定の長さ内層が剥
離されることにより金属ブレードが露出した構成を有
し、上記針は内筒の露出した金属ブレードに接着されて
いる構成を有していることが好ましい。

【００１１】上記手元操作部は、内筒、及び外筒の後端
がそれぞれ接続され、それぞれ摺動可能に同心円状に配
置された第１及び第２の円筒状部材から構成され、第１
及び第２の円筒状部材は、両者の摺動面の一方に形成さ
れた長手方向の移動溝、及びこの移動溝に続く周方向の
固定溝に、摺動面の他方に形成された突起が係合した構
成を有し、移動溝の突起の移動範囲内で相対的に移動
し、突起を固定溝に係合させると、第１及び第２の円筒
状部材の長手方向の移動が規制される構成を有すること
が好ましい。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の内視鏡用穿刺針に
ついて添付図面を参照しながら詳細に説明する。

【００１３】図１、及び図２には、本発明の内視鏡用穿
刺針の第１の実施の形態の構成が示されている。この内
視鏡用穿刺針は、内視鏡の鉗子孔（図示せず）に挿入さ
れる外径１〜３ｍｍ、長さ１０００〜２０００ｍｍの外
筒１と、外筒１によって被覆され、先端に針２が接着さ
れた内筒３と、内筒３、及び針２の内部に挿入された内
針４と、外筒１と内筒３を相対移動させ、図２のように
針２を外筒１から突出させたり、図１のように針２を外
筒１内に収納させる、或いは内筒３に対して内針４を移
動させ、内針４を針２から突出させたり、針２内に収納
させる手元操作部５を備えて構成されている。

【００１４】外筒１は、針２により身体の内部の穿刺部
以外の部位や、内視鏡の鉗子孔内面を損傷させないため
に針２、及び内筒３を被覆しており、図３、及び図４に
示すように、樹脂より成る内層６と、内層６の外周に施
され、金属細線を網目状に編んだ金属ブレード７と、金
属ブレード７の外周に施された樹脂より成る外層８より
構成されている。

【００１５】内筒３は、手元操作部５と針２を連結して
手元操作部５から加えられた力を針２に伝達するもの
で、図３、及び図４に示すように、樹脂より成る内層６
と、内層６の外周に施され、金属細線を網目状に編んだ
金属ブレード７と、金属ブレード７の外周に施された樹
脂より成る外層８より構成されている。また、先端の針
接着部分は化学処理されると共に、図３に示すように、
内層６が剥離され、そこから露出した金属ブレード７に
針２が接着されている。

【００１６】内層６及び外層８には、可撓性があり、且
つ、毒性のない樹脂、例えば、フッ素系樹脂、ポリアミ
ド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリ
塩化ビニル、ポリエチレン等を用いることが好ましい。

【００１７】金属ブレード７には、毒性のない金属、例
えば、ステンレス等を用いることが好ましい。

【００１８】針２には、ステンレス材のＳＵＳ３０４又
は３１６等を用いることが好ましい。また、針２の外
径、及び長さは目的（穿刺、生検）によって決められる
が、外径については内筒３に対して物理的に可能なサイ
ズ、例えば、０．５〜１．５ｍｍ程度が好ましく、長さ
については内視鏡の鉗子孔の通過を考慮した、例えば、
５〜７０ｍｍ程度が好ましい。

【００１９】次に、手元操作部５を図５の(a),(b) を併
せて参照しながら更に詳細に説明する。

【００２０】手元操作部５は、外筒１と内筒３を相対移
動させるスライド機構部５Ａと、内筒３に対して内針４
を移動させる吸引機構部５Ｂを備えて構成されている。

【００２１】スライド機構部５Ａは、テーパ状の内周面
９Ｂに内筒３の後端が接着され、外周面に突起９Ａが形
成された円筒状の内筒基９と、キャップ１２を介して先
端に外筒１の後端が接続され、内筒基９の外周に摺動自
在に配置され、且つ、内筒基９の突起９Ａが係合するス
リット１１が形成された外筒基１０を有している。

【００２２】内筒基９は、外周面に突起９Ａが形成さ
れ、外筒基１０は長手方向に伸びた移動溝１１Ａ、及び
周方向に伸びた針位置固定溝１１Ｂから成り、内筒基９
の突起９Ａが係合するスリット１１が形成されており、
移動溝１１Ａ内の突起９Ａの移動範囲、つまり、移動溝
１１Ａの長さ分だけ内筒基９と外筒基１０の相対移動が
可能になっている。この相対移動に基づく針２の移動距
離は針２の長さより０〜１・５ｍｍ程度短い距離が好ま
しい。また、移動溝１１Ａの両端に突起９Ａが位置した
状態で内筒基９と外筒基１０を相対的に回転させ、針位
置固定溝１１Ｂに突起９Ａを係合させると、内筒基９と
外筒基１０の長手方向の移動が規制されるようになって
いる。

【００２３】吸引機構部５Ｂは、内筒基９の後端にロッ
クリング１３を介して着脱可能に連結されたシリンジ１
５と、内針４の後端が接続され、シリンジ１５内を摺動
する把持部１６Ａを有したピストン１６より構成されて
いる。

【００２４】以下、上記第１の実施の形態の動作とし
て、身体の内部の所望の部位、例えば、胃内部より胃粘
膜下組織または膵臓等の他臓器の組織を生検する場合に
ついて説明する。

【００２５】まず、吸引機構部５Ｂにおいてピストン１
６を前進させて針２の先端から内針４を突出させた状態
にすると共にスライド機構部５Ａにおいて外筒基１０の
スリット１１の移動溝１１Ａの一端（後端）に内筒基９
の突起９Ａが当接するまで内筒基９と外筒基１０を相対
的に移動させ、外筒１の内部に針２を収納させる。そし
て、内筒基９と外筒基１０を周方向に相対回転させ、内
筒基９の突起９Ａをスリット１１の針位置固定溝１１Ｂ
に係合させて、内筒基９と外筒基１０の長手方向の移動
を規制する。

【００２６】次に、針２を外筒１に収納させた状態で外
筒１を、予め患者の身体の内部に挿入されて先端が所望
の部位近傍に到達した内視鏡の鉗子孔（図示せず）に挿
入する。そして、外筒１の先端を鉗子孔の先端から突出
させ、外筒１の先端を身体の内部の所望の部位まで到達
させる。

【００２７】続いて、スライド機構部５Ａにおいて外筒
基１０のスリット１１の移動溝１１Ａの他端（先端）に
内筒基９の突起９Ａが当接するまで内筒基９と外筒基１
０を相対的に移動させ、外筒１の先端から針２を突出さ
せて、針２を身体の所望の部位に穿刺する。

【００２８】このように針２を穿刺すると、吸引機構部
５Ｂのピストン１６を引っ張り、内針４を後退させて針
２の内部に収容させる。これによってシリンジ１５内に
生じた負圧が内筒３を介して針２に伝達され、針２の内
部に所望の部位の組織片が採取される。組織片の採取が
済むと、針２を所望の部位から抜去し、スライド機構部
５Ａにおいて外筒基１０のスリット１１の移動溝１１Ａ
の一端（後端）に内筒基９の突起９Ａが当接するまで内
筒基９と外筒基１０を相対的に移動させ、外筒１の内部
に針２を収納させる。

【００２９】このような実施の形態の構成では、以下の
ような利点が挙げられる。 (1) 内筒３として、樹脂製の内外層の中間にメッシュ構
造の金属ブレードの層を挟み込んだ樹脂／金属／樹脂の
３層構造のチューブを用いているため、チューブの可撓
性を保持しつつコシの強化及び伸縮性の低減がなされ、
針２の穿刺時の内筒３の座屈が防げ、穿刺性を向上する
ことができ、また、手元操作部５で付加した力が先端に
有効に伝達され、手元操作に対する先端の追従性が得ら
れる。 (2) 内筒３内に内針４が挿入されているため、更に穿刺
性を向上させることができる。 (3) 外筒１として、樹脂製の内外層の中間にメッシュ構
造の金属ブレードの層を挟み込んだ樹脂／金属／樹脂の
３層構造のチューブを用いているため、チューブが強化
され、針２による突き破りが防止される。また、突き破
り防止機構等が不要なため、可撓性を損ねることがなく
なると共に落下等の懸念がなくなり使用時の信頼性を向
上させることができる。 (4) 内筒３の針２の接着部分は、化学処理されると共
に、３層構造の内層が剥離されることにより金属ブレー
ド７が露出しており、この露出した金属ブレード７に針
２が接着されているため、十分な接着強度が得られる。

【００３０】尚、以上の実施の形態では、内筒基９の後
端に吸引機構部５Ｂを接続し、内針４を針２に対して突
出、没入させて組織片の生検を行ったが、内筒基９の後
端に注射筒等を接続して、吸引や薬液注入を行うように
しても良い。

【００３１】

【実施例】図１から図５において、外筒１を外径１．８
ｍｍ、長さ１６００ｍｍとし、ポリアミド系エラストマ
ー製の内層６、０．０４ｍｍのステンレス細線を網の目
構造に編んだ金属ブレード７、及びフッ素樹脂製の外層
８より構成した。針２を外径０．８２ｍｍ、長さ３０ｍ
ｍのＳＵＳ３０４より構成した。内筒２を外径１．２５
ｍｍとし、ポリアミド系エラストマー製の内層６、０．
０４ｍｍのステンレス細線を網の目構造に編んだ金属ブ
レード７、及びフッ素樹脂製の外層８より構成した。内
針４を外径０．５ｍｍのステンレス材より構成した。手
元操作部５の移動距離を３０ｍｍとした。

【００３２】

【発明の効果】以上説明した通り、本発明の内視鏡用穿
刺針によると、以下の効果を奏することができる。 (1) 内筒の構成として、金属細線を網目状に編んだ金属
ブレードを樹脂より成る内外層で挟み込んた構造を採用
しているため、可撓性の低下、及び肉厚の増加を抑えな
がらコシの強化、及び伸縮性の低減を図ることができ、
穿刺時の座屈が防がれ、穿刺性の向上を図れると共に、
手元操作に対する追従性が向上して、穿刺及び抜去が確
実に行うことができる。 (2) 外筒の構成として、金属細線を網目状に編んだ金属
ブレードを樹脂より成る内外層で挟み込んた構造を採用
しているため、外筒の強化が図れ、針の移動時の針によ
る外筒の突き破りを確実に防止することができる。この
ため、外筒の先端に突き破り防止対策を施す必要がなく
なり、先端部の可撓性を損ねたり、使用時の信頼性を低
下させるのを防ぐことができる。 (3) 内筒の先端の内層を剥ぎ、露出した金属ブレードに
針を直接接着しているため、内筒と針を確実に接着する
ことができ、針落下防止機構等を設けなくても針落下の
懸念を無くすことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施の形態の針収納状態を示す
全体図。

【図２】本発明の第１の実施の形態の針突出状態を示す
全体図。

【図３】第１の実施の形態の針と内筒の接続構造を示す
説明図。

【図４】第１の実施の形態の外筒、及び内筒の構造を示
す説明図。

【図５】第１の実施の形態の手元操作部を示し、(a) は
全体の部分断面図、(b) は先端の拡大図。

【符号の説明】

１ 外筒 ２ 針 ３ 内筒 ４ 内針 ５ 手元操作部 ５Ａ スライド機構部 ５Ｂ 吸引機構部 ６ 内層 ７ 金属ブレード ８ 外層 ９ 内筒基 ９Ａ 突起 １０ 外筒基 １１ スリット １１Ａ 移動溝 １１Ｂ 針位置固定溝 １２ キャップ １３ ロックリング １５ シリンジ １６ ピストン １６Ａ 把持部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内視鏡の鉗子孔に先端から通される所定
   の長さを有した外筒、前記外筒内に設けられ、先端に針
   を有した内筒、及び前記外筒と前記内筒の後端に設けら
   れ、前記外筒と前記内筒を相対的に移動させて前記針に
   前記外筒内に収容される位置と、前記外筒の先端より突
   出する位置を取らせる手元操作部を備えた内視鏡用穿刺
   針において、 前記外筒、及び前記内筒は、樹脂製の内層と、この内層
   の外周に施され、金属細線を網目状に編んだ金属ブレー
   ドと、この金属ブレードの外周に施された樹脂製の外層
   より構成されていることを特徴とする内視鏡用穿刺針。
2. 【請求項２】 前記内筒は、先端から所定の長さ前記内
   層が剥離されることにより前記金属ブレードが露出した
   構成を有し、 前記針は、前記内筒の露出した前記金属ブレードに接着
   されている構成の請求項１の内視鏡用穿刺針。
3. 【請求項３】 前記手元操作部は、前記内筒、及び前記
   外筒の後端がそれぞれ接続され、それぞれ摺動可能に同
   心円状に配置された第１及び第２の円筒状部材から構成
   され、 前記第１及び第２の円筒状部材は、両者の摺動面の一方
   に形成された長手方向の移動溝、及びこの移動溝に続く
   周方向の固定溝に、前記摺動面の他方に形成された突起
   が係合した構成を有し、前記移動溝の前記突起の移動範
   囲内で相対的に移動し、前記突起を前記固定溝に係合さ
   せると、前記第１及び第２の円筒状部材の長手方向の移
   動が規制される構成を有する請求項１の内視鏡用穿刺
   針。