JPH09129444A - 高周波用軟磁性合金薄膜 - Google Patents

高周波用軟磁性合金薄膜

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JPH09129444A
JPH09129444A JP28630095A JP28630095A JPH09129444A JP H09129444 A JPH09129444 A JP H09129444A JP 28630095 A JP28630095 A JP 28630095A JP 28630095 A JP28630095 A JP 28630095A JP H09129444 A JPH09129444 A JP H09129444A
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soft magnetic
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magnetic alloy
crystal
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JP28630095A
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Naoya Hasegawa
直也 長谷川
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Alps Alpine Co Ltd
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Alps Electric Co Ltd
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    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y25/00Nanomagnetism, e.g. magnetoimpedance, anisotropic magnetoresistance, giant magnetoresistance or tunneling magnetoresistance
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F10/00Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure
    • H01F10/007Thin magnetic films, e.g. of one-domain structure ultrathin or granular films

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 500MHz〜1GHzあるいはそれ以上の
高周波領域において優れた軟磁気特性を有する高周波用
軟磁性合金薄膜の提供。 【解決手段】 Fe、Co、Niのうちの少なくとも1
種からなる強磁性金属元素Tを主成分とし、平均結晶粒
径が30nm以下の結晶粒21からなる結晶相と、前記結
晶粒の粒界に存在する非晶質相25の二相を主体とする
軟磁性合金薄膜であって、前記結晶粒21の特定の結晶
方位が軟磁性合金薄膜の膜面法線方向以外の方向に優先
配向してなる高周波用軟磁性合金薄膜20。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶テレビ用アン
テナ、磁気ヘッドのコア、パルスモータの磁心、チョー
クコイルの磁性コア、トランス等のマイクロ磁気デバイ
ス分野に好適に使用できる軟磁気特性に優れた高周波用
軟磁性合金薄膜に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、磁気ヘッドのコアやパルスモー
タの磁心あるいはトランスやチョークコイルなどに用い
られている軟磁性合金に要求される特性は、飽和磁束密
度が高いこと、透磁率が高いこと、低保磁力であるこ
と、薄い形状が得やすいことなどである。従って軟磁性
合金の開発においては、これらの観点から種々の合金系
において材料研究がなされている。従来、前述の用途に
対する材料として、センダスト、パーマロイ、けい素鋼
等の結晶質合金が用いられ、特に最近では、Fe系やC
o系の非晶質合金も使用されるようになってきている。
しかるに、機器の小型化、高性能化に対応するために、
より高性能の軟磁性材料が望まれている。
【0003】ところが、前記のセンダストは、軟磁気特
性には優れるものの、飽和磁束密度が約11kG程度と
低い欠点があり、パーマロイも同様に、軟磁気特性に優
れる合金組成においては飽和磁束密度が約8kGと低い
欠点があり、けい素鋼は飽和磁束密度は高いものの、軟
磁気特性に劣る欠点がある。一方、Co基の非晶質合金
は、軟磁気特性には優れるものの、飽和磁束密度が10
kG程度と不十分である。また、Fe基の非晶質合金
は、飽和磁束密度が高く、15kGあるいはそれ以上の
ものが得られるが、軟磁気特性が不十分な傾向がある。
更に、非晶質合金の熱安定性は十分ではなく、未だ未解
決の面がある。以上のことから従来の材料では、高飽和
磁束密度と優れた軟磁気特性を兼備することは難しい。
【0004】このような背景から本発明者らは、前記の
課題を解決する軟磁性合金薄膜として、特願平6−47
505号公報、特願平6−57890号公報などにおい
てスパッタ装置等の方法によりFe-M-O系またはFe
-M-N(MはTi,Zr,Hf,Nb,V,Ta,M
o,Wのうちの少なくとも1種からなる元素を表す。)
系の軟磁性合金薄膜を特許出願している。これらの特許
出願に係る軟磁性合金薄膜は、図4に示すように平均結
晶粒径が数nm〜数10nmであり、Feを主成分とす
るbcc構造の結晶粒11からなる結晶相と、bcc構
造の結晶粒11の粒界に存在する粒界非晶質相15を混
在させたものであり、優秀な軟磁気特性と高い飽和磁束
密度を兼ね備えるものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記Fe-
M-O系またはFe-M-N系の軟磁性合金薄膜にあって
は、Feを主成分とするbcc構造の結晶粒11の結晶
方位の配列方向がランダムであり、例えば、各bcc結
晶の結晶磁気異方性の磁化容易軸(<100>方向)の
配列方向がランダムであり、自然共鳴周波数が500M
Hz〜1GHzの高周波領域に存在していた。このた
め、500MHz〜1GHzの高周波領域で使用する
と、自然共鳴が起り、これに起因して図5に示すように
複素透磁率の実数部μ′が複素透磁率の虚数部μ″より
も低下し、Q(=(1/tanδ)=(μ′/μ″))
が低下してしまい、磁心損失が大きくなってしまう。図
5は、従来の軟磁性合金薄膜が使用される時の周波数
と、複素透磁率の実数部μ′ならびに複素透磁率の虚数
部μ″との関係を示したグラフである。前記Qは、コア
材の損失特性を示すものであり、この値が大きいほど、
高周波用材料として優れるものである。
【0006】そこで、前記系の軟磁性合金薄膜につい
て、本発明者らが更に研究を重ねた結果、結晶粒の特定
の結晶方位を軟磁性合金薄膜の膜面法線方向以外の方向
に優先的に配向させて、一軸異方性エネルギーをある特
定範囲に調節することで、特に、500MHz〜1GH
zの高周波領域でのμ′の低下が改善され、良好な軟磁
気特性を有するものを得ることができることが判明し
た。本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、5
00MHz〜1GHzあるいはそれ以上の高周波領域に
おいて優れた軟磁気特性を有する高周波用軟磁性合金薄
膜を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
Fe、Co、Niのうちの少なくとも1種からなる強磁
性金属元素Tを主成分とし、平均結晶粒径が30nm以下
の結晶粒からなる結晶相と、前記結晶粒の粒界に存在す
る非晶質相の2相を主体とする軟磁性合金薄膜であっ
て、前記結晶粒の特定の結晶方位が軟磁性合金薄膜の膜
面法線方向以外の方向に優先配向してなることを特徴と
する高周波用軟磁性合金薄膜を前記課題の解決手段とし
た。
【0008】また、請求項2記載の発明は、膜面内での
一軸異方性エネルギーが104erg/cm3以上2×1
5erg/cm3以下であることを特徴とする請求項1
記載の高周波用軟磁性合金薄膜を前記課題の解決手段と
した。
【0009】また、請求項3記載の発明は、軟磁性合金
薄膜の平均の磁化容易軸方向と膜面法線方向とを含む面
E上に存在するあらゆる方向における特定の結晶面の極
密度を、該面E上の全角度にわたって積分した値をXと
し、軟磁性合金薄膜の平均の磁化困難軸方向と膜面法線
方向とを含む面H上に存在するあらゆる方向における特
定の結晶面(格子面)の極密度を、該面H上の全角度に
わたって積分した値をYとし、前記特定の結晶面が結晶
磁気異方性の磁化容易方向と垂直な結晶面(格子面)で
あるとき、前記結晶粒の配向度が1.05≦X/Y≦1
0で示される条件を満たす範囲であることを特徴とする
請求項1又は2記載の高周波用軟磁性合金薄膜を前記課
題の解決手段とした。
【0010】また、請求項4記載の発明は、比抵抗が3
00μΩ・cm以上であることを特徴とする請求項1、
2又は3に記載の高周波用軟磁性合金薄膜を前記課題の
解決手段とした。また、請求項5記載の発明は、Fe、
Co、Niのうちの少なくとも1種からなる強磁性金属
元素Tと、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Mo、
Wのうちの少なくとも1種からなる元素Mと、N、Oの
うち少なくとも1種からなる元素Dを主体として構成さ
れてなることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載
の高周波用軟磁性合金薄膜を前記課題の解決手段とし
た。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について更に詳細に
説明する。図1は、本発明に係る高周波用軟磁性合金薄
膜の組織状態の一例を示す模式図であり、図中符号20
は高周波用軟磁性合金薄膜である。この高周波用軟磁性
合金薄膜20は、後述する種々の組成を有し、Fe、C
o、Niのうちの少なくとも1種からなる強磁性金属元
素Tを主成分とし、平均結晶粒径が30nm以下の結晶粒
21からなる結晶相と、結晶粒21の粒界に存在する非
晶質相25の二相を主体としてなる組織を有する。結晶
粒21の結晶構造は体心立方構造のほか、Fe、Co、
Niの成分比によっては面心立方構造、六方稠密構造と
することができ、いずれの場合もそれぞれの結晶構造の
ときの結晶磁気異方性エネルギーを利用することができ
る。この高周波用軟磁性合金薄膜20においては、結晶
粒21の特定の結晶方位が膜面法線方向以外の方向に優
先的に配向されており、例えば、結晶粒21の磁化容易
軸a2あるいはa2と垂直な面が膜面法線方向以外の方向
に優先的に配向されている。
【0012】そして、この高周波用軟磁性合金薄膜20
においては、結晶粒21の特定の結晶方位が膜面法線方
向以外の方向に優先的に配向させることにより、膜面内
での一軸異方性エネルギー(Ku)がある特定範囲に調
節されている。前記一軸異方性エネルギーの範囲は、1
4erg/cm3以上2×105erg/cm3以下、好
ましくは2×104〜1×105erg/cm3とされ
る。一軸異方性エネルギーが104erg/cm3未満で
あると、磁界中で成膜するあるいは成膜後に磁界中で熱
処理する等の従来公知の方法でも付与可能であり、一軸
異方性エネルギーが2×105erg/cm3を超えると
透磁率の値が小さくなり過ぎて好ましくないからであ
る。
【0013】また、高周波用軟磁性合金薄膜20中の結
晶粒21の配向度は、1.05≦X/Y≦10で示され
る条件を満たす範囲とされる。ここでの高周波用軟磁性
合金薄膜20中の結晶粒21の配向度の尺度としては、
結晶磁気異方性の磁化容易方向(強磁性金属元素Tが体
心立方構造のFeなら<100>方向、強磁性金属元素
Tが六方稠密構造のCoなら<0001>方向とな
る。)と垂直な格子面(強磁性金属元素TがFeなら
{100}面、強磁性金属元素TがCoなら{000
1}面)の極密度を用いたものである。
【0014】図2は、結晶粒21の配向度の条件を説明
するための図である。前記極密度は、例えばA方向(膜
面26と角θをなす方向)が、前記格子面(体心立方の
{100}面、六方稠密構造の{0001}面など)の
法線方向(すなわち体心立方の<100>方向、六方稠
密構造の<0001>方向など)と一致する結晶粒がど
のような確率密度で薄膜20中に存在するのかを表す指
標である。例えば、A方向での{100}面の極密度が
高いということはA方向に<100>方向を向いた結晶
粒21が多く存在することを表す。前記Xは、軟磁性合
金薄膜20の平均の磁化容易軸C方向と膜面法線P方向
とを含む面E上に存在するあらゆる方向における特定の
結晶面(格子面)の極密度を、該面E上の全角度(θ=
0からθ=πまで)にわたって積分したときの値であ
る。
【0015】
【数1】
【0016】前記Yは、軟磁性合金薄膜20の平均の磁
化困難軸G方向と膜面法線P方向とを含む面H上に存在
するあらゆる方向における特定の結晶面の極密度を、該
面H上の全角度(φ=0からφ=πまで)にわたって積
分したときの値である。
【0017】
【数2】
【0018】前記特定の結晶面とは、結晶磁気異方性の
磁化容易方向と垂直な結晶面(格子面)である。本発明
において結晶粒21の配向度を1.05≦X/Y≦10
で示される条件を満たす範囲としたのは、X/Yが1.
05未満あるいは10を超えると一軸異方性エネルギー
を104erg/cm3以上2×105以下の範囲にする
ことが困難であり、また、X/Y=1であると、膜面2
6内成分での結晶方位の優先配向がないことになり、結
晶磁気異方性に起因する膜面26内での一軸異方性は生
じないからである。
【0019】また、前記高周波用軟磁性合金薄膜20
は、比抵抗が300μΩ・cm以上であることが好まし
い。比抵抗が300μΩ・cmより低いと、一軸異方性
エネルギーを104erg/cm3以上2×105以下に
して自然共鳴周波数を1GHz以上の周波数領域に上げ
ても、1GHzより低い周波数領域では渦電流損失によ
り透磁率が低下してしまうからである。ここでの比抵抗
は、後述する成膜の際、例えば、成膜装置内に供給する
混合ガス中の酸素ガスの濃度を変更し、得られる薄膜2
0中のO(酸化物)の含有量を多くすることにより高め
ることができる。
【0020】前記高周波用軟磁性合金薄膜20は、F
e、Co、Niのうちの少なくとも1種からなる強磁性
金属元素Tと、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、M
o、Wのうちの少なくとも1種からなる元素Mと、N、
Oのうち少なくとも1種からなる元素Dを主体として構
成されてなるものである。
【0021】この高周波用軟磁性合金薄膜20の組成例
としては、以下に示すようなものがある。たとえば、上
記強磁性金属元素TとしてFeが適用されるものである
と、FeTiN、FeZrN、FeHfN、FeVN、FeNbN、FeTiZrN、FeT
iHfN、FeZrHfN、FeTiO、FeZrO、FeHfO、FeVO、FeNbO、F
eTiZrO、FeTiHfO、FeZrHfOなどがある。また、強磁性金
属元素TとしてCoが適用されるものであると、CoTi
N、CoZrN、CoHfN、CoVN、CoNbN、CoTiZrN、CoTiHfN、Co
ZrHfN、CoTiO、CoZrO、CoHfO、CoVO、CoNbO、CoTiZrO、
CoTiHfO、CoZrHfOなどがある。
【0022】また、強磁性金属元素TとしてNiが適用
されるものであると、NiTiN、NiZrN、NiHfN、NiVN、NiN
bN、NiTiZrN、NiTiHfN、NiZrHfN、NiTiO、NiZrO、NiHf
O、NiVO、NiNbO、NiTiZrO、NiTiHfO、NiZrHfOなどがあ
る。また、強磁性金属元素TとしてFeとCoの両方が
適用されるものであると、FeCoTiN、FeCoZrN、FeCoHf
N、FeCoVN、FeCoNbN、FeCoTiZrN、FeCoTiHfN、FeCoZrHf
N、FeCoTiO、FeCoZrO、FeCoHfO、FeCoVO、FeCoNbO、FeC
oTiZrO、FeCoTiHfO、FeCoZrHfOなどがある。
【0023】また、強磁性金属元素TとしてCoとNi
の両方が適用されるものであると、CoNiTiN、CoNiZrN、
CoNiHfN、CoNiVN、CoNiNbN、CoNiTiZrN、CoNiTiHfN、Co
NiZrHfN、CoNiTiO、CoNiZrO、CoNiHfO、CoNiVO、CoNiNb
O、CoNiTiZrO、CoNiTiHfO、CoNiZrHfOなどがある。ま
た、強磁性金属元素TとしてFeとNiの両方が適用さ
れるものであると、FeNiTiN、FeNiZrN、FeNiHfN、FeNiV
N、FeNiNbN、FeNiTiZrN、FeNiTiHfN、FeNiZrHfN、FeNiT
iO、FeNiZrO、FeNiHfO、FeNiVO、FeNiNbO、FeNiTiZrO、
FeNiTiHfO、FeNiZrHfOなどがある。
【0024】また、強磁性金属元素TとしてFeとCo
とNiが適用されるものであると、FeNiCoTiN、FeNiCoZ
rN、FeNiCoHfN、FeNiCoVN、FeNiCoNbN、FeNiCoTiZrN、F
eNiCoTiHfN、FeNiCoZrHfN、FeNiCoTiO、FeNiCoZrO、FeN
iCoHfO、FeNiCoVO、FeNiCoNbO、FeNiCoTiZrO、FeNiCoTi
HfO、FeNiCoZrHfOなどがある。
【0025】高周波用軟磁性合金薄膜20の膜厚は、1
00Å〜10μmの範囲内であることが好ましい。軟磁
性合金薄膜20の膜厚が100Å未満であると軟磁気特
性が劣化してしまい好ましくなく、10μmよりも厚い
と、渦電流損失が大きくなるため好ましくないからであ
る。
【0026】前述のような組成と組織を有する高周波用
軟磁性合金薄膜20を製造するには、スパッタや蒸着等
により製造することができるが、その際、結晶粒21の
特定の結晶方位を膜面法線方向以外の方向に優先的に配
向させるには、基板温度や成膜装置内のガス圧等の成膜
条件の制御、基板を傾斜させること、基板を加熱しなが
ら磁場中成膜を行うこと、磁場中アニールすること、あ
るいはこれらの方法を併用するにより、所望の配向度の
ものを得ることが可能である。
【0027】成膜装置としては、高周波2極スパッタ装
置、DCスパッタ、マグネトロンスパッタ、3極スパッ
タ、イオンビームスパッタ、対向ターゲット式スパッタ
等を利用することができる。またスパッタ−ゲートとし
て前記強磁性金属元素TあるいはT−M合金からなるタ
ーゲットが使用できる。
【0028】また、Nおよび/またはOを膜中に添加す
る方法としては、Ar等の不活性ガス中に酸素ガスおよ
び/または窒素ガスを混合した混合ガス雰囲気でスパッ
タする反応性スパッタにより添加することができ、この
反応性スパッタ法では混合ガス中の窒素ガスおよび/ま
たは酸素ガスの濃度を変更することにより、薄膜20中
のNおよび/またはOの含有量の制御が容易である。O
(酸化物)の含有量を多くすることにより比抵抗を高め
ることができる。
【0029】この高周波用軟磁性合金薄膜20は、強磁
性金属元素Tを主成分とし、平均結晶粒径が30nm以下
の結晶粒21からなる結晶相が、Nおよび/またはO
と、Mを多量に含む非晶質相25で取り囲まれたような
構造を有する薄膜となる。この高周波用軟磁性合金薄膜
20は、Tの結晶粒21の平均結晶粒径が30nm以下と
微細であるため、優れた軟磁気特性を示し、また、Tの
結晶粒21が、高抵抗の非晶質相25によって取り囲ま
れているため、渦電流損失を抑えることができる。
【0030】また、この高周波用軟磁性合金薄膜20に
あっては、結晶粒21の特定の結晶方位が膜面法線方向
以外の方向に優先的に配向させることにより、膜面内で
の一軸異方性エネルギーを104erg/cm3以上2×
105erg/cm3以下にしたものであるので、自然共
鳴周波数を1GHzよりも高い周波領域に移動させるこ
とができる。従って、この高周波用軟磁性合金薄膜20
を500MHz〜1GHz帯の高周波領域で使用して
も、500MHz〜1GHz帯の高周波領域では自然共
鳴が起らないので、図3に示すようにμ′がμ″より低
下することがなくなり、500MHz〜1GHz帯の高
周波領域でもQの値が十分大きく、高い飽和磁束密度を
維持した上で従来材料よりも軟磁気特性が優れるという
利点がある。図3は、本発明の効果を示す説明図であ
り、本発明の高周波用軟磁性合金薄膜が使用される時の
周波数と、複素透磁率の実数部μ′ならびに複素透磁率
の虚数部μ″との関係を示したグラフである。
【0031】さらに、この高周波用軟磁性合金薄膜20
は、軟磁気特性が優れているうえ、膜厚が薄く、しかも
比抵抗が300μΩ・cm以上と高いものであるので、
渦電流損失を低減することができ、高周波における透磁
率の低下が抑制され、高周波特性が優れる。従って、ア
ンテナ、薄膜トランス、磁気ヘッドのコア、薄膜インダ
クタ、スイッチング素子などの磁気素子に応用した場
合、これらの磁気素子の小型軽量化、高性能化に大きく
寄与することがきる。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように本発明の高周波用軟
磁性合金薄膜においては、結晶粒の特定の結晶方位が膜
面法線方向以外の方向に優先的に配向させることによ
り、自然共鳴周波数が1GHzよりも高い周波領域に移
動させることができるので、500MHz〜1GHz帯
の高周波領域で使用しても自然共鳴が起らず、μ′が
μ″より低下することがなくなり、500MHz〜1G
Hz帯の高周波領域でもQの値が十分大きく、高い飽和
磁束密度を維持した上で従来材料よりも軟磁気特性が優
れるという利点がある。また、比抵抗を300μΩ・c
m以上としたものにあっては、アンテナ、薄膜トラン
ス、磁気ヘッドのコア、薄膜インダクタ、スイッチング
素子などの磁気素子に応用した場合、これらの磁気素子
の小型軽量化、高性能化に大きく寄与することがきる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係わる高周波用軟磁性合金薄膜の組
織状態の一例を示す模式図である。
【図2】 本発明に係わる高周波用軟磁性合金薄膜の結
晶粒の配向度の条件を説明するための図である。
【図3】 本発明の高周波用軟磁性合金薄膜が使用され
る時の周波数と、複素透磁率の実数部μ′ならびに複素
透磁率の虚数部μ″との関係を示したグラフである。
【図4】 従来の軟磁性合金薄膜の組織状態を示す模式
図である。
【図5】 従来の軟磁性合金薄膜が使用される時の周波
数と、複素透磁率の実数部μ′ならびに複素透磁率の虚
数部μ″との関係を示したグラフである。である。
【符号の説明】
20・・・高周波用軟磁性合金薄膜、21・・・結晶粒、25
・・・非晶質相、26・・・膜面、E・・・面、H・・・面。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe、Co、Niのうちの少なくとも1
    種からなる強磁性金属元素Tを主成分とし、平均結晶粒
    径が30nm以下の結晶粒からなる結晶相と、前記結晶粒
    の粒界に存在する非晶質相の二相を主体とする軟磁性合
    金薄膜であって、前記結晶粒の特定の結晶方位が軟磁性
    合金薄膜の膜面法線方向以外の方向に優先配向してなる
    ことを特徴とする高周波用軟磁性合金薄膜。
  2. 【請求項2】 膜面内での一軸異方性エネルギーが10
    4erg/cm3以上2×105erg/cm3以下である
    ことを特徴とする請求項1記載の高周波用軟磁性合金薄
    膜。
  3. 【請求項3】 軟磁性合金薄膜の平均の磁化容易軸方向
    と膜面法線方向とを含む面E上に存在するあらゆる方向
    における特定の結晶面の極密度を、該面E上の全角度に
    わたって積分した値をXとし、軟磁性合金薄膜の平均の
    磁化困難軸方向と膜面法線方向とを含む面H上に存在す
    るあらゆる方向における特定の結晶面の極密度を、該面
    H上の全角度にわたって積分した値をYとし、前記特定
    の結晶面は結晶磁気異方性の磁化容易方向と垂直な結晶
    面(格子面)であるとき、前記結晶粒の配向度が1.0
    5≦X/Y≦10で示される条件を満たす範囲であるこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載の高周波用軟磁性合
    金薄膜。
  4. 【請求項4】 比抵抗が300μΩ・cm以上であるこ
    とを特徴とする請求項1、2又は3に記載の高周波用軟
    磁性合金薄膜。
  5. 【請求項5】 Fe、Co、Niのうちの少なくとも1
    種からなる強磁性金属元素Tと、Ti、Zr、Hf、
    V、Nb、Ta、Mo、Wのうちの少なくとも1種から
    なる元素Mと、N、Oのうち少なくとも1種からなる元
    素Dを主体として構成されてなることを特徴とする請求
    項1、2、3又は4記載の高周波用軟磁性合金薄膜。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006041527A (ja) * 2004-07-27 2006-02-09 St Microelectronics Sa 磁化が高く絶縁性のある軟磁性薄膜および該薄膜を生成するための方法および集積回路

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