JPH0912653A - 難燃性樹脂およびその組成物 - Google Patents

難燃性樹脂およびその組成物

Info

Publication number
JPH0912653A
JPH0912653A JP17962495A JP17962495A JPH0912653A JP H0912653 A JPH0912653 A JP H0912653A JP 17962495 A JP17962495 A JP 17962495A JP 17962495 A JP17962495 A JP 17962495A JP H0912653 A JPH0912653 A JP H0912653A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flame
structural formula
organic residue
retardant resin
oligomer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP17962495A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazufumi Kai
和史 甲斐
Hiroshi Uchida
博 内田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP17962495A priority Critical patent/JPH0912653A/ja
Publication of JPH0912653A publication Critical patent/JPH0912653A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱硬化させることによりハロゲンフリーの優
れた難燃性を有するプラスチック製品として使用できる
難燃性樹脂あるいは難燃性組成物を開発する。 【構成】 反応性リン化合物のオリゴマー化により得ら
れる末端アリル系オリゴマーからなる難燃性樹脂、ある
いはこの末端アリル系オリゴマーに反応性モノマーある
いは反応性を有する不飽和ポリエステルなどを配合した
難燃性樹脂組成物は優れた難燃性を有する。また反応性
リン化合物をオリゴマー化しないで、末端アリル系オリ
ゴマーに反応性リン化合物を配合した組成物も優れた難
燃性を有する。これらの難燃性樹脂や難燃性樹脂組成物
により上記目的を達成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は難燃性樹脂およびその組
成物に関するものであり、更に詳しくは優れた難燃性を
有するプラスチック製品として、使用することのできる
難燃性樹脂および難燃性樹脂組成物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、プラスチックに対する難燃化の要
求が高まり、用途分野によっては、難燃化が義務づけら
れているものもある。一般に、プラスチックに難燃性を
付与させるには、難燃性物質のポリマー骨格中への導
入、難燃性化合物を共重合させたり、添加する方法など
がある。このような難燃性物質には、ハロゲン化合物が
最も用いられており、中でも臭素化合物が優れた難燃効
果を発揮することが知られている。しかし、臭素化合物
には、金型を腐食させる欠点があり、さらに、最近で
は、燃焼の際に極めて毒性の高い臭素化ダイオキシンが
発生することがわかり、安全上の問題が指摘されてい
る。
【0003】ハロゲン化合物以外の難燃性物質として代
表的なものにリン化合物がある。リン化合物は、その難
燃化機構の特徴から、特に酸素を有するポリマー、例え
ば、ポリウレタン、フェノール樹脂、ポリエステルや変
性PPOに対して、難燃効果が高く、従来から、ポリマ
ーの難燃剤として使用されている。
【0004】これらのリン化合物には、大きくわけて添
加型のものと反応性のものがある。添加型のものは、ポ
リマーに添加しただけであり、成形時に相分離やブリー
ドアウトを起こしやすく、成形物の物性を低下させる。
また、用途によっては、耐洗濯性が要求され、そのよう
な分野では添加型は適さないこともある。そのため、ポ
リマー骨格に直接リンが組み込まれる反応性リン化合物
や含リンポリマーが、難燃化には望ましい。
【0005】一般に反応型難燃剤は、反応性を有するこ
とから、熱可塑性樹脂よりも熱硬化性樹脂に適してお
り、例えばハロゲン系のテトラブモビスフェノールAな
どがよく使用されている。また、リン系の反応性化合物
も知られており、ビニル系ホスホネート、メタクリル酸
エステル系のリン酸エステル、トリアリルホスフェート
のようなアリル系のものがある。しかし、これらのリン
化合物は、低分子量体であるため、揮発性があり、成形
時や取り扱いの際に問題がある。また、これらのリン系
化合物には、毒性の高いものがあることから、安全面か
ら低揮発性のものが望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、低揮
発性であり、熱硬化することで優れた難燃性を有する樹
脂となり、プラスチック製品に難燃性を付与することが
できる難燃性樹脂および難燃性樹脂組成物を提供するこ
とである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決すべく鋭意研究した結果、揮発性を改善する一つの方
法として反応性リン化合物をオリゴマー化する方法を用
い、この反応性リン化合物のオリゴマー化により得られ
る末端アリル系オリゴマーが優れた難燃性を有すること
を見いだし、また、この末端アリル系オリゴマーに反応
性モノマーあるいは反応性を有する不飽和ポリエステル
などを配合した組成物も優れた難燃性を有することを見
いだし、さらに反応性リン化合物をオリゴマー化しない
で、末端アリル系オリゴマーに反応性リン化合物を配合
した組成物も優れた難燃性を有することを見いだし本発
明を成すに至った。
【0008】本発明の請求項1の発明は、下記式にて表
される構造をもつ末端アリル系オリゴマーで、 CH2 =CHCH2 −O−(X−O−Y−O)n−X−
O−CH2 CH=CH2 [ただし、式中Xは、構造式−1の2価のカルボン酸か
ら誘導された有機残基
【0009】
【化5】 (構造式−1中のAは、炭素数1〜20からなる2価の
有機酸から誘導された有機残基を示す。)および構造式
−2のリン化合物の有機残基であり、
【0010】
【化6】 (構造式−2中のR1 は、水素または炭素数が1〜3の
アルキル基またはフェニル基を示す。)
【0011】Yは、ポリオールから誘導された有機残
基、nは1〜20の整数である。] 且つ、上記X成分は10〜100モル%が構造式−2の
リン化合物の有機残基であり、残部が構造式−1の2価
のカルボン酸から誘導された有機残基である末端アリル
系オリゴマーからなる難燃性樹脂である。
【0012】本発明の請求項2の発明は、請求項1記載
の末端アリル系オリゴマーのY成分が、炭素数6〜25
の脂環式および/または芳香環を含んだジオールから誘
導された有機残基であることを特徴とする。
【0013】本発明の請求項3の発明は、少なくとも一
種以上の請求項1記載の末端アリル系オリゴマーが50
〜90重量%で、残りが反応性モノマーからなる難燃性
樹脂組成物である。
【0014】本発明の請求項4の発明は、少なくとも一
種以上の請求項1記載の末端アリル系オリゴマーが40
〜90重量%で、残りが不飽和ポリエステル、ビニルエ
ステル、ジアリルフタレートプレポリマー、ポリブタジ
エンから選ばれる少なくとも一つからなる難燃性樹脂組
成物である。
【0015】本発明の請求項5の発明は、下記式にて表
される構造をもつ少なくとも一種以上の末端アリル系オ
リゴマーが95〜40重量%で、残りが構造式−3のリ
ン化合物の反応性モノマーからなる難燃性樹脂組成物で
ある。 CH2 =CHCH2 −O−(X−O−Y−O)n−X−
O−CH2 CH=CH2 [ただし、式中Xは、構造式−1の2価のカルボン酸か
ら誘導された有機残基であり、
【0016】
【化7】 (構造式−1中のAは、炭素数1〜20からなる2価の
有機酸から誘導された有機残基を示す。) Yは、ポリオールから誘導された有機残基、nは1〜2
0の整数である。]
【0017】
【化8】 (構造式−3中のR2 は、水素または炭素数が1〜3の
アルキル基または炭素数が1〜3のアルコキシ基または
アリルオキシ基またはフェニル基を示す。) 以下に詳細に本発明を説明する。
【0018】本発明の請求項1に記載の上記式にて表さ
れる末端アリル系オリゴマーにおいて、X成分は10〜
100モル%が構造式−2のリン化合物の有機残基であ
り、残部が構造式−1の2価のカルボン酸から誘導され
た有機残基である。X成分のリン化合物の有機残基が1
0モル%未満であると、リン含有率が低下するため、難
燃効果が著しく低下するので、好ましくない。リン含有
率は、末端アリル系オリゴマーの5重量%以上であるこ
とが、難燃効果を高めるには望ましい。また、nが20
を超えると、末端のアリル基濃度が低下し、硬化の際に
重合性が低下するため、20以下であることが好まし
い。
【0019】構造式−2中のR1 は水素または炭素数が
1〜3のアルキル基またはフェニル基を示し、炭素数1
〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、イソプロピル基等があげられる。このような構
造式−2のリン化合物の有機残基を誘導する具体的なリ
ン化合物としては、例えば、ホスホン酸、メチルホスホ
ン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、
フェニルホスホン酸等があげられる。
【0020】X成分中の構造式−1で表される有機残基
を誘導する2価のカルボン酸としては、マロン酸、コハ
ク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,2−
または1,3−又は1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの飽和
カルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸のよう
な不飽和カルボン酸などがあげられる。比較的分子量の
低いマロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、イタ
コン酸は、オリゴマー中のリン濃度が高くなり、難燃効
果が上がる。また、テレフタル酸、イソフタル酸のよう
なベンゼン環を有するものは、硬化物の耐熱性が向上す
る。
【0021】Y成分を誘導するポリオールとしては、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレ
ングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プ
ロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブ
タンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペン
タンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ま
たは1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシレ
ングリコール、m−キシレングリコール、スチレングリ
コール、ビスフェノールA・エチレンオキシド付加物、
ビスフェノールA・プロピレンオキシド付加物、トリシ
クロデカンジメタノール等があげられる。
【0022】これらの中で、低級アルキルの脂肪族ジオ
ールは、末端アリル系オリゴマー合成中に、構造式−2
のリン化合物と環化反応を起こしやすく、高分子量のオ
リゴマーを合成するには適さない。オリゴマーの分子量
を上げるには、脂環式または芳香環を含んだジオールで
ある1,3−または1,4−シクロヘキサンジメタノー
ル、p−キシレングリコール、m−キシレングリコー
ル、スチレングリコール、ビスフェノールA・エチレン
オキシド付加物、ビスフェノールA・プロピレンオキシ
ド付加物、トリシクロデカンジメタノールなどを使用す
ることが好ましい。
【0023】Y成分を誘導する他のポリオールとして
は、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価のア
ルコール、ペンタエリスリトール、ソルビドール等の4
価以上のアルコール等があげられる。これらのポリオー
ルの使用は、オリゴマーの粘度増大を招く場合があるの
で少量にとどめた方がよい。
【0024】本発明の請求項1に記載の末端アリル系オ
リゴマーの合成方法は特に限定されるものではないが、
例えば、炭素数1〜3の低級アルキル基またはアリル基
を有するジカルボン酸ジエステルおよび炭素数1〜3の
低級アルキル基またはアリル基を有するホスホン酸ジエ
ステルとアリルアルコールとポリオールの間で、エステ
ル交換反応触媒の存在下に、副生するアルコールを留去
させながら反応させる方法、また、ジカルボン酸ジハラ
イドおよびホスホン酸ジハライドとアリルアルコールと
ポリオールの間で脱ハロゲン化水素を行い反応する方法
などがあるが、生産性の点では前者の方法が有利であ
る。
【0025】エステル交換反応を行う場合、反応温度は
100〜200℃、好ましくは120〜180℃行うこ
とが好ましい。また、エステル交換反応に使用する触媒
は、従来知られているエステル交換触媒が使用できる
が、特に好ましいのはアルカリ金属、アルカリ土類金属
およびそれらの酸化物、および弱酸塩、Mn、Zn、P
b、TiおよびSnの酸化物、水酸化物、無機酸塩、ア
ルコラート、有機酸塩、ジブチル錫オキサイド、ジオク
チル錫オキサイド等の有機錫化合物である。
【0026】得られたオリゴマーの分子量としては、低
揮発性を考慮すると、GPC(ゲル・パーミエーション
・クロマトグラフィー)法で測定したポリスチレン換算
平均分子量(Mn)で300〜10000、重量平均分
子量(Mw)で、1000〜30000の範囲であるこ
とが望ましい。
【0027】また、エステル交換反応によるオリゴマー
合成終了後には、原料に由来したジアリルエステルモノ
マーのような低分子の重合性モノマーが残存する場合も
あるが、分離することなく使用することができる。
【0028】本発明の請求項1に記載の末端アリル系オ
リゴマーは、重合性や物性の改良を目的として、他の反
応性モノマーで稀釈することができる。このようなモノ
マーとしては、安息香酸アリル、ジアリルフタレート、
ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、ジ
アリルアジペート、トリアリルイソシアヌレート、トリ
アリルトリメリテート等のアリルエステル系モノマー、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレ
ート、ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メ
タ)アクリレート、フエニル(メタ)アクリレート、ベ
ンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)ア
クリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、ペンタエリスルトールトリ(メタ)アクリレ
ート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレー
ト等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、α−
メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、メ
トキシスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化
合物、無水マレイン酸、ジメチルマレート、ジエチルマ
レート、ジアリルマレート等のマレイン酸誘導体、ジメ
チルフマレート、ジエチルフマレート、ジアリルフマレ
ート等のフマル酸誘導体、ジメチルイタコン酸、ジエチ
ルイタコネート、ジアリルイタコネート等のイタコン酸
誘導体、N−フエニルマレイミド、N−シクロヘキシル
マレイミド等のマレイミド類、ジアリルホスフアイト、
メチルホスホン酸ジアリル、エチルホスホン酸ジアリ
ル、プロピルホスホン酸ジアリル、フェニルホスホン酸
ジアリル等のホスホン酸エステル類やジアリルメチルホ
スフェート、ジアリルエチルホスフェート、ジアリルプ
ロピルホスフェート、トリアリルホスフエート等があげ
られる。
【0029】上記反応性モノマーの配合比は、本発明の
難燃性樹脂組成物の0〜50重量%、好ましくは10〜
50重量%、より好ましくは10〜30重量%である。
反応性モノマーの割合が多くなると、硬化速度の不当な
遅延を起こしたり、硬化物の靱性を低下したりする。
【0030】また、本発明の請求項1に記載の末端アリ
ル系オリゴマーは、他の熱硬化性樹脂と混合して使用す
ることもできる。この熱硬化性樹脂としては、末端のア
リル基と共重合が可能なものであればよく、不飽和ポリ
エステル、ビニルエステル、ジアリルフタレートプレポ
リマー、ポリブタンジエンがあげられる。上記熱硬化性
樹脂の配合比は、本発明の難燃性樹脂組成物の0〜60
重量%、好ましくは、10〜30重量%である。60重
量%を超えると、難燃性が低下する。
【0031】本発明の請求項5に記載の難燃性樹脂組成
物は、前記構造式−2で表されるリン化合物の有機残基
を含まない末端アリル系オリゴマーに、反応性リン化合
物を配合した難燃性樹脂組成物であり、この組成物も優
れた難燃性を有する。従って、本発明の請求項5に記載
の末端アリル系オリゴマーにおいて、X成分は全て前記
構造式−1の2価のカルボン酸から誘導された有機残基
である。
【0032】X成分の構造式−1で表される有機残基を
誘導する2価のカルボン酸としては、マロン酸、コハク
酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、1,2−ま
たは1,3−又は1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの飽和
カルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸のよう
な不飽和カルボン酸などがあげられる。テレフタル酸、
イソフタル酸のようなベンゼン環を有するものは、硬化
物の耐熱性が向上する。
【0033】Y成分を誘導するポリオールとしては、エ
チレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレ
ングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プ
ロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブ
タンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペン
タンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ま
たは1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシレ
ングリコール、m−キシレングリコール、スチレングリ
コール、ビスフェノールA・エチレンオキシド付加物、
ビスフェノールA・プロピレンオキシド付加物、トリシ
クロデカンジメタノール等があげられる。
【0034】Y成分を誘導する他のポリオールとして
は、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価のア
ルコール、ペンタエリスリトール、ソルビドール等の4
価以上のアルコール等があげられる。これらのポリオー
ルの使用は、オリゴマーの粘度増大を招く場合があるの
で少量にとどめた方がよい。
【0035】本発明で用いる請求項5に記載の末端アリ
ル系オリゴマーの合成方法は特に限定されるものではな
いが、例えば、炭素数1〜3の低級アルキル基またはア
リル基を有するジカルボン酸ジエステルとアリルアルコ
ールとポリオールの間で、エステル交換反応触媒の存在
下に、副生するアルコールを留去させながら反応させる
方法がある。
【0036】エステル交換反応を行う場合、反応温度は
100〜200℃、好ましくは120〜180℃行うこ
とが好ましい。また、エステル交換反応に使用する触媒
は、従来知られているエステル交換触媒が使用できる
が、特に好ましいのはアルカリ金属、アルカリ土類金属
およびそれらの酸化物、および弱酸塩、Mn、Zn、P
b、TiおよびSnの酸化物、水酸化物、無機酸塩、ア
ルコラート、有機酸塩、ジブチル錫オキサイド、ジオク
チル錫オキサイド等の有機錫化合物である。
【0037】得られたオリゴマーの分子量としては、低
揮発性を考慮すると、GPC(ゲル・パーミエーション
・クロマトグラフィー)法で測定したポリスチレン換算
平均分子量(Mn)で300〜10000、重量平均分
子量(Mw)で、1000〜30000の範囲であるこ
とが望ましい。
【0038】また、エステル交換反応によるオリゴマー
合成終了後には、原料に由来したジアリルエステルモノ
マーのような低分子の重合性モノマーが残存する場合も
あるが、分離することなく使用することができる。
【0039】本発明の請求項5に記載の末端アリル系オ
リゴマーは、難燃性を賦与するとともに重合性や物性の
改良を目的として前記構造式−3のリン化合物の反応性
モノマーを配合する。このようなモノマーとしては、ジ
アリルホスフアイト、メチルホスホン酸ジアリル、エチ
ルホスホン酸ジアリル、プロピルホスホン酸ジアリル、
フェニルホスホン酸ジアリル等のホスホン酸エステル類
やジアリルメチルホスフェート、ジアリルエチルホスフ
ェート、ジアリルプロピルホスフェート、トリアリルホ
スフエート等があげられる。
【0040】上記反応性モノマーの配合比は、本発明の
請求項5に記載の難燃性樹脂組成物の5〜60重量%、
好ましくは20〜60重量%である。反応性モノマーの
割合が5重量%未満では難燃性が不十分となり、60重
量%を超えると硬化速度の不当な遅延を起こしたり、硬
化物の靱性を低下したりする。
【0041】本発明の難燃性樹脂や難燃性樹脂組成物
は、ラジカル重合開始剤を添加して熱硬化することによ
り難燃性硬化物を得ることができる。ラジカル重合開始
剤としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキシ
ド、シクロヘキサノンパーオキシド、ベンゾイルパーオ
キシド、クメンヒドロパーオキシド、ジクミルパーオキ
シド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキ
シジカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチル
ヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)3,3,5トリメチルシクロヘキサン等があげられ
る。これらは、本発明の難燃性樹脂や難燃性樹脂組成物
100重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくは
0.5〜2重量部用いる。
【0042】本発明の難燃性樹脂や難燃性樹脂組成物に
は、従来の熱硬化性樹脂と同様に所望に応じて、無機フ
ィラー、ガラス繊維等の充填物、重合禁止剤、顔料等の
添加物等を配合させ、成形物の物性を改善することがで
きる。
【0043】また、本発明の難燃性樹脂や難燃性樹脂組
成物は、熱可塑性樹脂の難燃剤として、物性を損なわな
い程度に使用することも可能である。
【0044】本発明の難燃性樹脂や難燃性樹脂組成物
は、従来の熱硬化性樹脂と同様な公知の成形法がそのま
ま適用できる。即ち、金型に注入して硬化させる注型
法、金型中で加熱加圧して硬化させる圧縮成形法、適当
な有機溶媒に溶解し、繊維状シート中で硬化される積層
板成形法、印刷紙などに含浸させ、乾燥後、基板上で加
熱加圧して硬化させる化粧板成形法などがある。
【0045】
【実施例】以下に実施例および比較例を示して本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に
限定されるものではない。
【0046】(実施例1)(前記構造式−2のリン化合
物の有機残基を含む請求項1記載の末端アリル系オリゴ
マーの製造例およびこのオリゴマーの硬化例) 蒸留装置のついた1リットル三ツ口フラスコにジアリル
テレフタレート197g、ジアリルホスファイト260
g、ビスフェノールAエチレンオキシド2モル付加体3
80g、ジブチル錫オキサイド0.5gを仕込んで窒素
気流下で160℃に加熱し、生成してくるアルコールを
留去した。生成するアルコールの理論量の60%に達し
たところで、反応系内を10mmHgまで減圧し、アル
コールの留去を速めた。理論量のアルコールを留去した
後、反応系内を2mmHgにし、更に1時間加熱をし
て、重合性オリゴマーを得た。表1に得られたオリゴマ
ーの物性値を示す。得られたオリゴマーに開始剤として
ジクミルパーオキサイドを2phr配合して、130℃
で1時間、160℃で1時間の条件で、注型法で熱硬化
した。硬化物の物性値を表2に示す。
【0047】(実施例2〜6)(前記構造式−2のリン
化合物の有機残基を含む請求項1記載の他の末端アリル
系オリゴマーの製造例およびこのオリゴマーの硬化例) 表1に示したように、ジアリルエステル、反応性リン化
合物、ポリオールの原料および各々の仕込み量を変えた
以外は、実施例1とほぼ同様な操作でオリゴマーの合成
を行った。得られたオリゴマーの物性値を表1に合わせ
て示す。得られたオリゴマーを実施例1と同様にして注
型法で熱硬化した。硬化物の物性値を表2に示す。
【0048】(比較例1)(前記構造式−2で表される
リン化合物の有機残基を含まない末端アリル系オリゴマ
ーの製造例およびこのオリゴマーの硬化例) 蒸留装置のついた1リットルの三つ口フラスコにジアリ
ルテレフタレート591g、ビスフェノールAエチレン
オキシド2モル付加体を380g、ジブチル錫オキサイ
ド0.6gを仕込んで窒素気流下で160℃に加熱し、
生成してくるアルコールを留去した。生成するアルコー
ルの理論量の60%に達したところで、反応系内を10
mmHgまで減圧し、アルコールの留去を速めた。理論
量のアルコールを留去した後、反応系内を2mmHgに
し、更に1時間加熱をして、重合性オリゴマーを得た。
表1に得られたオリゴマーの物性値を示す。得られたオ
リゴマーを実施例1と同様にして注型法で熱硬化した。
硬化物の物性値を表2に示す。
【0049】(実施例7)実施例5の末端アリル系オリ
ゴマー80重量%に反応性モノマーとしてスチレンを2
0重量%配合して本発明の難燃性樹脂組成物を作った。
得られた難燃性樹脂組成物を実施例1と同様にして注型
法で熱硬化した。硬化物の物性値を表2に示す。
【0050】(実施例8)実施例5の末端アリル系オリ
ゴマー80重量%に反応性モノマーとしてメチルメタク
リレートを20重量%配合して本発明の難燃性樹脂組成
物を作った。得られた難燃性樹脂組成物を実施例1と同
様にして注型法で熱硬化した。硬化物の物性値を表2に
示す。
【0051】(実施例9)実施例6の末端アリル系オリ
ゴマー70重量%に反応性の熱硬化性樹脂として不飽和
ポリエステル樹脂[商品名:ユピカ6424、日本ユピ
カ(株)製]を30重量%配合して本発明の難燃性樹脂
組成物を作った。得られた難燃性樹脂組成物を実施例1
と同様にして注型法で熱硬化した。硬化物の物性値を表
2に示す。
【0052】(実施例10)比較例1の末端アリル系オ
リゴマー50重量%に前記構造式−3のリン化合物の反
応性モノマーとしてトリアリルホスフェートを50重量
%配合して本発明の難燃性樹脂組成物を作った。得られ
た難燃性樹脂組成物を実施例1と同様にして注型法で熱
硬化した。硬化物の物性値を表2に示す。
【0053】(実施例11)比較例1の末端アリル系オ
リゴマー50重量%に前記構造式−3のリン化合物の反
応性モノマーとしてフェニルホスホン酸ジアリルを50
重量%配合して本発明の難燃性樹脂組成物を作った。得
られた難燃性樹脂組成物を実施例1と同様にして注型法
で熱硬化した。硬化物の物性値を表2に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】尚、諸物性の測定は、以下の試験方法によ
って行った。 1.粘度 JISK−7117に準じて、ブルックフィールド型単
一円筒回転粘度計を用い、S法により測定温度25℃で
測定した。 2.分子量 GPC法によるポリスチレン換算のMn、Mwを求め
た。 3.難燃試験 UL−94の試験法により、試験片の難燃性を測定し
た。 4.硬度 バーコル硬度計による硬度測定を行った。 5.リン含有率 元素分析にて、リン原子の定量を行った。
【0057】表1および表2から、本発明の請求項1に
記載の分子量が高く低揮発性の末端アリル系オリゴマー
を単独で硬化させた硬化物、あるいはこの末端アリル系
オリゴマーに反応性モノマーあるいは反応性の熱硬化性
樹脂を配合した組成物を硬化させた硬化物は硬度が高
く、難燃試験でV−1の優れた難燃性を示すことがわか
る。また、本発明の請求項5に記載の分子量が高い末端
アリル系オリゴマーに前記構造式−3のリン化合物の反
応性モノマーを配合した組成物を硬化させた硬化物も、
硬度が高く、難燃試験でV−1の優れた難燃性を示すこ
とがわかる。これに対して比較例1の前記構造式−2で
表されるリン化合物の有機残基を含まない末端アリル系
オリゴマーを単独で硬化させた硬化物は硬度は高いが、
難燃試験で燃焼した。
【0058】
【発明の効果】本発明の請求項1に記載の末端アリル系
オリゴマーは、低揮発性であり、熱硬化することで優れ
た難燃性を有する樹脂となり、プラスチック製品に難燃
性を付与することができる。
【0059】本発明の請求項2に記載の末端アリル系オ
リゴマーは、末端アリル系オリゴマー合成中に、炭素数
6〜25の脂環式および/または芳香環を含んだジオー
ルが構造式−2を誘導するリン化合物と環化反応を起さ
ないので、優れた難燃性を賦与できる上、高分子量のオ
リゴマーを合成できる。
【0060】本発明の請求項3に記載の難燃性樹脂組成
物は請求項1に記載の末端アリル系オリゴマーに、反応
性モノマーを配合してあるので、優れた難燃性を賦与で
きる上、重合性や物性の改良を行うことができる。
【0061】本発明の請求項4に記載の難燃性樹脂組成
物は請求項1に記載の末端アリル系オリゴマーに、反応
性の熱硬化性樹脂を配合してあるので、優れた難燃性を
賦与できる上、重合性や物性の改良を行うことができ
る。
【0062】本発明の請求項5に記載の難燃性樹脂組成
物は前記構造式−2のリン化合物の有機残基を含まない
末端アリル系オリゴマーに、前記構造式−3のリン化合
物の反応性モノマーを配合してあるので、熱硬化するこ
とで優れた難燃性を有する樹脂となり、プラスチック製
品に難燃性を付与することができる。
【0063】本発明の難燃性樹脂あるいは難燃性組成物
は熱硬化させることによりハロゲンフリーの優れた難燃
性を有するプラスチック製品として使用することができ
るので産業上の利用価値が大きい。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式にて表される構造をもつ末端アリ
    ル系オリゴマーで、 CH2 =CHCH2 −O−(X−O−Y−O)n−X−
    O−CH2 CH=CH2 [ただし、式中Xは、構造式−1の2価のカルボン酸か
    ら誘導された有機残基 【化1】 (構造式−1中のAは、炭素数1〜20からなる2価の
    有機酸から誘導された有機残基を示す。)および構造式
    −2のリン化合物の有機残基であり、 【化2】 (構造式−2中のR1 は、水素または炭素数が1〜3の
    アルキル基またはフェニル基を示す。) Yは、ポリオールから誘導された有機残基、nは1〜2
    0の整数である。] 且つ、上記X成分は10〜100モル%が構造式−2の
    リン化合物の有機残基であり、残部が構造式−1の2価
    のカルボン酸から誘導された有機残基である末端アリル
    系オリゴマーからなる難燃性樹脂。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の末端アリル系オリゴマー
    のY成分が、炭素数6〜25の脂環式および/または芳
    香環を含んだジオールから誘導された有機残基であるこ
    とを特徴とする末端アリル系オリゴマーからなる難燃性
    樹脂。
  3. 【請求項3】 少なくとも一種以上の請求項1記載の末
    端アリル系オリゴマーが50〜90重量%で、残りが反
    応性モノマーからなる難燃性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 少なくとも一種以上の請求項1記載の末
    端アリル系オリゴマーが40〜90重量%で、残りが不
    飽和ポリエステル、ビニルエステル、ジアリルフタレー
    トプレポリマー、ポリブタジエンから選ばれる少なくと
    も一つからなる難燃性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 下記式にて表される構造をもつ少なくと
    も一種以上の末端アリル系オリゴマーが95〜40重量
    %で、残りが構造式−3のリン化合物の反応性モノマー
    からなる難燃性樹脂組成物。 CH2 =CHCH2 −O−(X−O−Y−O)n−X−
    O−CH2 CH=CH2 [ただし、式中Xは、構造式−1の2価のカルボン酸か
    ら誘導された有機残基であり、 【化3】 (構造式−1中のAは、炭素数1〜20からなる2価の
    有機酸から誘導された有機残基を示す。) Yは、ポリオールから誘導された有機残基、nは1〜2
    0の整数である。] 【化4】 (構造式−3中のR2 は、水素または炭素数が1〜3の
    アルキル基または炭素数が1〜3のアルコキシ基または
    アリルオキシ基またはフェニル基を示す。)
JP17962495A 1995-06-23 1995-06-23 難燃性樹脂およびその組成物 Pending JPH0912653A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17962495A JPH0912653A (ja) 1995-06-23 1995-06-23 難燃性樹脂およびその組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17962495A JPH0912653A (ja) 1995-06-23 1995-06-23 難燃性樹脂およびその組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0912653A true JPH0912653A (ja) 1997-01-14

Family

ID=16069027

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17962495A Pending JPH0912653A (ja) 1995-06-23 1995-06-23 難燃性樹脂およびその組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0912653A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100344894B1 (ko) * 1999-10-19 2002-07-19 제일모직주식회사 난연성을 갖는 폴리카보네이트계 열가소성 수지 조성물
KR20210046445A (ko) * 2019-10-18 2021-04-28 에이스앤이(주) 인계 반응형 난연제 및 이의 제조방법
CN113801162A (zh) * 2021-11-05 2021-12-17 湖南世博瑞高分子新材料有限公司 二酸单体、共聚阻燃剂和共聚阻燃尼龙及其制备方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100344894B1 (ko) * 1999-10-19 2002-07-19 제일모직주식회사 난연성을 갖는 폴리카보네이트계 열가소성 수지 조성물
KR20210046445A (ko) * 2019-10-18 2021-04-28 에이스앤이(주) 인계 반응형 난연제 및 이의 제조방법
CN113801162A (zh) * 2021-11-05 2021-12-17 湖南世博瑞高分子新材料有限公司 二酸单体、共聚阻燃剂和共聚阻燃尼龙及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101394711B1 (ko) 겔 코트용 폴리에스테르 아크릴 수지의 저 voc 열경화성 조성물
KR100198863B1 (ko) 수지 조성물 및 이것의 제조방법
US3196190A (en) Flame-resistant polyester resinous compositions containing halogen and phosphorus
US10000602B2 (en) Curable compositions
US3507933A (en) Self-extinguishing polyester compositions of 2,2-bis(bromomethyl)-1,3-propanediol and method of making the same
JPH0324122A (ja) 2―メチル―1,3―プロパンジオールを含む不飽和ポリエステルゲルコート
JPH0912653A (ja) 難燃性樹脂およびその組成物
JP2020015800A (ja) 難燃性を向上させた硬化性樹脂組成物およびその硬化物
EP0457276B1 (en) Unsaturated polyester resins
US5571888A (en) Process for preparing flame-retardant phosphorus-containing unsaturated polyester
JPH0233724B2 (ja)
US3150208A (en) Polyesters containing terminally located phosphonate groups and resinous compositions formed therefrom
JPS5850253B2 (ja) センジヨウフホウワポリエステルノ セイゾウホウホウ
CN110016107B (zh) 固化性树脂组合物
JPH09124668A (ja) 含リンエチレン性不飽和単量体およびそれを用いた難燃性樹脂
JPH0324152A (ja) 2―メチル―1,3―プロパンジオールを含む高反応性熱硬化性成型用組成物
US3321553A (en) Polyester compositions containing halogen and phosphorus
JP2554403B2 (ja) 透明低収縮系重合組成物
JP3467884B2 (ja) 硬化性の優れたオリゴマー、該オリゴマーの製造方法、該オリゴマーを用いた硬化性樹脂組成物、及び該組成物を硬化して得られる硬化物
GB2105351A (en) Polyester resin composition
JPS63122719A (ja) ラジカル硬化可能な樹脂組成物及び積層板
JP7160648B2 (ja) 硬化性樹脂組成物
US4021506A (en) Unsaturated, linear polyester compositions
JPS6326762B2 (ja)
JPS606715A (ja) 不飽和ポリエステル樹脂積層板