JPH09125350A - 水門用開閉装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ラック式の水門用開閉装置において、扉体に
設けた屈曲自在なラックを駆動装置により円滑に昇降さ
せ水路を開閉させる。 【解決手段】 ラックユニット９を一対のラックプレー
ト９ａとその間に並設したラックピン１１，１２で構成
し、一対のプレート１０をラックピン１１を介してそれ
ぞれラックユニット９を連結して複合ラック８を構成
し、各ラックピン１１を軸方向に延長し、両側のプレー
ト１０から突出したラックピン１１の先端にガイドロー
ラ１４を設け、複合ラック８を囲む筒状部１５内壁のラ
ックピン１１の軸方向面に凹部１６を形成させ、凹部側
壁１６ａとガイドローラ１４の周面１４ａとを接触させ
た。降下時には、凹部側壁１６ａにガイドローラ１４が
支持され、複合ラック８を直線状に保持するので摩擦抵
抗が少なく水門の操作性が良くなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、河川から分岐して
いる水路等の開閉に利用され、水路等を横断する扉体の
上部に垂直にラックを設け、ラックを駆動装置により昇
降させて操作する水門用開閉装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の水門用開閉装置は図５に示すよう
に、水路上方の設置台１に駆動装置２を固定し、上下方
向に配したラック３が駆動装置２に連結されており、ラ
ック３の下端に固定した扉体４を昇降させることで、水
路を開閉するようにしている。ラック３は、一対の長尺
の平鋼の間に丸鋼（ラックピン）を等間隔で複数溶接し
たものであり、駆動装置２の出力回転軸に取り付けたス
プロケットが丸鋼と係合し、回転出力を直線運動出力に
変換して伝達させている。

【０００３】この開閉装置は駆動装置２を作動させて回
転軸を回転させ、ラック３と共に扉体４を上昇あるいは
降下させるものであるが、扉体４を自重で落下させ減速
機によってブレーキをかける装置も付加される。なお、
ラック３は扉体４の大きさに合わせて中央に１本または
両側に２本が取り付けられる。

【０００４】ところで、ラック式開閉装置を河川と分岐
する水路に設けた場合、駆動装置２の設置台１もしくは
操作室は河川護岸の上部に配置され、周辺部に対してラ
ック３がかなり高い位置に突出するので落雷の虞があ
り、しかも周りの景観を損ねる場合がある。また、操作
室から突出したラック３をカバーで覆うようにすると構
築費が多くなる。そこで、駆動装置２で引き上げられる
ラック３を、その上部で真っ直ぐ伸ばさずに曲げてしま
うことが提案されている。

【０００５】図６，図７に示すチェン状のラック５は、
駆動装置下方において断面四角状のカバー６で覆われて
おり、一対の小ラックプレート５ａをピン５ｂで複数個
連結し、駆動装置２の出力回転軸に取り付けたスプロケ
ット７上方においてピン部分から曲げるようにしてい
る。カバー６内では、小ラックプレート５ａの側面５ｃ
をカバー壁面６ａに接触させ折れ曲がりを規制し、複数
の小ラックプレート５ａの直立姿勢を維持している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ラ
ック５はピン５ｂの軸方向に対し両側いずれにも曲がる
ことができ、扉体４を操作する押し力も十分に伝達され
ず、ピン５ｂに無理な力が加わることになる。また、ラ
ック５とカバー６との摩擦が大きく駆動装置２に過大な
負荷を掛けることになり、防止・安全装置が必要になっ
てくる。また、摩擦による音も大きく、摩擦面（側面５
ｃ，カバー壁面６ａ）の加工精度も線接触のため高いも
のが要求されている。

【０００７】本発明は、扉体を昇降するためのラックを
駆動装置の上部で折れ曲がるようにさせ、これに伴い、
駆動装置下方における機能を維持させ操作性の良い水門
用開閉装置を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、水路を横断して設けた扉体の上端に、一対
のラック棒間に等間隔にラックピンを並設したラックを
連設し、前記ラックピンと係合するスプロケットを出力
端とする駆動装置を水面上方に設けた水門用開閉装置に
おいて、前記ラックを複数のラックユニットで構成し、
隣接するラックユニットの各端部に配した２つのラック
ピンを軸方向に延長し、該２つのラックピンに支持して
前記ラックユニットの両側から一対のプレートを付設
し、前記両側のプレートから突出したラックピンの先端
に係合部材を設け、前記駆動装置下部に複数のラックユ
ニットを囲む筒状部を取り付け、該筒状部内のラックピ
ンの軸方向面に凹部を形成させ、凹部側壁と前記係合部
材の周面とを接触させたことを特徴とする。

【０００９】また、上記構成において、隣接するラック
ユニットの各対向端部の一側縁に、ラック軸方向に直交
し互いに接する当接面を形成し、他側縁に退行斜面を形
成させたことを特徴とする。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明は水門用開閉装置の扉体に
複数のラックユニットからなる複合ラックを取り付け、
駆動装置の上方において複合ラックを曲げるようにした
ものであり、ラックユニットに形成した当接面側には曲
がらず、退行斜面側に曲がりラック曲げ方向が決定され
る。駆動装置の下方においては、複合ラックは筒状部に
挿通され、係合部材が凹部に規制されるので、直線状に
構成された凹部により複合ラックは直線状に矯正され、
下方への押し力の伝達も良好になり、また、隣接するラ
ックユニットどうしで当接面が密着するので、下方への
押し力の伝達も良好になる。また、係合部材は凹部側壁
に摺接するので摩擦抵抗が少なくなる。係合部材はラッ
クピンの抜け落ち防止用のストッパでも良く、新たにガ
イドローラを取り付けても良い。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。まず、水門用開閉装置に使用されるラックを
説明する。図４に示すように、扉体上部に取り付けられ
る複合ラック８は複数のラックユニット９からなり、ラ
ックユニット９の端部どうしを外側から付設した一対の
プレート１０で連結させている。ラックユニット９とプ
レート１０との連結部はラックピン１１で結合され互い
に回動自在になっている。

【００１２】ラックユニット９は一対のラックプレート
９ａとラックピン１２とからなっており、ラックプレー
ト９ａの長手方向に孔９ｂが等間隔で設けられ、端部の
孔９ｂを除いてラックピン１２が溶接されている。長手
方向の端部には一側縁に、ラック軸方向に直交する当接
面９ｃが形成され、当接面９ｃに連なって他側縁に退行
斜面９ｄが形成され、退行斜面９ｄは２つのラックユニ
ット９，９を合わせたとき接合部をほぼＵ字形状に切り
欠いた形状になっており、このＵ字形状部にプレート１
０に溶接されたラックピン１３が位置される。

【００１３】なお、ラックユニット９はほぼ均一の長さ
であるが、扉体と連結する下端のラックユニットは、開
閉装置を全開して扉体を引き上げても駆動装置周辺の垂
直部分に位置することになりこのラックユニット９は長
くても良い。

【００１４】一対のプレート１０は等間隔に孔１０ａが
明けられ、両端部の孔１０ａを除いてラックピン１３が
溶接され、両端に挿通するラックピン１１はラックユニ
ット９の両端の孔９ｂに挿通され外側に突出しガイドロ
ーラ（係合部材）１４を挿通している。プレート１０お
よびラックユニット９は連結させたときに相互に回動す
れば良く、ラックピン１１の溶接固定個所は、ラックユ
ニット９あるいはプレート１０のいずれでも良い。ま
た、ガイドローラ１４がラックピン１１と溶接されてい
ても良い。なお、ガイドローラ（係合部材）１４の替わ
りにラックピン１１の抜け落ち防止用に装着するストッ
パでも良く、また、ヘッドを有するラックピン１１を使
用しても良い。

【００１５】図１、図２および図３に示すように、水門
の設置台１には駆動装置２の出力回転軸に取り付けたス
プロケット７が配設され、設置台１の下部に水平断面形
状が矩形状の筒状部１５が設けられ、複合ラック８がス
プロケット７と係合し、筒状部１５内に挿通されてい
る。筒状部１５内壁のラックピン１１の軸方向に対向す
る壁面に、垂直方向の直線状溝として形成された凹部１
６が設けられている。この凹部１６にガイドローラ１４
が挿入され、ガイドローラ１４の外周面１４ａが凹部１
６の側壁１６ａと接触し、プレート１０およびラックユ
ニット９の側面は筒状部１５の内部壁面と間隔が開けら
れている。

【００１６】以上のように構成した水門用開閉装置にお
いて、扉体を上昇させた場合は、駆動装置上部において
複合ラック８はラックユニット９の退行斜面９ｄ側を内
側にして端部のラックピン１１を中心に屈曲することに
なる。また、扉体を降下させる場合には、複合ラック８
の隣接する当接面９ｃどうしが圧接し、筒状部１５の凹
部１６にガイドローラ１４の外周面１４ａが摺接し、複
合ラック８の他の部分は内壁から離れて、複合ラック８
が筒状部１５内部に直線状に支持されるので、摩擦抵抗
が少なく下方への押し力が効率よく伝達され、座屈を防
いで扉体を下方に移動させることができる。

【００１７】

【発明の効果】本発明は、以上のように構成したもので
あるので、水門用開閉装置の扉体を上昇させたときに
は、その上方においてラックユニットの斜面を内側にし
て複合ラックを曲げることができ、降下時には、筒状部
内の凹部にガイドローラが支持され、複数のラックユニ
ットを直線状に保持し、当接面どうしによって下方への
押し力が確実に伝達され、摩擦抵抗が少なく、円滑に水
路を開閉でき、水門の操作性が良くなるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による実施例の水門用開閉装置に使用さ
れる複合ラック周辺の要部側面図である。

【図２】図１に示す複合ラックおよび筒状部の水平断面
図である。

【図３】図１に示す複合ラックおよび筒状部の垂直断面
図である。

【図４】図１に示す複合ラックの要部斜視図である。

【図５】従来の水門用開閉装置の正面図である。

【図６】図７に示す複合ラックとその筒状部の水平断面
図である。

【図７】従来の水門用開閉装置の複合ラックを示す側面
図である。

【符号の説明】

８ 複合ラック ９ ラックユニット ９ａ ラックプレート ９ｃ 当接面 ９ｄ 退行斜面 １０ プレート １１ ラックピン １４ 係合部材 １４ａ 係合部材の周面 １５ 筒状部 １６ 凹部 １６ａ 凹部側壁

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 水路を横断して設けた扉体の上端に、一
   対のラック棒間に等間隔にラックピンを並設したラック
   を連設し、前記ラックピンと係合するスプロケットを出
   力端とする駆動装置を水面上方に設けた水門用開閉装置
   において、前記ラックを複数のラックユニットで構成
   し、隣接するラックユニットの各端部に配した２つのラ
   ックピンを軸方向に延長し、該２つのラックピンに支持
   して前記ラックユニットの両側から一対のプレートを付
   設し、前記両側のプレートから突出したラックピンの先
   端に係合部材を設け、 前記駆動装置下部に複数のラックユニットを囲む筒状部
   を取り付け、該筒状部内のラックピンの軸方向面に凹部
   を形成させ、凹部側壁と前記係合部材の周面とを接触さ
   せたことを特徴とする水門用開閉装置。
2. 【請求項２】 隣接するラックユニットの各対向端部の
   一側縁に、ラック軸方向に直交し互いに接する当接面を
   形成し、他側縁に退行斜面を形成させたことを特徴とす
   る請求項１記載の水門用開閉装置。