JPH09124593A - プロスタグランジンe1エステル、それらを含有するリポソーム製剤、およびそれらを含有する医薬 - Google Patents

プロスタグランジンe1エステル、それらを含有するリポソーム製剤、およびそれらを含有する医薬

Info

Publication number
JPH09124593A
JPH09124593A JP8237163A JP23716396A JPH09124593A JP H09124593 A JPH09124593 A JP H09124593A JP 8237163 A JP8237163 A JP 8237163A JP 23716396 A JP23716396 A JP 23716396A JP H09124593 A JPH09124593 A JP H09124593A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
prostaglandin
bis
general formula
pge
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8237163A
Other languages
English (en)
Inventor
Akio Nishiura
昭雄 西浦
Takuya Seko
卓哉 世古
Ryoji Matsumoto
亮二 松本
Shinichi Hamano
進一 浜野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ono Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Ono Pharmaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ono Pharmaceutical Co Ltd filed Critical Ono Pharmaceutical Co Ltd
Priority to JP8237163A priority Critical patent/JPH09124593A/ja
Publication of JPH09124593A publication Critical patent/JPH09124593A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/55Design of synthesis routes, e.g. reducing the use of auxiliary or protecting groups

Abstract

(57)【要約】 【構成】 式(I) 【化1】 (式中、ふたつのR1は同じ基であり、炭素数4〜12
のアルキル基を表わす。)で示されるプロスタグランジ
ンE1エステル誘導体、またはそれらのシクロデキスト
リン包接化合物、およびそれらを含有するリポソーム製
剤、およびそれらを含有する医薬。 【効果】 式(I)の化合物は血流増加作用を有し、末
梢循環障害、褥瘡、皮膚潰瘍の治療剤または血行再建術
後の血流維持剤として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は一般式(I)
【化2】 (式中、R1は後記と同じ意味を表わす。)で示される
プロスタグランジンE1(以下、PGE1と略記する。)
エステル誘導体、それらを含有するリポソーム製剤、お
よびそれらを含有する治療剤に関する。
【0002】
【発明の背景】PGE1は、下記構造式
【化3】 を有する化合物で、種々の生理作用を有しているが、と
りわけ血管に対しては、血圧降下作用、血管拡張作用、
血流量増加作用、血小板凝集抑制作用等を有している。
【0003】このような多彩な生理作用を有しているこ
とから、PGE1の医薬品化が行なわれ、既に慢性動脈
閉塞症、振動病等の疾患の治療剤、血行再建術後の血流
維持、外科手術時の低血圧維持等に用いられている。し
かしながら、PGE1を末梢循環障害の改善に用いるた
めには、次のふたつの問題点がある。 (1)PGE1は多くの生理作用を有するため、ひとつ
の作用を治療に用いる場合、他の作用は副作用となる。 (2)生体内で分解酵素の作用を受けて急速に失活して
しまう。 末梢循環障害は、末梢血管において血栓の形成等により
閉塞が生じ、潰瘍が形成され、疼痛、冷感等の虚血性諸
症状を伴なう疾患である。この病気を治療するためには
末梢循環の血流量を増加させ、血行を改善させる必要が
あるが、一度に大量のPGE1が血管に流入すると、末
梢循環だけでなく、大動脈系にも作用し、血圧を大幅に
低下させる恐れがある。これを解消するためには、末梢
循環には作用を及ぼすが大動脈系には殆ど作用しない程
度の量のPGE1を与える必要がある。
【0004】一方で、PGE1は代謝が非常に早いこと
が知られている。従って、作用を持続させるためには常
にPGE1を生体内へ送り込む必要がある。これらのこ
とを総合的に判断すると、投与後生体内でPGE1に変
換され、しかもその速度が適度に遅く持続的に作用する
化合物の創製が望まれるところである。
【0005】
【問題点を解決するための手段】本発明者らは、投与後
生体内で徐々にPGE1に変換されるような化合物を見
出すべく検討を重ねた。本発明者らはPGE1の1位の
カルボン酸を特殊なアルコールでエステル化した化合物
が目的を達成することを見出し本発明を完成した。さら
に、本発明化合物をリポソームというリン脂質二重層よ
りなる閉鎖小胞に閉じ込めて投与すると、その効果はさ
らに顕著なものとなることをも見出した。
【0006】英国特許第1322637号明細書には、
一般式(B)
【化4】 (式中、R1b、R2b、R3bは水素原子、ステアロイル
(−CO(CH216CH3)、パルミトイル(−CO
(CH214CH3)、または一般式(B1
【化5】 (式中、Xbは−CH2CH2−、Ybは−CH2CH2−、
bは−CO−等を表わす。)で示される基等を表わ
し、かつR1b、R2bおよびR3bのうち少なくともひとつ
は式(B1)で示される基を表わす。)で示される化合
物(式中の記号の説明は一部省略されている。)がプロ
スタグランジン類自身の有する薬理作用の作用時間が延
長される旨記載されている。一般式(B)の化合物で
は、R1b、R2bおよびR3bはステアロイルまたはパルミ
トイル基しか表わさない。一方、一般式(I)の本発明
化合物の相当部分は炭素数5〜13のアシル基を表わす
点で両者は異なる。また、本発明化合物は作用の選択性
および作用の持続性の点で非常に優れていると言える。
さらに、本発明化合物のリポソーム製剤は、薬物の保持
と放出の点でも非常に優れている。
【0007】
【発明の開示】本発明は、(1)一般式(I)
【化6】 (式中、ふたつのR1は同じ基であり、炭素数4〜12
のアルキル基を表わす。)で示されるプロスタグランジ
ンE1エステル誘導体、またはそれらのシクロデキスト
リン包接化合物、(2)それらを含有するリポソーム製
剤、および(3)それらを含有する治療剤に関する。
【0008】本発明においては、すべての異性体が含ま
れる。例えば、アルキル基には直鎖のもと分枝鎖のもの
が含まれる。一般式(I)において、R1が表わす炭素
数4〜12のアルキル基としては、ブチル、ペンチル、
ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウン
デシル、ドデシル基、およびそれらの異性体が挙げられ
る。好ましいR1としては、炭素数4〜6のアルキル
基、または炭素数10〜12のアルキル基、およびそれ
らの異性体である。特に好ましいR1はペンチル基、ま
たはウンデシル基である。
【0009】一般式(I)で示されるPGE1誘導体
は、α−、β−あるいはγ−シクロデキストリン、ある
いはこれらの混合物を用いて、特公昭50-3362号、また
は同52-31404号明細書記載の方法を用いることによりシ
クロデキストリン包接化合物に変換することができる。
シクロデキストリン包接化合物に変換することにより、
安定性が増大し、また水溶性が大きくなるため、薬剤と
して使用する際好都合である。
【0010】
【本発明化合物の製造方法】一般式(I)で示される化
合物は、一般式(II)
【化7】 (式中、R1は前記と同じ意味を表わし、R2は酸性条件
下で脱離することができる保護基、例えば、テトラヒド
ロピラン−2−イル、メトキシメチルまたは2−エトキ
シエチル基等を表わす。)で示される化合物のR2基を
脱離することにより製造される。R2基の脱離反応は、
酢酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸または塩酸、
硫酸等の無機酸の水溶液中、好適には水と混和しうる有
機溶媒、例えば、メタノール、エタノール等の低級アル
カノールまたはジオキサン、テトラヒドロフラン等のエ
ーテル類の存在下、室温から75℃の温度で行なわれ
る。好ましくは酢酸、水およびテトラヒドロフランの混
合液中、40〜50℃で行なわれる。
【0011】一般式(II)で示される化合物は、式(II
I)
【化8】 (式中、R2は前記と同じ意味を表わす。)で示される
化合物と、一般式(IV)
【化9】 (式中、R1は前記と同じ意味を表わす。)で示される
化合物を無溶媒で、50℃から100℃で反応させるこ
とにより製造される。
【0012】式(III)で示される化合物は、一般式(I
I)で示される化合物のフリーのカルボン酸に相当する
化合物と2,2′−ジピリジルジスルフィドを有機溶媒
(例えば、アセトニトリル)中、トリフェニルホスフィ
ンの存在下、50℃から還流温度で反応させることによ
り製造される。
【0013】また、一般式(II)で示される化合物は、
一般式(II)で示される化合物のフリーのカルボン酸に
相当する化合物と一般式(IV)で示される化合物を有機
溶媒(例えば、テトラヒドラフラン)中、三級アミン
(例えば、トリエチルアミン)の存在下、1−(3−ジ
メチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド
(以下、EDCと略記する。)および4−ジメチルアミ
ノピリジン(以下、DMAPと略記する。)等の縮合剤
を用いて、0℃から40℃で反応させることによっても
製造することができる。
【0014】出発原料として用いる、一般式(II)で示
される化合物のフリーのカルボン酸に相当する化合物の
内、(13E)−(11α,15S)−9−オキソ−1
1,15−ビス(テトラヒドロピラン−2−イルオキ
シ)プロスト−13−エン酸はJ. Am. Chem. Soc., 92,
2586 (1970) に記載された公知化合物である。また、
一般式(II)で示される化合物のフリーのカルボン酸に
相当する上記以外の化合物および一般式(IV)で示され
る化合物は公知化合物であるか、あるいは公知化合物か
ら公知の方法、例えば J. Org. Chem., 35, 2082 (197
0) に記載された方法により容易に製造することができ
る。具体的には、例えば以下の反応工程式に記載した方
法により製造される。
【0015】
【化10】
【0016】上記工程中、各記号は以下の意味を表わ
し、R1は前記と同じ意味を表わす。 Py:ピリジン、 THF:テトラヒドロフラン。
【0017】
【本発明化合物の薬理活性】一般式(I)で示されるP
GE1エステル誘導体、およびそれらのシクロデキスト
リン包接化合物は、強力かつ持続的な血流増加作用を有
しているにもかかわらず、血圧降下作用が弱いため、末
梢循環障害(例えば、慢性動脈閉塞症、振動病等)、褥
瘡、皮膚潰瘍(例えば、熱傷、糖尿病性潰瘍、下腿潰
瘍、術後潰瘍等)の疾患の治療剤および血行再建術後の
血流維持に用いることができる。本発明化合物の血流増
加作用および血圧降下作用は、例えば、以下の実験によ
り確認された。
【0018】[実験方法]体重200〜350gの雄性
ラットをウレタン(25%ウレタン、6ml/kg、
s.c投与)麻酔下、投薬用および血圧モニター用とし
て、それぞれ総頸静脈および総頸動脈にポリエチレン性
カニューレを挿入した。血圧はディスポーザブルプレッ
シャートランスデューサーキット(ビゴスペクトラメッ
ド社製)を介してレクチコーダー(型式RJG−412
8、日本光電社製)上に記録した。また血流量は、接触
型レーザードップラー血流量計(型式:ALF21、ア
ドバンス社製)を用いて後肢甲部の皮膚血流量をモニタ
ーした。血圧、血流量とも薬物投与前から投与後の値が
投与前の値に戻るまでモニターした。また、薬物はそれ
ぞれの濃度で約10秒かけて投与した。血圧降下作用と
しては投与後の最大降圧活性(mmHg)を、また血流
増加作用としては投与後の曲線下面積(AUC)を算出
した。
【0019】結果は、有効な血流増加作用(主作用)を
得るのに必要な投与量(有効投与量)とその投与量にお
ける血圧降下作用(副作用)によって表わした。なお、
本発明化合物はいずれもリポソーム製剤(実施例3で製
造した。)の形態で投与した。比較化合物としては、英
国特許第1,322,637 号明細書の実施例12に記載されて
いるPGE1 1,3−ビス(パルミトイルオキシ)−
2−プロピルエステルを、溶解補助剤であるβ−シクロ
デキストリンを添加して溶解し投与した(この比較化合
物は溶解性が非常に悪く、溶解補助剤なしには投与が不
可能であった。)
【0020】ここで、有効な血流増加作用(AUC)は
以下の方法により求めた。すなわち、PGE1自身の脂
肪乳剤(市販品)はラット病態モデルにおいては5μg
/kgの静脈内投与で有効性を示す[Drug Exp. Clin.
Res., 12, 917 (1986)に記載]。前記した本発明化合物
の評価実験において、PGE1脂肪乳剤(5μg/kg
静脈内投与時)の血流増加作用がAUCで771であっ
たので、この値を有効な血流増加作用として用いた。
【0021】
【表1】
【0022】表1より以下のことが判明した。 (1)本発明化合物の血流増加作用(主作用)は、比較
化合物に較べて約7倍から11倍優れている。 (2)一方、有効投与量における血圧降下作用(副作
用)をみると、本発明化合物は比較化合物の0.94倍から
0.31倍しかない。 このように、本発明化合物を末梢循環障害、褥瘡、皮膚
潰瘍の治療剤または血行再建術後の血流維持に用いる場
合には比較化合物より著しく優れているといえる。
【0023】
【毒性】本発明化合物の毒性は十分に低いものであり、
医薬品として使用するために十分安全であり、適してい
ることが確認された。
【0024】
【医薬品への適用】一般式(I)で示される本発明化合
物、またはそれらのシクロデキストリン包接化合物を前
記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、
非経口の形で投与される。投与量は、年齢、体重、症
状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、
通常、成人一人当り、一回につき 0.1μgから500μ
gの範囲で、一日一回から数回非経口投与(好ましく
は、静脈内投与)されるか、または一日1時間から24
時間の範囲で静脈内に持続投与される。もちろん前記し
たように、投与量は種々の条件により変動するので、上
記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲
を越えて投与の必要な場合もある。本発明化合物を投与
する際には、非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤
等として用いられる。
【0025】本発明による非経口投与のための注射剤と
しては、無菌の水性または非水性の溶液剤、懸濁剤、乳
濁剤を包含する。水性の溶液剤、懸濁剤としては、例え
ば注射用蒸留水および生理食塩水が含まれる。非水溶性
の溶液剤、懸濁剤としては、例えばプロピレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物
油、エタノールのようなアルコール類、ポリソルベート
80(登録商標)等がある。このような組成物は、さら
に防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補
助剤(例えば、グルタミン酸、アルパラギン酸)のよう
な補助剤を含んでいてもよい。これらはバクテリア保留
フィルターを通すろ過、殺菌剤の配合または照射によっ
て無菌化される。これらはまた無菌の固体組成物を製造
し、使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他
の溶媒に溶解して使用することもできる。非経口投与の
ためのその他の組成物としては、ひとつまたはそれ以上
の活性物質を含み、常法により処方される外用液剤、軟
膏、塗布剤、直腸内投与のための坐剤および腟内投与の
ためのペッサリー等が含まれる。
【0026】さらに、本発明には一般式(I)で示され
るPGE1エステル誘導体またはそれらのシクロデキス
トリン包接化合物を有効成分として含有するリポソーム
製剤が含まれる。リポソーム製剤は、ホスファチジルコ
リン(例えば、卵黄または大豆由来の天然リン脂質、ジ
ミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホ
スファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコ
リン等の合成リン脂質)等のリポソーム膜素材からなる
単層または多重層球形微細粒子である。リポソーム製剤
とすることにより、薬物の目的臓器へのターゲティン
グ、薬物の持続化が計られる。リポソーム製剤には、活
性成分以外の助剤、例えば糖類(ラクトース、マンニト
ール等)、中性脂質(コレステロール、トリグリセライ
ド等)、荷電脂質(ホスファチジン酸、ステアリルアミ
ン等)を加えることができる。リポソーム製剤は公知の
方法により製造することができる。例えば、特開昭61-1
00518 号明細書、「リポソームテクノロジー(Liposome
Technology)」Vol.1,2および3,グレゴリアディ
ス(Gregoriadis, G)編集(1993年発行)等に詳しく記
載されている。
【0027】
【実施例】以下、参考例および実施例によって本発明を
詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。クロマトグラフィーによる分離の箇所およびTLC
に示されているカッコ内の溶媒は、使用した溶出溶媒ま
たは展開溶媒を示し、割合は体積比を表わす。NMRの
箇所に示されているカッコ内の溶媒は、測定に使用した
溶媒を示している。
【0028】参考例1:1,3−ビス(ドデカノイルオ
キシ)−プロパン−2−オン
【化11】
【0029】1,3−プロパンジオール−2−オン(2.
31g)をクロロホルム(100ml)に分散させ、ドデ
カン酸クロライド(16.5g)を加え、ピリジン(8.5m
l)をゆっくりと滴下した。室温下で12時間撹拌し
て、黄色がかったミルキー状の混合物を得た。この混合
物を冷水にあけ、塩化メチレンで2回抽出した。有機層
を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で順
次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去
した。得られた黄色固体をメタノールに溶解し不純物を
ろ過した後結晶化させて、下記物性値を有する標題化合
物の白色結晶(7.3g)を得た。 TLC:Rf 0.55(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:
1)、 NMR(CDCl3):δ 4.75(4H,s), 2.42(4H,t,J=7.2H
z), 1.66(4H,m), 1.27(32H,m), 0.88(9H,t,J=7.2Hz)。
【0030】参考例2:1,3−ビス(ドデカノイルオ
キシ)−2−プロパノール
【化12】
【0031】2−オキソ体(参考例1で得た、3.8g)
をテトラヒドロフラン(THF)(100ml)に溶解
し、水(7ml)を加えた。ここへ室温で水素化ホウ素
ナトリウム(477mg)を加え、30分間撹拌した。
反応混合物に冷水を加え、酢酸エチル−n−ヘキサン
(1:1)の混合溶媒で抽出した。有機層を飽和食塩水
で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去
した。残留物をカラムクロマトグラフィ(酢酸エチル:
n−ヘキサン=5:1)で精製して、下記物性値を有す
る標題化合物(2.78g)を得た。 TLC:Rf 0.45(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:
1)、 NMR(CDCl3):δ 4.28-4.02(5H,m), 2.36(4H,t,J=
7.0Hz), 1.62(4H,m), 1.26(32H,m), 0.88(9H,t,J=7.2H
z)。
【0032】参考例3:(13E)−(11α,15
S)−9−オキソ−11,15−ビス(テトラヒドロピ
ラン−2−イルオキシ)プロスト−13−エン酸 ピリ
ジン−2−イルチオエステル
【化13】
【0033】(13E)−(11α,15S)−9−オ
キソ−11,15−ビス(テトラヒドロピラン−2−イ
ルオキシ)プロスト−13−エン酸(808mg)をア
セトニトリル(15ml)に溶解し、トリフェニルホス
フィン(532mg)、続いて2,2′−ジピリジルジ
スルフィド(448mg)を加え、1時間還流した。溶
媒を留去し、残留物をカラムクロマトグラフィ(n−ヘ
キサン:酢酸エチル=2:1)で精製して、下記物性値
を有する標題化合物(743mg)を得た。 TLC:Rf 0.28(n−ヘキサン:酢酸=1:1)。
【0034】実施例1:PGE1 1,3−ビス(ドデ
カノイルオキシ)−2−プロピルエステル
【化14】
【0035】チオエステル体(参考例3で製造した、7
43mg)とアルコール体(参考例2で製造した、70
3mg)を無溶媒で混合し、70〜80℃で18時間加
熱した。室温にもどした後、カラムクロマトグラフィ
(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製して、P
GE1 1,3−ビス(ドデカノイルオキシ)−2−プ
ロピルエステル 11,15−ビス(テトラヒドロピラ
ン−2−イル)エーテルと出発物質(アルコール体)と
の混合物を得た。次に上記混合物をTHF(0.5ml)
に溶解し、87.5%酢酸(3ml)を加えて、80℃で2
時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、水を加えた後
酢酸エチルで抽出した。抽出液を水および飽和炭酸水素
ナトリウム水溶液および飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸
マグネシウムで乾燥後溶媒を留去した。残留物をカラム
クロマトグラフィ(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1
→1:3)で精製して、下記物性値を有する標題化合物
(2.78g)を得た。
【0036】TLC:Rf 0.68(n−ヘキサン:酢酸エ
チル=1:3)、 NMR(CDCl3):δ 5.78-5.48(2H,m), 5.30-5.18(1H,
m), 4.32(2H,dd,J=12,6.0Hz), 4.24-4.00(4H,m), 3.20-
2.80(1H,bs), 2.72(1H,dd,J=12,7.5Hz), 2.42-2.15(9H,
m), 2.15-1.90(2H,m), 1.90-1.48(10H,m), 1.48-1.18(4
2H,m), 1.00-0.90(9H,m)。
【0037】実施例2:PGE1 1,3−ビス(ヘキ
サノイルオキシ)−2−プロピルエステル
【化15】
【0038】参考例1においてドデカン酸クロライドの
代りにカプロン酸クロライドを用いて、参考例1→参考
例2→実施例1と同様の操作を行なって、次の物性値を
有する標題化合物を得た。 NMR(CDCl3):δ 5.78-5.50(2H,m), 5.38-5.20(1H,
m), 4.32(2H,dd,J=12,4.0Hz), 4.24-4.00(4H,m), 3.30-
2.80(1H,bs), 2.72(1H,dd,J=12,7.5Hz), 2.42-2.15(7H,
m), 2.15-1.90(2H,m), 1.90-1.48(8H,m), 1.48-1.18(22
H,m), 1.00-0.90(9H,m)。
【0039】実施例3:PGE1 1,3−ビス(ヘキ
サノイルオキシ)−2−プロピルエステルの別途合成法 THF(5ml)に溶かした(13E)−(11α,1
5s)−9−オキソ−11,15−ビス(テトラヒドロ
ピラン−2−イルオキシ)プロスト−13−エン酸(2.
54g)に、1,3−ビス(ヘキサノイルオキシ)−2−
プロパノール(2.01g)、続いてEDC(1.43g)を加
えた。混合物に氷冷下トリエチルアミン(1.6ml)を
ゆっくりと加え、さらにDMAP(15mg)を加え
た。混合物を室温で3.5時間かきまぜた後、水を加えて
反応を停止した。反応混合物を酢酸エチルで抽出し、有
機層を飽和食塩水で乾燥し、硫酸マグネシウムで乾燥
後、溶媒を留去した。残留物をカラムクロマトグラフィ
(n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製して、P
GE1 1,3−ビス(ヘキサノイルオキシ)−2−プ
ロピルエステル 11,15−ビス(テトラヒドロピラ
ン−2−イルオキシ)エーテルと出発物質(アルコール
体)との混合物を得た。次に、上記混合物をTHF(3
ml)に溶解し、87.5%酢酸(12ml)を加え、80
℃で2時間かきまぜた。混合物を室温まで冷却し、水を
加えた後酢酸エチルで抽出した。抽出液を水、冷却した
飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で順次
洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。
残留物をカラムクロマトグラフィ(n−ヘキサン:酢酸
エチル=1:1→1:4)で精製して、実施例2に記載
された物性値を有する標題化合物(1.62g)を得た。
【0040】実施例4:リポソーム製剤の作製 ジミリストイルホスファチジルコリン(以下、DMPC
と略記する。6mg)と種々の本発明のPGE1誘導体
(3〜90μg)をクロロホルムに溶解させた後、クロ
ロホルムを留去し、さらに減圧下に1時間放置した。こ
こに、10%マルトース溶液(3ml)を加え、ボルテ
クスミキサー(型式S−100大洋科学工業(株)製)
で脂質を水和し白濁溶液(1、3、10および30μg
/mlの濃度のもの)を得た。得られた多重層リポソー
ム(multilamellar liposome)溶液(3ml)をプラス
チックスピッツ管に移し、プローブ型ソニケーター(型
式 SONIFIER cell disruptor 200, Branson 社製)を用
いて、50%パルス、15分間の条件で超音波処理を行
なった。得られた溶液を0.2 μのフィルターを通してチ
タニウムを沈殿させ、平均粒子径40〜70nmの小一
枚膜リポソーム(small unilamellar liposome)製剤を
得た。
【0041】製剤例1:PGE1 1,3−ビス(ドデ
カノイルオキシ)−2−プロピルエステルのリポソーム
製剤(実施例3で製造した。)を1mlずつバイアルに
分注した後凍結乾燥して目的とする注射剤を得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 47/40 A61K 47/40 ABRG ABR 9/14 D (72)発明者 浜野 進一 大阪府三島郡島本町桜井3−1−1 小野 薬品工業株式会社水無瀬総合研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、ふたつのR1は同じ基であり、炭素数4〜12
    のアルキル基を表わす。)で示されるプロスタグランジ
    ンE1エステル誘導体、またはそれらのシクロデキスト
    リン包接化合物。
  2. 【請求項2】 PGE1 1,3−ビス(ヘキサノイル
    オキシ)−2−プロピルエステルまたはPGE1 1,
    3−ビス(ドデカノイルオキシ)−2−プロピルエステ
    ルである請求項1記載の化合物。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の一般式(I)で示され
    るプロスタグランジンE1誘導体またはそれらのシクロ
    デキストリン包接化合物を有効成分として含有するリポ
    ソーム製剤。
  4. 【請求項4】 リポソーム膜素材の主成分として、ジミ
    リストイルホスファチジルコリンを用いた請求項3記載
    のリポソーム製剤。
  5. 【請求項5】 リポソーム膜素材の主成分として、卵レ
    シチンを用いた請求項3記載のリポソーム製剤。
  6. 【請求項6】 凍結乾燥されていることを特徴とする請
    求項3から5のいずれかの項に記載されたリポソーム製
    剤。
  7. 【請求項7】 有効成分として、 PGE1 1,3−ビス(ヘキサノイルオキシ)−2−
    プロピルエステルまたはPGE1 1,3−ビス(ドデ
    カノイルオキシ)−2−プロピルエステルを含有する請
    求項3記載のリポソーム製剤。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載の一般式(I)で示され
    るプロスタグランジンE1誘導体またはそれらのシクロ
    デキストリン包接化合物を有効成分とする末梢循環障害
    治療剤、褥瘡治療剤または皮膚潰瘍治療剤。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載の一般式(I)で示され
    るプロスタグランジンE1誘導体またはそれらのシクロ
    デキストリン包接化合物を有効成分として含有する血行
    再建術後の血流維持剤。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載の一般式(I)で示さ
    れるプロスタグランジンE1誘導体またはそれらのシク
    ロデキストリン包接化合物を有効成分として含有する医
    薬。
JP8237163A 1995-08-25 1996-08-20 プロスタグランジンe1エステル、それらを含有するリポソーム製剤、およびそれらを含有する医薬 Pending JPH09124593A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8237163A JPH09124593A (ja) 1995-08-25 1996-08-20 プロスタグランジンe1エステル、それらを含有するリポソーム製剤、およびそれらを含有する医薬

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7-238984 1995-08-25
JP23898495 1995-08-25
JP8237163A JPH09124593A (ja) 1995-08-25 1996-08-20 プロスタグランジンe1エステル、それらを含有するリポソーム製剤、およびそれらを含有する医薬

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09124593A true JPH09124593A (ja) 1997-05-13

Family

ID=26533082

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8237163A Pending JPH09124593A (ja) 1995-08-25 1996-08-20 プロスタグランジンe1エステル、それらを含有するリポソーム製剤、およびそれらを含有する医薬

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09124593A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010043094A (ja) * 1999-07-28 2010-02-25 Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior Univ 治療的血管新生および脈管形成におけるニコチン
WO2010058669A1 (ja) * 2008-11-18 2010-05-27 株式会社Lttバイオファーマ 新規プロスタグランジンe1誘導体及びそれを封入するナノ粒子
JP2012528077A (ja) * 2009-05-27 2012-11-12 スキャンポ・アーゲー クローディン媒介機能の調節および皮膚疾患の処置に使用するための、プロスタグランジン誘導体を含む医薬組成物
US8916206B2 (en) 2005-12-26 2014-12-23 Ltt Bio-Pharma Co., Ltd. Nanoparticles containing water-soluble non-peptide low-molecular weight drug

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010043094A (ja) * 1999-07-28 2010-02-25 Board Of Trustees Of The Leland Stanford Junior Univ 治療的血管新生および脈管形成におけるニコチン
US8916206B2 (en) 2005-12-26 2014-12-23 Ltt Bio-Pharma Co., Ltd. Nanoparticles containing water-soluble non-peptide low-molecular weight drug
WO2010058669A1 (ja) * 2008-11-18 2010-05-27 株式会社Lttバイオファーマ 新規プロスタグランジンe1誘導体及びそれを封入するナノ粒子
JP2012528077A (ja) * 2009-05-27 2012-11-12 スキャンポ・アーゲー クローディン媒介機能の調節および皮膚疾患の処置に使用するための、プロスタグランジン誘導体を含む医薬組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5213448B2 (ja) 末梢血管疾患の処置のための方法および組成物
JP3074733B2 (ja) 脂肪乳剤
JP5008258B2 (ja) 含硫黄ホスホリピド誘導体
JP2602964B2 (ja) プロスタグランジン類縁体およびその脂肪乳剤
JPH05213744A (ja) 炎症性疾患の処置のための薬剤調製物
JP2002506440A (ja) プロスタグランジン製薬組成物
US5690957A (en) Prostaglandin derivatives
US5625083A (en) Dinitroglycerol esters of unsaturated fatty acids and prostaglandins
DK169056B1 (da) Fedtemulsioner indeholdende prostaglandiner I2'er
JPH11504340A (ja) ニコチン酸エステルおよびそれを含む薬剤組成物
JP2002534389A (ja) 女性性機能障害の治療のための方法および組成物
KR100266834B1 (ko) 프로스타글란딘 유도체
US5698590A (en) Prostaglandin derivatives
JPH09124593A (ja) プロスタグランジンe1エステル、それらを含有するリポソーム製剤、およびそれらを含有する医薬
CN115348864A (zh) 神经甾体的脂质前药
JP2802912B2 (ja) プロスタグランジンe1エステル、それらを含有するリポソーム製剤、およびそれらを含有する医薬
JPH05194524A (ja) 血栓症および血管痙攣症の治療に有用な7−オキサビシクロヘプチル置換複素環式アミドプロスタグランジン類縁体
US5194670A (en) Emulsion of lipid containing a prostaglandin analogue
JPH0710833A (ja) プロスタグランジン類縁体、その脂肪乳剤およびその用途
US4613614A (en) Prostaglandin I2 ester and fat emulsion containing the same
JPH039907B2 (ja)
US5610182A (en) Pharmaceutical composition for the therapy of cerebral thrombosis
WO1991010431A1 (en) Fat emulsion
JP2902459B2 (ja) Paf拮抗剤含有脂肪乳剤
JPH04356422A (ja) プロスタグランジンi2誘導体含有脂肪乳剤

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060712

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20061130