JPH09122862A - アルミニウムインゴットの連続鋳造方法 - Google Patents

アルミニウムインゴットの連続鋳造方法

Info

Publication number
JPH09122862A
JPH09122862A JP31007695A JP31007695A JPH09122862A JP H09122862 A JPH09122862 A JP H09122862A JP 31007695 A JP31007695 A JP 31007695A JP 31007695 A JP31007695 A JP 31007695A JP H09122862 A JPH09122862 A JP H09122862A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ingot
casting
cooling water
polyether
mold
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP31007695A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaisa Tsunekawa
雅功 常川
Norifumi Hayashi
典史 林
Teruo Uno
照生 宇野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Light Metal Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Light Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Light Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Light Metal Industries Ltd
Priority to JP31007695A priority Critical patent/JPH09122862A/ja
Publication of JPH09122862A publication Critical patent/JPH09122862A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Continuous Casting (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋳造初期段階における鋳塊底部の反り上りに
起因する鋳造欠陥を防止でき、鋳造の定常段階において
生じるサブサーフェイスバンド、逆偏析の発生を抑制で
きるアルミニウムインゴットの竪型連続鋳造、とくに断
面矩形状インゴットの連続鋳造方法を提供すること。 【解決手段】 鋳型上部から溶湯を供給し、凝固した鋳
塊を鋳型下部から引き出すアルミニウムインゴットの竪
型連続鋳造において、鋳塊冷却水として、ポリオキシエ
チレン・プロピレン・ポリエーテルを溶解した水を使用
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウムイン
ゴットの連続鋳造方法、詳しくは、アルミニウムの竪型
連続鋳造において、鋳造の初期段階で生じる鋳塊底部の
欠陥を低減し、および/または鋳塊表面の品質を向上さ
せるアルミニウムインゴットの連続鋳造方法の改良に関
する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム(アルミニウム合金を含
む、以下同じ)インゴットの竪型連続鋳造は、図1に示
すように、上下に開放された筒状鋳型1の上部から、ス
パウトおよび溶湯を鋳型内に分配し溶湯面高さを制御す
るためのフロート(図示せず)を介してアルミニウム溶
湯Mを供給し、凝固した鋳塊Cを鋳型1の下部から引き
出すことにより行われる。通常、鋳造開始に際しては、
鋳型1内に底台2を設置したのち、鋳型内に溶湯を供給
し、底台および鋳型内に所定量の溶湯が注入された段階
で底台2を鋳型1の下方へ降下させるとともに周囲から
冷却水3を供給して溶湯を凝固させ、凝固した鋳塊Cを
垂直方向に連続的に引き出す。Bは凝固界面である。
【0003】この場合、とくに断面矩形状の圧延用イン
ゴットを鋳造する場合には、鋳造の初期段階において、
鋳型1から引き出された鋳塊Cの底部は冷却水3によっ
て急冷される結果、鋳塊C底部の温度が急激に低下し、
鋳塊の縦方向に急温度勾配が生じて熱応力が誘導される
とともに、鋳塊Cの中央部と端部との間の急温度勾配か
らも熱応力が生じ、この熱応力により、図1に示すよう
に、鋳塊の短辺側底部に反り上り4が発生する。鋳塊の
短辺側底部が反り上ると、その上部にはくびれ5が生
じ、縦割れや湯漏れの原因となる。
【0004】また、反り上り4の形成に起因して、鋳塊
Cの長辺側の中央部には引張応力がはたらくため縦割れ
6が生じ易くなり、反り上り部においては、鋳型1の底
部と底台2の間に空隙部7が形成されるため、底台2の
方向への抜熱が低下して鋳塊底部が再溶解し、再溶解部
から割れが発生するという問題も生じる。
【0005】連続鋳造の初期段階における鋳塊底部の冷
却による収縮を最適化して反り上りをなくし、鋳塊底部
に発生する欠陥を防止するために、これまでいくつかの
技術が開発されている。例えば、鋳造の初期段階におい
て、冷却媒体中に炭酸ガスなどのガスを混合させて鋳塊
からの熱抽出の速度を減少させ、鋳造の進行に従ってガ
スの混合量を減少させ、冷却速度を通常の速度に戻して
行く方法(特公昭55-42903号公報) 、鋳造の初期段階に
おいて、冷却水を間欠的に供給して鋳塊底部の収縮を制
御するパルス冷却法( 米国特許第3,441,079 号明細書)
などが提案され、それぞれ実用化されている。
【0006】上記の方式はいずれも、アルミニウムの連
続鋳造の初期段階の鋳塊底部の欠陥防止に効果的である
が、炭酸ガスを冷却媒体に混合する方法は、炭酸ガスの
発生、混合量の制御などのための大がかりな設備が必要
であり、パルス冷却法においては、冷却水のオン・オフ
を制御するための複雑な装置を要し、制御系に問題が発
生した場合には、鋳塊冷却が中断される結果、再溶解が
生じ鋳型壁が損傷するなどの難点もある。
【0007】一方、鋳造の初期段階終了後の定常段階に
おいても、とくに図2に示すように、鋳型1内に供給さ
れた溶湯Mは鋳型1によって冷却されて、厚さ10mm
程度の凝固殻9をするが、凝固収縮の結果として鋳型内
壁面と鋳塊との間にエアギャップ8が生じるため、冷却
速度が急激に低下し凝固殼9の成長が停滞する。このた
め、鋳塊の表面から10〜30mm内部にはサブサーフ
ェイスバンド(SSB)と呼ばれる粗い凝固組織を有す
る領域10が形成される。
【0008】また、エアギャップ8の部分での冷却速度
低下により、鋳塊表層部が再溶解して鋳塊表面に発汗が
生じ、Mg、Siなどの溶質元素の逆偏析が起こる。こ
れらの欠陥部および上記サブサーフェイスバンドは、鋳
塊を面削することにより除去しなければならず面削歩留
りを低下させる。最終製品にこれらの欠陥が残存する場
合もみられる。鋳塊品質を改善するための方策として、
a)鋳型内の湯面を低くしエアギャップ部を短くして鋳
造を行う、低湯面レベル鋳造、b)鋳造速度を増加する
方式、c)冷却水量を増加する方式などが提案されてい
るが、低湯面レベル鋳造、高速鋳造では湯漏れ発生の危
険性があり、冷却水を増加しても冷却速度の増大には限
度があるなど、いずれも完全な対策とはなっていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アルミニウ
ムの竪型連続鋳造において、鋳造初期段階において生じ
る鋳塊底部の欠陥を防止するための上記従来の方式の難
点を解消するとともに、アルミニウムの竪型連続鋳造で
生じ易い鋳塊の表面欠陥の発生を低減させる方法を開発
するために、高温のアルミニウム鋳塊の冷却段階につい
て基礎的な実験検討を行った結果としてなされたもので
あり、その目的は、複雑な設備を使用することなく、簡
便な方法により連続鋳造の初期段階における鋳塊底部の
欠陥の発生を防止することができ、鋳塊の表面欠陥の発
生を抑制することができるアルミニウムインゴットの連
続鋳造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明によるアルミニウムインゴットの連続鋳造方
法は、鋳型上部から溶湯を供給し、凝固した鋳塊を鋳型
下部から引き出すアルミニウムインゴットの竪型連続鋳
造において、ポリオキシエチレン・プロピレン・ポリエ
ーテルを含有する水を鋳塊冷却水として使用することを
発明の基本的特徴とする。
【0011】また、鋳造の初期段階において、鋳型下部
から引き出された鋳塊の表面にポリオキシエチレン・プ
ロピレン・ポリエーテルを10〜40%溶解した冷却水
を供給すること、鋳造の定常段階において、鋳型下部か
ら引き出された鋳塊の表面にポリオキシエチレン・プロ
ピレン・ポリエーテルを3〜7%溶解した冷却水を供給
することを第2および第3の特徴とする。
【0012】さらに、鋳造の初期段階においては、鋳型
下部から引き出された鋳塊の表面にポリオキシエチレン
・プロピレン・ポリエーテルを10〜40%溶解した冷
却水を供給し、初期段階終了後の定常段階においては、
鋳型下部から引き出された鋳塊の表面にポリオキシエチ
レン・プロピレン・ポリエーテルを3〜7%溶解した冷
却水を供給することを第4の特徴とする。
【0013】本発明において冷却水に含有させて使用す
るポリオキシエチレン・プロピレン・ポリエーテルは、
ポリアルキレン・グリコールあるいはポリアルキレン・
グリコール・エーテルとも呼ばれ、エチレン・オキサイ
ドとプロピレン・オキサイドを特定の条件下で重合して
得られるものであり、以下の化学式を示す。
【0014】
【化1】
【0015】ポリオキシエチレン・プロピレン・ポリエ
ーテルは、曇点(clouding point)が例えば74〜90
℃で、この温度より低い温度では水に対して完全に溶解
するが、この温度を越えると水に溶解せず、水とポリオ
キシエチレン・プロピレン・ポリエーテルとに分離する
という特性をそなえている。本発明で使用するポリオキ
シエチレン・プロピレン・ポリエーテルは、例えば、米
国ユニオン・カーバイド社製のユーコンクエンチャント
(UQ)(商品名)が適用できる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施態様におい
ては、鋳型1内に底台2を設置し、鋳型内の底台2上に
溶湯Mを注入し、冷却水3を供給して鋳塊Cの底部を形
成する鋳造の初期段階(図1)において、冷却水とし
て、ポリオキシエチレン・プロピレン・ポリエーテルを
10〜40%溶解した水を鋳塊の表面に適用する。
【0017】冷却水は、高温の鋳塊表面に衝突し、鋳塊
表面近傍ではポリオキシエチレン・プロピレン・ポリエ
ーテルの曇点以上に温度が上昇するため、水とポリオキ
シエチレン・プロピレン・ポリエーテルとが分離し、鋳
塊表面に分離したポリオキシエチレン・プロピレン・ポ
リエーテルの薄膜層が形成される。この薄膜層は100
〜数100μmの厚さを有し、熱抵抗を有するバリアー
として機能する。冷却水中の水の含有量も少なく、従っ
て鋳塊表面からの熱抽出が抑制され、冷却速度が緩和さ
れて鋳塊底部に生じる熱応力が小さくなり、鋳塊底部の
反り上りが防止される。
【0018】冷却水に対するポリオキシエチレン・プロ
ピレン・ポリエーテルの好ましい溶解量は、10〜40
%の範囲であり、10%未満では形成される薄膜層の厚
さが不十分で熱抽出抑制の効果が小さく、40%を越え
て溶解させても大きな改善は得られず、経済性の面から
不利となる。
【0019】本発明における他の好ましい実施態様は、
鋳塊が150〜200mm長さ鋳込まれ、上記の鋳造初
期段階が終了したのち、冷却水として、ポリオキシエチ
レン・プロピレン・ポリエーテルを3〜7%溶解した水
を適用することにある。
【0020】冷却水は、鋳型内壁部で形成される凝固殼
直下で供給されるが、この部分の鋳塊の表面温度はきわ
めて高く、通常の冷却水が衝突した場合には、衝突点直
下の鋳塊表面に厚さ1mm程度の蒸気膜が形成され、こ
の蒸気膜を介して冷却が行われるから、冷却水による鋳
塊表面からの熱抽出能力はきわめて小さくなる。
【0021】ポリオキシエチレン・プロピレン・ポリエ
ーテルを溶解した水を冷却水として供給した場合、鋳塊
表面で水とポリオキシエチレン・プロピレン・ポリエー
テルとが分離して、鋳塊表面にポリオキシエチレン・プ
ロピレン・ポリエーテルの薄膜層が形成され、蒸気膜の
生成が妨げられる。ポリオキシエチレン・プロピレン・
ポリエーテルの溶解量が少ないから、薄膜層は厚さ10
0μm前後のもので、熱伝導性が蒸気膜に比べてきわめ
て高いため鋳塊からの熱移動は容易となり、冷却水中の
水の含有量も多いため、通常の冷却水を使用する場合に
比べ、冷却効果がより大きくなる。
【0022】冷却水中の水に対するポリオキシエチレン
・プロピレン・ポリエーテルの溶解量は3〜7%に範囲
が好ましく、3%未満では薄膜層の形成が不均一となっ
て冷却条件が安定せず、溶解量が7%を越えると、薄膜
層の厚さが大きくなり、熱抵抗のバリアーとして作用す
るため、冷却能力が低下し易い。
【0023】本発明におけるさらに他の好ましい実施態
様においては、鋳造の初期段階においては、ポリオキシ
エチレン・プロピレン・ポリエーテルを10〜40%溶
解した水を鋳塊冷却水として使用し、初期段階終了後の
鋳造の定常段階においては、ポリオキシエチレン・プロ
ピレン・ポリエーテルを3〜7%溶解した水を鋳塊冷却
水として使用する。
【0024】本発明によれば、連続鋳造の初期段階にお
いて、高濃度ポリオキシエチレン・プロピレン・ポリエ
ーテル含有水を冷却水として使用するため、冷却水が高
温状態の鋳塊の底部に衝突した場合、ポリオキシエチレ
ン・プロピレン・ポリエーテルが分離して鋳塊表面に薄
膜層を形成し、熱抵抗を有するバリアーとして機能す
る。冷却水中の水の含有量も少ないから、鋳塊表面から
の熱抽出が抑制されて冷却速度は小さくなり、鋳塊底部
の熱応力が緩和されるため、鋳塊底部に反り上りが生じ
ることがなく、反り上りに起因する種々の鋳塊欠陥が防
止される。
【0025】鋳造の定常段階で、低濃度ポリオキシエチ
レン・プロピレン・ポリエーテル含有水を使用する場合
は、冷却水が衝突する鋳塊表面に、初期段階で形成され
るよりも薄いポリオキシエチレン・プロピレン・ポリエ
ーテルの膜が形成されて、蒸気膜の生成が妨げられ、冷
却水中の水の含有量も多いから、伝熱性の高い薄膜層を
介した対流冷却により鋳塊から効果的な熱抽出が行われ
る。従って、エアギャプ部直下での冷却速度が大きくな
り、サブサーフェイスバンドの形成、逆偏析などの表面
欠陥が抑制される。鋳造の初期段階と初期段階終了後の
定常段階で、ポリオキシエチレン・プロピレン・ポリエ
ーテルの含有量を変えた冷却水を使用するようにすれ
ば、さらに改善された連続鋳造を行うことが可能とな
る。
【0026】
【実施例】
実施例1 JIS3004合金に相当する組成のアルミニウム合金
を、通常の竪型連続鋳造方式に従い、断面寸法が縦55
0mm、横170mmの矩形状インゴットに造塊した。
鋳造条件を表1に示す。なお、ポリオキシエチレン・プ
ロピレン・ポリエーテルとしては、長瀬産業(株)販売
のPAG−Aを適用した。鋳造温度は700℃とし、鋳
型として有効鋳型長さ65mmのものを使用し、各条件
でそれぞれ50本づつのインゴットを鋳造した。
【0027】上記PAG−Aは、粘度(38℃)250
0、比重(20℃/20℃水)1.097、pH8.
5、流動点−20℃、曇点(ヒート・セパレーション温
度)74℃、BOD600ppm、COD500000
ppmの性質をそなえたものである。
【0028】上記の連続鋳造においては、鋳塊表面の冷
却が緩和され、鋳込長さ150mmまでの鋳造初期段階
においては、表1に示すように、平均反り上り量は4.
4mm以下と小さく、反り上りに起因する鋳塊の長辺側
中央部の割れ、鋳塊短辺側の割れ、湯漏れ、底部の再溶
解から生じる割れなどは全く発生しなかった。なお、初
期段階終了後の定常段階においては、通常の冷却水を使
用し、鋳造速度120mm/min、冷却水量160l
/minの条件で鋳造を行った。
【0029】
【表1】
【0030】比較例1 実施例1と同じ組成のアルミニウム合金を、実施例1と
同様、通常の竪型連続鋳造方式に従って、実施例1と同
一の断面寸法を有するインゴットに造塊した。鋳造条件
を表2に示す。なお、使用したポリオキシエチレン・プ
ロピレン・ポリエーテルは実施例1と同一のものとし、
鋳造温度、鋳型の有効長は、実施例1と同じく、それぞ
れ700℃および65mmとし、各条件でそれぞれ50
本づつのインゴット鋳造した。各条件での鋳造におい
て、鋳込長さが150mmまでの鋳造初期段階での平均
反り上り量、割れ発生状況および湯漏れ状況を調べた。
結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】表2に示すように、比較例に従って鋳造さ
れた試験No.4〜6では、緩和された冷却が行われ
ず、反り上り量が大きく、割れや、湯漏れが生じた。例
えば、試験No.5においては、平均反り上り量は1
7.2mmと大きく、反り上りに起因して、3本のイン
ゴットに鋳塊の長辺方向中央部の割れ、1本のインゴッ
トに鋳塊短辺部の割れが観察され、2本のインゴットに
くびれ部の再溶解による湯漏れ不良が発生した。
【0033】比較例2 JIS3004合金に相当する組成のアルミニウム合金
を、通常の竪型連続鋳造方式に従い、断面寸法が縦55
0mm、横170mmの矩形状インゴットに造塊した。
鋳造条件を表3に示す。なお、使用したポリオキシエチ
レン・プロピレン・ポリエーテルは実施例1において使
用したものと同一のPAG−Aとした。また、鋳造温度
は700℃、鋳型の有効長さは65mmとし、各条件で
それぞれ10本のインゴットを鋳造した。各条件の鋳造
において、鋳造が定常段階に達したのちの鋳塊表層部の
偏析層厚さ、サブサーフェイスバンド(SSB)厚さお
よび表面から10mm内部のデンドライトアームスペー
シング(DAS)を測定した。結果を表3に示す。
【0034】
【表3】
【0035】表3に示すように、試験No.7は、ポリ
オキシエチレン・プロピレン・ポリエーテル(PAG−
A)を20%含有する水を冷却水として使用したため、
冷却水が衝突する鋳塊表面に形成されるPAG−Aの膜
が厚くなり過ぎ、この膜が熱抵抗のバリアーとして作用
して冷却能力が低下し、このため鋳塊に表面欠陥が生じ
た。試験No.8は通常の冷却水で鋳造を行ったため、
エアギャップ形成に起因して冷却が不十分となり、偏析
層厚さ、SSB厚さ、DASの値はいずれも大きかっ
た。
【0036】実施例2 比較例2と同じ組成のアルミニウム合金を、比較例2と
同様、通常の竪型連続鋳造方式に従い、比較例2と同一
の断面寸法を有するインゴットを造塊した。鋳造条件を
表4に示す。なお、使用したポリオキシエチレン・プロ
ピレン・ポリエーテルは比較例2と同じPAG−Aと
し、鋳造温度、鋳型の有効長さは、比較例と同じく、そ
れぞれ700℃および65mmとし、各条件でそれぞれ
10本のインゴットを鋳造した。各条件の鋳造におい
て、鋳造の定常段階に達したのちの鋳塊表層部の偏析層
厚さ、SSB厚さおよび表面から10mm内部のDAS
を測定した結果、表4に示すように、いずれも大きく改
善されていた。
【0037】
【表4】
【0038】また、純アルミニウムのブロック(寸法:
高さ500mm、幅300mm、厚さ100mm)の高
さ×幅(500mm×300mm)の面を冷却面とし、
該冷却面から厚さ方向へ5mmおおび15mm内部で、
高さ方向中央部の位置に幅方向に各2か所熱電対を設置
し、ブロックをガス炉中で500℃の温度に加熱したの
ち、冷却面に対して、冷却面に10mmの間隔で対向し
て配置した疑似鋳型からポリオキシエチレン・プロピレ
ン・ポリエーテル(PAG−A)を溶解した水からなる
冷却水を供給してブロックの冷却面を冷却し、熱電対に
よる温度測定結果からブロック(鋳塊に相当)の表面温
度を算出し、500℃から200℃までの平均冷却速度
を評価した。なお、冷却水の衝突点は熱電対の設置位置
より20mm上部とした。
【0039】結果は、図3に示すように、ポリオキシエ
チレン・プロピレン・ポリエーテル(PAG−A)を3
〜7%溶解させた冷却水を使用した場合、通常の水を冷
却水として使用した場合に比べて冷却速度が大きく向上
しているのがみられる。しかしながら、PAG−Aを1
0〜20%を溶解させた高濃度の冷却水を使用した場合
はPAG−Aの膜が厚くなり、これが熱抵抗を有するバ
リアーとして作用するため、冷却能力が低下している。
【0040】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、アルミ
ニウムインゴットの連続鋳造において、鋳造初期段階に
おける冷却速度が緩和され、鋳塊底部の反り上りが抑制
されるから、反り上りに起因する鋳造欠陥が防止され、
安定した鋳込みを行うことができ、凝固組織の粗大化や
逆偏析の発生を防止して、鋳塊表層部の品質を向上させ
ることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルミニウムの竪型連続鋳造における鋳造初期
段階の概略を示す縦断面図である。
【図2】アルミニウムの竪型連続鋳造における鋳造の定
常段階の概略を示す縦断面図である。
【図3】冷却水中のポリオキシエチレン・プロピレン・
ポリエーテルの溶解量と冷却速度との関係を示すグラフ
である。
【符号の説明】
1 鋳型 2 底台 3 冷却水 4 反り上り 5 くびれ 6 縦割れ 7 間隙 8 エアギャップ 9 凝固殼 10 サブサーフェイスバンド C 鋳塊 M アルミニウム溶湯 B 凝固界面

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳型上部から溶湯を供給し、凝固した鋳
    塊を鋳型下部から引き出すアルミニウムインゴットの竪
    型連続鋳造において、ポリオキシエチレン・プロピレン
    ・ポリエーテルを含有する水を鋳塊冷却水として使用す
    ることを特徴とするアルミニウムインゴットの連続鋳造
    方法。
  2. 【請求項2】 鋳造の初期段階において、鋳型下部から
    引き出された鋳塊の表面にポリオキシエチレン・プロピ
    レン・ポリエーテルを10〜40%(重量部%、以下同
    じ)溶解した冷却水を供給することを特徴とする請求項
    1記載のアルミニウムインゴットの連続鋳造方法。
  3. 【請求項3】 鋳造の定常段階において、鋳型下部から
    引き出された鋳塊の表面にポリオキシエチレン・プロピ
    レン・ポリエーテルを3〜7%溶解した冷却水を供給す
    ることを特徴とする請求項1記載のアルミニウムインゴ
    ットの連続鋳造方法。
  4. 【請求項4】 鋳造の初期段階においては、鋳型下部か
    ら引き出された鋳塊の表面にポリオキシエチレン・プロ
    ピレン・ポリエーテルを10〜40%溶解した冷却水を
    供給し、鋳造の初期段階終了後の定常段階においては、
    鋳型から引き出された鋳塊の表面にポリオキシエチレン
    ・プロピレン・ポリエーテルを3〜7%溶解した冷却水
    を供給することを特徴とする請求項1記載のアルミニウ
    ムインゴットの連続鋳造方法。
JP31007695A 1995-11-02 1995-11-02 アルミニウムインゴットの連続鋳造方法 Pending JPH09122862A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31007695A JPH09122862A (ja) 1995-11-02 1995-11-02 アルミニウムインゴットの連続鋳造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31007695A JPH09122862A (ja) 1995-11-02 1995-11-02 アルミニウムインゴットの連続鋳造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH09122862A true JPH09122862A (ja) 1997-05-13

Family

ID=18000893

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP31007695A Pending JPH09122862A (ja) 1995-11-02 1995-11-02 アルミニウムインゴットの連続鋳造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH09122862A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007523745A (ja) * 2003-02-28 2007-08-23 ゾー ウント ゾー ゾマーホーファー オッフェネ エアヴェルプスゲゼルシャフト 連続鋳造法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007523745A (ja) * 2003-02-28 2007-08-23 ゾー ウント ゾー ゾマーホーファー オッフェネ エアヴェルプスゲゼルシャフト 連続鋳造法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4166495A (en) Ingot casting method
JP2005536358A (ja) マグネシウム及びマグネシウム合金の双子ロール鋳造
GB2132925A (en) A method of continuous casting
US6905558B2 (en) Billet by continuous casting and manufacturing method for the same
JP2001105102A (ja) 連続鋳造用鋳型および連続鋳造方法
US2231813A (en) Hot top
JPH09122862A (ja) アルミニウムインゴットの連続鋳造方法
US3891024A (en) Method for the continuous casting of metal ingots or strips
US3797555A (en) Method for continuous casting of metal strips
CA1237270A (en) Method and apparatus for direct casting of crystalline strip by radiantly cooling
SUH et al. Effect of the melting rate on the carbide cell size in an electroslag remelted high speed steel ingot
JPH09122860A (ja) アルミニウムの連続鋳造方法
US3916985A (en) Apparatus for continuous casting of metal strips
JP2985633B2 (ja) 連続鋳造用モールドパウダー
JPH03210950A (ja) 連続鋳造用パウダー
JP2003071546A (ja) アルミニウム鋳塊およびその連続鋳造方法ならびに前記アルミニウム鋳塊を用いた電解コンデンサの電極用アルミニウム箔の製造方法
JPH06339754A (ja) 薄板の連続鋳造方法
JPS60152349A (ja) 連続鋳造における末端鋳片の鋳込方法
JP3546137B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP4201653B2 (ja) アルミニウム合金の製造方法
JP3580146B2 (ja) アルミニウム合金ビレットの縦型連続鋳造方法
JPH0347660A (ja) 高速鋳造における鋳片の縦割れ防止方法
JPH05288478A (ja) 水冷式銅樋の製造方法
JP4907453B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JPH04123846A (ja) 連続鋳造における湯面下凝固鋳造方法