JP2007523745A - 連続鋳造法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、ストランド(4)の直接冷却のための冷却材として液体金属又はイオン性液体を用いた直接冷却による、あらゆる種類の金属の連続鋳造に関する。本発明によれば、冷却材は少なくとも1つのジェット(10)でストランド(4)に向いており、かつこのジェット中で乱流で流動する。

Description

本発明は、それぞれ、液体金属をストランドの直接冷却のための冷却材として使用する、あらゆる種類の金属の連続鋳造法、及び、請求項1から9までの導入部に記載されたそのような冷却法のための装置に関する。
先行技術においてそのような方法を示す文献は複数存在する。
US3430680Aには、冷却材が重力に基づいて流動する垂直配向管を用いた冷却法が開示されている。この管の中心にはノズルが挿入されており、鋳造するための金属はこのノズルを液状でかつ冷却材と同一の速度で導通し、液−液接触表面のいかなる剪断力又は他の障害もが回避される。鋳造するための金属は前記の接触表面からストランドの中心に向かって凝固し、最終的には、冷却材から分離するのに十分な硬度及び靭性を有する。純粋に層流状態で流動する2つの成分から成る流れにおいて、2つの別個の液体に関して同一の速度を達成することは極めて困難である上に、冷却効率はまさにこの理由のためにどちらかと言えば低い。
US3874438Aには、表面の下方に、(形状を付与する)るつぼ出口を有する液体金属の冷却浴が開示されている。温度環境は極めて複雑であり、溶融物は、冷却浴に進入する直前に、出口の領域でその凝固点に達する。冷却浴は円筒体中に設けられており、熱交換器によって円筒体の側壁を通じて冷却される。冷却材の表面を選択された高さで保持するために、特別な設備、即ち、冷却液のための付加的な容器が設けられている。凝固温度を出口の内部で保持することは極めて困難であり、ストランドはその断面の極めて多くの部分にわたってまだ液体であり、熱エネルギーが凝固により放出され、かつ冷却材が次第に熱くなるためにストランドに沿った冷却プロセスが鋳造の間に変化することを考慮しなければならない。
US5344597Aには、液体状態から鋼薄板を製造するための極めて高度な方法が開示されている:溶融鋳造物の薄層は溶融金属(例えば鉛)から成る冷却材の表面に施与され、この表面上を泳動してローラー台へと至り、ここで保持され、案内され、かつ送り出される。冷却材は鋳造物の比較的低い面のみと接触するようになる。冷却材は浴の表面領域から冷却装置へと搬出され、かつポンプによって浴の底部領域へと戻される。一面のみの冷却のため、冷却材は鋳造物の下方に存在するという事実のため、及びシートから表面への平行な動きのため、熱輸送及び従って冷却はむしろ不十分でかつ非対称的であり、応力及び製品のひずみを招く。
同様の方法がUS4955430Aに記載されている:主な相違点は、液体の鋼を鉛の上に施与し、そこから再度取り出す方法であり、鋳造法そのものは同一であり、かつ同一の支障を有する。
それぞれ2つの極めて類似する装置及び方法は、それぞれUS4510989A及びUS4751959Aに開示されている;既にその表面上に薄い固体層を有する溶融鋳造物が、溶融金属から成る冷却浴中に施与され、弓状の経路に沿って移動される。従って、浴の容積は浸漬されたストランドの容積よりもはるかに大きく、この方法のためには多量の冷却材が必要である。冷却材は、最もよい状態で、容器の底部に取り付けられた循環ポンプによりランダムに撹拌される。冷却材の大きな表面積及び浴中の種々のプロセスから生じる危険な蒸気及びガスにより、大きな問題が生じる。ストランドを湾曲された形状にし、再度延長された形状にしなければならないという事実と共に他の問題が存在する。これは構造上の問題を惹起し、最終製品の品質を損なわせる。
US2363695Aは興味深い着想を示している:溶融材料(大抵は鋼)は、U型の断熱管を通じて、冷却材としての液体鉛で充填された容器中の上方へ向けられたノズルに供給され、その後垂直方向に上方に排出される。冷却材は撹拌又は掻き混ぜなしで容器中に保持されるため、ストランドによってのみ移動され、かつ温度差による対流運動は目立った運動を意味しない。このこと、及びストランドの連動及びその加熱による鉛の上昇は、均一な冷却及び長く続く操作サイクルに対する問題をもたらす。
SU863161Aには、2工程での管の鋳造が開示されている:第一の工程において、水冷された鋳型を使用してストランドの表面上に凝固された金属の薄層を製造し、第二の工程において、ストランドを湾曲した経路に沿って液体金属との直接接触によって更に冷却する。液体金属を鋳造物の周囲の環状スリット中に保持し、水で間接的に冷却する。鋳型の環状形成に関する問題の他に、複雑な熱伝達の均一性に関する問題が存在する:熱は、溶融コアから、凝固された表面領域を経て、冷却材として使用される液体金属へと伝達され、更に、鋳型の壁部、及び、この壁部内のチャネル中で循環する水へと伝達される。そのような装置を用いて、定義されかつ一様な冷却機構に達することはほぼ不可能である。
US3128513Aには、溶融塩が冷却材として使用される鋳造法が開示されている。従って、ストランドは冷却材よりも高い密度を有し、かつ容器の底部に沈む。ストランドの液体内部の圧力はストランドの断面を形成するのに用いられるが、しかしながらこれは多数の問題及び重篤な危険さえもたらす(溶融金属の吹出し等)。冷却材はいかなる撹拌もなしに単に容器中に保持されており、ストランドのために可動の鋳型が使用される幾つかの実施態様においては、ストランドの表面と冷却材との間の接触が妨害される。
JP62101353Aには、管のための常用の鋳造法が開示されている。内面を適切かつ平滑に形成するために、中空コアをノズルに挿入する。事故の際の水と溶融金属との直接接触のいかなる危険(水蒸気爆発)をも回避するために、中空コアをその内部で水の代わりに溶融金属を用いて冷却する。ストランドと液体金属との間の直接接触はない。
主として、連続鋳造の導入は半完成品の極めて効果的な製造法である。製品は、圧延インゴット、押出成形ビレット、ストリップ及びワイヤ、時としてまた、管、更に鍛造原料及びまた少量のチキソトロープ予備材料である。鋳造材料は、アルミニウム、銅、マグネシウム、ニッケル及びそれらの合金並びに鋼である。鋳造法に影響を及ぼす極めて多数のパラメータが、鋳型の多数の種々の設計の開発にもたらされてきた。
通常、鋳造溶融物は、応力を鋳型出口で伝達し、かつ液体鋳造溶融物の吹き出しに耐えるのに十分に強度にシェルを凝固させるのに必要である限りにおいて鋳型により間接的に冷却される。鋳型出口のすぐ後方で、ストランドは水により直接冷却され、これはフィルム冷却又はスプレー冷却又は水及び空気を用いた2相冷却として実現される。直接冷却工程は、ストランドの液体コアの凝固を保証する。時として、第二冷却工程の後に、第三工程、水浴中での浸漬又は空気流による穏やかな冷却工程が続く。
鋳型中での間接冷却工程、及び、後続の水又は水及び空気を用いた直接冷却工程を有する処理変法は公知技術であるが、この冷却構想の欠点は、鋳型とストランドとの間の摩擦が、新たに形成される表面の損傷を惹起することである。更に、凝固収縮の結果として鋳型とストランドとの間に空気ギャップが生じることにより誘発されるストランドシェルの再加熱も不利である。これら2つの事象は、(摩擦が高過ぎる場合には)表面亀裂のような欠陥、偏析及びセルサイズ変動、連続鋳造ストランドの表層面層のための著しいシェルの撓みを招く。いかなる場合においても、表層面はストランドのコアとは全く異なるため、特に圧延インゴットから切削加工されねばならない。これは、付加的な処理工程が必要であることを意味し、これは付加的な費用を導く。表層面層の厚さを低下させるための1つのアプローチは、潤滑剤の適用である。潤滑油のみならず潤滑油/ガス混合物を適用して鋳型中の摩擦及び熱導出を低下させる、多数の種々の潤滑油系が開発されてきたが、表層面層の完全な排除は不可能であった。他のアプローチは、表層面層の厚さを低下させるために鋳型の長さを低下させることであり、これはより良好な、従ってより高価なプロセス制御系を必要とする。
単結晶の製造のために、加熱された鋳型をいわゆる大野式連続鋳造法(OCC)において使用し、鋳型壁での核生成を防ぎ、かつ軸方向性凝固を保証するために、鋳型温度は鋳造材料の融点よりも高い。この方法のために必要な熱除去は、鋳型出口からの所定の距離での唯一の箇所での直接冷却により実現される。この方法で製造されたストランドは、常に、極めて平滑な表面を有する単結晶である。しかしながら、単結晶の製造は通常の連続鋳造の目的ではなく、それというのも、製造されたストランドは圧延、押出し成形又は鍛造作業、又は等方特性を有する他の冷却又は加熱作業処理により成形可能であるべきだからである。
上記の2つ処理型(冷却された鋳型を用いた鋳造及び加熱された鋳型を用いた鋳造)の間には、断熱鋳型を用いた作業の可能性及び直接冷却のみによるストランドの冷却の可能性が存在する。これも、適切な処理パラメータを用いて作業した場合に、平滑な、表層面層のないストランドを約束する。有効鋳型長は極めて短いため、この方法には極めて迅速で正確な処理制御系が必要である。
数多く記載されている方法が共通して有する1つの特徴である冷却材としての水の使用は、表面温度及び冷却水供給密度に応じて、多少なりとも安定な蒸気膜を冷却された表面上に誘発する。これは、直接冷却工程の間の極めて強度に変動し得る伝熱係数をもたらす。冷却の構想に依存して、鋳造材料の特性、ストランド表面の粗度、水供給密度及び水の速度並びに水温は決定的である。しかしながら前記のパラメータは、高温裂け目、表面亀裂の発生及び可能な鋳造速度に影響を及ぼす。パラメータは鋳造処理の間に変化し得るため、製品の品質も変化し得る。
EP063832には、その鋳型中で凝固される試料の”鋳造”のための構想が開示されており、従ってこれは本来の鋳造法ではなく、連続鋳造法ですらない。
DE4127792には、問題のある試料を、特別な形状特性を有する予熱された鋳型に注ぎ、そこで凝固の特別な形を生じさせることが開示されている。これは鋳造法であるが、連続鋳造法を用いたものではない。
見て取れるように、簡単で信頼性のある連続鋳造法、及び、公知の方法の利点を損なうことなく上記の欠点を回避する装置に極めて大きな関心が寄せられている。
上記の目的を達成するために、本発明は、1つ以上のジェットか、又は液化金属又はイオン性液体の流れを、冷却媒体として、乱流で、及び有利に断熱鋳型を用いて使用することを提案する。これは、水蒸気膜がストランドの表面に存在せず、かつ冷却剤が所定の処理の後に所定の方法でストランドに衝突することを確実にする。これは、冷却特性及び特質が十分に定義されており、かつ制御可能であることを保証する。
イオン性液体又はデザイナー液体は、100℃未満の融点を有する有機カチオン及び大抵無機アニオンから成る塩の群のための名称である。これらは、処理の最高作業温度で分解しない限り、又は所定の環境下でストランドと反応しない限り、本発明と共に使用することができる。以下の記載において、用語”溶融金属”又は”冷却材”等が使用される場合、これらは大抵記載されていないが、常に含まれる。
鋳型は有利に、鋳型出口の付近でストランドシェルの凝固を可能にする断熱鋳型からなる。これによって、多数の表面欠陥が防止され、かつ望ましくない表層面層が防止される。凝固は直接冷却の影響により生じる。直接冷却には、液体金属、例えば鉛、スズ、ビスマス、ガリウム、インジウム又はそれらの合金が使用され、かつ、他の液体金属又は合金は鋳造金属又は合金の凝固温度未満で液体である。
液体金属を用いた連続鋳造における直接冷却の特徴は、極めて一様な冷却挙動を保証し、所望の場合には新たに形成されたストランド表面の酸化を防止し、かつ冷却材としての水を使用した結果としての爆発の危険性を完全に排除する。更に、高温裂け目及び低温裂け目は、冷却金属、及び、冷却装置入口及び冷却装置出口での冷却金属温度の選択により排除され得る。製造されたストランドは、実質的に、通常慣用の連続鋳造法において認められる公知の表層面層を含まない。製造されたストランドの粒状構造を、冷却材温度の調整により制御することができる。
幾つかの場合において、アルミニウム又は若干の他の金属を鋳造する場合の標準の例において、表面の酸化は有利であることができ、それというのも、冷却材とストランドの間の反応及び相互作用に関して極めて十分に定義された境界を冷却材に与えるためである。そのような場合、空気又は酸素を、鋳型の下流端部、鋳型出口(コキール)、1つ以上のジェットがストランドの表面に衝突する1つ以上の箇所の上流で装入することができる。これを達成する極めて簡単な方法は、(垂直に鋳造を行う場合)、コキールと冷却材分配ユニットとの間に、周囲空気との接続部を有する小さな環状のスロットを配することである。必要であれば、更に高度な装備を使用することができる。
更に、鋳造機器を圧延ユニットに取り付けることができ、それというのも、ストランド出口温度を調節することができ、従って予熱のためのエネルギー費用を抑えられるためである。この処理タイプの場合、潤滑剤は不要である。潤滑剤も高温ストランド表面と相互作用しかつ反応し、これにより水素富化及び他の表面欠陥がもたらされることが公知であるため、潤滑剤が不要であることによって、方法がより簡単に、費用が低くなり、製造されたストランドの品質が向上する。
冷却材としての液体金属を、連続膜又はジェット又は液滴として高温ストランド表面上に向けることができる。冷却材分配ユニットは、ストランド周囲を包囲する連続スロットにより実現することもできるし、ストランド取り出し方向に対する種々の角度でのスロット付きセグメントから成ってもよい。熱導出を増加させるために、より高い可能な鋳造速度をもたらすより高い熱伝達領域を保証するために、直接冷却工程を追加することができる。鋳型自体はいかなる断面を有してもよく、円筒形か、又は鋳造方向に向かって広くなる円錐形であってよい。より低い鋳造速度のために、冷却材分配ユニット及び高温ストランドを液体冷却金属の浴に浸漬させることにより直接冷却工程を実現することも可能である。
総じて、液体金属を冷却材として用いて第一の間接冷却工程及び第二の直接冷却工程を用いて慣用の鋳型を稼働させることも可能であるが、公知の表面欠陥及び不均一な表層面層を防止するために、冷却された鋳型の長さは極めて短くなければならない。
垂直及び水平での(又は任意の他の所望の角度での)連続鋳造のために、本発明による鋳造法を使用することが可能である。本発明は、銅、マグネシウム及びアルミニウムの鋳造のための適用に成功し、全ての非鉄金属及び合金並びに鋼のために適用することができることを示す。
新規の冷却の構想の利点は以下の通りである:
熱伝達係数が、水を用いた直接冷却の熱伝達係数と比較して、及び、液体金属又は塩から成る停滞した冷却材中への定義されていない浸漬と比較して、極めて一定であるため、冷却制御がより容易であること。
所望の場合には、新たに形成されたストランド表面が酸化しないこと。
表面欠陥なしの平滑な表面であること。
鋳造ストランドの不均一な表層面層が存在しないか、又はごくわずかに存在するに過ぎないこと(切削加工は不要である)。
粒状構造を、冷却材温度の調整により制御することができること。
高温裂け目及び低温裂け目を、冷却工程の種々の工程における冷却材温度の調整及び制御により、並びに、液体金属(又は合金)を冷却材として選択することにより排除することができること。
鋳造ストランドのインライン圧延が可能であり、再加熱のためのエネルギー費用が抑えられるであろうこと。
潤滑剤が不要であること。
鋳型設計がより容易であること。
本発明を図の参照下により詳細に説明する。図は以下のものを示す:
図1は本発明による鋳型の鉛直断面図であり、
図2は本発明の他の実施態様の同様の図であり、
図3は本発明の第三の実施態様の同様の図であり、
図4は本発明の第四の実施態様の同様の図であり、
図5は本発明の第五の実施態様の同様の図であり、
図6は本発明の第六の実施態様の同様の図であり、
図7は冷却系の主投影図であり、かつ
図8はストランド冷却装置の主投影図である。
図1は鉛直取り出し方向でのストランドを示す。冷却は、全体的に新規の方法で、幾つかの方法で化学工業から公知の熱交換器と同様に操作される、完全に充填されたストランド冷却装置を用いて行われる。溶融物1は(加熱可能な)タンディッシュ2から鋳型3へと吸引され、ストランド4は冷却ユニットの全長にわたって液体金属冷却材8により冷却されるため、鋳型出口で凝固する。冷却材8は、ストランド4の表面と、ストランドを包囲する管12の内表面との間のギャップ状室11を満たす。ストランド4の温度は、ストランド冷却装置ユニットを経過するその移動の間に、その端部が達するまで低下する。ストランド洗浄ユニット7により、冷却材がストランド4から確実に滑り出る。
しかしながら、慣用の熱交換器とは反対に、低温の冷却材はストランド冷却装置5に供給され、冷却材分配ユニット6により、鋳造物形状のために必要とされる通りに分配される。冷却材8は、(鋳造物の形状に応じて)環の形状を有し、かつストランド4の表面に向いているスリットを通じてか、又は、閉鎖管路に沿って配置され、かつストランドの表面に向いている複数の開口部又はノズルを通じて、冷却材分配ユニット6を去る。スリットを有する変形は、流動する冷却材8の閉じた円錐状の”壁”を形成し、開口部を有する変形は、冷却材8の複数のジェット10を形成する。どちらの場合においても、冷却材分配ユニット6を去る際の冷却材8の速度が、流れを乱流にするのに十分に高いことが重要である。このための理由は、乱流は層流よりもはるかに大きな熱伝達能力を、流動方向に対して垂直(ストランドから離れた)方向で有することである。
壁部又は媒体に流動するジェット10を有する図1の状況は、冷却材分配ユニット6から幾分かの距離で、ストランド4の移動と冷却材8の移動との組み合わせが、下記の通りポンプにより強制されるその循環のために、ジェット10又はそれにより誘発される冷却材8中での流動パターンに打ち勝つことを示す。
冷却材収集ユニット9への鋳型出口から、冷却材8は高温ストランド4から熱を取り出し、それにより加熱される。冷却材収集ユニット9は、必要とされる、ストランド周囲に沿った冷却材分配を保証する。この処理型は極めて高い冷却速度を可能にするが、しかしながら冷却材フィード中での正確な圧力制御を必要とする。
層流と乱流との区別を説明するために図8が参照され、この図8は2つの同心円壁の間の円形のスリットを示し、内側の円筒体は”d”の直径を有し、外側の中空円筒体は”D”の内径を有し、スリットの水力直径”D”は以下により算出される:
=D−d
環状及び非円形チャネルの水力直径”D”は、同一の断面を有する円の直径に等しい。断面の異なる形状のための水力直径は、例えばRobert H. Perry (Ed.): ”Perry's Chemical Engineers' Handbook” (第6版 1984)に挙げられている。前記刊行物の第5〜25頁及び第5〜26頁を参照することによりここに取り入れる。液体媒体が、引張り面に対して垂直の方向に、(メートルで与えられる)水力直径”D”で、かつ(m/sで与えられる)動粘度ν及び(m/sで与えられる)平均速度vでスリットを導通する場合、いわゆるレイノルズ数Reを以下により算出することができる:
Re=(D・v)/ν
層流が乱流に転換する点は、チャネルの断面のみならず断面領域の形状にも依存する。約12000を上回るレイノルズ数(定義によれば単位を有しない)に関して、環状のスリットの形のチャネルの場合、流れは通常乱流である。本発明によれば、”壁面ジェット”の場合のレイノルズ数は少なくとも15000であり、有利に25000を上回るべきである。冷却材分配ユニット6中のスリットは円筒状ではなく円錐状であるが、差は無視できるほど十分に小さいことに言及しなければならない。
有利な実施態様において、冷却材分配ユニット6は複数の個々の部分を含み、これらは有利に、冷却材分配ユニット6内の円錐状スリットの幅を変化させるために、ねじを用いて相互に調整されてよい。これにより、操作者はスリットの幅、従ってレイノルズ数を、操作の間であっても容易に変化させることができる。
自由直径d(メートルで)を有する目立たない開口部又はノズルの場合、レイノルズ数は以下により定義される:
Re=(d・v)/ν
層流から乱流への転換は、定義の困難な秒オーダーの効果に依存して、2600≦Re≦4000の点で、そのような形状で生じる。従って、そのような個々のジェットの場合のレイノルズ数は少なくとも5000であるべきであり、有利に7500を上回るべきである。
全ての使用可能な冷却材液体金属並びにイオン性液体のために、動粘度はデータシート又は化学又は冶金学の教料書に供覧されており、速度は、スリットの(mでの)周知の断面積及び毎秒通過する冷却材の(mでの)体積により与えられ、スリットの幅(これはその水力直径の半分である)は構造から明らかであり、従って、この記述が入手できれば、当業者にとって本発明により使用される乱流を得ることは何ら問題ないことである。
図2は、鋳造ストランド4を図1の処理型よりも穏やかに冷却することができる処理型を表す。鋳造溶融物1は(加熱可能な)タンディッシュ2から鋳型3へと吸引され、熱が、ストランド4との直接接触において冷却材によって導出される際に鋳型出口で凝固する。管12の代わりに、ストランド4がその移動の間に凝固する領域の周囲に冷却ボックス13が設けられている。冷却ボックス13は高温の冷却材を収集するのに役立つ。冷却ボックス13の底端部にストランド洗浄ユニット7が取り付けられており、これは、(技術的意味において)冷却材がストランド表面上に残留しないことを保証する。”低温”冷却材は、冷却材分配ユニット6によって、鋳造ストランド形状のために必要とされる通りに、ストランド周囲に沿って分配される。ストランド4と接触した後に、高温の冷却材は冷却ボックス13の底部へと流動し、その後、冷却材出口を経て冷却ボックス13を去る。
図3は、図2に示される上記の鋳造法の熱導出速度よりも実質的に高い熱導出速度での、それぞれ本発明による鋳造法及び鋳型を表す。2つの連続的な冷却工程のために、ストランド4から冷却材9への熱流の高い速度が達成される。そのために、別個の冷却材フィードが各冷却工程のために供給される。(加熱可能な)タンディッシュ2中の鋳造溶融物1は鋳型3中へ吸引され、鋳型出口で凝固される。ストランド4中での軸方向の熱除去は、第一の冷却工程では図2と同様であるが、第二の冷却工程により、図1に示される冷却ユニットと同様の付加的な冷却ユニットにおいて増加する。
第一の冷却工程のための装置は、冷却材膜14を製造する冷却材分配器6から成る。第二の冷却工程のための装置は、冷却材分配ユニット6’、及び、第一の冷却工程よりも高い熱除去を保証する熱交換器管として作用する取付管12から成る。ストランド4は洗浄ユニット7により洗浄され、表面上に残存する冷却材8が排除される(技術的洗浄)。冷却又は収集ボックス15は冷却ユニット全体を包囲する。
図4、5及び6はそれぞれ、それぞれ図1、2及び3に示されたのと同様の装置を示すが、ストランドの水平の取り出しを伴う。水平の取り出しを伴う連続鋳造は当業者に十分に公知であり、当業者にとって、本発明をこの鋳造の変法に適合させることには何の問題もない。言及すべき唯一の差は、液体金属が、大抵先行技術において使用されてきた水よりもはるかに高い密度を有することである。従って、図5による装置及び図6の第一の冷却工程における自由に施与された冷却材は、ストランド4の上側及び下側で各様に加圧されねばならない。
図7は鋳造プラント全体のためのフローシートを示す。冷却材として使用される液体金属は槽16中に貯蔵され、これは鋳造法を開始する前に加熱ユニット17により加熱される必要がある。液体冷却材はポンプ18によって冷却ユニット5中へポンプ輸送される。冷却ユニット5中で、高温ストランド4から熱を導出し、その後、高温冷却材は冷却ユニットを去り、この熱を熱交換器19中で放出する。その後、低温冷却材は冷却材槽16中へ返送される。熱交換器19中の熱導出は、企業においてエネルギーのための費用を抑えるのに役立ち得る任意の場合において種々の事柄のために使用することができる。冷却材槽16並びに冷却系全体は、空気不含、殊に酸素不含である必要があり、これは、冷却材槽16及び冷却ユニット5を不活性ガス20でフラッシュすることにより保証される。不活性ガス20として、当業者に公知の全てのそのようなガスを使用することができるが、冷却材及びストランドの材料と接触する際に与えられる温度で不活性のままでなければならない。当然のことながら、貯蔵槽16及び冷却ユニット5において同一の不活性ガスを使用することが有利である。鋳造プラント全体は、更に、ストランド取り出しユニット25、及び、ストランド4を所定の長さの断片に切断するためのフライングソー26を含んでよい。
冷却ユニット5における定義されかつ再現可能な条件を得るために、温度のためのセンサー(TIC)21、22、流速のためのセンサー(FIC)23及び圧力のためのセンサー(PIC)24を、少なくとも冷却ユニット5中への冷却剤の入口の付近に設けることが有利である。当然のことながら、この系内に更に測定箇所を設けることは有利である。
本発明は、図示及び記載された実施態様に限定されない。
冷却材は、液体金属、例えば鉛、スズ、ビスマス、ガリウム、インジウム又はそれらの合金、並びに、鋳造材料の溶融点の60%以下である融点を有する金属又は合金であってよい。更に、非金属液体、即ち、該当する温度でストランドの材料と反応せず、かつ冷却処理に伴う全ての温度で液状のままである任意の液体媒体を使用することが可能である。これは、殊に低溶融合金のストランドのための幾つかの有機化合物であってよい。
貯蔵槽16を鋳型3よりも低い水準に配置することは不必要であるが、安全上の理由から、この配置が有利である。他の配置が設けられた場合、ポンプ18及び他の電機子は他の箇所に配置されねばならないが、これは当業者には何ら問題をもたらさない。
本発明の開示に与えられた、管、ポンプ18、電機子、センサー21、22、23、24、冷却装置5、管状熱交換器及び冷却材のための他の設備は、金属鋳造の当業者にとって容易に入手可能であり、鉄又は非鉄であってよい。
本発明の幾つかの付加的な特徴及び利点は以下の通りである:鋳造法は1つ以上の直接冷却工程を適用することができる。冷却材としての液体金属の使用は、所望の場合には、ストランド表面上への酸化物層の形成を妨げる。冷却材フィード温度及び冷却材の流速の調節により、冷却速度、及び従って粒状構造の形成を良好に制御することができる。断熱鋳型の使用、又はより正確には鋳型中での低い熱除去は、表面欠陥及び不均一な表層面層の形成を妨げる。連続鋳造法における直接冷却のための液体金属の使用により、冷却材として水を使用する慣用の方法から公知である爆発の危険性が排除される。これは鋳造工場での安全性を極めて大幅に向上させる。この連続鋳造法のために、潤滑剤は不要である。上記の処理型の1つを水平連続鋳造において適用することにより、インゴットの再加熱のためのエネルギー費用を抑えるための鋳造インゴットのインライン圧延が可能となる。この方法により、最適な処理パラメータ(冷却ユニットの種々の工程での冷却材温度)で操作した場合に高温裂け目及び低温裂け目が排除される。この方法は鋳造ストランドの形状又は平行な鋳造ストランドの数に関して制限を有しない。
既存のプラントを本発明に容易に適合させることができ、既存の水を用いる冷却系を排除し、新規の系に置き換えることができる。鋳型自体はほとんどいかなる適合をも必要とせず、鋳型の端部に凍結領域を設けることのみが必要であるに過ぎないため、最も良好には、断熱鋳型又は極めて短く冷却される鋳型を使用することができる。
本発明による鋳型の鉛直断面図。 本発明の他の実施態様の同様の図。 本発明の第三の実施態様の同様の図。 本発明の第四の実施態様の同様の図。 本発明の第五の実施態様の同様の図。 本発明の第六の実施態様の同様の図。 冷却系の主投影図。 ストランド冷却装置の主投影図。
符号の説明
1 溶融物、 2 タンディッシュ、 3 鋳型、 4 ストランド、 5 冷却ユニット、 6 冷却材分配ユニット、 6’ 冷却材分配ユニット、 7 ストランド洗浄ユニット、 8 冷却材、 9 冷却材収集ユニット、 10 ジェット、 11 ギャップ状室、 12 管、 13 冷却材収集ユニット、 14 冷却材膜、 15 収集ボックス、 16 冷却材槽、 17 加熱ユニット、 18 ポンプ、 19 熱交換器、 20 不活性ガス、 21 温度センサー、 22 温度センサー、 23 流速センサー、 24 圧力センサー、 25 ストランド取り出しユニット、 26 フライングソー

Claims (16)

  1. 液体金属又はイオン性液体をストランド(4)の直接冷却のための冷却材(8)として使用する、金属の連続鋳造法において、冷却材(8)を強制的に少なくとも1つのジェット(10)で乱流でストランドに向けることを特徴とする、金属の連続鋳造法。
  2. 冷却材(8)を、鉛、スズ、ビスマス、ガリウム、インジウム又はそれらの合金から成る群から選択する、請求項1記載の方法。
  3. 冷却材が、摂氏での鋳造材料の融点の60%以下である摂氏での融点を有する、請求項1又は2記載の方法。
  4. 少なくとも1つのジェット(10)を、ストランド(4)の表面と、ストランドを包囲する管(12)の内表面との間のギャップ状室(11)を満たす冷却材中に流入させる、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. 冷却材(8)を本質的にストランド(4)が移動する方向に流動させる、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
  6. ジェット(10)が円錐形の壁面ジェットの形を有し、かつそのレイノルズ数が少なくとも15000に達し、有利に25000を上回る、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  7. ジェット(10)が円形断面を有する複数の個々のジェットを含み、かつそのレイノルズ数が少なくとも5000に達する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  8. 酸素又は酸素含有ガス、有利に空気を、1つ以上のジェットがストランドに衝突する箇所の上流でストランドに供給する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
  9. 冷却媒体のための貯蔵槽(16)、加熱要素(17)及びポンプ(18)、貯蔵槽(16)とストランド(4)のための冷却装置(5)とを接続する管、及び場合により、冷却材を冷却装置(5)から貯蔵槽(16)へと搬送する管内に配置されている熱交換器(19)を有する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法のための装置において、冷却装置(5)が、冷却液を有利に鋳型出口の付近で直接ストランドに向ける少なくとも1つのノズルと、冷却材収集ユニット(9、13、15)とを含むことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法のための装置。
  10. 冷却装置(5)が管(12)を含み、前記の管(12)がそれぞれストランド(4)又はその経路の周囲に配置されており、かつ冷却材(8)で充填されているストランド(4)の周囲のギャップ状室を形成している、請求項9記載の装置。
  11. 少なくとも1つの冷却材分配ユニット(6)が、鋳型出口の付近に設けられており、少なくとも1つの冷却材分配ユニット(6)からある程度の距離でストランド(4)の移動方向に配置された管(12)と接続されており、かつ管(12)の上流端部に第二の冷却材分配ユニット(6’)を有する、請求項9又は10記載の装置。
  12. ストランド(4)の表面のための洗浄ユニット(7)が、有利に冷却装置(5)の外側に設けられている、請求項9から11までのいずれか1項記載の装置。
  13. 鋳型(3)が断熱鋳型である、請求項9から12までのいずれか1項記載の装置。
  14. ノズルがストランド(4)を包囲する環状スリットの形状を有する、請求項9から13までのいずれか1項記載の装置。
  15. 複数のノズルがストランド(4)を包囲する環状管路に沿って配置されている、請求項9から13までのいずれか1項記載の装置。
  16. 酸素又は酸素含有ガス、有利に空気のための入口が、鋳型出口と冷却材のための1つ以上のノズルとの間に設けられている、請求項9から14までのいずれか1項記載の装置。
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