JPH09122697A - 汚水濃縮機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 濃縮率を高くし、洗浄水の使用量を減少し、
汚水通路を設計する自由度を高くする。 【解決手段】 汚水Ｓ中の水が通過するスクリーン板１
を斜めに配置して、スクリーン板１の上を上端から下端
に汚水Ｓが流れる汚水通路２を形成し、一定時間毎にス
クリーン板１に洗浄水を噴射する装置１３を設けた汚水
濃縮機において、ブラシ８を汚水通路２にその横断方向
に沿って嵌合して汚水通路２を下る方向に移動可能に設
け、汚水通路２を下るブラシ８が汚水通路２を流下する
汚水Ｓをせき止めしつつスクリーン板１を掃く構成にし
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、汚水を傾斜スクリ
ーン板の上に流して汚水の水分を減少させる濃縮機に関
する。

【０００２】

【従来の技術】工場から排出される汚水は、凝集反応槽
で凝集剤を添加してフロックを生成させ、スクリュープ
レス型の脱水機でケーキと水に分離されるが、脱水機の
負荷を軽減するため、凝集剤を添加した汚水は、脱水機
に投入する前に、濃縮機で水分を減少させる。

【０００３】この種の濃縮機は、汚水中の水が通過する
フィルタのスクリーン板を斜めに配置し、スクリーン板
の上を上端から下端に汚水が流れる汚水通路を形成し、
汚水通路の上端入口の上に凝集反応槽の流出口を、汚水
通路の下端出口の下に脱水機の投入ホッパをそれぞれ配
置する構成にしている。汚水通路の下には、スクリーン
板を通過した水を集めて排出する排水室を設けている。
汚水通路の上には、スクリーン板を掃くブラシと、スク
リーン板に洗浄水を噴射する散水管を汚水通路に沿って
配置して汚水通路の横断方向に往復動可能に設けて、一
定時間毎に、ブラシと散水管を往復動させて散水管から
洗浄水を噴射させる掃除装置を設けている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な汚水濃縮機においては、汚水が傾斜スクリーン板の上
を自然流下するので、スクリーン板の傾斜は、汚水が流
れ落ちる角度でなければならない。

【０００５】スクリーン板の傾斜をきつくすると、汚水
がスクリーン板の上を流れる時間が短くなって、スクリ
ーン板を通過する水が少なくなり、濃縮率が高くならな
い。

【０００６】逆に、スクリーン板の傾斜を緩くすると、
汚水がスクリーン板の上を流れる時間が長くなって、ス
クリーン板を通過する水が多くなり、濃縮率が高くなる
が、汚水は、多量の水分が減少して流動性が悪くなると
共に、スクリーン板の傾斜が緩いので、スクリーン板の
上を流れ難くなって、スクリーン板の上に滞留してスク
リーン板の目を閉鎖する。従って、短時間でスクリーン
板が目詰まりし、目詰まりによって濃縮率が低くなる。
また、短時間で目詰まりするので、ブラシと散水管の掃
除装置を作動させる間隔が短くなって洗浄水の使用量が
増加する。

【０００７】結局、従来の汚水濃縮機においては、汚水
が自然流下するスクリーン板の傾斜角度は、水平面から
４５〜５０度位であって選択の範囲が狭く、濃縮率が高
くない。また、掃除装置の作動間隔は、１０分位であっ
て短く、洗浄水の使用量が多い。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、汚水中の水が
通過するスクリーン板を斜めに配置して、スクリーン板
の上を上端から下端に汚水が流れる汚水通路を形成した
汚水濃縮機において、また、更に、一定時間毎にスクリ
ーン板に洗浄水を噴射する装置を設けた汚水濃縮機にお
いて、ブラシを汚水通路にその横断方向に沿って嵌合し
て汚水通路を下る方向に移動可能に設け、汚水通路を下
るブラシが汚水通路を流下する汚水をせき止めしつつス
クリーン板を掃く構成にした。

【０００９】

【発明の効果】本発明においては、汚水通路を流下する
汚水は、汚水通路を下るブラシでせき止められつつ流下
するので、自然流下する従来の場合よりも、スクリーン
板の上を流れる時間が長くなって、スクリーン板を通過
する水が多くなり、濃縮率が高くなる。

【００１０】また、ブラシが常時スクリーン板を掃くの
で、スクリーン板が目詰まりし難く、目詰まりによる濃
縮率の低下が生じ難い。一定時間毎にスクリーン板に洗
浄水を噴射する装置を設けた場合は、その装置を作動さ
せる間隔が長くなって、または、その装置を作動させる
時間が短くなって、洗浄水の使用量が減少する。

【００１１】また、汚水が汚水通路を流下する速度を、
汚水通路を下るブラシで制御するので、スクリーン板の
傾斜角度を選択する範囲が広く、汚水通路を設計する自
由度が高い。

【００１２】

【発明の実施の形態】

＜第１例（図１〜図３参照）＞本例の汚水濃縮機は、図
１と図２に示すように、汚水中の水が通過するスクリー
ン板１を斜めに配置し、スクリーン板１の上を上端から
下端に汚水が流れる溝形状の汚水通路２を形成してい
る。

【００１３】スクリーン板１は、楔形状断面のワイヤ
を、汚水が流れる方向に沿って配置して、左右に隙間を
置いて並列し、汚水中の水がワイヤの間の隙間を通過す
るウェッジワイヤスクリーンである。スクリーン板１の
傾斜角度は、水平面から４０度である。

【００１４】汚水通路２の下には、図１に示すように、
スクリーン板１を通過した水を集めて排出する排水室３
を設けている。

【００１５】ブラシ装置は、図１と図２に示すように、
汚水通路２の左右の側壁の上に、スクリーン板１の上部
の上を横断する駆動軸４と、スクリーン板１の下部の上
を横断する従動軸５をそれぞれ軸受し、上下ないし前後
に並列した駆動軸４と従動軸５の軸受内側の左右位置に
それぞれ鎖車６を固定し、駆動軸４と従動軸５の左側の
鎖車６に無端の鎖７を、駆動軸４と従動軸５の右側の鎖
車６に無端の鎖７を、それぞれ、噛み合わせて掛け渡
し、左右の両鎖７にブラシ８の基板の基端側を固定して
左右方向に掛け渡し、両鎖７の外側に多数本のブラシ８
を等間隔位置に並列して突出している。

【００１６】両鎖７の下側に位置する複数本のブラシ８
は、図１と図２に示すように、それぞれ、汚水通路２に
その横断方向に沿って嵌合し、基板の先端側から突出し
た毛の先端がスクリーン板１に接触する。

【００１７】駆動軸４を図１に示す矢印方向に回転する
と、駆動軸４を回って鎖７の下側に達したブラシ８は、
スクリーン板１を掃きながら汚水通路２を下り、スクリ
ーン板１の下部に達すると、スクリーン板１から離れて
従動軸５を回って鎖７の上側に至る。

【００１８】ブラシ駆動装置は、図１と図２に示すよう
に、汚水通路２の左右の側壁の上に、汚水通路２とブラ
シ装置を跨ぐ門形状の取付枠９を固定し、取付枠９の天
板の一端部上に減速機付きの電動機１０を取り付け、電
動機１０の回転軸と駆動軸４の端を鎖伝動機構１１で連
結している。電動機１０を駆動すると、駆動軸４が図１
に示す矢印方向に回転する。

【００１９】洗浄水噴射装置は、図１と図２に示すよう
に、取付枠９の天板の一端部下に給水管１２を汚水通路
２に沿って固定し、給水管１２の複数個所にそれぞれ散
水管１３の基端を連通して固定し、ブラシ８とスクリー
ン板１に洗浄水を噴射する複数本の散水管１３を汚水通
路２の横断方向に沿って配置して並列している。

【００２０】給水管１２は、図示しないが、ポンプを介
して水源に接続している。ポンプを作動する電動機を分
単位の設定時間毎に秒単位の設定時間の間駆動する電気
制御回路を設けている。

【００２１】本例の汚水濃縮機において、凝集剤を添加
してフロックを生成させた汚水を、スクリュープレス型
の脱水機でケーキと水に分離する前に、濃縮する場合
は、図３に示すように、汚水通路２の上端入口の上に凝
集反応槽の流出口ａを配置し、汚水通路２の下端出口の
下に脱水機の投入ホッパｂを配置する。

【００２２】ブラシ駆動装置の電動機１０を駆動し、洗
浄水噴射装置の電気制御回路を作動し、フロックが生成
した汚水を凝集反応槽の流出口ａから汚水通路２の上端
入口に流す。

【００２３】すると、各ブラシ８は、順次、駆動軸４を
回って、汚水通路２の上部にその横断方向に沿って嵌合
し、スクリーン板１を掃きながら汚水通路２を下り、汚
水通路２の下部に達すると、スクリーン板１から離れて
汚水通路２を抜け出し、従動軸５を回る。一方、フロッ
クが生成した汚水Ｓは、図３に示すように、汚水通路２
の上端入口から下端出口に向って汚水通路２を流下する
が、汚水Ｓの自然流下速度より遅い速度でスクリーン板
１を掃きながら汚水通路２を下るブラシ８でせき止めさ
れつつ汚水通路２を流下する。

【００２４】スクリーン板１の上をブラシ８の移動速度
で流れる汚水Ｓは、その中の水がスクリーン板１を通過
して排水室３に流入し、水分が減少して汚水通路２の下
部に達した汚水Ｓは、その汚水Ｓをせき止めていたブラ
シ８がスクリーン板１から離れて汚水通路２を抜け出す
と、汚水通路２の下端出口から脱水機の投入ホッパｂに
落下する。

【００２５】洗浄水噴射装置の電気制御回路を作動して
から分単位の設定時間が経過する毎に、秒単位の設定時
間の間、各散水管１３から洗浄水を噴射してブラシ８と
スクリーン板１を洗浄し、洗浄水がスクリーン板１を通
過して排水室３に流入し、スクリーン板１の目詰まりを
除去する。

【００２６】本例の汚水濃縮機において、汚水通路２を
ブラシ８でせき止めされつつ流下する汚水Ｓが汚水通路
２を流れる時間は、１２秒位である。なお、汚水Ｓが汚
水通路２を自然流下する従来の場合は、１〜３秒位であ
る。従って、本例の汚水濃縮機においては、汚水Ｓがス
クリーン板１の上を流れる時間が長くなるので、スクリ
ーン板１を通過する水が多くなり、濃縮率が高くなる。

【００２７】また、洗浄水噴射装置が作動する間隔は、
９０分であり、洗浄水噴射装置が作動する時間は、１０
秒である。なお、ブラシ８がスクリーン板１を常時掃か
ない従来の場合は、１０分と１０秒である。従って、本
例の汚水濃縮機においては、洗浄水噴射装置が作動する
間隔が長くなるので、洗浄水の使用量が減少する。

【００２８】＜第２例（図４参照）＞本例の汚水濃縮機
は、図４に示すように、スクリーン板１の傾斜角度を前
例におけるのより半減して水平面から２０度にしたもの
である。その他の点は、排水室３の形状を除いて、前例
におけるのと同様である。

【００２９】本例の汚水濃縮機においては、スクリーン
板１の傾斜が緩いので、スクリーン板１を掃きながら汚
水通路２を下るブラシ８でせき止めされつつ汚水通路２
を流下する汚水Ｓは、図４に示すように、多量の水分が
減少して流動性が悪くなった部分がスクリーン板１の上
に滞留してせき止めていたブラシ８から離れるが、スク
リーン板１の上に滞留した汚水Ｓは、次のブラシ８に押
されてスクリーン板１の上を下り、脱水機の投入ホッパ
ｂに落下する。

【００３０】スクリーン板１の傾斜角度の大小に拘ら
ず、汚水Ｓが汚水通路２を流下する速度は、汚水通路２
を下るブラシ８で制御されるので、スクリーン板１の傾
斜角度を選択する範囲が広く、汚水通路２を設計する自
由度が高い。

【００３１】＜変形例＞ １）スクリーン板１は、多数の孔を開けたパンチングメ
タル、その他のスクリーンやフィルタにする。

【００３２】２）洗浄水噴射装置は、散水管１３をスク
リーン板１の下に配置して、スクリーン板１の下面に洗
浄水を噴射する構成にする。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態の第１例の汚水濃縮機の縦断
側面図。

【図２】図１のＡ−Ａ線断面図。

【図３】同例の汚水濃縮機の使用状態を示す縦断側面
図。

【図４】実施形態の第２例の汚水濃縮機の使用状態を示
す縦断側面図。

【符号の説明】

１ スクリーン板 ２ 汚水通路 ４ 駆動軸 ５ 従動軸 ６ 鎖車 ７ 無端の鎖 ８ ブラシ １２，１３ 洗浄水噴射装置 Ｓ 汚水

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 汚水中の水が通過するスクリーン板を斜
   めに配置して、スクリーン板の上を上端から下端に汚水
   が流れる汚水通路を形成した汚水濃縮機において、 ブラシを汚水通路にその横断方向に沿って嵌合して汚水
   通路を下る方向に移動可能に設け、汚水通路を下るブラ
   シが汚水通路を流下する汚水をせき止めしつつスクリー
   ン板を掃く構成にしたことを特徴とする汚水濃縮機。
2. 【請求項２】 一定時間毎にスクリーン板に洗浄水を噴
   射する装置を設けた請求項１に記載の汚水濃縮機。
3. 【請求項３】 請求項１または２に記載の汚水濃縮機に
   おいて、 汚水通路の左右の側壁の上に、スクリーン板の上部の上
   を横断する軸と、スクリーン板の下部の上を横断する軸
   をそれぞれ軸受し、両軸の左右位置にそれぞれ鎖車を固
   定し、両軸の左側の鎖車に無端の鎖を、両軸の右側の鎖
   車に無端の鎖をそれぞれ掛け渡し、左右の鎖にブラシの
   基端側を固定して左右方向に掛け渡し、両鎖の外側に複
   数本のブラシを間隔を置いて突出したことを特徴とする
   汚水濃縮機。