JPH09122471A - 排ガス処理に用いられるスラリー状中和剤用の高分子分散剤、該分散剤を含むスラリー状中和剤、および該中和剤を用いる排ガス処理法 - Google Patents

排ガス処理に用いられるスラリー状中和剤用の高分子分散剤、該分散剤を含むスラリー状中和剤、および該中和剤を用いる排ガス処理法

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JPH09122471A
JPH09122471A JP7287518A JP28751895A JPH09122471A JP H09122471 A JPH09122471 A JP H09122471A JP 7287518 A JP7287518 A JP 7287518A JP 28751895 A JP28751895 A JP 28751895A JP H09122471 A JPH09122471 A JP H09122471A
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slurry
exhaust gas
polymer
dispersant
calcium hydroxide
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JP7287518A
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Akihiko Yamashita
明彦 山下
Akihiko Kanzaki
明彦 神崎
Kazutomo Takahashi
和友 高橋
Hideyuki Tawara
秀行 田原
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 排ガス処理に用いられる水酸化カルシウム粒
子含有スラリー状中和剤を改質し、特に水酸化カルシウ
ム粒子の比表面積を増大すると共にスラリー粘度の増大
を抑え、排ガス除去効率を大幅に高め得る様な分散剤を
提供しようとすると共に、該分散剤を配合することによ
って排ガス除去効率の高められたスラリー状中和剤を提
供し、更には該スラリー状中和剤を使用することによっ
て排ガス中の酸性成分を効率よく除去することのできる
排ガス処理法を提供すること。 【解決手段】 分子中に酸性官能基を有する高分子化合
物、特にカルボキシル基含有モノマーとポリアルキレン
グリコールモノ(メタ)アクリレートを必須のモノマー
成分として含む高分子化合物からなる分散剤、及び該分
散剤と水酸化カルシウム粒子を含むスラリー状中和剤、
更には該中和剤を用いた排ガス処理法を開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ごみ焼却炉等から
排出される排ガス中の塩化水素等の酸性ガスを中和して
除去する際に用いられるスラリー状中和剤の分散に用い
られる高分子分散剤、および該分散剤を配合することに
より分散性の高められたスラリー状中和剤、更には、該
スラリー状中和剤を用いた排ガス処理法に関するもので
ある。この高分子分散剤は、上記スラリー中に酸性ガス
の中和成分として含まれるアルカリ土類金属水酸化物の
うち、特に水酸化カルシウム粒子の比表面積を高め、該
スラリーの分散安定性の向上とスラリー粘度の低減に寄
与し、ひいてはスラリー状中和剤のより効果的な活用を
可能にすると共に、排ガス処理効率の向上を図ることが
できる。
【0002】
【従来の技術】ごみ焼却炉等から発生する排ガス中の酸
性ガスを除去し排ガス公害を防止する方法として、水酸
化カルシウムに代表されるアルカリ土類金属水酸化物の
スラリーを中和剤として用いる方法が知られている。こ
のスラリー状中和剤は、スラリー中の粒子が大き過ぎる
と中和反応の効率が悪い上に、沈殿しケーキ状に固化し
たり或は処理システム内で目詰まりを起こす等の問題を
引き起こすことが指摘されている。そこで、機械粉砕に
よってスラリー中の粒子を小さくすることも試みられた
が、粉砕にかかる費用およびエネルギーの割りには、顕
著な効果は得られていない。しかも、スラリー中の粒子
が小さくなるとスラリー粘度が高まるためスラリー濃度
を低くしなければならず、排ガスとの接触効率が却って
低下するため、結局のところ排ガス処理効率の向上には
期待されるほどの効果が得られない。
【0003】また特開平6−277442号には、超音
波によりスラリー中の粒子を微粉砕して被処理排ガスに
噴霧する方法が開示されているが、高価な超音波発生設
備を必要とするので経済性に問題があり、しかも粉砕効
率向上のためスラリー流路を狭く設定しなければならな
いため、排ガス処理量の増大に対応し難いといった問題
を含んでいる。
【0004】更に他の改善法として特開平4−6191
1号公報には、スラリー中にアルキルベンゼンスルホン
酸などの低分子界面活性剤を少量含有させることによっ
て該スラリーを親油性とし、ダイオキシンの如き親油性
の有機塩素化合物の除去効率を高める方法が開示されて
いる。しかしながらこの方法は、排ガス中に含まれる有
機塩素化合物との親和性向上によって除去効率を高めよ
うとするものであり、スラリー自身の表面改質に主眼を
おくものであって、該スラリーに含まれる水酸化カルシ
ウム粒子を微細化して比表面積を増大し、中和反応効率
を高めようとする思想はなく、ましてや該微細化によっ
て生じてくるスラリー粘度の上昇を抑えるといった思想
は全く存在しない。しかも、スラリー中に上記の様な低
分子界面活性剤を配合すると、排ガス処理工程でスラリ
ーの発泡が起こり、操業安定性やハンドリング性を著し
く害するといった難点も生じてくる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に着目してなされたものであって、その目的は、排ガ
ス処理に用いられる水酸化カルシウム粒子含有スラリー
状中和剤を改質し、特に水酸化カルシウム粒子の比表面
積を増大すると共にスラリー粘度の増大を抑え、排ガス
除去効率を大幅に高め得る様な分散剤を提供しようとす
るものである。また本発明の他の目的は、該分散剤を配
合することによって排ガス除去効率の高められたスラリ
ー状中和剤を提供し、更には該スラリー状中和剤を使用
することによって排ガス中の酸性成分を効率よく除去す
ることのできる排ガス処理法を提供しようとするもので
ある。
【0006】
【課題を達成するための手段】上記課題を達成すること
のできた本発明に係る高分子分散剤とは、焼却炉排ガス
等に含まれる酸性ガスを除去するために使用される水酸
化カルシウム含有スラリー状中和剤に添加される分散剤
であって、分子中に酸性官能基を有する高分子化合物か
らなるところにその要旨が存在する。ここで用いられる
高分子化合物としては、分子量が1000以上、より好
ましくは2000以上のものが好ましく、また該高分子
化合物の中でも特に好ましいのは、酸性官能基としてカ
ルボキシル基含有モノマーを必須のモノマー成分として
含むアニオン性の高分子であり、中でもカルボキシル基
含有モノマーとポリアルキレングリコールモノ(メタ)
アクリレートを必須のモノマー成分として含む高分子
は、分散剤として優れた性能を発揮する。該高分子化合
物の中でもとりわけ好ましいのは、カルボキシル基含有
モノマーと下記一般式(1)で示されるポリアルキレン
グリコールモノ(メタ)アクリレートを必須のモノマー
成分として含む共重合体である。 (式中、R1 は水素またはメチル基、R2 は炭素数2〜
4のアルキレン基、R3 は水素または炭素数1〜5のア
ルキル基、nは2〜100の整数を表わす)
【0007】これらの高分子化合物を、上記スラリー状
中和剤中の水酸化カルシウムに対し好ましくは0.1〜
20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%含有さ
せると、水酸化カルシウム粒子に対して卓越した比表面
積拡大効果と該スラリー粘度の抑制効果が発揮され、中
和剤としての排ガス除去性能は非常に優れたものとな
る。また本発明に係る排ガス処理法は、除去性能の高め
られた上記スラリー状中和剤を、酸性ガスを含む排ガス
と接触させて該酸性ガスを除去するところにその要旨を
有している。
【0008】
【発明の実施の形態】上記の様に本発明に係る高分子分
散剤は、焼却炉排ガス等に含まれる塩酸等の酸性ガスを
除去するために使用される水酸化カルシウム含有スラリ
ー状中和剤の改質、具体的には該スラリー中の水酸化カ
ルシウム粒子の比表面積を拡大すると共に、該スラリー
の粘度上昇を抑えて高濃度化を可能にするものであり、
その構成は、分子中にカルボン酸、スルホン酸、りん酸
などの酸性官能基を有する高分子化合物(ホモポリマ
ー、コポリマー、ターポリマー等を包含する)からなる
ものであり、中でも特に好ましいのは、酸性官能基とし
て分子中にカルボン酸を有する分子量1000以上の高
分子化合物である。
【0009】これら酸性官能基を有する高分子化合物
を、水酸化カルシウム含有スラリー状中和剤に少量添加
することによって前述の様な優れた作用効果が発揮され
る理由は、必ずしも明確にされている訳ではないが、次
の様に考えている。
【0010】即ち上記スラリー中の水酸化カルシウム粒
子は沈降性であり、処理工程で沈降し易いと共に粒子同
士が相互に付着し合って2次凝集物を形成し易く、その
結果、水酸化カルシウム粒子の比表面積が小さくなって
排ガス中の酸性ガスと接触効率が下がり除去効率が低下
するものと考えられる。ところが、分子中に酸性官能基
を有する本発明の高分子分散剤をスラリー中へ適量含有
させると、該高分子分散剤中の酸性官能基がイオン結合
によってスラリー中の水酸化カルシウム粒子表面に付着
すると共に、高分子分散剤を構成する高分子の主鎖成分
が該粒子表面を取り囲む状態となり、その結果、水酸化
カルシウム粒子が相互に凝集するのが阻止され、排ガス
中の酸性ガスとの反応効率が高められるものと考えられ
る。しかも、水酸化カルシウム粒子の表面を取り囲む該
高分子化合物は、隣り合って存在する該粒子間で潤滑剤
的作用も発揮し、スラリー粘度の低下にも寄与している
ものと考えられる。その結果、同一スラリー濃度のもの
であれは、低粘度化によって排ガスとの接触効率が高め
られ、また高濃度のスラリーであればその粘度を低下さ
せることが可能となり、上記した比表面積拡大効果とも
相まって、排ガス中の酸性ガスの除去効率が著しく高め
られるものと考えている。
【0011】こうした作用を発揮する本発明の高分子分
散剤は、前述の如く分子中に酸性官能基を有する高分子
であり、酸性官能基としてはカルボン酸基、スルホン酸
基、りん酸基等が挙げられるが、それらの中でも特に好
ましいのはカルボン酸基を有する高分子であり、具体的
には(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イ
タコン酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸またはその
塩もしくはそれらの無水物をモノマー成分とするホモポ
リマーやコポリマー、それらの塩などが挙げられる。ま
た、スルホン酸基含有高分子としては、ビニルスルホン
酸、スチレンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリ
レート、(メタ)アリルスルホン酸、2−メチルプロパ
ンスルホン酸(メタ)アクリルアミド等やその塩をモノ
マー成分とするホモポリマーやコポリマー、それらの塩
など、更にはリグニンスルホン酸、トリアジンスルホン
酸ホルムアルデヒド縮合物、ポリエチレンスルホン酸、
ポリスチレンスルホン酸、β−ナフタレンスルホン酸ホ
ルムアルデヒド縮合物、メラミンスルホン酸ホルムアル
デヒド縮合物等やそれらの塩など、リン酸基含有高分子
としてはビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、2−ア
クリロイルオキシエチルホスフェート等やそれらの塩を
モノマー成分とするホモポリマーやコポリマー、それら
の塩など、更には、リン酸化ポリビニルアルコール、リ
ン酸セルロース、亜リン酸セルロース等やそれらの塩な
どが挙げられる。
【0012】また、上記の様な酸性官能基、とりわけカ
ルボン酸基を有するモノマーは、他の共重合性モノマー
との共重合物としても有効に使用することができ、該共
重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピ
ル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸
アルキル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチ
レン等のスチレン系モノマー;メチルビニルエーテル、
エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチ
ルビニルエーテル等のビニルエーテル;ヒドロキシエチ
ルおよびヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の
(メタ)アクリル酸とのヒドロキシアルキルエステル;
(メタ)アクリルアミド;N−メチルアクリルアミド等
のN−アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメ
チルアクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)ア
クリレート;アクリロニトリル;N−ビニルピロリド
ン;N−ビニルホルムアミド;ホスホエチルメタクリレ
ート;アリルおよびメタアリルアルコールやそのエステ
ルおよびエーテル;ビニルアセテート等が例示され、こ
れらは必要に応じて2種以上を併用することができる。
【0013】また、上記カルボン酸基含有モノマーと共
重合させることのできる好ましいモノマー成分として、
前記一般式(1)で示されるポリアルキレングリコール
モノ(メタ)アクリレートを挙げることができ、このも
のを共重合性モノマーとして併用すると、ポリアルキレ
ングリコール鎖が水酸化カルシウム粒子の相互付着を一
層効果的に抑制すると共に該粒子間の潤滑作用も一段と
高め、スラリーを構成する水酸化カルシウム粒子の比表
面積拡大効果とスラリー粘度低減効果は更に高められ
る。
【0014】上記ポリアルキレングリコールモノ(メ
タ)アクリレートの具体例としては、ポリエチレングリ
コール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコー
ル(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコール(メ
タ)アクリレート、メトキシポリブチレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコ
ールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリプロピレ
ングリコール(メタ)アクリレート、エトキシプロピレ
ングリコール(メタ)アクリレート等を挙げることがで
き、これらの1種もしくは2種以上を用いることができ
る。
【0015】本発明に係る好ましい高分子分散剤は、前
述の如くカルボン酸基を有するポリマーもしくはコポリ
マーであり、前述の諸効果が最も有効に発揮されるの
は、重量平均分子量で1×103 〜1×106 、より好
ましくは1×103 〜1×10 5 、更に好ましくは2×
103 〜1×105 のものであり、分子量が低過ぎても
大き過ぎても、上記の比表面積拡大効果とスラリー粘度
低減効果が発揮されにくくなる。特に分子量が大き過ぎ
る場合は凝集剤としての作用が生じて微分散による比表
面積拡大効果が極端に悪くなる傾向が生じてくるので注
意しなければならない。
【0016】また、カルボン酸基含有モノマーとの共重
合体を高分子分散剤として使用するときの該共重合性モ
ノマーの好ましい共重合比率は、共重合性モノマーの分
子量にもよるが、ポリマー中に占める重量比率で0.1
〜99%、より好ましくは1〜90%の範囲から選択す
ることが望ましい。
【0017】尚本発明の高分子分散剤として上記カルボ
ン酸基含有高分子を使用する場合、該高分子と共に前記
スルホン酸基含有高分子を適量併用すると、スラリー状
中和剤の分散性が一段と高められ、スラリーのケーキ状
固化を一層抑えることができるので好ましい。こうした
効果を有効に発揮させるうえで好ましいスルホン酸基含
有高分子の併用量は、カルボン酸基含有高分子に対して
1〜200重量%、より好ましくは10〜100重量%
の範囲である。
【0018】本発明のスラリー状中和剤は、上記高分子
分散剤と水酸化カルシウム粒子を含有するものであり、
通常は平均粒子径が1〜50μm程度、より一般的には
2〜20μm程度の水酸化カルシウム粒子の水性懸濁液
に、該懸濁液中の水酸化カルシウムに対して0.1〜2
0重量%程度、好ましくは0.1〜10重量%程度の高
分子分散剤を配合することによって調製される。
【0019】排ガス処理用として用いられる水酸化カル
シウム含有スラリー状中和剤の一般的な濃度は、水酸化
カルシウム含量で1〜10重量%程度であり、現実に実
用化されているのは、ハンドリング性を確保することの
必要上せいぜい5重量%程度が限度とされているが、本
発明では、上記高分子分散剤を適量含有させることによ
ってスラリー粘度をかなり下げることが可能であり、そ
の結果として、スラリー濃度を水酸化カルシウム含有量
で10〜30重量%程度にまで高めることが可能とな
る。しかも、添加された高分子分散剤の作用によりスラ
リー中の水酸化カルシウム粒子の沈降や凝集が抑えられ
て比表面積が拡大され、粘性低減効果とも相まって排ガ
ス中の酸性ガス成分との接触効率が飛躍的に高められ、
高い酸性ガス除去効果を得ることが可能となる。
【0020】このスラリー状中和剤を用いた排ガス処理
は、要は被処理排ガスを該スラリー状中和剤と接触させ
て酸性ガス成分を中和・吸収・除去し得る限りどの様な
方法を採用してもよく、例えば スラリー状中和剤を排ガス中に噴霧し、酸性ガスと接
触させると共に水分を蒸発させて中和塩を生成させ、未
反応物と共にバグフィルターや電気集塵装置へ送って除
去する方法、 スラリー状中和剤がシャワー状に散布されている洗浄
室内に排ガスを通過させて接触させる方法、 スラリー状中和剤を溜めた洗浄槽内に排ガスを吹き込
んで接触させる方法、などを採用することができる。
【0021】図1は本発明で採用される排ガス処理法を
例示するフロー図であり、焼却炉等の酸性ガス発生設備
1から排出される排ガスは反応室2へ導かれる。該反応
室2では、中和剤タンク3から送られる水酸化カルシウ
ム含有スラリー状中和剤が噴霧状で供給され、排ガス中
の酸性ガスは該中和剤により吸収・中和されると共に水
分は排ガス熱によって蒸発し、生成した中和塩と未反応
の中和剤は、バグフィルターや電気集塵機を備えた集塵
装置4へ送り、この部分で中和塩の最終除去を行なうと
共に、中和剤では除去できなかった塵埃などを除去した
後、煙突5から系外へ放出される。
【0022】尚、上記,等の方法で排ガスとの接触
を行なった場合は、反応室2の底部から排出される排液
中に未反応の水酸化カルシウムが多量に残存しているこ
とがあるので、この場合は図1に破線で示す如く中和剤
タンク3へ循環返送すればよく、このとき、場合によっ
ては循環返送路の途中に中和塩除去設備を付設し、中和
反応によって生成した中和塩を除去することも有効であ
る。
【0023】本発明はたとえば上記の様にして実施され
るが、その特徴は、水酸化カルシウム含有スラリー状中
和剤中に前述の高分子分散剤を含有させ、水酸化カルシ
ウム粒子の比表面積を拡大すると共にスラリー粘度を低
減して酸性ガスの除去効率を高めるところに特徴を有す
るものであり、こうした特徴を有効に生かし得る限り、
排ガス処理の具体的な方法や設備には一切制限がなく、
公知の方法や装置をそのまま若しくは適当に改造して採
用することができる。
【0024】また本発明では、酸性ガスの吸収・中和に
水酸化カルシウム含有スラリーを使用する際にその効果
が極めて有効に発揮されるが、場合によっては水酸化カ
ルシウムと共に少量の水酸化マグネシウム等を含むスラ
リー状中和剤の改質に用いることも有効である。
【0025】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明の構成および作
用効果をより具体的に説明するが、本発明はもとより下
記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記
の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施する
ことも勿論可能であり、それらは全て本発明の技術的範
囲に包含される。
【0026】実施例1〜18および比較例1〜4 平均粒子径20μmの水酸化カルシウムを20重量%
(比較例では10重量%)含有するスラリーに、表1,
2に示す分散剤(何れもナトリウム中和塩)を配合して
スラリー状中和剤を調製した。該スラリー状中和剤を調
製する際に、分散剤添加によるスラリー粘度の低減効果
を確認すると共に、該スラリー状中和剤を噴霧乾燥機に
よって乾燥し、乾燥粒子の比表面積をBET法によって
測定し、夫々の結果を表1,2に示した。
【0027】尚、スラリー粘度低下効果の有無は、○
(粘度低下効果あり)および×(粘度低下効果なし)と
して示した。また上記で得た各スラリー状中和剤を、前
記図1に示した排ガス処理設備における反応室内に噴霧
して排ガスと接触せしめ、次いでバグフィルターもしく
は電気集塵機に通して酸性ガスの除去を行なう。そして
排ガス中の酸性ガス除去率を、塩化水素ガス除去率で9
0%、硫黄酸化物ガス除去率で70%を確保するために
必要な水酸化カルシウムの等量比を求め、結果を表1,
2に併記した。尚、表1,2に示した高分子分散剤の構
成において、(メタ)アクリル酸との共重合性モノマー
として用いたモノマーA,B,Cは下記の通りである。
【0028】モノマーA:一般式(1)においてR1
メチル基、R2 =エチレン基、R3=メチル基、n=2
3(平均値):メトキシポリエチレングリコールモノメ
タクリレート。 モノマーB:一般式(1)においてR1 =メチル基、R
2 =エチレン基、R3=メチル基、n=9(平均値):
メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート。 モノマーC:一般式(1)においてR1 =メチル基、R
2 =プロピレン基、R 3 =水素、n=5(平均値):ポ
リプロピレングリコールモノメタクリレート。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】表1,2からも明らかである様に、本発明
で定める酸性官能基含有高分子化合物からなる分散剤
(実施例)は、無添加のものはもとより、従来の低分子
界面活性剤に比べて格段に優れた比表面積拡大効果を有
しており、また明らかなスラリー粘度低減効果が認めら
れる。こうした効果は、排ガス中の酸性ガス除去効率に
も明確に表われており、酸性ガスを同レベルにまで低減
するための所要水酸化カルシウム等量比を、従来例の5
0〜70%程度にまで減少できることが分かる。
【0032】中でも、(メタ)アクリル酸とポリアルキ
レングリコールモノ(メタ)アクリレートをモノマー成
分とする共重合体からなる分散剤(実施例7〜9,16
〜18)は、比表面積拡大効果および粘度低減効果にお
いて非常に優れた結果を示しており、酸性ガスの吸収除
去に要する水酸化カルシウム等量比を、従来例の約50
%に低減できる。尚、低分子界面活性剤を用いた比較例
2,4では、スラリー調製時に発泡が起こって操業性を
害することが確認された。
【0033】実施例19〜21 上記実施例1,4,8で用いたスラリー状中和剤に、ス
ルホン酸基含有高分子としてポリスチレンスルホン酸ナ
トリウム(分子量:20,000)を夫々1重量%配合
して中和剤とし(夫々を実施例19〜21とする)、該
スラリー状中和剤の分散安定性を調べた。
【0034】その結果、スルホン酸基含有高分子として
ポリスチレンスルホン酸ナトリウム無添加の中和剤で
は、1日の放置で底部にケーキ状の沈降物が生じ、十数
回の振とうでも再分散しにくかったが、ポリスチレンス
ルホン酸ナトリウムを添加した中和剤では1日放置して
も沈降物のケーキ状固化が起こらず、数回の振とうで簡
単に再分散し得ることが確認された。尚、該ポリスチレ
ンスルホン酸ナトリウムを併用した高分子分散剤を用い
たときの消石灰粉末の比表面積や所要消石灰等量比は、
前記各実施例1,4,8と殆んど変わらなかった。
【0035】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、排
ガス中の酸性ガスの吸収除去に用いられる水酸化カルシ
ウム粒子含有スラリー状中和剤の改質剤として、水酸化
カルシウム粒子の比表面積を拡大すると共にスラリー粘
度の上昇を効果的に抑えることができ、その結果として
排ガス処理効率を大幅に高めることができる。しかもこ
れら高分子分散剤の作用は、好ましくない発泡を招くこ
となくスラリー状中和剤の沈降安定性にも好結果をもた
らし、中和剤の沈降に伴う処理効率の低下やハンドリン
グ性の低下も抑えられ、優れた操業安定性の下で高レベ
ルの安定した排ガス処理を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る排ガス処理法を例示するフロー図
である。
【符号の説明】
1 酸性ガス発生設備 2 反応室 3 中和剤タンク 4 集塵装置 5 煙突
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田原 秀行 神奈川県川崎市川崎区千鳥町14−1 株式 会社日本触媒内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 焼却炉排ガス等に含まれる酸性ガスを除
    去するために使用される水酸化カルシウム含有スラリー
    状中和剤に添加される分散剤であって、分子中に酸性官
    能基を有する高分子化合物からなることを特徴とする排
    ガス処理用スラリー状中和剤の高分子分散剤。
  2. 【請求項2】 高分子化合物が、カルボキシル基含有モ
    ノマーとポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリ
    レートを必須のモノマー成分として含む高分子である請
    求項1に記載の高分子分散剤。
  3. 【請求項3】 ポリアルキレングリコールモノ(メタ)
    アクリレートが、下記一般式(1)で示されるものであ
    る請求項2に記載の高分子分散剤。 (式中、R1 は水素またはメチル基、R2 は炭素数2〜
    4のアルキレン基、R3 は水素または炭素数1〜5のア
    ルキル基、nは2〜100の整数を表わす)
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の高分子
    分散剤と水酸化カルシウム粒子を含有することを特徴と
    する排ガス処理用スラリー状中和剤。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のスラリー状中和剤を、
    酸性ガスを含む排ガスと接触させて該酸性ガスを除去す
    ることを特徴とする排ガス処理法。
JP7287518A 1995-11-06 1995-11-06 排ガス処理に用いられるスラリー状中和剤用の高分子分散剤、該分散剤を含むスラリー状中和剤、および該中和剤を用いる排ガス処理法 Withdrawn JPH09122471A (ja)

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