JPH09120705A - 照明用反射鏡およびその製造方法 - Google Patents

照明用反射鏡およびその製造方法

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JPH09120705A
JPH09120705A JP7279438A JP27943895A JPH09120705A JP H09120705 A JPH09120705 A JP H09120705A JP 7279438 A JP7279438 A JP 7279438A JP 27943895 A JP27943895 A JP 27943895A JP H09120705 A JPH09120705 A JP H09120705A
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展幸 宮川
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英司 香川
Hiroshi Fukushima
博司 福島
Takahiro Miyano
孝広 宮野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反射鏡として平滑化を目的とした樹脂の下地
層を必要とせず、且つ光を充分に反射する表面平滑性を
有する反射鏡を得る。 【解決手段】 凹曲面形状に形成したAlまたはAl合
金の基材1の内面の表面粗さが、中心線平均粗さRa≦
0.02μm、最大粗さRmax≦0.15μm(カッ
トオフ値:0.08mm)であるようにする。このよう
にすることでAlまたはAl合金の基材の内面の表面が
平滑で外観上も光沢があり、鏡面性を持つ正反射率の高
い反射鏡となる。またAlまたはAl合金の基材自体の
表面を反射面とすることにより反射鏡の耐熱温度をAl
またはAl合金の再結晶温度まで上げることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、照明器具用の反射
鏡、特に高反射率を必要とするものに用いる照明用反射
鏡およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】種々の照明器具の中でも、屋外スポーツ
照明、広場照明、道路照明、工場照明などの高輝度ラン
プを使用する照明器具や、スポットライト、ダウンライ
トなどの高効率を必要とする照明器具では、反射鏡の高
反射性能が要求される。さらに、ランプ輻射熱に対する
耐熱性、使用環境からの耐久性などの必要である。その
ために一般的な構成として、所定形状に成形された基材
1に図21に示すように平滑性を出すための樹脂の下地
層2を塗布して焼き付けし、次いで下地層2の上に高反
射率を出すために光輝性金属膜3を形成し、次いで光輝
性金属膜4の上に耐久性を向上させるために透明な保護
膜4を形成している。上記下地層2はビニルトリメトキ
シシランなどのモノマー、ポリマーから真空蒸着重合法
などの乾式法で形成している。光輝性金属膜3はAl,
Ag,Cr,Ni等である。保護膜4はSiO2 ,Ti
2 ,Al2 3 等である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】照明器具はその用途に
応じて種々の形態があるが、近年、高反射、高耐熱、高
耐久性の反射鏡の要求仕様がさらに高まり、特に高耐熱
化は、反射鏡自体の小型化、高効率化につながるために
望まれている。また高反射率を必要とする場合は、高輝
度、高出力ランプを使用する他、それを覆う部分の反射
を効率的に行う形状にする必要がある。そのため、反射
面の表面は平滑にし、拡散反射成分をできるだけ少なく
する必要がある。
【0004】従来、それ程、高反射率を必要としない照
明器具に対しては、成形加工後は、未処理又は簡易的な
化学研磨や電解研磨あるいはバフ研磨などを併用した処
理がなされたきたが、それだけでは十分な鏡面光沢のあ
る平滑表面を得ることができない。そこで、さらに高反
射を必要とする照明器具には、基材の上にさらに下地層
2としても樹脂層を塗布して、その表面張力による濡れ
性を利用して平滑性を出している。しかし樹脂層は、A
lなどの金属の基材1と比較して耐熱温度が低く、一般
に高耐熱性樹脂を使用しても300℃以下であり、ラン
プの高輝度化や高出力化、器具の小型化に伴う反射鏡の
温度上昇に十分に対応できない。また樹脂層の形成は一
般には塗布によるが、液たれや異物の巻き込みなどによ
り平滑性を損ねるという問題を発生したり、焼き付け工
程を必要とするなど、生産性としても不利な点がある。
【0005】また特開平3−245101号公報では、
樹脂層の形成方法として、一般的な塗布法でなく、乾式
の重合膜形成方法を採っているが、構成として樹脂を使
用していることに変わりなく、耐熱温度はその樹脂層に
より決まる。さらに反射膜として光輝性金属膜3を形成
する際、下地層2としての樹脂層の形成を安定して行う
ことができないことにより、金属層と樹脂層との間に充
分な密着力を得ることができず、耐久性に問題が出る。
また樹脂層自体の耐熱温度が充分な使用条件下であって
も金属部と樹脂部の線膨張係数の違いによる温度サイク
ルがかかると保護膜4も含めて各層でクラック破壊が発
生するという問題がある。
【0006】本発明は叙述の点に鑑みてなされたもので
あって、反射鏡として平滑化を目的とした樹脂の下地層
を必要とせず、且つ光を充分に反射する表面平滑性を有
する反射鏡を得ることを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決する手
段を述べる前に表面粗さと光学的鏡面光沢性について述
べる。まず、鏡面を示す表面形状は、その光の波長の1
/8以下であることが必要である。一般の照明器具とし
ては、可視光つまり380nmの波長を反射すればよ
く、その時の鏡面性を示す表面の凹凸は0.05〜0.
1μmとなる。この凹凸は波長より小さいある微小範囲
を見た場合の数値であり、その範囲における凹凸の深さ
レベルを示しており、面粗さ表示にすると最大粗さRm
axに相当する。しかし、Rmaxは部分的、偶発的に
存在する深いキズや凸部により定まる場合がある。従っ
て、最大粗さRmaxによる表示の他、その測定区間に
おける平均的な粗さを示す中心線平均粗さRaとの併用
により、鏡面光沢性を示す必要がある。このことは、
「表面研磨・仕上げ技術集成」(日経技術図書/高沢孝
哉編著)によると、光沢度を示す光学要素として、正反
射光成分と拡散反射光成分との比を表す対比光沢度はR
a,Rmaxなどと相関があることを述べており、鏡面
仕上げされた反射鏡の鏡面光沢度を示す方法として、R
a,Rmaxを採用することは妥当である。また面粗さ
を示すRa,Rmaxの値はJIS基準では最小の区分
に入るため、また反射鏡の性格上基材の形状が曲面であ
ることから、曲面の影響が最小であるようにカットオフ
値は最小区間の0.08mmとする。
【0008】上記課題を解決するため本発明の第1の特
徴である照明用反射鏡は、凹曲面形状に形成したAlま
たはAl合金の基材の内面の表面粗さが、中心線平均粗
さRa≦0.02μm、最大粗さRmax≦0.15μ
m(カットオフ値:0.08mm)であることを特徴と
する。この場合、AlまたはAl合金の基材の内面の表
面が平滑で外観上も光沢があり、鏡面性を持つ正反射率
の高い反射鏡となる。またAlまたはAl合金の基材自
体の表面を反射面とすることにより反射鏡の耐熱温度を
AlまたはAl合金の再結晶温度まで上げることがで
き、高耐熱性反射鏡として、高ワットランプの使用や器
具の小型化などの用途を広げることができる。
【0009】また本発明の第2の特徴である照明用反射
鏡は、凹曲面形状に形成したステンレス鋼の基材の内面
の表面粗さが、中心線平均粗さRa≦0.02μm、最
大粗さRmax≦0.15μm(カットオフ値:0.0
8mm)であることを特徴とする。この場合、ステンレ
ス鋼の基材の内面の表面が平滑で外観上も光沢があり、
鏡面性を持つ正反射率の高い反射鏡となる。またステン
レス鋼の基材自体の表面を反射面とすることにより反射
鏡の耐熱温度を上げることができ(Alの基材より上げ
ることができ)、高耐熱性反射鏡として、高ワットラン
プの使用や器具の小型化などの用途を広げることができ
る。
【0010】また本発明の第3の特徴である照明用反射
鏡は、上記第1の特徴や第2の特徴のような平滑な基材
の内面側の表面に直接保護膜を形成したことを特徴とす
る。この場合、保護膜を被覆することで鏡面化された基
材の金属光沢を長期間に亙って維持することができ、鏡
面光沢面を反射面とすることにより最も簡易な構造の反
射面の構造にできる。
【0011】また本発明の第4の特徴である照明用反射
鏡は、上記第1の特徴や第2の特徴のような平滑な基材
の内面側の表面上に光輝性金属膜を形成し、さらにその
上に保護膜を形成したことを特徴とする。この場合、光
輝性金属膜を形成することにより高純度の膜が得られ、
鏡面化した基材だけよりも高反射率を得ることができ
る。しかも保護膜を形成することにより光輝性金属膜の
反射率の劣化がない。
【0012】また本発明の第5の特徴である照明用反射
鏡の製造方法は、基材を凹曲面形状に成形する凹曲面加
工工程と、基材の内面側の表面を中心線平均粗さRa≦
0.03μm、最大粗さRmax≦0.3μm(カット
オフ値:0.08mm)まで鏡面加工する第1次鏡面加
工工程と、第1次鏡面加工した表面に砥粒による機械的
研磨と反応液による化学的研磨を同時に連続的に行う第
2次鏡面加工工程とを具備したことを特徴とする。基材
に凹曲面加工、第1次鏡面加工、第2次鏡面加工を施し
て平滑で反射率の高い反射鏡を形成することができる。
このとき第2次鏡面加工に入る前の基材の内面側の表面
の粗さがを中心線平均粗さRa≦0.03μm、最大粗
さRmax≦0.3μmであるので、第2次鏡面加工の
時間を短くできる。
【0013】また本発明の第6の特徴である照明用反射
鏡の製造方法は、基材を凹曲面形状に成形する凹曲面加
工工程と、基材の内面側の表面を中心線平均粗さRa≦
0.03μm、最大粗さRmax≦0.3μmまで鏡面
加工する第1次鏡面加工工程と、第1次鏡面加工した表
面に砥粒による機械的研磨と反応液による化学的研磨を
同時に連続的に行う第2次鏡面加工工程と、上記の鏡面
加工した表面に光輝性金属膜及び保護膜を形成する工程
を具備したことを特徴とする。この場合上記第5の特徴
の作用に加えて、光輝性金属膜を形成することで高反射
率の反射鏡を得ることができると共に保護膜を形成する
ことにより光輝性金属膜の反射率の劣化がない反射鏡を
得ることができる。しかも金属の基材に直接光輝性金属
膜を形成することで、その界面の密着力を向上し、昇温
時の耐久性を向上できる。
【0014】また本発明の第7の特徴である照明用反射
鏡の製造方法は、上記第5の特徴や第6の特徴におい
て、表面仕上げされた工具に基材を押し付けることによ
り基材全体を凹曲面形状に塑性変形させると共に基材の
表面層を塑性変形させて表面層の凸部を潰して凹部を埋
めるように加工して、凹曲面加工工程と第1次鏡面加工
工程を同時に行うことを特徴とする。この場合、基材の
凹曲面形状の成形と第1次鏡面加工を同時に行うことが
できて生産性を向上できる。
【0015】また本発明の第8の特徴である照明用反射
鏡の製造方法は、上記第5の特徴や第6の特徴におい
て、砥粒と反応液による第2次鏡面加工の工程終了直前
は、反応液のみによる研磨を行うことを特徴とする。こ
の場合、砥粒の付着を化学的研磨作用により除去するた
め、砥粒の効果的な除去ができ、また研磨も同時に行っ
ているので、さらに鏡面光沢性を向上できる。また研磨
後の洗浄も兼ねるので、洗浄工程の短縮(例えば、水洗
だけよいなど)できる。
【0016】また本発明の第9の特徴である照明用反射
鏡の製造方法は、上記第5の特徴や第6の特徴におい
て、砥粒を有する第1の加工液と反応液よりなる第2の
加工液の供給経路を分離し、鏡面加工仕上がり度合いに
より第1の加工液と第2の加工液の供給配分を調整する
ことを特徴とする。この場合、表面の凹凸状態(鏡面化
加工状態)により砥粒を有する第1の加工液と反応液よ
りなる第2の加工液の供給比をコントロールでき、機械
/化学研磨の効果を配分することができる。そのため、
より効率よく短時間で鏡面加工を行える。
【0017】また本発明の第10の特徴である照明用反
射鏡の製造方法は、上記第5の特徴や第6の特徴におい
て、被加工品を研磨する加工工具として砥粒や反応液を
含浸しやすい弾性体で形成したものを用い、加工工具を
被加工品と接触させて研磨作業を行うことを特徴とす
る。この場合、機械的研磨と化学的研磨を効率よく連続
的に行え、加工時間が短縮でき、さらに鏡面性をよくで
きる。
【0018】また本発明の第11の特徴である照明用反
射鏡の製造方法は、上記第10の特徴において、加工工
具と被加工品の接触圧力を検知部で検知し、この接触圧
力に応じて加工作用力を制御することを特徴とする。こ
の場合、加工工具が被加工物である基材に対して一定圧
もしくは、加重圧を調整できるようになり、形状や加工
速度、表面凹凸などにより機械的及び化学的な加工量の
調整を行える。
【0019】また本発明の第12の特徴である照明用反
射鏡の製造方法は、上記第5の特徴や第6の特徴におい
て、被加工品と加工工具とに、砥粒や反応液を介して電
界をかけることにより研磨作業を行うことを特徴とす
る。この場合、電界のかけ方により化学的研磨の制御を
行うことができる。また本発明の第13の特徴である照
明用反射鏡の製造方法は、上記第5の特徴や第6の特徴
において、砥粒を含んだ反応液に磁性体を入れ、外部か
ら回転磁場をかけることにより研磨を行うことを特徴と
する。この場合、加工工具として大きなツールを使用せ
ず、基材の周囲の磁場で間接的に移動することにより、
機械的研磨を促進できる。ツールとして小型または小粒
径の磁性体を使用することにより反射鏡のような3次元
形状をした基材に対しても形状に左右されずに第2次鏡
面加工ができる。
【0020】また本発明の第14の特徴である照明用反
射鏡の製造方法は、上記第5の特徴や第6の特徴におい
て、砥粒として保護膜と同材料を使用することを特徴と
する。基材表面に保護膜と同じ材料が核となって存在し
ているので、保護膜の形成の際、その核を介して基材と
保護膜との密着力を向上できる。さらに本発明の第15
の特徴である照明用反射鏡の製造方法は、上記第6の特
徴において、第2次鏡面加工された基材を酸化すること
により基材の酸化物を保護膜とすることを特徴とする。
この場合、保護膜の形成が最も容易にできると共に基材
と保護膜との密着性をよくできる。
【0021】
【発明の実施の形態】まず、第1の特徴に対応する実施
の形態について述べる。照明用反射鏡Aは、図1に示す
ようにAlまたはAl合金の基材1を凹曲面形状に形成
し、凹曲面状にした基材1の内面側の表面を、表面粗さ
が、中心線平均粗さRa≦0.02μm、最大粗さRm
ax≦0.15μm(カットオフ値:0.08mm)の
内面平滑面5にしたものであり、その内面中心部付近に
配置された光源6からの光を反射させるものである。図
1(b)で7は基材1の外面である。中心線平均粗さR
aは0.02μm以下であるが、望ましくは0.005
〜0.01μmである。また最大粗さRmaxは0.1
5μm以下であるが、望ましくは0.05〜0.1μm
である。
【0022】ところで、AlまたはAl合金の基材1
は、その後の成形加工性の良さから反射板材として一般
に使用されているが、成形後の表面は凹凸が大きく、高
反射鏡として使用することができない。Alの電解研磨
あるいは化学研磨を行い、凹凸を削るかまたは埋めるこ
とを行っているが、その表面粗さはRaで0.05μm
以上、Rmaxで0.3μm以上であり、高反射鏡とは
言いがたく、外観ではうねりやざらつきがある。そこで
本発明では後述するようにバフ研磨のような研磨を行う
第1次鏡面加工により基材1の内面側の表面の粗さを中
心線平均粗さRa≦0.03μm、最大粗さRmax≦
0.3μmとし、次いで砥粒による機械的研磨と反応液
による化学的研磨を同時に連続的に行う第2次鏡面加工
により内面平滑面5の表面粗さを中心線平均粗さRa≦
0.02μm、最大粗さRmax≦0.15μmになる
ようにした。
【0023】上記のように凹曲面内面の内面平滑面5の
表面粗さを、中心線平均粗さRa≦0.02μm(望ま
しくは0.005〜0.01μm)、最大粗さRmax
≦0.15μm(望ましくは0.05〜0.1μm)と
したことにより、外観上も光沢があり、鏡面性を持つ正
反射率の高い反射鏡となる。またAlまたはAl合金の
基材1自体の表面を反射面とすることにより反射鏡の耐
熱温度をAlまたはAl合金の再結晶温度まで上げるこ
とができ、高耐熱性反射鏡として、高ワットランプの使
用や器具の小型化などの用途を広げることができる。
【0024】次に第2の特徴に対応する実施の形態につ
いて述べる。照明用反射鏡Aは、ステンレス鋼の基材1
を凹曲面形状に形成し、凹曲面状にした基材1の内面側
の表面を、表面粗さが、中心線平均粗さRa≦0.02
μm、最大粗さRmax≦0.15μm(カットオフ
値:0.08mm)の内面平滑面5にしたものであり、
その内面中心部付近に配置された光源6からの光を反射
させるものである。中心線平均粗さRaは0.02μm
以下であるが、望ましくは0.005〜0.01μmで
ある。また最大粗さRmaxは0.15μm以下である
が、望ましくは0.05〜0.1μmである。
【0025】このようにステンレス鋼を基材1とする照
明用反射鏡Aの場合も、バフ研磨のような研磨を行う第
1次鏡面加工により基材1の内面側の表面の粗さを中心
線平均粗さRa≦0.03μm、最大粗さRmax≦
0.3μmとし、次いで砥粒による機械的研磨と反応液
による化学的研磨を同時に連続的に行う第2次鏡面加工
により内面平滑面5の表面粗さを中心線平均粗さRa≦
0.02μm、最大粗さRmax≦0.15μmになる
ようにする。
【0026】上記のようにステンレス鋼の基材1の凹曲
面内面の内面平滑面5の表面粗さを、中心線平均粗さR
a≦0.02μm(望ましくは0.005〜0.01μ
m)、最大粗さRmax≦0.15μm(望ましくは
0.05〜0.1μm)としたことにより、外観上も光
沢があり、鏡面性を持つ正反射率の高い反射鏡となる。
またステンレス鋼よりなる基材1は成形性、使用環境に
より組成比、調質などの条件を選ぶ必要があるが、一般
にAlの基材より耐熱温度は高く、より高耐熱反射鏡を
得ることができ、高ワットランプの使用や器具の小型化
などの用途を広げることができる。
【0027】次に第3の特徴に対応する実施の形態につ
いて述べる。上記の実施の形態のようにAlまたはAl
合金やステンレス鋼の基材1の内面側の表面を鏡面加工
処理して表面粗さが中心線平均粗さRa≦0.02μ
m、最大粗さRmax≦0.15μm(カットオフ値:
0.08mm)の内面平滑面5を形成し、この内面平滑
面5に図2に示すように保護膜4を形成している。この
保護膜4には、SiO2 ,Al2 3 ,TiO2 ,Mg
2 ,ZrO2 などの無機質膜、アクリル、シリコン系
などの有機膜がある。
【0028】ところで、鏡面加工した直後は、基材1の
内面平滑面5は活性な状態にあるため、時間と共に安定
な膜を作るが、その置かれている環境や、基材1の組成
により、白濁などの反射特性に対する弊害がでるために
耐久性に問題がある。しかし本発明の場合、内面平滑面
5に保護膜4を被覆しているために鏡面化された基材1
の金属光沢を長期間に亙って維持することができ、鏡面
光沢面を反射面とすることにより最も簡易な構造の反射
面の構造にできる(他の表面処理を必要としない。な
お、第3の特徴については、後述する実施例1または実
施例2で具体的に述べる。
【0029】次に第4の特徴に対応する実施の形態につ
いて述べる。上記の実施の形態のようにAlまたはAl
合金やステンレス鋼の基材1の内面側の表面を鏡面加工
処理して表面粗さが中心線平均粗さRa≦0.02μ
m、最大粗さRmax≦0.15μm(カットオフ値:
0.08mm)の内面平滑面5を形成し、図3に示すよ
うに内面平滑面5に光輝性金属膜3を形成し、さらに光
輝性金属膜3の上に保護膜4を形成している。この光輝
性金属膜4を形成する光輝性金属としては、Al,A
g,Cr,Ni,Pd,Pt,Auなどがあるが、コス
トや反射率の点からAlまたはAgが望ましい。また光
輝性金属膜3は真空蒸着法などのPVD法で形成する。
また保護膜4には、SiO2 ,Al2 3 ,TiO2
MgF2 ,ZrO2 などの無機質膜、アクリル、シリコ
ン系などの有機膜がある。
【0030】上記のよう光輝性金属膜3を形成すること
により高純度の膜が得られ、鏡面化した基材1だけより
も高反射率を得ることができる。また光輝性金属膜3を
形成する材料を選択することにより、任意の波長域に反
射特性のある反射鏡ができる。また真空蒸着法などのP
VD法で作られた薄膜は基材1の表面に沿って形成され
るので、外観上の鏡面光沢性も阻害されるおそれがな
い。さらに保護膜4を形成することにより光輝性金属膜
3の反射率の劣化がない。なお、第4の特徴については
後述する実施例3で具体的に述べる次に本発明の第5の
特徴に対応する実施の形態について述べる。
【0031】図4に示すように基材1を凹曲面形状に成
形する凹曲面加工工程と、基材1の内面側の表面を鏡面
加工する第1次鏡面加工工程と、第1次鏡面加工した表
面を鏡面加工する第2次鏡面加工工程と、保護膜形成工
程とを経て照明用反射鏡Aを製造するようになってい
る。凹曲面加工工程と第1次鏡面加工工程では基材1を
凹曲面に成形すると共に第1次鏡面加工をして表面粗さ
を、中心線平均粗さRa≦0.03μm、最大粗さRm
ax≦0.3μmになるようにする。この凹曲面加工工
程と第1次鏡面加工工程は後述第6の特徴や実施例2の
ように同時に行っても、後述の実施例1のように別々に
行っても(凹曲面形状に成形加工した後、バフ研磨等で
第1次鏡面加工する)よい。第2次鏡面加工工程では砥
粒による機械的研磨と反応液による化学的研磨を同時に
連続的に行い、鏡面光沢性を出す。このとき用いる砥粒
としては、Al2 3 ,SiO2 ,MgO,Ce
2 3 ,Cr2 3 ,Fe2 3 ,SiC,SnO2
どがあり、反応液としては、HNO 3 ,H2 SO4 ,H
3 PO4 ,Al(NO3 3 ・9H2 O,Al2 (SO
4 3 ,HFNaOH,アルカリ水溶液等がある。この
ように第2次鏡面加工を施すことより、表面粗さが、中
心線平均粗さRa≦0.02μm、最大粗さRmax≦
0.15μmとなる。また透明な保護膜4にはSi
2 ,Al2 3 ,TiO 2 ,MgF2 ,ZrO2 ,I
2 3 などの無機質膜、アクリル、シリコン系などの
有機膜がある。
【0032】ところで、機械的な研磨だけでは、砥粒径
が小さくてもその表面はその接触した軌跡により細かい
キズとなって残り、平均的な粗さとしては小さくても凹
凸の大きな部分ができるので、最大粗さが大きくなり、
結果的に十分な鏡面光沢が得られない。一方、化学的な
研磨だけでは、鋭い凹凸が丸められるが、緩やかな凹凸
が残り、平均的な粗さは小さくならず、結果的に十分な
鏡面光沢が得られない。そこで本発明では第2次鏡面加
工で、機械的研磨と化学的研磨の両作用を同時的に連続
的に行うことにより、全体として凹凸部の平滑化が実現
できる。また本発明では第2次鏡面加工工程に入る前段
階の表面状態が、中心線平均粗さRa≦0.03μm、
最大粗さRmax≦0.3μmであることにより、第2
次鏡面加工工程による鏡面光沢化の時間を短くでき(生
産実現可能レベル)、また逆に短時間加工における鏡面
加工レベルを高くできる。また保護膜4の形成により、
研磨されて活性化されたAl等の基材1の表面を外部環
境から保護できて耐久性を向上できる。なお、この第5
の特徴については後述する実施例1や実施例2により具
体的に述べる。
【0033】次に本発明の第6の特徴の実施の形態につ
いて述べる。図5に示すように基材1を凹曲面形状に成
形する凹曲面加工工程と、基材1の内面側の表面を鏡面
加工する第1次鏡面加工工程と、第1次鏡面加工した表
面を鏡面加工する第2次鏡面加工工程と、光輝性金属膜
形成工程と、保護膜形成工程とを経て照明用反射鏡Aを
製造するようになっている。凹曲面加工工程と第1次鏡
面加工工程では基材1を凹曲面に成形すると共に第1次
鏡面加工をして表面粗さを、中心線平均粗さRa≦0.
03μm、最大粗さRmax≦0.3μmになるように
する。この凹曲面加工工程と第1次鏡面加工工程は同時
に行っても、別々に行ってもよい。第2次鏡面加工工程
では砥粒による機械的研磨と反応液による化学的研磨を
同時に連続的に行い、鏡面光沢性を出す。このとき用い
る砥粒としては、Al2 3 ,SiO2 ,MgO,Ce
2 3 ,Cr2 3 ,Fe2 3,SiC,SnO2
どがあり、反応液としては、HNO3 ,H2 SO4 ,H
3PO4 ,Al(NO3 3 ・9H2 O,Al2 (SO
4 3 ,HFNaOH,アルカリ水溶液等がある。この
ように第2次鏡面加工を施すことより、表面粗さが、中
心線平均粗さRa≦0.02μm、最大粗さRmax≦
0.15μmとなる。また光輝性金属膜3を形成する光
輝性金属としてはAl,Ag,Cr,Ni,Pd,P
t,Auが用いられる。この光輝性金属はコストや反射
率からAlまたはAgが望ましいが、その基材1の反射
率より高い反射率を持つ材料もしくは照明器具として必
要とされる波長域に反射分光特性の特徴を持つ材料を選
択すればよい。光輝性金属膜3は真空蒸着法、イオンプ
レーティング、スパッタなどのPVD法で形成される。
透明な保護膜4にはSiO2 ,Al2 3 ,TiO2
MgF2 ,ZrO2 ,In2 3 などの無機質膜、アク
リル、シリコン系などの有機膜がある。
【0034】ところで、光輝性金属膜を反射面とした照
明用反射鏡は従来よりあるが、その構成は、樹脂やガラ
スを基材としていたり、基材が金属であってもその表層
に樹脂の塗膜があり、光輝性金属膜との相性が良くな
く、密着力不足の問題が発生する。樹脂層はそれ自体の
耐熱温度が低く、金属膜あるいはその上層の保護膜とは
線膨張係数が異なるので、昇温に対する耐久性が低い。
しかし、本発明では、上記のように金属の基材1に直接
光輝性金属膜を形成することで、その界面の密着力を向
上し、昇温時の耐久性を向上できる。なお、この第6の
特徴については後述の実施例3により具体的に説明す
る。
【0035】次に本発明の第7の特徴の実施の形態につ
いて述べる。本実施の形態は基材1を凹曲面形状に成形
する凹曲面加工工程と、基材1の内面側の表面を鏡面加
工する第1次鏡面加工工程とを同時に行うものである。
つまり、表面仕上げされた工具に基材1を押し付けるこ
とにより基材1全体を凹曲面形状の塑性変形させると共
に及び基材1の表面層を塑性変形させて表面層の凸部を
潰して凹部を埋めるように加工して、凹曲面加工工程と
第1次鏡面加工工程を同時に行うものである。
【0036】図6は上記加工の具体的な一例を示すもの
である。炭素鋼など形成されて表面を鏡面仕上げした凸
形状鏡面金型8は金型保持台9に設けてあり、凸形状鏡
面金型8を必要に応じて中心軸を中心に回転駆動するよ
うにしてある。そして樹脂、繊維などで形成せるローラ
10を用いて基材1を凸形状鏡面金型8に押し付ける
(金型に沿って一定の圧力で押し付ける)ことにより、
基材1を凸形状鏡面金型8に沿った凹曲面形状に形成す
ると同時に、第1次鏡面化レベルまで表面の凹凸を平滑
化する。この時、第1次鏡面加工の鏡面化レベルとして
中心線平均粗さRa≦0.03μm、最大粗さRmax
≦0.3μmまで鏡面化する。
【0037】図7は上記加工の具体的な他例を示すもの
である。本例の場合、金型保持台9に凹形状金型11を
配置してあり、凹形状金型11は必要に応じて中心軸を
中心に回転駆動するようにしてある。そしてダイヤモン
ド、超硬合金などの表面を平滑にしたローラ12の表面
を基材1の表面に押し付ける(平板の基材1からこの時
に成形してもよいし、既に凹曲面形状に形成された基材
1の表面のみを加工してもよい)ことにより、凹形状金
型11に沿った凹曲面形状に形成すると同時に、第1次
鏡面化レベルまで表面の凹凸を平滑化する。この時も、
第1次鏡面加工の鏡面化レベルとして中心線平均粗さR
a≦0.03μm、最大粗さRmax≦0.3μmまで
鏡面化する。上記のようにして基材1の凹曲面形状の成
形と第1次鏡面加工工程とを同時に行うと、生産性を向
上できる。なお、この第7の特徴については後述の実施
例3により具体的に述べる。
【0038】次に本発明の第8の特徴の実施の形態につ
いて述べる。本実施の形態の場合、上述の第2次鏡面加
工工程において、砥粒と反応液による第2次鏡面加工の
工程終了直前は、反応液のみによる研磨を行うものであ
る。つまり、図8に示すように第2次鏡面加工工程にお
いて、機械的研磨の作用をする砥粒の供給と、化学的研
磨の作用をする反応液の供給を加工工程中に下記のよう
に調整する。
【0039】 初期 :反応液+砥粒(化学的研磨と機械的研磨) 鏡面化終了:砥粒供給停止、反応液のみ供給(化学的作
用中心の研磨を行う) 仕上げ終了:反応液供給停止 上記加工を行う砥粒としては、Al2 3 ,SiO2
MgO,Ce2 3 ,Cr2 3 ,Fe2 3 ,Si
C,SnO2 などがあり、また反応液としては、HNO
3 ,H2 SO4 ,H3 PO4 ,Al(NO3 3 ・9H
2 O,Al2 (SO4 3 ,HFNaOH,アルカリ水
溶液等がある。
【0040】ところで、砥粒を使用した研磨では、研磨
後も基材1の表面に砥粒の残留があり、種々の洗浄にお
いても除去しきれない。この砥粒の残留は、直接加工品
の品質に影響する他、後工程としてさらに表面処理を行
う場合、異物の付着として悪影響を及す。しかし本発明
では砥粒の付着を化学的研磨作用により除去するので、
より効果的な除去ができ、また研磨も同時に行っている
ので、さらに鏡面光沢性は向上できる。また研磨後の洗
浄も兼ねるので、洗浄工程の短縮(例えば、水洗だけで
よいなど)できる。この第8の特徴については後述の実
施例1でも具体的に述べる。
【0041】次に本発明の第9の特徴の実施の形態につ
いて述べる。これは第2次鏡面加工工程において、砥粒
を有する第1の加工液13と反応液よりなる第2の加工
液14の供給経路を分離し、鏡面加工仕上がり度合いに
より第1の加工液13と第2の加工液14の供給配分を
調整するものである。図9で15は電源、16は制御
部、17は回転駆動部、18は上下動駆動部、19は上
下動圧力検知部、20は加工工具、21は基材回転用駆
動部、22は流量調整バルブである。電源15は駆動部
17,18や制御部16に電源を供給するものである。
制御部16は回転駆動部17の回転数/トルクをコント
ロールし、また上下動圧力検知部19からの信号により
上下動駆動部18の動きを制御し、さらに第1の加工液
13と第2の加工液14の流量を調整するように制御す
るようになっている。回転駆動部17は加工工具20を
回転駆動するものであり、上下動駆動部18は加工工具
20を上下に駆動するものである。上下動圧力検知部1
9は加工工具(工具の動作部)20と基材1との間の圧
力を検知するものである。加工工具20は第1,第2の
加工液13,14を介して基材1の鏡面加工をするもの
であって、材質は発泡ウレタン、スポンジ、化学繊維、
人工皮革などの弾性体である。加工工具20の形状は基
材1に接触できればどのような構造でもよい。基材回転
用駆動部21は基材1を回転駆動するものである。流量
調整バルブ22は別経路で供給される第1の加工液13
と第2の加工液14とを任意に流量調整するものであ
る。
【0042】しかして基材回転用駆動部21で基材1を
回転駆動し、回転駆動部17で加工工具20を回転駆動
すると共に上下動駆動部18で加工工具20を上下動さ
せ、第1の加工液13と第2の加工液14とを別経路で
適宜に流量を調整して供給することで、研磨して第2次
鏡面加工を行う。この研磨中は鏡面加工仕上がりに応じ
て機械的研磨または化学的研磨の効果を分配するため
に、砥粒を有する第1の加工液13と反応液よりなる第
2の加工液14の供給量を調整する。鏡面仕上がりによ
る調整は、研磨時間の調整または実測(例えば光学的な
測定)により行う。上記のように本発明では表面の凹凸
状態(鏡面化加工状態)により砥粒を有する第1の加工
液13と反応液よりなる第2の加工液14の供給比をコ
ントロールでき、機械/化学研磨の効果を配分すること
ができる。そのため、より効率よく短時間で鏡面加工を
行える。なお、この第9の特徴についても後述の実施例
1で具体的に述べる。
【0043】次に本発明の第10の特徴の実施の形態に
ついて述べる。第2次鏡面加工工程において、被加工品
である基材1を研磨する加工工具20として砥粒や反応
液を含有しやすい弾性体で形成したものを用い、加工工
具20と基材1とを接触させて研磨作業を行うようにな
っている。全体的な装置の構造は上記図9に示すものと
同じであり、図10に示すように回転駆動部17や上下
動駆動部18で駆動される駆動軸23の先端に加工工具
20を取り付けてある。24は砥粒を有する第1の加工
液13を供給する第1供給管、25は反応液よりなる第
2の加工液14を供給する第2供給管である。本実施の
形態の場合、加工工具20として砥粒や反応液を含有し
やすい弾性体を用い、回転等の力を加えることにより、
基材1と接触させ、砥粒と反応液を介して研磨をする。
加工工具20を構成する弾性体としては発泡ウレタン、
スポンジ、化学繊維、人工皮革などがある。加工工具2
0の形状としては、基材1と接触すればよく、基材1に
ならう形状または部分的に基材1と接触する形状であれ
ばよい。上記のように研磨を行うと、機械的研磨と化学
的研磨を効率よく連続的に行え、加工時間が短縮でき、
さらに鏡面性をよくできる。なお、この第10の特徴に
ついても後述の実施例1で具体的に述べる。
【0044】次に本発明の第11の特徴の実施の形態に
ついて述べる。第2次鏡面加工工程において、加工工具
20と被加工品である基材1の接触圧力を検知部で検知
し、この接触圧力に応じて加工作用力を制御するように
なっている。この場合、全体的な構造は上記図9に示す
ものと同じであり、要部は図11に示すように構成され
ている。第2次鏡面加工工程おいて、加工工具20が基
材1と接触する接触圧力を検知するように圧力センサー
26やトルク検知部などの検知部を設け、そこからの信
号により加圧作用圧力を制御するようになっている。圧
力センサー26では加工工具20と基材1との接触圧力
を検知し、これに基づいて加工工具20の基材1に対す
る上下動を制御するようになっている。トルク検知部で
は加工工具20の回転抵抗になどを検知し、加工工具2
0の基材1に対する回転数やトルクを制御するようにな
っている。上記のように加工を行うことにより、加工工
具20が被加工物である基材1に対して一定圧もしく
は、加重圧を調整できるようになり、形状や加工速度、
表面凹凸などにより機械的及び化学的な加工量の調整を
行える。なお、この第11の特徴についても後述の実施
例1で具体的に述べる。
【0045】次に本発明の第12の特徴の実施の形態に
ついて述べる。第2次鏡面加工工程において、被加工品
である基材1と加工工具20とに、砥粒や反応液を介し
て電界をかけることにより研磨作業を行うものである。
この場合、図12に示すように加工工具20と基材1と
の間に直流電源27から直流電圧を印加できるようにな
っている。砥粒と反応液とよりなる加工液33を加工液
供給管28から供給できるようになっている。加工工具
20は金属などの導電体よりなる電極材料で形成されて
いる。この場合、加工工具20の表面は上述せる弾性体
にて覆われていてもよい。また加工工具20の形状は基
材1形状に近い程よい。また加工工具20は回転駆動さ
れたり、上下駆動されたりしてもよい。加工液は砥粒と
加工液(電解液)よりなるものであり、砥粒としてはA
2 3 ,SiO2 ,MgO,Ce2 3 ,Cr
2 3 ,Fe2 3 ,SiC,SnO2 などがあり、ま
た反応液としてはHNO3 ,H2 SO4 ,H3 PO4
Al(NO 3 3 ・9H2 O,Al2 (SO4 3 ,H
FNaOH,アルカリ水溶液等がある。しかして基材1
と加工工具20との間に電界をかけて加工液を電解し、
電気化学的反応により基材1の溶出を促進させて研磨で
きる。さらに加工工具20を機械的に動かすことにより
砥粒による機械的な研磨を行う。このようにすること
で、電界のかけ方により化学的研磨の制御を、加工工具
20の回転あるは上下動により機械的研磨の制御を効率
よく同時に行うことができ、第2次鏡面加工工程として
制御性に優れ有効なものである。なお、この第12の特
徴についても後述の実施例3で具体的に述べる。
【0046】次に本発明の第13の特徴の実施の形態に
ついて述べる。第2次鏡面加工工程において、砥粒を含
んだ反応液に磁性体を入れ、外部から回転磁場をかける
ことにより研磨を行うものである。この場合、加工液供
給管28から基材1に供給する加工液に磁性体を含ませ
てある。つまり、加工液が砥粒、反応液+磁性体となっ
ている。反応液に磁性体を含ませる仕方としては、砥粒
が磁性体であるか、または磁性体を含んだ砥粒である
か、または加工液とは別に磁性体の固形加工工具29を
入れてもよい。しかして図13に示す基材1に加工液を
供給しながら、基材1の周囲に配置した磁石30を回転
するか、または磁石30はそのまで基材1を回転させ
て、化学的、機械的研磨をする。この場合、加工工具と
して大きなツールを使用せず、基材1の周囲の磁場で間
接的に移動することにより、機械的研磨を促進できる。
ツールとして小型または小粒径の磁性体を使用すること
により反射鏡のような3次元形状をした基材1に対して
も形状に左右されずに第2次鏡面加工ができる。なお、
この第13の特徴についても後述の実施例2で具体的に
述べる。
【0047】次に本発明の第14の特徴の実施の形態に
ついて述べる。第1次または第2次鏡面加工工程におい
て、研磨に使用する砥粒31として保護膜4と同材料を
使用するものである。例えば、図14(a)示すように
砥粒31としてAl2 3 砥粒を用いた場合、保護膜4
としてAl2 3 膜を形成し、図14(b)のようにS
iO2 砥粒を用いた場合、保護膜4としてSiO2 膜を
形成する。鏡面加工工程後、保護膜4形成までに洗浄工
程で洗浄を行うが、砥粒31は完全には洗浄されず、強
固に密着しているものだけが残留するが、保護膜4とし
て砥粒31と同材料のものを使用すると残留する砥粒3
1が弊害とならないと共に砥粒31を核として保護膜4
の密着性が向上する。この場合、基材1上に直接保護膜
4が形成される場合だけでなく、光輝性金属膜3を形成
した後に保護膜4を形成する場合でも、光輝性金属膜3
は砥粒31の径より薄いので同様の効果が得られる。上
記のように加工することで基材1表面に保護膜4と同じ
材料が核となって存在しているので、保護膜4の形成の
際、その核を介して基材1と保護膜4との密着力を向上
できる。なお、この第14の特徴についても後述の実施
例3で具体的に述べる。
【0048】次に本発明の第15の特徴の実施の形態に
ついて述べる。第2次鏡面加工された基材1を酸化する
ことにより基材1の酸化物を保護膜4とする。基材1に
第2次鏡面加工された後、保護膜を形成する工程におい
て、鏡面化された鏡面の内面平滑面5を図15に示すよ
うに酸化性雰囲気32にさらすことにより強制的に酸化
させて保護膜4とする。このとき酸化処理としては、酸
素プラズマ処理、熱酸化処理、化学酸化処理、陽極酸化
処理などある。酸化性雰囲気32としては例えばO2
ラズマがあり、このとの条件としては例えば、O 2 :5
0sccm、プラズマパワー:300W、照射時間:2
0minがある。上記のように保護膜4を形成すると、
保護膜4の形成が最も容易にできる(薄膜形成装置、塗
料塗布装置などが不要である。)と共に基材1と保護膜
4との密着性をよくできる。なお、この第15の特徴に
ついても後述の実施例2で具体的に述べる。
【0049】
【実施例】以下、本発明を実施例と比較例とによりさら
に詳述する。 (実施例1)実施例1では図16に示すような工程で加
工をした。まず、基材として、純度99.7%のAl基
材を用意し、これを成形加工で液圧成形で凹曲面形状の
反射鏡形状に形成した。成形後の内面の表面粗さは、R
aは0.05〜0.2μmでRmaxは0.1〜1μm
程度であった。次に内面を第1次鏡面加工工程で鏡面加
工するが、内面をバフにより研磨することにより行っ
た。バフ研磨は、液圧成形後の表面粗さまたはうねりに
より、硬いバフ材料、粗い砥粒を使用するが、麻バフと
粒径3μm程度の砥粒を初期に使用し、続いて綿バフと
粒径1μm程度の砥粒により研磨した。研磨後、表面粗
さがRaで0.03μm、Rmaxで0.3μmになる
ように仕上げた。その後、基材を純水で超音波洗浄した
(バフ研磨による砥粒の残留を除去した)。次に第2次
鏡面加工工程で下記の条件で鏡面加工を行った。加工液
として、砥粒は平均粒径0.06μmのAl2 3 粒子
を用い、反応液として硝酸アルミニウム水溶液を用い
た。研磨を行う加工工具として、発泡ウレタンで覆った
工具を用い回転させながら上下に移動させた。そしてこ
れにより、加工液を介して基材と工具を接触させて基材
の内面の平滑化を行った。このとき、基材と研磨する加
工工具との間の接触圧力を一定に保ち、基材の反射面を
均一に平滑化するために、加工工具には圧力センサを備
えており、上下動及び回転の圧力制御を行った。また第
2次鏡面加工工程の前半は、研磨剤として砥粒と反応液
を同時に供給して平滑化を行い、目標の表面粗さに達す
ると、砥粒の供給のみを停止して、反応液のみを供給し
た。研磨する加工工具の動作は引き続いて行った。これ
により反射鏡の内面の表面粗さはRaで0.01μm、
Rmaxで0.08μmとなった。研磨後、反射鏡の基
材の表面にSiO2 の保護膜を蒸着法により形成した
(研磨後のAl基材表面は、活性状態であり時間と共に
自然酸化膜が形成されるが、場合によっては白濁し反射
率の低下を招くために保護膜を形成する)。
【0050】(実施例2)実施例2では図17に示すよ
うな工程で加工をした。まず、基材として、純度99.
7%のAl基材を用意し、これを成形加工でへら絞り成
形して凹曲面形状の反射鏡形状に形成した。成形後の内
面の表面粗さは、Raは0.08〜0.3μmでRma
xは0.1〜1μm程度であった。これを第1次鏡面加
工工程で化学研磨にて鏡面加工した。このとき、リン酸
及び硝酸の混合水溶液により化学研磨を行った。この加
工後、表面粗さがRaで0.03μm、Rmax0.3
μmになるように仕上げた。次いで第2次鏡面加工工程
で下記の条件にて鏡面加工を行った。加工液として、砥
粒は平均粒径0.03μmのSiO2 粒子を用い、さら
に磁性体として粒径0.05μmのFe粉を用い、さら
に反応液として硝酸アルミニウム水溶液を用いた。また
基材の周囲に磁石を配置し、磁場が凹曲面形状の基材の
表面に沿うように回転させた。そして加工液を基材に供
給することにより、加工液中の磁性体とともに砥粒が移
動して研磨が行われた。このとき反射鏡の内面の表面粗
さがRaで0.01μm、Rmaxで0.1μmとなっ
た。研磨後、反射鏡の基材の表面にO2 プラズマを20
分間照射した。これにより基材表面に酸化層が形成され
て保護膜となった。
【0051】(実施例3)実施例3では図18に示すよ
うな工程で加工をした。まず、基材として、SUS30
4を用意し、これを成形加工において液圧成形で凹曲面
形状の反射鏡形状に形成した。成形後の内面の表面粗さ
は、Raは0.05〜0.18μmでRmaxは0.1
〜0.9μm程度であった。次いで第1次鏡面加工工程
で、基材を外型の金型に嵌め、内面をローラで押し付け
加工した。ローラとしては表面を平滑仕上げした超硬ま
たはダイヤモンドツールを用い、適度な荷重をかけて金
型に押し付けて表面を塑性加工した。加工後の表面粗さ
はRaで0.03μm、Rmaxで0.3μmなるまで
仕上げた。次いで第2次鏡面加工工程で下記の条件にて
鏡面加工を行った。加工液として、砥粒は平均粒径とし
て0.06μmのSiO2 粒子を用い、反応液として硝
酸アルミニウムを用いた。研磨する加工工具として、基
材の凹曲面形状に沿った形状の電極を用い、研磨中に回
転させた。基材と加工工具との間には基材側が陽極とな
るように直流電源を接続し、加工液を介して電圧を印加
し、その際の電流値を制御することにより、電気化学的
研磨を行うと同時に、加工工具を回転させて砥粒による
機械的研磨を行った。これにより反射鏡内面の表面粗さ
は、Raで0.008μm、Rmaxで0.07μmと
なった。ついで鏡面加工された基材の表面に、0.3μ
m厚のAl膜をスパッタリング法により形成した。研磨
後、基材の表面にSiO2 の保護膜を1.0μmの厚さ
になるようにCVD法により形成した。
【0052】(比較例1)比較例1では図19に示すよ
うな工程で加工した。基材として、純度99.7%のA
l基材を用意し、これを成形加工でへら絞り成形して凹
曲面形状の反射鏡形状に形成した。成形後の内面の表面
粗さは、Raは0.05〜0.18μmでRmaxは
0.2〜0.9μm程度であった。これに1次鏡面加工
として塗料塗布のアンダーコートを施した。このアンダ
ーコートとしてはアクリル系塗料を約20μmの厚さに
塗布し、焼き付け乾燥した。次いでアンダーコートを施
した表面にAlを約0.3μmの厚さに真空蒸着法で成
膜した。そしてその上にSiO 2 を約1.0μmの厚さ
になるように真空蒸着法にて成膜した。なお、後述の表
1の表面粗さRa:0.008μm、Rmax:0.0
6μmはアンダーコートをした面の表面粗さのデータで
ある。
【0053】(比較例2)比較例2では図20に示すよ
うな工程で加工した。基材として、純度99.7%のA
l基材を用意し、これを成形加工でへら絞り成形して凹
曲面形状の反射鏡形状に形成した。成形後の内面の表面
粗さは、Raは0.05〜0.18μmでRmaxは
0.2〜0.9μm程度であった。これに1次鏡面加工
として化学研磨をした。化学研磨はリン酸−硝酸系液に
て行った。研磨後の表面粗さは、Raで0.029μ
m、Rmaxで0.19μmであった。研磨後、SiO
2 を約1.0μm厚さになるように真空蒸着法で成膜し
た。
【0054】上記のような実施例1〜3と比較例1,2
の光学特性や表面粗さや耐熱性を測定したところ表1の
ような結果を得た。この表1からわかるように比較例1
では耐熱性で、比較例2では表面粗さ、鏡面光沢性で特
性の劣るものとなった。
【0055】
【表1】
【0056】上記の結果より実施例1〜3はいずれも比
較例2の製造方法では得られなかった比較例1と同等の
鏡面光沢性を示し、照明器具として十分は配光を得た。
耐熱性も実施例1〜3のいずれもの構成や製造方法いお
いても300℃で異常なしであり、樹脂のアンダーコー
トをした比較例1より高耐熱性を示した。
【0057】
【発明の効果】本発明の請求項1の照明用反射鏡は、凹
曲面形状に形成したAlまたはAl合金の基材の内面の
表面粗さが、中心線平均粗さRa≦0.02μm、最大
粗さRmax≦0.15μmであるので、AlまたはA
l合金の基材の内面の表面が平滑で外観上も光沢があ
り、鏡面性を持つ正反射率の高い反射鏡となるものであ
り、またAlまたはAl合金の基材自体の表面を反射面
とすることにより反射鏡の耐熱温度をAlまたはAl合
金の再結晶温度まで上げることができ、高耐熱性反射鏡
として、高ワットランプの使用や器具の小型化などの用
途を広げることができるものである。
【0058】また本発明の請求項2の照明用反射鏡は、
凹曲面形状に形成したステンレス鋼の基材の内面の表面
粗さが、中心線平均粗さRa≦0.02μm、最大粗さ
Rmax≦0.15μmであるので、ステンレス鋼の基
材の内面の表面が平滑で外観上も光沢があり、鏡面性を
持つ正反射率の高い反射鏡となるものであり、またステ
ンレス鋼の基材自体の表面を反射面とすることにより反
射鏡の耐熱温度を上げることができ(Alの基材より上
げることができ)、高耐熱性反射鏡として、高ワットラ
ンプの使用や器具の小型化などの用途を広げることがで
きるものである。
【0059】また本発明の請求項3の照明用反射鏡は、
請求項1や請求項2のような平滑な基材の内面側の表面
に直接保護膜を形成したので、保護膜を被覆することで
鏡面化された基材の金属光沢を長期間に亙って維持する
ことができ、鏡面光沢面を反射面とすることにより最も
簡易な構造の反射面の構造にできるものである。また本
発明の請求項4の照明用反射鏡は、請求項1や請求項2
のような平滑な基材の内面側の表面上に光輝性金属膜を
形成し、さらにその上に保護膜を形成したので、光輝性
金属膜を形成することにより高純度の膜が得られ、鏡面
化した基材だけよりも高反射率を得ることができるもの
であり、しかも保護膜を形成することにより光輝性金属
膜の反射率の劣化がないようにできるものである。
【0060】また本発明の請求項5の照明用反射鏡の製
造方法は、基材を凹曲面形状に成形する凹曲面加工工程
と、基材の内面側の表面を中心線平均粗さRa≦0.0
3μm、最大粗さRmax≦0.3μmまで鏡面加工す
る第1次鏡面加工工程と、第1次鏡面加工した表面に砥
粒による機械的研磨と反応液による化学的研磨を同時に
連続的に行う第2次鏡面加工工程とを具備したので、基
材に凹曲面加工、第1次鏡面加工、第2次鏡面加工を施
して平滑で反射率の高い反射鏡を形成することができる
ものであり、しかも第2次鏡面加工に入る前の基材の内
面側の表面の粗さが中心線平均粗さRa≦0.03μ
m、最大粗さRmax≦0.3μmであるので、第2次
鏡面加工の時間を短くできるものである。
【0061】また本発明の請求項6の照明用反射鏡の製
造方法は、基材を凹曲面形状に成形する凹曲面加工工程
と、基材の内面側の表面を中心線平均粗さRa≦0.0
3μm、最大粗さRmax≦0.3μmまで鏡面加工す
る第1次鏡面加工工程と、第1次鏡面加工した表面に砥
粒による機械的研磨と反応液による化学的研磨を同時に
連続的に行う第2次鏡面加工工程と、上記の鏡面加工し
た表面に光輝性金属膜及び保護膜を形成する工程を具備
したので、上記請求項5の効果に加え、光輝性金属膜を
形成することで高反射率の反射鏡を得ることができると
共に保護膜を形成することにより光輝性金属膜の反射率
の劣化がない反射鏡を得ることができるものであり、し
かも金属の基材に直接光輝性金属膜を形成することで、
その界面の密着力を向上し、昇温時の耐久性を向上でき
るものである。
【0062】また本発明の請求項7の照明用反射鏡の製
造方法は、請求項5や請求項6において、表面仕上げさ
れた工具に基材を押し付けることにより基材全体を凹曲
面形状に塑性変形させると共に基材の表面層を塑性変形
させて表面層の凸部を潰して凹部を埋めるように加工し
て、凹曲面加工工程と第1次鏡面加工工程を同時に行う
ので、基材の凹曲面形状の成形と第1次鏡面加工を同時
に行うことができて生産性を向上できるものである。
【0063】また本発明の請求項8の照明用反射鏡の製
造方法は、上記請求項5や請求項6において、砥粒と反
応液による第2次鏡面加工の工程終了直前は、反応液の
みによる研磨を行うので、砥粒の付着を化学的研磨作用
により除去するため、砥粒の効果的な除去ができるもの
であり、また研磨も同時に行っているので、さらに鏡面
光沢性を向上できるものであり、さらに研磨後の洗浄も
兼ねるので、洗浄工程の短縮(例えば、水洗だけよいな
ど)できるものである。
【0064】また本発明の請求項9の照明用反射鏡の製
造方法は、上記請求項5や請求項6において、砥粒を有
する第1の加工液と反応液よりなる第2の加工液の供給
経路を分離し、鏡面加工仕上がり度合いにより第1の加
工液と第2の加工液の供給配分を調整するので、表面の
凹凸状態(鏡面化加工状態)により砥粒を有する第1の
加工液と反応液よりなる第2の加工液の供給比をコント
ロールでき、機械/化学研磨の効果を配分することがで
き、より効率よく短時間で鏡面加工を行えるものであ
る。
【0065】また本発明の請求項10の照明用反射鏡の
製造方法は、上記請求項5や請求項6において、被加工
品を研磨する加工工具として砥粒や反応液を含浸しやす
い弾性体で形成したものを用い、加工工具を被加工品と
接触させて研磨作業を行うので、機械的研磨と化学的研
磨を効率よく連続的に行え、加工時間が短縮でき、さら
に鏡面性をよくできるものである。。
【0066】また本発明の請求項11の照明用反射鏡の
製造方法は、上記請求項10において、加工工具と被加
工品の接触圧力を検知部で検知し、この接触圧力に応じ
て加工作用力を制御するので、加工工具が被加工物であ
る基材に対して一定圧もしくは、加重圧を調整できるよ
うになり、形状や加工速度、表面凹凸などにより機械的
及び化学的な加工量の調整を行えるものである。
【0067】また本発明の請求項12の照明用反射鏡の
製造方法は、上記請求項5や請求項6において、被加工
品と加工工具とに、砥粒や反応液を介して電界をかける
ことにより研磨作業を行うので、電界のかけ方により化
学的研磨の制御を行うことができるものである。また本
発明の請求項13の照明用反射鏡の製造方法は、上記請
求項5や請求項6において、砥粒を含んだ反応液に磁性
体を入れ、外部から回転磁場をかけることにより研磨を
行うので、加工工具として大きなツールを使用せず、基
材の周囲の磁場で間接的に移動することにより、機械的
研磨を促進できるものであり、またツールとして小型ま
たは小粒径の磁性体を使用することにより反射鏡のよう
な3次元形状をした基材に対しても形状に左右されずに
第2次鏡面加工ができるものである。
【0068】また本発明の請求項14の照明用反射鏡の
製造方法は、上記請求項5や請求項6において、砥粒と
して保護膜と同材料を使用するので、基材表面に保護膜
と同じ材料が核となって存在しているので、保護膜の形
成の際、その核を介して基材と保護膜との密着力を向上
できるものである。さらに本発明の請求項15の照明用
反射鏡の製造方法は、上記請求項6において、第2次鏡
面加工された基材を酸化することにより基材の酸化物を
保護膜とするので、保護膜の形成が最も容易にできると
共に基材と保護膜との密着性をよくできるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1や第2の特徴の実施の形態を説明
する図であって、(a)は照明用反射鏡全体を示す斜視
図、(b)は(a)のX部拡大断面図である。
【図2】同上の第3の特徴の実施の形態を説明する要部
の拡大断面図である。
【図3】同上の第4の特徴の実施の形態を説明する要部
の拡大断面図である。
【図4】同上の第5の特徴の実施の形態を説明する工程
説明図である。
【図5】同上の第6の特徴の実施の形態を説明する工程
説明図である。
【図6】同上の第7の特徴の実施の形態の一例を説明す
る図であって、(a)は基材を金型に押し付ける前の状
態の斜視図、(b)は基材の成形途中の斜視図である。
【図7】同上の第7の特徴の実施の形態の他例を説明す
る斜視図である。
【図8】同上の第8の特徴の実施の形態の砥粒と反応液
の供給状態の説明図である。
【図9】同上の第9の特徴の実施の形態で用いる装置の
概略図である。
【図10】同上の第10の特徴の実施の形態で用いる装
置の斜視図である。
【図11】同上の第11の特徴の実施の形態で用いる装
置の斜視図である。
【図12】同上の第12の特徴の実施の形態で用いる装
置を示し、(a)は概略斜視図、(b)は概略断面図で
ある。
【図13】同上の第13の特徴の実施の形態で用いる装
置の斜視図である。
【図14】(a)(b)は同上の第14の特徴の実施の
形態を説明する断面図である。
【図15】同上の第15の特徴の実施の形態を説明する
説明図である。
【図16】実施例1の工程説明図である。
【図17】実施例2の工程説明図である。
【図18】実施例3の工程説明図である。
【図19】比較例1の工程説明図である。
【図20】比較例2の工程説明図である。
【図21】従来例の構成を説明する断面図である。
【符号の説明】
A 照明用反射鏡 1 基材 3 光輝性金属膜 4 保護膜 5 内面平滑面 8 凸形状金型 10 ローラ 11 凹形状金型 12 ローラ 13 第1の加工液 14 第2の加工液 16 制御部 17 回転駆動部 18 上下動駆動部 20 加工工具 22 流量調整バルブ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年12月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決する手
段を述べる前に表面粗さと光学的鏡面光沢性について述
べる。まず、鏡面を示す表面形状は、その光の波長の1
/8以下であることが必要である。一般の照明器具とし
ては、可視光の波長を反射すればよく、その時の鏡面性
を示す表面の凹凸は0.05〜0.1μmとなる。この
凹凸は波長より小さいある微小範囲を見た場合の数値で
あり、その範囲における凹凸の深さレベルを示してお
り、面粗さ表示にすると最大粗さRmaxに相当する。
しかし、Rmaxは部分的、偶発的に存在する深いキズ
や凸部により定まる場合がある。従って、最大粗さRm
axによる表示の他、その測定区間における平均的な粗
さを示す中心線平均粗さRaとの併用により、鏡面光沢
性を示す必要がある。このことは、「表面研磨・仕上げ
技術集成」(日経技術図書/高沢孝哉編著)によると、
光沢度を示す光学要素として、正反射光成分と拡散反射
光成分との比を表す対比光沢度はRa,Rmaxなどと
相関があることを述べており、鏡面仕上げされた反射鏡
の鏡面光沢度を示す方法として、Ra,Rmaxを採用
することは妥当である。また面粗さを示すRa,Rma
xの値はJIS基準では最小の区分に入るため、また反
射鏡の性格上基材の形状が曲面であることから、曲面の
影響が最小であるようにカットオフ値は最小区間の0.
08mmとする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正内容】
【0056】上記の結果より実施例1〜3はいずれも比
較例2の製造方法では得られなかった比較例1と同等の
鏡面光沢性を示し、照明器具として十分配光を得た。
耐熱性も実施例1〜3のいずれもの構成や製造方法いお
いても300℃で異常なしであり、樹脂のアンダーコー
トをした比較例1より高耐熱性を示した。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正内容】
【0065】また本発明の請求項10の照明用反射鏡の
製造方法は、上記請求項5や請求項6において、被加工
品を研磨する加工工具として砥粒や反応液を含浸しやす
い弾性体で形成したものを用い、加工工具を被加工品と
接触させて研磨作業を行うので、機械的研磨と化学的研
磨を効率よく連続的に行え、加工時間が短縮でき、さら
に鏡面性をよくできるものである
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮野 孝広 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 凹曲面形状に形成したAlまたはAl合
    金の基材の内面の表面粗さが、中心線平均粗さRa≦
    0.02μm、最大粗さRmax≦0.15μmである
    ことを特徴とする照明用反射鏡。
  2. 【請求項2】 凹曲面形状に形成したステンレス鋼の基
    材の内面の表面粗さが、中心線平均粗さRa≦0.02
    μm、最大粗さRmax≦0.15μmであることを特
    徴とする照明用反射鏡。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2のような平滑な
    基材の内面側の表面に直接保護膜を形成したことを特徴
    とする照明用反射鏡。
  4. 【請求項4】 請求項1または請求項2のような平滑な
    基材の内面側の表面上に光輝性金属膜を形成し、さらに
    その上に保護膜を形成したことを特徴とする照明用反射
    鏡。
  5. 【請求項5】 基材を凹曲面形状に成形する凹曲面加工
    工程と、基材の内面側の表面を中心線平均粗さRa≦
    0.03μm、最大粗さRmax≦0.3μmまで鏡面
    加工する第1次鏡面加工工程と、第1次鏡面加工した表
    面に砥粒による機械的研磨と反応液による化学的研磨を
    同時に連続的に行う第2次鏡面加工工程とを具備したこ
    とを特徴とする照明用反射鏡の製造方法。
  6. 【請求項6】 基材を凹曲面形状に成形する凹曲面加工
    工程と、基材の内面側の表面を中心線平均粗さRa≦
    0.03μm、最大粗さRmax≦0.3μmまで鏡面
    加工する第1次鏡面加工工程と、第1次鏡面加工した表
    面に砥粒による機械的研磨と反応液による化学的研磨を
    同時に連続的に行う第2次鏡面加工工程と、上記の鏡面
    加工した表面に光輝性金属膜及び保護膜を形成する工程
    を具備したことを特徴とする照明用反射鏡の製造方法。
  7. 【請求項7】 表面仕上げされた工具に基材を押し付け
    ることにより基材全体を凹曲面形状に塑性変形させると
    共に基材の表面層を塑性変形させて表面層の凸部を潰し
    て凹部を埋めるように加工して、凹曲面加工工程と第1
    次鏡面加工工程を同時に行うことを特徴とする請求項5
    または請求項6記載の照明用反射鏡の製造方法。
  8. 【請求項8】 砥粒と反応液による第2次鏡面加工の工
    程終了直前は、反応液のみによる研磨を行うことを特徴
    とする請求項5または請求項6記載の照明用反射鏡の製
    造方法。
  9. 【請求項9】 砥粒を有する第1の加工液と反応液より
    なる第2の加工液の供給経路を分離し、鏡面加工仕上が
    り度合いにより第1の加工液と第2の加工液の供給配分
    を調整することを特徴とする請求項5または請求項6記
    載の照明用反射鏡の製造方法。
  10. 【請求項10】 被加工品を研磨する加工工具として砥
    粒や反応液を含浸しやすい弾性体で形成したものを用
    い、加工工具を被加工品と接触させて研磨作業を行うこ
    とを特徴とする請求項5または請求項6記載の照明用反
    射鏡の製造方法。
  11. 【請求項11】 加工工具と被加工品の接触圧力を検知
    部で検知し、この接触圧力に応じて加工作用力を制御す
    ることを特徴とする請求項10記載の照明用反射鏡の製
    造方法。
  12. 【請求項12】 被加工品と加工工具とに、砥粒や反応
    液を介して電界をかけることにより研磨作業を行うこと
    を特徴とする請求項5または請求項6記載の照明用反射
    鏡の製造方法。
  13. 【請求項13】 砥粒を含んだ反応液に磁性体を入れ、
    外部から回転磁場をかけることにより研磨を行うことを
    特徴とする請求項5または請求項6記載の照明用反射鏡
    の製造方法。
  14. 【請求項14】 砥粒として保護膜と同材料を使用する
    ことを特徴とする請求項5または請求項6記載の照明用
    反射鏡の製造方法。
  15. 【請求項15】 第2次鏡面加工された基材を酸化する
    ことにより基材の酸化物を保護膜とすることを特徴とす
    る請求項6記載の照明用反射鏡の製造方法。
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