JPH0912060A - 保存容器用シール材 - Google Patents

保存容器用シール材

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Publication number
JPH0912060A
JPH0912060A JP18477195A JP18477195A JPH0912060A JP H0912060 A JPH0912060 A JP H0912060A JP 18477195 A JP18477195 A JP 18477195A JP 18477195 A JP18477195 A JP 18477195A JP H0912060 A JPH0912060 A JP H0912060A
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JP
Japan
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storage container
sealing material
film
layer
composition layer
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Application number
JP18477195A
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English (en)
Inventor
Koji Sakairi
幸司 坂入
Takehito Tomita
岳人 富田
Tsuyoshi Sato
剛志 佐藤
Naoki Takanashi
直樹 高梨
Taeko Morimoto
妙子 森本
Eiji Isojima
英二 礒嶌
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S R L KK
SASAKI KAGAKU YAKUHIN KK
Toppan Inc
Original Assignee
S R L KK
SASAKI KAGAKU YAKUHIN KK
Toppan Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 マイクロプレート等保存容器内に固相化され
た抗原、抗体等についてその活性が長期に亘り維持され
る保存容器用シール材を提供すること。 【構成】 この保存容器用シール材100は、フィルム基
材2とこの上にポリエチレン層11を介して積層されかつ
熱可塑性樹脂100重量部に対し化学式MgSO4・nH2
O(但し、0≦n≦3)で示される硫酸マグネシウムが
5〜400重量部配合された調湿機能性組成物層10と、
この調湿機能性組成物層にポリエチレン層12を介し積層
された接着層3とでその主要部が構成される。そして、
抗体等が固相化された保存容器の開口部をこのシール材
で閉塞すると、上記調湿機能性組成物層が調湿機能を発
揮して保存容器内の水分を吸収しまた硫酸マグネシウム
の特性により保存容器内の湿度条件が一定に保たれ乾燥
され過ぎることがないため、固相化された抗体等の活性
を長期に亘り維持することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗体、抗原、酵素等の
生理活性物質あるいは細胞等の生体試料を容器内部に固
定して保存する保存容器の開口部を閉塞するための保存
容器用シール材に係り、特に、容器内部に固定・保存さ
れた上記生理活性物質若しくは生体試料の活性若しくは
特性を長期に亘って維持できる保存容器用シール材に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、モノクローナル抗体作製技術の急
速な進展に伴い、生化学や医学の幅広い分野で免疫反応
系を利用した測定分析手法が取入れられている。すなわ
ち、極めて微量なアレルギー物質や病理原性物質の定量
あるいは定性等が行われ有用な知見が得られている。
【0003】この免疫反応において、抗体若しくは抗原
を予め不溶性担体に固定、不溶化しておき(固相化と称
する)、その後に抗原あるいは抗体と反応させて濃度を
検出する方法を『固相免疫測定法』という。代表的な例
として、酵素免疫測定法(以下EIAと略称する)やラ
ジオイムノアッセイ(以下RIAと略称する)があり、
感度の極めて良好な免疫試験法として利用されている
が、この中でもEIAはRIAに較べて安全なことから
利用頻度が高まっている。
【0004】このEIAにおいて上記不溶性担体として
一般的に用いられているものは、その材質としてガラス
あるいはポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネ
ート等のプラスチックが挙げられ、これ等が試験管、マ
イクロプレート、マクロプレート等の容器形状に加工さ
れ、抗体、抗原、酵素等の生理活性物質の保存容器とし
て利用されている。中でも、例えば図3に示すような複
数のウェルa1が連設された一連型マイクロプレートa
や、複数のウェルが縦横方向にそれぞれ連設されたマイ
クロプレートの利用が多い。
【0005】そして、マイクロプレートの各ウェル内に
検査対象である抗原に特異的に結合する抗体、あるいは
検査対象である抗体に特異的に結合する抗原が投入さ
れ、かつ、固相化されたものが臨床検査用のEIAキッ
トとして試薬メーカーにより製造、販売されている。
尚、固相化の方法は、固相化対象あるいはメーカーや研
究者により様々な手法が採られている。その一例を示せ
ば、適当な緩衝液に抗体若しくは抗原を溶解、希釈し、
かつ、この溶液をマイクロプレートの各ウェルa1内に投
入し(図5A〜B参照)、4℃程度の条件で一晩放置し
てウェルa1の底面に抗体若しくは抗原bを物理吸着させ
た(図5C参照)後、過剰に存在する抗体若しくは抗原
bを廃棄し(図5D参照)、かつ、一定量の抗体若しく
は抗原bが吸着されたマイクロプレートのウェルa1を洗
浄して抗体若しくは抗原の固相化を行っている(図5E
〜F参照)。
【0006】ところで、固相化された抗体若しくは抗原
が正確な検査、実験等に供されるためには、保管、流通
されている間、各々の結合対象である抗原若しくは抗体
との結合活性が同じレベルで維持されている必要があ
る。
【0007】この活性維持のため、通常、ブロッキング
溶液等を用いて固相化された抗体若しくは抗原へタンパ
ク質等をオーバーコートし、かつ、ウェル内に必要以上
に水分が残存していると抗体若しくは抗原の結合活性が
損なわれ易いことから、通常、真空乾燥若しくは凍結乾
燥処理が施され、更に、脱気、窒素置換処理等を行うと
共に、各ウェル開口部からウェル内への異物の侵入を防
止するため必要に応じてウェル開口部をシール材cで閉
塞した(図4参照)後、このマイクロプレートを包装材
内に収納して保存する方法が採られている。また、包装
材の外部からの水分の侵入や包装材内に残留してしまっ
た水分等を除去するために、上記包装材内にシリカゲル
等の乾燥剤を同封する場合もあった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来にお
いては抗体若しくは抗原を固相化させた後、真空乾燥装
置を用いてウェル内の水分を除去する工程が必要となる
ため作業工程が繁雑でかつ時間がかかる問題があり、更
に、大掛かりな真空乾燥装置を要することからランニン
グコストが割高となる問題を有していた。
【0009】また、包装材内が乾燥され過ぎてウェル内
の湿度条件が低過ぎた場合には、抗体若しくは抗原の活
性が却って低下してしまうことがあった。
【0010】尚、この様な問題は不溶性担体としてマイ
クロプレートを用いた場合に限らず、試験管、マクロプ
レート等の保存容器内に抗体若しくは抗原を固相化させ
る際にも同様に有していた。
【0011】更に、上述した抗体や抗原の固相化、保存
という用途とは異なるが、例えば、凹部を備えたスライ
ドガラス等の凹部内に細胞等の生体試料を投入し、乾燥
・固定して顕微鏡観察等を行う際、この生体試料を上記
凹部内において保存するような場合にも同様な問題が指
摘されている。
【0012】本発明はこの様な問題点に着目してなされ
たもので、その課題とするところは、マイクロプレート
やスライドガラス等の保存容器内に保存された生理活性
物質や生体試料についてその活性や特性が長期に亘り維
持される保存容器用シール材を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1に係
る発明は、容器開口部から投入された生理活性物質若し
くは生体試料を容器内部に固定して保存する保存容器の
上記開口部を閉塞する保存容器用シール材を前提とし、
フィルム基材と、このフィルム基材に直接若しくは樹脂
層を介して積層されかつ熱可塑性樹脂100重量部に対
し化学式MgSO4・nH2O(但し、0≦n≦3)で示
される硫酸マグネシウムが5〜400重量部配合された
調湿機能性組成物層と、この調湿機能性組成物層に直接
若しくは樹脂層を介して積層された接着層を備えること
を特徴とするものである。
【0014】この様な技術的手段において上記調湿機能
性組成物層内に配合されかつ化学式MgSO4・nH2
(但し、0≦n≦3)で示される硫酸マグネシウムは、
恒温条件で吸湿を開始していくと、水和段階が進行する
につれて硫酸マグネシウム自体の蒸気圧が上昇し、これ
に伴い環境の水蒸気の分圧との差が小さくなって吸湿速
度は低下していき、その結果、一定の湿度を保つ調湿機
能としての作用を有する。更に、硫酸マグネシウムは、
湿度を吸収すると最初に6水塩が生成し、吸湿量の増加
に伴い6水塩のみが増え、その間に1〜5水塩の生成は
なく、無水の硫酸マグネシウムが僅かになった時点、す
なわち吸水率が43%〜48%のときに7水塩に変化す
る。このことから他の水和物形成性の塩を利用した乾燥
剤と異なり、高吸湿時においても無水物が存在し一定の
湿度を保つ調湿機能としての作用を維持する。
【0015】このため、容器開口部から投入された生理
活性物質若しくは生体試料を容器内部に固定した後、請
求項1に係る保存容器用シール材により上記保存容器の
開口部を閉塞すると、化学式MgSO4・nH2O(但
し、0≦n≦3)で示される硫酸マグネシウムが配合さ
れた上記調湿機能性組成物層は接着層を介しその調湿機
能を発揮して保存容器内に残った水分を吸収する。従っ
て、この保存容器用シール材を用いることにより真空乾
燥等の繁雑な乾燥工程を省略することが可能となる。ま
た、化学式MgSO4・nH2O(但し、0≦n≦3)で
示される硫酸マグネシウムの特性により保存容器内の湿
度条件が一定に保たれ乾燥され過ぎることがないため、
保存容器内に保存された生理活性物質や生体試料につい
てその活性や特性を長期に亘り維持することが可能とな
る。
【0016】この請求項1に係る発明において上記調湿
機能性組成物層の一部を構成する熱可塑性樹脂としては
任意の熱可塑性材料が適用でき、例えば、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレン
テレフタレート(以下PETと略称する)、ポリエチレ
ンナフタレート等のポリエステル;ナイロン−6、ナイ
ロン−66等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリイミ
ド、ポリカーボネート等の公知の熱可塑性樹脂が挙げら
れ、これ等を1種若しくは2種以上混合して適用するこ
とができる。また、上記調湿機能性組成物層の一部を構
成する調湿剤としては、化学式MgSO4・nH2O(但
し、0≦n≦3)で示される硫酸マグネシウムが適用さ
れ、その平均粒子径としてはその吸湿速度の高速化が図
れることから30μm以下が好ましい(請求項2)。そ
して、この硫酸マグネシウムを上記熱可塑性樹脂100
重量部に対し5〜400重量部の範囲で混練し、押し出
し成型、共押し出し成型、射出成型等により被膜状に成
型し調湿機能性組成物層とする。また、この調湿機能性
組成物層の厚さについては、保存対象である抗体や抗
原、生体試料の種類、並びに、マイクロプレート等の保
存容器の残存水分量等により適宜設定され、例えば5〜
200μm程度に設定される。
【0017】次に、この調湿機能性組成物層が積層され
るフィルム基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート
(以下PETと略称する)、ポリエチレンナフタレート
等のポリエステル;ナイロン−6、ナイロン−66等の
ポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリイミド等、あるいは
これ等高分子の共重合体等、通常の包装材料に適用され
ているフィルム材が広く利用できる。尚、固相化された
抗体や抗原の免疫活性を低下させる環境要因としては、
既に説明したように湿度要因が挙げられるが、この他、
酸素による影響も大きいと考えられる。このため、酸素
の影響を避けようと抗体若しくは抗原が固相化されたマ
イクロプレート等の保存容器は、上述したように脱気あ
るいは窒素置換等の処理が施され、かつ、この保存容器
が収納される包装材内の脱気あるいは窒素置換等の処理
が施された後、この包装材内に収納して保存する方法が
採られている。従って、上記フィルム基材として、ガス
遮断性を有する単体フィルム若しくは積層フィルムを適
用する(請求項3)ことにより酸素の影響を低減させる
ことが可能となる。すなわち、フィルム基材がガス遮断
性を具備している場合、保存容器の開口部を本発明に係
るシール材で閉塞する際、保存容器内の脱気あるいは窒
素置換等の処理を省略することができ、また、開口部が
閉塞された保存容器を包装材内に収納する際にも包装材
内の脱気あるいは窒素置換等の処理を省略することが可
能である。
【0018】ガス遮断性を有するフィルム基材として
は、ポリビニルアルコール(以下PVAと略称する)、
エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下EVOHと
略称する)、ポリ塩化ビニリデン(以下PVDCと略称
する)等の樹脂を、上述したポリオレフィン等の樹脂フ
ィルムにラミネート若しくはコーティングしたものが挙
げられる。あるいは、上述したフィルム基材の素材であ
る高分子同士をブレンドしてガス遮断性を持たせたもの
を用いてもよく、例えば、PETにEVOHやナイロン
をブレンドしたものなどが挙げられる。また、上述した
素材から成るフィルム基材上に金属箔を張合わせたりあ
るいは金属を蒸着してガス遮断性を具備させてもよい。
【0019】尚、このガス遮断性に加えて透明性を有す
るフィルム基材を適用することも可能である。すなわ
ち、上記調湿機能性組成物層は水分を吸収すると白濁す
る性質を有しており、水分吸収の状況を把握するインジ
ケータとして機能させることが可能である。従って、調
湿機能性組成物層が積層されるフィルム基材が透明であ
れば、保存容器の開口部を閉塞した本発明に係るシール
材の上記調湿機能性組成物層について、フィルム基材を
介し外部よりその吸湿状況や、例えば吸湿のばらつき等
に基づく異常(他の部位に較べて著しく白濁若しくは透
明状態にある場合、その部位に投入されている生理活性
物質等は何らかの異常を来していることが予測される)
を容易に発見することができる。この様な目的でガス遮
断性に加えて透明性が要求される場合、透明プラスチッ
クフィルムとこの透明プラスチックフィルム上に成膜さ
れた無機化合物層とで構成される積層フィルムが適用で
きる(請求項4)。無機化合物層を設ける方法として
は、真空蒸着、スパッタリング等の物理的気相成長法
(PVD)、熱CVD、プラズマCVD等の化学的気相
成長法(CVD)、ゾルゲルコート等のウェットコート
等任意の成膜手段が適用できる。また、上記無機化合物
としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム及び
酸化マグネシウムから選ばれた一種若しくは二種以上の
無機酸化物が挙げられる(請求項5)。上記単体フィル
ム若しくは積層フィルムの厚さとしては、例えば10〜
30μm程度が好ましい。
【0020】ここで、上記フィルム基材について透明性
が要求されない用途に本発明に係るシール材が適用され
る場合には、金属箔が積層された積層フィルムを用いて
もあるいは隠蔽用の印刷層が設けられた単体フィルム若
しくは積層フィルムを用いても当然のことながらよい。
また、フィルム基材上に調湿機能性組成物層を積層する
場合、フィルム基材上に直接積層してもよいしポリエチ
レン等の樹脂層を介して積層してもよく、フィルム基材
並びに調湿機能性組成物層を構成する各材料の種類に対
応して適宜選定される。
【0021】次に、上記調湿機能性組成物層上に直接若
しくは樹脂層を介して積層される接着層としては、保存
容器における開口部の周縁に本発明に係るシール材を接
着させる機能を有するものなら任意であり、例えば、感
圧性粘着剤や感熱性粘着剤が挙げられる。また、本発明
に係るシール材が保存容器の開口部に接着された際、保
存容器の内部へ上記接着層が露出しこの接着層を介して
調湿機能性組成物層の調湿機能が作用するため、上記接
着層を構成する材料としては保存容器内部から調湿機能
性組成物層への水分の移行に支障を来さずかつ上記開口
部に接着された際に付着残留等が生じない材質のものが
特に好ましい。この様な材料としてアクリルエステル系
粘着剤等が例示される。また、接着層として上述の粘着
剤を用いた場合、必要に応じて粘着剤層上に上質紙等か
ら成る剥離ライナーを設けてもよい。この剥離ライナー
に切り込み等を入れ、ライナーを剥がし易くするとその
操作性がより改善できる利点を有する。
【0022】
【作用】請求項1〜5記載の発明に係る保存容器用シー
ル材によれば、フィルム基材と、このフィルム基材に直
接若しくは樹脂層を介して積層されかつ熱可塑性樹脂1
00重量部に対し化学式MgSO4・nH2O(但し、0
≦n≦3)で示される硫酸マグネシウムが5〜400重
量部配合された調湿機能性組成物層と、この調湿機能性
組成物層に直接若しくは樹脂層を介して積層された接着
層を備えているため、容器開口部から投入された生理活
性物質若しくは生体試料を容器内部に固定した後、この
保存容器用シール材により上記保存容器の開口部を閉塞
すると、化学式MgSO4・nH2O(但し、0≦n≦
3)で示される硫酸マグネシウムが配合された調湿機能
性組成物層は接着層を介しその調湿機能を発揮して保存
容器内に残った水分を吸収する。従って、この保存容器
用シール材を用いることにより真空乾燥等の繁雑な乾燥
工程を省略することが可能となる。
【0023】また、化学式MgSO4・nH2O(但し、
0≦n≦3)で示される硫酸マグネシウムの特性により
保存容器内の湿度条件が一定に保たれ乾燥され過ぎるこ
とがないため、保存容器内に保存された生理活性物質や
生体試料についてその活性や特性を長期に亘り維持する
ことが可能となる。
【0024】特に、請求項3記載の発明に係る保存容器
用シール材によれば、フィルム基材がガス遮断性を有す
る単体フィルム若しくは積層フィルムにより構成されて
いるため、この保存容器用シール材により保存容器の開
口部を閉塞すると保存容器のガス遮断性が向上する。従
って、保存容器の開口部をこのシール材で閉塞する際、
保存容器内の脱気あるいは窒素置換等の処理を省略する
ことができ、また、開口部が閉塞された保存容器を包装
材内に収納する際、包装材内の脱気あるいは窒素置換等
の処理を省略することも可能となる。
【0025】また、請求項4〜5記載の発明に係る保存
容器用シール材によれば、フィルム基材を構成する積層
フィルムが透明プラスチックフィルムとこの上に成膜さ
れた無機化合物層から成るため上記フィルム基材が透明
性を有する。従って、保存容器の開口部を閉塞したこの
シール材の上記調湿機能性組成物層について、フィルム
基材を介し外部よりその吸湿状況や吸湿のばらつき等に
基づく異常を容易に発見することが可能となる。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例について詳細に説明す
るが、本発明は実施例に記載された材料により限定され
るものではない。
【0027】[実施例1]ポリエチレン樹脂内に化学式
MgSO4・nH2O(但し、0≦n≦3)で示される硫
酸マグネシウムが33重量%含有するように混練して調
製されたペレットを用いインフレーション法により成膜
された厚さ50μmの調湿機能性組成物層10とこの両
面にそれぞれ形成された厚さ50μmの低密度ポリエチ
レン層11と厚さ10μmの低密度ポリエチレン層12
から成る積層体(佐々木化学薬品株式会社製 商品名
『ドライキープ』)1を、厚さ12μmのPETフィル
ム21と酸化珪素の蒸着層22とから成るフィルム基材
(凸版印刷株式会社製 商品名『GLフィルム』)2上
に積層し、かつ上記積層体1上にアクリル系粘着剤(リ
ンテック社製)を塗工して接着層3を形成した後、この
接着層3上に剥離層4として上質紙を設け、次いで85
mm×125mm大に断裁して図1に示すような保存容
器用シール材100を製造した。尚、上質紙から成る剥
離層4には、85mmの短端から1cmのところに切り
込み(図示せず)が設けられている。
【0028】[実施例2]上記調湿機能性組成物層10
のポリエチレンがエチレン−メチルアクリレート共重合
体である積層体(佐々木化学薬品株式会社製)が適用さ
れている点を除き実施例1と同一の工程により保存容器
用シール材を得た。
【0029】[比較例]厚さ50μmのPETフィルム
上にアクリル系粘着剤層を塗工して得られた保存容器用
シール材を比較例とした。
【0030】『保存性の比較試験』 ◎比較試験1 まず、図2に示すようにポリスチレン製マイクロプレー
トの各ウェル200内に、既知の方法によりヒト絨毛性
性腺刺激ホルモン(以下、hCGと略称する)を抗原と
するマウス由来抗体300を固相化した。次に、洗浄
し、ウェル200に吸着されなかった余剰抗体を除去し
た後、市販ブロッキング溶液(大日本製薬株式会社製
商品名『ブロックエース』)により抗体が吸着されてい
ないウェル200底面をブロックした。そして、余剰の
ブロッキング溶液を吸引して除いた後、軽くタップして
ウェル200内の水分を除去した。尚、この後、凍結乾
燥等の乾燥操作は行わなかった。
【0031】次に、このマイクロプレートにおける各ウ
ェル200の開口部が閉塞されるように実施例1に係る
保存容器用シール材100を貼着し(図2参照)、実施
例1のサンプルとした。また、同様にして各ウェル20
0の開口部が閉塞されるように比較例に係る保存容器用
シール材を貼着し比較例のサンプルとした。
【0032】そして、実施例1のサンプルと比較例のサ
ンプルを、12μm厚のPET/5μm厚のAl/50
μm厚の未延伸ポリエチレン構成の積層フィルムを用い
て3方シールした包装材にそれぞれ収納し、かつ、脱気
した後、開放部をヒートシールして密閉した。これを4
℃で保存した。そして、経時的にこれ等の保存された固
相化抗体の抗原との結合活性を、標識抗体を用いた既知
の2抗体サンドイッチ法による酵素免疫測定法にて測定
し、保存中の抗体活性の変化を調べた。
【0033】この結果を下記の表1に示す。
【表1】
【0034】『確認』この表1には、抗原量32mIU
/mlの濃度での測定値(450nmの光吸収値)を示
した。
【0035】そして、この表1のデータから、比較例の
サンプルは保存期間が長くなるに従い上記光吸収値の減
少が認められ、すなわち抗原との結合活性が減少してい
ることが確認された。これに対し、実施例1のサンプル
では、保存14週間まで上記光吸収値がほとんど低下せ
ず、抗体の活性は安定して維持されていることが確認で
きた。
【0036】◎比較試験2 比較試験1と同様の方法により、ヒト免疫グロブリン
(以下、hIgGと略称する)を抗原とするマウス由来
hIgGをポリスチレン製マイクロプレートの各ウェル
内に固相化したサンプルを用意した。
【0037】次に、このマイクロプレートにおける各ウ
ェルの開口部が閉塞されるように実施例2に係る保存容
器用シール材を貼着し、実施例2のサンプルとした。ま
た、同様にして各ウェルの開口部が閉塞されるように比
較例に係る保存容器用シール材を貼着し比較例のサンプ
ルとした。
【0038】そして、実施例2のサンプルと比較例のサ
ンプルを、塩化ビニリデンがコーティングされた15μ
m厚のナイロン/30μm厚のPET構成の積層フィル
ムを用いて3方シールした包装材にそれぞれ収納し、か
つ、脱気した後、開放部をヒートシールして密閉した。
これを4℃及び37℃で保存した。そして、経時的にこ
れ等の保存された固相化抗体の抗原との結合活性を、既
知の競合法による酵素免疫測定法にて測定し、保存中の
抗体活性の変化を調べた。
【0039】この結果を下記の表2に示す。
【表2】
【0040】『確認』この表2には抗原量8ng/ml
の濃度での測定値(490nmの光吸収値)を示した。
【0041】そして、この表2のデータから、比較例の
サンプルは保存期間が長くなるに従い上記光吸収値の減
少が認められ、すなわち抗原との結合活性が減少してい
ることが確認された。これに対し、実施例2のサンプル
では、保存6週間まで上記光吸収値がほとんど低下せ
ず、抗体の活性は安定して維持されていることが確認で
きた。
【0042】
【発明の効果】請求項1〜5記載の発明に係る保存容器
用シール材によれば、容器開口部から投入された生理活
性物質若しくは生体試料を容器内部に固定した後、この
保存容器用シール材により保存容器の開口部を閉塞する
と、化学式MgSO4・nH2O(但し、0≦n≦3)で
示される硫酸マグネシウムが配合された調湿機能性組成
物層は接着層を介しその調湿機能を発揮して保存容器内
に残った水分を吸収する。
【0043】従って、請求項1〜5記載の発明に係る保
存容器用シール材を用いることにより真空乾燥等の繁雑
な乾燥工程を省略できる効果を有する。
【0044】また、化学式MgSO4・nH2O(但し、
0≦n≦3)で示される硫酸マグネシウムの特性により
保存容器内の湿度条件が一定に保たれ乾燥され過ぎるこ
とがないため、保存容器内に保存された生理活性物質や
生体試料についてその活性や特性を長期に亘り維持でき
る効果を有する。
【0045】特に、請求項3記載の発明に係る保存容器
用シール材によれば、フィルム基材がガス遮断性を有す
る単体フィルム若しくは積層フィルムにより構成されて
いるため、この保存容器用シール材により保存容器の開
口部を閉塞すると保存容器のガス遮断性が向上する。
【0046】従って、保存容器の開口部をこのシール材
で閉塞する際、保存容器内の脱気あるいは窒素置換等の
処理を省略することができ、また、開口部が閉塞された
保存容器を包装材内に収納する際、包装材内の脱気ある
いは窒素置換等の処理を省略することもできる効果を有
する。
【0047】また、請求項4〜5記載の発明に係る保存
容器用シール材によれば、フィルム基材を構成する積層
フィルムが透明プラスチックフィルムとこの上に成膜さ
れた無機化合物層から成るため上記フィルム基材が透明
性を有する。
【0048】従って、保存容器の開口部を閉塞したこの
シール材の上記調湿機能性組成物層について、フィルム
基材を介し外部よりその吸湿状況や吸湿のばらつき等に
基づく異常を容易に発見できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係る保存容器用シール材の構成断面
図。
【図2】実施例1に係る保存容器用シール材により開口
部が閉塞されたマイクロプレートにおけるウェルの断面
図。
【図3】従来の一連型マイクロプレートの概略斜視図。
【図4】開口部がシール材により閉塞された一連型マイ
クロプレートの概略斜視図。
【図5】図5(A)〜(F)は抗体若しくは抗原の固相
化方法の工程を示す説明図。
【符号の説明】
1 積層体 10 調湿機能性組成物層 11 ポリエチレン層 12 ポリエチレン層 2 フィルム基材 21 PETフィルム 22 蒸着層 3 接着層 4 剥離層 100 保存容器用シール材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂入 幸司 東京都台東区台東一丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内 (72)発明者 富田 岳人 東京都台東区台東一丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内 (72)発明者 佐藤 剛志 東京都台東区台東一丁目5番1号 凸版印 刷株式会社内 (72)発明者 高梨 直樹 東京都立川市曙町二丁目41番19号 株式会 社エスアールエル内 (72)発明者 森本 妙子 東京都立川市曙町二丁目41番19号 株式会 社エスアールエル内 (72)発明者 礒嶌 英二 京都府京都市山科区勧修寺西北出町10番地 の1 佐々木化学薬品株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】容器開口部から投入された生理活性物質若
    しくは生体試料を容器内部に固定して保存する保存容器
    の上記開口部を閉塞する保存容器用シール材において、 フィルム基材と、このフィルム基材に直接若しくは樹脂
    層を介して積層されかつ熱可塑性樹脂100重量部に対
    し化学式MgSO4・nH2O(但し、0≦n≦3)で示
    される硫酸マグネシウムが5〜400重量部配合された
    調湿機能性組成物層と、この調湿機能性組成物層に直接
    若しくは樹脂層を介して積層された接着層を備えること
    を特徴とする保存容器用シール材。
  2. 【請求項2】上記硫酸マグネシウムの平均粒子径が30
    μm以下であることを特徴とする請求項1記載の保存容
    器用シール材。
  3. 【請求項3】上記フィルム基材が、ガス遮断性を有する
    単体フィルム若しくは積層フィルムにより構成されてい
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の保存容器用シ
    ール材。
  4. 【請求項4】上記積層フィルムが、透明プラスチックフ
    ィルムとこの透明プラスチックフィルム上に成膜された
    無機化合物層とで構成されていることを特徴とする請求
    項3記載の保存容器用シール材。
  5. 【請求項5】上記無機化合物層が、酸化ケイ素、酸化ア
    ルミニウム及び酸化マグネシウムから選ばれた一種若し
    くは二種以上の無機酸化物により構成されていることを
    特徴とする請求項4記載の保存容器用シール材。
JP18477195A 1995-06-28 1995-06-28 保存容器用シール材 Pending JPH0912060A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007045927A (ja) * 2005-08-10 2007-02-22 Kajixx Kk シーリングテープ
JP2012159358A (ja) * 2011-01-31 2012-08-23 Konica Minolta Holdings Inc 検査システム、及びこの検査システムに用いられる送液装置

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JP2007045927A (ja) * 2005-08-10 2007-02-22 Kajixx Kk シーリングテープ
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