JPH09118925A - 歯車の熱処理装置及び熱処理方法 - Google Patents

歯車の熱処理装置及び熱処理方法

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JPH09118925A
JPH09118925A JP7273778A JP27377895A JPH09118925A JP H09118925 A JPH09118925 A JP H09118925A JP 7273778 A JP7273778 A JP 7273778A JP 27377895 A JP27377895 A JP 27377895A JP H09118925 A JPH09118925 A JP H09118925A
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JP
Japan
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induction hardening
gear material
rough
heating coil
quenching
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JP7273778A
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English (en)
Inventor
Takayuki Okada
隆行 岡田
Masahiro Abe
正浩 安部
Yoshikatsu Nakamura
好克 中村
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Daihatsu Motor Co Ltd
Original Assignee
Daihatsu Motor Co Ltd
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Publication date
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高周波焼入れする前処理を簡略化し、歯車粗
形材の歯部を焼入れ焼戻しする専用炉を不要とすること
にある。 【解決手段】 歯車粗形材1を回転させる駆動源3と、
その歯車粗形材1を上下方向に昇降させる支持フレーム
4と、前記駆動源3に近い下方から上方へ順に間隔をあ
けて固定配置された本加熱用、予備加熱用、焼入れ焼戻
し用の各加熱コイル6,7,8とをその主要部として構
成される。各加熱コイル6,7,8は、歯車粗形材1を
囲繞するようなほぼ環状を有し、本加熱用加熱コイル6
は、60〜250kHz程度の高周波電源11に、ま
た、予備加熱用加熱コイル7は、10kHz程度以下の
低周波電源12に、更に、焼入れ焼戻し用加熱コイル8
は、1.4〜2.0kHz程度の低周波電源12にそれ
ぞれ電気的に接続される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は歯車の熱処理装置及
び熱処理方法に関し、詳しくは、自動車部品などに利用
される歯車の製造において、耐摩耗性や疲労強度を確保
するために高周波焼入れする熱処理装置及び熱処理方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車部品として利用される歯車、例え
ば、MT車のファーストギヤ等やAT車のプラネタリギ
ヤ等に使用される歯車には高強度化が要望されており、
この種の歯車の製造では、耐摩耗性や疲労強度を確保す
るため、近年、浸炭焼入れに替わる技術として高周波焼
入れの熱処理が実用化されつつある。
【0003】この高周波焼入れは、歯切り加工まで終了
した歯車未熱処理材(以下、歯車粗形材と称す)を加熱
コイルで高周波誘導加熱するものであり、一般的に、単
周波方式が採用されているが、歯車強度の向上がより一
層望め、また、精度の向上が見込める二周波方式が実用
化に向っている。この二周波方式の高周波焼入れでは、
まず、歯車粗形材を10kHz程度以下の低周波で予備
加熱する。この予備加熱により、歯車粗形材に含有され
るカーボンが均一に拡散し、その歯車粗形材の内部まで
均一に加熱される。その後、歯車粗形材の歯部を60〜
250kHz程度の高周波で本加熱する。この本加熱に
より、歯車粗形材の歯部では、その歯形形状に沿った表
層部のみが加熱される。このようにして二周波方式の高
周波焼入れによって、歯車粗形材の歯形形状に沿った表
層部に輪郭焼入れ硬化層を形成することにより、歯形形
状表面での耐摩耗性を確保すると共に、表層部と芯部と
の組織の差異による圧縮残留応力を歯元部で現出させて
その歯元部での疲労強度を確保し、高強度の歯車を実現
している。
【0004】前述した高周波焼入れを利用した歯車の製
造では、 歯車粗形材を歯切り加工した後、高周波焼
入れ及び研磨等の仕上げ加工を行なう方法、 歯車粗
形材を歯切り加工した後、一旦、焼入れ焼戻しを行い、
その上で高周波焼入れ及び研磨等の仕上げ加工を行なう
方法、 歯車粗形材を焼入れ焼戻しした後、歯切り加
工を行い、その上で高周波焼入れ及び研磨等の仕上げ加
工を行なう方法の三つの手法がある。
【0005】まず、歯車粗形材を歯切り加工した後、高
周波焼入れ及び研磨等の仕上げ加工を行なうの方法で
は、歯車に要求される諸条件のうちの歯車強度の面で、
所望の歯車強度を確保することが困難であるため、前述
した高強度を必要とする歯車を製造する上で好適な手法
ではなく採用することができない。
【0006】一方、歯車粗形材を歯切り加工した後、一
旦、焼入れ焼戻しを行い、その上で高周波焼入れ及び研
磨等の仕上げ加工を行なうの方法や、歯車粗形材を焼
入れ焼戻しした後、歯切り加工を行い、その上で高周波
焼入れ及び研磨等の仕上げ加工を行なうの方法では、
歯車に要求される諸条件のうちの歯車強度の面で、所望
の歯車強度を確保することが容易であるため、高強度を
必要とする歯車を製造する上で好適な手法であり採用す
ることができる。
【0007】このように高強度を必要とする歯車は、焼
入れ焼戻しを行なって歯車粗形材の歯芯部を所望の硬さ
に予め調整した後、高周波焼入れを行なって歯形形状に
沿った表層部のみを高硬度にすることによって製造され
るが、通常、高強度が要求されるのが歯部であるため、
その歯部以外の部位については、前述した焼入れ焼戻し
を行なったままで、その焼入れ焼戻し後に歯部のみにつ
いて高周波焼入れを行なうようにしているのが現状であ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述したよ
うに高強度を必要とする歯車は、焼入れ焼戻しを行なっ
た後、高周波焼入れを行なうことにより製造されるが、
その高周波焼入れの前処理として焼入れ焼戻しを行なう
ための専用炉が必要である。この焼入れ焼戻しの専用炉
を設置するための設備投資が大きく、製品のコストアッ
プを招来することになる。また、前述した焼入れ焼戻し
の専用炉では、多数の歯車粗形材を一括して焼入れ焼戻
しするバッチ処理を行なっているので、かなりの処理時
間を要してランニングコストが高い。更に、このように
焼入れ焼戻しを専用炉でバッチ処理しているので、高周
波焼入れとは別工程となってインライン化することが困
難で、必要な時に必要な数だけ処理することが難しく、
また、工程間での部品搬送なども必要で、部品取扱い上
の簡略化を図ることも難しい。
【0009】また、前述したように高強度が要求される
のは歯部であるため、その歯部以外の部位については、
焼入れ焼戻しを行なったままで、その焼入れ焼戻し後に
歯部のみについて高周波焼入れを行なうようにしている
が、例えば、MT車のファーストギヤ等やAT車のプラ
ネタリギヤ等に使用される歯車では、その歯部以外の部
位、即ち、チャンファー部、シンクロナイザリング摺動
面、内径面及びスラスト端面などでも耐摩耗性が要求さ
れる。しかし、焼入れ焼戻しでは350HV程度の硬度
しか得られないため、前述したチャンファー部など歯部
以外の部位に焼入れ焼戻し後に別途何等かの処理を施さ
なければならず、製品のコストアップを招来することに
なる。
【0010】そこで、本発明は上記問題点に鑑みて提案
されたもので、高周波焼入れする前処理を簡略化するこ
とを目的とし、具体的には、歯車粗形材の歯部を焼入れ
焼戻しする専用炉を不要とし、また、前記歯部以外の部
位で耐摩耗性を確保し得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の技術的手段として、本発明装置及び本発明方法は以下
の構成を具備する。
【0012】 二周波方式による高周波焼入れ装置に
より歯車粗形材を高周波焼入れすることにより、前記歯
車粗形材の歯形形状に沿った輪郭焼入れ硬化層を形成す
る熱処理の前処理として、前記高周波焼入れ装置により
高周波焼入れと同一ポジションで前記歯車粗形材を焼入
れ焼戻しするようにしたことを特徴とする熱処理方法。
【0013】 二周波方式により歯車粗形材を高周波
焼入れすることにより前記歯車粗形材の歯形形状に沿っ
た輪郭焼入れ硬化層を形成するための加熱コイルを具備
した高周波焼入れ装置において、二周波方式による高周
波焼入れの前処理として、前記歯車粗形材を焼入れ焼戻
しするための加熱コイルを付設したことを特徴とする熱
処理装置。
【0014】 二周波方式により前記歯車粗形材を高
周波焼入れすることによりその歯車粗形材の歯形形状に
沿った輪郭焼入れ硬化層を形成するための加熱コイルを
具備した高周波焼入れ装置において、前記加熱コイル
は、二周波方式による高周波焼入れの前処理として、前
記歯車粗形材を焼入れ焼戻しすることを特徴とする熱処
理装置。
【0015】 歯部以外に耐摩耗性が要求される部位
を有する歯車粗形材を二周波方式による高周波焼入れ装
置により高周波焼入れすることにより、前記歯車粗形材
の歯形形状に沿った輪郭焼入れ硬化層を形成する熱処理
の前処理として、前記歯車粗形材を焼入れするようにし
たことを特徴とする熱処理方法。
【0016】 歯車粗形材の歯部を二周波方式により
高周波焼入れすることにより前記歯車粗形材の歯形形状
に沿った輪郭焼入れ硬化層を形成するための加熱コイル
を具備した高周波焼入れ装置において、前記歯車粗形材
の歯部以外で耐摩耗性が要求される部位を焼入れするた
めの加熱コイルを設けたことを特徴とする熱処理装置。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明に係る歯車の熱処理装置の
実施形態である高周波焼入れ装置を図1乃至図9に示し
て説明する。図1に示す実施形態の高周波焼入れ装置
は、歯切り加工された歯車粗形材1を着脱自在に回転軸
2に支承したモータ等の駆動源3と、その駆動源3が取
り付けられ、ボールネジ及びサーボモータ等からなる駆
動機構(図示せず)に連結されて上下方向に昇降する支
持フレーム4と、前記駆動源3に近い下方から上方へ順
に間隔をあけて固定配置された冷却ジャケット5及び本
加熱用、予備加熱用、焼入れ焼戻し用の各加熱コイル
6,7,8とをその主要部として構成される。
【0018】前記冷却ジャケット5は、内部に冷却水の
流路が形成された筒状部材からなり、流入口9から供給
された冷却水が、内周面に設けられた多数の吐出口(図
示せず)から吐出しながら流出口10から排出される。
後述するように焼入れ焼戻し時及び高周波焼入れ時に歯
車粗形材1が冷却ジャケット5内に配置される。
【0019】本加熱用加熱コイル6は、歯車粗形材1を
囲繞するようなほぼ環状を有し、前記冷却ジャケット5
の直上に固定配置されて60〜250kHz程度の高周
波電源11に電気的に接続される。また、予備加熱用加
熱コイル7は、歯車粗形材1を囲繞するようなほぼ環状
を有し、前記本加熱用加熱コイル6の直上に固定配置さ
れて10kHz程度以下の低周波電源12に電気的に接
続される。更に、焼入れ焼戻し用加熱コイル8は、歯車
粗形材1を囲繞するようなほぼ環状を有し、前記予備加
熱用加熱コイル7の直上に固定配置されて1.4〜2.
0kHz程度の低周波電源13に電気的に接続される。
【0020】この実施形態の高周波焼入れ装置では、ま
ず、前処理工程で歯切り加工された歯車粗形材1を駆動
源3の回転軸2の上方軸端に適宜の手段により装着す
る。そして、駆動機構を作動させて支持フレーム4を上
昇させることにより、前記駆動源3の回転軸2の上方軸
端にある歯車粗形材1を上昇端位置に配置して焼入れ焼
戻し用加熱コイル8内に位置決めする。
【0021】この状態で、駆動源3を作動させることに
より歯車粗形材1を所定の速度で回転させると共に、低
周波電源13から1.4〜2.0kHz程度の低周波電
流を加熱コイル8に流すことにより歯車粗形材1を誘導
加熱し、例えば30秒程度の処理時間でもって焼入れ焼
戻しする。この焼入れ焼戻し時での冷却は、歯車粗形材
1を降下させて冷却ジャケット5内に配置し、その冷却
ジャケット5の内周から歯車粗形材1に向けて冷却水を
噴射させることにより行なわれる。
【0022】この焼入れ焼戻しが完了した後に連続して
高周波焼入れを実行する。この高周波焼入れは、まず、
予備加熱用加熱コイル7内に歯車粗形材1を位置決め配
置して回転させた状態で、低周波電源12から10kH
z程度以下の低周波電流を加熱コイル7に流すことによ
り歯車粗形材1を誘導加熱し、例えば0.3秒程度の処
理時間でもって予備加熱する。この予備加熱により、歯
車粗形材1に含有されるカーボンが均一に拡散し、その
歯車粗形材1の内部まで均一に加熱される。
【0023】その後、予備加熱を完了した歯車粗形材1
を降下させて本加熱用加熱コイル6内に位置決め配置し
て回転させた状態で、高周波電源11から60〜250
kHz程度の高周波電流を流すことにより歯車粗形材1
を誘導加熱し、例えば0.14秒程度の処理時間でもっ
て本加熱する。この本加熱により、歯車粗形材1の歯部
では、その歯形形状に沿った表層部のみが加熱されて焼
入れされる。この焼入れ時での冷却は、前述した焼入れ
焼戻し時の場合と同様にして、冷却ジャケット5内に配
置された歯車粗形材1に向けてその冷却ジャケット5の
内周から冷却水を噴射させることにより行なわれる。
【0024】このようにして二周波方式の高周波焼入れ
によって、歯車粗形材1の歯形形状に沿った表層部に輪
郭焼入れ硬化層を形成することにより、歯形形状表面で
の耐摩耗性を確保すると共に、表層部と芯部との組織の
差異による圧縮残留応力を歯元部で現出させてその歯元
部での疲労強度を確保し、高強度の歯車を実現してい
る。
【0025】次に、図2に示す実施形態の高周波焼入れ
装置を説明する。この高周波焼入れ装置が図1の実施形
態と相違する点は、図1の焼入れ焼戻し用加熱コイル8
を省略して歯車粗形材1を高周波焼入れするための予備
加熱用加熱コイル7で兼用したことである。従って、焼
入れ焼戻し・予備加熱兼用加熱コイル7’は、1.4〜
2.0kHz程度と10kHz程度以下の各低周波電流
を流し得るように切り替え可能な低周波電源12’に電
気的に接続される。尚、上記以外の構成については、図
1の実施形態の場合と同様であるため、重複説明は省略
する。
【0026】この実施形態の高周波焼入れ装置では、ま
ず、焼入れ焼戻し・予備加熱兼用加熱コイル7’内に歯
車粗形材1を位置決め配置して回転させた状態で、その
低周波電源12’から1.4〜2.0kHz程度の低周
波電流を加熱コイル7’に流すことにより歯車粗形材1
を誘導加熱して焼入れ焼戻しする。その上で、歯車粗形
材1をそのままの状態で高周波焼入れするため、同じ低
周波電源12’から10kHz程度以下の低周波電流を
加熱コイル7’に流すことにより歯車粗形材1を誘導加
熱して予備加熱する。その後、図1の実施形態の場合と
同様にして歯車粗形材1を本加熱して高周波焼入れを完
了する。
【0027】尚、図1の実施形態の高周波焼入れ装置
は、歯車のモジュールが例えば1.5程度以上で大き
い、即ち、歯車粗形材1の内部まで均一加熱しにくい場
合に好適で、焼入れ焼戻し用加熱コイル8でもって歯車
粗形材1の内部まで十分に加熱することができる。ま
た、図2の実施形態の高周波焼入れ装置は、歯車のモジ
ュールが1.5程度以下で小さい、即ち、歯車粗形材1
の内部まで均一加熱しやすい場合に好適で、焼入れ焼戻
し・予備加熱兼用加熱コイル7’でも歯車粗形材1の内
部まで十分に加熱することができる。
【0028】また、図1及び図2の実施形態では、冷却
ジャケット5を加熱コイル6,7,8とは別に設けてい
るが、本発明はこれに限定されることなく、冷却ジャケ
ット5を設けず、加熱コイルから直接冷却水を噴射する
構造とした場合にも適用可能である。
【0029】高強度を必要とする歯車は、焼入れ焼戻し
を行なって歯車粗形材1の歯芯部を所望の硬さに予め調
整した後、高周波焼入れを行なって歯形形状に沿った表
層部のみを高硬度にすることによって製造されるが、本
発明の高周波焼入れ装置では、一つ一つの歯車粗形材1
について焼入れ焼戻し及び高周波焼入れを連続的に短時
間で実行する。
【0030】ここで、通常、高強度が要求されるのが歯
部であるが、例えば、図3に示すようにMT車のファー
ストギヤ等やAT車のプラネタリギヤ等に使用される歯
車では、その歯部14以外の部位、即ち、チャンファー
部15、シンクロナイザリング摺動面16、内径面17
及びスラスト端面18,19などでも耐摩耗性が要求さ
れる。このように歯部14以外の部位で耐摩耗性が要求
される歯車の場合には、前述した高周波焼入れにより、
歯車粗形材1の歯形形状に沿った輪郭焼入れ硬化層を形
成する熱処理の前処理として、歯車粗形材1を焼入れす
る処理が好適である。
【0031】具体的には、まず、歯切り加工された歯車
粗形材1の全体を焼入れする。尚、180℃程度の低温
焼戻しであれば併用することも可能である。この焼入れ
により、図4に示すように歯車粗形材1(例えば、JI
S規格S50Cの素材)は全体的に硬化することになる
が、特に、その歯車粗形材1の表面部は680〜700
HV程度の硬化し、その芯部は650HV程度に硬化す
る。その後、焼入れを完了した歯車粗形材1を高周波焼
入れすると、図5に示すように歯車粗形材1の芯部20
は、前述した焼入れにより650HV程度に硬化してお
り、その歯形形状に沿った表層部21では、オーステナ
イトが高周波焼入れによりマルテンサイト化されて72
0HV程度の輪郭焼入れ硬化層22が形成される。一
方、歯車粗形材1の芯部20と表層部21との間の歯元
部23では、オーステナイトが徐冷によりマルテンサイ
ト化されて400HV程度の焼戻り軟化層24が形成さ
れる。
【0032】このようにして、歯車の歯部14では、高
周波焼入れにより歯形形状に沿った表層部21で720
HV程度の輪郭焼入れ硬化層22が形成されて耐摩耗性
が確保されると共に、歯元部23では、400HV程度
の焼戻り軟化層24が形成されて圧縮残留応力及び靱性
が得られて疲労強度が確保される。一方、歯車の歯部1
4以外の部位、即ち、チャンファー部15、シンクロナ
イザリング摺動面16、内径面17及びスラスト端面1
8,19などでは、高周波焼入れの前処理である焼入れ
により650HV程度に硬化しているので耐摩耗性が確
保される。その後、研磨等の仕上げ工程を経て製品化す
ることができ、歯部以外の部位に別途何等かの処理を施
す工程が不要となる。
【0033】尚、前述した手法によれば、リング状歯車
以外にも、AT車で使用されるインターミディエートシ
ャフト等のように歯車がシャフトに一体化されたシャフ
ト付き歯車にも適用可能である。
【0034】次に、前述したように歯部以外で耐摩耗性
が要求される部位を有する歯車が小型のものであれば、
図1及び図2に示す高周波焼入れ装置が具備する加熱コ
イル7,7’を利用して、高周波焼入れの前処理である
焼入れ又は高周波焼入れの予備加熱を行なうことができ
る。一方、大型の歯車の歯部以外の部位を、高周波焼入
れの前処理である焼入れ又は高周波焼入れの予備加熱を
行なうに際しては、その歯部以外の部位を高周波焼入れ
する専用の加熱コイルを具備した高周波焼入れ装置が好
適である。
【0035】その専用の加熱コイル25としては、例え
ば、図6に示すように低周波電源12,12’(図1及
び図2参照)に接続された二股状の根元部26から半円
状に水平に拡開した彎曲部27を有し、その彎曲部27
の先端からほぼ直角上方に起立して変曲部28を介して
下方へ向かって繋がった突状部29を有する形状のもの
がある。
【0036】この加熱コイル25を使用した場合、図7
に示すように歯車粗形材1の上方から加熱コイル25を
挿入すると、その加熱コイル25の先端の突状部29が
歯車粗形材1の軸孔内に配置され、その彎曲部27が歯
車粗形材1のチャンファー部15及びシンクロナイザリ
ング摺動面16を囲繞するように配置される。
【0037】この状態で低周波電源12,12’から低
周波電流を加熱コイル25に流すことにより歯車粗形材
1の歯部以外の部位を誘導加熱して、高周波焼入れの前
処理である焼入れ又は高周波焼入れの予備加熱を行な
う。この時、加熱コイル25の彎曲部27によりチャン
ファー部15及びシンクロナイザリング摺動面16が加
熱され、その変曲部28によりシンクロナイザリング摺
動面16及びスラスト端面18が加熱され、突状部29
によりスラスト端面18,19及び内径面17が加熱さ
れる。尚、この加熱は、歯車粗形材1の歯部14の熱処
理と同時又はその前後のいずれの場合でも適用可能であ
る。
【0038】また、前記加熱コイル25は、図6に示す
形状以外にも、各彎曲部27と突状部29とを変曲部2
8で分割したような形状のものでもよく、例えば、図8
(a)(b)に示すように突状の加熱コイル25’と図
9(a)(b)に示すほぼ環状の加熱コイル25''とを
併用するようにしてもよい。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、歯車を製造するに際し
て、歯車粗形材を高周波焼入れする前処理を簡略化する
ことができる。具体的に、本発明によれば、高周波焼入
れと同一ポジションで焼入れ焼戻しを実現できるので、
焼入れ焼戻しの専用炉を不要となり、設備投資が不要と
なって製品のコストダウンを実現できる。また、個々の
歯車粗形材について処理するので、その処理時間の短縮
化が図れてランニングコストが低く、高周波焼入れ工程
をインライン化することができて、必要な時に必要な数
だけ処理することができる。
【0040】また、本発明によれば、歯部以外の部位で
耐摩耗性が要求される場合でも、加熱コイルにより焼入
れでもって、歯部以外の部位に別途何等かの処理を施す
必要がなく、簡単な手段により、その歯部以外の部位で
の耐摩耗性を確保することができ、製品のコストダウン
を容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における高周波焼入れ装置の
概略構成を示す斜視図
【図2】本発明の他の実施形態における高周波焼入れ装
置の概略構成を示す斜視図
【図3】歯部以外で耐摩耗性が要求される部位を示す歯
車の斜視図
【図4】歯車粗形材の全体を焼入れした状態を示す部分
拡大断面図
【図5】歯車粗形材の全体を焼入れした後に高周波焼入
れした状態を示す部分拡大断面図
【図6】歯部以外の部位を誘導加熱するための加熱コイ
ルの一例を示す斜視図
【図7】図6の加熱コイルを歯車粗形材に挿入した状態
を示す斜視図
【図8】(a)は歯部以外の部位を誘導加熱するための
加熱コイルの他の例を示す斜視図、(b)は(a)の加
熱コイルを歯車粗形材に挿入した状態を示す斜視図
【図9】(a)は歯部以外の部位を誘導加熱するための
加熱コイルの他の例を示す斜視図、(b)は(a)の加
熱コイルを歯車粗形材に挿入した状態を示す斜視図
【符号の説明】
1 歯車粗形材 6 加熱コイル 7 加熱コイル 8 加熱コイル 15〜19 歯部以外で耐摩耗性が要求される部位 22 輪郭焼入れ硬化層 25 加熱コイル

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二周波方式による高周波焼入れ装置によ
    り歯車粗形材を高周波焼入れすることにより、前記歯車
    粗形材の歯形形状に沿った輪郭焼入れ硬化層を形成する
    熱処理の前処理として、前記高周波焼入れ装置により高
    周波焼入れと同一ポジションで前記歯車粗形材を焼入れ
    焼戻しするようにしたことを特徴とする歯車の熱処理方
    法。
  2. 【請求項2】 二周波方式により歯車粗形材を高周波焼
    入れすることにより前記歯車粗形材の歯形形状に沿った
    輪郭焼入れ硬化層を形成するための加熱コイルを具備し
    た高周波焼入れ装置において、二周波方式による高周波
    焼入れの前処理として、前記歯車粗形材を焼入れ焼戻し
    するための加熱コイルを付設したことを特徴とする歯車
    の熱処理装置。
  3. 【請求項3】 二周波方式により前記歯車粗形材を高周
    波焼入れすることによりその歯車粗形材の歯形形状に沿
    った輪郭焼入れ硬化層を形成するための加熱コイルを具
    備した高周波焼入れ装置において、前記加熱コイルは、
    二周波方式による高周波焼入れの前処理として、前記歯
    車粗形材を焼入れ焼戻しすることを特徴とする歯車の熱
    処理装置。
  4. 【請求項4】 歯部以外に耐摩耗性が要求される部位を
    有する歯車粗形材を二周波方式による高周波焼入れ装置
    により高周波焼入れすることにより、前記歯車粗形材の
    歯形形状に沿った輪郭焼入れ硬化層を形成する熱処理の
    前処理として、前記歯車粗形材を焼入れするようにした
    ことを特徴とする歯車の熱処理方法。
  5. 【請求項5】 歯車粗形材の歯部を二周波方式により高
    周波焼入れすることにより前記歯車粗形材の歯形形状に
    沿った輪郭焼入れ硬化層を形成するための加熱コイルを
    具備した高周波焼入れ装置において、前記歯車粗形材の
    歯部以外で耐摩耗性が要求される部位を焼入れするため
    の加熱コイルを設けたことを特徴とする歯車の熱処理装
    置。
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