JPH0911723A - ダンパ可変装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ダンパの強度を自動的に最適化するダンパ可
変装置を提供すること。 【構成】 ダンパ強度を所定範囲内で無段階に調節可能
なダンパ２と、当該ダンパ２の強度を所望の値に制御す
る制御手段１０とを備え、少なくとも車両の現在位置に
おける高さ，進行方向に関する情報を収集する第一情報
収集手段１１と、車両における駆動部の駆動情報を収集
する第二情報収集手段１２と、前記第一情報収集手段１
１及び前記第二情報収集手段１２から得られる情報に基
づいて前記制御手段１０によるダンパ強度の値を逐次設
定する設定手段１３とを備えるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えば、自動車等の車
両において、路面状況に合わせてダンパストローク量を
可変するダンパ可変装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、自動車等の車両が路面を走行する
場合、例えば、登り坂，下り坂等による路面の上下方向
の起伏や、カーブ等による平面的曲がりによって車両本
体に発生する外力をダンパストロークにより吸収し、車
両の安定を図っている。ところで、このダンパのストロ
ーク量は、砂利道や雪道のような悪路ではダンパストロ
ークを強くして底付き現象等の発生を抑え、高速道よう
な平らな舗装路ではダンパストロークを弱くして乗り心
地を高めるように設定するのが一般的である。

【０００３】図２は、自動車に適用された従来のダンパ
可変装置１の概略構成を示す図である。図２に示すよう
に、従来のダンパ可変装置１は、内部オリフィス径が一
定の範囲内で任意に調整可能なダンパ２と、このダンパ
２のオリフィス径を可変するためのオリフィス可変軸３
と、オリフィス可変軸３を介してオリフィス径を可変す
る可変軸駆動部４と、可変軸駆動部４の動作状態をハー
ド（Ｈ），ミディアム（Ｍ），ソフト（Ｓ）の３段階に
切り換える動作切換スイッチ５とから構成されている。

【０００４】以上の構成において、自動車の運転者は、
前述したように運転する走行路に合わせて動作切換スイ
ッチ５を、ハード，ミディアム，ソフトのいずれかに切
り換えることによって所望のダンパストロークを得るこ
とができるようになっていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のダンパ可変装置１にあっては、ダンパストロ
ークの設定は、メーカー再度で予め設定された調整ポイ
ント（上記例では、３段階）からしか選択できないよう
に構成されていたため、以下に述べるような問題点があ
った。

【０００６】すなわち、自動車の運転に基づく路面状況
は、刻一刻と変化するものであり、現時点で最適と思わ
れるダンパ強度も、次の瞬間には不適な設定となること
も充分考えられる。上記従来例では、最初から一義的な
入力を想定した設定を行うものであるため、刻々と変化
する路面状況に対応できず、柔軟性に欠けるという問題
点がある。また、運転中に細かな切り換えを手動で行う
ことは基本的に好ましくない。

【０００７】本発明の課題は、上記問題点を解消し、ダ
ンパの強度を自動的に最適化するダンパ可変装置を提供
することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】ダンパ強度を所定範囲内
で無段階に調節可能なダンパと、当該ダンパの強度を所
望の値に制御する制御手段とを備え、少なくとも車両の
現在位置における高さ，進行方向に関する情報を収集す
る第一情報収集手段と、車両における駆動部の駆動情報
を収集する第二情報収集手段と、前記第一情報収集手段
及び前記第二情報収集手段から得られる情報に基づいて
前記制御手段によるダンパ強度の値を逐次設定する設定
手段と、を備えるように構成する。

【０００９】そして、前記第一情報収集手段は、衛星か
らの送信信号を受信する受信手段と、地図データを格納
する地図データ格納手段とを有し、該受信手段により受
信した情報に基づいて該地図データ格納手段に格納され
た地図データから現在の車両位置及び現在位置における
高さ，車両の向きから進行方向の各情報を収集するよう
に構成する。

【００１０】また、前記第二情報手段は、動力源の回転
数を検出する回転センサ，動力源のトルクを検出するト
ルクセンサ、シフト位置を検出するシフト位置センサを
有するように構成する。

【００１１】

【作用】第一情報収集手段及び第二情報収集手段により
収集された情報に基づいて、刻々と変化する車両の状態
及び路面状況を的確に把握し、これら車両の状態及び路
面状況に適したダンパ強度の値を設定手段により設定す
ることで、制御手段により自動的に最適化されたダンパ
強度を円滑に維持することができる。また、ダンパ強度
は、無段階に調節されることで、より最適なダンパ強度
を得ることができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の好適な一実施例を図面を参照
して説明する。図１は、本実施例のダンパ可変装置１
を、自走式移動車両として自動車に適用した場合の要部
構成を示すブロック図である。なお、図１において、図
２に示す従来例と同一要素には同一の符号を付してい
る。

【００１３】本実施例のダンパ可変装置１は、大別し
て、制御手段１０、第一情報収集手段１１、第二情報収
集手段１２、設定手段１３から構成されている。そし
て、図２に示す従来例と同様に、ダンパ２、オリフィス
可変軸３、可変軸駆動部４を有しており、また、従来例
における動作切換スイッチ５の代わりに、可変軸駆動部
４の動作を無段階に微調整することのできる動作切換制
御手段６を有している。

【００１４】制御手段１０は、ＲＯＭ（Read Only Memo
ry）やＲＡＭ（Random Access Memory）を内蔵する１チ
ップのマイクロコンピュータ（図示せず）から構成さ
れ、後述する設定手段１３に設定された値に基づいてダ
ンパ２に関する各種制御を行うものであり、実際には、
上記動作切換制御手段６の機能も含んでいる。

【００１５】第一情報収集手段１１は、受信手段となる
ＧＰＳ受信装置２１、地図データ格納手段となるＣＤ−
ＲＯＭ装置２２から構成される、いわゆる、ナビゲーシ
ョンシステムと呼ばれる装置を応用したものであり、衛
星からの受信信号に基づいて、自動車の現在位置及び進
行方向を特定し、ＣＤ−ＲＯＭ装置２２からの地図デー
タと照合することで、現在位置における高さや今後の道
路の状態を情報として後述する設定手段１３に出力する
ものである。

【００１６】第二情報収集手段１２は、自動車のエンジ
ンコントロールユニットやサスペンションコントロール
ユニット内に設けられた、例えば、クランク位置センサ
３１，冷却水温センサ３２，回転数センサ３３，トルク
センサ３４，シフト位置センサ３５，速度センサ３６等
の各種センサであり、特に、エンジンの回転数を検出す
る回転数センサ３３，エンジンのトルクを検出するトル
クセンサ３４、シフト位置を検出するシフト位置センサ
３５，自動車の速度を検出する速度センサ３６からの情
報を後述する設定手段１３に出力するものである。

【００１７】設定手段１３は、第一情報収集手段１１及
び第二情報収集手段１２から得られた情報に基づいて制
御手段１０によって制御されるダンパ強度の値を設定す
るものであり、これによって、入力情報の変化に伴って
現在の自動車に対する最適なダンパ強度がリアルタイム
に設定される。

【００１８】次に、本実施例の作用について説明する。
まず、ＧＰＳ受信装置２１により車両の現在位置や、進
行方向及び進行方向の路面状況の情報を、また、回転数
センサ３３，トルクセンサ３４，シフト位置センサ３５
から現時点におけるエンジンのトルク及び馬力の情報
を、設定手段１３に出力する。設定手段１３では、これ
ら入力された情報から最適なダンパ強度の値、すなわ
ち、ダンパレートを演算して制御部１０に出力する。

【００１９】そして、制御部１０では、設定部１３によ
り設定されるダンパレートに基づいて可変軸駆動部４を
駆動し、オリフィス可変軸３が駆動されることにより、
設定されたダンパ強度となるようにダンパ２が制御され
る。

【００２０】このように、本実施例では、路面状況に合
わせてダンパ強度の調整をする場合、従来例のように手
動で選択するのではなく、各種情報に基づいて調整を行
うため、より細かな調整が可能となっている。

【００２１】また、ＧＰＳ受信装置２１から得られる位
置情報に基づいて今後の路面状況の変化を予め知ること
も可能なるため、設定手段１３による設定値を予測対応
型とすることにより、次の瞬間に車両に対し入力される
外力を事前に察知し、ダンピングレートを最適値に調整
して車両の安定を図ることができる。

【００２２】なお、上記実施例では、設定手段１３によ
る設定値は、基準となる各種情報に基づいて演算により
求めるようになっているが、情報を体系化することによ
り各種情報をテーブルデータとして格納し、このテーブ
ルデータを参照することによって設定値を求めるように
構成してもよい。この場合、テーブルデータは、ＩＣカ
ードや磁気記憶媒体等を利用することにより、テーブル
データの変更を容易なものとすることができる。

【００２３】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、設定手段によって設定されたダンパ強度の最
適値に基づいて、制御手段により自動的に所望のダンパ
強度を維持することができるので、車両の移動中、刻々
と変化する路面状況にも対応することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例のダンパ可変装置を自動車に
適用した場合の要部構成を示すブロック図。

【図２】従来のダンパ可変装置の概略構成を示す図。

【符号の説明】

１ ダンパ可変装置 ２ ダンパ ３ オリフィス可変軸 ４ 可変軸駆動部 ５ 動作切換スイッチ １０ 制御手段 １１ 第一情報収集手段 １２ 第二情報収集手段 １３ 設定手段 ２１ ＧＰＳ受信装置 ２２ ＣＤ−ＲＯＭ装置 ３１ クランク位置センサ ３２ 冷却水温センサ ３３ 回転数センサ ３４ トルクセンサ ３５ シフト位置センサ ３６ 速度センサ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ダンパ強度を所定範囲内で無段階に調節
   可能なダンパと、当該ダンパの強度を所望の値に制御す
   る制御手段とを備える車両用のダンパ可変装置であっ
   て、 少なくとも車両の現在位置における高さ及び進行方向に
   関する情報を収集する第一情報収集手段と、 車両における駆動部の駆動情報を収集する第二情報収集
   手段と、 前記第一情報収集手段及び前記第二情報収集手段から得
   られる情報に基づいて前記制御手段によるダンパ強度の
   値を逐次設定する設定手段と、 を備えることを特徴とするダンパ可変装置。
2. 【請求項２】 前記第一情報収集手段は、衛星からの送
   信信号を受信する受信手段と、地図データを格納する地
   図データ格納手段とを有し、 該受信手段により受信した情報に基づいて該地図データ
   格納手段に格納された地図データから現在の車両位置及
   び現在位置における高さ，車両の向きから進行方向の各
   情報を収集することを特徴とする請求項１記載のダンパ
   可変装置。
3. 【請求項３】 前記第二情報手段は、動力源の回転数を
   検出する回転センサ、動力源のトルクを検出するトルク
   センサ、シフト位置を検出するシフト位置センサを有す
   ることを特徴とする請求項１または２記載のダンパ可変
   装置。