JPH09110828A - プロスタグランジンe1エステル、それらを含有するリポソーム製剤、およびそれらを含有する医薬 - Google Patents

プロスタグランジンe1エステル、それらを含有するリポソーム製剤、およびそれらを含有する医薬

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JPH09110828A
JPH09110828A JP8231335A JP23133596A JPH09110828A JP H09110828 A JPH09110828 A JP H09110828A JP 8231335 A JP8231335 A JP 8231335A JP 23133596 A JP23133596 A JP 23133596A JP H09110828 A JPH09110828 A JP H09110828A
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昭雄 西浦
Takuya Seko
卓哉 世古
Ryoji Matsumoto
亮二 松本
Shinichi Hamano
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 式 【化1】 (式中、Rは(i)−CH2CH2−O−CO−R1また
は(ii)−CH2CH2−O−CO−CH2−O−R2(式
中、R1およびR2は炭素数10〜20のアルキル基を表
わす。)で示される基を表わす。)で示されるプロスタ
グランジンE1エステル誘導体、それらのシクロデキス
トリン包接化合物、およびそれらを含有するリポソーム
製剤、およびそれらを含有する医薬。 【効果】 式(I)の化合物は血流増加作用を有し、末
梢循環障害、褥瘡、皮膚潰瘍の治療剤または血行再建術
後の血流維持剤として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は一般式(I)
【化6】 (式中、Rは後記と同じ意味を表わす。)で示されるプ
ロスタグランジンE1(以下、PGE1と略記する。)エ
ステル誘導体、それらを含有するリポソーム製剤、およ
びそれらを含有する治療剤に関する。
【0002】
【発明の背景】PGE1は、下記構造式
【化7】 を有する化合物であり、種々の生理作用を有している
が、とりわけ血管に対しては、血圧降下作用、血管拡張
作用、血流量増加作用、血小板凝集抑制作用等を有して
いる。
【0003】このような多彩な生理作用を有しているこ
とから、PGE1の医薬品化が行なわれ、既に慢性動脈
閉塞症、振動病等の疾患の治療剤、血行再建術後の血流
維持、外科手術時の低血圧維持等に用いられている。し
かしながら、PGE1を末梢循環障害の改善に用いるた
めには、次のふたつの問題点がある。 (1)PGE1は多くの生理作用を有するため、ひとつ
の作用を治療に用いる場合、他の作用は副作用となる。 (2)生体内で分解酵素の作用を受けて急速に失活して
しまう。末梢循環障害は、末梢血管において血栓の形成
等により閉塞が生じ、潰瘍が形成され、疼痛、冷感等の
虚血性諸症状を伴なう疾患である。この病気を治療する
ためには末梢循環の血流量を増加させ、血行を改善させ
る必要があるが、一度に大量のPGE1が血管に流入す
ると、末梢循環だけでなく、大動脈系にも作用し、血圧
を大幅に低下させる恐れがある。これを解消するために
は、末梢循環には作用を及ぼすが大動脈系にはほとんど
作用しない程度の量のPGE1を与える必要がある。
【0004】一方で、PGE1は代謝が非常に早いこと
が知られている。従って、作用を持続させるためには常
にPGE1を生体内へ送り込む必要がある。これらのこ
とを総合的に判断すると、投与後生体内でPGE1に変
換され、しかもその速度が適度に遅く持続的に作用する
化合物の創製が望まれるところである。
【0005】
【問題点を解決するための手段】本発明者らは、投与後
生体内で徐々にPGE1に変換されるような化合物を見
出すべく検討を重ねた。本発明者らはPGE1の1位の
カルボン酸を特殊なアルコールでエステル化した化合物
が目的を達成することを見出し本発明を完成した。さら
に、本発明化合物をリポソームというリン脂質二重層よ
りなる閉鎖小胞に閉じ込めて投与すると、その効果はさ
らに顕著なものとなることも見出した。
【0006】特開昭59−206349号明細書には、
一般式(A)
【化8】 (式中、R1aはアルキル基、R2aは水素原子または低級
アルキル基、Xaは式
【化9】 で表わされる基を示す。)で示される化合物が血圧降下
作用、血小板凝集抑制作用などを有し、血圧降下剤、血
栓治療剤などとして用いられ、特に脂肪乳剤されたもの
が好ましい旨記載されている。
【0007】一般式(A)では、PGE1中のカルボキ
シル基とXaが表わすエステル結合(−COO−または
−OCO−)の間にメチレン鎖(−CH2−)またはア
ルキル基で置換されたメチレン鎖
【化10】 が存在する。一方、本発明の一般式(I)の相当する部
分では、Rが
【化11】(i)−CH2CH2−O−CO−R1 を表わす時には、エチレン鎖(−CH2CH2−)を介し
て結合されている点で異なり、Rが
【化12】 (ii)−CH2CH2−O−CO−CH2−O−R2 を表わす時には、エチレン鎖を介して結合している点
と、さらにエーテル結合(−CH2−O−)を介してR2
と結合している点で異なる。
【0008】また、本発明化合物は作用の選択性および
作用の持続性の点で非常に優れていると言える。さら
に、本発明化合物のリポソーム製剤は、薬物の保持と放
出の点でも非常に優れている。
【0009】
【発明の開示】本発明は、 (1)一般式(I)
【化13】 (式中、Rは
【化14】(i) −CH2CH2−O−CO−R1 または
【化15】 (ii) −CH2CH2−O−CO−CH2−O−R2 (式中、R1およびR2は各々独立して、炭素数10〜2
0のアルキル基を表わす。)で示される基を表わす。)
で示されるプロスタグランジンE1エステル誘導体、ま
たはそれらのシクロデキストリン包接化合物、 (2)それらを含有するリポソーム製剤、および (3)それらを含有する治療剤に関する。
【0010】本発明においては、すべての異性体が含ま
れる。例えば、アルキル基には直鎖のもと分枝鎖のもの
が含まれる。一般式(I)において、R1およびR2が表
わす炭素数10〜20のアルキル基としては、デシル、
ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペ
ンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシ
ル、ノナデシル、エイコシル基およびそれらの異性体が
挙げられる。好ましいR1としては、炭素数10〜12
のアルキル基、好ましいR2としては炭素数11〜17
のアルキル基、およびそれらの異性体である。特に好ま
しいR1はウンデシル基、またR2としてはドデシル基ま
たはヘキサデシル基である。一般式(I)で示されるP
GE1誘導体は、α−、β−あるいはγ−シクロデキス
トリン、あるいはこれらの混合物を用いて、特公昭50
−3362号、または同52−31404号明細書記載
の方法を用いることによりシクロデキストリン包接化合
物に変換することができる。シクロデキストリン包接化
合物に変換することにより、安定性が増大し、また水溶
性が大きくなるため、薬剤として使用する際好都合であ
る。
【0011】
【本発明化合物の製造方法】一般式(I)で示される化
合物は、式(II)
【化16】 (式中、R3は酸性条件下で脱離することができる保護
基、例えば、テトラヒドロピラン−2−イル、メトキシ
メチルまたは2−エトキシエチル基等を表わし、Rは前
記と同じ意味を表わす。)で示される化合物のR3基を
脱離することにより製造される。R3基の脱離反応は、
酢酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸または塩酸、
硫酸等の無機酸の水溶液中、好適には水と混和しうる有
機溶媒、例えば、メタノール、エタノール等の低級アル
カノールまたはジオキサン、テトラヒドロフラン等のエ
ーテル類の存在下、室温から75℃の温度で行なわれ
る。好ましくは酢酸、水およびテトラヒドロフランの混
合液中、40〜50℃で行なわれる。
【0012】一般式(II)で示される化合物は、一般式
(II)で示される化合物のフリーのカルボン酸に相当す
る化合物と一般式(III)
【化17】 HO−CH2CH2−O−CO−R1 (III) または一般式(IV)
【化18】 HO−CH2CH2−O−CO−CH2−O−R2 (IV) (式中、すべての記号は前記と同じ意味を表わす。)で
示される化合物を、不活性有機溶媒(例えば、テトラヒ
ドロフラン、ジオキサン等のエーテル類)中、トリフェ
ニルホスフィンおよびジエチルアゾジカルボキシレート
(以下、DEADと略記する。)の存在下、0℃から室
温で反応させることにより製造される。
【0013】出発原料として用いる、一般式(II)で示
される化合物のフリーのカルボン酸に相当する化合物の
内、(13E)−(11α,15S)−9−オキソ−1
1,15−ビス(テトラヒドロピラン−2−イルオキ
シ)プロスト−13−エン酸はJ. Am. Chem. Soc., 92,
2586 (1970)に記載された公知化合物である。また、一
般式(II)で示される化合物のフリーのカルボン酸に相
当する上記以外の化合物、一般式(III)および(IV)
で示される化合物は、それぞれ公知化合物であるか、あ
るいは公知化合物から公知の方法により容易に製造する
ことができる。例えば、以下の反応工程式AおよびBに
記載した方法により製造される。
【0014】
【化19】
【0015】
【化20】
【0016】上記工程中、各略号は以下の意味を表わ
し、R1およびR2は前記と同じ意味を表わす。 Py:ピリジン、 DMF:ジメチルホルムアミド、t Bu:tert−ブチル基、 DME:ジメトキシエタン、 iPr:イソプロピル基、 Et:エチル基、 THF:テトラヒドロフラン、 Ph:フェニル基、 EtOH:エタノール。
【0017】
【本発明化合物の薬理活性】一般式(I)で示されるP
GE1エステル誘導体、およびそれらのシクロデキスト
リン包接化合物は、強力かつ持続的な血流増加作用を有
しているにもかかわらず、血圧降下作用が弱いため、末
梢循環障害(例えば、慢性動脈閉塞症、振動病等)、褥
瘡、皮膚潰瘍(例えば、熱傷、糖尿病性潰瘍、下腿潰
瘍、術後潰瘍等)の疾患の治療剤および血行再建術後の
血流維持に用いることができる。本発明化合物の血流増
加作用及び血圧降下作用は、例えば、以下の実験によっ
て確認された。
【0018】[実験方法]体重200〜350gの雄性
ラットをウレタン(25%ウレタン、6ml/kg、
s.c投与)麻酔下、投薬用および血圧モニター用とし
て、それぞれ総頸静脈および総頸動脈にポリエチレン性
カニューレを挿入した。血圧はディスポーザブルプレッ
シャートランスデューサーキット(ビゴスペクトラメッ
ド社製)を介してレクチコーダ(型式RJG−412
8、日本光電社製)上に記録した。また血流量は、接触
型レーザードップラー血流量計(型式:ALF21、ア
ドバンス社製)を用いて後肢甲部の皮膚血流量をモニタ
ーした。血圧、血流量とも薬物投与前から投与後の値が
投与前の値に戻るまでモニターした。また、薬物はそれ
ぞれの濃度で約10秒かけて投与した。血圧降下作用と
しては、投与後の最大降圧活性(mmHg)を血流増加
作用としては、投与後の曲線下面積(AUC)を算出し
た。
【0019】結果は、有効な血流増加作用(主作用)を
得るのに必要な投与量(有効投与量)とその投与量にお
ける血圧降下作用(副作用)によって表わした。なお、
本発明化合物はいずれもリポソーム製剤(実施例4で製
造した。)の形態で投与した。比較化合物としては、特
開昭59-206349号明細書の実施例10に記載されたPG
1 1−デカノイルオキシエチルエステルの脂肪乳剤
(本明細書、参考例8で製造した。)の形態で投与し
た。
【0020】ここで、有効な血流増加作用(AUC)は
以下の方法により求めた。すなわち、PGE1自身の脂
肪乳剤(市販品)はラット病態モデルにおいては5μg
/kgの静脈内投与で有効性を示す[Drug Exp. Clin.
Res., 12, 917 (1986)に記載]。前記した本発明化合物
の評価実験において、PGE1脂肪乳剤(5μg/kg
静脈内投与時)の血流増加作用がAUCで771であっ
たので、この値を有効な血流増加作用として用いた。
【0021】
【表1】
【0022】表1より以下のことが判明した。 (1)本発明化合物の血流増加作用(主作用)は、比較
化合物に較べて約2倍から15倍優れている。 (2)一方、有効投与量における血圧降下作用(副作
用)をみてみると、本発明化合物は比較化合物の1/1
0から1/5しかない。 このように、本発明化合物を末梢循環障害、褥瘡、皮膚
潰瘍の治療剤または血行再建術後の血流維持に用いる場
合には比較化合物より著しく優れていると考えられる。
【0023】
【毒性】本発明化合物の毒性は十分に低いものであり、
医薬品として使用するために十分安全であり、適してい
ることが確認された。
【0024】
【医薬品への適用】一般式(I)で示される本発明化合
物、またはそれらのシクロデキストリン包接化合物を前
記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、
非経口の形で投与される。投与量は、年齢、体重、症
状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、
通常、成人一人当り、一回につき0.1μgから500μ
gの範囲で、一日一回から数回非経口投与(好ましく
は、静脈内投与)されるか、または一日1時間から24
時間の範囲で静脈内に続投投与される。もちろん前記し
たように、投与量は種々の条件により変動するので、上
記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲
を越えて投与の必要な場合もある。本発明化合物を投与
する際には、非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤
等として用いられる。
【0025】本発明による非経口投与のための注射剤と
しては、無菌の水性または非水性の溶液剤、懸濁剤、乳
濁剤を包含する。水性の溶液剤、懸濁剤としては、例え
ば注射用蒸留水および生理食塩水が含まれる。非水溶性
の溶液剤、懸濁剤としては、例えばプロピレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物
油、エタノールのようなアルコール類、ポリソルベート
80(登録商標)等がある。このような組成物は、さら
に防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補
助剤(例えば、グルタミン酸、アルパラギン酸)のよう
な補助剤を含んでいてもよい。これらはバクテリア保留
フィルターを通すろ過、殺菌剤の配合または照射によっ
て無菌化される。これらはまた無菌の固体組成物を製造
し、使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他
の溶媒に溶解して使用することもできる。非経口投与の
ためのその他の組成物としては、ひとつまたはそれ以上
の活性物質を含み、常法により処方される外用液剤、軟
膏、塗布剤、直腸内投与のための坐剤および腟内投与の
ためのペッサリー等が含まれる。
【0026】さらに、本発明には一般式(I)で示され
るPGE1エステル誘導体またはそれらのシクロデキス
トリン包接化合物を有効成分として含有するリポソーム
製剤が含まれる。リポソーム製剤は、ホスファチジルコ
リン(例えば、卵黄または大豆由来の天然リン脂質、ジ
ミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホ
スファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコ
リン等の合成リン脂質)等のリポソーム膜素材からなる
単層または多重層球形微細粒子である。リポソーム製剤
とすることにより、薬物の目的臓器へのターゲティン
グ、薬物の持続化が計られる。リポソーム製剤には、活
性成分以外の助剤、例えば糖類(ラクトース、マンニト
ール等)、中性脂質(コレステロール、トリグリセライ
ド等)、荷電脂質(ホスファチジン酸、ステアリルアミ
ン等)を加えることができる。リポソーム製剤は公知の
方法により製造することができる。例えば、特開昭61-1
00518 号明細書、「リポソームテクノロジー(Liposome
Technology)」Vol.1,2および3、グレゴリアディ
ス(Gregoriadis.,G)編集(1993年発行))等に詳しく
記載されている。一般式(I)で示されるPGE1エス
テル誘導体またはそれらのシクロデキストリン包接化合
物とリポソーム膜素材の比率は1:1〜1:400であ
り、好ましくは1:10〜1:200、特に好ましくは
1:10〜1:50である。
【0027】
【実施例】以下、参考例および実施例によって本発明を
詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。クロマトグラフィーによる分離の箇所およびTLC
に示されているカッコ内の溶媒は、使用した溶出溶媒ま
たは展開溶媒を示し、割合は体積比を表す。NMRの箇
所に示されているカッコ内の溶媒は、測定に使用した溶
媒を示している。
【0028】参考例1:ラウリン酸 2−ヒドロキシエ
チルエステル
【化21】
【0029】氷冷下、エチレングリコール(434m
g)をアセトン(20ml)に溶解して、ピリジン(6
32mg)を加え、ラウリン酸クロライド(1532mg)
を滴下し、室温にもどして2時間撹拌した。混合物を濃
縮し、残渣に水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層
を水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃
縮した。残留物をカラムクロマトグラフィ(n−ヘキサ
ン:酢酸エチル=4:1)で精製して、下記物性値を有
する標題化合物(1.63g)を得た。 TLC:Rf 0.38(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:
1)。
【0030】参考例2:(13E)−(11α,15
S)−9−オキソ−11,15−ビス(テトラヒドロピ
ラン−2−イルオキシ)プロスト−13−エン酸 2−
(ドデカノイルオキシ)エチルエステル
【化22】
【0031】氷冷下、(13E)−(11α,15S)
−9−オキソ−11,15−ビス(テトラヒドロピラン
−2−イルオキシ)プロスト−13−エン酸(365.4m
g)をテトラヒドロフラン(以下、THFと略する。)
(5ml)に溶解し、トリフェニルホスフィン(366.5
mg)およびアルコール体(参考例1で製造した、341.
6mg)を加え、更にジエチルアゾジカルボキシレート
(以下、DEADと略する。)(243.6mg)のTHF
(1ml)溶液を滴下した後、室温にもどして1時間半
撹拌した。水を加え、酢酸エチルで2回抽出した後、有
機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥
後、溶媒を留去した。残留物をカラムクロマトグラフィ
(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)で精製して、下
記物性値を有する標題化合物(466mg)を得た。 TLC:Rf 0.42(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:
1)。
【0032】参考例3:ヘキサデシルオキシ酢酸 t−
ブチルエステル
【化23】
【0033】水素化ナトリウム(532.5mg)をDMF
(15ml)中に懸濁させ、ヘキサデカノール(4.0
g)のDMF(10ml)溶液を滴下し、ヨウ化ナトリ
ウム(15mg)を加え80℃で1時間撹拌して、粘性
の高いミルキー状の溶液を得た。この溶液を室温にもど
し、α−ブロモ酢酸 t−ブチルエステル(2.6g)を
加え、1時間撹拌した。水を加えて反応を止め、混合物
をn−ヘキサン−酢酸エチル混合溶媒(n−ヘキサン:
酢酸エチル=1:1)で3回抽出した後飽和食塩水で洗
浄し、硫酸マグネシウムで乾燥して、溶媒を留去した。
残留物をカラムクロマトグラフィ(n−ヘキサン:酢酸
エチル=20:1)で精製して、下記物性値を有する、
標題化合物とヘキサデシルオキシ酢酸ヘキサデシルエス
テル(副生成物)の混合物(2.53g)を得た。 TLC:Rf 0.45(n−ヘキサン:酢酸エチル=1
0:1)、 NMR(CDCl3):δ 4.12(t,J=5.8Hz), 4.06(s), 3.52
(t,J=4.8Hz), 1.62(m),1.26(m), 0.88(t,J=7.0Hz)。
【0034】参考例4:ヘキサデシルオキシ酢酸
【化24】HOOCCH2O−C1633
【0035】t−ブチルエステル体と、ヘキサデシルエ
ステル体の混合物(参考例3で得られた、1.45g)をジ
メトキシエタン(5ml)に溶解し、1N水酸化ナトリ
ウム溶液(2ml)を加え還流した。この混合物をエー
テルで抽出して不純物を除去した。水層を1N塩酸で酸
性にした後、n−ヘキサン−酢酸エチル混合溶媒(n−
ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で3回抽出し、飽和食
塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去
した。残留物をカラムクロマトグラフィ(n−ヘキサ
ン:酢酸エチル=1:1)で精製をして、下記物性値を
有する標題化合物(698mg)を得た。 TLC:Rf 0.25(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:
1)、 NMR(CDCl3):δ 4.10(2H,s), 3.5(2H,t,J=6.2Hz),
1.75-1.50(2H,m), 1.36(26H,m), 0.85(3H,t,J=6.8H
z)。
【0036】参考例5:ヘキサデシルオキシ酢酸 2−
(ベンジルオキシ)エチルエステル
【化25】
【0037】カルボン酸体(参考例4で製造した、69
8mg)と2−(ベンジルオキシ)エタノール(710
mg)を塩化メチレン(10ml)に溶解し、ジイソプ
ロピルエチルアミン(2.2ml)を加え、さらに2−ク
ロロ−1−メチルピリジニウムヨーダイド(891m
g)を加えて、室温で1.5時間撹拌した。反応液に、氷
水を加え、塩化メチレンで2回抽出した後、有機層を希
塩酸および飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾
燥して溶媒を留去した。カラムクロマトグラフィ(n−
ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製して、下記物
性値を有する標題化合物(425mg)を得た。 TLC:Rf 0.63(n−ヘキサン:酢酸エチル=3:
1)、 NMR(CDCl3):δ 7.30(5H,m), 4.57(2H,s), 4.34(2
H,t,J=4.8Hz), 4.10(2H,s), 3.70(2H,t,J=4.8Hz), 3.52
(2H,t,J=6.6Hz), 1.57(4H,m), 1.27(24H,m), 0.88(3H,
t,J=6.8Hz)。
【0038】参考例6:ヘキサデシルオキシ酢酸 2−
ヒドロキシエチルエステル
【化26】
【0039】10%パラジウム−炭素(110mg)を
酢酸エチル(10ml)に懸濁させた後、水素ガスで置
換した。ベンジル体(参考例5で製造した、365m
g)の酢酸エチル(5ml)溶液を加え、水素雰囲気
下、1時間撹拌した。TLCで原料がなくなったことを
確認した後、水素ガスを除去し、セライト(登録商標)
を用いてパラジウム−炭素を除去した。溶液を留去し、
残留物をカラムクロマトグラフィ(n−ヘキサン:酢酸
エチル=2:1)で精製して、下記物性値を有する標題
化合物(275mg)を得た。 TLC:Rf 0.32(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:
1)、 NMR(CDCl3):δ 4.30(2H,d,J=4.8Hz), 4.12(2H,
s), 3.85(2H,m), 3.52(2H,t,J=6.2Hz), 1.70-1.50(2H,
m), 1.26(26H,m), 0.86(3H,t,J=6.8Hz)。
【0040】参考例7:(13E)−(11α,15
S)−9−オキソ−11,15−ビス(テトラヒドロピ
ラン−2−イルオキシ)プロスト−13−エン酸 2−
(ヘキサデシルオキシアセトキシ)エチルエステル
【化27】
【0041】ラウリン酸 2−ヒドロキシエチルエステ
ルの代わりに参考例6で得たアルコール体(258m
g)を用いて、参考例2と同様の操作を行なって、下記
物性値を有する標題化合物(268mg)を得た。 TLC:Rf 0.45(n−ヘキサン:酢酸エチル=5:
2)。
【0042】実施例1:PGE1 (ドデカノイルオキ
シ)エチルエステル
【化28】
【0043】ビス(テトラヒドロピラン−2−イルオキ
シ)体(参考例2で製造した、460mg)をTHF
(2ml)に溶解し、65%酢酸(20ml)を加え、
45℃で1時間撹拌した。室温まで冷却し、水を加え、
酢酸エチルで3回抽出した。有機層を水、飽和炭酸水素
ナトリウム溶液および飽和食塩水で順次洗浄し、硫酸マ
グネシウムで乾燥して溶媒を留去した。残留物をカラム
クロマトグラフィ(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:
1)で精製して、下記物性値を有する標題化合物(17
8mg)を得た。 TLC:Rf 0.60(酢酸エチル)、 NMR(CDCl3):δ 5.77-5.48(2H,m), 4.26(4H,s),
4.20-3.97(2H,m), 3.10-2.90(1H,m), 2.83-2.67(1H,m),
2.45-2.13(7H,m), 2.07-1.93(1H,m), 0.95-0.83(6H,
m)。
【0044】実施例2:PGE1 2−(ヘキサデシル
オキシアセトキシ)エチルエステル
【化29】
【0045】実施例1で用いたビス(テトラヒドロピラ
ン−2−イルオキシ)体の代わりに、参考例7で製造し
たビス(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)体(2
60mg)を用いて、実施例1と同様の操作を行なって
下記物性値を有する標題化合物(145.5mg)を得た。 TLC:Rf 0.45(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:
3)、 NMR(CDCl3):δ 5.78-5.50(2H,m), 4.24-4.20(4H,
m), 4.20-3.98(4H,m),3.55(2H,t,J=7.0Hz), 3.08-2.95
(1H,bs), 2.72(1H,dd,J=12,7.5Hz), 2.42-2.15(5H,m),
2.15-1.90(2H,m), 1.90-1.48(10H,m), 1.48-1.18(34H,
m), 1.00-0.90(6H,m)。
【0046】実施例3:PGE1 2−(ドデシルオキ
シアセトキシ)エチルエステル
【化30】
【0047】参考例3においてヘキサデカノールのかわ
りにテトラデカノールを用いて、参考例3→参考例4→
参考例5→参考例6→参考例7→実施例2と同様の操作
を行なって、下記物性値を有する標題化合物を得た。 NMR(CDCl3):δ 5.78-5.48(2H,m), 4.24-4.20(4H,
m), 4.20-3.98(4H,m),3.55(2H,t,J=7.0Hz), 3.40-3.10
(1H,bs), 2.72(1H,dd,J=12,7.5Hz), 2.52-2.10(5H,m),
2.15-1.90(1H,m), 1.90-1.48(8H,m), 1.48-1.18(28H,
m), 1.00-0.90(6H,m)。
【0048】実施例4:リポソーム製剤の作製 ジミリストイルホスファチジルコリン(以下、DMPC
と略記する。6mg)と種々の本発明のPGE1誘導体
(3〜90μg)をクロロホルムに溶解させた後、クロ
ロホルムを留去し、さらに減圧下に1時間放置した。こ
こに、10%マルトース溶液(3ml)を加え、ボルテ
クスミキサー(形式S−100大洋科学工業(株)製)で
脂質を水和し白濁溶液(1,3,10および30μg/
mlの濃度のもの)を得た。得られた多重層リポソーム
(multi lamellar liposome)溶液を用いて、以下の方
法によって小一枚膜リポソーム(smallunilamellar lip
osome)を調製した。
【0049】(1)ソニケーション法 前記の方法で得られた多重層リポソーム溶液(3ml)
をプラスチックスピッツ管に移し、プローブ型ソニケー
ター(型式 SONIFIER cell disruptor 200, Branson 社
製)を用いて、50%パルス、15分間の条件で超音波
処理を行なった。得られた溶液を0.2μmのフィルター
を通してチタニウムを沈殿させ、平均粒子径40〜70
nmのリポソーム製剤を得た。
【0050】(2)エクストルージョン法 エクストルーダ(THE EXTRUDER,リペックス・バイオメ
ンブランス・インク(LipexBiomembranes Inc.)社
製)にポアーサイズ0.1μmのポリカーボネートフィル
ター2枚を重ねて敷き、前記の方法で得られた多重層リ
ポソーム溶液(3ml)を供した。エクストルーダーの
本体は40〜50℃の温浴につけておいた。3回フィル
ターを通した後、次にポリカーボネートフィルターを0.
05μmのものに替えて、さらに3回通して、平均粒子径
50〜60μmのリポソーム製剤を得た。
【0051】実施例5:リポソーム製剤の作製 実施例4においてジミリストイルホスファチジルコリン
の代わりに卵レシチン(6mg)、および本発明のPG
1誘導体(30〜600μg)を用いて、同様の操作
を行ない、リポソーム製剤を得た。
【0052】製剤例1:PGE1 デカノイルオキシエ
チルエステルのリポソーム製剤(実施例4で製造し
た。)を1mlずつバイアルに分注した後凍結乾燥して
目的とする注射剤を得た。
【0053】参考例8:PGE1 1−デカノイルオキ
シエチルエステルの脂肪乳剤 精製大豆油(200mg)に、精製卵黄リン脂質(48
mg)、PGE1 1−デカノイルオキシエチルエステ
ル(15μg〜450μg)、オレイン酸ナトリウム
(1mg)およびホスファチジン酸(1mg)を加え
て、40〜70℃で溶解させた。ここへ蒸留水(2m
l)を加え、高速ホモジナイザーを用いて30分間粗乳
化した。得られた乳化液にグリセリン(10mg)を加
え、さらに20〜40℃の注射用蒸留水(800μl)
を加えた。これをプローブ型ソニケーターを用いて、3
0分間乳化することにより、均質化された極めて微細な
(平均粒子径200〜400nm)脂肪乳剤を得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07B 63/02 7419−4H C07B 63/02 B (72)発明者 浜野 進一 大阪府三島郡島本町桜井3−1−1 小野 薬品工業株式会社水無瀬総合研究所内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 (式中、Rは 【化2】(i) −CH2CH2−O−CO−R1 または 【化3】 (ii) −CH2CH2−O−CO−CH2−O−R2 (式中、R1およびR2は各々独立して、炭素数10〜2
    0のアルキル基を表わす。)で示される基を表わす。)
    で示されるプロスタグランジンE1エステル誘導体、ま
    たはそれらのシクロデキストリン包接化合物。
  2. 【請求項2】 一般式(I)において、Rが 【化4】(i) −CH2CH2−O−CO−R1 (式中、R1は炭素数10〜12のアルキル基を表わ
    す。)である請求項1記載の化合物。
  3. 【請求項3】 一般式(I)において、Rが 【化5】 (ii) −CH2CH2−O−CO−CH2−O−R2 (式中、R2は炭素数11〜17のアルキル基を表わ
    す。)である請求項1記載の化合物。
  4. 【請求項4】 PGE1 2−(ドデカノイルオキシ)
    エチルエステルである請求項2記載の化合物。
  5. 【請求項5】 PGE1 2−(ドデシルオキシアセト
    キシ)エチルエステルまたはPGE1 2−(ヘキサデ
    シルオキシアセトキシ)エチルエステルである請求項3
    記載の化合物。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の一般式(I)で示され
    るプロスタグランジンE1誘導体またはそれらのシクロ
    デキストリン包接化合物を有効成分として含有するリポ
    ソーム製剤。
  7. 【請求項7】 リポソーム膜素材の主成分として、ジミ
    リストイルホスファチジルコリンを用いた請求項6記載
    のリポソーム製剤。
  8. 【請求項8】 リポソーム膜素材の主成分として、卵レ
    シチンを用いた請求項6記載のリポソーム製剤。
  9. 【請求項9】 凍結乾燥されていることを特徴とする請
    求項6から8のいずれかに記載されたリポソーム製剤。
  10. 【請求項10】 有効成分として、 PGE1 2−(ドデカノイルオキシ)エチルエステル
    を含有する請求項6記載のリポソーム製剤。
  11. 【請求項11】 有効成分として、 PGE1 2−(ドデシルオキシアセトキシ)エチルエ
    ステルまたはPGE1 2−(ヘキサデシルオキシアセ
    トキシ)エチルエステルを含有する請求項6記載のリポ
    ソーム製剤。
  12. 【請求項12】 請求項1に記載の一般式(I)で示さ
    れるプロスタグランジンE1誘導体またはそれらのシク
    ロデキストリン包接化合物を有効成分とする末梢循環障
    害治療剤、褥瘡治療剤または皮膚潰瘍治療剤。
  13. 【請求項13】 請求項1に記載の一般式(I)で示さ
    れるプロスタグランジンE1誘導体またはそれらのシク
    ロデキストリン包接化合物を有効成分として含有する血
    行再建術後の血流維持剤。
  14. 【請求項14】 請求項1に記載の一般式(I)で示さ
    れるプロスタグランジンE1誘導体またはそれらのシク
    ロデキストリン包接化合物を有効成分として含有する医
    薬。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2010058669A1 (ja) * 2008-11-18 2010-05-27 株式会社Lttバイオファーマ 新規プロスタグランジンe1誘導体及びそれを封入するナノ粒子
JP2012528077A (ja) * 2009-05-27 2012-11-12 スキャンポ・アーゲー クローディン媒介機能の調節および皮膚疾患の処置に使用するための、プロスタグランジン誘導体を含む医薬組成物
US8916206B2 (en) 2005-12-26 2014-12-23 Ltt Bio-Pharma Co., Ltd. Nanoparticles containing water-soluble non-peptide low-molecular weight drug

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WO2010058669A1 (ja) * 2008-11-18 2010-05-27 株式会社Lttバイオファーマ 新規プロスタグランジンe1誘導体及びそれを封入するナノ粒子
JP2012528077A (ja) * 2009-05-27 2012-11-12 スキャンポ・アーゲー クローディン媒介機能の調節および皮膚疾患の処置に使用するための、プロスタグランジン誘導体を含む医薬組成物

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