JPH09109112A - 木材の保存処理方法 - Google Patents

木材の保存処理方法

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JPH09109112A JP29729695A JP29729695A JPH09109112A JP H09109112 A JPH09109112 A JP H09109112A JP 29729695 A JP29729695 A JP 29729695A JP 29729695 A JP29729695 A JP 29729695A JP H09109112 A JPH09109112 A JP H09109112A
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恵子 和田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 化学加工処理による寸法安定性等の効果を確
保すると同時に、高い防腐、防黴及び/又は防蟻性を付
与でき、しかも安全性が高く、かつ効果が長期間持続す
る木材の保存処理方法を提供する。 【解決手段】 処理工程に加熱処理を含む木材の化学加
工処理において、該処理の処理液中に、木材基質及び/
又は処理液の反応性基に対する反応性を有し、かつ防
腐、防黴及び/又は防蟻性を示す薬剤を添加して処理す
る。特に化学加工処理液として、多価カルボン酸もしく
はその誘導体と多価アルコールの混合物又は縮合物を含
む処理液を用い、これらを含浸又は塗布した後、加熱処
理する木材の化学加工処理において、処理液に前記薬剤
を添加する。前記薬剤としては、カルボキシベタイン、
アミノカルボン酸、イミダゾリニウムベタイン、トリブ
ロモフエノール、チアベンダゾール、メルカプトベンゾ
チアゾール及び第四アンモニウム化合物が好適に用いら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木材の保存処理方
法に関し、さらに詳しくは、木材製品の化学加工及び防
腐、防黴及び/又は防蟻処理方法並びにそれによって得
られる木材製品に関する。
【0002】
【従来の技術】木材に防腐、防黴及び/又は防蟻性を付
与する目的で、これまで種々の薬剤を木材に含浸して用
いられてきた。しかし、従来の薬品には有毒なものが多
く、作業者及び製品使用者の健康障害が指摘され、薬剤
処理及び廃棄処理に関して改善が求められている。特に
毒性が問題とされるものとして、水溶性定着型の防腐、
防蟻剤が挙げられる。これらは、処理薬剤の溶媒として
低コストの水を用い、木材中に固着残存する防腐、防蟻
剤であり、クロム銅ひ素系防腐剤(CCA)、ふっ素ク
ロムひ素系防腐剤(FCAP)などがある。これらのひ
素及びクロム化合物は、毒性が非常に高いことから世界
的に使用禁止の動きが出ている。防黴剤もやはり防腐剤
と同様に毒性の高いものが多い。クロロフェノール系
は、防黴性及び残留性が高いことから、これまで長く使
用されてきた。しかし、不純物として発癌性の高いダイ
オキシンが含まれることから、使用禁止の方向へ進んで
いる。また、防黴剤の多くは水不溶性であり、実用の便
利さに欠けるという難点もある。
【0003】一方、木材に寸法安定性を付与する方法と
して、木材中の水酸基を化学的に変成して、水分の吸収
を抑える方法がある。このような方法として、オリゴエ
ステル化処理、エーテル化処理、アセチル化処理、ホル
マール化処理、マレイン酸−グリセリン処理がある。特
開昭64−8001号には、多価カルボン酸と多価アル
コールを木材に含浸又は塗布し、加熱により脱水結合を
主とする反応により木材構成成分(セルロース、ヘミセ
ルロース、リグニン)との間に3次元網目構造を形成
し、木材の寸法安定性及び耐腐朽性を付与する方法が開
示されている。この方法は、処理に用いる薬剤の毒性が
低く、低コストで高い寸法安定性及び耐腐朽性を確保で
きるという利点を有する。また、特開平7−32313
号には、同様の化学処理により防黴性を付与できること
が開示されている。しかし、このような寸法安定性を主
な目的とする化学加工処理により得られる防腐、防黴性
は、TBZ[2−(4−チアゾリル−ベンツイミダゾー
ル)]等の防腐剤と比べると十分なものではなく、使用
条件によってはさらに高い防腐、防黴及び/又は防蟻性
が要求される。そのような場合には、別途、防腐、防黴
及び/又は防蟻剤を塗布等により含浸させる必要があっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記のように、木材に
化学加工処理を施すことにより、寸法安定性を付与する
と共に、防腐、防黴及び/又は防蟻性を改善することが
できる。しかし、高い防腐、防黴及び/又は防蟻性を付
与するためには、別途、防腐、防黴及び/又は防蟻処理
を施す必要があった。また、通常の防腐、防黴、防蟻処
理は、薬剤を含浸、塗布するのみで、木材基質と化学結
合しておらず、水等の溶媒と接触した場合、溶脱する欠
点を有している。また、使用される薬剤が毒性を持つ場
合、溶脱によって使用者の健康に対する影響は避けられ
ない。さらに、溶脱により次第に効果が失われるため、
長期の性能維持が困難である。従って、本発明の目的
は、これらの欠点を改善し、化学加工処理による寸法安
定性等の効果を確保すると同時に、高い防腐、防黴及び
/又は防蟻性を付与でき、しかも安全性が高く、かつ効
果が長期間持続する木材の保存処理方法を提供し、もっ
て寸法安定性、防腐、防黴及び/又は防蟻性等に優れた
木材製品を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明によれば、処理工程に加熱処理を含む木材の
化学加工処理において、該処理の処理液中に、木材基質
及び/又は処理液の反応性基に対する反応性を有し、か
つ防腐、防黴及び/又は防蟻性を示す薬剤を添加して処
理することを特徴とする木材の保存処理方法が提供され
る。好適な態様においては、上記薬剤として、カルボキ
シル基及び/又は水酸基に対する反応性を有し、かつ防
腐、防黴及び/又は防蟻性を示す薬剤が用いられる。こ
のような方法で木材を処理することにより、化学加工処
理により本来得られる寸法安定性等の性能に加えて、高
い防腐、防黴及び/又は防蟻性を有し、しかもこれらの
効果が長期間持続する木材製品が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の木材の保存処理方法は、
化学加工処理液に、木材基質及び/又は処理液の反応性
基に対する反応性を有する防腐、防黴及び/又は防蟻処
理剤(以下、薬剤と称する)を添加することにより、木
材に高い防腐、防黴及び/又は防蟻性を付与するもので
ある。すなわち、防腐、防黴及び/又は防蟻性を示す薬
剤が、木材基質の反応性基(水酸基)と反応して結合
し、あるいは木材基質の反応性基と反応して結合した処
理液の成分の反応性基(水酸基、カルボキシル基等)と
反応して結合し、あるいはさらに両方の反応性基と反応
して結合することにより、木材中からの溶脱が低く抑え
られ、長期持続性の防腐、防黴及び/又は防蟻性が付与
されるものであり、また当然のことながら、化学加工処
理による寸法安定性等の効果も得られる。
【0007】前記薬剤としては、前記説明から明らかな
ように、木材基質及び/又は使用する処理液の反応性基
に対する反応性を有すると共に、防腐、防黴及び/又は
防蟻性を示す化合物は全て使用可能である。また、化学
加工処理液としては、従来公知の種々の化学加工処理、
例えばマレイン酸−グリセリン処理、オリゴエステル化
処理、エーテル化処理、アセチル化処理、ホルマール化
処理などの処理液を用いることができる。特に化学加工
処理液として、多価カルボン酸もしくはその誘導体と多
価アルコールの混合物又は縮合物を含む処理液を用い、
これらを含浸又は塗布した後、加熱処理する木材の化学
加工処理において、処理液に前記薬剤を添加することに
より、木材に寸法安定性と同時に優れた防腐、防黴及び
/又は防蟻性を付与することができ、また取扱い性、処
理性に優れており、しかも安全性が高く作業者や製品使
用者の健康に対する影響も殆どない木材製品が得られ
る。
【0008】本発明に用いる化学加工処理として、例え
ば、マレイン酸−グリセリン処理について説明する。マ
レイン酸−グリセリン処理は、多価カルボン酸もしくは
その誘導体と多価アルコールの混合物溶液又はこれらの
縮合物溶液を、含浸ないし塗布により木材に処理し、加
熱により、多価カルボン酸のカルボン酸基と、多価アル
コールの水酸基及び木材セルロースの水酸基との間にエ
ステル結合を形成し、木材中に樹脂を形成し、寸法安定
性を付与するものである。
【0009】このような化学加工処理に使用される多価
カルボン酸としては、マロン酸、マレイン酸、フマル
酸、コハク酸、アジピン酸、フタル酸等の二価のカルボ
ン酸、それらの無水物及び誘導体、トリメリット酸等の
三価のカルボン酸、それらの無水物及び誘導体、ピロメ
リット酸等の四価のカルボン酸、それらの無水物及び誘
導体などが挙げられる。また、本発明に使用される多価
アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、プロピレングリコール等の二価のアルコー
ル、グリセリン等の三価のアルコール、各種糖類、糖ア
ルコール等、さらにはポリビニルアルコール等のポリオ
ール類などが使用できる。特に、マレイン酸とグリセリ
ンを使用する場合、最も良い結果が得られる。
【0010】これら多価カルボン酸と多価アルコールを
混合した後、適当な溶媒を加え、処理液を調合する。処
理液を木材に含浸させた後、該木材を乾燥し、加熱炉中
で所定の温度に加熱処理する。処理温度は加熱中にエス
テル化が進行する温度以上、木材が熱分解する温度以下
に設定される。実際には120℃以上180℃以下が望
ましい。また、処理による木材の重量増加率は5%以上
35%以下に設定するのが望ましい。
【0011】木材基質及び/又は処理液の反応性基に対
する反応性を有する防腐、防黴及び/又は防蟻性を示す
薬剤とは、カルボキシル基や水酸基との反応性を有する
薬剤を意味し、カルボン酸、水酸基、チオカルボン酸、
チオール、スルホン酸、アミン、イソシアネート、エポ
キシ等の反応性基を有し、反応後もその効果を失わない
薬剤を指す。具体的にはカルボキシベタイン、アミノカ
ルボン酸、イミダゾリニウムベタイン、トリブロモフェ
ノール、チアベンダゾール、メルカプトベンゾチアゾー
ル等が挙げられる。
【0012】また、毒性が低く、かつ、防腐、防黴、防
蟻性に優れる薬剤として、第四アンモニウム化合物が挙
げられる。第四アンモニウム化合物は、界面活性剤とし
て用いられており、四価の窒素原子がプラスの電荷を持
つため、陽イオン界面活性剤として機能する。このN+
が木材の細胞表層機能を阻害し、防腐、防黴、防蟻効果
が現われる。陽イオン界面活性剤としては、下記化1の
化学式(A)〜(C)で表わされる脂肪族第四アンモニ
ウム塩、芳香族第四アンモニウム塩、複素環式第四4級
アンモニウム塩等がある。特に化学式(B)で示す芳香
族第四アンモニウム塩は優れた防腐、防黴、防蟻性を示
す。
【化1】 なお、上記化学式(A)〜(C)において、R1 は炭素
数10〜18のアルキル基、R2 は炭素数1〜18のア
ルキル基、R3 は炭素数8〜24のアルキル基、R4
炭素数8〜18のアルキル基、X1 -はCl- 、Br-
はI- 、X2 -はCl- 又はBr- を表わす。
【0013】また、両性界面活性剤としては、下記化2
の化学式(D)及び(E)に示す構造のカルボキシベタ
イン、イミダゾリニウムベタイン及びそれらの誘導体等
の第四アンモニウム化合物が挙げられる。
【化2】 なお、上記化学式(D)及び(E)において、R4 は炭
素数8〜18のアルキル基、nは1又は2の整数、R5
は炭素数12〜18のアルキル基を表わす。上記薬剤
は、添加濃度0.2%以上で効果を示し、1%以上で実
用的に十分な効果を示す。薬剤添加量の上限は特に限定
されるものではないが、コストの面を考慮すると7%以
下が適当である。
【0014】化学加工処理液として無水マレイン酸−グ
リセリン溶液を用いた場合、化学式(A)〜(C)の陽
イオン界面活性剤は、マレイン酸の陰イオン(カルボン
酸イオン)と結合してエマルジョンを形成する。この様
な場合、水溶性の有機溶媒、例えばアルコール等を添加
することにより透明な溶液が得られる。化学加工処理の
工程として加熱工程を含む場合、加熱によりアルコール
が揮発し、上記陽イオン界面活性剤はエマルジョンとし
て木材の細胞壁面に固着し、さらに、マレイン酸とグリ
セリンが反応して生成した樹脂膜中に取り込まれる。
【0015】ところで、塩化ベンザルコニウム水溶液は
酸と反応してエマルジョンを形成し、木材導管の様な細
管への浸透に適さない。そのため有機溶剤を添加する必
要がある。これに対して、化学式(D)及び(E)に示
す両イオン界面活性剤は、酸性の水溶液にも溶解し、マ
レイン酸等との共存が可能である。これらはカルボン酸
基を有し、マレイン酸のカルボン酸基と同様に反応し、
樹脂内に取り込まれる。さらに、化学結合により取り込
まれているため溶脱することがなく、長期にわたって効
果を持続する。これらの薬剤は、上記のマレイン酸−グ
リセリン処理以外に、オリゴエステル化処理、エーテル
化処理、アセチル化処理、ホルマール化処理等の処理液
に添加して用いても有効である。
【0016】これらの薬剤を木材に処理するには、化学
加工処理液に所定の割合で薬剤を混合し調製した溶液
を、木材に含浸、塗布等により含有させ、乾燥、加熱に
より木材内部で反応させればよい。水溶液を用いた場合
には、乾燥による割れを防ぐため、乾燥スケジュールに
従った昇温が必要である。十分な乾燥を行った後、さら
に昇温し、化学加工処理液、薬剤、木材成分間の化学反
応を行う。この時の温度は120℃以上、180℃以下
が望ましい。120℃より低い温度では十分な反応が起
こらず、化学加工処理液、薬剤、木材成分間の反応が十
分に進行せず、溶脱が見られるようになるので好ましく
ない。一方、180℃より高い温度で処理を行った場合
には、木材の劣化が発生し、変色、強度低下等の問題が
発生するので好ましくない。
【0017】
【実施例】以下に試験例及び実施例を示して本発明の効
果について具体的に説明するが、本発明が下記試験例及
び実施例に限定されるものでないことはもとよりであ
る。まず、塩化ベンザルコニウム塩(以下、BKCと称
する)とアルキルベタイン(ニッサンアノンBF、日本
油脂株式会社製、以下BFと称する)を用いて調製した
試料についての試験例を示し、本発明による処理の作用
及び防黴性能についての説明を行う。
【0018】試験例1 無水マレイン酸3対グリセリン2の20%濃度の水溶液
を用意し、これにBKC、BFをそれぞれ1%、5%に
なるように添加した。BKCを添加した溶液には30%
に相当するエタノールを加え、完全に溶解した。これら
化学加工処理液をぶな小片に含浸させ、乾燥させた。ま
た、別の試料として、乾燥後、160℃にて加熱反応さ
せた後、さらに耐候操作を行った。耐候操作はJIS
A9201の木材防腐剤の性能基準及び試験方法に記載
の方法に従った。得られた試料についてアスペルギルス
・ニゲル(Aspergillus niger van Tieghem )とオーレ
オバシジウム・プルランス・アーノウド(Aureobasidiu
m pullulans Arnaud)の2菌種について、寒天培地上
で、防黴性能を確認した。結果を表1に示す。
【表1】
【0019】表1に示されるように、乾燥のみの場合に
はBKC、BFともにハローを形成する。これは、試料
から薬剤の溶脱があることを示し、溶脱した薬剤が寒天
培地上の菌に作用した結果である。一方、加熱反応後さ
らに耐候操作を行った試料では、BKCを5%添加した
試料のみがハロー効果を示す。BKC1%の試料は耐候
操作によって余剰のBKCが流出し、その結果ハロー効
果を示さない。BKCを5%添加した試料は耐候操作後
もハロー効果を示すのに十分な量のBKCを含有し、試
料周囲の菌をも抑制できる。BFについては、耐候操作
後、1%添加及び5%添加のいずれの試料もハロー効果
を示さない。これは、BFのカルボキシル基がグリセリ
ン又はセルロースと反応することにより、内部に固定さ
れ、溶出しないためと考えられる。また、腐朽菌に対し
ても同様の効果が確認された。オオウズラタケ、カワラ
タケ等の腐朽菌に対して、乾燥のみの場合にはBKC、
BFともに周囲の腐朽菌も抑制し、試料自身にも菌糸が
かぶらない。BKC5%の試料を除いて耐候操作後は周
囲に影響を及ぼさないが、試料の重量減少はない。
【0020】試験例2 無水マレイン酸3対グリセリン2の混合液を調製し、こ
れにBFを5%添加した試料を160℃で固化させた。
固化後、粉砕し、蒸留水にて洗浄を繰り返した。無水マ
レイン酸3対グリセリン2の混合溶液のみを固化させた
もののIRスペクトルを図1に示す。BFを添加した試
料の固化物について、洗浄前のもののIRスペクトルを
図2に、洗浄後、乾燥させたもののIRスペクトルを図
3に示す。図2には図1にない2927cm-1、285
6cm-1、891cm-1、723cm-1のピークが確認
される。図3においてもこれらピークが図2と変わらず
確認される事から、BFは化学結合を介して無水マレイ
ン酸とグリセリンにより形成される樹脂に結合してお
り、容易に溶脱しない事がわかる。以上のように、化学
加工処理液に反応性を有する防腐、防黴、防蟻剤を添加
し、加熱処理を行う事により、溶脱しにくく、従って、
長期間効果の持続する防腐、防黴、防蟻処理木材を得る
ことができる。
【0021】実施例1 無水マレイン酸3対グリセリン2の20%水溶液にアル
キルベタイン(ニッサンアノンBF、日本油脂株式会社
製)を1%添加し、処理液を調製した。次いで、木口5
×20mm、長さ50mmの木材試験片に処理液を含浸
させ、乾燥後、160℃にて加熱反応を行った。この試
料について、木材保存協会規格第2号「木材用防かび剤
の防かび効力試験方法」に従って、前記した2種の菌に
加えてさらにペニシリウム・フニクロスム(Penicilliu
m funiculosum Thom)、グリオクラジウム・ヴィレンス
(Gliocladium virens Miller )及びリゾプス・ジャバ
ニキュス・タケダ(Rhizopus javanicus Takeda )の5
種の菌について防黴効力試験を行った。試験結果を効力
値として表2に示す。アルキルベタインを添加した試料
は良好な防黴性を示した。
【表2】
【0022】実施例2 無水マレイン酸3対グリセリン2の20%水溶液にアル
キルベタイン(ニッサンアノンBF、日本油脂株式会社
製)を1%添加し、処理液を調製した。次いで、木口1
0×20mm、長さ20mmの木材試験片に処理液を含
浸させ、乾燥後、160℃にて加熱反応を行った。得ら
れた試料を家白蟻の巣の上に1月間放置し、食害の様子
を調べた。無処理の試料に比べて、アルキルベタインを
含む処理液で処理された試料は食害を受けなかった。
【0023】
【発明の効果】以上のように、本発明の処理方法によれ
ば、従来の化学加工処理により得られる寸法安定性等の
性能に加えて、防腐、防黴及び/又は防蟻性に優れた化
学加工木材を得ることができる。しかも、化学加工処理
液に木材基質及び/又は処理液と反応性を有する防腐、
防黴及び/又は防蟻性を示す薬剤を添加し、化学的に薬
剤を固定するものであるため、溶脱を抑え、防腐、防黴
及び/又は防蟻効果を長期間持続させることができる。
また、本発明に用いられる薬品は安全性が高く、特に化
学加工処理液としてマレイン酸とグリセリンを用いた場
合には毒性が極めて小さく、また木材中に化学的に固定
されて溶脱が抑制されているため、作業者や製品使用者
の健康に殆ど悪影響を与えないという利点も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】無水マレイン酸3対グリセリン2の混合溶液の
固化物のIRスペクトルを示す。
【図2】無水マレイン酸3対グリセリン2の混合物にア
ルキルベタインを5%添加した試料の固化物の洗浄前の
もののIRスペクトルを示す。
【図3】無水マレイン酸3対グリセリン2の混合物にア
ルキルベタインを5%添加した試料の固化物の洗浄後、
乾燥させたもののIRスペクトルを示す。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 処理工程に加熱処理を含む木材の化学加
    工処理において、該処理の処理液中に、木材基質及び/
    又は処理液の反応性基に対する反応性を有し、かつ防
    腐、防黴及び/又は防蟻性を示す薬剤を添加して処理す
    ることを特徴とする木材の保存処理方法。
  2. 【請求項2】 前記薬剤が、カルボキシル基及び/又は
    水酸基に対する反応性を有し、かつ防腐、防黴及び/又
    は防蟻性を示す薬剤である請求項1に記載の木材の保存
    処理方法。
  3. 【請求項3】 前記薬剤が、カルボキシベタイン、アミ
    ノカルボン酸、イミダゾリニウムベタイン、トリブロモ
    フエノール、チアベンダゾール及びメルカプトベンゾチ
    アゾールよりなる群から選ばれた少なくとも1種の薬剤
    である請求項1又は2に記載の木材の保存処理方法。
  4. 【請求項4】 前記薬剤が、第四アンモニウム化合物で
    ある請求項1乃至3のいずれか一項に記載の木材の保存
    処理方法。
  5. 【請求項5】 前記処理液が、多価カルボン酸もしくは
    その誘導体と多価アルコールの混合物又はこれらの縮合
    物の溶液である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の
    木材の保存処理方法。
  6. 【請求項6】 前記処理液が、無水マレイン酸とグリセ
    リンの混合物又は縮合物の溶液である請求項1乃至4の
    いずれか一項に記載の木材の保存処理方法。
  7. 【請求項7】 前記処理液が無水マレイン酸とグリセリ
    ンの混合物又は縮合物の溶液であり、添加する薬剤がア
    ルキルベタインである請求項1に記載の木材の保存処理
    方法。
  8. 【請求項8】 前記加熱処理の温度が120℃以上18
    0℃以下である請求項1乃至7のいずれか一項に記載の
    木材の保存処理方法。
  9. 【請求項9】 前記請求項1乃至8のいずれか一項に記
    載の木材の保存処理方法によって処理された防腐、防黴
    及び/又は防蟻性を有する木材。
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