JPH09107954A - 細菌により可溶性蛋白質を生産する方法 - Google Patents
細菌により可溶性蛋白質を生産する方法Info
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- JPH09107954A JPH09107954A JP7291859A JP29185995A JPH09107954A JP H09107954 A JPH09107954 A JP H09107954A JP 7291859 A JP7291859 A JP 7291859A JP 29185995 A JP29185995 A JP 29185995A JP H09107954 A JPH09107954 A JP H09107954A
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Abstract
(57)【要約】
【解決手段】T7プロモーター等の制御下に発現するチ
オレドキシン遺伝子の発現ベクターとインターフェロン
等の目的遺伝子の発現ベクターにより形質転換されてな
る共形質転換細菌、および該共形質転換細菌を用いて、
目的遺伝子がコードする蛋白質を可溶性蛋白質として発
現させることを特徴とする可溶性蛋白質の生産方法。 【効果】本発明により、従来不溶性蛋白質としてしか細
菌中では発現されなかった真核生物の蛋白質を可溶性蛋
白質として発現させることが可能となった。また、一部
可溶性蛋白質として発現されていた真核生物蛋白質の可
溶性蛋白質の割合を増加させることが可能となった。
オレドキシン遺伝子の発現ベクターとインターフェロン
等の目的遺伝子の発現ベクターにより形質転換されてな
る共形質転換細菌、および該共形質転換細菌を用いて、
目的遺伝子がコードする蛋白質を可溶性蛋白質として発
現させることを特徴とする可溶性蛋白質の生産方法。 【効果】本発明により、従来不溶性蛋白質としてしか細
菌中では発現されなかった真核生物の蛋白質を可溶性蛋
白質として発現させることが可能となった。また、一部
可溶性蛋白質として発現されていた真核生物蛋白質の可
溶性蛋白質の割合を増加させることが可能となった。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チオレドキシン遺
伝子の発現ベクターと目的遺伝子の発現ベクターとによ
り共形質転換された細菌、および通常菌体内に不溶性蛋
白質、例えばいわゆる封入体(inclusion body) として
発現される遺伝子産物を前記の共形質転換細菌を用いて
可溶性蛋白質として発現させることによる可溶性蛋白質
の生産方法に関する。
伝子の発現ベクターと目的遺伝子の発現ベクターとによ
り共形質転換された細菌、および通常菌体内に不溶性蛋
白質、例えばいわゆる封入体(inclusion body) として
発現される遺伝子産物を前記の共形質転換細菌を用いて
可溶性蛋白質として発現させることによる可溶性蛋白質
の生産方法に関する。
【0002】
【従来の技術】大腸菌は容易に高密度に増殖し、しかも
宿主ベクター系の研究が最も進んでおり、多くの高発現
ベクターが開発されるなど、異種蛋白質を安価にかつ収
率よく生産するための宿主として最適であることから、
大腸菌の宿主ベクター系は異種遺伝子の発現系として最
も広く利用されている。しかし、多くの異種蛋白質、特
に真核生物蛋白質は大腸菌内で高発現させると、細胞質
内で会合し生物学的に不活性な不溶性の封入体と呼ばれ
るアグリゲートを形成する。封入体の形成は、発現蛋白
質を宿主菌体内の蛋白質分解酵素による分解から保護
し、また遠心分離により菌体から容易に分離することを
可能ならしめるという利点を持つが、目的である生物学
的に活性な蛋白質を得るためには、封入体を変性可溶化
した後、再生(リフォールディング)する必要がある。
この可溶化・再生の操作は、個々の蛋白質ごとに試行錯
誤を繰り返し経験的に行われているが、満足な回収率が
得られないことが多いばかりか、必ずしも再生できると
は限らず、この点が大きな課題となっている。 大腸菌
では、糖鎖の付加などの翻訳後修飾が困難であることと
あわせて、これらのことが蛋白質生産における大腸菌宿
主ベクター系のひとつの限界とされてきた。その後、生
物学的に活性な蛋白質の発現が可能な動物細胞を宿主と
する発現系が注目され急速に発展したが、安価に高収率
で蛋白質を大量生産させることが難しく、限られた種類
の蛋白質の生産に利用されるにとどまっているのが現状
である。したがって、大腸菌により生物学的に活性な可
溶性蛋白質として発現させる技術を確立することは、有
用蛋白質の大量生産という産業上の大きな課題であると
共に、蛋白質の構造研究といった研究の分野においても
克服すべき重要な課題となっている。
宿主ベクター系の研究が最も進んでおり、多くの高発現
ベクターが開発されるなど、異種蛋白質を安価にかつ収
率よく生産するための宿主として最適であることから、
大腸菌の宿主ベクター系は異種遺伝子の発現系として最
も広く利用されている。しかし、多くの異種蛋白質、特
に真核生物蛋白質は大腸菌内で高発現させると、細胞質
内で会合し生物学的に不活性な不溶性の封入体と呼ばれ
るアグリゲートを形成する。封入体の形成は、発現蛋白
質を宿主菌体内の蛋白質分解酵素による分解から保護
し、また遠心分離により菌体から容易に分離することを
可能ならしめるという利点を持つが、目的である生物学
的に活性な蛋白質を得るためには、封入体を変性可溶化
した後、再生(リフォールディング)する必要がある。
この可溶化・再生の操作は、個々の蛋白質ごとに試行錯
誤を繰り返し経験的に行われているが、満足な回収率が
得られないことが多いばかりか、必ずしも再生できると
は限らず、この点が大きな課題となっている。 大腸菌
では、糖鎖の付加などの翻訳後修飾が困難であることと
あわせて、これらのことが蛋白質生産における大腸菌宿
主ベクター系のひとつの限界とされてきた。その後、生
物学的に活性な蛋白質の発現が可能な動物細胞を宿主と
する発現系が注目され急速に発展したが、安価に高収率
で蛋白質を大量生産させることが難しく、限られた種類
の蛋白質の生産に利用されるにとどまっているのが現状
である。したがって、大腸菌により生物学的に活性な可
溶性蛋白質として発現させる技術を確立することは、有
用蛋白質の大量生産という産業上の大きな課題であると
共に、蛋白質の構造研究といった研究の分野においても
克服すべき重要な課題となっている。
【0003】蛋白質が不溶化されるメカニズムは知られ
ていない。封入体の形成はポリペプチドの適切なフォー
ルディング(折り畳み)が欠如しているために起こる不
適当な蛋白質−蛋白質相互作用によると考えられる(Sc
hein, C. H. (1989) Bio/technology 7, 1141-1149、Mi
taki, A., and King, J. (1989) Bio/technology 7,690
-697 ) 。多くの真核生物蛋白質は大腸菌内で何故不溶
性のアグリゲートとして発現されるのであろうか? こ
の点に関して、大腸菌内での真核生物蛋白質の可溶化に
影響を与える2つの因子があるように思われる。
ていない。封入体の形成はポリペプチドの適切なフォー
ルディング(折り畳み)が欠如しているために起こる不
適当な蛋白質−蛋白質相互作用によると考えられる(Sc
hein, C. H. (1989) Bio/technology 7, 1141-1149、Mi
taki, A., and King, J. (1989) Bio/technology 7,690
-697 ) 。多くの真核生物蛋白質は大腸菌内で何故不溶
性のアグリゲートとして発現されるのであろうか? こ
の点に関して、大腸菌内での真核生物蛋白質の可溶化に
影響を与える2つの因子があるように思われる。
【0004】第1の因子は大腸菌のヒートショックシャ
ペロン GroESL(groEオペロンによってコー
ドされている)である。GroESLコンプレックス
は、新たに合成されたポリペプチドが正確にフォールデ
ィングするのを触媒する役割を果たすことが最近明らか
にされてきた(Weissman, J. S., Kashi, Y., Fenton,
W. A., and Horwich, A. L. (1994) Cell 78, 693-702
、Schmidt, M., Rutkat,K., Rachel, R., Pfeifer,
G., Jaenicke, R., Viitanen, P. V., Lorimer, G.H.,
and Buchner, J. (1994) Science 265, 656-659、Azem,
A., Kessel, M.,and Goloubninoff, P. (1994) Scienc
e 265, 653-656、Martin, J., Mayhew, M., Langer,
T., and Hartl, F. U. (1994) Nature 366, 228-233 )
。大腸菌で真核生物蛋白質を発現させるために、T7
プロモーターのような強力なプロモーターがしばしば用
いられる。この場合、大腸菌シャペロンGroESLの
高レベル発現が必要である。例えば、λファージが大腸
菌に感染するときは、GroESLの発現が誘導され
る。GroESLの発現レベルが上昇しないときは、λ
ファージはλコート蛋白質のフォールディングが正確に
起こらないためファージ粒子を形成することができない
(Georgopoulos, C., Ang, D., Liberek, K., and Zyli
cz, M. (1990) in Stress Proteins in Biology and M
edicine (Morimoto, R. I., Tissieres, A., and Georg
opoulos, C., eds) pp. 191-221, Cold SpringHarbor P
ress, Cold Spring Harbor, N. Y.) 。従って、外来蛋
白質の適切なフォールディングのためには、大腸菌シャ
ペロンの同等の誘導と高レべルの発現が要求されるよう
である。
ペロン GroESL(groEオペロンによってコー
ドされている)である。GroESLコンプレックス
は、新たに合成されたポリペプチドが正確にフォールデ
ィングするのを触媒する役割を果たすことが最近明らか
にされてきた(Weissman, J. S., Kashi, Y., Fenton,
W. A., and Horwich, A. L. (1994) Cell 78, 693-702
、Schmidt, M., Rutkat,K., Rachel, R., Pfeifer,
G., Jaenicke, R., Viitanen, P. V., Lorimer, G.H.,
and Buchner, J. (1994) Science 265, 656-659、Azem,
A., Kessel, M.,and Goloubninoff, P. (1994) Scienc
e 265, 653-656、Martin, J., Mayhew, M., Langer,
T., and Hartl, F. U. (1994) Nature 366, 228-233 )
。大腸菌で真核生物蛋白質を発現させるために、T7
プロモーターのような強力なプロモーターがしばしば用
いられる。この場合、大腸菌シャペロンGroESLの
高レベル発現が必要である。例えば、λファージが大腸
菌に感染するときは、GroESLの発現が誘導され
る。GroESLの発現レベルが上昇しないときは、λ
ファージはλコート蛋白質のフォールディングが正確に
起こらないためファージ粒子を形成することができない
(Georgopoulos, C., Ang, D., Liberek, K., and Zyli
cz, M. (1990) in Stress Proteins in Biology and M
edicine (Morimoto, R. I., Tissieres, A., and Georg
opoulos, C., eds) pp. 191-221, Cold SpringHarbor P
ress, Cold Spring Harbor, N. Y.) 。従って、外来蛋
白質の適切なフォールディングのためには、大腸菌シャ
ペロンの同等の誘導と高レべルの発現が要求されるよう
である。
【0005】大腸菌内での真核生物蛋白質の可溶化に影
響を与える第2の因子は、大腸菌と真核細胞の間の酸化
還元状態の相違であろう。本発明者らは、大腸菌内で発
現した種々の哺乳類蛋白質のGST(グルタチオン S
トランスフェラーゼ)との融合蛋白質は、グルタチオ
ン−セファロースビーズに極めて効率的に結合するもの
が多いが、哺乳類細胞中で発現したGST−融合蛋白質
はグルタチオンビーズに効率的に結合しないことを観察
した。この事実は、哺乳類細胞が大腸菌とは異なる酸化
還元的環境を有することを示唆する。この観察と一致し
て、哺乳類細胞には、極めて高濃度のグルタチオンが保
持されているという報告がある(Kondo,T., Yoshida,
K., Urata, Y., Goto, S., Gasa, S., and Taniguchi,
N., (1993) J. Biol. Chem. 268, 20366-20372) 。
響を与える第2の因子は、大腸菌と真核細胞の間の酸化
還元状態の相違であろう。本発明者らは、大腸菌内で発
現した種々の哺乳類蛋白質のGST(グルタチオン S
トランスフェラーゼ)との融合蛋白質は、グルタチオ
ン−セファロースビーズに極めて効率的に結合するもの
が多いが、哺乳類細胞中で発現したGST−融合蛋白質
はグルタチオンビーズに効率的に結合しないことを観察
した。この事実は、哺乳類細胞が大腸菌とは異なる酸化
還元的環境を有することを示唆する。この観察と一致し
て、哺乳類細胞には、極めて高濃度のグルタチオンが保
持されているという報告がある(Kondo,T., Yoshida,
K., Urata, Y., Goto, S., Gasa, S., and Taniguchi,
N., (1993) J. Biol. Chem. 268, 20366-20372) 。
【0006】大腸菌において目的とする外来遺伝子が封
入体として発現されるのを回避するための手法として
は、従来は、第1に、上記のようなシャペロンあるいは
フォールダーゼ(foldase)を外来遺伝子と共発現させる
方法が知られている。かかるシャペロンは熱ショックプ
ロテインであり、大腸菌の場合は上記のGroESL
(GroESおよびGroEL)がその代表的なもので
ある。一方、フォールダーゼとしては、蛋白質のジスル
フィド結合形成に関与するペリプラズム酵素であるDs
bA、その酸化還元酵素であるDsbBやX−Proペ
プチド結合の異性化を触媒するペプチジル プロリル
cis−trans イソメラーゼ(PPIアーゼ)等
が知られている。
入体として発現されるのを回避するための手法として
は、従来は、第1に、上記のようなシャペロンあるいは
フォールダーゼ(foldase)を外来遺伝子と共発現させる
方法が知られている。かかるシャペロンは熱ショックプ
ロテインであり、大腸菌の場合は上記のGroESL
(GroESおよびGroEL)がその代表的なもので
ある。一方、フォールダーゼとしては、蛋白質のジスル
フィド結合形成に関与するペリプラズム酵素であるDs
bA、その酸化還元酵素であるDsbBやX−Proペ
プチド結合の異性化を触媒するペプチジル プロリル
cis−trans イソメラーゼ(PPIアーゼ)等
が知られている。
【0007】これらのシャペロンあるいはフォールダー
ゼの過剰な共発現は、特定の場合には有用であるようで
ある。しかし、あらゆる蛋白質の封入体形成の問題への
普遍的解決とはなり難い。蛋白質が異なればフォールデ
ィングの経路も異なり、細胞内での蛋白質の正確なフォ
ールディングには、それぞれのシャペロンが独立に必須
となるからである(Hockney, R. C. (1994) Trends Bio
technol. 12, 456-463) 。
ゼの過剰な共発現は、特定の場合には有用であるようで
ある。しかし、あらゆる蛋白質の封入体形成の問題への
普遍的解決とはなり難い。蛋白質が異なればフォールデ
ィングの経路も異なり、細胞内での蛋白質の正確なフォ
ールディングには、それぞれのシャペロンが独立に必須
となるからである(Hockney, R. C. (1994) Trends Bio
technol. 12, 456-463) 。
【0008】第2の手法としては、目的の外来遺伝子を
他の蛋白質との融合蛋白質として発現させる方法であ
る。他の蛋白質としては、グルタチオン S−トランス
フェラーゼ(GST)(Smith, D. B. and Johnson, K.
S. (1988) Gene 67, 31-40 )、マルトース−結合蛋白
質(MPB)(Bedouelle, H. and Duplay, P. (1988)E
ur. J. Biochem. 171, 541-549)、プロテインA(Nilss
on, B., Holmgren, E.,Josephson, S., Gatenbeck, S.,
Philipson, L., and Uhlen, M. (1985) Nucleic Acids
Res. 13, 1151-1162 )、プロテインAのイムノグロブ
リン結合Z−ドメイン(Nilsson, B., et al. (1987) P
rot. Eng. 1, 107-113) 、またはプロテインG(Nygre
n, P-A., Eliasson, M., Abrahamsen, L. and Uhlen,
M. (1988) J.Mol. Recog. 1, 69-74 ) 等が用いられ、
通常、目的蛋白質をこれらの蛋白質のC−末端側に融合
した蛋白質として発現させる。元来、アフィニティーに
よる精製や定量を容易にするためこれら融合蛋白質とし
て発現させることが意図されたが、封入体を形成する蛋
白質でもこれらを融合蛋白質として発現させた場合、し
ばしば可溶性となることも大きな利点として挙げられ
る。融合蛋白質とすることにより可溶化することは、特
にGSTとの融合蛋白質においてみられる現象である
が、その後の特筆すべき成果として、McCoyらによ
るチオレドキシンとの融合蛋白質として発現させる方法
を挙げることができる。すなわち、彼らによるとチオレ
ドキシンと融合させ、低温で発現させることにより、1
1種類のリンホカインを可溶性でかつ高レベルに大腸菌
内に蓄積させることが可能になった(LaVallie, E. R.
et al.(1993) Bio/Technology 11, 187-193 ) 。
他の蛋白質との融合蛋白質として発現させる方法であ
る。他の蛋白質としては、グルタチオン S−トランス
フェラーゼ(GST)(Smith, D. B. and Johnson, K.
S. (1988) Gene 67, 31-40 )、マルトース−結合蛋白
質(MPB)(Bedouelle, H. and Duplay, P. (1988)E
ur. J. Biochem. 171, 541-549)、プロテインA(Nilss
on, B., Holmgren, E.,Josephson, S., Gatenbeck, S.,
Philipson, L., and Uhlen, M. (1985) Nucleic Acids
Res. 13, 1151-1162 )、プロテインAのイムノグロブ
リン結合Z−ドメイン(Nilsson, B., et al. (1987) P
rot. Eng. 1, 107-113) 、またはプロテインG(Nygre
n, P-A., Eliasson, M., Abrahamsen, L. and Uhlen,
M. (1988) J.Mol. Recog. 1, 69-74 ) 等が用いられ、
通常、目的蛋白質をこれらの蛋白質のC−末端側に融合
した蛋白質として発現させる。元来、アフィニティーに
よる精製や定量を容易にするためこれら融合蛋白質とし
て発現させることが意図されたが、封入体を形成する蛋
白質でもこれらを融合蛋白質として発現させた場合、し
ばしば可溶性となることも大きな利点として挙げられ
る。融合蛋白質とすることにより可溶化することは、特
にGSTとの融合蛋白質においてみられる現象である
が、その後の特筆すべき成果として、McCoyらによ
るチオレドキシンとの融合蛋白質として発現させる方法
を挙げることができる。すなわち、彼らによるとチオレ
ドキシンと融合させ、低温で発現させることにより、1
1種類のリンホカインを可溶性でかつ高レベルに大腸菌
内に蓄積させることが可能になった(LaVallie, E. R.
et al.(1993) Bio/Technology 11, 187-193 ) 。
【0009】しかしながら、融合蛋白質のままでは、多
くの蛋白質はその機能を発揮できないので、目的の蛋白
質を得るためには、アフィニティー精製した融合蛋白質
をペプチダーゼにより切断し、目的の蛋白質だけを分離
精製しなければならない。この切断と精製の効率が極め
て低い場合も少なくはなく、融合蛋白質として発現させ
る方法のひとつの欠点となっている。
くの蛋白質はその機能を発揮できないので、目的の蛋白
質を得るためには、アフィニティー精製した融合蛋白質
をペプチダーゼにより切断し、目的の蛋白質だけを分離
精製しなければならない。この切断と精製の効率が極め
て低い場合も少なくはなく、融合蛋白質として発現させ
る方法のひとつの欠点となっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記の状況の下で、封
入体の生成を回避し目的の蛋白質を生物学的に活性な可
溶型として発現させる一般的な方法の開発が産業界およ
び研究の分野で切望されている。従って、本発明の第1
の目的は、チオレドキシン遺伝子の発現ベクターと外来
の目的遺伝子の発現ベクターとにより共形質転換された
細菌を提供することにある。また、本発明の第2の目的
は、かかる共形質転換細菌を用いて、大腸菌の菌体内で
封入体のような不溶性のアグリゲートとして産生される
主として真核生物の遺伝子産物を、他の蛋白質との融合
体としてではなく、それ本来の形で可溶型として生産す
る方法を提供することにある。
入体の生成を回避し目的の蛋白質を生物学的に活性な可
溶型として発現させる一般的な方法の開発が産業界およ
び研究の分野で切望されている。従って、本発明の第1
の目的は、チオレドキシン遺伝子の発現ベクターと外来
の目的遺伝子の発現ベクターとにより共形質転換された
細菌を提供することにある。また、本発明の第2の目的
は、かかる共形質転換細菌を用いて、大腸菌の菌体内で
封入体のような不溶性のアグリゲートとして産生される
主として真核生物の遺伝子産物を、他の蛋白質との融合
体としてではなく、それ本来の形で可溶型として生産す
る方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、大腸菌に
おいて不溶性アグリゲートとして菌体内に蓄積する真核
生物細胞蛋白質の可溶化について鋭意検討を行ったとこ
ろ、大腸菌における種々の真核生物細胞蛋白質の可溶化
がチオレドキシンを同時に産生させることにより劇的に
増大することを発見した。即ち、チオレドキシン遺伝子
を共発現させることにより、検討を加えた転写因子やオ
ンコジーン産物をふくむ8種の蛋白質の全てを可溶型と
して発現させることに成功した。一方、同時に行った大
腸菌シャペロンであるGroESLとの共発現では、検
討した8種の蛋白質のうち4種の可溶化を改善したにと
どまった。本発明はかかる発見に基づき、さらに研究を
重ねて完成するに至ったものである。
おいて不溶性アグリゲートとして菌体内に蓄積する真核
生物細胞蛋白質の可溶化について鋭意検討を行ったとこ
ろ、大腸菌における種々の真核生物細胞蛋白質の可溶化
がチオレドキシンを同時に産生させることにより劇的に
増大することを発見した。即ち、チオレドキシン遺伝子
を共発現させることにより、検討を加えた転写因子やオ
ンコジーン産物をふくむ8種の蛋白質の全てを可溶型と
して発現させることに成功した。一方、同時に行った大
腸菌シャペロンであるGroESLとの共発現では、検
討した8種の蛋白質のうち4種の可溶化を改善したにと
どまった。本発明はかかる発見に基づき、さらに研究を
重ねて完成するに至ったものである。
【0012】即ち、本発明の要旨は、(1) チオレド
キシン遺伝子の発現ベクターと目的遺伝子の発現ベクタ
ーにより形質転換されてなる共形質転換細菌、(2)
チオレドキシンが、大腸菌のチオレドキシン、ヒトのチ
オレドキシン、グルタレドキシン、またはプロテインジ
スルフィドイソメラーゼのチオレドキシン様ドメインで
ある請求項1記載の共形質転換細菌、(3) チオレド
キシン遺伝子の発現ベクターが、T7ブロモーター、l
acプロモーター、tacプロモーター、trcプロモ
ーター、trpプロモーター、λPL プロモーター、a
raプロモーターのいずれかの制御下にチオレドキシン
遺伝子の発現を可能とするものである前記(1)または
(2)記載の共形質転換細菌、(4) 目的遺伝子が、
インターフェロン、インターロイキン、インターロイキ
ン受容体、インターロイキン受容体拮抗物質、顆粒球コ
ロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因
子、マクロファージコロニー刺激因子、エリスロポエチ
ン、トロンボポエチン、白血病抑制因子、幹細胞成長因
子、腫瘍壊死因子、成長ホルモン、プロインスリン、イ
ンスリン様成長因子、繊維芽細胞成長因子、血小板由来
成長因子、トランスフォーミング成長因子、肝細胞成長
因子、骨形成因子、神経成長因子、毛様体神経栄養因
子、脳由来神経栄養因子、グリア細胞由来神経栄養因
子、ニューロトロフィン、ウロキナーゼ、組織プラロミ
ノーゲンアクチベーター、血液凝固因子、プロテイン
C、グルコセレブロシダーゼ、スーバーオキシドディス
ムターゼ、レニン、リゾチーム、P450、プロキモシ
ン、トリプシンインヒビター、エラスターゼインヒビタ
ー、リポコルチン、免疫グロブリン、1本鎖抗体、補体
成分、血清アルブミン、ウイルス構成蛋白質、プロトオ
ンコジーン産物、および転写調節因子からなる群より選
択されるものである前記(1)〜(3)いずれかに記載
の共形質転換細菌、並びに(5) 前記(1)〜(4)
いずれかに記載の共形質転換細菌を用いて、目的遺伝子
がコードするタンパク質を可溶性蛋白質として発現させ
ることを特徴とする可溶性蛋白質の生産方法、に関す
る。
キシン遺伝子の発現ベクターと目的遺伝子の発現ベクタ
ーにより形質転換されてなる共形質転換細菌、(2)
チオレドキシンが、大腸菌のチオレドキシン、ヒトのチ
オレドキシン、グルタレドキシン、またはプロテインジ
スルフィドイソメラーゼのチオレドキシン様ドメインで
ある請求項1記載の共形質転換細菌、(3) チオレド
キシン遺伝子の発現ベクターが、T7ブロモーター、l
acプロモーター、tacプロモーター、trcプロモ
ーター、trpプロモーター、λPL プロモーター、a
raプロモーターのいずれかの制御下にチオレドキシン
遺伝子の発現を可能とするものである前記(1)または
(2)記載の共形質転換細菌、(4) 目的遺伝子が、
インターフェロン、インターロイキン、インターロイキ
ン受容体、インターロイキン受容体拮抗物質、顆粒球コ
ロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因
子、マクロファージコロニー刺激因子、エリスロポエチ
ン、トロンボポエチン、白血病抑制因子、幹細胞成長因
子、腫瘍壊死因子、成長ホルモン、プロインスリン、イ
ンスリン様成長因子、繊維芽細胞成長因子、血小板由来
成長因子、トランスフォーミング成長因子、肝細胞成長
因子、骨形成因子、神経成長因子、毛様体神経栄養因
子、脳由来神経栄養因子、グリア細胞由来神経栄養因
子、ニューロトロフィン、ウロキナーゼ、組織プラロミ
ノーゲンアクチベーター、血液凝固因子、プロテイン
C、グルコセレブロシダーゼ、スーバーオキシドディス
ムターゼ、レニン、リゾチーム、P450、プロキモシ
ン、トリプシンインヒビター、エラスターゼインヒビタ
ー、リポコルチン、免疫グロブリン、1本鎖抗体、補体
成分、血清アルブミン、ウイルス構成蛋白質、プロトオ
ンコジーン産物、および転写調節因子からなる群より選
択されるものである前記(1)〜(3)いずれかに記載
の共形質転換細菌、並びに(5) 前記(1)〜(4)
いずれかに記載の共形質転換細菌を用いて、目的遺伝子
がコードするタンパク質を可溶性蛋白質として発現させ
ることを特徴とする可溶性蛋白質の生産方法、に関す
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明の詳細について説明
する。 (1)プラスミドの構築 本発明の共形質転換細菌は、チオレドキシン遺伝子の発
現ベクターと目的遺伝子の発現ベクターの両者により形
質転換されており、細菌細胞内でチオレドキシンと目的
遺伝子産物の両者を同時に発現することができる形質転
換体を意味する。かかる形質転換細菌を作製するために
は、チオレドキシン遺伝子の発現ベクターと目的遺伝子
の発現ベクターとが必要である。通常、同一宿主に近縁
の2種のブラスミドは安定に共存できない(この現象を
不和合性という。)ので、両プラスミドが互いに不和合
性を示さないレプリコンを有するものであれば使用可能
であり、特に限定されるものではない。発現効率という
観点からは、プロモーターの選択も重要な要因となる
が、これも通常強力なプロモーターとして知られている
ものから選択が可能である。例えば、T7RNAポリメ
ラーゼによって特異的にかつ強力に転写されるT7プロ
モーターや、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラ
ノシド(IPTG)で転写誘導が可能なlacプロモー
ターもしくはtacプロモーターあるいはtrcプロモ
ーター、3−インドールアクリル酸(IAA)で転写誘
導が可能なtrpプロモーターのほか、高温(42℃)
で誘導可能なλPL プロモーター、さらにはアラビノー
スで誘導可能なaraプロモーター等が使用できる。
する。 (1)プラスミドの構築 本発明の共形質転換細菌は、チオレドキシン遺伝子の発
現ベクターと目的遺伝子の発現ベクターの両者により形
質転換されており、細菌細胞内でチオレドキシンと目的
遺伝子産物の両者を同時に発現することができる形質転
換体を意味する。かかる形質転換細菌を作製するために
は、チオレドキシン遺伝子の発現ベクターと目的遺伝子
の発現ベクターとが必要である。通常、同一宿主に近縁
の2種のブラスミドは安定に共存できない(この現象を
不和合性という。)ので、両プラスミドが互いに不和合
性を示さないレプリコンを有するものであれば使用可能
であり、特に限定されるものではない。発現効率という
観点からは、プロモーターの選択も重要な要因となる
が、これも通常強力なプロモーターとして知られている
ものから選択が可能である。例えば、T7RNAポリメ
ラーゼによって特異的にかつ強力に転写されるT7プロ
モーターや、イソプロピル−β−D−チオガラクトピラ
ノシド(IPTG)で転写誘導が可能なlacプロモー
ターもしくはtacプロモーターあるいはtrcプロモ
ーター、3−インドールアクリル酸(IAA)で転写誘
導が可能なtrpプロモーターのほか、高温(42℃)
で誘導可能なλPL プロモーター、さらにはアラビノー
スで誘導可能なaraプロモーター等が使用できる。
【0014】本発明に用いられるチオレドキシンは大腸
菌のチオレドキシン(Lunn, C. A.,Kathju, S., Wallac
e, B. J., Kushner, S. R., and Pigiet, V. (1984) J.
Biol. Chem. 259, 10469-10474)のみでなく、ヒトの
チオレドキシン(Wollman, E. E., d'Auriol, L., Rims
ky, L., Shaw, A., Jacquot, J. P., Wingfield, P.,Gr
aber, P., Dessarps, F., Robin, P., Galibert, F., e
t al.(1988) J. Biol. Chem. 263, 15506-15512) 、グ
ルタレドキシン(Hoog, J. O., von Bahr-Lindstrom,
H., Jornvall, H., and Holmgren, A. (1986) Gene 43,
13-21、 Fernando, M. R., Sumimoto, H., Nanri, H.,
Kawabata, S., Iwanaga, S., Minakami,S., Fukumaki,
Y., and Takashige, K. (1994) Biochim. Biophys. Act
a 1218,229-231)、プロテインジスルフィドイソメラー
ゼのチオレドキシン様ドメイン(Edman, J. C., Ellis,
L., Blacher, R. W., Roth, R. A., and Rutter, W.
J.(1985) Nature 317, 267-270、 Tachikawa, H., Miur
a, T., Katakura, Y., andMizunaga, T. (1991) J. Bio
chem. 110, 306-313) 等も使用可能である。本発明の特
徴は、チオレドキシンの共発現により宿主細胞内の酸化
還元電位をより還元型とし、真核生物細胞のそれに近づ
けることにあり、その意味では上記のチオレドキシンは
いずれも大腸菌チオレドキシンと同様の効果を発揮でき
るからである。以下には、大腸菌チオレドキシン(Tr
x)を例にとり、プロモーターとしてT7プロモーター
を利用した場合の発現ベクターの構築について説明す
る。
菌のチオレドキシン(Lunn, C. A.,Kathju, S., Wallac
e, B. J., Kushner, S. R., and Pigiet, V. (1984) J.
Biol. Chem. 259, 10469-10474)のみでなく、ヒトの
チオレドキシン(Wollman, E. E., d'Auriol, L., Rims
ky, L., Shaw, A., Jacquot, J. P., Wingfield, P.,Gr
aber, P., Dessarps, F., Robin, P., Galibert, F., e
t al.(1988) J. Biol. Chem. 263, 15506-15512) 、グ
ルタレドキシン(Hoog, J. O., von Bahr-Lindstrom,
H., Jornvall, H., and Holmgren, A. (1986) Gene 43,
13-21、 Fernando, M. R., Sumimoto, H., Nanri, H.,
Kawabata, S., Iwanaga, S., Minakami,S., Fukumaki,
Y., and Takashige, K. (1994) Biochim. Biophys. Act
a 1218,229-231)、プロテインジスルフィドイソメラー
ゼのチオレドキシン様ドメイン(Edman, J. C., Ellis,
L., Blacher, R. W., Roth, R. A., and Rutter, W.
J.(1985) Nature 317, 267-270、 Tachikawa, H., Miur
a, T., Katakura, Y., andMizunaga, T. (1991) J. Bio
chem. 110, 306-313) 等も使用可能である。本発明の特
徴は、チオレドキシンの共発現により宿主細胞内の酸化
還元電位をより還元型とし、真核生物細胞のそれに近づ
けることにあり、その意味では上記のチオレドキシンは
いずれも大腸菌チオレドキシンと同様の効果を発揮でき
るからである。以下には、大腸菌チオレドキシン(Tr
x)を例にとり、プロモーターとしてT7プロモーター
を利用した場合の発現ベクターの構築について説明す
る。
【0015】目的遺伝子の発現ベクターとして、T7プ
ロモーターとpBR322由来のレプリコンとを含むp
ETベクターを使用する場合、Trxを目的の外来蛋白
質の発現レベルと同レベルで発現させるために、Trx
コード領域をT7プロモーターに連結し、p15Aレプ
リコンおよびクロラムフェニコール耐性(Cm)マーカ
ー遺伝子を含むpACYCベクター(Chang, A. C. Y.,
and Cohen, S. N. (1978) J. Bacteriol. 134, 1141-1
156 ) に挿入する。得られたプラスミド、pT−Trx
は、プラスミド和合性の範囲内で、種々の脊椎動物蛋白
質を発現するpETプラスミドと共形質転換を行うこと
が可能である。
ロモーターとpBR322由来のレプリコンとを含むp
ETベクターを使用する場合、Trxを目的の外来蛋白
質の発現レベルと同レベルで発現させるために、Trx
コード領域をT7プロモーターに連結し、p15Aレプ
リコンおよびクロラムフェニコール耐性(Cm)マーカ
ー遺伝子を含むpACYCベクター(Chang, A. C. Y.,
and Cohen, S. N. (1978) J. Bacteriol. 134, 1141-1
156 ) に挿入する。得られたプラスミド、pT−Trx
は、プラスミド和合性の範囲内で、種々の脊椎動物蛋白
質を発現するpETプラスミドと共形質転換を行うこと
が可能である。
【0016】まず、T7プロモーターと例えばp15A
レプリコンとを含むプラスミド(pACYC−T7)を
作製するには、p15Aレプリコンを有するプラスミド
pACYC184(Chang, A. C. Y., and Cohen, S.
N. (1978) J. Bacteriol. 134, 1141-1156 ) の0.5
kb HindIII −SphI断片を、プラスミドpA
R2156(Studier F. W., and Moffatt, B. A. (198
6) J. Mol. Biol. 189,113-130 、Rosenberg, A. H., L
ade, B. N., Chui, D.-S., Lin, S.-W., Dunn,J. J., a
nd Studier F. W. (1987) Gene 56, 125-135 )由来のT
7プロモーターを含む0.6kb HindIII −Sp
hI断片で置換する方法が用いられる。
レプリコンとを含むプラスミド(pACYC−T7)を
作製するには、p15Aレプリコンを有するプラスミド
pACYC184(Chang, A. C. Y., and Cohen, S.
N. (1978) J. Bacteriol. 134, 1141-1156 ) の0.5
kb HindIII −SphI断片を、プラスミドpA
R2156(Studier F. W., and Moffatt, B. A. (198
6) J. Mol. Biol. 189,113-130 、Rosenberg, A. H., L
ade, B. N., Chui, D.-S., Lin, S.-W., Dunn,J. J., a
nd Studier F. W. (1987) Gene 56, 125-135 )由来のT
7プロモーターを含む0.6kb HindIII −Sp
hI断片で置換する方法が用いられる。
【0017】ついで、Trxをコードする領域にT7プ
ロモーターを連結させたプラスミド(pT−Trx)を
作製するには、例えばpT−GroEのNdeI−Hi
ndIII 断片を、米国 Invitrogen 社より販売されてい
るプラスミドpTrx由来の大腸菌チオレドキシンのコ
ード領域とaspA転写ターミネーターを含むNdeI
−HindIII 断片で置換する方法を用いることができ
る。このpT−GroE(T7プロモーターの制御下に
大腸菌GroESLを発現するプラスミド)は、gro
Eプラスミド(pKV1561)(Kanemori, M., Mor
i, H., and Yura, T. (1994) J. Bacteriol. 176, 4235
-4242) を鋳型としてポリメラーゼ チェイン リアク
ション(PCR)により調製した、GroESL−コー
ド領域を含む2.1kbのNdeI−BglII DNA
断片を、pACYC−T7のNdeI−BamHI部位
に挿入して作製することができる。
ロモーターを連結させたプラスミド(pT−Trx)を
作製するには、例えばpT−GroEのNdeI−Hi
ndIII 断片を、米国 Invitrogen 社より販売されてい
るプラスミドpTrx由来の大腸菌チオレドキシンのコ
ード領域とaspA転写ターミネーターを含むNdeI
−HindIII 断片で置換する方法を用いることができ
る。このpT−GroE(T7プロモーターの制御下に
大腸菌GroESLを発現するプラスミド)は、gro
Eプラスミド(pKV1561)(Kanemori, M., Mor
i, H., and Yura, T. (1994) J. Bacteriol. 176, 4235
-4242) を鋳型としてポリメラーゼ チェイン リアク
ション(PCR)により調製した、GroESL−コー
ド領域を含む2.1kbのNdeI−BglII DNA
断片を、pACYC−T7のNdeI−BamHI部位
に挿入して作製することができる。
【0018】また、T7プロモーター以外のプロモータ
ーを用いる例として、3−インドールアクリル酸で誘導
可能なtrpプロモーターを利用したTrx発現プラス
ミドは、例えば以下のようにして構築することができ
る。pTrx(米国 Invitrogen 社製)から調製したT
rxのコード領域とaspA転写ターミネーターを含む
NdeI−HindIII 断片を、例えばpM594(Mo
rishita, H., Yamakawa,T., Matsusue, T., Kusuyama,
T. et al., (1994) Thromb. Res. 73,193-204)をEco
RI−HindIII 消化して得られるtrpプロモータ
ー/オペレーターを含む断片と連結し、シャトルベクタ
ーpHY300PLK(宝酒造社製)のBglII−Ac
cI断片と結合させて、pACYC177由来のレプリ
コンとアンピシリン耐性遺伝子を持つtrpプロモータ
ーによるTrx発現プラスミドが作製できる。さらに、
必要に応じて、アンピシリン耐性遺伝子上のScaI部
位に、pUC4K(スウェーデン Pharmacia Biotech社
製)から得られるカナマイシン耐性遺伝子を含むSal
I断片を挿入して、薬剤耐性マーカーを変換することも
できる。
ーを用いる例として、3−インドールアクリル酸で誘導
可能なtrpプロモーターを利用したTrx発現プラス
ミドは、例えば以下のようにして構築することができ
る。pTrx(米国 Invitrogen 社製)から調製したT
rxのコード領域とaspA転写ターミネーターを含む
NdeI−HindIII 断片を、例えばpM594(Mo
rishita, H., Yamakawa,T., Matsusue, T., Kusuyama,
T. et al., (1994) Thromb. Res. 73,193-204)をEco
RI−HindIII 消化して得られるtrpプロモータ
ー/オペレーターを含む断片と連結し、シャトルベクタ
ーpHY300PLK(宝酒造社製)のBglII−Ac
cI断片と結合させて、pACYC177由来のレプリ
コンとアンピシリン耐性遺伝子を持つtrpプロモータ
ーによるTrx発現プラスミドが作製できる。さらに、
必要に応じて、アンピシリン耐性遺伝子上のScaI部
位に、pUC4K(スウェーデン Pharmacia Biotech社
製)から得られるカナマイシン耐性遺伝子を含むSal
I断片を挿入して、薬剤耐性マーカーを変換することも
できる。
【0019】本発明に用いられる目的遺伝子としては、
インターフェロン、インターロイキン、インターロイキ
ン受容体、インターロイキン受容体拮抗物質、顆粒球コ
ロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因
子、マクロファージコロニー刺激因子、エリスロポエチ
ン、トロンボポエチン、白血病抑制因子、幹細胞成長因
子、腫瘍壊死因子、成長ホルモン、プロインスリン、イ
ンスリン様成長因子、繊維芽細胞成長因子、血小板由来
成長因子、トランスフォーミング成長因子、肝細胞成長
因子、骨形成因子、神経成長因子、毛様体神経栄養因
子、脳由来神経栄養因子、グリア細胞由来神経栄養因
子、ニューロトロフィン、ウロキナーゼ、組織プラロミ
ノーゲンアクチベーター、血液凝固因子、プロテイン
C、グルコセレブロシダーゼ、スーバーオキシドディス
ムターゼ、レニン、リゾチーム、P450、プロキモシ
ン、トリプシンインヒビター、エラスターゼインヒビタ
ー、リポコルチン、免疫グロブリン、1本鎖抗体、補体
成分、血清アルブミン、ウイルス構成蛋白質、プロトオ
ンコジーン産物、および転写調節因子等が挙げられる
が、これらに限定されるものではなく、通常の遺伝子発
現方法により大腸菌等で発現させた場合に封入体のよう
な不溶性の蛋白質として発現される真核生物の遺伝子は
すべて使用できる。以下には、マウスc−Myb遺伝
子、cAMP応答エレメント結合蛋白質(CRE−BP
1)遺伝子、p53癌抑制遺伝子、Xenopus M
osプロト−オンコジーン、lck遺伝子、ski−関
連遺伝子、mycプロト−オンコジーン、アデノウイル
スオンコジーンの8種を目的遺伝子として使用した例で
説明する。
インターフェロン、インターロイキン、インターロイキ
ン受容体、インターロイキン受容体拮抗物質、顆粒球コ
ロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因
子、マクロファージコロニー刺激因子、エリスロポエチ
ン、トロンボポエチン、白血病抑制因子、幹細胞成長因
子、腫瘍壊死因子、成長ホルモン、プロインスリン、イ
ンスリン様成長因子、繊維芽細胞成長因子、血小板由来
成長因子、トランスフォーミング成長因子、肝細胞成長
因子、骨形成因子、神経成長因子、毛様体神経栄養因
子、脳由来神経栄養因子、グリア細胞由来神経栄養因
子、ニューロトロフィン、ウロキナーゼ、組織プラロミ
ノーゲンアクチベーター、血液凝固因子、プロテイン
C、グルコセレブロシダーゼ、スーバーオキシドディス
ムターゼ、レニン、リゾチーム、P450、プロキモシ
ン、トリプシンインヒビター、エラスターゼインヒビタ
ー、リポコルチン、免疫グロブリン、1本鎖抗体、補体
成分、血清アルブミン、ウイルス構成蛋白質、プロトオ
ンコジーン産物、および転写調節因子等が挙げられる
が、これらに限定されるものではなく、通常の遺伝子発
現方法により大腸菌等で発現させた場合に封入体のよう
な不溶性の蛋白質として発現される真核生物の遺伝子は
すべて使用できる。以下には、マウスc−Myb遺伝
子、cAMP応答エレメント結合蛋白質(CRE−BP
1)遺伝子、p53癌抑制遺伝子、Xenopus M
osプロト−オンコジーン、lck遺伝子、ski−関
連遺伝子、mycプロト−オンコジーン、アデノウイル
スオンコジーンの8種を目的遺伝子として使用した例で
説明する。
【0020】各種の脊椎動物の目的蛋白質を発現するプ
ラスミドは、前記のように、例えばT7プロモーターお
よびpBR322由来のレプリコンを含む適当なpET
発現ベクター(Studier F. W., and Moffatt, B. A. (1
986) J. Mol. Biol. 189, 113-130 、Rosenberg, A.
H., Lade, B. N., Chui, D.-S., Lin, S.-W., Dunn, J.
J., and Studier F. W. (1987) Gene 56, 125-135 )と
目的蛋白質をコードするcDNAを用いて構築すること
ができる。
ラスミドは、前記のように、例えばT7プロモーターお
よびpBR322由来のレプリコンを含む適当なpET
発現ベクター(Studier F. W., and Moffatt, B. A. (1
986) J. Mol. Biol. 189, 113-130 、Rosenberg, A.
H., Lade, B. N., Chui, D.-S., Lin, S.-W., Dunn, J.
J., and Studier F. W. (1987) Gene 56, 125-135 )と
目的蛋白質をコードするcDNAを用いて構築すること
ができる。
【0021】(2)共形質転換細菌の作製 本発明に用いられる共形質転換細菌は、前記のように、
目的の外来遺伝子発現ベクターとチオレドキシン遺伝子
発現ベクターの両方で形質転換され、目的の遺伝子産物
とチオレドキシンとを同時に発現することができる細菌
である。本発明に用いられる宿主細胞は、真核生物遺伝
子を発現した場合に、発現産物を封入体のような不溶性
蛋白質として菌体内に蓄積する微生物細胞である。特
に、大腸菌のようなグラム陰性細菌が適当である。T7
プロモーターを利用した発現ベクターを用いる場合は、
例えばT7RNAポリメラーゼ遺伝子を組み込んだλフ
ァージを溶原化した大腸菌等、T7RNAポリメラーゼ
を発現する細菌が用いられる。以下に大腸菌を宿主細胞
とした場合を例にとり説明する。
目的の外来遺伝子発現ベクターとチオレドキシン遺伝子
発現ベクターの両方で形質転換され、目的の遺伝子産物
とチオレドキシンとを同時に発現することができる細菌
である。本発明に用いられる宿主細胞は、真核生物遺伝
子を発現した場合に、発現産物を封入体のような不溶性
蛋白質として菌体内に蓄積する微生物細胞である。特
に、大腸菌のようなグラム陰性細菌が適当である。T7
プロモーターを利用した発現ベクターを用いる場合は、
例えばT7RNAポリメラーゼ遺伝子を組み込んだλフ
ァージを溶原化した大腸菌等、T7RNAポリメラーゼ
を発現する細菌が用いられる。以下に大腸菌を宿主細胞
とした場合を例にとり説明する。
【0022】次に、前記のようにして構築したpT−T
rxベクターおよびpETベクターを用いて、例えば大
腸菌BL21(DE3)株(Studier F. W., and Moffa
tt,B. A. (1986) J. Mol. Biol. 189, 113-130 、Rosen
berg, A. H., Lade, B. N.,Chui, D.-S., Lin, S.-W.,
Dunn, J. J., and Studier F. W. (1987) Gene 56,125-
135 )を形質転換し、両方のベクターを保持する形質転
換細菌を作製する。大腸菌BL21(DE3)株は、l
acUV5プロモーター下流に結合させたT7RNAポ
リメラーゼ遺伝子をもつλファージを染色体上に溶原化
しており、IPTGで誘導することにより、大量のT7
RNAポリメラーゼを菌体内に発現させることができ、
T7プロモーター支配下の遺伝子の大量発現に極めて好
適な宿主菌株である。
rxベクターおよびpETベクターを用いて、例えば大
腸菌BL21(DE3)株(Studier F. W., and Moffa
tt,B. A. (1986) J. Mol. Biol. 189, 113-130 、Rosen
berg, A. H., Lade, B. N.,Chui, D.-S., Lin, S.-W.,
Dunn, J. J., and Studier F. W. (1987) Gene 56,125-
135 )を形質転換し、両方のベクターを保持する形質転
換細菌を作製する。大腸菌BL21(DE3)株は、l
acUV5プロモーター下流に結合させたT7RNAポ
リメラーゼ遺伝子をもつλファージを染色体上に溶原化
しており、IPTGで誘導することにより、大量のT7
RNAポリメラーゼを菌体内に発現させることができ、
T7プロモーター支配下の遺伝子の大量発現に極めて好
適な宿主菌株である。
【0023】また、外来蛋白質とTrxの両方を発現す
る細菌(共形質転換細菌)を作製するには、前記のよう
にして得られるpT−Trxを保持する大腸菌BL21
(DE3)株を、種々の哺乳類蛋白質をコードするpE
Tベクターで形質転換することにより得られる。すなわ
ち、まず大腸菌BL21(DE3)株を対数増殖期中期
まで振盪培養し、遠心分離で菌体を集め、カルシウムイ
オンの存在下で低温処理しDNA取り込み能をもったコ
ンピテント細胞を調製する。コンピテント細胞は滅菌グ
リセロールを終濃度約15%となるように添加すること
により、−70℃で凍結保存できる。上記コンピテント
細胞の懸濁液にpT−Trx溶液を加え、42℃の熱処
理を行ったのち、液体培地を加え薬剤耐性遺伝子が発現
するまで回復培養し、適当な薬剤を含む寒天培地上に広
げて培養する。生じたコロニーを単離し、pT−Trx
で形質転換された大腸菌BL21(DE3)株を得る。
次いで、pT−Trxで形質転換された大腸菌BL21
(DE3)株のコンピテント細胞を同様に調製し、この
コンピテント細胞の懸濁液に種々の蛋白質をコードする
発現プラスミドpETの溶液を加え、同様に形質転換を
行い、pT−Trxおよび種々の哺乳類蛋白質をコード
するpETの両方のプラスミドを保持する大腸菌BL2
1(DE3)株を得ることができる。
る細菌(共形質転換細菌)を作製するには、前記のよう
にして得られるpT−Trxを保持する大腸菌BL21
(DE3)株を、種々の哺乳類蛋白質をコードするpE
Tベクターで形質転換することにより得られる。すなわ
ち、まず大腸菌BL21(DE3)株を対数増殖期中期
まで振盪培養し、遠心分離で菌体を集め、カルシウムイ
オンの存在下で低温処理しDNA取り込み能をもったコ
ンピテント細胞を調製する。コンピテント細胞は滅菌グ
リセロールを終濃度約15%となるように添加すること
により、−70℃で凍結保存できる。上記コンピテント
細胞の懸濁液にpT−Trx溶液を加え、42℃の熱処
理を行ったのち、液体培地を加え薬剤耐性遺伝子が発現
するまで回復培養し、適当な薬剤を含む寒天培地上に広
げて培養する。生じたコロニーを単離し、pT−Trx
で形質転換された大腸菌BL21(DE3)株を得る。
次いで、pT−Trxで形質転換された大腸菌BL21
(DE3)株のコンピテント細胞を同様に調製し、この
コンピテント細胞の懸濁液に種々の蛋白質をコードする
発現プラスミドpETの溶液を加え、同様に形質転換を
行い、pT−Trxおよび種々の哺乳類蛋白質をコード
するpETの両方のプラスミドを保持する大腸菌BL2
1(DE3)株を得ることができる。
【0024】コンピテント細胞の調製法には種々の変法
があるが、いずれの方法も利用できる。また、大腸菌の
形質転換法としては、大腸菌とDNAの浮遊液に高電圧
パルスをかけることにより細胞にDNAを取り込ませる
エレクトロポレーション法も知られており、この方法も
利用可能である。pT−Trxおよび種々の哺乳類蛋白
質をコードするpETの両方のプラスミドを同時に大腸
菌BL21(DE3)株に導入することも可能である
が、一旦pT−Trxで形質転換した大腸菌株を作製し
ておき、この形質転換株にさらに目的に応じて種々の哺
乳類蛋白質をコードするpETプラスミドを導入すると
いう2段階で形質転換する方法をとるのが便利である。
このようにして得られた共形質転換細菌として、E.c
oli BL21(DE3)/Trx−Mybが工業技
術院生命工学工業技術研究所に寄託されている(FER
M P−15232)。
があるが、いずれの方法も利用できる。また、大腸菌の
形質転換法としては、大腸菌とDNAの浮遊液に高電圧
パルスをかけることにより細胞にDNAを取り込ませる
エレクトロポレーション法も知られており、この方法も
利用可能である。pT−Trxおよび種々の哺乳類蛋白
質をコードするpETの両方のプラスミドを同時に大腸
菌BL21(DE3)株に導入することも可能である
が、一旦pT−Trxで形質転換した大腸菌株を作製し
ておき、この形質転換株にさらに目的に応じて種々の哺
乳類蛋白質をコードするpETプラスミドを導入すると
いう2段階で形質転換する方法をとるのが便利である。
このようにして得られた共形質転換細菌として、E.c
oli BL21(DE3)/Trx−Mybが工業技
術院生命工学工業技術研究所に寄託されている(FER
M P−15232)。
【0025】(3)共形質転換細菌による真核生物遺伝
子の大腸菌による発現 得られた共形質転換細菌を適当な培地例えばスーパーブ
ロス(トリプトン32g、酵母エキス20g、NaCl
5g、1N−NaOH5ml/リットル)中でA550 が
約0.7になるまで培養し、次いでIPTG(イソプロ
ピル−β−D−チオガラクトピラノシド)で誘導をかけ
蛋白質を発現させる。細菌を遠心分離により集菌し、P
BS(130mMのNaCl、2.7mMのKCl、1
0mMのリン酸カリウムバッファー、pH7.2)で洗
浄し、バッファーA(50mMのトリス−塩酸、pH
7.5、5mMのMgCl2 、0.5mMのEDTA、
0.1MのNaCl)に懸濁し、超音波により破砕す
る。遠心分離後、上清を採取し目的の可溶性蛋白質を得
ることができる。
子の大腸菌による発現 得られた共形質転換細菌を適当な培地例えばスーパーブ
ロス(トリプトン32g、酵母エキス20g、NaCl
5g、1N−NaOH5ml/リットル)中でA550 が
約0.7になるまで培養し、次いでIPTG(イソプロ
ピル−β−D−チオガラクトピラノシド)で誘導をかけ
蛋白質を発現させる。細菌を遠心分離により集菌し、P
BS(130mMのNaCl、2.7mMのKCl、1
0mMのリン酸カリウムバッファー、pH7.2)で洗
浄し、バッファーA(50mMのトリス−塩酸、pH
7.5、5mMのMgCl2 、0.5mMのEDTA、
0.1MのNaCl)に懸濁し、超音波により破砕す
る。遠心分離後、上清を採取し目的の可溶性蛋白質を得
ることができる。
【0026】 目的蛋白質として、マウスc−Myb
(Sakura, H., Kanei-Ishii, C., Nagase, T., Nakagos
hi, H., Gonda, T. J., and Ishii, S. (1989) Proc. N
atl. Acad. Sci. U. S. A. 86, 5758-5762)、cAMP
応答エレメント結合蛋白(CRE−BP1)(Maekawa,
T., Sakura, H., Kanei-Ishii, C., Sudo, T., Fujisa
wa, J., Yoshida, M., and Ishii, S. (1989) EMBO J.
8, 2023-2028 )、p53癌抑制遺伝子産物(Vogelstei
n, B., and Kinzler, K. W. (1992) Cell 70, 523-526
)、Xenopus Mos プロト−オンコジーン産物(Mos)
(Sagata, N., Watanabe, N., Vande Woude, G. F., an
d Ikawa, Y. (1989) Nauture 342, 512-518)、ヒトl
ck遺伝子産物(Lck)(Marth, J. D., Peet, R.,
Krebs, E. G., and Perlmutter, R. M. (1985) Cell 4
3, 393-404 )、ski−関連遺伝子産物(SnoN)
(Nagase, T., Nomura, N., and Ishii, S. (1993) J.
Biol. Chem. 268, 13710-13716)、mycプロト−オン
コジーン産物(Myc)(Luescher, B., and Eisenma
n, R. N. (1990) Genes Dev. 4, 2025-2035)、および
アデノウイルスオンコジーン産物(E1A)(Moran,
E., and Mathews, M. B. (1987) Cell 48, 177-178 )
の8種の遺伝子産物を選択し、その溶解性に対するTr
xの共発現の影響を調べる。
(Sakura, H., Kanei-Ishii, C., Nagase, T., Nakagos
hi, H., Gonda, T. J., and Ishii, S. (1989) Proc. N
atl. Acad. Sci. U. S. A. 86, 5758-5762)、cAMP
応答エレメント結合蛋白(CRE−BP1)(Maekawa,
T., Sakura, H., Kanei-Ishii, C., Sudo, T., Fujisa
wa, J., Yoshida, M., and Ishii, S. (1989) EMBO J.
8, 2023-2028 )、p53癌抑制遺伝子産物(Vogelstei
n, B., and Kinzler, K. W. (1992) Cell 70, 523-526
)、Xenopus Mos プロト−オンコジーン産物(Mos)
(Sagata, N., Watanabe, N., Vande Woude, G. F., an
d Ikawa, Y. (1989) Nauture 342, 512-518)、ヒトl
ck遺伝子産物(Lck)(Marth, J. D., Peet, R.,
Krebs, E. G., and Perlmutter, R. M. (1985) Cell 4
3, 393-404 )、ski−関連遺伝子産物(SnoN)
(Nagase, T., Nomura, N., and Ishii, S. (1993) J.
Biol. Chem. 268, 13710-13716)、mycプロト−オン
コジーン産物(Myc)(Luescher, B., and Eisenma
n, R. N. (1990) Genes Dev. 4, 2025-2035)、および
アデノウイルスオンコジーン産物(E1A)(Moran,
E., and Mathews, M. B. (1987) Cell 48, 177-178 )
の8種の遺伝子産物を選択し、その溶解性に対するTr
xの共発現の影響を調べる。
【0027】 その結果、実施例に示すように、Tr
xの共発現により、検討した8種の外来蛋白質すべての
溶解性を顕著に増加させることが分かる。一方、従来可
溶性因子として知られているGroESLの共発現の場
合は、検討した8種のうち4種の外来蛋白質の溶解性を
顕著に増加させたもののその程度はTrxの共発現の場
合よりも小さく、また残りの4種については溶解性の増
加が認められない。これらの事実から、Trx共発現系
がGroE共発現系よりもはるかに有用性が高いと結論
することができる。
xの共発現により、検討した8種の外来蛋白質すべての
溶解性を顕著に増加させることが分かる。一方、従来可
溶性因子として知られているGroESLの共発現の場
合は、検討した8種のうち4種の外来蛋白質の溶解性を
顕著に増加させたもののその程度はTrxの共発現の場
合よりも小さく、また残りの4種については溶解性の増
加が認められない。これらの事実から、Trx共発現系
がGroE共発現系よりもはるかに有用性が高いと結論
することができる。
【0028】(4)共発現により得られる可溶型蛋白質
のコンフォーメーション 封入体のような不溶性蛋白質として発現したものを尿素
処理等で可溶化した場合は、得られた蛋白質はその蛋白
質本来のコンフォーメーションを持たないものが多いこ
とが知られている。そこで、Lckの自己リン酸化活性
をメルクマールとして本発明の方法により可溶型として
発現された蛋白質が本来のコンフォーメーションを有す
るか否かについてしらべると、実施例に示すように、尿
素によって可溶化された蛋白質試料についてはその一部
分しか本来のコンフォーメーションを持っていないのに
対し、Trxの共発現により可溶型として発現された蛋
白質は天然蛋白質のコンフォーメーションをもつと結論
できる。
のコンフォーメーション 封入体のような不溶性蛋白質として発現したものを尿素
処理等で可溶化した場合は、得られた蛋白質はその蛋白
質本来のコンフォーメーションを持たないものが多いこ
とが知られている。そこで、Lckの自己リン酸化活性
をメルクマールとして本発明の方法により可溶型として
発現された蛋白質が本来のコンフォーメーションを有す
るか否かについてしらべると、実施例に示すように、尿
素によって可溶化された蛋白質試料についてはその一部
分しか本来のコンフォーメーションを持っていないのに
対し、Trxの共発現により可溶型として発現された蛋
白質は天然蛋白質のコンフォーメーションをもつと結論
できる。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定さ
れるものではない。
明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定さ
れるものではない。
【0030】実施例1プラスミドの構築 T7プロモーターを含むプラスミド(pACYC−T
7)を作製するために、pACYC184(Chang, A.
C. Y., and Cohen, S. N. (1978) J. Bacteriol.134, 1
141-1156 ) の0.5kb HindIII −SphI
DNA断片をpAR2156ベクター(Studier F. W.,
and Moffatt, B. A. (1986) J. Mol. Biol. 189, 113-
130 、Rosenberg, A. H., Lade, B. N., Chui, D.-S.,
Lin, S.-W., Dunn, J. J., and Studier F. W. (1987)
Gene 56, 125-135 )由来のT7プロモーターを含む0.
6kb HindIII −SphI断片で置換した。
7)を作製するために、pACYC184(Chang, A.
C. Y., and Cohen, S. N. (1978) J. Bacteriol.134, 1
141-1156 ) の0.5kb HindIII −SphI
DNA断片をpAR2156ベクター(Studier F. W.,
and Moffatt, B. A. (1986) J. Mol. Biol. 189, 113-
130 、Rosenberg, A. H., Lade, B. N., Chui, D.-S.,
Lin, S.-W., Dunn, J. J., and Studier F. W. (1987)
Gene 56, 125-135 )由来のT7プロモーターを含む0.
6kb HindIII −SphI断片で置換した。
【0031】GroESL−コード領域( 2.1kb)
の5’末端にNdeI部位を、3’末端にBglII部位
をもつDNA断片を、groEプラスミド(pKV15
61)(Kanemori, M., Mori, H., and Yura, T. (199
4) J. Bacteriol. 176, 4235-4242) を鋳型としたPC
Rにより作製し、pACYC−T7のNdeI−Bam
HI部位に挿入してT7プロモーターの制御下に大腸菌
GroESLを発現するプラスミド(pT−GroE)
を作製した(図1)。
の5’末端にNdeI部位を、3’末端にBglII部位
をもつDNA断片を、groEプラスミド(pKV15
61)(Kanemori, M., Mori, H., and Yura, T. (199
4) J. Bacteriol. 176, 4235-4242) を鋳型としたPC
Rにより作製し、pACYC−T7のNdeI−Bam
HI部位に挿入してT7プロモーターの制御下に大腸菌
GroESLを発現するプラスミド(pT−GroE)
を作製した(図1)。
【0032】Trxをコードする領域にT7プロモータ
ーを連結させたプラスミド(pT−Trx)を作製する
ために、pT−GroEのNdeI−HindIII 断片
を、米国 Invitrogen 社より販売されているプラスミ
ドpTrx由来の大腸菌チオレドキシンのコード領域と
aspA転写ターミネーターを含むNdeI−Hind
III 断片で置換した(図2)。
ーを連結させたプラスミド(pT−Trx)を作製する
ために、pT−GroEのNdeI−HindIII 断片
を、米国 Invitrogen 社より販売されているプラスミ
ドpTrx由来の大腸菌チオレドキシンのコード領域と
aspA転写ターミネーターを含むNdeI−Hind
III 断片で置換した(図2)。
【0033】目的の脊椎動物の蛋白質を発現するプラス
ミドは、T7プロモーターおよびpBR322由来のレ
プリコンを含む適当なpET発現ベクター(Studier F.
W.,and Moffatt, B. A. (1986) J. Mol. Biol. 189, 1
13-130 、Rosenberg, A. H., Lade, B. N., Chui, D.-
S., Lin, S.-W., Dunn, J. J., and Studier F. W. (19
87) Gene 56, 125-135 )と目的の蛋白質をコードするc
DNAを用いて構築した。すなわち、マウスc−Myb
cDNA(Sakura, H., Kanei-Ishii, C., Nagase, T.,
Nakagoshi, H., Gonda, T. J., and Ishii, S. (1989)
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86, 5758-5762) 、c
AMP応答エレメント結合蛋白(CRE−BP)cDN
A(Maekawa, T., Sakura, H., Kanei-Ishii, C., Sud
o, T., Fujisawa, J., Yoshida, M., and Ishii, S. (1
989) EMBO J. 8, 2323-2328) 、p53癌抑制遺伝子産
物cDNA(Vogelstein, B. and Kinzler, K. W. (199
2) Cell 70, 523-526)、Xenopus Mos cDNA (Sagata,
N., Watanabe, N., Vande Woude,G. F., and Ikawa, Y.
(1989) Nature 342, 512-518) 、ヒトSnoN cDN
A(Nagase, T., Nomura, N., and Ishii, S. (1993)
J. Biol. Chem. 268, 13710-13716) 、ヒトc−Myc
cDNA(Luscher, B. and Eisenman, R. N. (1990)Gen
es Dev. 4, 2025-2035) 、アデノウイルスE1A遺伝子
(Moran, E. and Mathews, M. B. (1987) Cell 48, 177
-178) を用いて、PCR法によりNdeIとHindII
I 部位をそれぞれ5’末端と3’末端に持つ各DNA断
片をそれぞれ調製し、pAR2156ベクター(Studie
r, P. W. and Moffatt, B. A. (1986)J. Mol. Biol. 18
9, 113-130 、Rosenberg, A. H., Lade, B. N., Chui,
D. -S., Lin, S. -W., Dunn, J. J., and Studier, F.
W. (1987) Gene 56, 125-135)のT7プロモーター下流
のNdeI−HindIII 断片と置換した。
ミドは、T7プロモーターおよびpBR322由来のレ
プリコンを含む適当なpET発現ベクター(Studier F.
W.,and Moffatt, B. A. (1986) J. Mol. Biol. 189, 1
13-130 、Rosenberg, A. H., Lade, B. N., Chui, D.-
S., Lin, S.-W., Dunn, J. J., and Studier F. W. (19
87) Gene 56, 125-135 )と目的の蛋白質をコードするc
DNAを用いて構築した。すなわち、マウスc−Myb
cDNA(Sakura, H., Kanei-Ishii, C., Nagase, T.,
Nakagoshi, H., Gonda, T. J., and Ishii, S. (1989)
Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 86, 5758-5762) 、c
AMP応答エレメント結合蛋白(CRE−BP)cDN
A(Maekawa, T., Sakura, H., Kanei-Ishii, C., Sud
o, T., Fujisawa, J., Yoshida, M., and Ishii, S. (1
989) EMBO J. 8, 2323-2328) 、p53癌抑制遺伝子産
物cDNA(Vogelstein, B. and Kinzler, K. W. (199
2) Cell 70, 523-526)、Xenopus Mos cDNA (Sagata,
N., Watanabe, N., Vande Woude,G. F., and Ikawa, Y.
(1989) Nature 342, 512-518) 、ヒトSnoN cDN
A(Nagase, T., Nomura, N., and Ishii, S. (1993)
J. Biol. Chem. 268, 13710-13716) 、ヒトc−Myc
cDNA(Luscher, B. and Eisenman, R. N. (1990)Gen
es Dev. 4, 2025-2035) 、アデノウイルスE1A遺伝子
(Moran, E. and Mathews, M. B. (1987) Cell 48, 177
-178) を用いて、PCR法によりNdeIとHindII
I 部位をそれぞれ5’末端と3’末端に持つ各DNA断
片をそれぞれ調製し、pAR2156ベクター(Studie
r, P. W. and Moffatt, B. A. (1986)J. Mol. Biol. 18
9, 113-130 、Rosenberg, A. H., Lade, B. N., Chui,
D. -S., Lin, S. -W., Dunn, J. J., and Studier, F.
W. (1987) Gene 56, 125-135)のT7プロモーター下流
のNdeI−HindIII 断片と置換した。
【0034】実施例2共形質転換体の作製 (1) 実施例1に示したように、外来の目的蛋白質を
発現するために、T7プロモーターとpBR322由来
のレプリコンとを含むpETベクターを使用した。Tr
xまたはGroESLを目的の外来蛋白質の発現レベル
と同レベルで発現させるために、Trxコード領域また
はGroESLコード領域をT7プロモーターに連結
し、p15Aレプリコンおよびクロラムフェニコール耐
性(Cm)マーカー遺伝子を含むpACYCベクター
(Chang, A. C. Y., and Cohen, S. N.(1978) J. Bacte
riol. 134, 1141-1156 ) に挿入した(図1および図
2)。得られたプラスミド、pT−TrxまたはpT−
GroEは、プラスミド和合性の範囲内で、種々の脊椎
動物蛋白質を発現するpETプラスミドと共形質転換を
行うことが可能であった。
発現するために、T7プロモーターとpBR322由来
のレプリコンとを含むpETベクターを使用した。Tr
xまたはGroESLを目的の外来蛋白質の発現レベル
と同レベルで発現させるために、Trxコード領域また
はGroESLコード領域をT7プロモーターに連結
し、p15Aレプリコンおよびクロラムフェニコール耐
性(Cm)マーカー遺伝子を含むpACYCベクター
(Chang, A. C. Y., and Cohen, S. N.(1978) J. Bacte
riol. 134, 1141-1156 ) に挿入した(図1および図
2)。得られたプラスミド、pT−TrxまたはpT−
GroEは、プラスミド和合性の範囲内で、種々の脊椎
動物蛋白質を発現するpETプラスミドと共形質転換を
行うことが可能であった。
【0035】(2) これらのプラスミドからTrxま
たはGroESLが発現したことを確認するため、大腸
菌BL21(DE3)株をpT−TrxまたはpT−G
roEプラスミドで形質転換し、IPTGの存在下また
は非存在下に培養した。図3は各培養物の全蛋白質をS
DS−PAGE後にクマジー染色したものを示す。pT
−TrxからTrxが、またpT−GroEからGro
ESとGroELが過剰発現しており、TrxまたはG
roESとGroELは全細胞蛋白質の30%を超えて
いることが分かった。
たはGroESLが発現したことを確認するため、大腸
菌BL21(DE3)株をpT−TrxまたはpT−G
roEプラスミドで形質転換し、IPTGの存在下また
は非存在下に培養した。図3は各培養物の全蛋白質をS
DS−PAGE後にクマジー染色したものを示す。pT
−TrxからTrxが、またpT−GroEからGro
ESとGroELが過剰発現しており、TrxまたはG
roESとGroELは全細胞蛋白質の30%を超えて
いることが分かった。
【0036】(3) 外来蛋白質とTrxまたは外来蛋
白質とGroEの両方を発現する細菌を作製するため、
pT−TrxまたはpT−GroEを保持する大腸菌B
L21(DE3)株を種々の哺乳類蛋白質をコードする
pETベクターで形質転換した。すなわち、大腸菌BL
21(DE3)株をLB(トリプトン10g、酵母エキ
ス5g、塩化ナトリウム10g/リットル、pH7.
0)寒天培地上で37℃にて16〜20時間培養し、生
育したシングルコロニーを1リットル容フラスコ中のL
B液体培地100mlに移してOD600 が0.4〜0.
5に達するまで約3時間37℃で振盪培養した。培養液
を氷上で10分間冷却し、4000rpm、10分間の
遠心分離により菌体を集めた。菌体を氷冷した20ml
の0.1MCaCl2 に懸濁し、氷水中に20分間放置
した。4000rpm、10分間遠心分離し菌体を集
め、再度氷冷した4mlの0.1MCaCl2 に懸濁し
大腸菌BL21(DE3)コンピテント細胞を調製し
た。このコンピテント細胞の懸濁液200μlを滅菌し
た試験管にとり、これに上記のとおりに作製したpT−
Trx溶液10μl(DNA量は10ng以下)を加え
静かに混和して氷上に30分間おいたのち、42℃の恒
温槽に90秒間浸し、直ちに氷冷した。800μlのS
OC(グルコース20mM、トリプトン20g、酵母エ
キス5g、塩化ナトリウム0.5g、250mM KC
lの10ml/リットル、pH7.0、使用直前に2M
のMgCl2 5mlを添加)培地を加え、37℃の恒温
槽に45分間静置したのち、クロラムフェニコール(1
0μg/ml)を含むSOB(トリプトン20g、酵母
エキス5g、塩化ナトリウム0.5g、250mM K
Clの10ml/リットル、pH7.0、使用直前に2
MのMgCl2 5mlを添加)寒天培地上に広げ、37
℃で16時間培養し、pT−Trxで形質転換された大
腸菌BL21(DE3)株を得た。pT−Trxの代わ
りにpT−GroEを用いて、同様にpT−GroEで
形質転換された大腸菌BL21(DE3)株を得た。
白質とGroEの両方を発現する細菌を作製するため、
pT−TrxまたはpT−GroEを保持する大腸菌B
L21(DE3)株を種々の哺乳類蛋白質をコードする
pETベクターで形質転換した。すなわち、大腸菌BL
21(DE3)株をLB(トリプトン10g、酵母エキ
ス5g、塩化ナトリウム10g/リットル、pH7.
0)寒天培地上で37℃にて16〜20時間培養し、生
育したシングルコロニーを1リットル容フラスコ中のL
B液体培地100mlに移してOD600 が0.4〜0.
5に達するまで約3時間37℃で振盪培養した。培養液
を氷上で10分間冷却し、4000rpm、10分間の
遠心分離により菌体を集めた。菌体を氷冷した20ml
の0.1MCaCl2 に懸濁し、氷水中に20分間放置
した。4000rpm、10分間遠心分離し菌体を集
め、再度氷冷した4mlの0.1MCaCl2 に懸濁し
大腸菌BL21(DE3)コンピテント細胞を調製し
た。このコンピテント細胞の懸濁液200μlを滅菌し
た試験管にとり、これに上記のとおりに作製したpT−
Trx溶液10μl(DNA量は10ng以下)を加え
静かに混和して氷上に30分間おいたのち、42℃の恒
温槽に90秒間浸し、直ちに氷冷した。800μlのS
OC(グルコース20mM、トリプトン20g、酵母エ
キス5g、塩化ナトリウム0.5g、250mM KC
lの10ml/リットル、pH7.0、使用直前に2M
のMgCl2 5mlを添加)培地を加え、37℃の恒温
槽に45分間静置したのち、クロラムフェニコール(1
0μg/ml)を含むSOB(トリプトン20g、酵母
エキス5g、塩化ナトリウム0.5g、250mM K
Clの10ml/リットル、pH7.0、使用直前に2
MのMgCl2 5mlを添加)寒天培地上に広げ、37
℃で16時間培養し、pT−Trxで形質転換された大
腸菌BL21(DE3)株を得た。pT−Trxの代わ
りにpT−GroEを用いて、同様にpT−GroEで
形質転換された大腸菌BL21(DE3)株を得た。
【0037】次に、pT−Trxで形質転換された大腸
菌BL21(DE3)株をクロラムフェニコールを含む
LB寒天培地上で37℃にて16〜20時間培養し、生
育したシングルコロニーを1リットル容フラスコ中のL
B液体培地100mlに移してOD600 が0.4〜0.
5に達するまで約3時間37℃で振盪培養した。培養液
を氷上で10分間冷却し、4000rpm、10分間の
遠心分離により菌体を集めた。菌体を氷冷した20ml
の0.1MCaCl2 に懸濁し、氷水中に20分間放置
した。4000rpm、10分間遠心分離し菌体を集
め、再度氷冷した4mlの0.1MCaCl2 に懸濁し
pT−Trxを保持する大腸菌BL21(DE3)コン
ピテント細胞を調製した。このコンピテント細胞の懸濁
液200μlを滅菌した試験管にとり、これに上記のと
おりに作製した種々の脊椎動物蛋白質をコードするpE
Tベクターの溶液10μl(DNA量は10ng以下)
を加え静かに混和して氷上に30分間おいたのち、42
℃の恒温槽に90秒間浸し、直ちに氷冷した。800μ
lのSOC培地を加え、37℃の恒温槽に45分間静置
したのち、クロラムフェニコール(10μg/ml)、
アンピシリン(50μg/ml)を含むSOB寒天培地
上に広げ、37℃で16時間培養し、種々の脊椎動物蛋
白質をコードするpET発現ベクターで形質転換された
pT−Trx保持大腸菌BL21(DE3)株を得た。
同様にpT−GroEで形質転換された大腸菌BL21
(DE3)株を用いて、種々の脊椎動物蛋白質をコード
するpET発現ベクターで形質転換されたpT−Gro
E保持大腸菌BL21(DE3)株を得た。
菌BL21(DE3)株をクロラムフェニコールを含む
LB寒天培地上で37℃にて16〜20時間培養し、生
育したシングルコロニーを1リットル容フラスコ中のL
B液体培地100mlに移してOD600 が0.4〜0.
5に達するまで約3時間37℃で振盪培養した。培養液
を氷上で10分間冷却し、4000rpm、10分間の
遠心分離により菌体を集めた。菌体を氷冷した20ml
の0.1MCaCl2 に懸濁し、氷水中に20分間放置
した。4000rpm、10分間遠心分離し菌体を集
め、再度氷冷した4mlの0.1MCaCl2 に懸濁し
pT−Trxを保持する大腸菌BL21(DE3)コン
ピテント細胞を調製した。このコンピテント細胞の懸濁
液200μlを滅菌した試験管にとり、これに上記のと
おりに作製した種々の脊椎動物蛋白質をコードするpE
Tベクターの溶液10μl(DNA量は10ng以下)
を加え静かに混和して氷上に30分間おいたのち、42
℃の恒温槽に90秒間浸し、直ちに氷冷した。800μ
lのSOC培地を加え、37℃の恒温槽に45分間静置
したのち、クロラムフェニコール(10μg/ml)、
アンピシリン(50μg/ml)を含むSOB寒天培地
上に広げ、37℃で16時間培養し、種々の脊椎動物蛋
白質をコードするpET発現ベクターで形質転換された
pT−Trx保持大腸菌BL21(DE3)株を得た。
同様にpT−GroEで形質転換された大腸菌BL21
(DE3)株を用いて、種々の脊椎動物蛋白質をコード
するpET発現ベクターで形質転換されたpT−Gro
E保持大腸菌BL21(DE3)株を得た。
【0038】(4) 得られた細菌を、クロラムフェニ
コール(10μg/ml)とアンピシリン(50μg/
ml)を含むスーパーブロス2.5ml中でA550 が
0.7になるまで培養し、ついで1mMのIPTGで4
時間誘導をかけ蛋白質を発現させた。細菌を遠心分離に
より集菌し、PBS(130mMのNaCl、2.7m
MのKCl、10mMのリン酸カリウムバッファー、p
H7.2)で洗浄し、150μlのバッファーA(50
mMのトリス−塩酸、pH7.5、5mMのMgC
l2 、0.5mMのEDTA、0.1MのNaCl)に
懸濁し、超音波により破砕した。遠心分離後、上清を採
取し可溶性画分とする。ペレットを200μlのSDS
サンプルバッファー中に懸濁し、3分間煮沸し、遠心分
離した。この上清を採取し不溶性画分とした。
コール(10μg/ml)とアンピシリン(50μg/
ml)を含むスーパーブロス2.5ml中でA550 が
0.7になるまで培養し、ついで1mMのIPTGで4
時間誘導をかけ蛋白質を発現させた。細菌を遠心分離に
より集菌し、PBS(130mMのNaCl、2.7m
MのKCl、10mMのリン酸カリウムバッファー、p
H7.2)で洗浄し、150μlのバッファーA(50
mMのトリス−塩酸、pH7.5、5mMのMgC
l2 、0.5mMのEDTA、0.1MのNaCl)に
懸濁し、超音波により破砕した。遠心分離後、上清を採
取し可溶性画分とする。ペレットを200μlのSDS
サンプルバッファー中に懸濁し、3分間煮沸し、遠心分
離した。この上清を採取し不溶性画分とした。
【0039】実施例3大腸菌により発現された脊椎動物蛋白質の溶解性に対す
る大腸菌チオレドキシンまたは大腸菌シャペロンGro
ESLの共発現の影響 (1) まず、脊椎動物蛋白質の溶解性に対するTrx
の共発現の影響を検討した(図4において、+Trxと
マークしたレーンを参照。)。各種の外来蛋白質を発現
させるために、pETプラスミドのみを保持するBL2
1(DE3)形質転換細菌およびpETプラスミドとp
T−Trxプラスミドの両者を保持する形質転換細菌を
使用した。各蛋白質の発現と溶解性を評価するために、
これらの形質転換細菌をスーパーブロス中、37℃でA
550 が0.7になるまで培養し、IPTGで誘導の4時
間後に集菌し、超音波処理(超音波破砕装置(トミー精
工社製モデルUD−20P)、10秒間×5回)を行
い、遠心分離(15,000rpm、10分間)によ
り、可溶性画分と不溶性画分とに分画した。両画分の蛋
白質をSDS−PAGEで分離し、クマジー染色を行っ
た。
る大腸菌チオレドキシンまたは大腸菌シャペロンGro
ESLの共発現の影響 (1) まず、脊椎動物蛋白質の溶解性に対するTrx
の共発現の影響を検討した(図4において、+Trxと
マークしたレーンを参照。)。各種の外来蛋白質を発現
させるために、pETプラスミドのみを保持するBL2
1(DE3)形質転換細菌およびpETプラスミドとp
T−Trxプラスミドの両者を保持する形質転換細菌を
使用した。各蛋白質の発現と溶解性を評価するために、
これらの形質転換細菌をスーパーブロス中、37℃でA
550 が0.7になるまで培養し、IPTGで誘導の4時
間後に集菌し、超音波処理(超音波破砕装置(トミー精
工社製モデルUD−20P)、10秒間×5回)を行
い、遠心分離(15,000rpm、10分間)によ
り、可溶性画分と不溶性画分とに分画した。両画分の蛋
白質をSDS−PAGEで分離し、クマジー染色を行っ
た。
【0040】pETプラスミドのみで形質転換された
(pT−Trxプラスミドを保持しない)大腸菌の場合
は、マウスc−Mybは完全な不溶性アグリゲートとし
て発現された。しかし、Trxの共発現によって、マウ
スc−Myb(Sakura, H., Kanei-Ishii, C., Nagase,
T., Nakagoshi, H., Gonda, T. J., and Ishii, S. (1
989) Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 86, 5758-576
2)の溶解性は劇的に増加し、培養物1リットル当たり
約30mgの可溶型c−Mybが産生された。
(pT−Trxプラスミドを保持しない)大腸菌の場合
は、マウスc−Mybは完全な不溶性アグリゲートとし
て発現された。しかし、Trxの共発現によって、マウ
スc−Myb(Sakura, H., Kanei-Ishii, C., Nagase,
T., Nakagoshi, H., Gonda, T. J., and Ishii, S. (1
989) Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 86, 5758-576
2)の溶解性は劇的に増加し、培養物1リットル当たり
約30mgの可溶型c−Mybが産生された。
【0041】同様な溶解性の増加が、Trxの共発現に
よって二つの他のヒト転写因子である、cAMP応答エ
レメント結合蛋白(CRE−BP1)(Maekawa, T., S
akura, H., Kanei-Ishii, C., Sudo, T., Fujisawa,
J., Yoshida, M., and Ishii,S. (1989) EMBO J. 8, 20
23-2028 )およびp53癌抑制遺伝子産物(Vogelstein,
B., and Kinzler, K. W. (1992) Cell 70, 523-526 )
についても観察され、培養物1リットル当たりCRE−
BP1については約60mg、p53癌抑制遺伝子産物
については約100mgの可溶型蛋白質が産生された。
よって二つの他のヒト転写因子である、cAMP応答エ
レメント結合蛋白(CRE−BP1)(Maekawa, T., S
akura, H., Kanei-Ishii, C., Sudo, T., Fujisawa,
J., Yoshida, M., and Ishii,S. (1989) EMBO J. 8, 20
23-2028 )およびp53癌抑制遺伝子産物(Vogelstein,
B., and Kinzler, K. W. (1992) Cell 70, 523-526 )
についても観察され、培養物1リットル当たりCRE−
BP1については約60mg、p53癌抑制遺伝子産物
については約100mgの可溶型蛋白質が産生された。
【0042】脊椎動物のキナーゼの溶解性に対するTr
x共発現の影響についても検討した。Ser/Thrキ
ナーゼの1種であるXenopus Mosプロト−オ
ンコジーン産物(Mos)(Sagata, N., Watanabe,
N., Vande Woude, G. F., andIkawa, Y. (1989) Nautur
e 342, 512-518 )、およびsrcジーンファミリーの
1員でありチロジンキナーゼの1種であるヒトlck遺
伝子産物(Lck)(Marth, J. D., Peet, R., Krebs,
E. G., and Perlmutter, R. M. (1985) Cell 43, 393-
404 )の溶解性も同様に、Trxの共発現によって改善
され、培養物1リットル当たりMosについては約40
mg、Lckについては約30mgの可溶型蛋白質が産
生された。
x共発現の影響についても検討した。Ser/Thrキ
ナーゼの1種であるXenopus Mosプロト−オ
ンコジーン産物(Mos)(Sagata, N., Watanabe,
N., Vande Woude, G. F., andIkawa, Y. (1989) Nautur
e 342, 512-518 )、およびsrcジーンファミリーの
1員でありチロジンキナーゼの1種であるヒトlck遺
伝子産物(Lck)(Marth, J. D., Peet, R., Krebs,
E. G., and Perlmutter, R. M. (1985) Cell 43, 393-
404 )の溶解性も同様に、Trxの共発現によって改善
され、培養物1リットル当たりMosについては約40
mg、Lckについては約30mgの可溶型蛋白質が産
生された。
【0043】さらに、3種の他の核蛋白質である、sk
i−関連遺伝子産物(SnoN)(Nagase, T., Nomur
a, N., and Ishii, S. (1993) J. Biol. Chem. 268, 13
710-13716)、mycプロト−オンコジーン産物(My
c)(Luescher, B., and Eisenman, R. N. (1990) Gen
es Dev. 4, 2025-2035)、およびアデノウイルスオンコ
ジーン産物(E1A)(Moran, E., and Mathews, M.
B. (1987) Cell 48, 177-178 )の溶解性に対するTr
xの共発現の影響を調べたところ、培養物1リットル当
たりMycについては約20mg、SnoNについても
約20mgの可溶型蛋白質が産生された。E1AはTr
xの非存在下でも約半分は可溶型として発現するが、T
rxの存在下ではE1Aのほとんど全量が可溶型として
発現し、培養物1リットル当たり約70mgの可溶型E
1Aが発現した。
i−関連遺伝子産物(SnoN)(Nagase, T., Nomur
a, N., and Ishii, S. (1993) J. Biol. Chem. 268, 13
710-13716)、mycプロト−オンコジーン産物(My
c)(Luescher, B., and Eisenman, R. N. (1990) Gen
es Dev. 4, 2025-2035)、およびアデノウイルスオンコ
ジーン産物(E1A)(Moran, E., and Mathews, M.
B. (1987) Cell 48, 177-178 )の溶解性に対するTr
xの共発現の影響を調べたところ、培養物1リットル当
たりMycについては約20mg、SnoNについても
約20mgの可溶型蛋白質が産生された。E1AはTr
xの非存在下でも約半分は可溶型として発現するが、T
rxの存在下ではE1Aのほとんど全量が可溶型として
発現し、培養物1リットル当たり約70mgの可溶型E
1Aが発現した。
【0044】従って、Trxの共発現は、検討した8種
の外来蛋白質すべての溶解性を増加させたことが分か
る。
の外来蛋白質すべての溶解性を増加させたことが分か
る。
【0045】(2) 次に、上記の8種の蛋白質の溶解
性に対するGroESL共発現の影響を検討した(図4
において+GroEとマークしたレーンを参照。)。各
種の外来蛋白質を発現させるために、pETプラスミド
のみを保持するBL21(DE3)形質転換体またはp
ETプラスミドとpT−GroEプラスミドの両者を保
持する形質転換体を作製した。各蛋白質の発現と溶解性
を評価するために、これらの形質転換体をスーパーブロ
ス中、37℃でA550 が0.7になるまで培養し、IP
TGで誘導の4時間後に集菌し、超音波で溶菌し、得ら
れた溶解液を遠心分離により可溶性画分と不溶性画分と
に分画した。両画分の蛋白質をSDS−PAGEで分離
し、クマジー染色を行った。
性に対するGroESL共発現の影響を検討した(図4
において+GroEとマークしたレーンを参照。)。各
種の外来蛋白質を発現させるために、pETプラスミド
のみを保持するBL21(DE3)形質転換体またはp
ETプラスミドとpT−GroEプラスミドの両者を保
持する形質転換体を作製した。各蛋白質の発現と溶解性
を評価するために、これらの形質転換体をスーパーブロ
ス中、37℃でA550 が0.7になるまで培養し、IP
TGで誘導の4時間後に集菌し、超音波で溶菌し、得ら
れた溶解液を遠心分離により可溶性画分と不溶性画分と
に分画した。両画分の蛋白質をSDS−PAGEで分離
し、クマジー染色を行った。
【0046】GroESLの共発現がない場合は、マウ
スc−Mybは、完全な不溶性アグリゲートとして発現
された。しかし、GroESLと共発現させるとMyb
の溶解性は顕著に増加し、c−Mybの約10%が可溶
型として発現した。この結果は、培養液1リットル当た
り約20mgの可溶型c−Mybの発現レベルに相当す
る。同様な溶解性の増加がcAMP応答要素結合蛋白
(CRE−BP1)およびp53腫瘍サプレッサージー
ン産物についても観察された。また、Ser/Thrキ
ナーゼの1種であるMosの溶解性を有意に増加した。
しかし、3種の他の核蛋白質である、SnoN、My
c、およびE1Aの溶解性は、GroESLの共発現で
は増加しなかった。また、チロジンキナーゼの1種であ
るLckの溶解性は増加しなかった。以上まとめると、
検討した8種のうちの4種の外来蛋白質の溶解性がGr
oESLの共発現によって改善されたことが分かる。上
記の事実は、Trx発現系がGroE系よりもはるかに
有用性が高いことを示すものである。
スc−Mybは、完全な不溶性アグリゲートとして発現
された。しかし、GroESLと共発現させるとMyb
の溶解性は顕著に増加し、c−Mybの約10%が可溶
型として発現した。この結果は、培養液1リットル当た
り約20mgの可溶型c−Mybの発現レベルに相当す
る。同様な溶解性の増加がcAMP応答要素結合蛋白
(CRE−BP1)およびp53腫瘍サプレッサージー
ン産物についても観察された。また、Ser/Thrキ
ナーゼの1種であるMosの溶解性を有意に増加した。
しかし、3種の他の核蛋白質である、SnoN、My
c、およびE1Aの溶解性は、GroESLの共発現で
は増加しなかった。また、チロジンキナーゼの1種であ
るLckの溶解性は増加しなかった。以上まとめると、
検討した8種のうちの4種の外来蛋白質の溶解性がGr
oESLの共発現によって改善されたことが分かる。上
記の事実は、Trx発現系がGroE系よりもはるかに
有用性が高いことを示すものである。
【0047】実施例4Trxの共発現によって可溶型として発現した外来蛋白
質のコンフォーメーション 封入体のような不溶性蛋白質として発現したものを尿素
処理等で可溶化した場合は、その蛋白質の本来のコンフ
ォーメーションを持たないものが多いことが知られてい
る。そこで、本発明の方法により可溶型として発現され
た蛋白質が本来のコンフォーメーションを有するか否か
について検討した。このため、Lckの自己リン酸化活
性を分析した(図5)。
質のコンフォーメーション 封入体のような不溶性蛋白質として発現したものを尿素
処理等で可溶化した場合は、その蛋白質の本来のコンフ
ォーメーションを持たないものが多いことが知られてい
る。そこで、本発明の方法により可溶型として発現され
た蛋白質が本来のコンフォーメーションを有するか否か
について検討した。このため、Lckの自己リン酸化活
性を分析した(図5)。
【0048】Trx発現ベクターの存在下または非存在
下に、Lckを発現するpETベクターを保持する大腸
菌BL21(DE3)株を培養し、IPTGによる誘導
後3時間Lckを発現させた。集菌後、5種のプロテア
ーゼ(大豆トリプシンインヒビター、アンチパイン、ペ
プスタチンA、キモスタチン及びロイペプチン、各10
μg/ml)を含むバッファーL(50mMのトリス−
塩酸、pH8.0、0.5mMのEDTA、50mMの
NaCl、1mMのDTT:0.125mMのPMS
F)の1/25容量中に懸濁し、超音波で破砕した。遠
心分離後、Lckの可溶型を含む上清を採取し貯蔵した
(可溶性Lck)。沈澱物(不溶性Lckを含む不溶性
ペレット)を8M尿素を含むバッファーLの1/50容
量中に懸濁し、1時間氷冷した後遠心分離した。上清を
採取し、バッファーLに対して透析し、そして貯蔵した
(尿素処理不溶性サンプル)。Lckの自己リン酸化活
性はLck−特異的抗体を用いて測定した(Yamanashi,
Y., Kikuchi, T., Mizuguchi, J., Yamamoto, T., and
Toyoshima, K. (1991) Science 251, 192-194) 。
下に、Lckを発現するpETベクターを保持する大腸
菌BL21(DE3)株を培養し、IPTGによる誘導
後3時間Lckを発現させた。集菌後、5種のプロテア
ーゼ(大豆トリプシンインヒビター、アンチパイン、ペ
プスタチンA、キモスタチン及びロイペプチン、各10
μg/ml)を含むバッファーL(50mMのトリス−
塩酸、pH8.0、0.5mMのEDTA、50mMの
NaCl、1mMのDTT:0.125mMのPMS
F)の1/25容量中に懸濁し、超音波で破砕した。遠
心分離後、Lckの可溶型を含む上清を採取し貯蔵した
(可溶性Lck)。沈澱物(不溶性Lckを含む不溶性
ペレット)を8M尿素を含むバッファーLの1/50容
量中に懸濁し、1時間氷冷した後遠心分離した。上清を
採取し、バッファーLに対して透析し、そして貯蔵した
(尿素処理不溶性サンプル)。Lckの自己リン酸化活
性はLck−特異的抗体を用いて測定した(Yamanashi,
Y., Kikuchi, T., Mizuguchi, J., Yamamoto, T., and
Toyoshima, K. (1991) Science 251, 192-194) 。
【0049】以上の処理により、LckはTrx共発現
系を用いることにより可溶型で発現された(図5、レー
ン1−4)。他方、Trxの共発現系無しに不溶型とし
て発現されたLckは尿素処理によって可溶化された
(図5、レーン5−8)。Lckのこの二つの型はLc
k−特異的抗体を用いる免疫沈降反応に付した。また、
リン酸化活性を測定するためγ32P−ATPとインキュ
ベートした。その結果は、図3下部に示すように、可溶
性Lckの比活性は尿素処理不溶性物質の比活性の10
倍であった。この事実は、尿素によって可溶化された蛋
白質サンプルの一部分しか本来のコンフォーメーション
を持っていないことを示す。これに反し、Trxの共発
現により可溶型として発現された蛋白質は天然蛋白質の
コンフォーメーションを持つといえる。
系を用いることにより可溶型で発現された(図5、レー
ン1−4)。他方、Trxの共発現系無しに不溶型とし
て発現されたLckは尿素処理によって可溶化された
(図5、レーン5−8)。Lckのこの二つの型はLc
k−特異的抗体を用いる免疫沈降反応に付した。また、
リン酸化活性を測定するためγ32P−ATPとインキュ
ベートした。その結果は、図3下部に示すように、可溶
性Lckの比活性は尿素処理不溶性物質の比活性の10
倍であった。この事実は、尿素によって可溶化された蛋
白質サンプルの一部分しか本来のコンフォーメーション
を持っていないことを示す。これに反し、Trxの共発
現により可溶型として発現された蛋白質は天然蛋白質の
コンフォーメーションを持つといえる。
【0050】
【発明の効果】本発明により、従来不溶性蛋白質として
しか細菌中では発現されなかった真核生物の蛋白質を可
溶性蛋白質として発現させることが可能となった。ま
た、一部可溶性蛋白質として発現されていた真核生物蛋
白質の可溶性蛋白質の割合を増加させることが可能とな
った。
しか細菌中では発現されなかった真核生物の蛋白質を可
溶性蛋白質として発現させることが可能となった。ま
た、一部可溶性蛋白質として発現されていた真核生物蛋
白質の可溶性蛋白質の割合を増加させることが可能とな
った。
【図1】図1は、大腸菌シャペロンGroESLの発現
ベクターを示す図である。
ベクターを示す図である。
【図2】図2は、大腸菌チオレドキシンの発現ベクター
を示す図である。
を示す図である。
【図3】図3は、GroESLの発現ベクターまたは大
腸菌Trxの発現ベクターを用いてIPTGによる誘導
発現で得られた蛋白質をSDS−PAGEにかけクマジ
ー染色して得られた発現蛋白質の電気泳動を示す写真で
ある。
腸菌Trxの発現ベクターを用いてIPTGによる誘導
発現で得られた蛋白質をSDS−PAGEにかけクマジ
ー染色して得られた発現蛋白質の電気泳動を示す写真で
ある。
【図4】図4は、SDS−PAGE−クマジー染色によ
り得られたGroESLまたはTrxの共発現により増
加した可溶性哺乳類蛋白質の電気泳動を示す写真であ
る。+は共発現系を、−は単独発現系を示す。Sは可溶
性蛋白質を、Iは不溶性蛋白質を示す。
り得られたGroESLまたはTrxの共発現により増
加した可溶性哺乳類蛋白質の電気泳動を示す写真であ
る。+は共発現系を、−は単独発現系を示す。Sは可溶
性蛋白質を、Iは不溶性蛋白質を示す。
【図5】図5は大腸菌中で発現した可溶型Lckと尿素
処理LckのLck特異抗体による免疫沈降およびLc
kの自己リン酸化活性を表す電気泳動の写真である。上
部はLck特異的免疫沈降反応物を電気泳動し、ウエス
タンブロッティング後にLck特異抗体で可視化して得
られた写真である。下部はγ−32P−ATPとインキュ
ベートしたときの自己リン酸化活性を電気泳動ののちオ
ートラジオグラフィーで可視化して得られた写真であ
る。
処理LckのLck特異抗体による免疫沈降およびLc
kの自己リン酸化活性を表す電気泳動の写真である。上
部はLck特異的免疫沈降反応物を電気泳動し、ウエス
タンブロッティング後にLck特異抗体で可視化して得
られた写真である。下部はγ−32P−ATPとインキュ
ベートしたときの自己リン酸化活性を電気泳動ののちオ
ートラジオグラフィーで可視化して得られた写真であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:19)
Claims (5)
- 【請求項1】 チオレドキシン遺伝子の発現ベクターと
目的遺伝子の発現ベクターにより形質転換されてなる共
形質転換細菌。 - 【請求項2】 チオレドキシンが、大腸菌のチオレドキ
シン、ヒトのチオレドキシン、グルタレドキシン、また
はプロテインジスルフィドイソメラーゼのチオレドキシ
ン様ドメインである請求項1記載の共形質転換細菌。 - 【請求項3】 チオレドキシン遺伝子の発現ベクター
が、T7プロモーター、lacプロモーター、tacプ
ロモーター、trcプロモーター、trpプロモータ
ー、λPL プロモーター、araプロモーターのいずれ
かの制御下にチオレドキシン遺伝子の発現を可能とする
ものである請求項1または請求項2記載の共形質転換細
菌。 - 【請求項4】 目的遺伝子が、インターフェロン、イン
ターロイキン、インターロイキン受容体、インターロイ
キン受容体拮抗物質、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球
マクロファージコロニー刺激因子、マクロファージコロ
ニー刺激因子、エリスロポエチン、トロンボポエチン、
白血病抑制因子、幹細胞成長因子、腫瘍壊死因子、成長
ホルモン、プロインスリン、インスリン様成長因子、繊
維芽細胞成長因子、血小板由来成長因子、トランスフォ
ーミング成長因子、肝細胞成長因子、骨形成因子、神経
成長因子、毛様体神経栄養因子、脳由来神経栄養因子、
グリア細胞由来神経栄養因子、ニューロトロフィン、ウ
ロキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチベーター、血
液凝固因子、プロテインC、グルコセレブロシダーゼ、
スーパーオキシドディスムターゼ、レニン、リゾチー
ム、P450、プロキモシン、トリプシンインヒビタ
ー、エラスターゼインヒビター、リポコルチン、免疫グ
ロブリン、1本鎖抗体、補体成分、血清アルブミン、ウ
イルス構成蛋白質、プロトオンコジーン産物、および転
写調節因子からなる群より選択されるものである請求項
1〜請求項3いずれか1項記載の共形質転換細菌。 - 【請求項5】 請求項1〜請求項4いずれか1項記載の
共形質転換細菌を用いて、目的遺伝子がコードする蛋白
質を可溶性蛋白質として発現させることを特徴とする可
溶性蛋白質の生産方法。
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