JPH09106494A - 信号機の制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】工事中の片側交互通行区間であっても、交通渋
滞を抑制して、自動車を効率良く安全に通行させること
ができる信号機の制御装置を提供する。 【解決手段】通過車両センサ３、４が、通過する車両を
上り下り方向別に検出し、ＣＰＵ１１は所定時間におけ
る各方向別の通過車両数を演算する。さらに、所定時間
の通過車両数に基づき、青信号と赤信号のサイクル長を
演算し、上り方向の通過車両数と下り方向の通過車両数
から、両信号機の青信号時間の比を示すサイクル比率を
演算する。そして、ＣＰＵ１１は、サイクル比率のデー
タから、上り信号機と下り信号機の青信号時間を算出
し、算出されたこの青信号時間に基づき、上り信号機と
下り信号機の青信号と赤信号の点灯を制御する。青信号
時間が上り下りの各々通過車両数に応じて算出されるた
め、上り下りの通過車両数に応じて効率良く車両を通過
させることができ、交通渋滞を効果的に緩和することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、工事中の道路等で
片側交互通行となっている工事区間の交通整理に使用さ
れる信号機の制御装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】道路を工事する場合、工事区間の交通を
片側交互通行として工事を行うことが多い。このような
片側交互通行の区間では、交通を整理する必要があるた
め、その両側に交通誘導員を配したり、交通信号機を配
置し、自動車を交互に通過させるなどの交通整理を行っ
ている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、道路は通常２
４時間使用されるため、交通誘導員を配置する場合、そ
れらの人を長時間交通整理に従事させなければならない
等の問題があり、また、通常の信号機を使用する場合に
は、両側に配した信号機を、一定時間毎に交互に赤と青
に点灯させるだけであった。このため、信号機の点灯継
続時間が比較的長い場合、道路渋滞を引き起こし、ま
た、信号機の点灯継続時間が比較的短い場合には、青か
ら赤に変った瞬間に複数の自動車が無理に通過しようと
するため、工事区間に進入した自動車が反対方向から進
入した自動車と衝突する恐れが発生するなどの問題があ
った。

【０００４】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
で、工事中の片側交互通行区間であっても、交通渋滞を
抑制して、自動車を効率良く安全に通行させることがで
きる信号機の制御装置を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の信号機の制御装置は、片側交互通行区間の
両側に設置された上り信号機と下り信号機を制御する信
号機の制御装置において、片側交互通行区間を通過する
車両を上り下り方向別に検出するために設置された通過
車両センサと、通過車両センサからの検出信号を入力し
て所定時間における各方向別の通過車両数を演算する通
過車両数演算手段と、通過車両数演算手段で算出された
所定時間の通過車両数に基づき、青信号と赤信号のサイ
クル長を演算するサイクル長演算手段と、通過車両数演
算手段により算出された上り方向の通過車両数と下り方
向の通過車両数から、両信号機の青信号時間の比を示す
サイクル比率を演算するサイクル比率演算手段と、サイ
クル長演算手段で求めたサイクル長とサイクル比率演算
手段で求めたサイクル比率のデータから、上り信号機と
下り信号機の青信号時間を算出する青信号時間演算手段
と、を備えたことを特徴とする。

【０００６】

【作用・効果】このような構成の信号機の制御装置で
は、通過車両センサと通過車両数演算手段が、通過する
車両を上り下り方向別に検出し、所定時間における各方
向別の通過車両数を演算する。そして、サイクル長演算
手段が所定時間の通過車両数に基づき、青信号と赤信号
のサイクル長を演算し、サイクル比率演算手段が上り方
向の通過車両数と下り方向の通過車両数から、両信号機
の青信号時間の比を示すサイクル比率を演算し、さら
に、青信号時間演算手段がそのサイクル比率のデータか
ら、上り信号機と下り信号機の青信号時間を算出する。

【０００７】そして、算出されたこの青信号時間に基づ
き、上り信号機と下り信号機の青信号と赤信号の点灯が
制御されるが、この青信号時間は上り下りの各々通過車
両数に応じて、つまり上りの通過車両数が下りに比べ多
い場合には、上りの青信号時間が下りより長く算出さ
れ、逆の場合には、上りの青信号時間が下りより短く算
出され、これにより、上り下りの通過車両数に応じて効
率良く車両を通過させることができ、交通渋滞を効果的
に緩和することができる。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。

【０００９】図１は工事中の道路で、片側交互通行とな
っている道路Ｒを示し、この道路Ｒの工事区間の上り車
線には上り信号機１が設置され、下り車線には下り信号
機２が設置される。図１において、左から右が上り方
向、右から左が下り方向である。

【００１０】上り信号機１と下り信号機２は、図２に示
すように構成され、その正面に赤信号表示部ＳＲと青信
号表示部ＳＢが設けられ、赤信号と青信号が切換・制御
され、点灯表示される。また、信号表示部の下には、待
ち時間等を文字或はバー表示で表示するＬＥＤ等の表示
部７、８が設けられ、そこには注意情報等も文字で表示
される。

【００１１】さらに、上り信号機１と下り信号機２の下
部には、通過車両を検出するための上り通過車両センサ
３、又は下り通過車両センサ４が設けられ、また、赤信
号で待機する車両を検出するための上り待機車両センサ
５、又は下り待機車両センサ６が設けられる。上り通過
車両センサ３、下り通過車両センサ４、上り待機車両セ
ンサ５、下り待機車両センサ６には、超音波を放射して
その反射波から車両を検出する超音波センサ、或は光の
透過や反射により車両を検出する光電センサ等が使用さ
れる。

【００１２】図３は信号機の制御装置における制御部の
ブロック図を示している。この制御部はマイクロコンピ
ュータを主要部にして構成され、ＣＰＵ１１は、予めＲ
ＯＭ１２に記憶されたプログラムデータに基づき、後述
のような信号機の制御処理を実行する。また、ＲＯＭ１
２には、通過車両台数に対する信号機のサイクル長のデ
ータと、上り車両と下り車両の車両台数に対応した信号
機のサイクル比率のデータとが、各々テーブルデータと
して予め記憶される。ＣＰＵ１１の入出力回路１４に
は、上り信号機１、下り信号機２、上り通過車両センサ
３、下り通過車両センサ４、上り待機車両センサ５、下
り待機車両センサ６、表示器７、８等が接続される。

【００１３】サイクル長は、図５に示すように、一方の
信号機における青信号と赤信号の時間を加えた時間であ
り、一方の信号機の青時間をＡｔ、他方の信号機の青時
間をＢｔ、その間の間隙時間をＣｔとすると、サイクル
長はＡｔ＋Ｂｔ＋２Ｃｔとなる。また、サイクル比率
は、１サイクルにおける全青信号時間に対するその信号
機の青信号時の比率であり、上り信号機のサイクル比率
ＲａはＡｔ／（Ａｔ＋Ｂｔ）、下り信号機のサイクル比
率ＲｂはＢｔ／（Ａｔ＋Ｂｔ）となる。

【００１４】つまり、通過車両の台数が上りと下りで同
数であれば、サイクル比率Ｒａ、Ｒｂは共に５０％、上
り車両の数が下り車両の数より多くなれば、それに応じ
て上りのサイクル比率Ｒａは例えば５０％〜７０％に変
化し、下りのサイクル比率Ｒｂは５０％〜３０％に変化
する。

【００１５】通過車両台数に対する信号機のサイクル長
のデータは、例えば、図４に示すように、最も効率良く
（渋滞の少ない状態で）車両を通過させる得る台数とサ
イクル長の関係が、車両通過速度Ｖと区間距離Ｌに基づ
き、実験から求められているため、そのグラフを使用し
てサイクル長と通過車両数のデータテーブルが作成さ
れ、予めＲＯＭ１２に記憶される。また、上り通過車両
数と下り通過車両数に対するサイクル比率のデータテー
ブルも作成され、ＲＯＭ１２に記憶される。

【００１６】次に、信号機の制御装置の動作を、図６〜
図８のフローチャートに基づいて説明する。

【００１７】信号機の動作に先立ち、先ず初期設定値と
して、工事区間の道路の長さＬ、通過車両の予想速度
Ｖ、サイクル長の初期値（例えば１２０秒）、サイクル
比率の初期値（例えば５０％）が設定され、ＲＡＭ１３
に記憶される。間隙期間Ｃｔは道路の長さＬと様相速度
Ｖから演算され、記憶される。上記初期値の場合、間隙
時間Ｃｔが例えば１０秒と算出されると、上り信号機の
青時間Ａｔ、下り信号機の青時間Ｂｔは、共に５０秒で
ある。

【００１８】信号機が起動されると、図８に示すよう
に、先ずステップ１００で、上り信号機１を青に点灯
し、下り信号機を赤に点灯する。そして、ステップ１１
０で、上記の青時間Ａｔが経過したか否かを判定し、青
時間Ａｔが経過した時、ステップ１２０にて、上り信号
機１を赤に変える。

【００１９】次に、ステップ１３０で、間隙時間Ｃｔが
経過したか否かを判定し、間隙時間Ｃｔが経過した時、
ステップ１４０にて、下り信号機２を青に変える。上り
信号機１は赤のままである。

【００２０】次に、ステップ１５０で、上記青時間Ｂｔ
が経過したか否かを判定し、青時間Ｂｔが経過した時、
ステップ１６０にて、下り信号機を赤に変える。そし
て、ステプ１７０で、再び間隙時間Ｃｔが経過したか否
かを判定し、間隙時間Ｃｔが経過した時、再びステップ
１００に戻り、上り信号機１を青に変える。

【００２１】なお、上り信号機１に設けられた上り表示
器７と下り信号機２に設けられた下り表示器８には、工
事中の注意事項の他、信号機が赤信号のとき、その赤信
号の残り時間が表示される。

【００２２】このように信号機が初期値により制御され
る間、通過車両の台数は、図６に示すように、測定され
る。

【００２３】即ち、上り信号機１が青のとき、上り方向
を車両が通過すると、上り信号機１に設けられた上り通
過車両センサ３がこれを検知し、このときステップ２０
０からステップ２１０に進み、上り通過車両数に１を加
算する。下り方向を通過する車両の検出の場合は、上り
信号機１が青でないことにより、無視する。

【００２４】一方、下り信号機２が青のとき、下り方向
を車両が通過すると、下り信号機２に設けられた下り通
過車両センサ４がこれを検知し、このときステップ２２
０からステップ２３０に進み、下り通過車両数に１を加
算する。上り方向を通過する車両の検出の場合は、下り
信号機２が青でないことにより、無視する。

【００２５】このようにして通過車両数が上り方向下り
方向毎に計測され、所定時間（例えば３０分〜１時間）
経過したとき、ステップ２５０で、所定時間における上
り下りの各通過車両数データがＲＡＭ１３に格納され
る。

【００２６】次に、上記のように計測された通過車両通
のデータから、図７に示すように、信号機制御に使用さ
れる上りと下りの青時間ＡｔとＢｔが演算される。

【００２７】先ず、ステップ３００で、ＲＡＭ１３から
上り下りの各通過車両数データを読み出す。通過車両数
データが例えば３０分間のデータの場合、最新の２つの
データを加算してデータ検索に必要な時間当りの通過車
両数を得れるようする。

【００２８】そして、ステップ３１０で、その通過車両
数に基づき、ＲＯＭ１２内のデータテーブルを検索し、
通過車両数に応じたサイクル長を求める。例えば、工事
区間の道路長さが２００ｍで、両方向通過車両数が約１
０００台の場合、図４のグラフに示す如く、サイクル長
は約１８０秒、のように求められる。

【００２９】さらに、ステップ３２０で、上り下りの各
通過車両数データに基づき、ＲＯＭ１２内のデータテー
ブルを検索し、上り下りの各通過車両数に応じたサイク
ル比率Ｒａ，Ｒｂを求める。例えば、上りの通過車両数
が６００台、下りの通過車両数が４００台の場合、上り
信号機のサイクル比率Ｒａは６０％、下り通過車両数Ｒ
ｂは４０％となる。

【００３０】次に、ステップ３３０で、上り下りの信号
機１、２の青時間Ａｔ，Ｂｔを算出し、それらをＲＡＭ
１３に格納する。上述のように、上り信号機のサイクル
比率ＲａはＡｔ／（Ａｔ＋Ｂｔ）、下り信号機のサイク
ル比率ＲｂはＢｔ／（Ａ＋Ｂｔ）、サイクル長＝Ａｔ＋
Ｂｔ＋２Ｃｔであるから、これらの式から青時間Ａｔ，
Ｂｔを算出する。

【００３１】そして、算出された青時間Ａｔ，Ｂｔが、
上述の信号点灯処理（図８）で使用され、上り信号機１
の青時間がＡｔ、下り信号機２の青時間がＢｔ、間隙時
間がＣｔとなるように、両信号機１、２の点灯制御が行
われる。

【００３２】このように、通過車両数から最適なサイク
ル長を求め、上り下りの各通過車両数から各信号機のサ
イクル比率を求め、それらの値から各信号機１、２の青
時間Ａｔ，Ｂｂを算出し、信号を制御するため、上りと
下りの通過車両数に応じて信号時間を調整し、効率良く
車両を通過させ、工事中の道路で発生しやすい交通渋滞
を可能なかぎり抑制することができる。

【００３３】ところで、両信号機１、２には、上り待機
車両センサ５又は下り待機車両センサ６が設けられ、各
信号機で信号が赤のとき、そこで待機する車両の有無を
検出する。両方向にある程度の交通量を持つ工事中の道
路では、一方を止めて片側交互通行を行うため、赤信号
となった側の車両は、通常、待機することになる。しか
し、何らかの理由で、片側の通過車両数が大きく減少
し、待機車両がない状態となったときには、上り待機車
両センサ５、又は下り待機車両センサ６からの信号によ
りそれを検知し、反対側の信号機の青時間を長く伸ば
し、待機車両のない側の信号機の青時間を最小とするよ
うにして、さらに効率良く車両を通過させることができ
る。

【００３４】なお、上記実施例では、上り信号機１と下
り信号機２に各々通過車両センサ３と４を設けたが、上
り信号機１又は下り信号機２の何れかに或は他の場所に
１個の通過車両センサを設けるだけで、上り通過車両数
と下り通過車両数を、信号機の状態に応じて検出するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】片側交互通行の道路Ｒとそこに設置される信号
機の配置図である。

【図２】本発明の信号機の正面図である。

【図３】信号機の制御装置のブロック図である。

【図４】通過車両数と信号のサイクル長との関係を示す
グラフである。

【図５】信号機のサイクル長を示す説明図である。

【図６】通過車両検出のフローチャートである。

【図７】信号時間演算のフローチャートである。

【図８】信号点灯処理のフローチャートである。

【符号の説明】

１−上り信号機、 ２−下り信号機、 ３−上り通過車両センサ、 ４−下り通過車両センサ、 １１−ＣＰＵ。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 片側交互通行区間の両側に設置された上
   り信号機と下り信号機を制御する信号機の制御装置にお
   いて、 該片側交互通行区間を通過する車両を上り下り方向別に
   検出するために設置された通過車両センサと、 該通過車両センサからの検出信号を入力して所定時間に
   おける各方向別の通過車両数を演算する通過車両数演算
   手段と、 該通過車両数演算手段で算出された所定時間の通過車両
   数に基づき、青信号と赤信号のサイクル長を演算するサ
   イクル長演算手段と、 前記通過車両数演算手段により算出された上り方向の通
   過車両数と下り方向の通過車両数から、両信号機の青信
   号時間の比を示すサイクル比率を演算するサイクル比率
   演算手段と、 前記サイクル長演算手段で求めたサイクル長と前記サイ
   クル比率演算手段で求めたサイクル比率のデータから、
   上り信号機と下り信号機の青信号時間を算出する青信号
   時間演算手段と、 を備えたことを特徴とする信号機の制御装置。
2. 【請求項２】 前記サイクル長演算手段は、予め固定メ
   モリに記憶された通過車両数に対するサイクル長のデー
   タテーブルを検索してサイクル長を求めることを特徴と
   する請求項１記載の信号機の制御装置。
3. 【請求項３】 前記サイクル比率演算手段は、予め固定
   メモリに記憶された方向別の通過車両数データに対する
   サイクル比率のデータテーブルを検索してサイクル比率
   を求めることを特徴とする請求項１記載の信号機の制御
   装置。
4. 【請求項４】 赤信号で停止している待機車両を検出す
   る待機車両センサが前記上り信号機と下り信号機に設け
   られ、待機車両の有無に応じて信号の制御を行なう請求
   項１記載の信号機の制御装置。
5. 【請求項５】 前記上り信号機と下り信号機に表示器が
   設けられ、該表示器に赤信号での待ち時間等を表示する
   請求項１記載の信号機の制御装置。