JPH09104962A - Fe−Al拡散層を有する鉄基合金部材およびその製造方法 - Google Patents

Fe−Al拡散層を有する鉄基合金部材およびその製造方法

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JPH09104962A
JPH09104962A JP14982296A JP14982296A JPH09104962A JP H09104962 A JPH09104962 A JP H09104962A JP 14982296 A JP14982296 A JP 14982296A JP 14982296 A JP14982296 A JP 14982296A JP H09104962 A JPH09104962 A JP H09104962A
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廣志 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Fe−Cr系ステンレス鋼の基材と,基材上
に設けられた高い硬度と耐摩耗性を有するAl−Fe拡
散層でなる鉄基合金部材を提供する。 【解決手段】 鉄基合金部材は,Fe−Cr系ステンレ
ス鋼の基材と基材上に設けられたFe−Al拡散層で構
成されている。基材はビッカース硬度で400あるいは
それ以上の硬度を有する。一方,拡散層は以下の特徴を
有する:(1)拡散層の厚さは2〜50μmの範囲であ
る;(2)拡散層は,拡散層の全体積に対して少なくとも
90体積%のAl−Fe金属間化合物を含む;(3)拡散
層の表面から少なくとも2μm深さまでのAl含有量は
35〜65重量%である(ここに重量%は拡散層の少な
くとも2μm深さまでの領域の総重量に基づくものであ
る)。鉄基合金部材は,歯車や軸受け等の摺動部材,あ
るいは電気カミソリやバリカン等の刃のための材料とし
て使用されるだろう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,Fe−Crステン
レス鋼の基材と高い硬度を有するFe−Al拡散層でな
る鉄基合金部材およびその製造方法に関するものであ
る。この鉄基合金部材は歯車や軸受け等の摺動部材,あ
るいは電気カミソリやバリカン等の刃のための材料とし
て使用されるだろう。
【0002】
【従来の技術】従来において,炭素工具鋼,高炭素ステ
ンレス鋼および析出硬化型ステンレス鋼が歯車や軸受け
などの摺動部材や切削工具に使用されている。これらの
鋼は優れた靱性と耐衝撃性を備えているものの,寿命の
長い摺動部材や切削工具を提供するにあたっては表面硬
度や耐摩耗性の点で必ずしも十分とは言えない。この問
題点を改善するために,優れた耐摩耗性と硬度を有する
アルミナやジルコニア等のセラミック材を使用すること
が提案されている。しかしながら,セラミック材の破壊
靱性は鋼部材のそれに比べ著しく劣っていることや,摺
動部材や切削工具の種々の形状にセラミック材を加工す
る際の困難性から鋼部材の場合とは別の問題点が生じ
る。
【0003】例えば,特開平4−250995号公報は
電気カミソリ用の刃材料とその製造方法について開示し
ている。この刃材料は高硬度非磁性ステンレス鋼,鉄−
マンガン合金,べリリウム−銅合金のような基材,基材
の金属元素,例えば,ニッケルと鉄,とアルミニウムと
の金属間化合物層,および金属間化合物層上のアルミナ
層で構成されている。この刃材料は,ニッケル箔とアル
ミニウム箔をニッケル箔がアルミニウム箔と基材の間に
挟まれるように基材上に積み重ね,このようにして得ら
れたクラッド材を真空中あるいは酸化雰囲気中で加熱す
ることによりNiAlやNi3 Alの金属間化合物層と
アルミナ層を基材上に形成して作成される。熱処理が真
空中で実施される場合,そのクラッド材を400〜65
0℃の温度で1〜20分間加熱し,一方,熱処理が酸化
雰囲気中で実施される場合は600〜1000℃の温度
で5〜20時間加熱するとしている。しかしながら,基
材へのニッケル原子の拡散速度がアルミニウム原子のそ
れに比べ非常に遅く,またニッケル原子が基材へのアル
ミニウム原子の拡散を抑制することから,基材と金属間
化合物層の間の密着性が十分でないという問題がある。
【0004】英国特許1278085号公報は,高温高
圧雰囲気中における耐硫化性を有するアルミニウム拡散
被覆鋼を教示している。この被覆鋼はアルミニウム拡散
被覆法によって形成された表面層を有する鋼部材で構成
されている。この被覆法は800〜950℃の温度で行
なう熱処理として特徴づけられる。表面層はアルミニウ
ム合金のみからなり,300μmを越えない厚みを有し
ている。また,この表面層の表面領域のAl含有量は3
0重量%以下である。例えば,この被覆鋼に使用される
鋼としては,0.5重量%以下の炭素,および0.1〜
1.2重量%のモリブデン,10重量%以下のクロム,
4.5重量%以下のニッケルから選択される少なくとも
一つの元素を含む合金鋼を挙げることができる。アルミ
ニウム拡散被覆法としては,粉末充填法,ガス法,セラ
ミック吸着法および熱間浸積拡散法等を利用することが
できる。しかしながら,表面層のAl含有量が30重量
%以下であるので,Al5 Fe2 ,Al3 FeおよびA
13Fe4 のような硬質のAl−Fe金属間化合物を表
面層中に形成することは困難である。ゆえに,この表面
層は高硬度および耐摩耗性を提供するのに十分とは言え
ないだろう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、寿命
の長い電気カミソリやバリカン等の刃,あるいは摺動部
材を提供するという目的において,従来の鋼部材では表
面硬度や耐摩耗性の点で必ずしも十分とは言えず,鋼材
の強度と靱性を維持しつつ,且高い硬度と耐摩耗性を有
するような材料を開発することを課題とするものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる鉄基合金
部材は,Fe−Cr系ステンレス鋼の基材と基材上に設
けられたFe−Al拡散層で構成されている。基材であ
るFe−Cr系ステンレス鋼はビッカース硬度で400
あるいはそれ以上の硬度を有する。一方,拡散層は以下
の点に特徴がある: (1)拡散層の厚さは2〜50μmの範囲である; (2)拡散層は,拡散層の全体積に対して少なくとも90
体積%のAl−Fe金属間化合物を含む: (3)拡散層の表面から少なくとも2μm深さまでのAl
含有量は35〜65重量%である,ここに重量%は拡散
層の少なくとも2μm深さまでの領域の総重量に基づく
ものである。
【0007】したがって,本発明の第1の目的は,Fe
−Cr系ステンレス鋼を基材とし,その基材上に設けら
れたFe−Al拡散層を有する鉄基合金部材を提供する
ことであり,それにより基材の強度と靱性を維持しつつ
高い硬度と耐摩耗性を提供することができるのである。
本発明にあたっては,拡散層が,Al2 Fe, Al5
2 ,Al3 FeおよびAl13Fe4 から選択される少
なくとも一つの金属間化合物を含むことが好ましいとさ
れている。また,本発明の拡散層の外表面でのX線回折
により得られるX線回折プロファイルにおいて,上記金
属間化合物の主ピーク高さをP1とし,AlFeおよび
AlFe3の主ピーク高さをP2とするとき,ピーク比
(%)が100×P1/(P1+P2)で定義され,その
ピーク比が少なくとも10%となるような量で上記金属
間化合物が拡散層に含まれていることが特に好ましいと
されている。
【0008】本発明にあたっては,基材として66〜8
1.9重量%の鉄,15〜20重量%のクロム,3〜1
3重量%のニッケル;および以下の(i)〜(iii)のいず
れか一つを含む,(i)3〜6重量%の銅,(ii)炭素と窒
素の合計が0.01〜0.2重量%,および(iii)0.
5〜2重量%のアルミニウム,を含む析出硬化型ステン
レス鋼を使用することが好ましい。また,基材として7
3〜89.9重量%の鉄,10〜19重量%のクロム,
0.1〜1.2重量%の炭素,3重量%以下のニッケル
を含む高炭素ステンレス鋼を使用することも好ましい。
【0009】本発明にかかる鉄基合金部材は,基材とし
て上記した析出硬化型ステンレス鋼を使用する場合,以
下の製造方法によって作成される。すなわち,アルミニ
ウム層を基材の表面に形成し,アルミニウム被覆基材を
得る。次にアルミニウム被覆基材を450〜600℃の
温度で0.5〜4時間加熱し,基材の硬度をビッカース
硬度で400あるいはそれ以上にするとともに,アルミ
ニウム原子と鉄原子をそれぞれの基材およびアルミニウ
ム層に相互拡散させ,被覆基材の表面にFe−Al拡散
層を形成するのである。
【0010】一方,基材として上記した高炭素ステンレ
ス鋼を使用する場合,本発明にかかる鉄基合金部材は以
下の製造方法によって作成される。すなわち,アルミニ
ウム層を基材の表面に形成し,アルミニウム被覆基材を
得る。次にアルミニウム被覆基材を900〜1100℃
の温度で15〜180秒間加熱し,それによりアルミニ
ウム原子と鉄原子をそれぞれの基材およびアルミニウム
層に相互拡散させ,被覆基材の表面にFe−Al拡散層
を形成するのである。その後,拡散層の形成された被覆
基材をその熱処理温度から少なくとも10℃/秒の冷却
速度で冷却し,それにより基材の硬度をビッカース硬度
で400あるいはそれ以上に上昇させる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下,本発明の実施の形態を説明
する。本発明の鉄基合金部材は,Fe−Crステンレス
鋼の基材と基材上に形成されたFe−Al拡散層を含む
ものである。鉄基合金部材の基材は,400あるいはそ
れ以上のビッカース硬度を有する。本発明の鉄基合金部
材が電気カミソリやバリカン等の切削工具の刃に使用さ
れる場合は,特に,基材として,66〜81.9重量%
の鉄,15〜20重量%のクロム,3〜13重量%のニ
ッケル;および以下の(i)〜(iii)のいずれか一つを含
む,(i)3〜6重量%の銅,(ii)炭素と窒素の合計が
0.01〜0.2重量%,および(iii)0.5〜2重量
%のアルミニウム,を含む析出硬化型ステンレス鋼,あ
るいは73〜89.9重量%の鉄,10〜19重量%の
クロム,0.1〜1.2重量%の炭素,3重量%以下の
ニッケルを含む高炭素ステンレス鋼を使用することが好
ましい。
【0012】本発明の鉄基合金部材のFe−Al拡散層
の厚さは,2〜50μmの範囲にある。拡散層の厚さが
2μm以下である時,鉄基合金部材に十分な耐摩耗性を
付与するのに十分でなく,50μm以上である時は,拡
散層の表面硬度や靱性が低下したり,拡散層に隣接する
基材の硬度が低下するといった問題が生じる。特に,本
発明の鉄基合金部材がシャープエッジを有する刃物に使
用される場合は,シャープエッジでの欠けの発生を防ぐ
ため,拡散層の厚みを5〜15μmとすることが好まし
い。
【0013】拡散層の表面から少なくとも2μm深さま
でのAl含有量は35〜65重量%である,ここに重量
%は拡散層の少なくとも2μm深さまでの領域の総重量
に基づくものである。このAl含有量が35重量%以下
である時,拡散層の外表面に高い硬度と優れた耐摩耗性
を付与するのに適切でない。一方,Al含有量が65重
量%以上である時,硬度の低い純アルミニウムあるいは
Fe−Al固溶体が好ましくない量で拡散層に形成され
てしまう。
【0014】例えば,およそ10μmの厚さを有する拡
散層の断面SEM写真が図1に示されている。また,そ
のSEM写真上の水平線に沿って線分析した時のAl,
FeおよびCrのEPMAプロファイルが図2に示されてい
る。図2中の点Doは拡散層の最表面に対応している。
参照番号21によって示されているAlのEPMAプロファ
イルは,拡散層が高濃度のAlを含む表面領域を有し,
拡散層中のAl濃度がその表面領域からおよそ10μm
の深さに向かって徐々に減少していることを示してい
る。一方,FeおよびCrのEPMAプロファイルはそれぞ
れ参照番号22と23によって示されている。拡散層中
のFeおよびCrの濃度は,拡散層の外表面からおよそ
10μmの深さに向かって徐々に増加している。図2
中,参照番号24で示されているのはSEM写真を撮影
するために拡散層上に設けたニッケル被膜である。
【0015】図3は,およそ10μmの厚みを有する拡
散層の外表面から深さ方向におけるAlおよびCr含有
量を示している。これらのAlとCrの含有量は,X線
マイクロアナリシスによって質量分析して得た値であ
る。図3中,Al含有量を示す曲線は,拡散層の表面か
らおよそ2μmの深さ内のAl含有量がその2μmの厚
み範囲の拡散層の総重量に対して45〜60重量%であ
ることを示している。60重量%のAl含有量は約76
原子%に匹敵するので,拡散層の表面にはAl3Feが
形成されていると推測される。
【0016】この拡散層の外表面から深さ方向における
ビッカース硬度の変化が図4に示されている。硬度は2
g重の荷重の下で測定された。図4の結果より,拡散層
の外表面からおよそ6μmの深さの範囲にわたって約1
140の高い硬度が安定に得られていることがわかる。
拡散層のこの範囲は,実質的に図3に示された35〜6
0重量%のAl含有量の範囲に対応している。硬度は,
この高硬度を示す領域からおよそ10μmの深さに向か
って徐々に減少していき,最終的に基材硬度のおよそ5
00に到達している。
【0017】拡散層の構成は,X線回折により同定する
ことが可能である。例えば,上記拡散層のX線回折プロ
ファイルの一例が図5に示されている。このX線プロフ
ァイルは,Cukα線を使用し,加速電圧および電流を
40kV,200mAとして,通常の2θ−θゴニオメ
−タを有するX線回折装置を使用して測定されたもので
ある。X線は拡散層の表面に照射された。このX線プロ
ファイルは本発明の拡散層がFeとAlとの複数の金属
間化合物を含むことを示唆している。Al3 Feのピー
クはAl5 Fe2 ,およびAl13Fe4 のピークと重な
っていて,それらを個々に同定できないことがわかる。
したがって,図5のX線プロファイル中○印で示された
ピークは,Al3 Fe,Al5 Fe2,およびAl13Fe
4 から選択される少なくとも一つの金属間化合物の存在
を意味していると理解できるだろう。また,図5のX線
プロファイル中×印で示されたAl2 Feの幾つかのピ
ークは,○印で示される金属間化合物のピークと重なっ
ている。さらに,△印で示されるAlFeのピークは,
□印で示されるAlFe3 のピークと重なっている。結
果として,このX線プロファイルの拡散層は,Al2
e,AlFe3 ,およびAl3 Fe,Al5 Fe2,およ
びAl13Fe4 の少なくとも一つを含むと結論づけるこ
とができるだろう。また,図2に示されるように,拡散
層の外表面付近にAl濃度の高い表面領域が形成されて
いることと,図4に示されているように拡散層のその表
面領域の硬度が高いことから,Al3 Fe,Al5 Fe
2,およびAl13Fe4 のような高硬度,高Al濃度の金
属間化合物が比較的多くの量で拡散層の外表面付近に存
在していると推測される。
【0018】本発明の拡散層は,拡散層の全体積に対し
て少なくとも90体積%のAl−Fe金属間化合物を含
んでいる。金属間化合物の体積含有率(V:体積%)は
以下の式により求めることができる: V(体積%)=100×S1/(S1+S2) ここに,S1はX線回折プロファイル上に同定されるす
べてのAl−Fe金属間化合物のピーク面積の合計であ
り,S2は同X線プロファイル上で同定される前記Al
−Fe金属間化合物以外の純アルミニウムおよび/ある
いはFeがAlに固溶することにより形成されるAl合
金のピーク面積の合計である。この体積含有率が90体
積%以下である場合,拡散層中に純アルミニウムおよび
/あるいは硬度の低いAl合金が残留するため,拡散層
の硬度が低下してしまう。例えば,図5のX線プロファ
イル上には純アルミニウムおよび硬度の低いAl合金の
ピークは同定されていないので,拡散層中のFe−Al
金属間化合物の体積含有率は100%である。
【0019】ところで,図5のX線プロファイルには基
材のピークが現れていない。しかしながら,拡散層の厚
みが薄くなるにつれて基材の幾つかのピークが現れてく
るだろう。一方,拡散層の外表面でのAl含有量が65重
量%以上である時,純アルミニウムの幾つかのピークが
同定されるようになるだろう。また,特筆すべきは,ア
ルミナのピークがX線プロファイル上に全く観測されな
いことである。換言すれば,本発明の拡散層の表面には
アルミナ層は形成されないのである。さらに,図5のX
線プロファイルにはAlとCrの金属間化合物が同定さ
れていない。しかしながら,仮に少量のAlとCrの金
属間化合物が拡散層中に形成されたとしても,拡散層の
硬度は低下されないので特に問題にはならない。
【0020】本発明の拡散層は,好ましくは以下の式に
より定義されるピーク比(P%)が少なくとも10%に
なるような量で高Al濃度の金属間化合物を含む: P(%)=100×P1/(P1+P2) ここに,P1はAl2 Fe,Al3 Fe,Al5 Fe2,
およびAl13Fe4 から選択される少なくとも一つの高
Al濃度の金属間化合物の主ピーク高さであり,P2は
AlFeおよびAlFe3 の主ピーク高さである。P1
およびP2は,拡散層の外表面でのX線回折により得ら
れるX線回折プロファイルから得られる。図5のX線プ
ロファイルでは,およそ43.3°に観察される主ピー
ク高さP1と43.7°に観察される主ピーク高さP2
に基づいてピーク比を求めることができ,そのピーク比
は90%である。
【0021】次に,本発明の鉄基合金部材を作成する方
法について紹介する。基材として,前記した析出硬化型
ステンレス鋼を使用する場合,鉄基合金部材は以下の方
法によって製造される。すなわち,アルミニウム層を基
材の表面に形成し,アルミニウム被覆基材を得る。例え
ば,アルミニウム層は,熱間浸積法,電気鍍金法,真空
蒸着法,クラッド法あるいはサンドウイッチ圧延法等の
手段により作成されるだろう。次にアルミニウム被覆基
材を450〜600℃の温度で0.5〜4時間加熱し,
それによりアルミニウム原子と鉄原子をそれぞれの基材
およびアルミニウム層に相互拡散させ,被覆基材の表面
にFe−Al拡散層を形成するのである。またこれと同
時に,上記熱処理によって基材に析出硬化が施され,基
材の硬度はビッカース硬度で400あるいはそれ以上に
増加される。
【0022】拡散層は,基材の金属元素,例えば,Fe
およびCr,とアルミニウム層のAlの間での相互拡散
を介して形成されるので,拡散層と基材との間に優れた
密着性を提供することが可能である。熱処理温度が45
0℃以下であったり,保持時間が0.5時間以下であっ
たりすると,拡散層を形成するのに十分な相互拡散が生
じないだけでなく,基材に析出硬化を施すことも困難に
なる。熱処理温度が600℃上であったり,保持時間が
4時間以上である場合は,基材の析出硬化が過剰に進行
し,基材の硬度が低下してしまうという不都合を生じ
る。したがって,熱処理温度を450℃〜600℃の間
で高く設定するにつれて保持時間を0.5〜4時間の範
囲内で減少させることが好ましい。
【0023】基材として,前記した高炭素ステンレス鋼
を使用する場合,鉄基合金部材は以下の方法によって製
造される。すなわち,アルミニウム層を基材の表面に形
成し,アルミニウム被覆基材を得る。次にアルミニウム
被覆基材を900〜1100℃の温度で15〜180秒
間加熱し,それによりアルミニウム原子と鉄原子をそれ
ぞれの基材およびアルミニウム層に相互拡散させ,被覆
基材の表面にFe−Al拡散層を形成するのである。そ
の後,拡散層の形成された被覆基材をその熱処理温度か
ら少なくとも10℃/秒の冷却速度で冷却する。この冷
却ステップにより基材に焼き入れ硬化が施され,基材の
硬度はビッカース硬度で400あるいはそれ以上に上昇
する。
【0024】冷却速度が10℃/秒以下である時,基材
の硬度は焼き入れ硬化により向上されなくなる。一方,
熱処理温度が900℃以下である場合,十分な焼き入れ
硬化が基材に施されない。熱処理温度が1100℃以上
であったり,保持時間が180秒以上である場合は,拡
散層の硬度および拡散層に隣接する基材の硬度が,Al
原子の基材中への急速な拡散のために低下する。一方,
保持時間が15秒以下である場合は,基材の金属元素と
アルミニウム層のAlの相互拡散が拡散層を形成するの
に十分な程度に起らないだけでなく,焼き入れ硬化を基
材に均一に施すことができないという不都合を生じる。
したがって,熱処理温度を900℃〜1100℃の間で
高く設定するにつれて保持時間を15〜180秒間の範
囲内で減少させることが好ましい。
【0025】
【実施例】以下,本発明を実施例によって詳述する。 (実施例1)厚さ3mmの高炭素ステンレス鋼が基材と
して使用された。このステンレス鋼は,13.5重量%
のCr,1.2重量%のMo,0.4重量%の炭素,残
りが鉄で構成されている。45μmの厚みを有するアル
ミニウム層(Al層)を電気メッキ法により基材の両面
に形成し,3.09mmの厚みを有するAl被覆基材を
得た。この被覆基材に,表1に示すような大気中,10
50℃の温度で180秒間の熱処理を施し,その後60
℃/秒の冷却速度で冷却することにより実施例1の鉄基
合金部材を得た。
【0026】この鉄基合金部材は,45μmの厚みを有
するFe−Al拡散層を有する。基材のビッカース硬度
は600で,拡散層の表面硬度は900である。硬度測
定は2g重の荷重下で行なった。拡散層の外表面でのX
線回折を介して得られたX線回折プロファイルを用い
て,拡散層中のAl−Fe金属間化合物の体積率(V:
体積%)を次式により求めた: V(体積%)=100×S1/(S1+S2) ここに,S1はX線回折プロファイル上に同定されるす
べてのAl−Fe金属間化合物のピーク面積の合計であ
り,S2は同X線プロファイル上で同定される前記Al
−Fe金属間化合物以外の純アルミニウムおよび/ある
いはFeが主にAlに固溶することにより形成されるA
l合金のピーク面積の合計である。実施例1において,
体積率は97体積%である。
【0027】さらに,Al−Fe金属間化合物のピーク
比(P:%)を次式により求めた: P(%)=100×P1/(P1+P2) ここに,P1はAl2 Fe,Al3 Fe,Al5 Fe2,
およびAl13Fe4 のような高Al濃度の金属間化合物
の主ピーク(およそ43.3°)でのピーク高さであ
り,P2はAlFeおよびAlFe3 の主ピーク(およ
そ43.7°)でのピーク高さである。実施例1におい
て,ピーク比は40%である。
【0028】拡散層の外表面からおよそ2μmの深さ内
に含まれるAl含有量がX線マイクロアナリシス法によ
り決定された。実施例1において,そのAl含有量は4
5重量%である。ここに,重量%は拡散層のおよそ2μ
m深さの領域の総重量に基づくものである。実施例1と
同様の分析および測定が以下に示す実施例と比較例に対
しても実施された。
【0029】(実施例2)厚さ0.2mmの高炭素ステ
ンレス鋼が基材として使用された。このステンレス鋼
は,13.5重量%のCr,1.2重量%のMo,0.
4重量%の炭素,残りが鉄で構成されている。アルミ箔
を基材の両面に配置して積層体を得た後,その積層体を
圧延して20μmの厚みのアルミニウム層(Al層)を
有するAl被覆基材を得た。この被覆基材に,表1に示
すような大気中,975℃の温度で120秒間の熱処理
を施し,その後15℃/秒の冷却速度で冷却することに
より実施例2の鉄基合金部材を得た
【0030】この鉄基合金部材は,20μmの厚みを有
するFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は
480で,拡散層の表面硬度は1020である。 (実施例3)厚さ0.1mmの高炭素ステンレス鋼が基
材として使用された。このステンレス鋼は,16.5重
量%のCr,0.4重量%のMo,0.9重量%の炭
素,残りが鉄で構成されている。厚みが15μmのアル
ミ箔を基材の両面に配置して積層体を得た後,その積層
体を圧延して0.12mmの厚みを有するAl被覆基材
を得た。この被覆基材に,表1に示すような大気中,1
000℃の温度で30秒間の熱処理を施し,その後10
℃/秒の冷却速度で冷却することにより実施例3の鉄基
合金部材を得た。
【0031】この鉄基合金部材は,13μmの厚みを有
するFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は
500で,拡散層の表面硬度は1000である。 (実施例4)厚さ0.2mmの高炭素ステンレス鋼が基
材として使用された。このステンレス鋼は,12.5重
量%のCr,0.7重量%の炭素,残りが鉄で構成され
ている。アルミ箔を基材の両面に配置して積層体を得た
後,その積層体を圧延して8μmの厚みのアルミニウム
層(Al層)を有するAl被覆基材を得た。この被覆基
材に,表1に示すような大気中,900℃の温度で18
0秒間の熱処理を施し,その後30℃/秒の冷却速度で
冷却することにより実施例4の鉄基合金部材を得た。
【0032】この鉄基合金部材は,8μmの厚みを有す
るFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は4
20で,拡散層の表面硬度は1100である。 (実施例5)厚さ0.3mmの高炭素ステンレス鋼が基
材として使用された。このステンレス鋼は,14重量%
のCr,1.1重量%の炭素,残りが鉄で構成されてい
る。アルミ箔を基材の両面に配置して積層体を得た後,
その積層体を圧延して15μmの厚みのアルミニウム層
(Al層)を有するAl被覆基材を得た。この被覆基材
に,表1に示すような大気中,1100℃の温度で15
秒間の熱処理を施し,その後20℃/秒の冷却速度で冷
却することにより実施例5の鉄基合金部材を得た。
【0033】この鉄基合金部材は,15μmの厚みを有
するFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は
550で,拡散層の表面硬度は810である。 (実施例6)厚さ0.18mmの高炭素ステンレス鋼を
基材として使用した。このステンレス鋼は,14重量%
のCr,1.0重量%の炭素,残りが鉄で構成されてい
る。厚みが3μmのAl被覆層をAlの真空蒸着法によ
り基材の両面に形成し,Al被覆基材を得た。この被覆
基材に,表1に示すようなアルゴンと窒素の混合ガス雰
囲気中,1000℃の温度で15秒間の熱処理を施し,
その後10℃/秒の冷却速度で冷却することにより実施
例6の鉄基合金部材を得た。
【0034】この鉄基合金部材は,3μmの厚みを有す
るFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は5
50で,拡散層の表面硬度は700である。 (実施例7)厚さ0.15mmの高炭素ステンレス鋼が
基材として使用された。このステンレス鋼は,13.5
重量%のCr,1.2重量%のMo,0.4重量%の炭
素,残りが鉄で構成されている。アルミ箔を基材の両面
に配置して積層物を得た後,その積層物を圧延して10
μmの厚みのアルミニウム層(Al層)を有するAl被
覆基材を得た。この被覆基材に,表1に示すような大気
中,975℃の温度で30秒間の熱処理を施し,その後
15℃/秒の冷却速度で冷却することにより実施例7の
鉄基合金部材を得た。
【0035】この鉄基合金部材は,10μmの厚みを有
するFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は
500で,拡散層の表面硬度は1140である。 (実施例8)厚さ0.5mmの高炭素ステンレス鋼が基
材として使用された。このステンレス鋼は,13.5重
量%のCr,1.2重量%のMo,0.4重量%の炭
素,残りが鉄で構成されている。厚みが6μmのアルミ
箔を基材の両面に配置して積層物を得た後,その積層物
を圧延してAl被覆基材を得た。この被覆基材に,表1
に示すような大気中,925℃の温度で60秒間の熱処
理を施し,その後30℃/秒の冷却速度で冷却すること
により実施例8の鉄基合金部材を得た。
【0036】この鉄基合金部材は,5μmの厚みを有す
るFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は4
50で,拡散層の表面硬度は1150である。 (実施例9)厚さ2mmの高炭素ステンレス鋼を基材と
して使用した。このステンレス鋼は,13.5重量%の
Cr,1.2重量%のMo,0.4重量%の炭素,残り
が鉄で構成されている。厚みが30μmのAl被覆層を
Alの真空蒸着法により基材の両面に形成し,Al被覆
基材を得た。この被覆基材に,表1に示すようなアルゴ
ンと窒素の混合ガス雰囲気中,1100℃の温度で90
秒間の熱処理を施し,その後20℃/秒の冷却速度で冷
却することにより実施例9の鉄基合金部材を得た。
【0037】この鉄基合金部材は,30μmの厚みを有
するFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は
550で,拡散層の表面硬度は630である。 (実施例10)厚さ0.5mmの析出硬化型ステンレス
鋼を基材として使用した。このステンレス鋼は18重量
%のCr,12重量%のNi,炭素と窒素の合計が0.
1重量%,残りが鉄で構成されている。厚みが13μm
のアルミ箔を基材の両面に配置して積層物を得た後,そ
の積層物を圧延して厚みが0.48mmのAl被覆基材
を得た。この被覆基材をさらに冷間圧延して最終的にそ
の厚みを0.2mmにした。この被覆基材に,表1に示
すようなアルゴンガス中,550℃の温度で2時間の熱
処理を施し,実施例10の鉄基合金部材を得た。
【0038】この鉄基合金部材は,5μmの厚みを有す
るFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は5
50で,拡散層の表面硬度は1100である。 (実施例11)厚さ0.5mmの析出硬化型ステンレス
鋼を基材として使用した。このステンレス鋼は18重量
%のCr,12重量%のNi,炭素と窒素の合計が0.
1重量%,残りが鉄で構成されている。厚みが9μmの
アルミ箔を基材の両面に配置して積層物を得た後,その
積層物を圧延して厚みが0.48mmのAl被覆基材を
得た。この被覆基材をさらに冷間圧延して最終的にその
厚みを0.2mmにした。この被覆基材に,表1に示す
ようなアルゴンガス中,500℃の温度で4時間の熱処
理を施し,実施例11の鉄基合金部材を得た。
【0039】この鉄基合金部材は,3μmの厚みを有す
るFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は4
50で,拡散層の表面硬度は1100である。 (実施例12)厚さ0.5mmの析出硬化型ステンレス
鋼を基材として使用した。このステンレス鋼は18重量
%のCr,12重量%のNi,炭素と窒素の合計が0.
05重量%,残りが鉄で構成されている。厚みが9μm
のアルミ箔を基材の両面に配置して積層物を得た後,そ
の積層物を圧延して厚みが0.48mmのAl被覆基材
を得た。この被覆基材をさらに冷間圧延して最終的にそ
の厚みを0.2mmにした。この被覆基材に,表1に示
すようなアルゴンガス中,600℃の温度で2時間の熱
処理を施し,実施例12の鉄基合金部材を得た。
【0040】この鉄基合金部材は,3μmの厚みを有す
るFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は5
00で,拡散層の表面硬度は850である。 (実施例13)厚さ1mmの析出硬化型ステンレス鋼を
基材として使用した。このステンレス鋼は16重量%の
Cr,4重量%のNi,4重量%Cu,残りが鉄で構成
されている。厚みが6μmのアルミ箔を基材の両面に配
置して積層物を得た後,その積層物を圧延してAl被覆
基材を得た。この被覆基材に,表1に示すような大気
中,490℃の温度で4時間の熱処理を施し,実施例1
3の鉄基合金部材を得た。
【0041】この鉄基合金部材は,5μmの厚みを有す
るFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は4
00で,拡散層の表面硬度は1150である。 (実施例14)厚さ0.2mmの析出硬化型ステンレス
鋼を基材として使用した。このステンレス鋼は17重量
%のCr,7重量%のNi,1重量%Al,残りが鉄で
構成されている。固溶化熱処理が1000℃で基材に施
された。厚みが6μmのアルミ箔をこの処理基材の両面
に配置して積層物を得た後,その積層物を圧延してAl
被覆基材を得た。この被覆基材に,表1に示すような大
気中,575℃の温度で1.5時間の熱処理を施し,実
施例14の鉄基合金部材を得た。
【0042】この鉄基合金部材は,6μmの厚みを有す
るFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は4
00で,拡散層の表面硬度は1100である。 (実施例15)厚さ0.2mmの析出硬化型ステンレス
鋼を基材として使用した。このステンレス鋼は17重量
%のCr,7重量%のNi,1重量%Al,残りが鉄で
構成されている。固溶化熱処理が1050℃で基材に施
された。厚みが3μmのAl被覆層をAlの真空蒸着法
により基材の両面に形成し,Al被覆基材を得た。この
被覆基材に,表1に示すような大気中,575℃の温度
で1.5時間の熱処理を施し,実施例15の鉄基合金部
材を得た。
【0043】この鉄基合金部材は,3μmの厚みを有す
るFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は4
10で,拡散層の表面硬度は950である。 (比較例1)厚さ0.15mmの高炭素ステンレス鋼が
基材として使用された。このステンレス鋼は,13.5
重量%のCr,1.2重量%のMo,0.4重量%の炭
素,残りが鉄で構成されている。アルミ箔を基材の両面
に配置して積層体を得た後,その積層体を圧延して10
μmの厚みのアルミニウム層(Al層)を有するAl被
覆基材を得た。この被覆基材に,表1に示すような大気
中,1150℃の温度で120秒間の熱処理を施し,そ
の後20℃/秒の冷却速度で冷却することにより比較例
1の鉄基合金部材を得た。
【0044】この鉄基合金部材は,10μmの厚みを有
するFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は
300で,拡散層の表面硬度は400である。X線回折
結果より,拡散層は高Al濃度の金属間化合物(Al2
Fe, Al5 Fe2, Al3FeおよびAl13Fe4)を
含まないことが確認された。一方,別の金属間化合物
(AlFeおよびAlFe3)は拡散層内に形成されてい
ることが確認されたので,拡散層中のFe−Al金属間
化合物の体積率のみ計算可能であった。
【0045】(比較例2)厚さ0.18mmの高炭素ス
テンレス鋼が基材として使用された。このステンレス鋼
は,13.5重量%のCr,1.2重量%のMo,0.
4重量%の炭素,残りが鉄で構成されている。アルミ箔
を基材の両面に配置して積層体を得た後,その積層体を
圧延して10μmの厚みのアルミニウム層(Al層)を
有するAl被覆基材を得た。この被覆基材に,表1に示
すような大気中,850℃の温度で60秒間の熱処理を
施し,その後30℃/秒の冷却速度で冷却することによ
り比較例2の鉄基合金部材を得た。
【0046】この鉄基合金部材は,10μmの厚みを有
するFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は
350で,拡散層の表面硬度は1200である。 (比較例3)厚さ0.15mmの高炭素ステンレス鋼が
基材として使用された。このステンレス鋼は,13.5
重量%のCr,1.2重量%のMo,0.4重量%の炭
素,残りが鉄で構成されている。アルミ箔を基材の両面
に配置して積層体を得た後,その積層体を圧延して10
μmの厚みのアルミニウム層(Al層)を有するAl被
覆基材を得た。この被覆基材に,表1に示すような大気
中,975℃の温度で5秒間の熱処理を施し,その後1
5℃/秒の冷却速度で冷却することにより比較例3の鉄
基合金部材を得た。
【0047】この鉄基合金部材は,10μmの厚みを有
するFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は
350で,拡散層の表面硬度は350である。X線回折
結果より,拡散層は高Al濃度の金属間化合物(Al2
Fe, Al5 Fe2,Al3 FeおよびAl13Fe4)を含
まないことが確認された。一方,別の金属間化合物(A
lFeおよびAlFe3)は拡散層内に形成されているこ
とが確認されたので,拡散層中のFe−Al金属間化合
物の体積率のみ計算可能であった。また,拡散層は純A
lを含むことも確認されている。
【0048】(比較例4)厚さ0.15mmの高炭素ス
テンレス鋼が基材として使用された。このステンレス鋼
は,13.5重量%のCr,1.2重量%のMo,0.
4重量%の炭素,残りが鉄で構成されている。アルミ箔
を基材の両面に配置して積層体を得た後,その積層体を
圧延して10μmの厚みのアルミニウム層(Al層)を
有するAl被覆基材を得た。この被覆基材に,表1に示
すような大気中,975℃の温度で240秒間の熱処理
を施し,その後15℃/秒の冷却速度で冷却することに
より比較例4の鉄基合金部材を得た。
【0049】この鉄基合金部材は,10μmの厚みを有
するFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は
400で,拡散層の表面硬度は450である。X線回折
結果より,拡散層は高Al濃度の金属間化合物(Al2
Fe, Al5 Fe2,Al3 FeおよびAl13Fe4)を含
まないことが確認された。一方,別の金属間化合物(A
lFeおよびAlFe3)は拡散層内に形成されているこ
とが確認されたので,拡散層中のFe−Al金属間化合
物の体積率のみ計算可能であった。
【0050】(比較例5)厚さ0.15mmの高炭素ス
テンレス鋼が基材として使用された。このステンレス鋼
は,13.5重量%のCr,1.2重量%のMo,0.
4重量%の炭素,残りが鉄で構成されている。アルミ箔
を基材の両面に配置して積層体を得た後,その積層体を
圧延して10μmの厚みのアルミニウム層(Al層)を
有するAl被覆基材を得た。この被覆基材に,表1に示
すような大気中,975℃の温度で30秒間の熱処理を
施し,その後3℃/秒の冷却速度で冷却することにより
比較例5の鉄基合金部材を得た。
【0051】この鉄基合金部材は,10μmの厚みを有
するFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は
380で,拡散層の表面硬度は1150である。 (比較例6)厚さ3mmの高炭素ステンレス鋼が基材と
して使用された。このステンレス鋼は,14重量%のC
r,0.2重量%の炭素,残りが鉄で構成されている。
60μmの厚みを有するアルミニウム層(Al層)を電
気メッキ法により基材の両面に形成し,Al被覆基材を
得た。この被覆基材に,表1に示すような大気中,11
00℃の温度で150秒間の熱処理を施し,その後60
℃/秒の冷却速度で冷却することにより比較例6の鉄基
合金部材を得た。
【0052】この鉄基合金部材は,60μmの厚みを有
するFe−Al拡散層を有する。基材のビッカース硬度
は460で,拡散層の表面硬度は950である。 (比較例7)厚さ0.27mmの高炭素ステンレス鋼が
基材として使用された。このステンレス鋼は,9重量%
のCr,0.5重量%の炭素,残りが鉄で構成されてい
る。厚みが1μmのAl被覆層をAlの真空蒸着法によ
り基材の両面に形成し,Al被覆基材を得た。この被覆
基材に,表1に示すような大気中,950℃の温度で1
5秒の熱処理を施し,その後10℃/秒の冷却速度で冷
却することにより比較例7の鉄基合金部材を得た。
【0053】この鉄基合金部材は,1μmの厚みを有す
るFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は4
50である。拡散層の厚さが薄いため,拡散層の表面硬
度,Al含有量,ピーク比および体積率は計算できなか
った。 (比較例8)厚さ0.5mmの析出硬化型ステンレス鋼
を基材として使用した。このステンレス鋼は18重量%
のCr,12重量%のNi,炭素と窒素の合計が0.0
5重量%,残りが鉄で構成されている。基材は0.2m
mの厚みになるように冷間圧延された。厚みが1μmの
Al被覆層をAlの真空蒸着法により基材の両面に形成
し,Al被覆基材を得た。この被覆基材に,表1に示す
ようなアルゴンガス中,600℃の温度で2時間の熱処
理を施し,比較例8の鉄基合金部材を得た。
【0054】この鉄基合金部材は,1μmの厚みを有す
るFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は5
00である。拡散層の厚さが薄いため,拡散層の表面硬
度,Al含有量,ピーク比および体積率は計算できなか
った。 (比較例9)厚さ0.5mmの析出硬化型ステンレス鋼
を基材として使用した。このステンレス鋼は18重量%
のCr,12重量%のNi,炭素と窒素の合計が0.0
5重量%,残りが鉄で構成されている。厚みが9μmの
アルミ箔を基材の両面に配置して積層物を得た後,その
積層物を圧延して厚みが0.48mmのAl被覆基材を
得た。この被覆基材をさらに冷間圧延して最終的にその
厚みを0.2mmにした。この被覆基材に,表1に示す
ようなアルゴンガス中,600℃の温度で0.3時間の
熱処理を施し,比較例9の鉄基合金部材を得た。
【0055】この鉄基合金部材は,3μmの厚みを有す
るFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は4
00で,拡散層の表面硬度は300である。X線回折結
果より,拡散層は高Al濃度の金属間化合物(Al2
e, Al5 Fe2,Al3 FeおよびAl13Fe4)を含ま
ないことが確認された。一方,別の金属間化合物(Al
FeおよびAlFe3)は拡散層内に形成されていること
が確認されたので,拡散層中のFe−Al金属間化合物
の体積率のみ計算可能であった。また,拡散層は純Al
を含むことも確認されている。
【0056】(比較例10)厚さ0.5mmの析出硬化
型ステンレス鋼を基材として使用した。このステンレス
鋼は18重量%のCr,12重量%のNi,炭素と窒素
の合計が0.05重量%,残りが鉄で構成されている。
厚みが9μmのアルミ箔を基材の両面に配置して積層物
を得た後,その積層物を圧延して厚みが0.48mmの
Al被覆基材を得た。この被覆基材をさらに冷間圧延し
て最終的にその厚みを0.2mmにした。この被覆基材
に,表1に示すようなアルゴンガス中,600℃の温度
で6時間の熱処理を施し,比較例10の鉄基合金部材を
得た。
【0057】この鉄基合金部材は,3μmの厚みを有す
るFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は4
50で,拡散層の表面硬度は450である。X線回折結
果より,拡散層は高Al濃度の金属間化合物(Al2
e, Al5 Fe2,Al3 FeおよびAl13Fe4)を含ま
ないことが確認された。一方,別の金属間化合物(Al
FeおよびAlFe3)は拡散層内に形成されていること
が確認されたので,拡散層中のFe−Al金属間化合物
の体積率のみ計算可能であった。
【0058】(比較例11)厚さ0.5mmの析出硬化
型ステンレス鋼を基材として使用した。このステンレス
鋼は18重量%のCr,12重量%のNi,炭素と窒素
の合計が0.05重量%,残りが鉄で構成されている。
厚みが9μmのアルミ箔を基材の両面に配置して積層物
を得た後,その積層物を圧延して厚みが0.48mmの
Al被覆基材を得た。この被覆基材をさらに冷間圧延し
て最終的にその厚みを0.2mmにした。この被覆基材
に,表1に示すようなアルゴンガス中,650℃の温度
で2時間の熱処理を施し,比較例11の鉄基合金部材を
得た。
【0059】この鉄基合金部材は,3μmの厚みを有す
るFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は4
50で,拡散層の表面硬度は500である。 (比較例12)厚さ1mmの析出硬化型ステンレス鋼を
基材として使用した。このステンレス鋼は16重量%の
Cr,4重量%のNi,4重量%Cu,残りが鉄で構成
されている。固溶化熱処理が1050℃で基材に施され
た。厚みが6μmのアルミ箔をこの処理基材の両面に配
置して積層物を得た後,その積層物を圧延してAl被覆
基材を得た。この被覆基材に,表1に示すようなアルゴ
ンガス中,400℃の温度で4時間の熱処理を施し,比
較例12の鉄基合金部材を得た。
【0060】この鉄基合金部材は,5μmの厚みを有す
るFe−Al拡散層を有し,基材のビッカース硬度は3
00で,拡散層の表面硬度は250である。また,拡散
層に純Alが含まれていることが確認された。実施例1
〜15および比較例1〜12において,基材の組成およ
び熱処理条件が表1にまとめられている。また,Fe−
Al拡散層の厚さ(μm)および表面硬度(Hv),拡
散層の外表面からおよそ2μmの深さ内に含まれるAl
含有量(重量%),拡散層の全体積に対するFe−Al
金属間化合物の体積率(vol%),金属間化合物のX線ピ
ーク比(%)および基材のビッカース硬度(Hv)が表
2に示されている。
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】図6は上記実施例と比較例の結果に基づい
て求められた拡散層の表面硬度(縦軸)と拡散層のAl
含有量(横軸)との関係を示している。Al含有量が3
5〜65重量%の範囲内にある時,600〜1200の
間の高い硬度が得られることが図6の曲線から理解され
るだろう。反対に,Al含有量が35重量%以下であっ
たり,65重量%以上であったりすると,拡散層の硬度
が著しく低下することがわかる。
【0064】比較例6では拡散層の硬度が950で,基
材の硬度が460であり,それぞれ高い硬度を示してい
るが,電気カミソリ用刃をこの比較例6の鉄基合金部材
で作成したところ,拡散層の厚さが厚い(=60μm)
ため刃先で多数の欠けが発生した。図7は上記実施例と
比較例の結果に基づいて求められた拡散層の表面硬度
(縦軸)とピーク比(横軸)との関係を示している。ピ
ーク比が10%あるいはそれ以上である時,600〜1
200の間の高い硬度が得られることが図7の曲線から
理解されるだろう。
【0065】このように,本発明の鉄基合金部材は基材
のビッカース硬度を400あるいはそれ以上に保ちつ
つ,拡散層の高い硬度を提供するので,電気カミソリや
バリカン等の刃や歯車や軸受けのような摺動部材に好ん
で使用されるだろう。
【0066】
【発明の効果】上記のように本発明の鉄基合金部材は,
400あるいはそれ以上のビッカース硬度を有するFe
−Cr系ステンレス鋼の基材とその基材の表面に以下の
特徴,(1)拡散層の厚さは2〜50μmの範囲である,
(2)拡散層は,拡散層の全体積に対して少なくとも90
体積%のAl−Fe金属間化合物を含む,(3)拡散層の
表面から少なくとも2μm深さまでのAl含有量は35
〜65重量%である(ここに重量%は拡散層の少なくと
も2μm深さまでの領域の総重量に基づくものである),
を有するAl−Fe拡散層で構成されており,その結
果,基材の強度と靱性を損なうことなく高い表面硬度と
耐摩耗性を提供できるものである。また,Al−Fe拡
散層は,熱処理中に基材の金属元素,例えば,Feおよ
びCr,と基材上のアルミニウム層のAlの間での相互
拡散を介して形成されるので,拡散層と基材との間に優
れた密着性を提供することが可能である。
【0067】また,拡散層の厚みを5〜15μmとする
ことによって,本発明の鉄基合金部材をシャープエッジ
を有する刃物,例えば,電気カミソリやバリカン等の刃
材料として使用する場合に,エッジでの欠けの発生を防
ぐことができ,結果的に高い硬度と耐摩耗性に優れたシ
ャープエッジを提供することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】Al,FeおよびCrのEPMA(Electron Pr
obe Micro Analysis)プロファイルを有する,本発明の
鉄基合金部材の断面SEM写真である。
【図2】図1のEPMAプロファイルの説明図である。
【図3】鉄基合金部材の拡散層の外表面から深さ方向に
おけるAlおよびCr含有量の変化を示すグラフであ
る。
【図4】拡散層の外表面から深さ方向におけるビッカー
ス硬度の変化を示すグラフである。
【図5】拡散層の外表面でのX線回折を介して得られる
X線回折プロファイルである。
【図6】拡散層の表面硬度(縦軸)と拡散層の外表面か
らおよそ2μmの深さ内のAl含有量(横軸)との関係
を示すグラフである。
【図7】拡散層の表面硬度(縦軸)とFe−Al金属間
化合物のピーク比(横軸)との関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
21 アルミニウムのEPMAプロファイル 22 鉄のEPMAプロファイル 23 クロムのEPMAプロファイル 24 ニッケル被膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山田 修司 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 山田 廣志 愛知県春日井市高森台1−12−24 (72)発明者 岩根 文男 愛知県名古屋市南区泉楽通4−7−3 真 栄マンション泉楽602

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の構成よりなるFe−Al拡散層を
    有する鉄基合金部材:Fe−Cr系ステンレス鋼でなる
    基材,基材の硬度はビッカース硬度で400あるいはそ
    れ以上である;および基材表面に形成されたFe−Al
    拡散層,前記拡散層の厚さは2〜50μmである,前記
    拡散層は拡散層の全体積に対して少なくとも90体積%
    のFe−Al金属間化合物を含む,前記拡散層の表面か
    ら少なくとも2μm深さまでのAl含有量は35〜65
    重量%である,ここに重量%は拡散層の少なくとも2μ
    m深さまでの領域の総重量に基づくものである。
  2. 【請求項2】 前記金属間化合物は,Al2 Fe, Al
    5 Fe2,Al3 FeおよびAl13Fe4 からなるグルー
    プから選択される少なくとも一つを含むことを特徴とす
    る請求項1に記載の鉄基合金部材。
  3. 【請求項3】 前記拡散層の外表面でのX線回折により
    得られるX線回折プロファイルにおいて,前記金属間化
    合物の主ピーク高さをP1とし,AlFeおよびAlF
    3 の主ピーク高さをP2とするとき,ピーク比(%)
    が100×P1/(P1+P2)で定義され,前記拡散層
    はピーク比が少なくとも10%となるような量で前記金
    属間化合物を含んでいることを特徴とする請求項1に記
    載の鉄基合金部材。
  4. 【請求項4】 前記拡散層の厚みは5〜15μmである
    ことを特徴とする請求項1に記載の鉄基合金部材。
  5. 【請求項5】 前記基材は,66〜81.9重量%の
    鉄,15〜20重量%のクロム,3〜13重量%のニッ
    ケル,および以下の(i)〜(iii)のいずれか一つ: (i)3〜6重量%の銅,(ii)炭素と窒素の合計が0.0
    1〜0.2重量%,および(iii)0.5〜2重量%のア
    ルミニウム,を含むことを特徴とする請求項1に記載の
    鉄基合金部材。
  6. 【請求項6】 前記基材は,73〜89.9重量%の
    鉄,10〜19重量%のクロム,0.1〜1.2重量%
    の炭素,3重量%以下のニッケルを含むことを特徴とす
    る請求項1に記載の鉄基合金部材。
  7. 【請求項7】 以下のステップを含むFe−Al拡散層
    を有する鉄基合金部材の製造方法:基材上にAl表面層
    を形成しAl被覆基材を得る,前記基材は,66〜8
    1.9重量%の鉄,15〜20重量%のクロム,3〜1
    3重量%のニッケル;および以下の(i)〜(iii)のいず
    れか一つを含む,(i)3〜6重量%の銅,(ii)炭素と窒
    素の合計が0.01〜0.2重量%以下,および(iii)
    0.5〜2重量%のアルミニウム,被覆基材を450〜
    600℃の熱処理温度で0.5〜4時間保持し,ビッカ
    ース硬度で400あるいはそれ以上の硬度に基材を硬化
    させるとともに,Al原子の基材への拡散とFe原子の
    Al表面層への拡散の相互拡散に基づいて被覆基材の表
    面にFe−Al拡散層を形成する,前記拡散層は,拡散
    層の全体積に対して少なくとも10体積%のFe−Al
    金属間化合物を含み,かつ拡散層の厚さが2〜50μm
    になるように形成される。
  8. 【請求項8】 以下のステップを含むFe−Al拡散層
    を有する鉄基合金部材の製造方法:基材上にAl表面層
    を形成しAl被覆基材を得る,前記基材は,73〜8
    9.9重量%の鉄,10〜19重量%のクロム,0.1
    〜1.2重量%の炭素,3重量%以下のニッケルを含
    む;被覆基材を900〜1100℃の熱処理温度で15
    〜180秒間保持し,Al原子の基材への拡散とFe原
    子のAl表面層への拡散の相互拡散に基づいて被覆基材
    の表面にFe−Al拡散層を形成する,前記拡散層は,
    拡散層の全体積に対して少なくとも10体積%のFe−
    Al金属間化合物を含み,かつ拡散層の厚さが2〜50
    μmになるように形成される;前記被覆基材を熱処理温
    度から少なくとも10℃/秒の冷却速度で冷却し,ビッ
    カース硬度で400あるいはそれ以上の硬度に基材を硬
    化させる。
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