JPH0899623A - 車両のアンチスキッドブレーキ装置 - Google Patents

車両のアンチスキッドブレーキ装置

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JPH0899623A
JPH0899623A JP25887094A JP25887094A JPH0899623A JP H0899623 A JPH0899623 A JP H0899623A JP 25887094 A JP25887094 A JP 25887094A JP 25887094 A JP25887094 A JP 25887094A JP H0899623 A JPH0899623 A JP H0899623A
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pressure
friction
friction coefficient
road surface
road
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Haruki Okazaki
晴樹 岡崎
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Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 路面の左側と右側とが非対称の路面μで且つ
高μでない状態から、低摩擦側の路面が先に高μ路に変
化した際の走行安定性を確保し得る車両のアンチスキッ
ドブレーキ装置を提供する。 【構成】 左右の前輪と後輪のブレーキ液圧を独立に調
整可能な制御する第1〜第4チャンネルが設けられ、車
両左側と右側の路面摩擦状態値Mu(L) ,Mu(R) の時
々刻々の値を検出し、Mu(L) が低μでMu(R) が中μ
の状態から、低摩擦側の路面左側が先に高μにジャンプ
したときには、左側の第1,第3チャンネルの液圧を増
圧させる増圧フェーズの急増圧の増圧速度を減少させ
(S89)、同様に、Mu(R) が低μでMu(L) が中μ
の状態から、低摩擦側の路面右側が先に高μにジャンプ
したときには、右側の第2,第4チャンネルの液圧を増
圧させる増圧フェーズの急増圧の増圧速度を減少させる
(S92)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、車両のアンチスキッ
ドブレーキ装置に関し、路面左側と路面右側の摩擦係数
が異なり且つ低摩擦側の路面が先に高摩擦へμジャンプ
した場合の増圧補正技術を改善したものに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両の制動時における車輪のロッ
クを抑制して制動性を確保するために、車体速と車輪速
に基づいてブレーキ油圧を制御するアンチスキッドブレ
ーキ装置は、種々実用化されている。このアンチスキッ
ドブレーキ装置では、3又は4系統のブレーキ油圧系
に、油圧制御用の制御バルブ(増圧バルブと減圧バル
ブ)を設け、その制御バルブを介して車輪のスリップ率
が目標値となるようにブレーキ油圧を調整するが、増
圧、増圧保持、減圧・減圧保持の所定の液圧制御サイク
ルを複数回繰り返えしたり、増圧と減圧の所定の液圧制
御サイクルを複数回繰り返えすのが一般的である。以下
の説明中、μは摩擦係数のことである。
【0003】ここで、特開平1−145255号公報や
特開平5−105066号公報には、低μ路から高μ路
へのμジャンプが発生したときには、ブレーキ液圧の増
圧を急増させることで、制動性や操縦性を高めるアンチ
スキッドブレーキ制御技術が記載されている。特開平6
−72304号公報には、低μ路から高μ路へのμ変化
の判別方法を改良したアンチスキッドブレーキング技術
が記載されている。特開平4−43152号公報には、
スプリット路走行時に、高μ路側の車輪速を左右の車輪
速差の関数として設定し、他の系統のブレーキ液圧の減
圧回数に関連付けて減圧するアンチスキッドブレーキ制
御技術が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記公報にも記載され
ているように、低μ路から高μ路にμジャンプした場合
に、車輪に対する路面反力の急増により加速されること
に鑑みて、ブレーキ液圧の増圧を急増させることは公知
である。ところで、路面の左右両側とも高μ路でない状
態から、左右両側とも高μ路に変化する場合には、左右
の車輪にほぼ等しく路面反力が急増するため、あまり問
題はない。しかし、路面の左右両側の路面μが異なり且
つ両方とも高μ路でない場合において、片方の路面μだ
けが高μに変化した場合には、高μに変化した側の車輪
の制動力が急増するため、状況によっては操縦安定性が
低下することがある。
【0005】しかも、前記の場合、(a)路面μが高い
方の路面が先に高μ路に変化した場合には、路面μの変
化幅が比較的小さく、車輪に作用する路面反力の変化幅
も小さいが、(b)路面μが低い方の路面が先に高μ路
に変化した場合には、路面μの変化幅が比較的大きく、
車輪に作用する路面反力の変化幅も大きくなることか
ら、前記(b)の場合に、(a)の場合と同様の増圧制
御するだけでは、操縦安定性を十分に高めることは難し
い。更に、路面μの高μジャンプに応じて、ブレーキ液
圧の増圧を増強した場合には、そのブレーキ液圧の増加
により車輪の横グリップ力が低下することもあることか
ら、その横グリップ力の低下を加味したブレーキ液圧制
御を行うことが望ましい。本発明の目的は、路面の左側
と右側とが非対称の路面μで且つ高μ路でない状態から
の高μジャンプの際の操縦安定性を確保し得る車両のア
ンチスキッドブレーキ装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の車両のアンチ
スキッドブレーキ装置は、車輪の回転速度を検出する車
輪速検出手段と、ブレーキ液圧を調整可能で且つ少なく
とも前輪のブレーキ液圧を左右独立に調整可能な液圧調
整手段と、車輪速検出手段で検出された車輪速に基づい
て、少なくとも増圧フェーズと減圧フェーズとを含む液
圧制御サイクルで液圧が変化するように液圧調整手段を
制御するアンチスキッド制御手段とを備えたアンチスキ
ッドブレーキ装置において、走行路面の左右両側の路面
摩擦係数を個別に推定する摩擦推定手段と、前記摩擦推
定手段で得られた路面摩擦係数を受け、走行路面の左右
両側の路面摩擦係数が異なり且つ両方とも高摩擦でない
とき、摩擦係数が低い方の路面摩擦係数が先に高摩擦係
数に変化した場合には、摩擦係数が高い方の路面摩擦係
数が先に高摩擦係数に変化する場合よりも、前記増圧フ
ェーズにおける増圧速度を小さく補正する増圧補正手段
とを備えたものである。
【0007】請求項2の車両のアンチスキッドブレーキ
装置は、請求項1の発明において、前記摩擦推定手段で
得られた路面摩擦係数を受け、摩擦係数が高い方の路面
摩擦係数が高摩擦係数に変化したときには、後輪のブレ
ーキ液圧を設定時間の間保持する液圧保持補正手段を備
えたものである。 請求項3の車両のアンチスキッドブ
レーキ装置は、請求項2の発明において、前記設定時間
は、車速の増大に応じて増大するように構成されたもの
である。
【0008】
【発明の作用及び効果】請求項1の車両のアンチスキッ
ドブレーキ装置においては、車輪速検出手段と、少なく
とも前輪のブレーキ液圧を左右独立に調整可能な液圧調
整手段と、この液圧調整手段を制御するアンチスキッド
制御手段とが装備されており、摩擦推定手段は、走行路
面の左右両側の路面摩擦係数を個別に推定し、増圧補正
手段は、走行路面の左右両側の路面摩擦係数が異なり且
つ両方とも高摩擦でないとき、摩擦係数が低い方の路面
摩擦係数が先に高摩擦係数に変化した場合には、摩擦係
数が高い方の路面摩擦係数が先に高摩擦係数に変化する
場合よりも、増圧フェーズにおける増圧速度を小さく補
正する。
【0009】摩擦係数が低い方の路面摩擦係数が先に高
摩擦係数に変化した場合には、摩擦係数が高い方の路面
摩擦係数が先に高摩擦係数に変化する場合に比較して、
路面摩擦係数の変化幅も大きく、車輪に作用する路面反
力の急増による制動力の変化幅も大きくなることから、
後者の場合よりも増圧フェーズにおける増圧速度を小さ
く補正することで、路面反力の増大に伴う急激な制動力
の増加を抑制し、操縦安定性が低下するのを確実に防止
し、操縦安定性を確保することができる。
【0010】請求項2の車両のアンチスキッドブレーキ
装置においては、請求項1と同様の作用・効果を奏する
が、液圧保持補正手段は、摩擦係数が高い方の路面摩擦
係数が高摩擦係数に変化したときには、後輪のブレーキ
液圧を設定時間の間保持する。摩擦係数が高い方の路面
摩擦係数が高摩擦係数に変化すると、それに対応するブ
レーキ液圧が増圧されて制動力が強化され、横グリップ
力が低下することに鑑み、後輪のブレーキ液圧を設定時
間の間保持することで、後輪の横グリップ力の低下を防
止して、操縦安定性が低下するのを防止することができ
る。
【0011】請求項3の車両のアンチスキッドブレーキ
装置においては、請求項2と同様の作用・効果を奏する
が、前記設定時間は、車速の増大に応じて増大するよう
に構成してある。即ち、車速の増大に応じて必要な横グ
リップ力も増大することに鑑みて、前記設定時間が車速
の増大に応じて増大するように構成してある。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面に基いて
説明する。本実施例は、後輪駆動型車両のアンチスキッ
ドブレーキ装置に本発明を適用した場合の一例である。
最初に、この車両のアンチスキッドブレーキ装置につい
て説明する。第1図に示すように、左右の前輪1,2が
従動輪、左右の後輪3,4が駆動輪とされ、エンジン5
の出力トルクが自動変速機6からプロペラシャフト7、
差動装置8および左右の駆動軸9,10を介して左右の
後輪3,4に伝達されるように構成してある。
【0013】各車輪1〜4には、車輪と一体的に回転す
るディスク11a〜14aと、制動圧の供給を受けて、
これらディスク11a〜14aの回転を制動するキャリ
パ11b〜14b等からなるブレーキ装置11〜14が
夫々設けられ、これらのブレーキ装置11〜14を作動
させる為の液圧系として、ブレーキペダル16の踏込力
を増大させる倍力装置17と、この倍力装置17によっ
て増大された踏込力に応じた制動圧を発生させるマスタ
ーシリング18と、このマスターシリング18に接続さ
れ且つブレーキ装置11〜14へ液圧を供給する液圧ユ
ニット15が設けられ、この液圧ユニット15は、液圧
ライン21〜24を介して、夫々キャリパ11b〜14
bのホイールシリンダに接続されている。尚、マスター
シリング18には、リザーバタンク18aも設けられて
いる。
【0014】次に、液圧ユニット15について説明す
る。図2に示すように、液圧ユニット15において、前
輪1,2の液圧系に関して、マスターシリンダ18から
延びる液圧ライン19から分岐した液圧ライン21に
は、増圧弁21aと、減圧弁21bとが図示のように接
続され、また、同様に、液圧ライン19から分岐した液
圧ライン22には、増圧弁22aと、減圧弁22bとが
図示のように接続されている。後輪3,4の液圧系に関
して、マスターシリンダ18から延びる液圧ライン20
から分岐した液圧ライン23には、増圧弁23aと、減
圧弁23bとが図示のように接続され、また、同様に、
液圧ライン20から分岐した液圧ライン24には、増圧
弁24aと、減圧弁24bとが図示のように接続されて
いる。尚、前記増圧弁21a〜24a及び減圧弁21b
〜24bは、夫々、デューティソレノイド弁からなる。
【0015】液圧ライン19に液圧を発生させる為のポ
ンプ26及びリザーバ27と、液圧ライン20に液圧を
発生させるポンプ28及びリザーバ29とが設けられ、
これらポンプ26,28は、共通のモータ25で駆動さ
れる。増圧弁21aを開作動させ、減圧弁21bを閉弁
しておくと、キャリパ11bのホイールシリンダの制動
圧が増圧され、また、増圧弁21aを閉弁しておき、減
圧弁21bを開作動させると、制動圧がリリーフされて
制動圧が低下する。このことは、その他の液圧ライン2
2〜24についても同様である。
【0016】キャリパ11bのホイールシリンダの液圧
を制御する第1チャンネル、キャリパ12bのホイール
シリンダの液圧を制御する第2チャンネル、キャリパ1
3bのホイールシリンダの液圧を制御する第3チャンネ
ル、キャリパ14bのホイールシリンダの液圧を制御す
る第4チャンネルの各々について、独立に且つ並行的に
液圧が制御されるが、車両の制動時に、車輪1〜4の路
面に対するスキッド状態やロックを抑制する為に、第1
〜第4チャンネルの液圧を独立に制御してアンチスキッ
ドブレーキ制御(以下、ABS制御という)を行うAB
S制御ユニット30が設けられている。
【0017】図1に示すように、このABS制御ユニッ
ト30は、ブレーキペダル16のON/OFFを検出す
るブレーキスイッチ35からのブレーキ信号と、ハンド
ル舵角を検出する舵角センサ36からの舵角信号と、車
輪1〜4の回転速度を夫々検出する車輪速センサ31〜
34からの車輪速信号とを受けて、これらの信号に応じ
た制動圧制御信号を第1〜第4チャンネルの増圧弁21
a〜24aのソレノイドコイルと減圧弁21b〜24b
のソレノイドコイルに夫々出力することにより、前後輪
1〜4のスリップを抑制するABS制御を、各チャンネ
ル毎に、全チャンネルに並行して行うようになってい
る。
【0018】尚、ABS非制御状態においては、ABS
制御ユニット30からは制動圧制御信号が出力されず、
減圧弁21b〜24bが閉保持され、且つ増圧弁21a
〜24aが開保持される。これにより、ブレーキペダル
16の踏込力に応じてマスターシリンダ18で発生した
制動圧が、前輪用液圧ライン19及び後輪用液圧ライン
20を介してブレーキ装置11〜14に供給され、これ
らの制動圧に応じた制動力が前輪1,2及び後輪3,4
にダイレクトに付与される。
【0019】ABS制御ニット30は、センサやスイッ
チ類からの検出信号を、必要に応じて波形整形する波形
整形回路、種々の検出信号を必要に応じてAD変換する
A/D変換器、入力出力インターフェース、マイクロコ
ンピュータ、増圧弁や減圧弁の為の駆動回路、複数のタ
イマ等で構成され、マイクロコンピュータのROMに
は、アンチスキッドブレーキ制御及びそれに付随する種
々の制御の制御プログラムやテーブルやマップ等が予め
格納され、RAMには種々のワークメモリが設けられて
いる。
【0020】次に、ABS制御の概要について説明する
と、車輪速センサ31〜34の検出信号から演算された
車輪速V1〜V4に基いて各車輪毎の減速度DV1〜DV4
および加速度AV1〜AV4を夫々算出する。この場合、車
輪速の前回値に対する今回値の差分をサンプリング周期
Δt (例えば8ms)で除算した上で、その結果を重力
加速度に換算した値を今回の加速度ないし減速度として
更新する。
【0021】また、所定の悪路判定処理により走行路面
が悪路か否かを判定する。この場合、従動輪1,2の車
輪加速度又は車輪減速度が、所定期間の間に、所定の悪
路判定しきい値以上となる回数をカウントし、その回数
が所定値以下のときには悪路フラグFakを0に設定し、
その回数が所定値よりも大きいときには悪路フラグFak
を1に設定する。ABS制御において、路面の左側と右
側の路面摩擦状態値Muが演算され、左側輪1,3の擬
似車体速Vrと右側輪2,4の擬似車体速Vrとこれら
両擬似車体速Vrの最大値から最大擬似車体速Vrmax
とが演算され、各輪のブレーキ装置11〜14毎に、A
BS制御が実行される。尚、各輪毎のスリップ率は、本
実施例では、スリップ率=( 車輪速/疑似車体速Vrma
x )×100にて演算されるので、車体速Vrmax に対
する車輪速の偏差が大きくなる程スリップ率が小さくな
り、車輪のスリップ傾向が大きくなる。
【0022】次に、各輪毎のアンチスキッドブレーキ制
御のメインルーチンについて、左前輪1のブレーキ装置
11に対する制御を例として、図3のフローチャートを
参照しつつ説明するが、フローチャート中符号Si(i
=1,2,3・・)は各ステップを示す。尚、このメイ
ンルーチンは、所定微小時間(例えば、8ms)おきに
実行される処理である。最初に各種信号(ブレーキSW
信号、車輪速V1等)が読み込まれ(S1)、次にブレ
ーキスイッチ35がONか否か判定し(S2)、その判
定が No のときには、リターンし、ブレーキスイッチ3
5がONのときは、路面摩擦状態値Muが演算され(S
3)、次に擬似車体速Vrが演算され(S4)、次に制
御しきい値が設定され(S5)、次に制御信号出力処理
が実行され(S6)、その後リターンする。
【0023】路面摩擦状態値Muの演算処理・・・図4
参照 この演算処理では、路面摩擦状態値Muとして、路面左
側の路面摩擦状態値Mu(L) を、左前輪1の車輪速V1
を用いて演算する。最初に、以下の演算に必要な各種信
号(フラグFabs 、車輪速V1等)が読み込まれ(S1
0)、次にフラグFabs が1か否か判定する(S1
1)。このフラグFabs は、第1〜第4チャンネルのロ
ックフラグFlok1〜Flok4の何れかが1のとき、1にセ
ットされるもので、S11の判定が No のときは、路面
摩擦状態値Muが、高摩擦状態を示すMu=3に設定さ
れ(S12)、その後リターンする。フラグFabs が0
のときには、左前輪1の減速度DVが−20Gより小か
否か判定し(S13)、その判定がYes のときには、左
前輪1の加速度AVが10Gより大か否か判定し(S1
4)、その判定により加速度AV≦10Gのときには、
路面摩擦状態値Muが、低摩擦状態を示すMu=1に設
定され(S15)、その後リターンする。
【0024】減速度DV<−20Gでないとき、又は加
速度AV>10Gのときには、加速度AV>20Gか否
か判定し(S16)、その判定がYes のときには、路面
摩擦状態値Muが、高摩擦状態を示すMu=3に設定さ
れ(S17)、その後リターンする。また、S16の判
定が No のときには、路面摩擦状態値Muが、中摩擦状
態を示すMu=2に設定され(S18)、その後リター
ンする。こうして、路面左側の路面摩擦状態値Mu(L)
が、車輪速V1の加減速度に基づいて、微小時間おきに
推定され、メモリに更新しつつ格納される。尚、路面右
側の路面摩擦状態値Mu(R) も、同様に車輪速V2に基
づいて推定される。
【0025】擬似車体速Vrの演算処理・・・図5、図
6参照 この演算処理では、擬似車体速Vrとして、左側の前後
輪1,3の車輪速V1,V3を用いて、左側擬似車体速
Vr(L) を演算する。最初に、各種信号(車輪速V1,
V3、摩擦状態値Mu(L) 、前回の車体速Vr等)が読
み込まれ(S20)、次に車輪速V1,V3の中から最
高車輪速Vwmが演算され( S21)、次に最高車輪速V
wmのサンプリング周期Δt 当りの最高車輪速変化量ΔV
wmが演算される(S22)。次に、図6に示すマップ
に、摩擦状態値Mu(L) を適用して車体速補正値Cvrが
読み出され(S23)、次に最高車輪速変化量ΔVwmが
車体速補正値Cvr以下か否か判定される(S24)。
【0026】その判定の結果、車輪速変化量ΔVwmが車
体速補正値Cvr以下であると判定されると、車体速Vr
の前回値から車体速補正値Cvrを減算した値が今回値に
置き換えられる(S25)。それ故、車体速Vrが車体
速補正値Cvrに応じた所定の勾配で減少することにな
る。一方、車輪速変化量ΔVwmが車体速補正値Cvrより
大きいとき(最高車輪速Vwmが過大な変化を示したと
き)には、疑似車体速Vrから最高車輪速Vwmを減算し
た値が所定値V0 以上か否か判定する(S26)。
【0027】つまり、最高車輪速Vwmと車体速Vrとの
間に大きな開きがあるか否か判定され、大きな開きがあ
るときには、S25へ移行し、また、最高車輪速Vwmと
車体速Vrとの間に大きな開きがないときには、最高車
輪速Vwmが車体速Vrに置き換えられる(S27)。こ
うして、車両左側の擬似車体速Vrが車輪速V1, V3
に応じて時々刻々更新されていく。尚、右側擬似車体速
Vrは、車輪速V2,V4、摩擦状態値Mu(R) 、前回
の車体速Vrを用いて同様に演算される。尚、次に説明
する制御しきい値設定の処理では、左側擬似車体速Vr
と右側擬似車体速Vrの大きい方の最大車体速Vrmax
が、車体速Vrとして適用される。
【0028】制御しきい値設定処理・・・図7〜図10
参照 次に、制御しきい値設定処理について、図7〜図10参
照して説明する。最初に、各種信号(車体速Vr、摩擦
状態値Mu(L) ,Mu(R) 、フラグFak、舵角θ)が読
み込まれ(S30)、次に、S31において、車速域と
路面摩擦状態値と悪路フラグFakとをパラメータとする
図8のテーブルTB1から、摩擦状態値Muと車体速V
r とに応じた走行状態パラメータを選択し、その選択し
た走行状態パラメータに応じた各種制御しきい値を設定
する。即ち、走行状態パラメータに応じた各種制御しき
い値を、図9のテーブルTB2から読み込んでワークメ
モリに格納する。
【0029】但し、図8のテーブルTB1に適用する摩
擦状態値Muとしては、摩擦状態値Mu(L), Mu(R)のう
ちの小さいものが適用され、例えば、摩擦状態値Muが
1のときに、車体速Vrが中速域のときは走行状態パラ
メータLM2が選択される。一方、悪路フラグFak=1
で、悪路状態であるときには、図8に示すように、車体
速Vrに応じた走行状態パラメータを選択する。悪路走
行時には車輪速の変動が大きく、路面摩擦係数が小さく
推定される傾向があるからである。図9のテーブルTB
2に示すように、各種制御しきい値として、図14にお
けるフェーズIからフェーズIIへの切換判定用の1−2
中間減速度しきい値B12、フェーズIIからフェーズIII
への切換判定用の2−3中間スリップ率しきい値Bsg、
フェーズIII からフェーズVへの切換判定用の3−5中
間減速度しきい値B35、フェーズVからフェーズIへの
切換判定用の5−1スリップ率しきい値Bszなどが、走
行状態パラメータ毎に夫々設定されている。
【0030】制動力に大きく影響する減速度しきい値
は、高摩擦状態のときのブレーキ性能と、低摩擦状態の
ときの制御の応答性とを両立させる為に、摩擦状態値M
uが小さくなる(路面摩擦係数が小さくなる)ほど0G
に近づくように設定してある。テーブルTB2の例で
は、走行状態パラメータがLM2のときには、1−2中
間減速度しきい値B12、2−3中間スリップ率しきい値
Bsg、3−5中間減速度しきい値B35、5−1スリップ
率しきい値Bszとして、−0.5G,90%,0G,9
0%の各値が夫々読み出されることになる。
【0031】次に、S32において、摩擦状態値Mu
(ここでは、Mu=Mu(L))が3か否か判定し、その判
定が No のときにはS34へ移行し、また、S32の判
定がYes のときには、S33において悪路フラグFakが
0か否か判定する。悪路フラグFak=0のときは、S3
4において、舵角センサ93で検出された舵角θの絶対
値が90°未満か否かを判定し、舵角θの絶対値≧90
°のときは、S35において、舵角θに応じた制御しき
い値の補正処理を行う。この制御しきい値の補正処理
は、図10の制御しきい値補正テーブル(テーブルTB
3)に基づいて実行され、その後リターンする。
【0032】図10のテーブルTB3においては、低摩
擦と、中摩擦と、高摩擦の悪路でないとき、ハンドル操
作量が大きいときの操舵性を確保する為に、2−3中間
スリップ率しきい値Bsgおよび5−1スリップ率しきい
値Bszに夫々5 %を加算した値が、最終のしきい値とし
て設定されると共に、その他のしきい値がそのまま最終
しきい値として設定されている。高摩擦の悪路(フラグ
Fak=1)のとき、ハンドル操作量が小さいときの走破
性を確保する為に、2−3中間スリップ率しきい値Bsg
および5−1スリップ率しきい値Bszから夫々5 %を減
算した値が、最終のしきい値として設定されている。次
に、S34の判定がYes のときには、各制御しきい値が
そのまま制御しきい値として夫々設定され、その後リタ
ーンする。
【0033】一方、S33で、悪路フラグFak=1と判
定したときには、S36に移行して図10のテーブルT
B3により、悪路フラグFakと舵角θに基づいて、舵角
θ<90°のときだけ、2−3中間スリップ率しきい値
Bsgおよび5−1スリップ率しきい値Bszから夫々5 %
を減算した値を、制御しきい値として設定する補正処理
が実行され、次に、S37において、図10のテーブル
TB3に基いて、1−2中間減速度しきい値B12から1.
0 Gを減算した値を制御しきい値として設定する補正処
理を行い、S37の後リターンする。尚、S37の補正
は、悪路の場合には、車輪速センサ91a〜94aが誤
検出を生じやすいため、制御の応答性を遅らせて良好な
制動力を確保するためである。
【0034】制御信号出力処理・・・図11、図12、
図16参照 次に、各種制御しきい値によりフェーズを設定し、各フ
ェーズの制動制御信号を増圧バルブ又は減圧バルブに出
力する制御信号出力処理について、図11、図12のフ
ローチャートを参照しつつ説明する。最初に、以下の演
算処理に必要な各種信号が読み込まれ(S50)、次に
ブレーキスイッチ35がONか否か判定し(S51)、
その判定が No のときはS52を経てリターンし、ブレ
ーキスイッチ35がONのときは、車体速Vrが所定値
C1(例えば、5.0 Km/H)以下で、かつ車輪速V1が所
定値(例えば、7.5 Km/H)以下か否か判定する(S5
3)。S53の判定がYes のときは、十分に減速された
状態で、ABS制御の必要がないためS52を経てリタ
ーンするが、S53の判定が No のときはS54へ移行
する。
【0035】S52では、フェーズフラグP1、ロック
フラグFlok1、継続フラグFcn1 が夫々0にリセットさ
れ、その後リターンする。次に、S54では、ロックフ
ラグFlok1が0か否か判定し、ABS制御開始前で、フ
ラグFlok1が0のときはS55へ移行して、車輪速V1
の減速度DV1 (但し、DV1 ≦0とする)が所定値D0
(例えば、−3G)以下か否か判定し、その判定がYes
のときはS56へ移行する。一方、S54の判定が No
のときはS59へ移行する。次に、S55の判定がYes
のときは、ロックフラグFlok1が1にセットされ(S6
6)、次にフラグP1が2にセットされてフェーズII
(増圧後保持フェーズ)に移行し(S57)、次にフェ
ーズII用に予め設定された制動制御信号が増圧バルブ2
1aと減圧バルブ21bへ出力され(S58)、その後
リターンする。この場合、増圧バルブ21a及び減圧バ
ルブ21bは閉弁状態(デューティ率=0)に保持され
る。
【0036】ABS制御開始後は、フラグFlok1=1で
あるため、S54からS59へ移行し、フラグP1が2
か否か判定し(S59)、フラグP1=2のときはS6
0へ移行し、フラグP1=2でないときはS63へ移行
する。S60では、スリップ率S1が2−3中間スリッ
プ率しきい値Bsg以下か否か判定し、最初のうちは No
と判定されるため、S60からS58へ移行するが、そ
れを繰り返して、スリップ率S1≦しきい値Bsgになる
と、S60からS61へ移行する。次にフラグP1が3
にセットされてフェーズIII (減圧フェーズ)に移行す
る(S61)。
【0037】次に、S62では、フェーズIII 用に予め
設定された制動制御信号が増圧バルブ21aと減圧バル
ブ21bへ出力され、その後リターンする。フェーズII
I では、増圧バルブ21aが閉弁状態(デューティ率=
0)に保持され、減圧バルブ21bが所定のデューティ
率にて駆動される。S59の判定により、フラグP1が
2でないときは、S59からS63へ移行し、フラグP
1が3か否か判定され(S63)、フラグP1=3のと
きはS64へ移行し、S63の判定が No のときはS6
7へ移行する。
【0038】次に、S64では、減速度DV1 が3−5中
間減速度しきい値B35に等しいか否か判定され、最初の
うちは No と判定されるためS64からS62へ移行す
るが、それを繰り返して、減速度DV1=しきい値B35に
なると、S65へ移行し、フラグP1が5にセットされ
てフェーズV(減圧後保持フェーズ)に移行する(S6
5)。次に、S66において、フェーズV用に予め設定
された制動制御信号が増圧バルブ21aと減圧バルブ2
1bへ出力され、その後リターンする。この場合、増圧
バルブ21a及び減圧バルブ21bは、閉弁状態に保持
される。次に、S63の判定が No のときは、S67に
おいてフラグP1=5か否か判定し、フラグP1=5の
ときはS68へ移行し、また、フラグP1=5でないと
きはS74へ移行する。フラグP1=5のときには、ス
リップ率S1が5−1スリップ率しきい値Bsz以上か否
か判定される(S68)。
【0039】最初のうちは No と判定されるため、S6
8からS66へ移行するのを繰り返えす。フェーズVに
おいて、スリップ率S1が増大して、S68の判定がYe
s になるとS69へ移行し、フラグP1が1にセットさ
れてフェーズI(増圧のフェーズ)に移行し、かつ継続
フラグFcn1 が1にセットされる(S69)。次に、S
70において、フェーズIの開始後の経過時間をカウン
トするタイマT1がリセット後スタートされ、次にS7
1においてタイマT1のカウント時間T1が予め設定さ
れた急増圧時間Tpz以下か否か判定され、最初のうち急
増圧時間Tpz以下のときは、S71からS72へ移行
し、S72においてフェーズIの初期急増圧の為に予め
設定された制動制御信号が、増圧バルブ21aと減圧バ
ルブ21bへ出力され、その後リターンする。この場
合、増圧バルブ21aが所定のデューティ率(例えば、
Mu=1のとき16/40 、Mu=2のとき18/40 、Mu=
3のとき30/40 )で駆動され、減圧バルブ21bが閉弁
状態に保持される。
【0040】次に、フェーズIに移行後には、S67の
判定が No となるため、S67からS74へ移行し、S
74においてフラグP1=1か否か判定し、フラグP1
=1のときは、S75において、減速度DV1 が、1−2
中間減速度しきい値B12以下か否か判定し、最初のうち
は、その判定が No となるため、S75からS71へ移
行し、急増圧時間Tpzの経過前にはS71からS72へ
移行するのを繰り返す。これを繰り返えすうちに、フェ
ーズIに移行後、急増圧時間Tpzが経過すると、S71
の判定が No となるため、S71からS73へ移行して
フェーズIの緩増圧の為に予め設定された制動制御信号
が、増圧バルブ21aと減圧バルブ21bへ出力され、
その後リターンするのを繰り返す。この場合、増圧バル
ブ21aが所定のデューティ率で駆動され、減圧バルブ
21bが閉弁状態に保持される。
【0041】次に、S75の判定がYes となると、S7
6においてフラグP1が2にセットされ、その後S58
へ移行する。こうして、ABS制御の開始後、フェーズ
II、フェーズIII 、フェーズV、フェーズI、フェーズ
II、フェーズIII 、・・・の順に複数サイクルに亙って
実行され、S53の判定でYes となったり、ブレーキス
イッチ25がOFFになったりすると、一連のABS制御
が終了する(図13参照)。尚、以上のABS制御は、
左前輪1のブレーキ装置11のABS制御を例として説
明したが、その他のブレーキ装置12〜14に対して
も、同様に並行的にABS制御が実行される。
【0042】次に、本発明特有の増圧補正制御につい
て、図13、図14を参照しつつ説明する。この増圧補
正制御は、図3のメインルーチンに対して微小時間おき
に割り込み処理にて実行される制御である。この制御が
開始されると、各種信号(フラグFabs 、路面摩擦状態
値Mu(L),Mu(R) 、フラグFm)が読み込まれ(S
80)、次にフラグFabs が1か否か判定し(S8
1)、Fabs =0のときはリターンし、Fabs =1で、
ABS制御実行中の場合には、路面摩擦状態値Mu(L)
,Mu(R) が等しいか否か判定する(S82)。
【0043】S82の判定がYes のときはリターンし、
No のときはS83において、Mu(L) ,Mu(R) が両
方共高摩擦状態を示す3でないか否か、つまり、Mu
(L) ,Mu(R) が何れも1又は2か否か判定し、その判
定がYes のときはフラグFmが1にセットされてからリ
ターンする。また、S83の判定が No でも、フラグF
mが1にセットされないうちは、S85からリターンす
る。フラグFmのセット後に、路面摩擦状態が変化し、
Mu(L) ,Mu(R) の一方又は両方が3になると、S8
3の判定が No で、S85の判定がYes となってS86
に移行する。
【0044】S86では、路面摩擦状態値Mu(L) ,M
u(R) の前回から今回までの変化量ΔMu(L) ,ΔMu
(R) が演算され、次にMu(L) =3、Mu(R) ≠3か否
か判定し(S87)、その判定がYes のときはS88に
おいて、ΔMu(L) >ΔMu(R) か否か判定し、その判
定がYes のときはS89において、第1,第3チャンネ
ルの急増圧の増圧速度を例えば20%減少させる指令
が、前記制御信号出力処理へ出力される。尚、S88の
判定が No の場合には、急増圧の増圧速度を増大させる
指令が出力されないため、急増圧の際、増圧弁21a,
23aは前記高摩擦のときのデュティー率30/40 に制御
されることになる。
【0045】一方、S87の判定が No のときは、Mu
(L) ≠3、Mu(R) =3か否か判定し(S90)、その
判定がYes のときはS91において、ΔMu(R) >ΔM
u(L) か否か判定し、その判定がYes のときはS92に
おいて、第2,第4チャンネルの急増圧の増圧速度を例
えば20%減少させる指令が、前記制御信号出力処理へ
出力される。S89又はS92の次に、フラグFmが0
にリセットされ(S93)、その後リターンする。尚、
S91の判定が No の場合には、急増圧の増圧速度を減
少させる指令が出力されないため、急増圧の際、増圧弁
22a,24aは前記高摩擦のときのデュティー率30/4
0 に制御されることになる。また、S90の判定が No
のとき、つまり、Mu(L) ,Mu(R) の両方が3に変化
した場合には、急増圧の増圧速度を増大させる指令が出
力されないため、急増圧の際、増圧弁21a〜24a
が、前記高摩擦のときのデュティー率30/40 に制御され
ることになる。
【0046】以上のように、路面左側が低摩擦で、路面
右側が中摩擦の状態で走行中に、路面左側が高摩擦に変
化し、路面右側が高摩擦に変化していない場合には、路
面左側が低摩擦から高摩擦と大きく変化したことになる
が、このとき、左側輪の路面反力が急増加して制動力が
増大されるため、車両の操縦安定性が著しく低下するこ
とに鑑みて、左側の第1,第3チャンネルの急増圧の増
圧速度を20%小さく補正する。これは路面右側につい
ても同様であり、路面右側が低摩擦で、路面左側が中摩
擦の状態で走行中に、路面右側が先に高摩擦に変化し、
路面左側が高摩擦に変化していない場合には、路面右側
が低摩擦から高摩擦と大きく変化したことになるので、
右側の第2,第4チャンネルの急増圧の増圧速度を20
%小さく補正する。尚、S89及びS92において増圧
速度を減少させる指令を出力する代わりに、急増圧期間
を約20%小さくする指令を出力するように構成しても
よい。
【0047】次に、以上説明したABS制御の作用につ
いて、左前輪1のブレーキ装置11を例にして、図13
を参照しつつ説明する。減速時のABS制御非実行状態
において、ブレーキぺダル16の踏込操作によって発生
したブレーキ油圧が徐々に増圧し、車輪速V1の変化率
(減速度DV1)が−3Gに達すると、そのロックフラグ
Flok1が1にセットされ、その時刻taからABS制御
が実質的に開始される。この制御開始直後の第1サイク
ルにおいては、摩擦状態値Muは3(高摩擦状態)にセ
ットされており、走行状態パラメータに応じた各種の制
御しきい値が設定される。
【0048】次に、前輪1のスリップ率S1と車輪減速
度DV1とが、各種の制御しきい値と比較され、フェーズ
0からフェーズIIに変更され、ブレーキ油圧は、増圧後
のレベルに保持される。スリップ率S1が、2−3中間
スリップ率しきい値Bsgより低下すると、フェーズIIか
らフェーズIII (減圧フェーズ)に移行し、その時刻t
bから、ブレーキ油圧が所定の勾配で減少され、前輪1
の回転力が回復し始める。更に、減圧が続いて車輪減速
度DV1がしきい値B35(0G) まで低下すると、フェー
ズIII からフェーズV(減圧後保持フェーズ)に移行
し、その時刻tcからブレーキ油圧が減圧後のレベルに
保持される。
【0049】このフェーズVにおいてスリップ率S1が
5−1スリップ率しきい値Bsz以上になると、継続フラ
グFcnl が1にセットされ、ABS制御は、時刻tdか
ら第2サイクルに移行する。このとき、強制的にフェー
ズI(増圧フェーズ)に移行し、フェーズIへの移行直
後には、予め設定された急増圧時間Tpzの間、ブレーキ
油圧が急勾配で増圧され、この急増圧後は、ブレーキ油
圧がより緩やか勾配で徐々に上昇していく。こうして、
第2サイクルへの移行直後においては、ブレーキ油圧が
確実に増圧され、良好な制動圧が確保される。
【0050】一方、第2サイクル以降においては、適切
な摩擦状態値Muが決定され、摩擦状態値Muと車体速
Vrとで決まる走行状態パラメータに対応する各種制御
しきい値が図9の制御しきい値設定テーブル及び図10
の制御しきい値補正テーブルに基づいて設定されるの
で、走行状態に応じた緻密なブレーキ油圧の制御が行わ
れることになる。その後、第2サイクルにおけるフェー
ズVにおいて、スリップ率S1がしきい値Bszより大き
いときは第3サイクルのフェーズIに移行する。
【0051】ここで、本願のABS制御においては、図
13の増圧補正制御により説明したように、路面の左側
の路面摩擦状態と右側の路面摩擦状態が異なり、しか
も、両方とも高摩擦状態でない場合において、左側と右
側のうちの低摩擦側が先に高摩擦状態に変化した際に
は、その高摩擦状態に変化した側のチャンネルにおける
急増圧の増圧速度を、その他の場合と比較して、20%
程減少させるようにしたので、低摩擦状態から高摩擦状
態への急変による路面反力の急増で急制動が生じて操縦
安定性が低下するのを、確実に防止して操縦安定性を高
めることができる。
【0052】前記増圧補正制御を部分的に変更した別実
施例について説明する。図15は、別実施例に係る増圧
補正制御のルーチンであり、図13のルーチンと異なる
ステップについてのみ説明すると、S89Aでは、第1
チャンネルの急増圧の増圧速度を20%減少させる指令
が出力され、また、S92Aでは、第2チャンネルの急
増圧の増圧速度を20%減少させる指令が出力され、次
に、フラグFzが1にセットされ(S93A)、次にフ
ラグFmが1にセットされてからリターンする。
【0053】次に、前記図15の増圧補正制御に付随す
る後輪ブレーキ液圧保持制御について説明する。尚、こ
の制御は、メインルーチンに対する微小時間おきの割り
込み処理で実行される。最初に各種信号(フラグFz、
Mu(L) ,Mu(R) 、第3,第4チャンネルのフェーズ
識別用フラグP3,P4)が読み込まれ(S100)、
次にフラグFz=1か否か判定し(S101)、Fz=
0のときはリターンし、Fz=1のときはMu(L) =M
u(R) =3か否か判定し(S102)、その判定が No
のときはリターンするが、Yes のときは、S103にお
いて、第1チャンネル又は第2チャンネルの増圧開始か
否か判定し、その判定が No のときはリターンするが、
その判定がYes のときは、第3チャンネルのフラグP1
≠3(つまり、減圧フェーズでないか否か)判定する
(S104)。
【0054】その判定がYes のときは、第3チャンネル
のブレーキ液圧を設定時間ΔTの間だけ保持する指令が
制御信号出力処理へ出力され(S105)、次にフラグ
F3が1にセットされる(S106)。S104の判定
が No のとき、又はS106の後、S107において、
第4チャンネルのフラグP1≠3(つまり、減圧フェー
ズでないか否か)判定する(S107)。その判定がYe
s のときは、第4チャンネルのブレーキ液圧を設定時間
ΔTの間だけ保持する指令が制御信号出力処理へ出力さ
れ(S108)、次にフラグF4が1にセットされる
(S109)。尚、前記設定時間ΔTは、車体速Vrの
増大に応じて大きくなるように設定されるが、この所定
時間ΔTは、例えば、図17のマップ、又は所定の演算
式から演算される。
【0055】S107の判定が No のとき、又はS10
9の後、S110において、フラグF3,F4がともに
1か否か判定し、その判定がYes のときはフラグFzが
0にリセットされ(S111)、その後リターンし、S
110の判定が No のときには、フラグFzを変更する
ことなくリターンする。以上の増圧補正制御において
は、基本的に前記図13の増圧補正制御と同様の作用・
効果が得られる。しかし、図13の増圧補正制御におい
ては、S89、S92において、第3チャンネルや第4
チャンネルについても、急増圧の増圧速度を大きく変更
するため、後輪の制動力が増す分だけ後輪の横グリップ
力が低下して操縦安定性が低下する虞があることに鑑
み、この増圧補正制御においては、S89A、S92A
において、第1チャンネルや第2チャンネルに対しての
み、急増圧の増圧速度を大きく変更することとした。
【0056】更に、図16の液圧保持制御により、路面
左側又は右側の残りの一方が高摩擦状態に変化した際に
は、第1チャンネルの増圧が開始されたときに、第3チ
ャンネルの液圧を、車体速Vrに比例する設定時間ΔT
の間保持し、また、第2チャンネルの増圧が開始された
ときに、第4チャンネルの液圧を、車体速Vrに比例す
る設定時間ΔTの間保持するように構成したので、後輪
3,4のブレーキ液圧が急増することがなくなり、後輪
の横グリップ力の急低下を抑制して、操縦安定性を確保
することができる。また、車体速Vrの増大に応じて必
要な横グリップ力も増大することに鑑みて、設定時間Δ
Tを車体速Vrの増大に応じて増大させるため、車体速
Vrの大小によらず操縦安定性を確保することができ
る。
【0057】尚、前記実施例のABS制御では、増圧、
増圧保持、減圧、減圧保持の4つのフェーズからなるサ
イクルを繰り返すように構成したが、増圧と減圧の2つ
のフェーズからなるサイクルを繰り返すようなABS制
御に構成してもよい。また、前記実施例における路面摩
擦係数や擬似車体速の演算は、一例を示すもので、別の
演算方法で演算するように構成してもよい。また、テー
ブルTB1 〜TB3 の内容も一例を示すもので、これらに限
定されるものではなく、その他、本発明の趣旨を逸脱し
ない範囲において種々の変更を付加した態様で本発明を
実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る車両のアンチスキッドブ
レーキ装置の構成図である。
【図2】アンチスキッドブレーキ装置の液圧ユニットの
油圧回路図である。
【図3】アンチスキッドブレーキ制御のメインルーチン
のフローチャートである。
【図4】路面摩擦状態値の演算処理のサブルーチンのフ
ローチャートである。
【図5】擬似車体速の演算処理のサブルーチンのフロー
チャートである。
【図6】車体速補正値のマップの線図である。
【図7】制御しきい値設定処理のサブルーチンのフロー
チャートである。
【図8】走行状態パラメータを設定したテーブルの図表
である。
【図9】各種制御しきい値を設定したテーブルの図表で
ある。
【図10】制御しきい値の補正値を設定した制御しきい
値補正テーブルの図表である。
【図11】制御信号出力処理のサブルーチンのフローチ
ャートの一部である。
【図12】制御信号出力処理のサブルーチンのフローチ
ャートの残部である。
【図13】増圧補正制御のルーチンのフローチャートで
ある。
【図14】アンチスキッドブレーキ制御の動作タイムチ
ャートである。
【図15】別実施例に係る増圧補正制御のルーチンのフ
ローチャートである。
【図16】同別実施例の後輪ブレーキ液圧保持制御のル
ーチンのフローチャートである。
【図17】設定時間ΔTを設定したマップの線図であ
る。
【符号の説明】
1,2 前輪(従動輪) 3,4 後輪(駆動輪) 5 エンジン 15 液圧ユニット 11〜14 ブレーキ装置 30 ABS制御ユニット 31〜34 車輪速センサ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車輪の回転速度を検出する車輪速検出手
    段と、ブレーキ液圧を調整可能で且つ少なくとも前輪の
    ブレーキ液圧を左右独立に調整可能な液圧調整手段と、
    車輪速検出手段で検出された車輪速に基づいて、少なく
    とも増圧フェーズと減圧フェーズとを含む液圧制御サイ
    クルで液圧が変化するように液圧調整手段を制御するア
    ンチスキッド制御手段とを備えたアンチスキッドブレー
    キ装置において、 走行路面の左右両側の路面摩擦係数を個別に推定する摩
    擦推定手段と、 前記摩擦推定手段で得られた路面摩擦係数を受け、走行
    路面の左右両側の路面摩擦係数が異なり且つ両方とも高
    摩擦でないとき、摩擦係数が低い方の路面摩擦係数が先
    に高摩擦係数に変化した場合には、摩擦係数が高い方の
    路面摩擦係数が先に高摩擦係数に変化する場合よりも、
    前記増圧フェーズにおける増圧速度を小さく補正する増
    圧補正手段と、 を備えたことを特徴とする車両のアンチスキッドブレー
    キ装置。
  2. 【請求項2】 前記摩擦推定手段で得られた路面摩擦係
    数を受け、摩擦係数が高い方の路面摩擦係数が高摩擦係
    数に変化したときには、後輪のブレーキ液圧を設定時間
    の間保持する液圧保持補正手段を備えたことを特徴とす
    る請求項1に記載の車両のアンチスキッドブレーキ装
    置。
  3. 【請求項3】 前記設定時間は、車速の増大に応じて増
    大するように構成されたことを特徴とする請求項2に記
    載の車両のアンチスキッドブレーキ装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10244930A (ja) * 1997-03-05 1998-09-14 Unisia Jecs Corp アンチスキッドブレーキ制御装置
JP2002347600A (ja) * 2001-05-22 2002-12-04 Aisin Seiki Co Ltd 高μ路への移行判定装置、及び該判定装置を備えた車輪トルク制御装置
JP2003011805A (ja) * 2001-07-02 2003-01-15 Hitachi Unisia Automotive Ltd アンチスキッド制御装置

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