JPH089798B2 - ステンレス鋼の表面処理法 - Google Patents

ステンレス鋼の表面処理法

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JPH089798B2
JPH089798B2 JP1163362A JP16336289A JPH089798B2 JP H089798 B2 JPH089798 B2 JP H089798B2 JP 1163362 A JP1163362 A JP 1163362A JP 16336289 A JP16336289 A JP 16336289A JP H089798 B2 JPH089798 B2 JP H089798B2
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【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、ステンレス鋼の電気化学的手法による表面
酸化被膜生成方法に係り、殊に必要に応じ有色の被膜を
生成して耐食性の向上の他に、ステンレス鋼面の着色,
色調の調整あるいは疵跡の補修等の改善に資する。
〈従来の技術〉 従来、ステンレス鋼のスケール除去方向としては、硝
酸,弗酸による酸洗や硫酸ナトリウム等の中性塩電解液
中で電解する方法が実用化されているが、何れの場合に
おいても、脱スケールに伴ってステンレス鋼の表面で脱
クロム現象や活性化現象が生じるので、脱スケール後に
何ら処置せずにそのまま放置しておくと、環境次第では
ステンレス鋼の表面に錆などが発生し易い。
このため、上記の脱スケール後にステンレス鋼を硝酸
液中に浸漬処理することによりステンレス鋼の表面に不
動態化被膜、即ち酸化被膜を生成させて、その表面を防
食保護している。
しかしながら、この硝酸による浸漬処理は、温度など
の条件次第では充分な不動態化効果、即ち不動態化被膜
の生成が得られず、またその被膜の生成を強化するため
にクロム酸を併用する方法も一部では採用されている
が、浸漬処理後の硝酸廃液が6価クロムなどの公害の原
因とならないように、それを完全に処理するための特別
の装置と管理が必要であり、更に作業環境が低下すると
いう問題点があった。
この問題点を解決するものとして、ステンレス鋼のス
ケールを除去した後、30〜260g/の硝酸ナトリウム又
は硝酸カリウムの水溶液の中性電解液中で、上記ステン
レス鋼を陽極とすると共にそれに対向する電極を陰極と
して、ステンレス鋼の表面に酸化被膜を生成させ得る程
度の直流電流を流すことにより、上記ステンレス鋼の表
面の電気化学的作用による処理を行うことを特徴とする
ステンレス鋼の表面処理方法が特公昭54−33780号によ
り開示されている。
〈発明が解決しようとする課題〉 上記方法によれば、廃液処理のための装置を必要とせ
ず、また作業環境を低下させることなく、ステンレス鋼
の表面に酸化被膜を生成させて、硝酸で処理した場合と
同等な効果を得ることができ、さらに適正な電位により
ステンレス鋼の表面を損傷させることなく、また有害な
6価クロムを溶出させることなく、その表面に酸化被膜
を生成させることができ、ステンレス鋼の表面を保護し
て、さび等に対する耐食性を著しく向上させる特長はあ
るものの、主としてフェライト系(SUS430)ステンレス
の表面処理に適するものである旨も、その出願明細書中
に記述している。
しかも、この方法を含め、前述の従来技術共通の欠点
は、生成される酸化被膜が極めて薄く且つ脆弱であって
容易に損傷を受けるので、海塩粒子や鉄粉の付着,酸性
雨,大気汚染等環境次第では、もらい錆の発生や腐食等
を生起する。斯かる事例は枚挙にいとまなく、その不動
態化被膜のみによる耐食性は必ずしも満足できるもので
はなかった。
更に、上記従来法によって生成される酸化被膜の色調
は、外観的には素材の色調と同一であって、全く変化は
ない。このため、前記従来法のいずれもステンレス鋼表
面への着色機能は全く有せず、またその機能を期待した
ものでもない。
従って、従来法では、ステンレス鋼表面の不動態化処
理と同時に、着色若しくは色調の調整、あるいは光沢の
ある疵跡を目立たないように曇らせる(ダル仕上げ)な
どの要求には全く応じられぬ欠点があった。
〈課題を解決するための手段〉 本発明は、敍上の従来法の欠点に鑑みて、ステンレス
鋼の種類に左程限定されることなく、その表面に極めて
耐食性の高い酸化被膜の生成と、同時に、該被膜による
着色によって、ステンレス鋼表面の色調を任意に調整す
ることを目的とするものであって、その要旨とするとこ
ろは、0.5重量%以上乃至飽和濃度以下の硝酸ナトリウ
ムまたは硝酸カリウムの水溶液を電解液とし、該液を介
して、交流電源の一極に接続された処理すべきステンレ
ス鋼と、これに対向して配置され、且つ上記電源の他の
一極に接続された黒鉛またはステンレス鋼製の対極との
間に通電して交流電解処理を行うことにより、上記被処
理ステンレス鋼表面に有色の酸化被膜を生成させること
を特徴とするステンレス鋼の表面処理法にある。
〈作 用〉 ステンレス鋼を陽極とした直流による電解方式におい
ては、通電処理と共にステンレス鋼表面が不動態化し、
それ以上処理を継続しても、既に生成した不動態化被膜
が妨害して、反応が餘り深くは進行しなくなるので、極
めて限定された薄い膜厚の不動態化被膜しか生成されな
いが、本発明方法における如く、交流電解方式を採用し
た場合、メカニズムの詳細は必ずしも明らかでないが、
推察するに、交流の特性として、論理的にも陽極電解作
用と陰極電解作用とが交互に繰り返されるので、ステン
レス鋼表面では、陽極溶解,陽極酸化,不動態化,電解
析出の諸反応が交互に繰り返されるので、多少時間はか
かっても極めて強靭で膜厚の厚い、しかも適宜に着色し
た不動態化被膜が形成されるものと思考する。
尚、硝酸ナトリウムまたは硝酸カリウムの水溶液から
なる電解液の濃度範囲は、0.5重量%未満では殆んど効
果がなく、該重量%以上から有色の不動態化被膜の生成
効果が出始め、飽和濃度まで有効で濃度と共に有色の不
動態化被膜の生成作用が顕著となり、また、電解電圧,
電流密度を上げる程、不動態化被膜は、無色から薄灰
色,黄色,褐色,黒褐色へと変色する。
従って、これら条件、即ち電解液の濃度、電解電圧及
び電流密度を適宜調整管理することによって、所望の色
調の不動態化被膜に形成することが可能である。本発明
は斯かる特性を利用し、ステンレス鋼面の着色,色調あ
るいは疵跡の補修(ダル仕上げ)等を簡単に施工するこ
とに成功した。
尚、本発明方法による電解は、電解槽内に被処理ステ
ンレス鋼材を浸漬し、黒鉛またはステンレス鋼製の対極
との間で、電解処理してもよく、また電解槽を使用しな
いで、上記対極に織布または不織布からなる滞水性材を
被覆し、これに電解液を含浸させた状態で、被処理ステ
ンレス鋼材面に押し当て通電して両者間に電解作用を生
起させる所謂摺動方式でも良く、要は処理対象の状況
(処理対象の形状、処理面積の大小など)次第で何れか
を選択採用すればよい。
〈実 施 例〉 第1実施例 被処理材としてSUS304の2B仕上げ材を対象とし、硝酸
ナトリウムの2重量%水溶液を電解液として、交流電圧
10V,電流密度0.05A/cm2のもと、上記摺動方式によって3
0秒間通電処理したところ、僅かに着色があり、素材と
ほぼ同じ色調光沢であるが、下記に述べる不動態化度測
定装置であるステンチェッカーIII型(商品名)により
測定したところ、初期電位が0.64Vであり且つ不動態扱
いの下限値である0.20Vまで低下するまでの維持時間が4
5秒を示し、充分強い不動態化被膜が形成されているこ
とが確認された。
因みに、比較例として、被処理材として上記実施例と
同一のSUS304材を対象とし、一般に最も強力な不動態化
手段とされている30%硝酸の水溶液を60℃に加温し、60
分間浸漬して不動態化処理した後、上記ステンチェッカ
ーにより測定したところ、初期電位が0.55Vであり且
つ、0.20Vまで低下するまでの維持時間は20秒しかな
く、不動態化状態としては必ずしも充分満足すべきとは
云えない結果を得ている。
同様に、常温の硝酸30%水溶液中に60分間浸漬したも
のと、硝酸10%水溶液を60℃に加温し、30分間浸漬した
ものとを、夫々上記ステンチェッカーで測定したとこ
ろ、初期電位は夫々0.43V,0.51Vで、0.20Vまでの維持時
間は夫々13秒,18秒を示し、これらの数値から判断する
と不動態化度は2例とも不充分と判定される。
更に、特公昭54−33780に開示された方法に準拠し、2
0℃に加温した硝酸ナトリウムの10%水溶液を電解液と
し、直流にて被処理ステンレス鋼材(SUS430)を陽極と
して60秒間電解処理した後、上記ステンチェッカーで測
定したところ、初期電位が0.58Vで維持時間が33秒であ
ったが、SUS304材についてはそれ以下の不動態化効果し
か得られなかった。
第2実施例 硝酸ナトリウム3%水溶液を電解液として、交流電圧
15V,電流密度0.1A/cm2の電解条件のもとに、バフ研磨仕
上げのSUS304を被処理材とし10秒間摺動方式で電解処理
したところ、研磨面の光沢が消えてダル仕上げ(つや消
し仕上げ)ができた。この不動態化度をステンチェッカ
ーで測定したところ、初期電位が0.75V,維持時間が1分
20秒と極めて強度の不動態化被膜が形成されたことを確
認した。
第3実施例 硝酸ナトリウム5%の水溶液を電解液とし、交流電圧
15V,電流密度0.2A/cm2の電解条件のもとに、被処理材と
して2B仕上げのSUS304材を30秒間摺動方式で電解処理し
たところ、処理表面が黄褐色に着色した。次いで、ステ
ンチェッカーにより不動態化度を測定したところ、初期
電位が0.77V,維持時間が5分以上(5分経過で測定を中
止した)と、本発明方法による不動態化被膜の形成は、
前記何れの比較例に比べても遥かに不動態化被膜が強靭
でしかも厚く極めて耐食性に優れていることが判明し
た。
尚、電解液として、硝酸ナトリウムに代えて、硝酸カ
リウムを採用したが、その効果は殆んど前者と変らな
い。
さて、前記した、ステンチェッカーとは、本発明者
が、特願昭60−93352号で開示した、金属の不動態化効
果の簡易測定法に基づいて商品化したステンレス鋼の不
動態化度の測定装置であって、その測定法の原理は、被
検体と同一組成の試料を活性化状態にして標準試料と
し、これと被検体との間に規定濃度の硫酸を介して電池
を形成させ、その間に生じる起電力の大小と該電位の維
持時間とを測定することにより不動態化の状態を判定す
るもので、JISに準拠した1N硫酸溶液中における自然発
生電位測定法により、電位が高い程不動態化被膜が強く
て厚いことを示し、また該被膜は硫酸溶液により溶解さ
れ、電位も次第に低下するが、下記0.2Vまでの維持時間
が長い程耐食性が大きいことを示す。一般に不動態化の
電位は下限が0.2V,上限が1.0V程度と云われており、0.2
V以上の場合を不動態扱いとし、以下の場合を活性態扱
いとすることが定説となっている。尚、以上の測定結果
は一般に簡便法として認められている塩化第二鉄,塩化
ナトリウム,塩酸及び蒸留水の混合液を滴下し、そのス
ポット反応の有無により、不動態化が不完全な場合には
鉄との置換反応によって白色のスポット反応が表われ、
完全な場合にはスポット反応は表われないという試験方
法による判定結果ともよく一致した。
〈発明の効果〉 以上の説明により明らかな如く、本発明方法によれ
ば、従来の不動態化処理法に依っては達成できなかった
極めて強靭な不動態化被膜(酸化被膜)の形成に成功
し、併せて当該被膜の色調を無色から薄灰色,黄色,褐
色,黒褐色へと無段階に着色することを可能としたもの
で、ステンレス鋼表面の着色、色調の調整あるいは疵跡
の補修処理に有効な手法を提供し得て、この種産業上極
めて有益である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】0.5重量%以上乃至飽和濃度以下の硝酸ナ
    トリウムまたは硝酸カリウムの水溶液を電解液とし、該
    液を介して、交流電源の一極に接続された処理すべきス
    テンレス鋼と、これに対向して配置され且つ上記電源の
    他の一極に接続された黒鉛またはステンレス鋼製の対極
    との間に通電して交流電解処理を行うことにより、上記
    被処理ステンレス鋼表面に有色の酸化被膜を生成させる
    ことを特徴とするステンレス鋼の表面処理法。
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