JPH0897505A - 半導体レーザ装置、その製造方法およびその駆動方法 - Google Patents
半導体レーザ装置、その製造方法およびその駆動方法Info
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- JPH0897505A JPH0897505A JP23345194A JP23345194A JPH0897505A JP H0897505 A JPH0897505 A JP H0897505A JP 23345194 A JP23345194 A JP 23345194A JP 23345194 A JP23345194 A JP 23345194A JP H0897505 A JPH0897505 A JP H0897505A
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Abstract
な、半導体レーザビームスキャナー用光源を提供する。 【構成】 本発明の半導体レーザ装置の特徴は、基板1
上に形成された第1導電型の半導体多層反射膜2と、前
記多層反射膜上に形成された量子井戸活性層4と、前記
量子井戸活性層4上に形成された第2導電型の半導体多
層反射膜6と、前記第2導電型の半導体多層反射膜6上
に形成された第2導電型のコンタクト層7を備えた面発
光型半導体レーザ装置において、前記第2導電型のコン
タクト層7から前記第2の半導体多層反射膜6に到達す
るように所定の間隔で高抵抗領域14が形成され、この
高抵抗領域によって前記コンタクト層7が複数の領域に
分割せしめられ、この分割されたコンタクト層7の各領
域の上にそれぞれ分割電極8が形成され、これら分割電
極8に独立して電流が供給されることにある。
Description
の製造方法およびその駆動方法に係り、特に、光通信あ
るいは光情報処理装置に用いられる一次元方向に連続的
な光スポットを移動できるように構成された面発光型半
導体レーザ装置に関する。
キャナーは、バーコードリーダーなどに広く利用されて
いる。従来、レーザビームスキャナーとしては回転多面
鏡を用いたものが一般的であるが、これは、機械的に鏡
を動かしてビームを走査するため、小型化に限界があ
る。また機械的振動や音を伴う、走査速度がミリ秒オー
ダーであり、遅い等の欠点がある。
は、複数の半導体レーザが一列に配列された半導体レー
ザアレイ装置と、この半導体レーザアレイ装置の前方に
配置されすべての半導体レーザの出射レーザビームをそ
の口径内に含むように構成されたレンズ系を備え、レー
ザビームの走査を、半導体レーザアレイ上における発光
点の位置変化とレンズ系によるレンズ作用とにより実現
している。従って、機械的可動部が存在せず、機械的振
動や音を伴うことがない。また走査速度は半導体レーザ
の応答速度に依存するため、通常の半導体レーザを用い
ればナノ秒オーダー高速走査が可能であるとされてい
る。
キャナーにおいては、発光点の間隔をd,レーザアレイ
の前方に倍率がmになるように凸レンズを配置して発光
点を順次動かした場合、結像面上のビームスポットの移
動距離はm×dとなり、走査位置は飛び飛びの値をとる
ことがわかる。また、レーザアレイの一番端にあるi番
目のレーザが発光しているとして、このレーザの凸レン
ズの光軸上からの距離をy0 とすれば、ビームスポット
の光軸上からの距離はm×y0 となることがわかる。
方向へのバーコードの間隔に合わせて、発光点の間隔と
発光点の数、さらにはレンズの倍率を選ばなければなら
ないことを意味している。ここで発光点の間隔と発光点
の数とが決まればレーザアレイの長さ2y0 が一意的に
決まることになる。すなわち、代表的なバーコードの規
格に照らし合わせて述べれば、バーコードの1モジュー
ルの長さが、0.33mm、7モジュールで1単位とする
と、バーコードの全長2y0 は、2.31mmとなる。レ
ンズの倍率が5倍とすると最低でも発光点の間隔は約6
0μm 、発光点の数は約40個必要となる。発光点の数
がこれほどになると、独立駆動させるための電極分離な
ど、プロセスに多大な工数が必要となり、また各電極に
対して電流を注入するための配線に広い領域を要する。
そこで発光点の数を減らすにはレンズの倍率を上げ、発
光点の間隔を広げるしかないが、発光点の数を減らすと
走査の分解能が下がるため、バーコードリーダーとして
不適当であるという問題がある。
導体レーザビームスキャナーによれば、走査時の分解能
を上げようとすると、製造プロセスが多大な工数を必要
とし、製造が困難であるという問題があった。
で、走査時の分解能が高く、製造プロセスが簡単な、半
導体レーザビームスキャナー用光源を提供することを目
的とする。また本発明の他の目的は、機械的振動なしに
よみとることができる上、小型かつ軽量の半導体レーザ
ビームスキャナー用光源を提供することにある。
置の特徴は、基板上に形成された第1導電型の半導体多
層反射膜と、前記多層反射膜上に形成された量子井戸活
性層と、前記量子井戸活性層上に形成された第2導電型
の半導体多層反射膜と、前記第2導電型の半導体多層反
射膜上に形成された第2導電型のコンタクト層を備えた
発光領域からなる面発光型半導体レーザ装置において、
前記第2導電型のコンタクト層から前記第2の半導体多
層反射膜に到達するように所定の間隔で高抵抗領域が形
成され、この高抵抗領域によって前記コンタクト層が複
数の領域に分割せしめられ、この分割されたコンタクト
層の各領域の上にそれぞれ分割電極が形成されているこ
とにある。
る発光領域は、高抵抗領域で囲まれているか、またはエ
ッチングなどで周りを除去された島領域あるいは選択成
長により選択的に形成された島領域で構成される。
徴は、基板上に第1導電型の半導体多層反射膜を形成す
る工程と、前記多層反射膜上に量子井戸活性層を形成す
る工程と、前記量子井戸活性層上に第2導電型の半導体
多層反射膜を形成する工程と、前記第2導電型の半導体
多層反射膜上に第2導電型のコンタクト層を形成する工
程と、さらにこの第2導電型のコンタクト層上に複数の
電極を形成する工程と、前記電極をマスクとして不純物
を注入し高抵抗化する工程とを含むことを特徴とする。
ン、窒素イオン、酸素イオンのいずれかを用いる。
徴は、ストライプ状の発光領域に形成した分割電極に電
流供給を行うに際し、供給される電流量がピーク値をと
る分割電極および供給電流量が、順次連続的に移動しす
るように、複数の隣接する前記分割電極に独立して電流
を流し、駆動することにある。
電流を流し、常に合計が等しくなるような電流値を与え
るように順次連続的に駆動する。
の発光領域をストライプに平行に2分割するように形成
し、前記電極をこの発光領域上に2列に配列し、順次隣
接する複数の電極に電流供給を行う。
同一となるように配列し、各列に対し同期して順次電流
供給を行うようにする。
に配列し、順次近接した複数の電極に電流供給をするよ
うにしている。
単で、1次元方向に連続した光スポットの移動を行うこ
とができ、分解能の高い読取りが可能となる上、製造も
容易である。
れば、電極をマスクとして不純物を注入しているため、
工数が少なくかつ高精度に分割された電極および素子形
成が可能となる。また、レーザを構成する発光領域を他
の領域から分離するための方法として、不純物を注入す
る方法と、エッチングや選択成長などにより島領域を形
成する方法とがある。ここで不純物を注入する方法を用
いる第1の注入工程の場合には、周囲から完全に絶縁分
離し、リークの発生を防ぐ必要があるため、注入後熱処
理を行うようにすれば、原子の乱れを安定化させ、微視
的にみて安定で信頼性の高い絶縁領域を形成することが
できる。また、注入深さについては深ければ深い程よい
ため、プロトンなどの比較的小さいイオンを用いて、イ
オン注入を行うようにするのが望ましい。一方、発光領
域上の分割電極をマスクとして不純物を注入し、複数の
領域に分割する第2の注入工程では、比較的大きいイオ
ンを用いてイオン注入を行い、拡散深さを高精度に制御
する必要がある。またこの工程では、熱処理は、抵抗値
の低下を招くため、しない方がよい。これは分割電極に
対応して発光領域を分割するための高抵抗領域では、電
極の周りに欠陥が存在することによりリークが発生して
も、許容できるからである。注入する不純物としては、
プロトン、酸素イオン、窒素イオンなどが用いられる。
従って、上述したように、発光領域を他の領域から分離
するための第1の注入工程では、拡散深さは深くても良
いため、不純物のうち、プロトンなどの小さいものを用
いる一方、分離された発光領域を分割電極をマスクとし
てイオン注入して分割する第2の注入工程では比較的イ
オン半径の大きい窒素イオンなどを用い、拡散深さを制
御しやすいようにする。
れば、機械的走査を必要とすることなく、極めて容易
に、1次元方向に連続した光スポットの移動を行うこと
ができ、分解能の高い読取りが可能となる
細に説明する。図1乃至図5は、本発明実施例の半導体
レーザ装置の概略図である。ここで図図1は同レーザ装
置の上面図、図2、図3、図4はそれぞれ図1のA−A
´断面図、B−B´断面図、C−C´断面図であり、図
5(a) および(b) は斜視図および断面図である。この半
導体レーザ装置は、n型ガリウム砒素(GaAs)基板1上
に形成されたn型の半導体多層反射膜2と、前記半導体
多層反射膜2上に形成されたn型のクラッド層3と、こ
のn型のクラッド層3の上層に形成された量子井戸活性
層4と、前記量子井戸活性層4上に形成されたp型のク
ラッド層5と、p型のクラッド層5上に形成されたp型
の半導体多層反射膜6と、さらにこのp型の半導体多層
反射膜6上に形成されたp型のGaAsコンタクト層7とを
備え、周りを高抵抗領域12で囲まれたスリット状の発
光領域を具備した面発光型半導体レーザ装置において、
前記p型のGaAsコンタクト層7表面から前記p型の半導
体多層反射膜6との界面まで到達するように所定の間隔
でプロトン注入による高抵抗領域14が形成され、この
高抵抗領域14によって前記コンタクト層7が複数の領
域に分割せしめられ、この分割されたコンタクト層7の
各領域の上にそれぞれCr/Au層からなる分割電極
(アノード電極)8(8a,8b,8c,8d,8e)
が形成されている。
ルミニウム砒素(AlAs)層とn型GaAs層とを各々厚さλ
/4nr (nr は媒質の屈折率)づつ交互に約20周期
積層して形成されたもので、シリコン濃度2×1018cm
-3である。またn型のクラッド層3は厚さ3λ/nr 、
シリコン濃度2×1018cm-3のn−Al0.5 In0.5 P 層か
ら構成されている。さらに量子井戸活性層4は、厚さ2
λ/nr であり、ノンドープのAl0.5 In0.5 P 層(膜厚
10nm×3)と(Alx Ga1-x )0.5 In0.5 P 導波路層
(x=0.3 〜0.7 、膜厚3〜20nm)とから構成されてい
る。またp型のクラッド層5は厚さ3λ/nr 、亜鉛濃
度5×1018cm-3のp−Al0.5 In0.5 P 層から構成され
ている。またp型の半導体多層反射膜6はp型AlAs層と
p型GaAs層とを各々厚さλ/4nr づつ交互に約10〜
20周期積層して形成されたもので、シリコン濃度2×
1018cm-3である。さらにp型のGaAsコンタクト層7は
膜厚100nm、亜鉛濃度1×1019cm-3である。以上の
ように構成され、発振波長λ=650nmを得るようにし
たものである。ここで媒質の屈折率nr は、材料毎に異
なり、それぞれ次表に示すようになる。
る。まず、図6(図1のC−C´方向に対応する図)に
示すように、n型GaAs基板1上に、有機金属気相成長法
により、n型アルミニウム砒素(AlAs)層とn型GaAs層
とを各々厚さλ/4nr (nr は媒質の屈折率)づつ交
互に約20周期積層して形成されたn型の半導体多層反
射膜2、厚さ3λ/nr 、シリコン濃度2×1018cm-3
のp−Al0.5 In0.5 P 層から構成されたn型のクラッド
層3、ノンドープのAl0.5 In0.5 P 層(膜厚10nm×
3)と(Alx Ga1-x )0.5 In0.5 P 導波路層(x=0.3 〜
0.7 、膜厚3〜20nm)とから構成された量子井戸活性
層4と、厚さ3λ/nr 、亜鉛濃度5×1018cm-3のp
−Al0.5 In0.5 P 層から構成された厚さ2λ/nr のp
型のクラッド層5、p型AlAs層とp型GaAs層とを各々厚
さλ/4nr づつ交互に約10〜20周期積層して形成
されたp型の半導体多層反射膜6、膜厚100nm、亜鉛
濃度1×1019cm-3のp型のGaAsコンタクト層7とを順
次積層したのち、成長室から取り出し、フォトリソグラ
フィ法により幅5μm のストライプ状のレジストパター
ン11を形成する。
る図)に示すようにこのレジストパターン11をマスク
として、100keV、3×1015cm-2のドーズ量でプ
ロトン注入を行い、レジストパターン11を除去し、4
00℃15分の砒素雰囲気中での熱処理を行い、高抵抗
領域12を形成する。
る図)に示すように、プロトン注入されずに残った領域
に対して、前記レジストパターン11のストライプの方
向と直交する方向に幅1μm 中心間距離3μm のストラ
イプ状のレジストパターン13を形成する。
対応する図)に示すように、膜厚10nmのクロム層と膜
厚200nmの金層とを順次蒸着したのちレジストパター
ン13を剥離するとともにこのCr−Au層をリフトオ
フして幅2μm のアノード電極8(8a,8b………)
を形成する(図10(図1のA−A´方向に対応する
図))。
て、80keV、1×1014cm-2のドーズ量でプロトン
注入を行い、p型GaAsコンタクト層7内を貫通するよう
に高抵抗領域14を形成する(図11(図1のA−A´
方向に対応する図))。なお、この高抵抗領域14は、
理想的には、p型GaAsコンタクト層7を貫通して、p型
の半導体多層反射膜6との界面で止めるのが望ましい。
しかしながら拡散深さのコントロールは困難であるた
め、p型の半導体多層反射膜6の中間深さまで到達する
ように注入しておくのが望ましい。
り出し用の窓として基板1を貫通するようにエッチング
を行い、エッチングされずに残った領域にCr−Au層
からなるカソード電極9を形成し、図1乃至図5に示し
た半導体レーザ装置が完成する。
7個としたが、必要に応じて適宜変更可能である。ま
た、イオン注入による高抵抗領域の形成に際し、プロト
ン(水素)イオンを注入したが、水素イオンに限定され
ることなく窒素イオンあるいは酸素イオンなどを用いて
も同様の効果を得ることができる。ただし注入エネルギ
ー、ドーズ量、アニール温度等は最適に制御する必要が
ある。なお、前記実施例では、スリット状の発光領域を
他の領域から分離する高抵抗領域12の形成のための工
程では、注入後熱処理を行うようにし、注入による欠陥
による原子の乱れを安定化させ、リークの発生を防ぐと
ともに、周囲から完全に絶縁分離するようにしている。
また発光領域上の分割電極をマスクとして不純物を注入
して高抵抗領域14を形成する工程では、熱処理はして
いない。これは、熱処理により、抵抗値の低下を招くた
めである。そしてさらにこの高抵抗領域14では、電極
の周りに欠陥が存在することによりリークが発生して
も、許容でき、むしろ領域としての電流の広がりはリー
クによって助長されても妨げられることはないからであ
る。注入する不純物としては、プロトン、酸素イオン、
窒素イオンなどが用いられる。望ましくは、発光領域を
他の領域から分離するための第1の注入工程では、拡散
深さは深くても良いため、不純物のうち、プロトンなど
の小さいものを用いる一方、分離された発光領域を分割
電極をマスクとしてイオン注入して分割する第2の注入
工程では比較的イオン半径の大きい窒素イオンなどを用
い、拡散深さを制御しやすいようにするのが望ましい。
さらにまた発光領域の幅は5μm 、電極間隔は1μm と
したが、面発光レーザにおいては比較的、横モードが安
定させやすいため、この幅、間隔に限定されることな
く、必要に応じて様々な値をとることができる。
分離についてはプロトン注入により周りを高抵抗領域1
2と化すことによって行ったが、これに限定されること
なく、エッチングにより周りの領域を除去しても良い
し、選択成長により、発光領域となる領域にのみ選択的
に半導体層を成長せしめるようにしてもよい。
ついて説明する。この半導体レーザ装置は、アノード電
極から注入された電流が高抵抗領域12,14によって
電流狭窄され、量子井戸活性層4に効率よく注入され
る。量子井戸活性層に到達したキャリアは反転分布を生
じた後、再結合を起こして光を放出する。量子井戸活性
層4は、p型クラッド層3およびn型クラッド層5、p
型半導体多層反射膜2およびn型半導体多層反射膜6に
より挟まれて、垂直共振器を構成しており、次第に誘導
放出を起こして最後にレーザ発振を生じる。このレーザ
装置に電流を注入すると、電極の直下を除いてコンタク
ト層7および半導体多層反射膜6の一部がイオン注入に
より高抵抗化されているため、キャリアはアノード電極
8の直下にのみ注入されるが、電流の狭窄程度は弱いた
め、活性領域に達する時点では分布を生じて広がってし
まう。ところがアノード電極8a,8bに等量の電流を
注入すると、図12(a) および(b) のt=0に示すよう
に、丁度両電極の中間の位置の直下にある活性領域付近
で光強度が強くなる。ここでアノード電極8bの電流は
一定のままにしてアノード電極8aへの供給電流を徐々
に減少させる一方、今度はアノード電極8cに供給する
電流を徐々に増加させていくと、t=t1 に示すよう
に、光強度のピーク位置はアノード電極8b側に移動し
ていく。
t2 ,t=t3 ,t=t4 ,t=t5 ,t=t6 へと電
流の供給量を変化させていくと、電流分布の変化に伴っ
て光強度のピーク位置が連続的に順次8c,8d,8e
……方向に移動していくことがわかる。すなわち、ここ
では隣接する2つまたは3つの電極に、電流供給量の和
が一定となる条件で順次、電流分布を右に変化させなが
ら供給している。このように図12(b) に示すような注
入電流量をとるように順次アノード電極に印加する電流
を変化させていくとき、図12(a) に示すように連続的
に発光位置が移動していく。このようにして、連続的に
発光点を移動させることができる。
いて形成したビームスキャナーについて説明する。この
ビームスキャナーは図13に示すように、図1乃至図5
で用いた半導体レーザ装置を、スキャナー31として用
いたものでこの前方に距離aだけ離間して凸レンズ32
が配設され、この凸レンズ32からさらに前方にmf
(ここでfは凸レンズ32の焦点距離、mは倍率)だけ
離間した位置に結像面33を配設してなるものである。
ここで、このスキャナー31における光強度のピーク位
置が、凸レンズ32の光軸から鉛直方向にy0 の位置に
あるとすると、このときの結像面33上における光強度
のピーク位置はm×y0 の位置にある。この装置によれ
ば発光点を一次元方向に連続的に移動させることができ
るため、発光点の間隔が限りなく小さいものと同等の読
取り結果を得ること可能となる。従って例えば前述した
バーコードの規格に合わせて考えると、例えばレンズの
倍率が20倍となるように凸レンズを配置するなら、1
モジュール(0.33mm)をスキャンするには光強度の
ピーク位置を16.5μm 以下の範囲で移動させればよ
く、この程度の粗動は、極めて容易である。また1単位
(2.31mm)をスキャンするには光強度のピーク位置
を115.5μm 移動させればよいため、分割電極を形
成する素子の長さを120μm 程度にしておけば十分で
あり、装置を極めて小形化することが可能となる。
離を3μm としており、この場合は素子の長さを120
μm とするなら、40本の電極を形成しなければならな
い。しかしながら、本発明のように面発光型レーザ装置
を用いた場合、電極配線の自由度が高く、電極パッドを
発光部から離れた位置に配置することができ、40本程
度の電極配線は何等問題にならない。しかも光強度のピ
ーク位置は連続的に移動するため、分解能は非常に高
い。従ってバーコードの間隔に対する分解能は極めて高
いものとなる。
14に示すようにレーザビームプリンター装置を形成す
ることもできる。この装置は、前記実施例で説明した構
造の面発光型半導体レーザ素子15と、コリメートレン
ズ16と、ミラー17と、f−θレンズ18と、感光体
ドラム19とから構成され、レーザ素子15によって原
稿面を照射し、この反射光をスキャン光20として感光
体ドラム19に導くようにしたことを特徴とするもので
ある。レーザ素子15はポリゴンミラーなどで機械的に
スキャンすることなく、電流供給を制御するのみで、光
のピーク位置が連続的に変化し、高分解能の読取りが可
能となる。また、ポリゴンミラーが不要となるため装置
の小型化をはかることができる上、非常に高速な読取り
(ROS:ラスターオプチカルスキャン)を達成するこ
とが可能となる。
スイッチング装置にも適用可能である。この装置は前記
実施例で説明した面発光型半導体レーザ装置21とフォ
トデテクタ22とから構成されレーザ装置21からのス
イッチング光23をフォトデテクタ22に導くようにし
たものである。すなわち、外部からの制御信号によりレ
ーザ素子を選択的に発光せしめることにより電気信号を
E−O(電気−光)変換により、光に変え、これを伝達
手段として受光部に到達した光信号を再びO−E変換に
より電気信号に変えるものである。この装置では発光部
はディスクリート的に存在するのではなく、連続的に無
数に存在するのに等しい状態となっており、一方、受光
部は一定の間隔で発光部の前方に配置されている。例え
ば、N番目の受光素子の前方で光ビームが出射される
と、このN番目の受光素子に光信号が入射し、光スポッ
トが移動するに従って光信号の入射位置は変わってい
く。また移動は飛び飛びに行うこともできる。従って、
この装置ではレーザ素子の数とフォトデテクタの数とは
一致させる必要がなく、フォトデテクタの数が増えて
も、発光部の長さを調節することで対応可能であり、ま
たフォトデテクタのピッチに応じて電流の供給速度を変
化させればよいため、極めて汎用性の高いものである。
1からの光を凸レンズ24を介してフォトデテクタ22
に導くようにしてもよい。この場合は、受光部を構成す
る素子の間隔および長さが任意の値をとる場合、基本的
に同じレーザ素子を使って、レンズの倍率に適当な値を
えらぶようにすれば、小さな受光素子の場合にも大きな
受光素子の場合にも適用可能である。このように、従来
のスイッチング素子では、レーザ素子の数とフォトデテ
クタの数とは1対1に対応させなければならず、フォト
デテクタの数が増えればレーザ素子の数を増やさねばな
らないという問題があった。またビーム偏向レーザとフ
ォトデテクタを組み合わせた場合、ビームの偏向角は最
大でも15度程度であるから、それによってカバーでき
るフォトデテクタの数は限られてくる。しかしながら本
発明のレーザ装置を用いることにより、電流注入量を制
御するのみでスキャンすることが可能であり、レーザ素
子は1個で、多種のフォトデテクタに対応可能である。
またフォトデテクタが一次元方向に長い場合や、二次元
方向に配置されている場合、その配置に応じて複数個並
べるようにしてもよい。また任意の位置で発光させるこ
とができるため、ビームスキャナーの他、レーザプリン
ターの場合など、いろいろな用途に用いることができ
る。
実施例に限定されることなく、適宜変更可能である。例
えばレーザ装置を構成する材料を変化させ発光波長の異
なるレーザ装置を構成することも可能である。例えば発
光波長980nmを得たい場合の一例について説明する。
この半導体レーザ装置は、図1乃至図5に示したのとま
ったく同様の構造をなし、材料のみが異なるものであ
る。すなわち基板としては前記実施例と同様n型のGaAs
基板を用い、n型の半導体多層反射膜2としてはn型ア
ルミニウム砒素(AlAs)層とn型GaAs層とを各々厚さλ
/4nr (nr は媒質の屈折率)づつ交互に約20周期
積層して形成されたもので、シリコン濃度2×1018cm
-3を用いる。そしてn型のクラッド層3は膜厚150n
m、シリコン濃度2×1018cm-3のn−Al0.4 Ga0.6 As
層から構成されている。さらに量子井戸活性層4は、ノ
ンドープのIn0.2 Ga0.8 As層(膜厚10nm×3)とGaAs
導波路層(膜厚10nm×4)とから構成されている。ま
たp型のクラッド層5は厚さ150nm、ベリリウム濃度
5×1018cm-3のp−Al0.4 Ga0.6 As層から構成されて
いる。またp型の半導体多層反射膜6はp型AlAs層とp
型GaAs層とを各々厚さλ/4nr づつ交互に約10〜2
0周期積層して形成されたもので、ベリリウム濃度3×
1018cm-3である。さらにp型のGaAsコンタクト層7は
膜厚50nm、ベリリウム濃度1×1019cm-3である。製
造についても前記実施例と同様に形成することができ
る。ここではnr の値は、nr (GaAs)〜3.55、n
r (AlAs)〜2.93である。
GaAs系の半導体レーザについて説明したが、これらに限
定されることなく、ZnMgSSe 系、ZnSSe 系、AlGaAs系、
InGaAsP 系など他のいろいろな材料系を用いてもよいこ
とはいうまでもない。
る。図16乃至図21は、本発明実施例の半導体レーザ
装置の概略図である。ここで図16は同レーザ装置の上
面図、図17、図18、図19、図20はそれぞれ図1
6のA−A´断面図、A´´−A´´´断面図、B−B
´断面図、C−C´断面図であり、図21(a) および
(b) は斜視図および断面図である。この半導体レーザ装
置は、概要としては前記第1の実施例とほぼ同様であ
り、異なるのは高抵抗領域12で囲まれたスリット状の
発光領域上に、このスリット方向に平行に中央に細い1
本の高抵抗領域14Sが形成され、さらにこの高抵抗領
域14の真上で離間した2列のアノード電極8(8a,
8a´,8b,8b´……)を設けた点である。他の構
成については前記第1の実施例とまったく同様に構成す
る。すなわちn型ガリウム砒素(GaAs)基板1上に形成
されたn型の半導体多層反射膜2と、前記半導体多層反
射膜2上に形成されたn型のクラッド層3と、このn型
のクラッド層3の上層に形成された量子井戸活性層4
と、前記量子井戸活性層4上に形成されたp型のクラッ
ド層5と、p型のクラッド層5上に形成されたp型の半
導体多層反射膜6と、さらにこのp型の半導体多層反射
膜6上に形成されたp型のGaAsコンタクト層7とを備
え、周りを高抵抗領域12で囲まれたスリット状の発光
領域を具備した面発光型半導体レーザ装置において、前
記p型のGaAsコンタクト層7表面から前記p型の半導体
多層反射膜6との界面まで到達するように所定の間隔で
プロトン注入による高抵抗領域14が縦横に形成され、
この高抵抗領域14によって前記コンタクト層7が2列
構造の複数の領域に分割せしめられ、この分割されたコ
ンタクト層7の各領域の上にそれぞれCr/Au層から
なる分割電極(アノード電極)8(8a,8b,8c,
8d,8e8a´,8b´,8c´,8d´,8e´)
が形成されている。
説明したInGaAs系の半導体レーザを用い、発光波長λ=
980nmとした。
示すように順次(8a,8b,8c,……)列と(8a
´,8b´,8c´……)列とが、同期して電流供給を
行い、2列を同時に駆動していく。すなわち、t=0に
示すように、丁度両列の電流ピーク位置にある電極の中
間の位置の直下にある、活性領域付近で光強度が強くな
る。ここで、アノード電極8b,8b´の電流は、一定
のままにしてアノード電極8a,8a´への供給電流を
徐々に減少させる一方、今度はアノード電極8c,8c
´に供給する電流を徐々に増加させていくと、t=t1
に示すように、光強度のピーク位置はアノード電極8
b,8b´側に移動していく。
t2 ,t=t3 ,t=t4 ,t=t5 ,t=t6 へと電
流の注入量を変化させていくと、電流分布の変化に伴っ
て光強度のピーク位置が連続的に順次図16に矢印で示
したように、8a,8a´の中間から,8b,8b´の
中間,8c,8c´の中間へと……移動していく。
合よりもさらに横方向のモードの安定化をはかることが
可能となる。
うに電極を千鳥状に形成してもよい。この構造では、ス
リット方向に隣接した電極と、スリットを介して向かい
あう電極との3つの電極のなかで中央に位置するものに
最も大きな電流を注入し、それから離れるに従って電流
量を徐々に減少させるとともに他方を増大させるように
して駆動することにより、光強度のピーク位置は、最も
大きな電流を注入した電極の直下付近を中心に形成され
る。この場合3方から注入された電流によって電流分布
のピークを生じさせるようにしているため、駆動方法
は、前記第2の実施例に比べて単純である反面、発光点
の移動は第2の実施例ほど滑らかな動きを期待すること
はできず、位置精度の制御性は十分ではない。
ば、1次元方向に連続的な光スポットの移動を行うこと
ができ、機械的振動がなく、光スポットの位置精度の高
い、小型かつ軽量の半導体レーザ装置を提供することが
可能となる。
要図。
図
図
キャンの状態説明図
概要図。
変形例を示す図。
Claims (4)
- 【請求項1】 基板上に形成された第1導電型の半導体
多層反射膜と、 前記多層反射膜上に形成された量子井戸活性層と、 前記量子井戸活性層上に形成された第2導電型の半導体
多層反射膜と、 前記第2導電型の半導体多層反射膜上に形成された第2
導電型のコンタクト層を備えた発光領域からなる面発光
型半導体レーザ装置において、 前記第2導電型のコンタクト層から前記第2の半導体多
層反射膜に到達するように所定の間隔で高抵抗領域が形
成され、この高抵抗領域によって前記コンタクト層が複
数の領域に分割せしめられ、この分割されたコンタクト
層の各領域の上に分割電極が形成されていることを特徴
とする半導体レーザ装置。 - 【請求項2】 基板上に第1導電型の半導体多層反射膜
を形成する工程と、 前記多層反射膜上に量子井戸活性層を形成する工程と、 前記量子井戸活性層上に第2導電型の半導体多層反射膜
を形成する工程と、 前記第2導電型の半導体多層反射膜上に第2導電型のコ
ンタクト層を形成する工程と、 さらにこの第2導電型のコンタクト層上に複数の電極を
形成する工程と、 前記電極をマスクとして不純物を注入し高抵抗化する工
程とを含むことを特徴とする半導体レーザ装置の製造方
法。 - 【請求項3】 基板上に形成された第1導電型の半導体
多層反射膜と、 前記多層反射膜上に形成された量子井戸活性層と、 前記量子井戸活性層上に形成された第2導電型の半導体
多層反射膜と、 前記第2導電型の半導体多層反射膜上に形成された第2
導電型のコンタクト層を備えてなるストライプ状の発光
領域を構成し、前記第2導電型のコンタクト層から前記
第2の半導体多層反射膜に到達するように所定の間隔で
高抵抗領域が形成され、この高抵抗領域によって前記コ
ンタクト層がこの発光領域の前記ストライプと直交する
方向に、複数の領域に分割せしめられ、この分割された
コンタクト層の各領域の上に分割電極が形成されてなる
面発光型半導体レーザ装置の駆動に際し、 供給される電流量がピーク値をとる分割電極および供給
電流量が、順次連続的に移動しするように、複数の隣接
する前記分割電極に独立して電流を流し、駆動すること
を特徴とする半導体レーザ装置の駆動方法。 - 【請求項4】 前記高抵抗領域が、さらに前記ストライ
プ状の発光領域をストライプに平行に2分割し、前記電
極はこの発光領域上に2列に配列されており、 順次隣接する複数の電極に電流供給を行うようにしたこ
とを特徴とする請求項3に記載の半導体レーザ装置の駆
動方法。
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