JPH08950B2 - 飲料用アルミニウム缶の製造法 - Google Patents

飲料用アルミニウム缶の製造法

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JPH08950B2
JPH08950B2 JP4080585A JP4080585A JPH08950B2 JP H08950 B2 JPH08950 B2 JP H08950B2 JP 4080585 A JP4080585 A JP 4080585A JP 4080585 A JP4080585 A JP 4080585A JP H08950 B2 JPH08950 B2 JP H08950B2
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は飲料用アルミニウム缶の製造法に関し,さ
らに詳しくは,絞りしごき(以下DIと称す)加工後に行
われるバルジ加工,ネッキング加工等において加工性が
良く,かつピンホールおよびフランジ割れの発生の少な
いDI加工用アルミニウム合金を缶素材とした飲料用アル
ミニウム缶の製造法に関する。
従来の技術 従来,DI加工,バルジ加工およびネッキング加工等を
施して製造される飲料用アルミニウム缶の缶素材として
は,Al−Mn系のアルミニウム合金が多く用いられてい
る。このAl−Mn系のアルミニウム合金はDI加工に適する
機械的強度を有しており,一次加工であるDI加工に耐え
うる引張強さ,耐力,伸びを有している。一般的に機械
強度において,引張強さ,耐力が高くかつ伸びの大きい
材料は缶素材として加工性に優れ,現今の缶壁の薄肉化
傾向には有効に利用できる。DI加工において,具体的に
はしごき率が45%を越える場合,引張強さが20kg/mm2
上の機械的強度が必要であり,この強度を満足する缶素
材として,例えばJISA3004−H19が従来用いられてき
た。このJISA3004−H19は洗浄乾燥温度約200℃で5分間
熱処理された後の機械的性質は,引張強さ30〜32kg/m
m2,伸び3〜4.5%であり,DI加工に十分耐えうる機械的
性質を有している。
しかしながら,JISA3004−H19はDI加工(一次加工)後
のバルジ加工,ネッキング加工(二次加工)における自
己潤滑性,加工性が悪く,二次加工において缶にピンホ
ール,フランジ割れが発生し,その発生率が300〜350PP
Mと著しく高いという欠点があった。これは,一般的に
缶材は引張強さ,耐力が高い場合は,伸びが小さくかつ
硬くなる傾向があり,そのためDI加工における加工硬化
が大きくなり缶素材に残留応力が残存し,このことが二
次加工においてピンホール,フランジ割れの発生原因に
なると考えられる。したがって,二次加工に適する缶素
材は加工硬化の小さい延性素材であることが必要であ
る。
発明が解決しようとする問題点 この発明は、このような従来の問題点に着目してなさ
れたもので,DI加工後の缶素材に延性を与えてバリジ加
工,ネッキング加工(二次加工)の加工性の向上を図る
とともに缶のピンホール,フランジ割れの少ない飲料用
アルミニウム缶の製造法を提供することを目的とする。
問題を解決するための手段 この目的を達成するため,この発明はDI加工後にバル
ジ加工,ネッキング加工等を施す飲料用アルミニウム缶
の製造法において,缶素材に供される絞りしごき加工用
アルミニウム合金がMn0.8〜0.9%を含有するJISA3104−
H19系のアルミニウム合金であって,該合金製の板に絞
りしごき加工を施して缶状に成形し、得られた絞りしご
き缶を260〜280℃の洗浄乾燥炉にて5〜10分熱処理する
ことにより,機械的性質における引張強さを23〜25kg/m
m2に低下させ,伸びを7〜9%に増大せしめ,ついでバ
ルジ加工ないしネッキング加工を施すことを特徴として
いる。
作用 以上のような構成をもった,この発明の作用について
説明する。
この発明はMnを0.8〜0.9%含有するJISA3104−H19系
のアルミニウム合金を缶素材に用いたためDI加工におけ
る加工硬化が小さく,またDI加工後の熱処理温度を260
〜280℃上げたから,引張強さは低下するが伸びが増大
し,缶素材が延性を帯びるため,二次加工における加工
性が向上する。
実施例 この発明を以下に示す試験例に基づいて説明する。従
来のJISA3004−H19とこの発明に係る缶素材の3104−H19
のアルミニウムを除いた主な化学成分の違いを以下の表
Iに示す。
表Iからも明らかなように,A3104−H19はJISA3004−H
19よりMnの含有量が少なく、このMnの含有量が二次加工
における加工性に影響を与えている。
さらにこの発明は,A3104−H19をDI加工後に洗浄乾燥
炉にて熱処理し,機械的性質に変化を与えたものであ
る。具体的には従来のA3004−H19合金を用いて200℃で
熱処理する場合に比して,A3104−H19合金を用いて260〜
280℃で熱処理することにした結果,機械的性質におけ
る引張強さが26〜28kg/mm2から23〜25kg/mm2に低下し、
逆に伸びが3〜4.5%から7〜9%に増大し,またエリ
クセン値も増大した。参考のため,A3104−H19合金を用
いた時のDI加工後の熱処理温度と引張強さ、伸び、エリ
クセン値との関係をそれぞれ第1図,第2図,第3図に
示す。
第1図によれば,同じA3104−H19合金を用いる場合で
も,熱処理温度を従来の200℃から260〜280℃に上昇さ
せると,引張り強さが約30kg/mm2から23〜25kg/mm2前後
に低下し,伸びが約5%から7〜9%に増加し,エリク
セン値が約4mmから5〜5.5mm前後に増加することがわか
る。
この試験結果から,DI加工後の熱処理温度の上昇と共
に缶素材は延性を帯びることが明確である。そして,こ
の機械的性質の変化が二次加工における加工性の向上に
大きな影響を及ぼしている。なお,結晶粒も270〜280℃
で変化が見られた。
つぎに従来の素材を用いて従来の熱処理温度で熱処理
する場合と本発明に関わる素材を用いて本発明の熱処理
温度で熱処理する場合とを比較するため,それらの条件
および結果を表IIに示す。
なお表IIの試料A,BおよびCはそれぞれA3004−H19を
用いて従来とほぼ同じ温度205℃で熱処理する場合(従
来例)であり,試料Dは同じ素材を用いて本発明におけ
る温度範囲260℃で熱処理する場合(参考例)であり,
試料Eは本発明の素材A3104−H19を用いて本発明の温度
範囲270℃で熱処理する場合(実施例)である。
そして表IIの右側3列に各試料のピンホール発生率お
よびフランジ割れ発生率などの結果を示しており,第4
図および第5図にはそれらの結果を折れ線グラフで示し
ている。
これらの表IIおよび図4〜5によれば,従来の熱処理
温度を採用した試料A〜Cではピンホール発生率および
フランジ割れ発生率,両者を合わせた合計発生率がきわ
めて高いことがわかる。また従来の素材を高温で熱処理
した試料Dの場合は,それらに比して各発生率が減少し
ていることがわかる。さらに本発明の実施例(試料E)
の場合は,たとえば合計発生率で従来例(試料A〜C)
に比して1/36〜1/6と大幅に低下しており,参考例に対
しても約1/2と相当大きく減少していることがわかる。
発明の効果 以上説明してきたように,この発明によればMnの含有
量の少ないA3104−H19を缶素材として用い,かつ熱処理
温度を高くして機械的性質に変化を与えたので,加工硬
化の減少,伸びの増大などにより二次加工における加工
性の向上が図れると共に,発生するピンホールを1PPM以
下,フランジ割れを8PPM以下に減少できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図から第3図は,この発明に係わる缶素材であるA3
104−H19の機械的性質を示したグラフであり,第1図は
しごき方向の引張強さ(kg/mm2)とDI加工後の熱処理温
度(℃)との関係を示したグラフ,第2図は缶壁しごき
方向の伸び(%)とDI加工後の熱処理温度(℃)との関
係を示したグラフ,第3図は缶壁部のエリクセン値(m
m)とDI加工後の熱処理温度(℃)との関係を示したグ
ラフである。第4図及び第5図は従来の缶素材であるJI
SA3004−H19とこの発明に係わる缶素材であるJISA3104
−H19との効果を比較したグラフであり,第4図はピン
ホール発生率についてJISA3004−H19の試料A,B,C,DとJI
SA3104−H19の試料Eとを比較したグラフ,第5図はフ
ランジ割れ発生率についてJISA3004−H19の試料A,B,C,D
とJISA3104−H19の試料Eとを比較したグラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絞りしごき加工後に,バルジ加工,ネッキ
    ング加工を施す飲料用アルミニウム缶の製造法におい
    て, 缶素材に供される絞りしごき加工用アルミニウム合金が
    Mn0.8〜0.9%を含有するJISA3104−H19系のアルミニウ
    ム合金であって, 該合金製の板に絞りしごき加工を施して缶状に成形し, 得られた絞りしごき缶を260〜280℃の洗浄乾燥炉にて5
    〜10分熱処理することにより,機械的性質における引張
    強さを23〜25kg/mm2に低下させ,伸びを7〜9%に増大
    せしめ, ついでバルジ加工ないしネッキング加工を施す飲料用ア
    ルミニウム缶の製造法。
JP4080585A 1985-02-28 1985-02-28 飲料用アルミニウム缶の製造法 Expired - Fee Related JPH08950B2 (ja)

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