JPH0893613A - 内燃機関の点火時期制御装置 - Google Patents

内燃機関の点火時期制御装置

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JPH0893613A
JPH0893613A JP6235328A JP23532894A JPH0893613A JP H0893613 A JPH0893613 A JP H0893613A JP 6235328 A JP6235328 A JP 6235328A JP 23532894 A JP23532894 A JP 23532894A JP H0893613 A JPH0893613 A JP H0893613A
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JP
Japan
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engine
advance
ignition timing
upper limit
knock
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JP6235328A
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English (en)
Inventor
Fumiaki Hattori
文昭 服部
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

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  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 機関の加速性や燃費が向上する内燃機関の点
火時期制御装置の提供を目的とする。 【構成】 ノッキングを検出するノック検出手段と、点
火時期をノック有りのとき遅角方向へ、ノック無しのと
き進角方向へ補正するノック制御手段と、を備え、予め
設定された機関の点火時期の進角方向への補正を規制す
る第一進角上限と、遅角方向への補正を規制する遅角下
限との範囲内で、機関の点火時期を制御する内燃機関の
点火時期制御装置において、現在の機関の温度が定常状
態の機関の温度より低いとき、現在の機関の温度と定常
状態の機関の温度との温度差に比例して、第一進角上限
より進角方向の第二進角上限を設定し、その第二進角上
限の範囲内で期間の点火時期を進角補正する進角補正手
段、を備えて構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内燃機関の点火時期制御
装置に関し、特に、進角上限をさらに進角方向に設定し
て機関の点火時期をさらに進角補正し、機関のトルクを
増大し、加速性や燃費を向上させる内燃機関の点火時期
制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の点火時期は、点火時期が早過
ぎると、混合気の圧力がまだ充分に上がらないので「着
火遅れ」が長くなり、圧縮仕事が増えると同時に燃焼ガ
スのシリンダ内滞留時間が増え、熱損失も増える。また
燃焼の最高圧力が高くなると騒音が高くなり燃焼ガスの
最高温度も高くなる。点火時期が遅過ぎると、混合気の
乱れが減った状態での点火になるので、火炎が伝わる速
度が遅くなり緩慢な燃焼となり、燃焼がピストン上死点
から遠ざかるほど膨張率が落ちる「後燃え」が増えて燃
焼効率を下げると共に排気温度の上昇をもたらす。点火
時期は、混合気が圧縮されてピストンが上死点を通過し
た後より若干遅れたピストンの位置に選択され、点火プ
ラグに電気火花が飛んで混合気が着火され爆発してピス
トンを押し下げる圧力が最大となり燃焼圧力により行わ
れる仕事が最大となるように選択されることが望まし
い。
【0003】しかるに、点火時期を遅らせると、シリン
ダ内圧が低下し燃焼最高温度が下がり、NOx の排出量
が減り、燃焼時間が長くなることから排気温度が上昇
し、燃焼後のHCが酸化されてHCの排出量も減少し、
かつノッキング(以後ノックと記す)も回避できるとい
う長所があるが、その反面、燃料消費率や機関出力が低
下し、排気温度を上昇させオーバヒートを引き起こす短
所がある。それゆえ、ノックコントロールシステム(K
CS)では、ノックセンサによりノックを検出すると、
ノックが発生しなくなるまで一定角度づつ遅角し、ノッ
クが発生しなくなったら所定時間その点火時期を継続
し、その後、進角し、またノックが発生したら上記を繰
り返して補正し、ノックの発生に応じて点火時期を制御
している。
【0004】今日の電子制御方式による内燃機関の点火
時期制御装置は、常に最適な点火時期に制御すべく、機
関運転状態に応じて点火時期を機関の回転数NEと吸気
管圧力GNとの関係で決定した機関定数マップにより、
最進角の基本点火時期である進角上限と最遅角の点火時
期である遅角下限を設け、この範囲内で前述のKCS、
または他の諸条件により進角または遅角補正制御してい
る。特に高負荷域での進角上限は、点火プラグによらず
プレイグニッションやノック等の理由で制約され、高負
荷域での遅角下限は失火、触媒熱劣化等の理由で制約さ
れ、進角上限と遅角下限は機関の最悪条件を考慮して固
定化されている。
【0005】このような内燃機関の点火時期制御方法ま
たは装置には下記の文献がある。特開昭59−1453
64に開示された方法は、加速時のエアフローメータの
過大吸入空気量の誤検出による過遅角を防止するため、
所定時間遅延後に進角させ、耐ノック性を向上させつつ
機関の出力や燃費の向上を計ったものである。特開昭6
2−35077に開示された装置は、加速時のエアフロ
ーメータの過大吸入空気量の誤検出による過遅角を防止
するため、点火遅角下限値を所定のタイミングに応じて
進角させ、耐ノック性を向上させつつ機関の出力や燃費
の向上を計ったものである。特開平1−100378に
開示された装置は、加速時に過度な遅角補正を防止する
ため、二段階に遅角補正して過度のノックを防止しつつ
迅速な加速性を計ったものである。これらの点火時期制
御は、何れも加速直後の過度なノックを防止するため、
遅角量を最小限に止め加速性を向上させたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来技術による点火時
期は、機関の低水温または低吸気温時の高負荷域でも最
悪高温条件下の進角上限が設定されているので、その進
角上限でガードされ、機関が最大トルクを出力する進
角、すなわち最大トルク点火時期MBTまで進角補正で
きず、機関の動力(加速)性能を損なうという問題があ
る。
【0007】さらに、加速後の過度なノック状態を過ぎ
て定常状態に至るノック減衰期間では、前述のように最
悪高温条件下で進角上限が設定されているので、ノック
が一時的に回避された後に前述のKCSで進角補正され
るとき、設定された進角上限以上の最大トルク点火時期
まで進角補正できず、加速性能を損なうという問題があ
る。
【0008】上記進角上限以上の最大トルク点火時期ま
での進角補正は、ノック減衰期間を推定して所定期間行
われるが、加速状態が緩加速のときにこの所定期間が長
過ぎると、その間の過進角補正によりノックやプレイグ
ニッションが発生するという問題がある。
【0009】以上のことから、本発明は吸気温と機関の
温度が低いとき、より進角方向に進角補正して、機関の
トルクを増大させ、加速性を向上させる内燃機関の点火
時期制御装置を提供することを主目的とする。
【0010】また、本発明は加速後、ノック状態から定
常状態に至るノック一時的減衰期間に、より進角方向へ
進角補正して、機関のトルクを増大させ、加速性を向上
させる内燃機関の点火時期制御装置を提供することを他
の目的とする。
【0011】さらに、本発明は加速後、ノック状態から
定常状態に至るノック一時的減衰期間に、加速状態に応
じて加速度が大きい程、より多く進角補正して、過進角
補正によりノックやプレイグニッションが発生しない内
燃機関の点火時期制御装置を提供することをその他の目
的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記主目的を達成する第
一の発明による内燃機関の点火時期制御装置は、ノッキ
ングを検出するノック検出手段と、点火時期をそのノッ
ク検出手段がノッキング有りと判別したとき遅角方向へ
補正しノッキング無しと判別したとき進角方向へ補正す
るノック制御手段と、を備え、予め設定された機関の点
火時期の進角方向への補正を規制する第一進角上限と遅
角方向への補正を規制する遅角下限との範囲内に、機関
の点火時期を制御する内燃機関の点火時期制御装置にお
いて、機関の温度が、定常状態の機関の温度より低いと
き、その温度差に比例して第一進角上限より進角方向の
第二進角上限を設定し、その第二進角上限の範囲内で、
機関の点火時期を進角補正する進角補正手段、を備えた
ことを特徴とし、機関のトルクを増大する点火時期を機
関の温度により決定する。
【0013】前記他の目的を達成する第二の発明による
内燃機関の点火時期制御装置は、進角補正手段が、機関
を加速開始してから所定時間経過後にノッキングが一次
的に減衰するノック減衰期間をノック検出手段に基づき
設定し、第一進角上限より進角方向の第二進角上限を設
定し、ノック減衰期間に、その第二進角上限の範囲内
で、機関の点火時期を進角補正し、ノック減衰期間の経
過後に、再び第一進角上限の範囲内で、機関の点火時期
を進角補正する。
【0014】前記その他の目的を達成する第二の発明に
よる内燃機関の点火時期制御装置は、進角補正手段が、
加速度が大きい程、ノック減衰期間を長く設定する。
【0015】
【作用】本発明の内燃機関の点火時期制御装置におい
て、進角補正手段が、現在の機関の温度が定常状態の機
関の温度より低いとき、現在の機関の温度と定常状態の
機関の温度との温度差に比例して、第一進角上限より進
角方向の第二進角上限を設定し、その第二進角上限の範
囲内で機関の点火時期を進角補正し、機関の点火時期を
機関の温度に応じて決定することにより機関の出力トル
クが増大し、加速性が向上する。
【0016】また本発明の他の内燃機関の点火時期制御
装置は、進角補正手段により、機関を加速開始してから
所定時間ノッキングが発生し、その所定時間経過後にノ
ッキングが一次的に減衰するノック減衰期間に、第一進
角上限より進角方向の第二進角上限を設定し、ノック減
衰期間に、その第二進角上限の範囲内で、機関の点火時
期を進角補正し、ノック減衰期間の経過後に、再び第一
進角上限の範囲内で、機関の点火時期を進角補正するの
で、機関の出力トルクが増大し、加速性が向上する。
【0017】進角補正手段が、加速度が大きい程、ノッ
ク減衰期間を長く設定するので、過進角補正によるノッ
クやプレイグニッションが発生しない。
【0018】
【実施例】図1は本発明の実施例の全体構成図である。
図中、参照番号1は機関、2はエアフローメータ、2A
はコンペンセイションプレート、2Bはポテンシオメー
タ、4は吸気温センサ、6はスロットル弁、8は燃料噴
射弁、10は機関1のシリンダブロック、12はノック
センサ、14はディストリビュータ、16はクランク角
基準センサ、18はクランク角センサ、20は制御回
路、22はスロットルセンサ、23はアイドルスイッ
チ、24は水温センサ、26はイグナイタ、28は点火
プラグをそれぞれ示す。図示するように、吸入空気量を
測定するエアフローメータ2は、ダンピングチャンバ内
に回動可能に設けられたコンペンセイションプレート2
Aとその開度を検出するポテンシオメータ2Bとから構
成される。ポテンシオメータ2Bはアナログ電圧出力を
制御回路20内のバッファ30を介してアナログマルチ
プレクサ33へ出力する。またエアフローメータ2の近
傍には吸入空気の温度を検出する吸気温センサ4が設け
られ、吸気温センサ4は吸気温に比例するアナログ電圧
を制御回路20内のバッファ31を介してアナログマル
チプレクサ33へ出力する。
【0019】エアフローメータ2の下流にはスロットル
弁6、スロットル弁6の開度位置を検出するスロットル
センサ22、およびスロットル弁6の全開位置を検出す
るアイドルスイッチ23が設けられている。スロットル
センサ22はアナログ電圧出力を制御回路20内のバッ
ファ29を介してアナログマルチプレクサ33へ出力す
る。さらに下流にはサージタンク7が設けられ、サージ
タンク7にはインテークマニホールド9が連結されてい
る。燃料噴射弁8はインテークマニホールド9内に突出
して配置されている。またインテークマニホールド9は
機関1の燃焼室に接続されている。シリンダブロック1
0に取り付けられたノックセンサ12は、例えば圧電素
子または電磁素子等から構成され、機械的振動を電気的
な振幅変動に変換した周知のものである。ディストリビ
ュータ14には、クランク角基準センサ16とクランク
角センサ18が設けられている。クランク角基準センサ
16は、機関1の判別用に用いられ機関1が6気筒であ
るなら、ディストリビュータ14の軸が1回転する毎
に、すなわちクランク軸が2回転(720°CR)する
毎に、1つのパルスを発生する。クランク角センサ18
は、ディストリビュータ14の軸が1回転する毎に24
個のパルスを発生する。すなわちクランク角30°毎に
1つのパルスを発生する。ノックセンサ12、クランク
角基準センサ16、およびクランク角センサ18からの
電気信号は、制御回路20のバッファフィルタ48、バ
ッファ42、38へそれぞれ入力される。
【0020】機関1のシリンダブロック10のウォータ
ジャケットには冷却水温を検出する水温センサ24が設
けられ、水温センサ24は冷却水の温度に応じたアナロ
グ電圧の電気信号を制御回路20内のバッファ32を介
してアナログマルチプレクサ33へ出力する。制御回路
20からは、イグナイタ26に点火信号が出力され、イ
グナイタ26により発生されたスパーク電流はディスト
リビュータ14を介して点火プラグ28に分配される。
機関1には通常、運転状態パラメータを検出するその他
の種々のセンサが設けられ、また制御回路20は燃料噴
射弁8等の制御も行うが、これらは本発明と直接関係な
いので省略する。
【0021】制御回路20についてその構成と作用を以
下に説明する。制御回路20は、たとえばマイクロコン
ピュータとして構成され、入力回路としてのバッファ2
9〜32、38、42とバッファフィルタ48、中央処
理装置としてのMPU62の外に種々の制御プログラム
を格納したROM64、RAM66、電源がオフとなっ
ても記憶内容を保持するバックアップRAM66、図示
しないクロック発生回路、および出力回路としての駆動
回路60、等が設けられている。エアフローメータ2か
らの吸入空気量の電気信号はバッファ30を介してマル
チプレクサ33へ入力される。マルチプレクサ33は、
MPU62の指令によりバッファ29〜32の何れか1
つのアナログ信号を選択して受け、そのアナログ信号を
デジタル信号に変換した後、A/Dコンバータ34へ出
力する。入出力ポート36は、バスライン68を介し
て、MPU62、ROM64、RAM66、バックアッ
プRAM66、および他の入出力ポート46へ送受信可
能に接続されており、A/Dコンバータ34から出力さ
れたデジタル信号は入出力ポート36、バスライン68
を介してMPU62へ入力される。
【0022】クランク角基準センサ16は、クランク角
720°毎のパルス信号をバッファ38を介して割込要
求信号発生回路40へ入力し、クランク角センサ18
は、クランク角30°毎のパルス信号をバッファ42を
介して割込要求信号発生回路40および本図にNEで示
す速度信号発生回路44に入力される。割込要求信号発
生回路40は、クランク角720°毎および30°毎の
角パルス信号から種々の割込要求信号を発生する。これ
らの割込要求信号は入出力ポート46、バスライン68
を介してMPU62に入力される。速度信号発生回路4
4は、クランク角30°毎のパルス信号から機関1の回
転速度NEをデジタル値で求め、その結果をデジタル信
号で出力する。このデジタル信号も同様に入出力ポート
46、バスライン68を介してMPU62に入力され
る。
【0023】ノックセンサ12の出力信号は、インピー
ダンス変換用のバッファおよびノック固有の周波数帯域
(7〜8KHz)の周波数を通過させるバンドパスフィ
ルタからなるバッファフィルタ48を介してピークホー
ルド回路50へ入力される。ピークホールド回路50
は、MPU62から入出力ポート46を介してライン5
2からセット信号(Hレベル)を受けてバッファフィル
タ48の出力を取り込み最大振幅をホールドし、MPU
62から入出力ポート46を介してライン70からリセ
ット信号(Hレベル)を受けてホールドした最大振幅を
リセットする。ピークホールド回路50の出力はA/D
コンバータ54によりアナログからデジタルに変換さ
れ、入出力ポート46、バスライン68を介してMPU
62に送られる。A/Dコンバータ54のA/D変換
は、MPU62からのライン56を介した信号により開
始され、A/D変換終了後、A/Dコンバータ54はラ
イン58、入出力ポート46、バスライン68を介して
MPU62へ完了通知を行う。
【0024】MPU62は、バスライン68、入出力ポ
ート46を介して駆動回路60に点火信号を出力する。
駆動回路60は、この点火信号をイグナイタ26に出力
し、イグナイタ26はディストリビュータ14を介して
スパーク電流を点火プラグ28に分配する。なお、RO
M64には、レギュラーガソリンを燃料として使用した
ときの機関1の回転数NEと負荷GNに応じた進角上限
(基本点火時期)と、ノックする限界よりも僅かに(1
〜3°程度)進角させた遅角下限(最遅角点火時期)と
を示したマップのデータが予め格納されている。
【0025】第一の発明による内燃機関の点火時期制御
装置は、ノックを検出するノック検出手段(ノックセン
サ12)と、そのノックセンサ12からのノック状態か
らノック有りと判別したとき点火時期を遅角方向へ補正
する点火信号を駆動回路60に送り、ノック無しと判別
したとき点火時期を進角方向へ補正する点火信号を駆動
回路60に送るノック制御手段(MPU62、ROM6
4、RAM66、等)と、を備え、予め設定された機関
1の点火時期の進角方向への補正を規制する第一進角上
限と遅角方向への補正を規制する遅角下限との範囲内
に、ノック状態に応じて機関の点火時期を補正して点火
信号を駆動回路60に送り、機関1の温度が、定常状態
の機関の温度より低いとき、その温度差に比例して第一
進角上限より進角方向の第二進角上限を設定し、その第
二進角上限の範囲内で、機関の点火時期を進角補正して
点火信号を駆動回路60に送る進角補正手段(MPU6
2、ROM64、RAM66、等)、を備えたことを特
徴とし、機関のトルクを増大する点火時期を機関の温度
により決定する。
【0026】第二の発明による内燃機関の点火時期制御
装置は、前記進角補正手段(MPU62、ROM64、
RAM66、等)が、さらに機関を加速開始してから所
定時間経過後にノックが一次的に減衰するノック減衰期
間をノック検出手段(ノックセンサ12)に基づき、た
とえばノックの頻度により設定し、第一進角上限より進
角方向の第二進角上限を設定し、ノック減衰期間に、そ
の第二進角上限の範囲内で、機関の点火時期を進角補正
し点火信号を駆動回路60に送り、ノック減衰期間の経
過後に、再び第一進角上限の範囲内で、機関の点火時期
を進角補正する点火信号を駆動回路60に送る。なお、
このノック減衰期間は、進角補正される期間であるの
で、補正期間とも称する。
【0027】第二の発明による内燃機関の点火時期制御
装置は、前記進角補正手段(MPU62、ROM64、
RAM66、等)が、さらに機関の加速度が大きい程、
ノック減衰期間を長く設定する。
【0028】図2は機関回転数と点火時期の関係を示す
マップであり、図2の(A)は負荷一定時の進角上限と
遅角下限を示す図であり、図2の(B)は負荷を変化さ
せたときの進角上限を示す図である。図2において横軸
は機関回転数NE(rpm)を縦軸は点火時期の角度S
A(BTDCdeg.)をそれぞれ示す。図2の(A)
は負荷100%(スロットル弁全開)のときの機関回転
数NEと点火時期SAとの関係を示すマップであり、機
関回転数が高い程点火時期は進角方向にあることが判
る。図示するように機関回転数が高くなるにつれて、左
下から右上に伸びる太い実線は進角上限ラインであり、
細い実線は遅角下限ラインであり、点火時期はこの進角
上限ラインと遅角下限ラインの範囲内で制御される。図
2の(B)は負荷100%、50%、20%のときの機
関回転数NEと点火時期との関係を示すマップである。
進角上限は負荷が軽くなる程進角側へシフトすることが
示されている。図示しないが、遅角下限も同様に負荷が
軽くなる程全体的に進角側へシフトする。
【0029】図3は過度時の機関状態変化の説明図であ
る。本図は4つのグラフを示し、各グラフにおいて、横
軸は機関のサイクル数を、縦軸は、上から順に、第1グ
ラフはノック頻度を、第2グラフは負荷を、第3グラフ
はノック強度を、第4グラフは吸気温度と燃焼室温度
を、それぞれ示す。なお、本図はKCS(ノックコント
ロールシステム)を使用せずに測定したデータを示す。
第2グラフに示されるように加速以後スロットル弁全開
となり、第1と第3グラフに示されるように、加速後ノ
ックは、機関50サイクルまで多発し、機関50〜20
0サイクルで一時的減衰してノック判定レベル以下とな
り、機関200サイクル位から定常ノック状態となる。
第4グラフに示されるように加速後、吸気温センサから
測定される実線で示す吸気温度は低下し、水温センサか
ら測定される破線で示す燃焼室温度は上昇することが判
る。本図から機関50〜200サイクルのノックが一時
的減衰する間は、機関が最大トルクを出力する最大トル
ク点火時期MBTまで点火時期を進角補正してもよいこ
とが判る。
【0030】図4は第一実施例による進角補正処理の説
明図であり、図4の(A)はブロック図であり、図4の
(B)は負荷一定時の機関回転数と点火時期の関係を示
すマップである。図4の(A)に示すように、本発明の
第一実施例による進角補正処理は、第1ステップで、機
関吸気温度Taと機関水温Twを検出し、第2ステップ
で、検出した機関吸気温度Taと機関水温Twに応じて
低温時、高負荷域における点火時期の進角上限をMBT
近傍まで進角側へシフトし、第3ステップで、補正した
新たな点火時期の制御範囲内で機関を運転する。その結
果、機関を可能な限りその機関の最大トルクで運転で
き、加速性を向上させ燃費を向上させることが可能とな
る。図4の(B)に示すように、通常の点火時期は太い
実線で記した第一進角上限と細い実線で記した遅角下限
の範囲内で制御されるが、上述の第2ステップで進角上
限を細い実線で記した第二進角上限へシフトし、第3ス
テップで新たな点火時期の制御範囲内、すなわち第二進
角上限と遅角下限の範囲内で機関を運転する。
【0031】図5は第一実施例による進角補正処理のフ
ローチャートである。図中Sに続く数字はステップ番号
を示す。以下図1を交互に参照しつつ説明する。なお、
本図に示す進角補正処理は、本発明の第一の実施態様に
おける進角補正手段により実行される。制御回路20は
クランク角センサ18のパルス信号を受け、たとえばク
ランク角90°毎に、速度信号発生回路44で算出した
機関回転数NEとエアフローメータ2のアナログ信号か
ら算出した負荷GNを読み取って、予めROM64に格
納した機関回転数NEと負荷GNと点火時期SAとを三
次元とする進角上限と遅角下限に対するマップ(図示せ
ず)から、その時の機関回転数NEと負荷GNに対応す
る点火時期SAの進角上限θA を算出してRAM66に
記憶する(ステップS1)。
【0032】同様にクランク角90°毎に、水温センサ
24と吸気温センサ4から水温Twと吸気温Ta を読み
取り、最悪条件下の水温Twoと吸気温Taoとそれぞれ比
較し、現在の水温Tw が最悪条件下の水温Twoより低く
(Tw <Two)、かつ現在の吸気温Ta が最悪条件下の
吸気温Taoより低い(Ta <Tao)か否かを判別し、Y
ESのときはステップS3へ移行し、NOのときは終了
する(ステップS2)。すなわち、ステップS2では機
関が低温であることを確認する。ここで最悪条件下の水
温Twoと吸気温Taoとはそれぞれノックやプレイグニッ
ションが発生する高負荷時の低い水温と低い吸気温を意
味する。次に、現在の負荷がノックやプレイグニッショ
ンが発生する高負荷域であるか否かを判別する(ステッ
プS3)。この高負荷域の判別は、予めノックやプレイ
グニッションを発生する領域を実験的に求め、その領域
の限界となる高負荷をaと定め、定めた高負荷aと現在
の負荷GNとの比較で行う。その高負荷aは予めRAM
66に格納しておき、ステップS3で現在の負荷GNと
高負荷aを比較して、GN>aがYESときはステップ
S4へ移行し、NOのときは終了する。
【0033】現在の水温Tw 、吸気温Ta と最悪条件下
の基準水温Two、基準吸気温Taoとの温度差ΔTw =T
wo−Tw 、ΔTa =Tao−Ta をそれぞれ減算して求
め、その温度差ΔTw 、ΔTa をRAM66に記憶し、
ステップS5へ移行し(ステップS4)、進角上限補正
量ΔθK を次式ΔθK =αΔTw +βΔTa から演算
し、演算結果をRAM66に記憶し、ステップS6へ移
行し(ステップS5)、次に、ステップS1で算出した
進角上限θA にステップS5で求めた進角上限補正量Δ
θK を加算して新たな進角上限θA (θA +ΔθK )を
求め、求めた新たな進角上限(θA +ΔθK )をRAM
66に記憶し、ステップS7へ移行する(ステップS
6)。
【0034】次に、予めROM64に格納した最大トル
ク点火時期MBTのマップに基づき、現在の機関回転数
NEと負荷GNに対応する最大トルク点火時期θMBT を
算出し、RAM66へ記憶し、ステップS8へ移行し
(ステップS7)、次に、ステップS6で求めた進角上
限θA とステップS7で求めた最大トルク点火時期θMB
T を比較し、進角上限θA は最大トルク点火時期θMBT
と等しいかまたはより遅れ側にあるか(θA ≦θMBT )
否かを判別し、YESのときは終了し、NOのときはス
テップS9へ移行し(ステップS8)、最大トルク点火
時期θMBT を新たな進角上限θA としてRAM66に記
憶し、終了する(ステップS9)する。
【0035】図6は第二実施例による進角補正処理のブ
ロック図である。第1ステップで、加速状態が急加速か
緩加速かを判別し、第2ステップで、加速状態に応じ
て、点火時期の第一進角上限を新たな第二進角上限の範
囲内で進角補正する補正期間(ノック減衰期間に相当す
る)を、急加速と判別されたときは長く、緩加速と判別
されたときは短く設定する。第3ステップで、補正期間
を加速状態に応じて設定するのでKCSによりフィード
バック制御された機関でも過進角補正によるノックやプ
レイグニッションを発生させずに運転できる。この加速
時における進角補正処理により加速性と燃費が向上す
る。
【0036】図7は第二実施例による進角補正処理のフ
ローチャートである。図中Sに続く数字はステップ番号
を示す。以下図1を交互に参照しつつ説明する。なお、
本図に示す進角補正処理は、本発明の第二の実施態様に
おける進角補正手段により実行される。制御回路20は
クランク角センサ18のパルス信号を受け、たとえばク
ランク角90°毎に、速度信号発生回路44で算出した
機関回転数NEとエアフローメータ2のアナログ信号か
ら算出した負荷GNを読み取って、予めROM64に格
納した機関回転数NEと負荷GNと点火時期SAとを三
次元とする進角上限と遅角下限に対するマップ(図示せ
ず)から、その時の機関回転数NEと負荷GNに対応す
る点火時期SAの進角上限θA を算出してRAM66に
記憶する(ステップS1)。
【0037】同様にクランク角90°毎に、エアフロー
メータ2のアナログ信号から算出した負荷GNとスロッ
トルセンサ22からのアナログ信号からスロットル弁6
の開度TAを読み取り、RAM66に記憶し、前回すな
わちクランク角90°前の負荷GNとスロットル弁6の
開度TAとの差、ΔGNとΔTAをそれぞれ求めて、Δ
GN>a(aは定数)またはΔTA>b(bは定数)を
判別してYESのときは加速状態が急加速であると判別
しステップS3へ移行し、NOのときは緩加速であると
判別しステップS5へ移行する(ステップS2)。加速
状態が急加速と判別されたとき、補正期間タイマTを0
に設定し、ステップS4へ移行する(ステップS3)。
次に、加速判定フラグFtを1にセットし、補正期間T
cを次式Tc=γΔGN(γは定数)から算出し、その
算出結果をRAM66に記憶する(ステップS4)。な
お前述したように、この補正期間はノック減衰期間に相
当する。
【0038】一方、加速状態が緩加速と判別されたと
き、加速判定フラグFtが1か否かを判別し、加速判定
フラグFtが1のときはステップS6へ移行し、0のと
きは終了する(ステップS5)。加速判定フラグFtが
1と判別されたとき、補正期間タイマTが0に設定され
ているか否かを判別し、YESのときはステップS7へ
移行し、NOのときはステップS8へ移行する(ステッ
プS6)。ステップS6の判別結果がYESのときは補
正期間タイマTのカウントを開始する(ステップS
7)。次に、補正期間タイマTのカウント値がステップ
S4で算出された補正期間Tcと比較し、T≦TcがY
ESと判別されたときはステップS10へ移行し、T≦
TcがNOと判別されたときは、ステップS9へ移行す
る(ステップS8)。T≦TcがNOと判別されたとき
は、加速判定フラグFt、補正期間タイマTおよび補正
期間Tcを全て0にリセットし、終了する(ステップS
9)。
【0039】一方、ステップS8でT≦TcがYESと
判別されたときは、現在の水温Tw、吸気温Ta と最悪
条件下の基準水温Two、基準吸気温Taoとの温度差ΔT
w =Two−Tw 、ΔTa =Tao−Ta をそれぞれ減算し
て求め、その温度差ΔTw 、ΔTa をRAM66に記憶
し、ステップS11へ移行し(ステップS10)、進角
上限補正量ΔθK を次式ΔθK =αΔTw +βΔTa か
ら演算し、演算結果をRAM66に記憶し、ステップS
12へ移行し(ステップS11)、次に、ステップS1
で算出した進角上限θA にステップS11で求めた進角
上限補正量ΔθK を加算して新たな進角上限θA (θA
+ΔθK )を求め、求めた新たな進角上限(θA +Δθ
K )をRAM66に記憶し、終了する(ステップS1
2)。
【0040】図8は過度時の吸気温度変化を示す図であ
る。本図において横軸は時間t、縦軸は温度を示し、太
い実線は吸気系が冷却された機関の吸気温度の変化を示
し、細い実線は通常の吸気系が冷却されない機関の吸気
温度の変化を示す。本図からスロット弁が全開され加速
が開始され緩加速となり定常状態に至るまでの期間は、
吸気系が冷却された機関と、冷却されない機関とでは、
それらの吸気温の温度差が大きいことが判る。それゆ
え、吸気系が冷却された機関は吸気温を低くできるの
で、本発明によれば、吸気温が低く機関が低温のときに
高温時の進角上限より進角方向に設定された進角上限の
範囲内で進角補正できるので、加速性や燃費を向上でき
る。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の内燃機関
の点火時期制御装置によれば、進角補正手段が、現在の
機関の温度が定常状態の機関の温度より低いとき、現在
の機関の温度と定常状態の機関の温度との温度差に比例
して、第一進角上限より進角方向の第二進角上限を設定
し、その第二進角上限の範囲まで進角補正して、機関の
点火時期を機関の温度に応じて決定するので、機関の出
力トルクが増大し、加速性や燃費が向上する。機関の冷
却時に、進角上限をさらに進角方向へ設定できるので、
吸気冷却した場合、加速性が一層向上する。
【0042】また、本発明の他の内燃機関の点火時期制
御装置によれば、進角補正手段により、機関を加速開始
してから所定時間ノックが発生し、その所定時間経過後
にノックが一次的に減衰するノック減衰期間に、第一進
角上限より進角方向の第二進角上限を設定し、ノック減
衰期間にその第二進角上限の範囲内で、機関の点火時期
を進角補正し、ノック減衰期間の経過後に、再び第一進
角上限の範囲内で、機関の点火時期を進角補正するの
で、ノックやプレイグニッションが発生せず、加速性や
燃費が向上する。ノックの発生を減少させるハイオク価
の燃料を使用した場合、ノックの発生頻度が少ないの
で、ノック減衰期間が長くなり、進角補正により機関の
出力トルクが増大し、加速性や燃費が向上する。
【0043】また、本発明のその他の内燃機関の点火時
期制御装置によれば、進角補正手段により、加速度が大
きい程ノック減衰期間を長く設定するので、特に緩加速
のときの過進角補正によるノックやプレイグニッション
が発生しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の全体構成図である。
【図2】機関回転数と点火時期の関係を示すマップであ
り、(A)は負荷一定時の進角上限と遅角下限を示す図
であり、(B)は負荷を変化させたときの進角上限を示
す図である。
【図3】過度時の機関状態変化の説明図である。
【図4】第一実施例による進角補正処理の説明図であ
り、(A)はブロック図であり、(B)は負荷一定時の
機関回転数と点火時期の関係を示すマップである。
【図5】第一実施例による進角補正処理のフローチャー
トである。
【図6】第二実施例による進角補正処理のブロック図で
ある。
【図7】第二実施例による進角補正処理のフローチャー
トである。
【図8】過度時の吸気温度変化を示す図である。
【符号の説明】
1…機関 2…エアフローメータ 4…吸気温センサ 6…スロットル弁 8…燃料噴射弁 10…シリンダブロック 12…ノックセンサ 14…ディストリビュータ 16…クランク角基準センサ 18…クランク角センサ 20…制御回路 24…水温センサ 26…イグナイタ 28…点火プラグ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02D 45/00 368 A

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノッキングを検出するノック検出手段
    と、点火時期をそのノック検出手段がノッキング有りと
    判別したとき遅角方向へ補正しノッキング無しと判別し
    たとき進角方向へ補正するノック制御手段と、を備え、
    予め設定された機関の点火時期の進角方向への補正を規
    制する第一進角上限と遅角方向への補正を規制する遅角
    下限との範囲内に、前記機関の点火時期を制御する内燃
    機関の点火時期制御装置において、 前記機関の温度が、定常状態のその機関の温度より低い
    とき、その温度差に比例して前記第一進角上限より進角
    方向の第二進角上限を設定し、その第二進角上限の範囲
    内で、前記機関の点火時期を進角補正する進角補正手
    段、を備えたことを特徴とする内燃機関の点火時期制御
    装置。
  2. 【請求項2】 前記進角補正手段が、 前記機関を加速開始してから所定時間経過後にノッキン
    グが一次的に減衰するノック減衰期間を前記ノック検出
    手段に基づき設定し、 前記第一進角上限より進角方向の第二進角上限を設定
    し、前記ノック減衰期間に、その第二進角上限の範囲内
    で、前記機関の点火時期を進角補正し、 前記ノック減衰期間の経過後に、再び前記第一進角上限
    の範囲内で、前記機関の点火時期を進角補正する請求項
    1に記載の内燃機関の点火時期制御装置。
  3. 【請求項3】 前記進角補正手段が、加速度が大きい
    程、前記ノック減衰期間を長く設定する請求項2に記載
    の内燃機関の点火時期制御装置。
JP6235328A 1994-09-29 1994-09-29 内燃機関の点火時期制御装置 Pending JPH0893613A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014105629A (ja) * 2012-11-28 2014-06-09 Nissan Motor Co Ltd 内燃機関の制御装置及び内燃機関の制御方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014105629A (ja) * 2012-11-28 2014-06-09 Nissan Motor Co Ltd 内燃機関の制御装置及び内燃機関の制御方法

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