JPH0891991A - 単結晶の引き上げ方法 - Google Patents

単結晶の引き上げ方法

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JPH0891991A
JPH0891991A JP25629394A JP25629394A JPH0891991A JP H0891991 A JPH0891991 A JP H0891991A JP 25629394 A JP25629394 A JP 25629394A JP 25629394 A JP25629394 A JP 25629394A JP H0891991 A JPH0891991 A JP H0891991A
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JP
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single crystal
pulling
melt
melt surface
crystal
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JP25629394A
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English (en)
Inventor
Takashi Koseki
敬 古関
Meimin Nishibe
名民 西部
Toshinori Kimura
俊憲 木村
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Furukawa Electric Co Ltd
Original Assignee
Furukawa Electric Co Ltd
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  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
  • Liquid Deposition Of Substances Of Which Semiconductor Devices Are Composed (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、結晶欠陥の発生を抑制でき
る、単結晶の引き上げ方法を提供する。 【構成】 本発明は、昇降可能な下軸の上端に取り付け
られた坩堝内に化合物半導体原料及び封止剤を投入し、
坩堝の周囲に配設されたヒータにより原料及び封止剤を
加熱して、原料融液層とその上に封止剤融液層とを形成
し、昇降可能な上軸の下端に種結晶を取り付け、単結晶
を原料融液から引き上げていく化合物半導体の単結晶の
引き上げ方法に関する。本発明では、任意に定めた基準
点と坩堝内のメルト面位置との最適距離関係を単結晶引
き上げ長さに応じて予め設定し、単結晶引き上げ中、単
結晶引き上げ長さが任意の長さになった時点で、メルト
面の位置を検出し、検出したメルト面位置が基準点に対
して最適距離関係を満足するように、上軸及び下軸の上
昇速度を調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、化合物半導体単結晶の
引き上げ方法に関し、更に詳細には、単結晶の結晶肌荒
れを抑制できる単結晶の引き上げ方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】液体カプセル引き上げ法(Liquid Encap
sulation Czochralski法、以下LEC法と略記する))
は、GaAs、GaP 、InP 等の化合物半導体の単結晶を製造
する方法として、多用されている。LEC法では、図1
に示すような引き上げ装置10が使用されている。引き
上げ装置10は、化合物半導体単結晶の原料及び封止剤
を収容する坩堝12と、坩堝12を保持するサセプタ1
3と、坩堝12内の原料及び封止剤を加熱し、融解す
る、複数個のサブヒータで構成されるヒータ14と、そ
れらを格納する圧力容器16と、単結晶の引き上げ機構
18と、坩堝の回転/昇降機構20とから構成されてい
る。
【0003】坩堝12及びヒータ14は、圧力容器16
内に配置されたホットゾーンと呼ばれる筒状のカーボン
部材22の内側に設置されている。坩堝の回転/昇降機
構20は、上端で坩堝12を固定している下軸24と、
下軸24の下端に連結されている下部回転装置26と、
下部昇降装置27とから構成されている。坩堝12は、
下軸24を介して下部回転装置26により駆動されて回
転し、また下部昇降装置27により駆動されて下部回転
装置26と一体的に昇降する。
【0004】一方、単結晶の引き上げ機構18は、種結
晶(シード)を取り付けるシードホルダー28と、シー
ドホルダー28を下端で固定している上軸30と、上軸
30の上端が連結された上部回転装置32と、上部昇降
装置33とから構成されている。シードホルダー28
は、上軸30を介して回転装置32により駆動されて回
転し、また上部昇降装置33により駆動されて上部回転
装置32と一体的に昇降する。図1中、34は坩堝底の
温度を測定する熱電対である。
【0005】化合物半導体単結晶の原料と、封止剤、例
えばB2O3とを坩堝12に収容し、圧力容器16内の圧力
をAr等の不活性ガスにより10気圧程度に昇圧した上
で、ヒーター14で原料及び封止剤を加熱、融解して、
原料融液層Rとその上に原料融液層Rを覆う封止剤融液
層Eを作る。一方、シードホルダー28に種結晶Sを取
り付け、種結晶Sを原料融液Rに浸して馴染ませた後、
上軸30を引き上げて単結晶Tを製造する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、単結晶(以
下、特に誤解の生じない限り結晶と略記する)の引き上
げの進行に伴って、坩堝内の原料融液量が減少すると、
結晶の成長のため、温度場が変化して行く。B2O3を封止
剤としたGaAs結晶の引き上げを例にすると、B2O3融液の
表面温度が上昇することにより、B2O3融液層より出てく
る結晶の表面温度も上昇する。このため、結晶がB2O3
液層から上に抜け出てくる時に、蒸気圧の高いAsがGa
As結晶から解離してその跡に融点が30°C と低いGa
が残る。Gaは融解して結晶に沿って滴下し、跡に穴が
できる。かかる現象を結晶肌荒れ現象という。更に、結
晶肌荒れ現象が進行すると、Gaや穴が界面まで達し、
そこから異種核成長の核が形成され、多結晶化及びラメ
ラ状のツインの発生を促す。従って、結晶の肌荒れ現象
が発生すると、均一に成長した単結晶を得ることが難し
くなる。
【0007】そのため、従来は、ヒータの出力調節によ
る温度制御、育成雰囲気ガスの圧力調節による温度制御
などの手段が施されていたが、満足する成果が得られて
いない。そこで、本発明の目的は、結晶欠陥の発生を抑
制できる、単結晶の引き上げ方法を提供することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段及びその作用】上記目的を
達成するため、本発明者は、結晶の肌荒れ現象の発生原
因を研究したところ、原因の第1として、単結晶の引き
上げ中、メルト面位置がヒータに対して適正な位置に維
持されてないこと、第2として、後述するように、原料
融液層の温度勾配及び封止剤融液層内の単結晶の温度勾
配が適正でないことにあることを見い出した。
【0009】更に、原因の第1について説明すると、従
来の方法では、結晶の引き上げ中、結晶の直径の変動、
育成雰囲気の条件の変動等にもかかわず、上軸及び下軸
がそれぞれ一定の上昇速度で上昇するために、メルト面
がヒータに対して適正な位置関係を維持することができ
ず、そのため、結晶の温度が適正温度とは異なる温度に
なっている。例えば、結晶の直径が設定寸法より大きく
なった場合、同じ結晶長に対して結晶重量が増加するた
めにメルト面が適正位置より下方に位置する。このた
め、結晶育成領域がメルト面位置の低下に対応してヒー
タの発熱中心に接近するので、封止剤、例えばB2O3融液
の表面温度及びその上方の雰囲気温度が上昇する。この
結果、結晶中の軸方向(引き上げ方向)の温度勾配が小
さくなって、結晶の表面温度が上昇し、肌荒れ現象が発
生し易くなるのである。
【0010】結晶の肥大化とは逆に、結晶の直径が設定
寸法より小さくなった場合、メルト面は適正位置より上
に位置する。このため、B2O3融液層の表面温度及び上方
の雰囲気温度が低下するので、結晶中の温度勾配が大き
くなる。その結果、結晶の転位密度が増大するのであ
る。このように、メルト面位置が適正位置より逸脱して
いることが、結晶品質に対して大きく影響する。例え
ば、図2は従来の方法に従って引き上げ長200mmの単
結晶の引き上げ実験でのメルト面の位置の変動を表して
おり、結晶の引き上げ長さが長くなると共にメルト面が
適正位置より逸脱し、引き上げ長さが150mmになった
時点、即ち結晶のテール部では、約±2mm適正位置より
ずれていることを示している。この実験で得た結晶の表
面を観察したところ、結晶のミドル部からテール部にか
けて多結晶化及びラメラ状のツイン等の結晶欠陥が観察
できた。
【0011】以上の知見に基づき、上記目的を達成する
ために、本発明に係る単結晶の引き上げ方法は、昇降可
能な下軸の上端に取り付けられた坩堝内に化合物半導体
原料及び封止剤を投入し、坩堝の周囲に配設されたヒー
タにより原料及び封止剤を加熱して、原料融液層とその
上に封止剤融液層とを形成し、昇降可能な上軸の下端に
種結晶を取り付け、単結晶を原料融液から引き上げてい
く化合物半導体の単結晶の引き上げ方法において、任意
に定めた基準点と坩堝内のメルト面位置との最適距離関
係を単結晶引き上げ長さに応じて予め設定し、単結晶引
き上げ中、単結晶引き上げ長さが任意の長さになった時
点で、メルト面の位置を検出し、検出したメルト面位置
が基準点に対して最適距離関係を満足するように、上軸
及び下軸の上昇速度を調整するようにしたことを特徴と
している。
【0012】本発明で言うメルト面とは、単結晶と原料
融液との固液界面を言い、近似的には原料融液層と封止
剤融液層との界面である。基準点は、メルト面位置との
距離関係を検出するために任意に定めた点であって、特
に制約はなく、例えばヒータの特定の箇所を基準点とし
て定めても良い。本発明で言う最適距離関係は、結晶肌
荒れが生じないように、単結晶の温度及び温度勾配を適
正な値に維持できるように設定した、基準点とメルト面
との位置関係であって、例えばヒータの特定の位置を基
準点として実験及びシミュレーション等により予め設定
する。本発明方法は、GaAs、GaP 、InP 等の高解離圧の
金属元素を含む化合物半導体の単結晶に引き上げに適用
できる。
【0013】本発明の望ましい実施態様は、結晶の引き
上げ中、単結晶が任意の引き上げ長さになった時点で、
メルト面位置を検出してΔPM を算出し、上軸及び下軸
をそれぞれ VU =VUI+ΔPM /T (1) VL =VLI+ΔPM /T (2) に定める上昇速度に変更して上昇させるようにしたこと
を特徴としている。ここで、VU 及びVL はそれぞれ上
軸及び下軸の変更上昇速度、VUI及びVLIはそれぞれメ
ルト面位置を検出した時点での上軸及び下軸の上昇速
度、ΔPM は前記最適距離関係から定まる設定メルト面
位置から検出メルト面位置を引いた差、Tは上軸及び下
軸の上昇速度を変更上昇速度に到達させるまでに経過す
る時間である。
【0014】メルト面位置の検出は、二つの方法があ
る。その一つは、上軸にロードセルを取り付け、それに
よって育成単結晶の重量を計測し、次式でメルト面の位
置PMを算出する。尚、必要な精度に応じ、封止剤融液
による浮力の補正、メルト面下の固液界面形状による浮
力の補正を行っても良い。 PM =(WC −WS )/πR2 +PC (5) ここで、PM は基準点からメルト面までの距離、PC
基準点から坩堝の底までの距離、WC は坩堝に投入した
単結晶原料の重量、WS はロードセルで測定した結晶の
重量、及びRは坩堝の内径である。他の方法は、レーザ
光による測定等によりメルト面位置を直接的に測定する
方法である。
【0015】上軸及び下軸の上昇速度の調整は、それぞ
れの昇降機構の駆動装置、例えば電気モータを回転数可
変モータにしたり、回転数一定の駆動装置に無段変速機
を付設したりして、昇降速度を可変にすることができ
る。また、上昇速度調整は、上軸と下軸とを同時に行う
のが好ましい。ΔPM を計測する頻度は、任意であっ
て、計測頻度が高いほどメルト面位置PM を設定位置に
保持することができる。Tはメルト面の位置を調整する
ための調整時間であって、ΔPM を計測する時間間隔に
関係し、好ましくはΔPM を計測する時間間隔の1/2
から1/10の範囲の時間である。
【0016】次に、結晶肌荒れ現象の発生原因の第2に
ついて、説明する。結晶育成の進行につれて、育成場の
温度分布が変化して行くが、ある時点での坩堝内の原料
融液層及び封止剤融液層内の結晶の温度は、図3に図解
するようになる。図3(a)は結晶内の熱流の流れを示
し、図3(b)は図3(a)に対応した単結晶の引き上
げ方向のメルト層の温度分布及び封止剤融液層内の結晶
の温度分布を示す。ここで、固液界面での融液と結晶と
の一次元熱収支を考えると、その熱流に関する連続式
は、次の式で示される。 Jm +JSO=JSm =Km ・A・dTmSO=L・V・ρ・A JS =KS ・A・dTS /dX ここで、Jm はメルト(原料融液)からの流入熱量、J
SOは結晶の固化潜熱、JS は結晶からの流出熱量、Aは
結晶の断面積、Km 及びKS はそれぞれメルト及び結晶
の熱伝導度、dTm /dX及びdTS /dXはそれぞれ
メルト層の引き上げ方向に沿った温度勾配及び封止剤融
液層内の結晶の引き上げ方向に沿った温度勾配、Lは結
晶の単位質量当たりの潜熱、Vは結晶の単位時間当たり
の成育長、即ち育成速度である。
【0017】上記式中のJm 、JSO及びJS がそれぞれ
適正な値であり、かつ結晶育成中変化しないのであれ
ば、熱バランス、従って結晶の温度分布は変動せず、結
晶が安定して成長し、結晶欠陥も発生しない。Jm 、J
SO及びJS の変数は、それぞれdTm /dX、V及びd
S /dXである。結晶径が一定であれば、結晶の育成
速度Vは育成中一定となり、JSOは一定であるが、次に
説明するように、dTm /dX及びdTS /dXが変化
するために、Jm 及びJS は変化して熱バランスが崩れ
る。
【0018】メルト中の温度勾配dTm /dXは、育成
の進行に伴って急になる。それは、育成の進行に伴って
メルト深(メルト面と坩堝底との距離)が減少するにつ
れて、ヒータ長とメルト深との比が変化し、更に、メル
ト面位置をヒータに対して一定になるように坩堝を押し
上げることにより、坩堝底の温度(ベース温度)が上昇
するからである。一方、封止剤融液層中の結晶の温度勾
配dTS /dXは、育成の進行に伴って封止剤融液層の
表面温度が上昇することにより、緩くなって行く。従っ
て、育成初期、dTm /dX及びdTS /dXが図4に
示す単結晶形成領域(斜線領域)に位置し、単結晶が安
定して育成されていても、引き上げの進行に従い徐々
に、dTm /dXが大きく、dTS /dXが小さくなる
ことで、熱バランスが崩れ、育成途中から図4に示すポ
リ発生領域に入って来て、安定した単結晶成長が阻害さ
れる。この結果、結晶がミドル部からテール部にかけ
て、多結晶化が起こり易くなるのである。
【0019】以上のことから、本発明者は、dTS /d
X及びdTm /dXを適正な値に維持することが結晶肌
荒れ、多結晶化を抑制するのに重要であることに着目
し、本実施態様を発明した。本実施態様は、引き上げ方
向に沿った封止剤融液内の単結晶の温度勾配dTS/d
Xが、単結晶の引き上げ中、 dTS /dX=a±10°C /cm (3) に維持されているを特徴としている。ここで、aは単結
晶の引き上げ長さに対応して定められたdTS /dXの
設定値であって、実験及びシミュレーションによって設
定される。dTS /dXが設定値より10°C /cm以上
大きい値になると、封止剤融液層の表面温度が高くなり
過ぎて、結晶表面から高解離圧の金属元素が解離し、逆
に設定値より10°C /cm以上小さい値になると、封止
剤融液層の温度勾配が小さくなって結晶の転位密度が大
きくなり(例えば、約10万個/cm3 )、多結晶化が引
き起こされるからである。
【0020】更に望ましくは、前記ヒータの一部を構成
する下サブヒータの出力を調整して坩堝底の温度を所定
温度に制御することにより、引き上げ方向に沿った原料
融液の温度勾配dTm /dXを、単結晶の引き上げ中、 dTm /dX=b±5°C /cm (4) に保持することを特徴としている。ここで、bは単結晶
の引き上げ長さに対応して定められたdTm /dXの設
定値であって、実験及びシミュレーションにより設定さ
れる。
【0021】dTm /dXが(4)式を満足している
と、単結晶の固液界面Fの形状は、リネージの集積点が
ない図5(a)に示すような理想的な形状に近くなる。
一方、dTm /dXが設定値より5°C /cm以上大きい
値になると、図5(b)に示すように単結晶の固液界面
Fに形成された下方に向く凸面のコンベックス長さlが
比較的短く、かつその周縁部での上方に向くM型の固液
界面形状となり、多結晶化し易い形状になる。逆に、設
定値より5°C /cm以上小さい値になると、図5(c)
に示すように単結晶の固液界面Fに形成された下方に向
く凸面のコンベックス長さlが長くなり過ぎて、転位密
度が大きくなる、或いは固液界面が坩堝底にぶつかるか
らである。本実施態様で言う坩堝底の所定温度とは、d
m /dXを設定値の±5°C の範囲内に収めることが
できるような坩堝底の温度を言い、実験及びシミュレー
ションによって設定される。
【0022】
【実施例】以下、添付図面を参照し、実施例に基づいて
本発明をより詳細に説明する。本発明方法を実施する装
置は、図1に示した単結晶引き上げ装置10の構成に加
えて、単結晶の重量を測定できるロードセルを上軸30
に、上軸30及び下軸24の上昇速度を自在に設定でき
るように上部昇降装置33及び下部昇降装置27の電気
モータに無段変速機を取り付けたものである。
【0023】従来例 図1に示す単結晶引き上げ装置を使用して、内径9イン
チの坩堝内に17kgのGaAs及び1.5kgのB2O3を投入
し、圧力10kg/cm2g のArガス雰囲気下で、単結晶の
引き上げ中、上軸及び下軸の上昇速度を一定にしてメル
ト面の位置を調整しない従来の方法に従って、4インチ
径で340mmの長さのGaAs単結晶を育成した。B2O3融液
層の表面温度は、単結晶の引き上げ長さに応じて図6に
示すように推移した。得た単結晶の表面を観察したとこ
ろ、表面肌荒れが発生していた。
【0024】実験例1 次いで、上述した本発明方法の実施装置を使用して、従
来例1と同じ育成条件で、本発明方法による単結晶の引
き上げ方法を実施した。それには、先ず、図6のB2O3
液層の表面温度の推移に基づき、図7に示すように、結
晶長が50mmになった時点から、メルト面位置が初期位
置に対して上昇し、結晶長が150mmになった時点で1
0mm上昇するようにメルト面の位置設定を行い、その位
置にメルト面が来るように上軸及び下軸の上昇速度を調
整した。その結果、B2O3融液層の表面温度は、図8に示
すように推移し、従来方法による図6の温度推移に比べ
て初期値に対する変化が小さく、緩やかであった。ま
た、得た単結晶の表面を観察したところ、表面肌荒れは
発生していなかった。
【0025】実験例2 実験例1の条件に加えて、更に、下サブヒータの出力を
調整して、坩堝底の温度が図9に示すような温度になる
ように制御し、これによって、封止剤融液層内の単結晶
の温度勾配dTm /dXが前述の(4)式を満足するよ
うにした。この結果、表面温度は、図10に示す通り、
初期値に対する変化が図8より更に小さく、しかも一層
緩やかであった。この際、主ヒータの出力M、メルト面
位置PM及び下サブヒータの出力Nの各々の引き上げ長
に対する推移は、図11に示すような傾向にあった。ま
た、得た単結晶の表面を観察したところ、表面肌荒れは
発生していなかった。
【0026】実験例3 上述した本発明の実施装置を使用して、内径9インチの
坩堝内に17kgのGaAs及び1.5kgのB2O3を投入し、圧
力10kg/cm2g のArガス雰囲気下で、本発明方法に従
って、4インチ径で340mmの長さのGaAs単結晶を育成
した。それには、先ず、ヒータの任意の位置に基準点を
定め、基準点に対する距離として、単結晶の引き上げの
開始(引き上げ長さ:0)から引き上げ終了までのメル
ト面の位置を図12に示す実線Pのように設定した。実
線P上のメルト面位置は、dTS /dXが前述の(3)
式を満足しているように、実験及びシミュレーションに
基づき設定されている。次いで、引き上げ開始から所定
時間経過後、単結晶の引き上げ長さがL1 になった時点
で、実際のメルト面の位置PMA1 を前述の式(5)に従
って検出し、その時点でのメルト面の設定位置PMS1
の差ΔPM1を算出した。続いて、上軸及び下軸の速度を
目標速度に到達させるのに要する時間T1 を定め、前述
の式(1)及び(2)に従って、上軸及び下軸の目標速
度VU 及びVLを算出し、上軸及び下軸の昇降機構をそ
の目標速度になるように同時に調節した。
【0027】次に、単結晶の引き上げ長さL2 がL2
1 +ΔL1 になった時点で、上述と同じ操作を行っ
た。更に、単結晶の引き上げ長さがほぼ所定の長さ
n 、即ち340mmになった時点まで、同様の操作を行
った。本実施例では、ΔLの長さは、ΔL1 からΔL
n-1 まで同じ5mmであり、またTはT1 からTn-1 まで
同じ時間であって、引き上げ長さがΔL、即ち5mm長く
なるのに要する時間であった。尚、ΔL1 からΔLn-1
までの各々を同じ長さにする必要はなく、それぞれ異な
る長さにすることもでき、またT1 からTn-1 の各々も
同じ時間にする必要はなく、それぞれ異なる時間にする
こともできる。
【0028】以上の操作を行った結果、図12に示すよ
うに、実際のメルト面位置をほぼ設定位置に維持するこ
とができた。図12中、破線は、検出したメルト面位置
を結ぶ曲線である。また、得た単結晶の表面を観察した
ところ、表面肌荒れは発生していなかった。
【0029】
【発明の効果】本発明によれば、化合物半導体の単結晶
の引き上げ方法において、任意に定めた基準点と坩堝内
のメルト面位置との最適距離関係を単結晶引き上げ長さ
に応じて予め設定し、単結晶引き上げ中、単結晶引き上
げ長さが任意の長さになった時点で、メルト面の位置を
検出し、検出したメルト面位置が基準点に対して最適距
離関係を満足するように、上軸及び下軸の上昇速度を調
整することにより、単結晶引き上げ中、メルト面位置を
適正な値に維持できる。また、封止剤融液層内の結晶の
温度及び温度勾配を適正な値に制御できる。これによっ
て、肌荒れ現象を発生させることなく、均質な単結晶を
安定して引き上げることができる。また、請求項4の発
明によれば、加えて、坩堝底の温度を制御することによ
り、単結晶引き上げ中、原料融液層の温度及び温度勾配
を適正な値に維持できる。これによって、更に一層肌荒
れ現象の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】単結晶引き上げ装置の構成を示す模式的断面図
である。
【図2】メルト面のバラツキを示す実験結果のグラフで
ある。
【図3】図3(a)は結晶内の熱流の流れを示す図解
図、図3(b)は図3(a)に対応した単結晶の引き上
げ方向のメルト層及び封止剤融液層内の結晶の温度分布
を示すグラフである。
【図4】dTS /dXとdTm /dXの好ましい領域を
示すグラフである。
【図5】図5(a)、(b)及び(c)はそれぞれ固液
界面の形状を示す模式図である。
【図6】従来方法により単結晶を引き上げた際(従来
例)の封止剤融液層の表面温度と単結晶引き上げ長との
関係を示すグラフである。
【図7】実施例1での設定メルト面位置を示すグラフで
ある。
【図8】実施例1での封止剤融液層表面温度を示すグラ
フである。
【図9】実施例2での坩堝底の設定温度を示すグラフで
ある。
【図10】実施例2での封止剤融液層表面温度を示すグ
ラフである。
【図11】実施例2おいて単結晶引き上げ長に応じて推
移する主ヒータの出力、下サブヒータの出力及びメルト
面位置を示すグラフである。
【図12】実施例3の操作を示すグラフである。
【符号の説明】
10 単結晶の引き上げ装置 12 坩堝 13 サセプタ 14 ヒータ 16 圧力容器 18 引き上げ機構 20 回転/昇降機構 22 ホットゾーン 24 下軸 26 下部回転装置 27 下部昇降装置 28 シードホルダー 30 上軸 32 上部回転装置 33 上部昇降装置 34 熱電対

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 昇降可能な下軸の上端に取り付けられた
    坩堝内に化合物半導体原料及び封止剤を投入し、坩堝の
    周囲に配設されたヒータにより原料及び封止剤を加熱し
    て、原料融液層とその上に封止剤融液層とを形成し、昇
    降可能な上軸の下端に種結晶を取り付け、単結晶を原料
    融液から引き上げていく化合物半導体の単結晶の引き上
    げ方法において、 任意に定めた基準点と坩堝内のメルト面位置との最適距
    離関係を単結晶引き上げ長さに応じて予め設定し、単結
    晶引き上げ中、単結晶引き上げ長さが任意の長さになっ
    た時点で、メルト面の位置を検出し、検出したメルト面
    位置が基準点に対して最適距離関係を満足するように、
    上軸及び下軸の上昇速度を調整するようにしたことを特
    徴とする単結晶の引き上げ方法。
  2. 【請求項2】 結晶の引き上げ中、単結晶が任意の引き
    上げ長さになった時点で、メルト面位置を検出してΔP
    M を算出し、上軸及び下軸をそれぞれ VU =VUI+ΔPM /T (1) VL =VLI+ΔPM /T (2) に定める上昇速度に変更して上昇させるようにしたこと
    を特徴とする請求項1に記載の単結晶の引き上げ方法。
    ここで、VU 及びVL はそれぞれ上軸及び下軸の変更上
    昇速度、VUI及びVLIはそれぞれメルト面位置を検出し
    た時点での上軸及び下軸の上昇速度、ΔPM は前記最適
    距離関係から定まる設定メルト面位置から検出メルト面
    位置を引いた差、Tは上軸及び下軸の上昇速度を変更上
    昇速度にするまでに経過する時間である。
  3. 【請求項3】 引き上げ方向に沿った封止剤融液内の単
    結晶の温度勾配dTS /dXが、単結晶の引き上げ中、 dTS /dX=a±10°C /cm (3) に維持されていることを特徴とする請求項1又は2に記
    載の単結晶の引き上げ方法。ここで、aは単結晶の引き
    上げ長さに対応して定められたdTS /dXの設定値で
    ある。
  4. 【請求項4】 前記ヒータの一部を構成する下サブヒー
    タの出力を調整して坩堝底の温度を所定温度に制御する
    ことにより、引き上げ方向に沿った原料融液の温度勾配
    dTm /dXを、単結晶の引き上げ中、 dTm /dX=b±5°C /cm (4) に保持することを特徴とする請求項1から3のうちのい
    ずれか1項に記載の単結晶の引き上げ方法。ここで、b
    は単結晶の引き上げ長さに対応して定められたdTm
    dXの設定値である。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016050157A (ja) * 2014-09-01 2016-04-11 信越半導体株式会社 単結晶の製造方法

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