JP2007308335A - 単結晶引上げ方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】単結晶引上げ時の熱履歴を制御し、単結晶中の微小欠陥を有効に制御することによって、品質の安定した単結晶を製造する単結晶引上げ方法を提供する。
【解決手段】チョコラルスキー法(CZ法)による単結晶引上げ方法であって、ルツボ2中の融液4表面と、このルツボ2の上方に、引上げ単結晶10を囲むように設けられた熱遮蔽体11下端との距離を、予め設定した目標値±0.5mmの範囲で制御しながら単結晶10を育成することによって、融液4表面と熱遮蔽体11の隙間からシリコン単結晶10に放射される輻射熱を制御する単結晶引上げ方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、チョクラルスキー法(CZ法)による単結晶引上げ方法に関する。
単結晶、例えばシリコン単結晶の製造方法として、いわゆるチョクラルスキー法(CZ法)が知られている。この方法では、育成炉内に設置されたルツボに固形状のシリコン原料を収容し、ヒータを高温加熱してルツボ内の原料を融液とする。そして、原料融液面に種結晶を着液させ、種結晶の下方に所望の直径と品質とを有する単結晶を育成する。
もっとも、通常CZ法で単結晶を育成する場合、単結晶育成中に単結晶内部に微小欠陥が発生する。近年デバイスの微細化に伴い、デバイス歩留まりに大きな影響を与えるこれら単結晶中の微小欠陥を制御することは非常に重要となっている。
そして、単結晶中の微小欠陥の種類、サイズあるいは密度は単結晶の熱履歴に深く関係している。特に、シリコン融点から1350℃までの高温領域における熱履歴が単結晶中の微小欠陥の種類、サイズあるいは密度に与える影響が大きいことが報告されている。したがって、単結晶中の微小欠陥制御においては、熱履歴の制御、特に高温領域における制御が極めて重要である。
また、近年、デバイスの小サイズ化への適合性が高いとして無欠陥シリコンウェーハが注目されている。この無欠陥シリコンウェーハは、引上げられたシリコン単結晶の無欠陥領域から切り出される。このような、無欠陥シリコンウェーハを製造する場合には、許容される熱履歴範囲が狭いため、より一層精度の高い熱履歴制御が要求されている。
ところで、引上げ単結晶の熱履歴を左右するパラメータは多岐にわたる。例えば、シリコン融液温度、ヒータのパワー、ヒータと引上げ単結晶との位置関係、引上げ単結晶の冷却チャンバ等による冷却速度、炉内に流す非活性ガスの流量・流路、引上げ単結晶を囲む熱遮蔽板の形状、単結晶引上げ速度、固液界面形状等である。
特許文献1においては、引き上げ中の単結晶を取り囲むようにアフタークーラー(冷却チャンバ)を設置し、このアフタークーラに供給する冷却水量を、少なくとも単結晶が所定の長さに成長するまで一定の割合で徐々に増加させ、熱履歴を制御することを特徴とする発明が開示されている。
また、特許文献2においては、ヒータに対する融液面の相対位置を制御することにより、熱履歴を制御することを特徴とする発明が開示されている。
特開平11−92272号公報 特許2844032号公報
このように、従来から引上げ単結晶中の微小欠陥制御における熱履歴制御の重要性が認識されており、さまざまな熱履歴制御方法が提案、実行されていた。しかしながら、熱履歴制御を左右するパラメータのうち、いかなるパラメータをいかなる範囲で制御すれば有効に微小欠陥を制御できるかは必ずしもあきらかになっていなかった。
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的とするところは、単結晶引上げ時の熱履歴を制御し、単結晶中の微小欠陥を有効に制御することによって、品質の安定した単結晶を製造する単結晶引上げ方法を提供することにある。
本発明の一態様の単結晶引上げ方法は、
チョコラルスキー法(CZ法)による単結晶引上げ方法であって、
ルツボ中の融液表面と、前記ルツボ上方に、引上げ単結晶を囲むように設けられた熱遮蔽体下端との距離を、予め設定した目標値±0.5mmの範囲で制御しながら単結晶を育成することを特徴とする単結晶引上げ方法である。
また、本発明の一態様の単結晶引上げ方法は、
チョコラルスキー法(CZ法)による単結晶引上げ方法であって、
ルツボ中の融液表面と、前記ルツボ上方に、引上げ単結晶を囲むように設けられた熱遮蔽体下端との距離を、前記熱遮蔽体を上下動させることによって、予め設定した目標値の範囲で制御しながら前記単結晶を育成することを特徴とする。
ここで、前記目標値は、育成中の単結晶長さまたは単結晶重量に連動する変数とすることが望ましい。
また、前記単結晶が無欠陥領域を有しない約200mmφのシリコン単結晶であり、前記ルツボ内径が内径480mm〜600mm、前記熱遮蔽板の上部内径が450mm〜570mm、下部内径が220mm〜270mm、かつ、前記目標値が目標値15mm〜30mmであることがのぞましい。
また、前記単結晶が無欠陥領域を有しない約300mmφのシリコン単結晶であり、前記ルツボ内径が内径740mm〜850mm、前記熱遮蔽板の上部内径が710mm〜820mm、下部内径が320mm〜370mm、かつ、前記目標値が15mm〜30mmであることがのぞましい。
また、前記単結晶が無欠陥領域を有する約200mmφのシリコン単結晶であり、前記ルツボ内径が内径480mm〜600mm、前記熱遮蔽板の上部内径が440mm〜560mm、下部内径が220mm〜310mm、かつ、前記目標値が目標値50mm〜100mmであることがのぞましい。
また、前記単結晶が無欠陥領域を有する約300mmφのシリコン単結晶であり、前記ルツボ内径が内径740mm〜850mm、前記熱遮蔽板の上部内径が700mm〜810mm、下部内径が320mm〜410mm、かつ、前記目標値が50mm〜100mmであることがのぞましい。
本発明によれば、単結晶引上げ時の熱履歴を制御し、単結晶中の微小欠陥を有効に制御することによって、品質の安定した単結晶を製造する単結晶引上げ方法を提供することが可能になる。
以下、本発明に係る単結晶引上げ方法についての実施の形態につき、添付図面に基づき説明する。なお、ここでは単結晶として、シリコン単結晶を製造する場合を例として記載する。
[実施の形態1]
(単結晶製造装置)
最初に、本実施の形態で用いられうる一例としてのシリコン単結晶製造装置の構成について説明する。
図1は、本実施の形態で用いられうるシリコン単結晶製造装置の模式的縦断面図である。
まず、炉体1内には原料を保持する例えば石英で形成されるルツボ2が回転軸3の上端に設置されている。また、ルツボ2の周囲にはルツボ2内に充填された原料を溶融して融液4となす為のヒータ等の加熱手段5および保温部材6が配置されている。そして、前記ルツボ2の上方には引上げ機構(図示せず)が設けられ、引上げワイヤもしくはシャフト7により、種結晶8を保持した種結晶保持治具9が昇降および回転操作される仕組みとなっている。
種結晶8を融液4に浸漬し、ルツボ2および種結晶8を回転させつつ引上げることで、種結晶8の下端にシリコン単結晶10が成長する。さらに、融液4の上方にシリコン単結晶10の周囲を取り囲むようにして、中空円錐台形の熱遮蔽体11が設置されている。この熱遮蔽体11は、その形状や設置位置によってシリコン単結晶10の熱履歴を制御するという極めて重要な役割を担っている。
なお、上記、石英で形成されるルツボ2は、約200mmφの単結晶引上げの場合には、内径480mm〜600mm程度であるのが望ましい。また、約300mmφの単結晶引上げの場合には、内径740mm〜850mm程度であるのが望ましい。
そして、熱遮蔽板は、黒鉛等で形成され、約200mmφの単結晶引上げの場合には、上部内径440mm〜570mm、下部内径220mm〜310mm、厚さ3mm〜5mm程度であるのが望ましい。また、約300mmφの単結晶引上げの場合には、上部内径700mm〜820mm、下部内径320mm〜410mm、厚さ5mm〜10mm程度であるのが望ましい。
(融液表面位置測定方法)
次に、本実施の形態で用いられるうる一例としての融液表面位置測定方法について説明する。ここでは、特開2002−80293号公報に開示された測定方法について、図1に基づき説明する。
この測定方法を実現するために、シリコン単結晶製造装置には、融液4表面にスポット15を形成するレーザ発振装置12、このスポット15を撮像する撮像装置13、この撮像装置からの融液表面位置信号を処理する画像処理装置、画像処理装置によって処理された信号が入力される制御装置を有している。また、熱遮蔽体11の下端にはレーザ光を透過する光導波物体14が設けられている。この光導波物体14を設けることにより、低出力のレーザ光であっても、撮像装置13で観察容易なスポット15を融液4表面に現出させることが可能となっている。
融液表面位置測定にあたっては、レーザ発振装置12からレーザ光を光導波物体14に照射し、光導波物体14下の融液4表面にスポット15を作り出す。このスポット15を撮像装置13で撮像し、スポット位置から融液表面位置信号を取り出す。融液表面位置の上下変化に応じてスポット15の位置が線形に変化するので、予め各融液表面位置の変化に応じてスポット15位置を測定し較正しておくことで、スポット15位置から融液表面位置を正確に測定することができる。
ここで、レーザ発振装置12のレーザ射出口と熱遮蔽体11下端に設置する光導波物体14との間の光の光路、および融液表面に形成されるスポット15と撮像装置13のカメラ部との間の光の光路は育成されるシリコン単結晶10および熱遮蔽体11等の周辺部材に遮られない位置関係に設定しておく。このため、単結晶全長に渡って融液表面位置を精度良く計測することができる。
(単結晶引上げ方法)
シリコン単結晶10の引上げにあたっては、上述の方法で融液表面位置を測定し、この融液表面位置と熱遮蔽体11下端との距離を画像処理装置内で算出する。熱遮蔽板11は、炉体1に対して位置的に固定されているため、最初の融液表面位置の炉体1に対する相対的位置を把握しておけば、融液表面位置が変化しても融液表面位置と熱遮蔽体11下端との相対的距離が算出可能となる。
シリコン単結晶10引上げに先立ち、所望の単結晶を得るうえで要求される融液表面位置と熱遮蔽体11下端との距離を、目標値として設定しておく。そして、測定された融液表面位置から画像処理装置内で算出された融液表面位置と熱遮蔽体11下端との距離をこの目標値と比較して、差が生じている場合には制御装置においてルツボ軸昇降装置の昇降速度を修正して、目標値に戻るように制御する。
ここで、融液表面位置と熱遮蔽体11下端との距離を目標値±5mmの精度で制御することが望ましい。さらに、目標値±0.5mmの精度で制御することがより望ましい。
なお、この時、融液表面位置と熱遮蔽体11下端との距離の目標値は、特に限定されるわけではないが、無欠陥領域を有しないシリコン単結晶引上げの場合は、約200mmφ単結晶で15mm〜30mm、約300mmφ単結晶で15mm〜30mmであるのが望ましい。さらに、無欠陥領域を含むシリコン単結晶引上げの場合には、約200mmφ単結晶で50mm〜100mm、約300mmφ単結晶で50mm〜100mmであるのが望ましい。
(作用・効果)
このように、目標値±5mmの精度で制御することにより、シリコン単結晶中の微小欠陥を有効に制御でき、引上げられる単結晶中、所望の結晶特性を有する領域が拡大し、品質の安定した単結晶を製造することが可能となる。また、さらに、目標値±0.5mmの精度で制御することにより、一層、所望の結晶特性を有する領域が拡大し、さらに、品質の安定した単結晶を製造することが可能となるという効果が得られることを発明者らは見出した。
以上のように、融液表面位置と熱遮蔽体11下端との距離を精度良く制御することにより、シリコン単結晶中の微小欠陥を有効に制御できることが判明した。この理由は以下のように考えられる。
育成中のシリコン単結晶は内部に蓄積している熱の大半を結晶表面から放熱することで徐々に冷却されていく。したがって、輻射熱として熱を外部へ放出することのできる単結晶表面近傍の領域では結晶は冷えやすい傾向にあり、逆に熱伝導でしか熱を除去できない結晶内部では冷え難い状況が形成されている。
その結果、単結晶の表面近傍領域と内部領域、すなわち、ウェーハの外部領域と中心領域とでは、熱履歴が大きく異なり、それらの領域で発生・成長する微小欠陥の種類、サイズおよび密度にも差が生じてしまい易い。
そして、融液表面やルツボ内壁は育成する単結晶よりも高温である。そのため、熱遮蔽体の下端と融液表面との隙間を通じてこれら高温部から単結晶に向かって輻射熱放射される。このような、外部から放射される輻射熱によってシリコン単結晶は表面からの放熱を抑制あるいは場合によっては表面を加熱される。結果として単結晶の熱履歴は外部からの輻射熱によって大きな影響を受ける。特に、輻射熱を直接受ける単結晶表面の熱履歴は放射される輻射熱に大きく依存する。
上述のように、例えば、シリコン単結晶の場合には、シリコン融点から1350℃までの高温領域における熱履歴が単結晶中に生成する微小欠陥の種類等を左右する。そして、熱遮蔽体の下端と融液表面との隙間からの輻射熱は、まさに融液(シリコン融点近傍)から引上げられたシリコン単結晶部分に放射されるため、シリコン融点から1350℃までの高温領域における熱履歴に与える影響が甚大である。したがって、ウェーハ全面すなわちシリコン単結晶断面面内の微小欠陥状態を均質化させる場合、融液表面位置と熱遮蔽体下端との距離を精度良く制御し、熱遮蔽体の下端と融液表面との隙間からシリコン単結晶に放射される輻射熱量を制御することが極めて有効となるのである。
[実施の形態2]
次に、実施の形態2について説明する。本実施の形態は、実施の形態1において固定値であった目標値を育成中の単結晶長さまたは単結晶重量に連動する変数とすることを特徴とする。それ以外の点については、実施の形態1と同様であるので記述を省略する。
このように、目標値を育成中の単結晶長さや重量に連動する変数とすることにより、シリコン単結晶引上げ中のそれぞれの段階に応じた最適な目標値を設定することが可能となる。したがって、一層精度の高い熱履歴の制御が可能となり、単結晶中の微小欠陥をより有効に制御することが可能となる。
なお、石英ルツボ、熱遮蔽板、熱遮蔽体の下端と融液表面との距離の目標値等の望ましい値については実施の形態1と同様である。
[実施の形態3]
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態1においては、ルツボ軸昇降装置の昇降速度を調整して、ルツボ中の融液表面と、引上げ単結晶を囲むように設けられた熱遮蔽体下端との距離を予め設定した目標値の範囲に収まるよう制御していた。本実施の形態においては、ルツボ軸昇降装置の昇降速度を調整にかえて、あるいはこれと共に、熱遮蔽体を上下動させることによって、予め設定した目標値の範囲に収まるよう制御することを特徴とする。それ以外の点については、実施の形態1または2と同様であるので記述を省略する。
このように、ルツボ軸昇降装置の昇降速度の調整にかえて、あるいはこれと共に、熱遮蔽体を上下動させることで、目標値の範囲に収まるよう制御することにより、シリコン単結晶引上げ中の引上げ単結晶の熱履歴を、より良く制御することが可能となる。すなわち、融液表面と熱遮蔽体下端との距離に加え、ヒータと引上げ単結晶との位置関係(ヒータと融液表面の位置関係)も、引上げ単結晶の熱履歴を制御する上での大きな要素となる。そのため、ルツボ軸昇降装置により融液表面を上下させて、融液表面と熱遮蔽体下端との距離を調整すると、ヒータと引上げ単結晶との位置関係が必ずしも最適の位置とならない場合が生ずる。本実施の形態によれば、例えば、ヒータと引上げ単結晶との位置関係を、まずルツボ軸昇降装置による調整で最適化する。そして、独立して、熱遮蔽体を上下動させることによって、融液表面と熱遮蔽体下端との距離を最適化する。したがって、融液表面と熱遮蔽体下端との距離とヒータと引上げ単結晶との位置関係が独立して最適化することができ、シリコン単結晶引上げ中の引上げ単結晶の熱履歴を、より良く制御することが可能となる。
上記記載した実施の形態1、2および3においては、単結晶としてシリコン単結晶を例として記載したが、本発明の適用は、必ずしもシリコン単結晶に限られず、チョクラルスキー(CZ)法を用いて引上げられる単結晶であれば、例えば、GaAs単結晶、InP単結晶等の単結晶についても適用することが可能である。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。実施の形態の説明においては、単結晶製造装置、融液表面位置測定方法、単結晶引上げ方法等で、本発明の説明に直接必要としない部分等については記載を省略したが、必要とされる単結晶製造装置、融液表面位置測定方法、単結晶引上げ方法等に関わる要素を適宜選択して用いることができる。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての単結晶引上げ方法は、本発明の範囲に包含される。
以下、本発明の実施例について図面を参照しつつ説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示した構成の単結晶製造装置を用いて、φ300mmのシリコン単結晶育成を行なった。黒鉛ルツボの内側に内径790mmの石英ルツボが収納されるルツボ2を使用した。また、熱遮蔽体11は黒鉛製で下部内径340mm、上部内径710mmのテーパ形状を有するもので、厚さ10mmのものを使用した。原料として、石英ルツボ内に300kgの多結晶シリコンを充填した。レーザ発振装置12として出力3mWのグリーンレーザ光、撮像装置13としては2次元CCDカメラを用いた。光導波物体14には石英製のピンを設置した。原料溶融後、この石英ピンの上端部にレーザ光を照射することで石英製ピン下の融液4表面にスポット15を結像させた。単結晶育成開始前に、熱遮蔽体11と融液4表面の距離が20mm、40mmとなるように設定し、CCDカメラ映像上の各々のスポット位置を確認した。この較正データを基に、スポット位置に対する融液4表面位置の算出式を構築した。この時、最初の融液4表面位置と熱遮蔽体11下端との距離をも把握しておいた。
その後、融液表面位置の測定結果に基づきルツボ軸昇降装置の昇降速度を修正しながらシリコン単結晶10の育成を行なった。この時、種結晶8のディップ(融液4への浸漬)から単結晶育成終了までの全工程で、融液表面位置と熱遮蔽体11下端との距離を30mm±0.5mmの範囲内に収めながらシリコン単結晶10を育成した。目標とした結晶特性はアニールウェーハ用結晶である。
結果として、結晶欠陥密度や不純物濃度分布等を検査したところ、シリコン単結晶の定型部分である直胴部の約80%が所望の結晶特性を満足していた。単結晶直胴部初期および後半では結晶外周部の結晶特性が規格を外れていた。
(比較例1)
レーザスポットを利用したシリコン単結晶10育成中の融液表面位置制御のみを解除する以外は実施例1と同様の条件でシリコン単結晶10育成を行なった。
融液表面位置の制御については、理論計算に基づいた融液表面位置制御を行なった。融液表面のモニタだけを行なった結果、この制御方法では、単結晶の育成が進むにつれて次第に融液表面位置が目標値より低下、すなわち、融液表面位置と熱遮蔽体11下端との距離が離れていく傾向があった。シリコン単結晶育成完了後は、融液表面位置と熱遮蔽体11下端との距離は約34mmになっており、目標値の30mmから約4mmのズレが生じていた。
このシリコン単結晶を評価した結果、シリコン単結晶の定型部分である直胴部の約76%がアニールウェーハ用結晶に要求される結晶特性を満足していた。
(実施例2)
次に、融液4表面位置と熱遮蔽体11下端との距離の目標値を、育成するシリコン単結晶長さに連動した変数とすることにより、φ300mmのシリコン単結晶育成を行なった。目標値以外の条件については実施例1と同様とした。
目標値は、ネック工程〜拡径工程終了までは55mm、直胴部工程開始〜直胴部長さ150mmまでの間に55mm→30mmへと徐々に狭くしていき、直胴部長さ150mm〜1200mmまでは30mmで一定、その後直胴部終了までに30mm→40mmへと徐々に広くし、その後は縮径工程後半以降では30mm一定となるプロファイルを作成した。
そして、融液表面位置と熱遮蔽体11下端との距離を上記目標値±0.5mmの範囲内に収めながらシリコン単結晶10を育成した。
結果として、シリコン単結晶の定型部分である直胴部の約93%が所望の結晶特性を満足していた。単結晶直胴部初期の極めて初期段階および最後部部分で若干の規格外れ部分が生じていた。
(比較例2)
レーザスポットを利用したシリコン単結晶10育成中の融液表面位置制御のみを解除する以外は実施例2と同様の条件でシリコン単結晶10育成を行なった。
融液表面位置の制御については、理論計算に基づいた融液表面位置制御を行なった。融液表面のモニタだけを行なった結果、この制御方法では、熱遮蔽体11と融液表面との距離が短縮していく過程で理論値よりも融液表面位置の上昇が遅く、逆に距離が開いていく過程で理論値よりも早く融液表面位置が下がっていく傾向にあった。シリコン単結晶育成完了後は、融液表面位置と熱遮蔽体11下端との距離は約37mmになっており、目標値の30mmから約7mmのズレが生じていた。
このシリコン単結晶を評価した結果、シリコン単結晶の定型部分である直胴部の約71%が所望の結晶特性を満足していた。
(実施例3)
図1に示した構成の単結晶製造装置を用いて、ネック工程(転位除去工程)〜拡径工程〜直胴部工程でルツボ回転数を変化させ、φ200mmのシリコン単結晶育成を行なった。黒鉛ルツボの内側に内径540mmの石英ルツボが収納されるルツボ2を使用した。また、熱遮蔽体11は黒鉛製で下部内径250mm、上部内径470mmのテーパ形状を有するもので、厚さ5mmのものを使用した。原料として、石英ルツボ内に150kgの多結晶シリコンを充填した。融液表面位置測定装置は実施例1と同様のものを使用した。ルツボ回転数を、ネック工程で15rpm、拡径工程で15rpm→6rpmへ徐々に低速化、直胴部工程で6rpm→9rpmへ徐々に高速化し、その後9rpm一定と設定した。熱遮蔽体の下端と融液表面との距離の設定は一律20mmとした。
レーザスポットを利用した熱遮蔽体の下端と融液表面との距離監視データによれば、この距離は単結晶育成中、常に設定値±0.5mm以内に制御されていた。また、最終的に結晶育成が終了した段階で測定したところ、20mmの設定に対して、実測20.3mmという結果であった。
結果として、シリコン単結晶の定型部分である直胴部の約84%が所望の結晶特性を満足していた。
(比較例3)
レーザスポットを利用したシリコン単結晶10育成中の融液表面位置制御のみを解除する以外は実施例3と同様の条件でφ200mmの無欠陥領域を有するシリコン単結晶10育成を行なった。
融液表面位置の制御については、理論計算に基づいた融液表面位置制御を行なった。レーザスポットを利用した熱遮蔽体の下端と融液表面との距離監視データによれば、ネック工程開始時に20mmと設定した距離は、拡径工程における回転数低下に伴って次第に広がり、直胴工程での回転数増加によって再び狭くなる傾向を示した。これは、ルツボ回転によって、融液に発生した遠心力により、融液表面の形状が変化していることを示している。ここで、ルツボ回転が高回転になるほど、大きな遠心力が発生するので、融液表面の形状はすり鉢状に傾斜し、低回転になるほど、融液表面形状は水平に近付く。そして、融液表面のどの領域の高さを計測するかにもよるが、今回のレーザスポット位置では熱遮蔽体の下端と融液表面との距離が設定値20mmに対して、17mmから25mmの範囲で変動していることが判明した。この変動幅には、融液表面位置制御の理論計算方式による累積誤差も加味されている。この融液表面位置の変動に伴って、育成した単結晶の直径も変動幅3mm程度の範囲で変化していた。
結果として、シリコン単結晶の定型部分である直胴部の約79%が所望の結晶特性を満足していた。
(実施例4)
図1に示した構成の単結晶製造装置を用いて、φ200mmの無欠陥領域を有するシリコン単結晶育成を行なった。黒鉛ルツボの内側に内径540mmの石英ルツボが収納されるルツボ2を使用した。また、熱遮蔽体11は黒鉛製で下部内径270mm、上部内径450mmのテーパ形状を有するもので、厚さ5mmのものを使用した。融液表面位置と熱遮蔽体11下端との距離を80mm±0.5mmの範囲内に収めながら、φ200mmの無欠陥領域を有するシリコン単結晶10を育成したこと以外は実施例2と同一の条件で行なった。
シリコン単結晶全面で無欠陥領域となった部分は直胴部の約25%であった。
(比較例4)
レーザスポットを利用したシリコン単結晶10育成中の融液表面位置制御のみを解除する以外は実施例3と同様の条件でφ200mmの無欠陥領域を有するシリコン単結晶10育成を行なった。
シリコン単結晶全面で無欠陥領域となった部分は直胴部の約17%であった。
本比較例において、結晶欠陥の存在する領域は、レーザスポットを利用した融液液面位置測定監視データから熱遮蔽体の下端と融液表面との距離が80mm+5mmをこえる領域にて顕著に出現してくることが判明した。
上記、実施例および比較例の結果より、ルツボ中の融液表面と、熱遮蔽体下端との距離を、予め設定した目標値±5mmの範囲、望ましくは目標値±0.5mmの範囲で制御しながら単結晶を育成することにより、品質の安定した単結晶を製造することが確認できた。また、目標値を育成中の単結晶長さに連動する変数とすることにより、さらに品質の安定した単結晶を製造することが確認できた。
実施の形態および実施例のシリコン単結晶製造装置の模式的縦断面図である。
符号の説明
1 炉体
2 ルツボ
3 ルツボ回転軸
4 融液
5 加熱手段
6 保温部材
7 引上げワイヤもしくはシャフト
8 種結晶
9 種結晶保持治具
10 単結晶
11 熱遮蔽体
12 レーザ発振装置
13 撮像装置
14 光導波物体
15 融液表面に形成されたスポット

Claims (7)

  1. チョコラルスキー法(CZ法)による単結晶引上げ方法であって、
    ルツボ中の融液表面と、前記ルツボ上方に、引上げ単結晶を囲むように設けられた熱遮蔽体下端との距離を、予め設定した目標値±0.5mmの範囲で制御しながら前記単結晶を育成することを特徴とする単結晶引上げ方法。
  2. チョコラルスキー法(CZ法)による単結晶引上げ方法であって、
    ルツボ中の融液表面と、前記ルツボ上方に、引上げ単結晶を囲むように設けられた熱遮蔽体下端との距離を、前記熱遮蔽体を上下動させることによって、予め設定した目標値の範囲で制御しながら前記単結晶を育成することを特徴とする単結晶引上げ方法。
  3. 前記目標値は、育成中の単結晶長さまたは単結晶重量に連動する変数とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の単結晶引上げ方法。
  4. 前記単結晶が無欠陥領域を有しない約200mmφのシリコン単結晶であり、前記ルツボ内径が内径480mm〜600mm、前記熱遮蔽板の上部内径が450mm〜570mm、下部内径が220mm〜270mm、かつ、前記目標値が目標値15mm〜30mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の単結晶引上げ方法。
  5. 前記単結晶が無欠陥領域を有しない約300mmφのシリコン単結晶であり、前記ルツボ内径が内径740mm〜850mm、前記熱遮蔽板の上部内径が710mm〜820mm、下部内径が320mm〜370mm、かつ、前記目標値が15mm〜30mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の単結晶引上げ方法。
  6. 前記単結晶が無欠陥領域を有する約200mmφのシリコン単結晶であり、前記ルツボ内径が内径480mm〜600mm、前記熱遮蔽板の上部内径が440mm〜560mm、下部内径が220mm〜310mm、かつ、前記目標値が目標値50mm〜100mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の単結晶引上げ方法。
  7. 前記単結晶が無欠陥領域を有する約300mmφのシリコン単結晶であり、前記ルツボ内径が内径740mm〜850mm、前記熱遮蔽板の上部内径が700mm〜810mm、下部内径が320mm〜410mm、かつ、前記目標値が50mm〜100mmであることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の単結晶引上げ方法。

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