JPH089099B2 - 厚鋼板の高能率すみ肉溶接方法 - Google Patents

厚鋼板の高能率すみ肉溶接方法

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JPH089099B2
JPH089099B2 JP3229454A JP22945491A JPH089099B2 JP H089099 B2 JPH089099 B2 JP H089099B2 JP 3229454 A JP3229454 A JP 3229454A JP 22945491 A JP22945491 A JP 22945491A JP H089099 B2 JPH089099 B2 JP H089099B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は厚鋼板の高能率すみ肉溶
接方法に係り、詳しくは、開先加工なしに厚板のT型す
み肉サブマ−ジア−ク溶接をする厚鋼板の高能率すみ肉
溶接方法に係る。
【0002】
【従来の技術】近年、ビルの高層化に伴い、使用される
鋼材の厚さも次第に厚くなってきた。例えば柱として使
用される、所謂ボックス柱では100mm厚さのものも
あり、また、梁として使用されるH形鋼の厚さも同様に
増加してきた。このため高層ビルに使用される部材の組
立加工に多大の時間を要するようになり、能率アップが
大きな課題となっている。
【0003】 一般に、ビルトHと言われる溶接H形鋼
のすみ肉溶接部は、部分溶込溶接若しくは完全溶込溶接
によって施工される。完全溶込溶接はウェブが比較的薄
い場合に用いられる。例えば、特公昭56−37029
号公報には、細径ワイヤを用いて板厚が約8〜16mm
のプライマー鋼板を溶接する際のピットやブローホール
の防止方法が開示されている。
【0004】しかし、ウェブ厚が厚くなると一般にウェ
ブ側に開先加工を施し、表溶接、裏ガウジング、グライ
ンダ−仕上後裏溶接を行ない、完全溶込を得る方法がと
られてきたが、開先加工、ガウジング、グラインダ−仕
上などの各工程が不可欠であり、省力化はもとよりア−
クタイム率を向上させる事が困難であった。
【0005】ところで厚鋼板のすみ肉溶接完全溶込を開
先加工、ガウジングなしで達成しようとすると種々の問
題があり、その解決がなされていなかった。一般に、薄
肉H形鋼のすみ肉溶接では溶融型フラックスが使用され
るケ−スが多い。これは溶融型フラックスの方が融点が
低く、高速溶接に適しているためであるが、高速になる
ほどビ−ド幅の狭い凸状ビ−ドになり易いという欠点が
ある。これを防止するため、フラックスを発泡させ軽質
化してビ−ド幅を広げる工夫がなされているが、融点が
低いため厚肉の大入熱溶接ではスラグが増えすぎて良好
な外観を有するビ−ドを得る事がむずかしいという問題
がある。
【0006】一方、焼成型フラックスは製法上単体酸化
物、弗化物あるいは炭酸塩の混合結合体であるため一般
に融点が高く大入熱溶接に適している。また、開先無し
溶接では溶込みを確保しなければならないため、必然的
に母材希釈が多くなり、C量の多い鋼板では高温割れが
発生し易いという問題もある。高温割れは溶接金属の化
学組成のみならず、ビ−ド断面形状にも大きく影響さ
れ、ビ−ド幅(W)に対し溶込み深さ(P)が大きい
時、すなわち、W/Pが小さい時発生し易い。従って、
高温割れを防止するためにはビ−ド幅をできるだけ広く
しなければならない、という問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、本発明は上
記問題の解決を目的とし、具体的には、開先加工するこ
となしに比較的炭素が高く、かつウェブ厚が16〜60
mmの厚鋼板の高能率すみ肉溶接方法を提案することを
目的とする。
【0008】 すなわち、本発明方法は、C:0.21
wt%以下を含有する厚鋼板を、ウェブ材ならびにフラ
ンジ材として、2電極法で開先加工なしでT型すみ肉溶
接するに当たり、このすみ肉溶接に、SiO、Mg
O、CaOの各成分の合計量60〜91wt%、TiO
、 Al、CaCOの各成分の合計量5〜3
0wt%ならびに金属粉2〜8wt%を含んで、溶接時
に添加原料が分解して発生するガス量がCO換算で2
〜10wt%で、残部が不可避的不純物から成り、かさ
比重が0.80〜1.20g/cmである焼成型フラ
ックスとともに、下記(1)式を満足するC量およびM
n:1.20〜2.50wt%を含む直径4.8〜6.
4mmのワイヤを用い、2つの電極のうち、先行極(L
極)に対する後行極(T極)の電流比(I/I)を
0.65〜1.00に保ち、先行極に3〜15°の後退
角を与え、後行極に3〜20°の前進角を与えて、溶接
することを特徴とする。
【0009】 そのほかの本発明の構成は、その変形例
とともに以下において説明する。
【0010】 以下、これら手段たる構成ならびにその
作用について詳しく説明すると、次の通りである。
【0011】 本発明者等は開先加工することなしに厚
鋼板を効率よくすみ肉サブマージアーク溶接する方法に
ついて検討を行なったところ、特定の各種成分を含んで
所定のかさ比重を有する焼成フラックスとともに、所定
の成分ならびにワイヤ径を有するワイヤを用いて2電極
サブマージアーク溶接すればよいという知見を得た。
【0012】更に進んで研究開発を行ない、この研究に
基づいて本発明は成立したものである。
【0013】本発明者等の研究結果によれば、 (1)厚鋼板の高温割れを防止しビ−ド幅を広くするた
めに焼成型フラックスのかさ比重とワイヤ径を一定の範
囲にコントロ−ルすること、 (2)スラグ巻込みを防止するためには、太径ワイヤを
用い、溶込み底部をラウンドタイプ(曲率半径大)にす
ること。なお、溶込み底部がシャ−プ(曲率半径小)に
なると、スラグ巻込みが発生しやすくなるとともに高温
割れも起り易い。また、太径ワイヤはビ−ド幅を広げる
上でも有利である。 (3)2電極サブマ−ジア−ク溶接においては、先行極
(L極)、後行極(T極)の電流比(IT/IL)もスラ
グ巻込みに影響し、一定の比であればスラグ巻込みが発
生しにくいこと、 (4)先行、後行極ト−チに一定の角度を設ける事によ
り溶込みが深く外観の良好なビ−ドが得られること、 等がわかった。そこで、上記の如く様々な検討を総合的
に行なった結果、開先加工、ガウジング、グラインダ−
などの本溶接に先立つ前加工なしで、完全溶込みならび
に部分溶込みすみ肉溶接方法を完成した。
【0014】以下、本発明法について詳しく説明する。
【0015】まず、本発明法に用いられるフラックスに
ついて説明すると、フラックスはビ−ド外観を良好に保
つ必要があるが、造滓剤としてベ−スとなるSiO2
ビ−ド幅を広くし、ビ−ド表面を平滑に保つ効果があ
る。MgOは生成スラグの融点を上げ大入熱溶接時の作
業性を改善するとともにフラックスの塩基度を上げ、溶
接金属の酸素量を低減して靭性を向上させるのに重要な
成分である。CaOはMgOと同様、生成スラグの耐火
性を向上させ、フラックスの塩基度を上げる成分として
重要であり、CaCO3として添加すればCO2発生源と
しても有効である。重要なこれらの各成分はフラックス
構成上一定以上必要であり、ビ−ド外観、フラックス耐
火性の面からこれら各成分を合計量として60wt%以
上含む必要がある。一方、これら各成分を合計量として
91wt%を超えるとフラックス融点が高くなりすぎて
ビ−ド幅が細くなり、外観も劣化するため、SiO2
MgO、CaOの各成分の合計量の値を60〜91wt
%とした。
【0016】TiO2はスラグ剥離性を改善、また、ア
−ク安定作用のある成分であり、Al23はスラグ粘性
を調整する重要な成分である。また、CaF2もスラグ
の流動性をコントロ−ルする上で重要な成分であり、こ
れらの合計が5wt%以下ではスラグ剥離性が劣化した
り、スラグの粘性が大きすぎて良好な外観のビ−ドが得
られない。
【0017】これら各成分の合計量が30wt%を超え
ると逆にスラグ粘性が小さくなりすぎたり、ア−クが不
安定になるため、TiO2、Al23、CaF2の合計量
の値は5〜30wt%とした。
【0018】これらのスラグ構成成分に加え、脱酸剤、
合金元素としての金属粉を2〜8wt%添加する必要が
ある。この添加量が2wt%未満では溶接金属の靭性を
確保することが難しいだけでなくポックマ−クが発生し
易くなる。一方、8wt%を超えると酸素量が低くなり
すぎ焼が入るため、かえって靭性を低下させる。従っ
て、金属粉は2〜8wt%とした。金属粉としては鉄
粉、フェロマンガン、フェロシリコン、フェロチタンが
使用される。
【0019】また、炭酸塩の形で含まれるガスは溶接金
属中の水素量を低減させるために必要であるが、2wt
%未満ではその効果は乏しく、10wt%を超えるとガ
スの吹上げによるビ−ド形状の劣化が生じる。従って、
添加原料が分解して発生するガス量は2〜10wt%と
した。
【0020】ところで上記組成で良好な溶接作業性を示
す事は認められたが、ア−クを安定させかつ、欠陥の無
い、幅の広いビ−ドを安定して得るために粉体特性を更
に検討したところ、粒度構成、かさ比重をも限定する事
が重要である事がわかった。すなわち、フラックスの粒
度構成は溶接作業性に顕著に影響し、メジアン径が50
0μmより小さい場合はフラックス溶融量が増加し、し
かも、フラックス流動性が悪化するため、ア−ク空洞か
らのガスの逸出が困難となりア−クが不安定化する。一
方、800μmを超えると粗くなりすぎ、溶融が不均一
となるため、この場合にもア−クは不安定となる。従っ
て、フラックス累積粒度分布において50wt%を占め
る粒子のメジアン径は500〜800μmの範囲とし
た。
【0021】また、製造上不可避な微粒子において29
5μm径以下のものは15wt%以下にしなければなら
ず、これを超えるとアンダ−カットの発生が著しくな
る。
【0022】開先加工なしで溶接する場合、最も問題と
なるのは母材希釈量が多いため、溶接金属中のC量が多
い場合には高温割れが発生し易い事である。従って、本
発明の技術のキ−ポイントはいかにして高温割れの発生
を防止するかにある。溶接金属の高温割れを防止するた
めには、溶接金属中のC量を低減する必要があるが、ビ
−ド断面形状の影響も大きい事は先に述べた通りであ
る。完全溶込みの場合はある程度溶込み深さを確保する
必要があり、溶込み深さ(P)に対しビ−ド幅(W)が
小さい場合、すなわち、W/Pが小さいときは割れが発
生し易い事からWを大きくするため、フラックスかさ比
重を小さくする必要がある。しかしながら、フラックス
のかさ比重が0.8g/cm3では軽すぎて、ア−ク空
洞を安定に保ち得ず、容易に吹きあげる。一方、1.2
0g/cm3を超えるとア−ク空洞を押えつける作用が
大きくなり、ビ−ド幅が出にくい。従って、フラックス
かさ比重は0.80〜1.20g/cm3とした。
【0023】次に、溶接用ワイヤについて説明する。
【0024】割れに最も影響する成分はCである事から
溶接金属中のC量を低減しなければならない。開先をと
らないすみ肉溶接では母材希釈が大きいため、溶接金属
C量は母材のC量に大きく影響される。すなわち、開先
なしですみ肉溶接部の溶込みを確保するためには、フラ
ンジを水平から40〜70°に立て溶接狙い位置をコー
ナー部よりややウェブ側にする必要がある。このため、
母材希釈率はウェブ側の方がフランジよりも多くなり、
最大でウェブ39%、フランジ22%になる。この知見
をもとにして、本発明者等は、ワイヤC量
(CWIRE)、ウェブC量(CWEB)およびフラン
ジC量(CFLANGE)の関係が、下記(1)式を満
足する場合、割れの発生がないことを見出した。 0.39 CWIRE+0.39 CWES+0.22
FLANGE≦0.135 (1) ここでCWIRE : ワイヤC量(wt%) CWEB : ウェブC量(wt%) ≦0.21 CFLANGE: フランジC量(wt%)≦1.21 ただしCWEB、CFLANGEの値が0.21%を超
えるとCWIREの値を著しく低減しなければならず、
技術的にもコスト的にも問題があるため、CWEB、C
FLANGEとも0.21以下にする必要がある。従っ
て、ワイヤ中のC量は(1)式により求まる。
【0025】ワイヤ中のMn量については母材Mn量に
よらず、脱酸効果と強度確保のため1.20〜2.50
wt%とする必要がある。1.20wt%未満では脱酸
不足になり易く、低C溶接金属での強度が出にくい。一
方、2.50wt%を超えると強度が出すぎて、今度は
硬さアップに伴う低温割れが起り易くなる。従って、ワ
イヤ中のMn量は1.20〜2.50wt%とした。ワ
イヤ径については4.8mm未満のワイヤではア−クが
細く、ビ−ド幅が出にくいという問題がある。また、溶
込み底部の形状が鋭くなってスラグ巻込み等の欠陥も発
生し易い。従って、ワイヤ径としては4.8mm以上と
する必要がある。一方、6.4mmを超えると剛性が大
きすぎて溶接機に負荷がかかりすぎるので、ワイヤ径は
4.8〜6.4mmとした。
【0026】次にサブマ−ジア−ク溶接方法について説
明する。
【0027】2電極法で先行極(L極)、後行極(T
極)の電流比(I/I)を0.65〜1.00とし
たのは以下の理由による。すなわち、I/Iが0.
65より小さい場合は先行極によって生じたスラグ巻込
みを後行極で浮上させ得なくなり、結果的にスラグ巻込
みが発生し易くなる。一方、I/Iが1.00より
大きくなるとT極自身の電流が大きいため、T極により
スラグ巻込みが発生する。従って、電流比I/I
0.65〜1.00とした。また、先行極に3〜15°
の後退角を後行極に3〜20°の前進角を設ける事によ
り溶込みが深く、外観の良好が得られるため、電極角度
は上記の様にした。また、溶込み確保の必要上フランジ
角度は水平から40〜70゜に立てる事が必要である。
【0028】上記の様な条件を設定しても完全溶込み法
が適用できるのはウェブ板厚が16〜36mmまでであ
る。すなわち、ウェブ厚が36mm超の場合、完全溶込
みを指向すると、溶込みが深くなりすぎ、幅の狭いビ
−ドとなって高温割れが起り易く、また、母材希釈量
が大きくなって高温割れが起り易いという問題がある。
【0029】従って、ウェブ厚が16〜36mmまでは
完全溶込みを、36mm超〜60mmまでは部分溶込み
(両側ビ−ドの溶込みがウェブ厚の1/3以上)を開先
加工なしで溶接することが可能である。60mm超の場
合には開先加工が必要となるため適用限界は60mmま
でとした。
【0030】図1はT型すみ肉溶接を示す説明図であ
り、図2は完全溶込みT型すみ肉溶接部の説明図であ
り、図3は部分溶込みT型すみ肉溶接部の説明図であ
る。符号1はウェブ、2はフランジ、3はビ−ドを示
す。
【0031】
【実施例】次に、本発明法の実施例について説明する。
【0032】実施例1. 表1に示す化学組成および粉体特性を有する焼成型フラ
ックスを調整し、このフラックスを用いて表2に示すウ
ェブ厚22mm、フランジ36mmのJIS規格SM−
50A鋼板を図1の如くウェブ1とフランジ2とをT型
に組み、すみ肉溶接を行なった。なお、用いたワイヤの
化学組成を表3に、また、溶接条件を表4に示す。フラ
ンジは水平から60°立てて溶接した。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】
【表4】
【0037】溶接時のア−クの安定性、ビ−ド外観観
察、ビ−ド断面形状観察、溶接金属の酸素量と靭性の関
係などについて調べた結果を表5に示す。
【0038】
【表5】
【0039】表5から明らかなように本発明フラックス
によればいずれの場合も良好なすみ肉溶接作業性を示
し、得られた溶接金属の靭性も良好であるのに対し、フ
ラックスの化学組成や粉体特性が本発明フラックスの適
正条件からはずれている比較フラックスB−1〜B−7
によれば、溶接作業性、溶接金属の靭性の全てにわたっ
て同時に満足する事はできなかった。
【0040】すなわち、比較フラックスB−1はTiO
2、Al23、CaF2の各成分の合計量の値が4.3%
と低く、スラグ剥離性が悪いのと同時にガス発生量が少
ないため、拡散性水素量が多くなり、溶接金属中に水素
による微小割れが認められた。
【0041】比較フラックスB−2ではSiO2、Mg
O、CaOの各成分の合計量が適正域からはずれてお
り、耐火性に欠けるためビ−ド表面の凹凸が激しかっ
た。また、細粒フラックスの割合が多く、かさ比重が
1.29g/cm3と高いためビ−ド幅も狭く、溶込み
先端形状が鋭くなってスラグ巻込みが認められた。
【0042】比較フラックスB−3では粒度構成上29
5μmより細かい粒子が16.8%と多いため、溶接
時、ガスが逸出しにくくア−クが不安定であった。ま
た、かさ比重も1.28g/cm3と大きいため、比較
フラックスB−2と同様にスラグ巻込みが発生した。
【0043】比較フラックスB−4では合金元素および
脱酸剤としてのフェロマンガン金属粉添加量が少なく、
ビ−ド表面にポックマ−クが発生するとともに、溶接金
属中酸素量が多いため靭性が低かった。また、フラック
スかさ比重も小さいため、ア−ク空洞を押えつける力が
小さく、ア−クが不安定であった。
【0044】比較フラックスB−5ではガス発生量が多
すぎるため、溶接時の吹上げが激しくア−クが安定しな
かった。また、粒度構成上粗粒のものが多く、フラック
スの溶融も不均一であった。
【0045】比較フラックスB−6では化学組成が本発
明フラックスの適正域からはずれており、融点が高く粘
性が小さすぎるため、ビ−ドが細く割れの危険性が大き
い事、また、合金元素および脱酸剤としてのフェロマン
ガン金属粉が添加されていないため、ポックマ−クの発
生、溶接金属中酸素量増加に伴う、靭性低下が認められ
た。
【0046】比較フラックスB−7では合金元素および
脱酸剤としての金属粉添加量が多すぎるために、脱酸が
すすみすぎて逆に焼が入りすぎ溶接金属靭性が劣化し
た。また、フラックスかさ比重が大きすぎるため、ビ−
ド幅が狭く、溶込みが深くなって梨形ビ−ド状となって
高温割れが起った。
【0047】実施例2.実施例1で用いた本発明フラッ
クスA−2と比較フラックスB−1を用い、母材、ワイ
ヤ溶接条件の影響について調べた。
【0048】表6に用いた鋼板の化学組成、表7にワイ
ヤの化学組成、表8に溶接条件を示す。
【0049】
【表6】
【0050】
【表7】
【0051】
【表8】
【0052】これらのフラックス、鋼板、ワイヤ、溶接
条件を適宜組合せて完全溶込みT型すみ肉溶接を行なっ
た。その結果を表9に一括して示した。
【0053】
【表9】
【0054】本発明例では欠陥の無い良好な完全溶込み
すみ肉溶接が可能であるが、比較例ではいずれも何らか
の問題があった。
【0055】すなわち、比較例G1では溶接条件のうち
電流比が0.63と小さいためスラグ巻込みが発生し
た。比較例G2ではワイヤ径が細く、ビ−ド幅が出ず、
溶込み先端のとがったビ−ドとなってスラグ巻込みが発
生し、割れの危険性も大であった。
【0056】比較例G3ではワイヤMn量が少なく一部
ブロ−ホ−ルが発生するとともに、強度が不足してい
た。
【0057】比較例G4〜G6では母材あるいはワイヤ
のC量が多いため、高温割れが発生した。
【0058】比較例G7では本発明フラックスA−2を
比較フラックスB−1に変え、母材、ワイヤ、溶接条件
は最適に設定したが、すでに表5で説明した通り、ビ−
ド外観、内部欠陥に問題が生じた。
【0059】比較例G8では、L極のT極に対する比が
1.08と大きいため、T極自身のガウジング作用によ
るスラグ巻込みが発生した。
【0060】比較例G9では溶接条件のうち電極角度が
先行極で0°と後行極で25°の前進角なので溶込みが
不足し、ビ−ド外観も悪かった。
【0061】以上のように満足な結果が得られるのは本
発明フラックスの範囲のみの場合であった。
【0062】この方法をウェブ厚36mm超の場合完全
溶込み溶接に適用すると、図2の如く溶込みが深くなり
すぎビ−ド幅の狭いビ−ドとなって高温割れが起り易い
のと同時に母材希釈量が大きく、やはり高温割れが起り
易くなった。
【0063】表6のC−1と同様の化学組成を有するウ
ェブ厚40mmのT型すみ肉溶接を表7のワイヤ記号D
−1を用いて種々溶接条件の選定を行なったが、いずれ
の場合も完全溶込みでは割れが生じたが36mmまでの
場合は割れなかった。しかしながら、ウェブ厚の1/3
の溶込みを確保すれば良い図3の部分溶込み法では、ウ
ェブ厚36mm超えでも問題はなく60mmまでは適用
可能であった。従って、本発明法は開先無しでウェブ厚
36mmまでは完全溶込み法、36mmを超え60mm
までは部分溶込み法で実施できる。
【0064】
【発明の効果】以上詳しく説明したように、本発明は、
前記フラックスと、ワイヤを用い、前記溶接条件で開先
加工なしでウェブ厚が16〜60mmの厚肉T型すみ肉
溶接ができるため、従来の行なっていた開先加工、裏ガ
ウジング、グラインダ−がけ等の作業を完全に省略する
ことができコスト削減、短納期など工業的に極めて有効
な技術である。
【図面の簡単な説明】
【図1】T型すみ肉溶接を示す説明図である。
【図2】完全溶込みT型すみ肉溶接部の説明図である。
【図3】部分溶込みT型すみ肉溶接部の説明図である。
【符号の説明】
1 ウェブ 2 フランジ 3 ビ−ド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 三郎 東京都千代田区内幸町2丁目2番3号 川 崎製鉄株式会社 東京本社内 (72)発明者 中島 松重 香川県丸亀市昭和町18番地 四国鉄工株式 会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.21wt%以下を含有する厚鋼
    板を、ウェブ材ならびにフランジ材として、2電極法で
    開先加工なしでT型すみ肉溶接するに当たり、このすみ
    肉溶接に、SiO、MgO、CaOの各成分の合計量
    60〜91wt%、TiO、Al、 CaCO
    の各成分の合計量5〜30wt%ならびに金属粉2〜
    8wt%を含んで、溶接時に添加原料が分解して発生す
    るガス量がCO換算で2〜10wt%で、残部が不可
    避的不純物から成り、かさ比重が0.80〜1.20g
    /cmである焼成型フラックスとともに、下記(1)
    式を満足するC量およびMn:1.20〜2.50wt
    %を含む直径4.8〜6.4mmのワイヤを用い、2つ
    の電極のうち、先行極(L極)に対する後行極(T極)
    の電流比(I/I)を0.65〜1.00に保ち、
    先行極に3〜15°の後退角を与え、後行極に3〜20
    °の前進角を与えて、溶接することを特徴とする厚鋼板
    の高能率すみ肉溶接方法。
  2. 【請求項2】 前記厚鋼板から成るウェブ材の厚みが1
    6〜60mmであることを特徴とする請求項1記載の厚
    鋼板の高能率すみ肉溶接方法。
  3. 【請求項3】 前記すみ肉溶接がサブマージアーク溶接
    であることを特徴とする請求項1記載の厚鋼板の高能率
    すみ肉溶接方法。
  4. 【請求項4】 前記金属粉が鉄粉、フェロマンガン、フ
    ェロシリコンまたはフェロチタンであることを特徴とす
    る請求項1記載の厚鋼板の高能率すみ肉溶接方法。
  5. 【請求項5】 前記焼成フラックスの累積粒度分布は、
    50wt%を占める粒子のメデアン径が500〜800
    μmであり、不可避的微粒子である粒子径295μm以
    下の粒子が前記フラックス全体の15wt%以下である
    ことを特徴とする請求項1記載の厚鋼板の高能率すみ肉
    溶接方法。
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