JPH088901Y2 - キャニスタの取付構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は自動車の燃料タンク等から発生した燃料蒸気
を捕集して大気中への放出を防ぐキャニスタ、特にその
車体への取付構造に関するものである。

［従来技術］ キャニスタは活性炭等の燃料蒸気吸着剤を充填した容
器を備え、その容器の上面には燃料タンク等に通じる燃
料蒸気導入口と、エンジンの吸気系に通じる燃料蒸気導
出口を設けるとともに、底面には大気に通じる大気導入
口を設けた構造となっている。

そして、エンジン停止時に燃料タンク等から燃料蒸気
導入口を経て容器内に導入された燃料蒸気を蒸気吸着剤
で吸着して大気中への放出を防ぎ、エンジン作動時に吸
気系の負圧により空気を大気導入口から容器内へ導入し
て吸着剤に吸着している燃料蒸気を離脱させ、上記燃料
蒸気導出口を経て吸気系へ供給するようになっている。

このキャニスタは一般にエンジンルームの縦壁、即
ち、エンジンルームと車室とを仕切るダッシュパネル
や、エンジンルームの左右のフェンダ内板等に取付けら
れる。

取付構造としては、第７図および第８図に示すよう
に、容器１の側面に、左右一対の縦方向のリブ51a′、5
1b′を備え、これ等リブ51a′、51b′の外側縁が上方へ
向けて相互の間隔が広がるテーパ状をなす取付部５′を
設ける一方、車体側には、第４図に示すように左右に上
方へ向けて相互の間隔がテーパ状に広がる嵌合部62a、6
2bを有するリテーナ６を設け、上記取付部５′をリテー
ナ６に、上方から嵌入する構造のものがある。なお、図
例のものは、リブ51a′、51b′は中間部を省略して計量
化した構造としてある。

［本考案が解決しようとする課題］ ところが、エンジンルームには、周壁に近接する位置
にまで各種機器が満載されている。一方、キャニスタ
は、燃料タンクからの配管が車両の底部にあることか
ら、エンジンルーム周壁の下部に配するのが望ましいの
であるが、下部は特に機器が密集しているので取付場所
が制約される。

キャニスタの取付には、上記のようなテーパ状嵌合形
式では、設置場所以外に、その上方に、リテーナへの嵌
入のためのスペースを必要とする。従って車種によって
は上方に充分なスペースが得られず、キャニスタ取付作
業性が極めて悪い。

そこで本考案は上記の実情に鑑み、キャニスタ取付場
所の制約を緩和し、取付作業を容易にすることを目的と
する。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、車種によっては、キャニスタ取付場所とし
て、縦方向のスペースよりも横方向（水平方向）のスペ
ースが確保しやすい場所や、また車種によってはその逆
の場合もあることに着目してなされたもので、キャニス
タ容器の側面に突設した取付部の左右の側縁とともに、
上下の端縁もテーパ状に形成したことを特徴とする。

［作用、効果］ 本考案の取付構造によれば、リテーナを縦方向に設置
すればキャニスタを従来と同様に上方からリテーナに嵌
入し取付部の左右のテーパでリテーナに係止することが
できる。かつ、リテーナを横方向に設置することで、キ
ャニスタを水平方向からリテーナに嵌入し、取付部の上
下のテーパでリテーナに係止することができる。

従って、キャニスタは上方向および水平方向のいずれ
からも嵌入可能で、キャニスタ設置場所の制約が緩和さ
れるとともに、取付作業も容易となる。

［実施例］ 第１図ないし第３図に示すように、キャニスタ容器１
は上面に燃料上記導入口２および燃料上記導出口３を備
え、下面に大気導入口４を備えた筒状体で、側面に取付
部５が突設してあり、中に活性炭が充填される。容器１
は合成樹脂の一体成形体である。

取付部５は四角形で、左右の側縁51a、51bは容器１の
本体側面との間にＶ字形の溝を形成する傾斜面としてあ
り、これ等両側縁は相互の間隔が上方へ向けて広くなる
テーパ状としてある。また上下の端縁51c、51dも上記側
縁51a、51bと同様の傾斜面で左方向に相互の間隔が広く
なるテーパ状としてある。左右の側縁51a、51bでなすテ
ーパと上下の端縁51c、51dでなすテーパとは同一形状で
方向は直角の関係にある。

取付部５は、平面をなす上下、左右の外周ランド部52
を残して中心部は肉抜きがしてあり、ランド部52の下部
中央および右部中央は切欠き部53、54としてある。

第４図ないし第６図はリテーナを示すもので、リテー
ナ６は金属板よりなの、平板状の本体61の両側縁は鋭角
状に折返して、上記取付部５を嵌合する嵌合部62a、62b
としてあり、この嵌合部62a、62bは一方の方向に相互の
間隔が広がるテーパ状をなしている。本体61には上記テ
ーパの拡開側の上端中央に切欠き63を設け、その底部に
突起64を形成し、突起64の先端は嵌合側へ突出する突出
部65としてある。

上記構造のキャニスタ容器１およびリテーナ６におい
て、容器１を上方から取付けるときは、リテーナ６を第
４図に示すようにテーパ状嵌合部62a、62bの拡開側を上
にしてエンジンルームのダッシュパネルまたはフェンダ
内板にスポット溶接する。そしてこのリテーナ６のテー
パ状嵌合部62a、62bにキャニスタの取付部５を上から嵌
入する。そしてリテーナ本体61の上記突出部65が取付部
５のランド部52の上部に弾接することで容器１はリテー
ナ５に固定される。

一方、容器１を横方向、即ち水平方向から取付けると
きは、リテーナ５を水平方向に倒した状態で設置し、キ
ャニスタ容器１の取付部５を横方向からリテーナ５に嵌
入固定するのである。

しかして本考案の取付構造では、キャニスタを縦方向
および横方向のいずれからでも取付けることができるか
ら、取付場所の選定およびエンジンルーム周壁まわりの
機器設置の自由度が大きくなる。また、特定の場所に取
付けるとしても、その場所が縦方向スペースが大きいと
きは上方から、横方向スペースが大きいときは横方向か
ら取付けることができ、取付作業を容易にする。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は本考案の実施例を示すもので、第
１図はキャニスタ容器の正面図、第２図は第１図に示す
容器の右側面図、第３図は同容器の平面図、第４図はリ
テーナの正面図、第５図は第４図のＶ−Ｖ線断面図、第
６図は第４図のリテーナの端面図、第７図は従来のキャ
ニスタ容器の正面図、第８図は第７図のVIII−VIII線断
面図である。 １……キャニスタ容器 ５……取付部 51a、51b……左右の側縁 51c、51d……上下の端縁 ６……リテーナ 62a、62b……嵌合部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】燃料蒸気吸着剤を収納するキャニスタ容器
   の側面に取付部を突設する一方、車体にはリテーナを設
   けて上記取付部とリテーナとをテーパ状に嵌合せしめる
   ようになしたキャニスタの取付構造において、上記取付
   部の左右の側縁を上方に向けて相互の間隔が広がるテー
   パ状に形成するとともに、上下の端縁を左右の側縁と同
   形で左方向または右方向のいずれかへ向けて相互の間隔
   が広がるテーパ状に形成し、上方向および横方向から上
   記取付部をリテーナに嵌合可能としたことを特徴とする
   キャニスタの取付構造。