JPH0886655A - 傾斜測定器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【構成】 Ｔ字型フレーム３の基端部と直線型フレーム
２の中央部を互いに回動自在に軸支し、直線型フレーム
２の上部と下部に同直線型フレーム２と直角の方向に腕
部材を固定して取り付け、上部の腕部材に重錘付きの吊
り糸の上端を固定し、下部の腕部材に同腕部材の長手方
向に目盛を施した傾斜測定器１である。前記上部腕部材
４ａと下部腕部材４ｂとの間に補助腕部材４ｃを上下方
向に回動可能に取り付け、また、Ｔ字型フレーム３を縦
フレーム３ａと横フレーム３ｂとで形成し、横フレーム
３ｂを縦フレーム３ａの端部に回動可能に取り付る。 【効果】 Ｔ字型フレームの利用により測定器を安定に
支持でき、測定作業を一人で行うことができる。被測定
面の高低や測定作業場所の環境条件などに応じてＴ字型
フレームと補助腕部材を利用することにより、測定対象
範囲を拡大することができる。軽量で持ち運びに便利で
ある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、工事などに先立ち、家
屋や塀などの工作物の垂直度を測定するための傾斜測定
器に関する。

【０００２】

【従来の技術】特に家屋に近接して行われる下水道工事
あるいは道路工事等の公共工事においては、土留め矢板
施工時の振動やまた水替えによる地盤沈下等により、し
ばしば工事に起因する家屋損傷などの損失補償の問題が
生じる。

【０００３】このような問題に対処するため、従来よ
り、工事着手前に家屋や塀などのいわゆる工作物の事前
調査が行われている。

【０００４】この調査の目的は、工事後に家屋の持主よ
り主張される工作物の変形や傾きなどが、本当に工事に
起因するものであるか、あるいは工事前から存在してい
たものであるかを明確にすることであり、そのため、特
に工事後に主張される可能性の高い工作物の変形や傾き
などを中心に調査が行われる。

【０００５】工作物の変形や傾きなどの調査の一つとし
て垂直度の測定があり、そのための測定器として傾斜測
定器が使用されている。従来一般に使用されている傾斜
測定器は、気泡計を用いる形式のもの、重錘を用いる形
式のもの、および重錘と気泡計を併用する形式のものに
大別される。

【０００６】気泡計を用いる測定器の代表的なものは、
測定器の本体をなすフレームなどに気泡計を取り付け、
フレームを直接あるいはフレームの腕部を被測定面に当
接させて、そのときの気泡計の気泡の位置から垂直度を
みるものである。

【０００７】重錘を用いる測定器の代表的なものは、測
定器の本体をなすフレームなどの上端側に重錘付きの吊
り糸の上端を固定し、フレームを直接あるいはフレーム
の腕部を被測定面に当接させて、そのときの重錘の先端
あるいは糸の下端部の基準位置からのずれ量から、垂直
度をみるものである。この形式の測定器では、重錘の先
端あるいは糸の下端部の基準位置からのずれ量を機械的
あるいは電気的に検出して表示する計器を取り付けたも
のもある。また、回動式の重錘を用い、重錘と連動して
動く指針により垂直度をみるものもある。

【０００８】重錘と気泡計を併用する形式のものは、重
錘を用いる形式の測定器の零点調整のために気泡計を取
り付けたものである。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】従来の傾斜測定器のう
ち、気泡計を用いる測定器は、構造が簡単で安価であ
り、また使用方法も簡単で使いやすいという利点があ
る。しかし、測定精度が低いので、概略の垂直度を知る
だけでよい場合は簡便な測定器として便利であるが、精
密な測定を必要とする場合には不適格である。

【００１０】また、重錘を用いる測定器は、構造も比較
的簡単であり、原理的には測定精度も高い筈のものであ
るが、実際の測定器においては、基準位置の設定が不正
確であったり、使用中に基準位置そのものがずれたりし
て、精度が低下することがある。また、測定の際に、測
定器を支持する人と重錘の先端あるいは糸の下端部の基
準位置からのずれ量を読み取る人の２名の測定者を必要
とする。

【００１１】他方、基準位置からのずれ量を機械的ある
いは電気的に検出して表示する計器を取り付けた測定器
は、測定結果を高い精度で表示することができるが、計
器部分は一種の精密機器であり、乱暴に取り扱われるこ
ともしばしばある土木建築現場などでは、計器に故障が
生じやすいという問題がある。

【００１２】重錘式の測定器に気泡計を取り付けると、
作業現場などにおいても基準位置の設定と維持を容易に
行うことができるが、２名の測定者を必要とすることに
変わりはない。

【００１３】さらに、重錘を用いる従来の測定器は、た
とえば高さの著しく異なる塀の垂直度を測定する場合、
１台の測定器で測定できる塀の高さ範囲が狭く、２台の
測定器を必要とするという問題がある。

【００１４】本発明は、上記従来の傾斜測定器の問題に
鑑み、構造が比較的簡単で故障が生じ難く、測定作業が
一人で容易にでき、かつ１台の測定器で測定可能な対象
範囲が広い傾斜測定器を提供することを目的とする。

【００１５】

【課題を解決するための手段】上記目的は、Ｔ字型フレ
ームの基端部と直線型フレームの中央部を互いに回動自
在に軸支し、前記直線型フレームの上部と下部に同直線
型フレームと直角の方向に腕部材を固定して取り付け、
前記上部の腕部材に重錘付きの吊り糸の上端を固定し、
前記下部の腕部材に同腕部材の長手方向に目盛を施した
傾斜測定器とすることによって達成することができる。

【００１６】ここで、前記直線型フレームの上部腕部材
と下部腕部材との間に補助腕部材を上下方向に回動可能
に取り付けることができる。

【００１７】また、前記Ｔ字型フレームを縦フレームと
横フレームとで形成し、横フレームを縦フレームの端部
に回動可能に取り付けたものとすることもできる。

【００１８】

【作用】本発明の傾斜測定器は、たとえば、家屋の壁や
塀などの被測定面に直線型フレームの上部及び下部の腕
部材の先端を当接させて傾斜を測定するものである。

【００１９】被測定面が垂直でないときは、上部腕部材
から吊り下げられた重錘の先端あるいは糸の下端部は、
下部腕部材に施された目盛の基準位置からずれるので、
このずれ量から垂直度を知ることができる。

【００２０】測定時において、Ｔ字型フレームを直線型
フレームの下端側に位置させたときは、このＴ字型フレ
ームは直線型フレームの支持脚として機能するので、壁
や塀などの下端の床面あるいは地面が平坦な場合は、Ｔ
字型フレームを支持脚として利用する。

【００２１】Ｔ字型フレームを回動させて直線型フレー
ムの上端側に位置させたときは、このＴ字型フレームは
直線型フレームの吊り下げ具として機能するので、壁や
塀などの下端の床面あるいは地面の凹凸が大きい場合や
側溝がある場合などには、Ｔ字型フレームを吊り下げ具
として利用する。

【００２２】補助腕部材は、壁や塀などの高さが低くて
上部腕部材が被測定面に当接しない場合に、この補助腕
部材を下向きに回動させ、補助腕部材と下部腕部材とを
被測定面に当接して測定を行う。

【００２３】Ｔ字型フレームを縦フレームと横フレーム
とで形成し、横フレームを縦フレームの端部に回動可能
に取り付けたものとすれば、床面や地面あるいは塀の上
面などに多少の凹凸がある場合でも、横フレームを回動
させることにより、直線型フレームを安定的に支持ある
いは吊り下げることができる。

【００２４】

【実施例】図１は本発明の実施例を示す傾斜測定器の斜
視図、図２は図１の傾斜測定器の正面図、図３〜図５は
図１の傾斜測定器の使用状態の例を示す斜視図である。

【００２５】本実施例の傾斜測定器１は、直線型フレー
ム２と、この直線型フレーム２の中央部に基端部を回動
自在に軸支したＴ字型フレーム３と、直線型フレーム２
の上部に固定した上部腕部材４ａおよび下部に固定した
目盛付き下部腕部材４ｂと、上部腕部材４ａから吊り下
げた重錘５を主要な構成とする。

【００２６】直線型フレーム２、Ｔ字型フレーム３およ
び上下部腕部材４ａ，４ｂはいずれもアルミニウム製の
角パイプを加工したものであり、直線型フレーム２とＴ
字型フレーム３は長さ約１０００ｍｍ、上下部腕部材４
ａ，４ｂは長さ約１５０ｍｍである。

【００２７】直線型フレーム２には、上部と下部に上部
腕部材４ａと下部腕部材４ｂを固定して取り付け、その
中間に補助腕部材４ｃを上下方向に回動可能に取り付け
ている。さらに、上部に校正用の気泡計６を取り付けて
いる。

【００２８】Ｔ字型フレーム３は、縦フレーム３ａと横
フレーム３ｂとで形成し、横フレーム３ｂを縦フレーム
３ａの端部に回動可能に取り付け、さらに横フレーム３
ｂの両端に合成ゴム製の緩衝材３ｃ，３ｄを回動可能に
取り付けている。

【００２９】上部腕部材４ａには、重錘５の吊り糸５ａ
の上端を固定して取り付けている。下部腕部材４ｂに
は、目盛７を施している。この目盛７は、上部腕部材４
ａと下部腕部材４ｂを垂直面（基準面）に当接したとき
の吊り糸５ａの通る位置を基準位置とし、この基準位置
からの偏位量を表示している。この偏位量は被測定面の
傾斜度を表すものでもある。

【００３０】図３は高い塀の垂直度を測定する場合の測
定器１の使用状態を示す斜視図である。高い塀の場合
は、Ｔ字型フレーム３を直線型フレーム２の支持脚とし
て地面に斜めに立て、上部腕部材４ａと下部腕部材４ｂ
を被測定面に当接させて測定する。

【００３１】図４は低い塀の垂直度を測定する場合の測
定器１の使用状態を示す斜視図である。低い塀の場合
は、上部腕部材４ａが被測定面に当接しないので、この
ようなときは、補助腕部材４ｃを下方に回動して、補助
腕部材４ｃと下部腕部材４ｂを被測定面に当接させて測
定する。

【００３２】図５は被測定面の直下に側溝がある場合の
測定器１の使用状態を示す斜視図である。測定器１を立
てる位置に側溝があると、Ｔ字型フレーム３を支持脚と
して利用することができないので、このようなときは、
同図に示すように、Ｔ字型フレーム３を上方に回動さ
せ、横フレーム３ｂを塀の上面に載せて、Ｔ字型フレー
ム３を吊り下げ具として利用する。

【００３３】

【発明の効果】本発明によれば以下の効果を奏すること
ができる。

【００３４】（１）構造が比較的簡単で故障が生じにく
い。

【００３５】（２）Ｔ字型フレームを利用することによ
り測定器を安定に支持することができ、測定作業を一人
で容易に行うことができる。

【００３６】（３）被測定面の高低や測定作業場所の環
境条件などに応じてＴ字型フレームと補助腕部材を利用
することにより、測定対象範囲を拡大することができ
る。

【００３７】（４）軽量で持ち運びに便利である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施例を示す傾斜測定器の斜視図で
ある。

【図２】 図１の傾斜測定器の正面図である。

【図３】 図１の傾斜測定器の使用状態を示す斜視図で
ある。

【図４】 図１の傾斜測定器の別の使用状態を示す斜視
図である。

【図５】 図１の傾斜測定器のさらに別の使用状態を示
す斜視図である。

【符号の説明】

１ 傾斜測定器 ２ 直線型フレーム ３ Ｔ字型フレーム ３ａ 縦フレーム ３ｂ 横フレーム ３ｃ，３ｄ 緩衝材 ４ａ 上部腕部材 ４ｂ 下部腕部材 ４ｃ 補助腕部材 ５ 重錘 ５ａ 吊り糸 ６ 気泡計 ７ 目盛

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 Ｔ字型フレームの基端部と直線型フレー
   ムの中央部を互いに回動自在に軸支し、前記直線型フレ
   ームの上部と下部に同直線型フレームと直角の方向に腕
   部材を固定して取り付け、前記上部の腕部材に重錘付き
   の吊り糸の上端を固定し、前記下部の腕部材に同腕部材
   の長手方向に目盛を施した傾斜測定器。
2. 【請求項２】 前記直線型フレームの上部腕部材と下部
   腕部材との間に補助腕部材を上下方向に回動可能に取り
   付けた請求項１記載の傾斜測定器。
3. 【請求項３】 前記Ｔ字型フレームを縦フレームと横フ
   レームとで形成し、横フレームを縦フレームの端部に回
   動可能に取り付けた請求項１または２記載の傾斜測定
   器。