JPH0885808A - ステーブクーラー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、高炉の冷却方式を鉄皮を流用し
て、冷却盤方式からステーブ方式への変更を可能とする
ステーブクーラーの構造に関する。 【構成】 ステーブクーラーに鋳込まれた複数の冷却管
の給水管群、排水管群をそれぞれ１カ所に集めたステー
ブクーラー構造。給水管群、排水管群を既設冷却盤の開
孔・ハウジング位置に設けた特長を有する。ステーブク
ーラー内に鋳込んだ配管は外周部を冷却する２本の冷却
管と内面を冷却する２本の配管で構成され、ステーブク
ーラー支持ボルトの位置が冷却盤取付け用の開孔部にあ
る特徴も有している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は竪型炉、特に高炉の炉体
冷却装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】ステーブクーラーは多くの高炉に採用さ
れている冷却方式である。これらのステーブクーラー
は、鉄皮内面に壁状に配置され、それぞれが鉄皮と数本
のボルトとナットで固定されると共に、ステーブクーラ
ー内に配設された配管と接続した炉外からの配管を通じ
て供給される冷却水により、炉内の内容物やガスからの
高熱を遮断し、鉄皮を保護している。

【０００３】図７は従来構造ステーブクーラーを取付け
た状態の一部の展開図である。図６は従来方式によるス
テーブクーラーの構造断面図である。それぞれのステー
ブクーラー（１）は板状の鋳鉄塊と鋳鉄塊の中に鋳込ま
れた４ないし１０本のそれぞれ独立した複数の冷却管
（２）よりなっている。これらの冷却管（２）は入口管
が１ないし４本、出口管においても１ないし４本ずつを
まとめて鉄皮の外側に取出すため、鉄皮には１本のステ
ーブクーラーに対し、それぞれの開孔にガスシール金物
（２０）を炉外側に溶接した特殊な形状を持っている複
数個の開口部が設けられている。ステーブ連絡管（１
７）は隣接するステーブクーラーの入口側（３）と出口
側（４）の配管を鉄皮外面で接続している。

【０００４】図５は従来方式の冷却盤を鉄皮に取付けた
状態の断面図である。冷却盤方式はこれまで多くの高炉
に使われていた冷却方法である。高炉の炉内側は耐火物
が内張りされており、冷却盤（１８）は高炉の鉄皮（１
６）開孔部を通して内張耐火物（１９）の中に挿入さ
れ、冷却盤内に炉外から供給される冷却水により炉内側
からの高温に対して耐火煉瓦や鉄皮を冷却、保護してい
る。耐火煉瓦の損耗とともに冷却盤は高炉内に露出し、
時には破損することもある。

【０００５】したがって、破損しにくい、長寿命の期待
できる優れた冷却方式として冷却盤からステーブクーラ
ー方式に、高炉改修時期に冷却方式を変更する高炉が多
いが、従来技術によるステーブクーラーでは鉄皮の開孔
位置・形状が冷却盤用とステーブ用では冷却管の取出し
方が異なるため、冷却盤用の古い鉄皮を再度利用するこ
とが難しかった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】従来構造のステーブク
ーラーの場合、ステーブクーラーの寿命に大きく影響す
る外周部の冷却は上下、左右に配した４本のパイプによ
りなされている。このため、それぞれのパイプとパイプ
の間は非冷却部が存在するため局部的に冷却能の低下す
る部分が少なくとも４カ所は存在していた。

【０００７】また、十分なる冷却能をステーブクーラー
に与えるため１枚のステーブクーラーに必要な配管数は
６本から１０本となり、給排水管を炉外へ取出すための
開口部の数は１枚のステーブクーラーで４ないし６カ所
必要となり、鉄皮設計においては給排水管の取出し部の
開孔大きさと間隔を反映しなければならない。既設の冷
却盤高炉用の鉄皮を更新せずに使用しようとする場合、
膨大な数の冷却盤用開孔部を同じ厚さの鉄皮で塞ぐとと
もに、ステーブクーラー用の給排水管取出し用の開孔部
を新たに設け、ガスシール・プレートを新たに溶接する
という加工を現場で行わねばならず大工事となり、鉄皮
を流用することは現実には不可能であった。仮に流用し
た場合でも、既設の鉄皮は長年の使用により変形を生じ
ていることが多くステーブクーラー据付の際に精度よく
施工したり、工期を延長せずに施工することが難しかっ
た。

【０００８】従来型ステーブクーラーは鉄皮に支持され
るためにステーブクーラー鋳造時に予め設けられたボル
ト固定用の孔と鉄皮の孔を貫通する数本のボルトにより
炉外側でナットにより固定されている。既存の鉄皮を流
用してステーブクーラーを取付ける場合、鉄皮が長時間
の使用により変形していることがあり、据付作業は困難
であった。本発明は、冷却盤方式の鉄皮を流用して、冷
却盤方式からステーブ方式に短期間に変更を可能とする
ステーブクーラーを提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】高炉の炉体冷却用のステ
ーブクーラーにおいて、ステーブクーラー鉄皮側の冷却
管の入口管を１カ所の給水部に集合させて配置し、排水
管を１カ所の排水部に集合させて配置したことを特徴と
するステーブクーラーである。

【００１０】またステーブクーラー冷却管の給水部、排
水部を冷却盤方式の高炉鉄皮の冷却盤取付け用の開孔部
に対応した位置に、設置したことを特徴とする。

【００１１】さらに、ステーブクーラー外周冷却用の２
本の冷却管を配したことを特徴とする。

【００１２】また、さらにステーブクーラーを支持する
ボルトの位置が冷却盤取付け用の開孔部に対応する位置
に有することを特徴とする。

【００１３】

【作用】本発明はステーブクーラーの冷却管の給水管と
排水管の給水部、排水部を各々１カ所に集めるととも
に、それぞれを水平一列に配置、その位置を鉄皮の冷却
盤取付け用の開孔部に対応させることにより、新たな開
孔部やガスシール金物を設けることなく、既存の開孔部
を通して冷却盤用ハウジングをステーブ用のガスシール
金物として利用できる。前述の新たに開孔する従来のス
テーブ取付けの場合に比べて工事費が少なく、工事費を
節減し工期を短縮できる。

【００１４】また、通常従来型のステーブクーラーの外
周部は縦方向２本、横方向２本の配管群により冷却され
ているが、本発明は、ステーブクーラーに鋳込まれた外
周用冷却管を２本とすることにより、給排水管取出し部
における配管数を減らすことができるとともに、４本の
配管で外周部を構成した場合に比べて各配管の給排水部
間に生じる非冷却帯を減少させることができ、ステーブ
クーラーの破損の可能性を減少させ、ステーブクーラー
外周部を効率よく冷却することができる。

【００１５】ステーブクーラー冷却管の給水部、排水部
の位置は図１，図４に示したステーブの対角位置に限ら
ず、冷却盤取付け用の開孔部の位置に合わせて、ステー
ブ鉄皮側の同じ側の上部に排水部を、下部に給水部を配
してもよい。

【００１６】また、ステーブクーラーを鉄皮に支持する
ボルトは給排水管を取出さない別の冷却盤開孔部に配す
ることにより鉄皮に新たな開孔が不要となる。またボル
ト位置に合わせてガスシール・プレートを取付けること
ができるため、ボルト取付け時の施工上の自由度が大き
くなり、据付精度の確保と工期短縮の面からも有利であ
る。

【００１７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき説明す
る。図１は本発明でのステーブクーラー単体の平面構造
図、図２は本発明のステーブクーラーならびに該ステー
ブクーラーを鉄皮に取付けた状態の断面構造図を示す。

【００１８】図１において４本の冷却配管のうちステー
ブクーラーの外周部に配置された配管（２ａ）はステー
ブ本体下部の給水管（３ａ）よりステーブ本体内に入
り、ステーブ本体の下端部および給水管右側部分を経由
して上部の排水管（４ａ）へ至る。また、配管（２ｂ）
は（３ｂ）より左側部から上端部を経由して排水管（４
ｂ）へ至る。配管（２ｃ，２ｄ）は給水管（３ｃ，３
ｄ）から本体内に入り、本体内を蛇行して上部の排水管
（４ｃ，４ｄ）に至る。このような配置によりステーブ
本体は効率よく冷却されることとなる。

【００１９】図６に示す従来型のステーブにおいては図
１に示した配管（２ａ，２ｂ）は４本の配管（２ａ，２
ｂ，２ｃ，２ｄ）によって構成され、したがって、炉外
と連絡する給排水管（３ａ，３ｂ，３ｃ，３ｄおよび４
ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄ）はそれぞれ４本必要となり、鉄
皮の開口部の面積が広くなり鉄皮設計上の制約となるこ
ともあった。本発明ではこの配管（２ａ，２ｄおよび２
ｃ，２ｂ）をそれぞれ１本の配管で構成している。

【００２０】給水部（３），排水部（４）は鉄皮に開孔
された冷却盤用の開孔部に対応してそれぞれ１ヵ所ずつ
設けられ、鉄皮に開孔された冷却盤用の開孔部を介して
冷却管を炉外へ取出す。

【００２１】一つの冷却盤開孔部から取出し可能な配管
数は冷却盤の寸法（幅）により異なるが、配管の直径４
０Ａの場合、３本ないし５本が限界となる。ステーブク
ーラーが使用される場所によっても冷却配管の必要数は
異なるが、典型的な例として４本の冷却管による場合を
示す。

【００２２】図１，図２において４本の冷却管（２ａ，
２ｂ，２ｃ，２ｄ）はそれぞれの入口管（３ａ，３ｂ，
３ｃ，３ｄ）、出口管（４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄ）と共
に一体をなす配管であり、ステーブクーラー本体（１）
をなす鉄鋳物の中に鋳込まれており、効率よく鋳物を冷
却することができる。入口管、出口管は鋳造の際に同時
に配置された筒状をなす保護管（５）により周囲を囲ま
れている。保護管（５）と入口管、出口管はガスシール
・プレート（１３）を溶接することによりステーブクー
ラー内を通って炉内より漏洩する可能性のあるガスを完
全に遮断することができる。

【００２３】ステーブクーラー本体（１）の炉内面は鋳
込み煉瓦（６）およびステーブクーラー本体（１）の一
部として同時に鋳造された鋳鉄製のリブ（７）により構
成されている。比較的熱負荷レベルの低い部位について
は鋳込み煉瓦を使用しない場合もある。鉄皮（１６）に
溶接固定した冷却盤ハウジング（ガスシール金物）（１
３）と保護管（５）の間は溶接構造により炉内からのガ
ス漏れを完全に遮断することが可能である。それぞれの
ステーブクーラーは２組のボルト（１１）とナットでボ
ルト座（８）を介して鉄皮に固定される。

【００２４】給水部または排水部において、３ないし４
または５本のパイプを一括して包含する保護管とするケ
ースもある。支持ボルト（１１）の位置は給排水管の取
出しに使わない冷却盤用鉄皮開孔部（２１）としており
鉄皮に余分な加工を施さずに設置できる。このため施工
上簡便化が図れることと、流用した鉄皮が多少変形して
いても取付け時に自由に調節が可能であることなどの利
点を有している。

【００２５】図３は冷却盤式の高炉鉄皮を流用して本発
明によるステーブクーラーを取付けた状態を示してい
る。上下のステーブクーラーはそれぞれ半枚ピッチで配
置されステーブクーラー上端の排水部（４）と下端の給
水部（３）がステーブ連絡管（１７）により接続されて
いる。図４はステーブクーラーに鋳込んだ冷却配管の配
置を変更した例で、給水管、排水管の取出し位置が図１
の例とは異なっているが、その意図する機能は全く同じ
である。

【００２６】本発明のステーブクーラーにより炉内側稼
働面温度が７５８℃となり、従来構造においては８１８
℃であったのに対してより冷却性能が向上した。この結
果、冷却盤高炉の場合１１〜１２年の炉命であったが、
本発明による場合１３〜１４年の炉命が期待できる。

【００２７】

【発明の効果】本発明のステーブクーラーにより冷却盤
高炉からステーブ高炉への変更の際に、冷却盤高炉の鉄
皮が流用できるため工期が短縮でき、ステーブ内部の冷
却配管の数を減らすことによりステーブの冷却性能を向
上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明によるステーブクーラーの一実施例を示
す平面構造図

【図２】本発明によるステーブクーラーを炉体鉄皮に取
付けた状態の一実施例を示す断面構造図

【図３】本発明によるステーブクーラーを流用鉄皮に取
付けた状態の一部の展開図

【図４】本発明の他の実施例の平面構造図

【図５】従来方式による冷却盤を鉄皮に取付けた状態の
断面構造図

【図６】従来方式のステーブクーラー平面構造図の一例

【図７】従来方式のステーブクーラーを鉄皮に取付けた
状態の一部の展開図

【符号の説明】

１ ステーブクーラー本体（鋳物） ２ 冷却配管（２ａ，２ｂ，２ｃ，２ｄ） ３ 給水管 ４ 排水管 ５ 保護管 ６ 鋳込み煉瓦 ７ リブ（鋳物） ８ ボルト座（ボルト用貫通孔あり） ９ 座（貫通孔なし） １０ 座（給排水管部） １１ 固定ボルト及びナット １２ ハウジング １３ ガスシールド・プレート（ステーブクーラー給排
水管用） １４ ガスシールド・プレート（ステーブクーラー固定
用） １５ ガスシールド・プレート（盲蓋用） １６ 鉄皮 １７ ステーブ連絡管 １８ 冷却盤 １９ 内張耐火物 ２０ ガスシール金物 ２１ 冷却盤用鉄皮開孔部 ３ａ，３ｂ，３ｃ，３ｄ 入口管 ４ａ，４ｂ，４ｃ，４ｄ 出口管

フロントページの続き (72)発明者 穴吹 幸隆 福岡県北九州市戸畑区大字中原46−59 新 日本製鐵株式会社機械・プラント事業部内

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 高炉の炉体冷却用のステーブクーラーに
   おいて、ステーブクーラー鉄皮側の冷却管の入口管を１
   カ所の給水部に集合させて配置し、冷却管の排水管を１
   カ所の排水部に集合させて配置したことを特徴とするス
   テーブクーラー。
2. 【請求項２】 ステーブクーラー冷却管の給水部、排水
   部を冷却盤方式の高炉鉄皮の冷却盤取付け用の開孔部に
   対応した位置に、設置したことを特徴とする請求項１記
   載のステーブクーラー。
3. 【請求項３】 ステーブクーラー外周冷却用の２本の冷
   却管を配したことを特徴とする請求項１または２記載の
   ステーブクーラー。
4. 【請求項４】 ステーブクーラーを支持するボルトの位
   置が冷却盤取付け用の開孔部に対応する位置に有するこ
   とを特徴とする請求項１ないし請求項３のいずれかに記
   載のステーブクーラー。