JPS585916Y2 - 耐火炉壁 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は冶金炉の側壁に使用される耐火炉壁に関する
ものである。

一般にこの種冶金炉の炉壁は耐火れんがをもって形成さ
れているが、高熱負荷に加えて炉内反応によりその損傷
がはげしいことがら、極めて短期間でリライニングをす
る必要がある。

ところが、耐火れんがの原単位が生産性を左右する最も
大きな要素であるところから、炉壁寿命の増大が強く要
請されている。

このため、最近例えば電気炉においては高熱負荷をうけ
る電極対向部近傍のいわゆるホットスポット部の炉壁と
して、上記耐火れんかに代えて鋼板製箱形溶接構造の水
冷ボックスを使用する例もあるが、電気炉を長期間使用
している間に内側の耐火れんがが溶損し、水冷ボックス
が炉内に露出し、アークの輻射熱や湯面の輻射熱で水冷
ボックスの特に溶接部分が損傷して、水漏れをきたすと
いった重大な問題がある。

また、鋳物中に水冷用循環鋼管を鋳ぐるんだ構造の水冷
ブロックも一部実用化されているが、製作上冷却面積に
限りがあり冷却効果の面で難点があって損かいしやすい
などの問題を有している。

この考案は上記の問題を解決するもので、冷却効果を高
め長期間の使用に耐えるものとし、加えて水漏れ防止手
段を施し極めて安全性の高いものとした耐火炉壁を提供
することを目的とする。

以下この考案の実施例を図面にしたがって説明する。

この考案に係る耐火炉壁は冶金炉の側壁の全体もしくは
その一部（例えばホットスポット部）を構成するための
ものである。

第１図において１１は本体部であって鋳鉄もしくは鋳鋼
をもって形成されている。

１２は多数の小孔１３を穿設したクラック阻止板であり
、本体部１１の前端面１１ ａ側に寄せて鋳ぐるまれて
いる。

このクラック阻止板１２は、本体部１１の前端面１１ａ
側から発生したクラックがクラック阻止板により後側へ
波及せぬように阻止するためのものである。

第２図ないし第５図において、１４は水套であり、前面
１４ａおよび周縁部１４ｂは複数枚の殻板１５をもって
構成されている。

この複数枚の殻板１５は例えば図示のように外殻板１５
ａと内殻板１５ｂを重合したものであり、特にその前
面１４ａは波形に形成して冷却面積を大きくしている。

１６は水套１４の後板であって、その周面ば上記複数の
殻板１５の内殻板１５ｂに液密に囲繞されている。

１６ ａは後板１６とは離間して殻板１５ｂに固設され
るドレン排出口を有する背板である。

また水套１４の内部には、複数の仕切板１７が設けられ
て一連の水路１８が形成され、この水路１８の両端部に
給水管１９と排水管２０が連結してあり、これら給排水
管１９゜２０は後方へ延出して給排水路（図示せず）に
連結されている。

２１は水＠１４の後側に設けたドレン通路であり、その
排出口２２にはドレン排出管２３が連結されドレン排出
管２３は後方へ延出している。

なお図中２４は炉殻を示し、２５は本体部１１を炉殻２
３に対して固定するための固定部材である。

なお、第６図は固定部材２５の一実施例を示すもので、
本体部１１に設けた穴３０にピン３１を橋架的に固着し
、このピン３１にフックボルト３２を係合させ、フック
ボルト３２のねじ部３２ ａを炉殻２４の外方に突出さ
せ、球面座金３３．３４を介してナツト３５にて固定す
ることで、耐火炉壁を炉殻２４に装着させている。

４０はシール部材であって、炉内ガスが耐火炉壁相互の
合せ目、もしくは耐火炉壁と炉殻２４との間隙を経て、
固定部材２５や給排水管１９．２０部等より炉外へ流出
することを防止している。

上記構成において、本体部１１は冶金炉が操業中水＠１
４の水路１８を通過する水によって冷却されるが、前面
１４ａを波形に形成しているから、冷却面積が大きく、
シたがって冷却効率が高くなり本体部１１の損傷を防止
する。

さらに複数枚の殻板１５をもって水套１４が形成されて
いるから、水套１４は堅固であり、殻板１５が破損して
漏水することがない。

たとえ外殻１５ａが破れても内殻１５ｂが存在するから
安全度は極めて高く炉内へ水が流入しない。

さらに、後板１６から水が漏れても、漏水は炉内へ流入
せず、ドレン通路２１を通って排出口２２のドレン排出
管２３から排出されるので漏水の状態がすぐに検出でき
、対応策を講することができる。

加えて、耐火炉壁を炉殻２４に装着する手段として、フ
ックボルト３２と球面座金３３ 、３４を組合せた機構
を用いているので、炉殻２４および耐火炉壁の熱変形、
経年変形等に起因する相互間の不定変位にも充分対応し
得る利点がある。

以上のようにこの考案は冷却効果が高く長期使用に耐え
、しかも水套内の水が炉内へ流出することがなく、安全
度が極めて高いなどの効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る耐火炉壁の正面図、第２図は第
１図における２−２線断面図、第３図は同３−３線断面
図、第４図は同４−４線断面図、第５図は同５−５線断
面図、第６図は固定部材の断面図である。 １１・・・・・・本体部、１２・・・・・・クラック阻
止板、１４・・・・・・水套、１５・・・・・・複数枚
の殻板、１６・・・・・・後板、１６ａ・・・・・・背
板、１８・・・・・・水路、１９・・・・・・給水管、
２０・・・・・・排水管、２１・・・・・・ドレン通路
、２２・・・・・・排出口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 炉の側壁全体もしくは一部を構成する鋳物製の本体部と
   、上記本体部に鋳ぐるまれる複数枚の殻板とその裏面の
   後板とで形成される水路上、水路の端部に連結される給
   水管および排水管と、上記後板とは離間して殻板に固設
   されるドレン排出口を有する背板と、上記本体部の前端
   面に寄せて鋳ぐるまれるクラック阻止板とを具備してな
   ることを特徴とする耐火炉壁。