JPH0885396A - 能動的消音装置 - Google Patents

能動的消音装置

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JPH0885396A
JPH0885396A JP6221257A JP22125794A JPH0885396A JP H0885396 A JPH0885396 A JP H0885396A JP 6221257 A JP6221257 A JP 6221257A JP 22125794 A JP22125794 A JP 22125794A JP H0885396 A JPH0885396 A JP H0885396A
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JP
Japan
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noise
signal
noise signal
frequency
order
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Application number
JP6221257A
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English (en)
Inventor
Masao Okazaki
正夫 岡▲崎▼
Kozo Nishikawa
幸三 西川
Hiroaki Itou
浩晴 伊藤
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Kubota Corp
Original Assignee
Kubota Corp
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Publication date
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  • Fittings On The Vehicle Exterior For Carrying Loads, And Devices For Holding Or Mounting Articles (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アクティブノイズコントロールにより低周波
域の音を消音した場合において耳障りになる高周波ピー
ク成分を消音する。 【構成】 騒音の低周波域に対応する低次アンチノイズ
信号を生成する低次アンチノイズ信号生成部24と、エ
ンジン回転信号に基づいて高周波ピーク成分を消音する
高次アンチノイズ信号を生成する高次アンチノイズ信号
生成部25と、低次アンチノイズ信号と高次アンチノイ
ズ信号とをクロックパルスのタイミングで加算する加算
部26とを有しており、加算部26から出力されるアン
チノイズ信号に基づいて相殺音を発生させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は能動的消音装置に関し、
より詳しくは、周波数的に周期性がある騒音源からの騒
音を消音する能動的消音装置に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンなどの騒音源からの騒音を消音
する方法としては、消音材を騒音源回りに配設する方法
が従来から知られている。近年、消音材で消音しにくい
低周波域(約100Hz〜約500Hz)の騒音を消音
する方法として、能動的消音装置が実用化されている。
【0003】この能動的消音装置の一例として、特開平
3−204354号に開示されているような自動車の車
室内のこもり音を低減する装置がある。この能動的消音
装置は、エンジンの回転角信号と車室内に設けられた残
留音検出マイクからの信号とに基づいて、騒音と逆位相
であるアンチノイズ信号を生成して、車室内部の所定位
置に設けられたスピーカからアンチノイズ信号に基づく
相殺音を発生させ、車室内のこもり音を消音するように
している。このような能動的消音装置においては、消音
材で消音しずらい100Hz付近〜500Hz付近まで
の低周波を消音の対象周波数としている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような能動的消音装置において、100Hz付近〜50
0Hz付近までの低周波域のこもり音を消音すると、内
燃機関のように音源の周波数レンジが広いものについて
は、音のマスキング効果によって隠れていた高周波の音
が顕在化して、全体の消音率としては効果があるもの
の、実際に音を聞くと耳障りな音が聞こえることが生
じ、問題となっていた。なお、音のマスキング効果とは
1つの音が別の音に対して同時に提示されることで、そ
の1つの音が聞こえなくなる現象を言う。
【0005】図6を参照しつつ、この問題についてさら
に詳しく説明する。図6は横軸に周波数(Hz)、縦軸
に騒音レベル(dB)を取り、エンジンの騒音特性を調
べたものであり、破線100は能動的消音装置によって
消音される前の特性曲線、実線101は消音された後の
特性曲線である。能動的消音装置によって低周波域(図
6において斜線で示す)の音が消音されると、音のマス
キング効果によって消音前は気にならなかった高周波域
の音、特に図6において符号Pで示すピーク音が耳障り
に聞こえてくるという現象が生じる。
【0006】この問題を解決するために、高周波域で消
音効果のある消音材を設けることも考えられるが、重量
が増加するという新たな問題が発生するとともに、高周
波域の全体レベルを下げることはできても最も耳障りな
ピーク音Pは消音することができないため、感応評価で
はあまり変化がなく効果的な対策とはならない。
【0007】
【発明の目的】本発明は上記の問題点に鑑みてなされた
ものであり、アクティブノイズコントロールにより低周
波域の音を消音した場合でも高周波のピーク音が気にな
らないようにすることができる能動的消音装置を提供す
ることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの、請求項1の能動的消音装置は、騒音の発生におい
て周波数的に周期性のある騒音源を対象とし、その騒音
に相関のある騒音源の基準信号を生成する騒音源基準信
号生成手段と、騒音源から伝達される騒音に対する相殺
音をアンチノイズ信号に基づいて発生する相殺音発生手
段と、騒音と相殺音の干渉によって残った残留騒音を検
出する残留騒音検出手段と、検出された残留騒音信号と
騒音源基準信号とに基づいて低周波域のアンチノイズ信
号を生成する低周波アンチノイズ信号生成手段とを備え
た能動的消音装置において、騒音源からの騒音において
前記周期性に起因する高周波ピーク成分のアンチノイズ
信号を生成する高周波アンチノイズ信号生成手段と、生
成された高周波アンチノイズ信号を低周波アンチノイズ
信号に重畳する重畳手段とを有し、重畳手段からの信号
を最終的なアンチノイズ信号として相殺音発生手段に供
給することを特徴とする。請求項2の能動的消音装置
は、騒音源基準信号生成手段が騒音源の回転信号に基づ
いて騒音源基準信号を生成することを特徴とする。
【0009】
【作用】請求項1の能動的消音装置であれば、高周波ア
ンチノイズ信号生成手段が騒音源からの騒音において前
記周期性に起因する高周波ピーク成分のアンチノイズ信
号を生成して、重畳手段が高周波アンチノイズ信号を低
周波アンチノイズ信号に重畳し、その重畳された信号を
最終的なアンチノイズ信号とするので、低周波アンチノ
イズ波により低周波域が消音されることにより顕在化す
る高周波ピーク成分も高周波アンチノイズ波により消音
することができる。このように、あらかじめ、消音しよ
うとする領域(車室、キャビンなどの閉空間)において
周期性のある騒音源の高周波ピーク成分を打ち消すよう
な高周波アンチノイズ波を低周波アンチノイズ波に重ね
て相殺音発生手段から放射することにより、耳障りな高
音を消すことができる。請求項2の能動的消音装置であ
れば、騒音の発生上、最も周期性と相関のある回転信号
から騒音源基準信号を生成するので騒音低減の効果が高
いとともに、騒音源の回転信号は簡単に得ることができ
るので装置構成を簡単化することができる。
【0010】
【実施例】以下、実施例を示す添付図面によって詳細に
説明する。図1は本発明の能動的消音装置の一実施例と
しての車室用消音装置を示す概略斜視図である。この車
室用消音装置は建設機械や農業機械の車室のこもり音を
消音するために使用している。図2は車室用消音装置の
ブロック図である。図1において、建設機械2の車体2
aの後方には内燃機関としての4気筒ディーゼルエンジ
ン4が搭載されており、エンジン4前方の車室3には作
業者が座る座席5が設けられている。
【0011】車室用消音装置1は、エンジン4の回転信
号を検出するエンジン回転信号検出部10と、アクティ
ブノイズコントローラ(以下、ANCコントローラと称
する)11と、車室3の座席5の下側所定位置に設けら
れた相殺音発生用スピーカ12と、車室天井の所定位置
に設けられた残留騒音検出用マイク13とを有してい
る。エンジン回転信号検出部10は、エンジン騒音がエ
ンジン4の回転と相関があることから設けられ、エンジ
ン4のクランク所定位置を検出するものである。
【0012】ANCコントローラ11は、図2に示すよ
うに、エンジン回転信号に基づいて騒音の低周波域の基
準信号を生成する低次基準信号生成処理部21と、エン
ジン回転信号に基づいて高周波域のピーク成分の基準信
号を生成する高次ピーク信号生成処理部22と、残留音
検出用マイク13からの残留騒音信号に基づいてアンチ
ノイズ信号を生成するための信号を生成する残留騒音信
号処理部23と、低次基準信号に基づいて低周波域に対
応する低次アンチノイズ信号を生成する低次アンチノイ
ズ信号生成部24と、高次ピーク信号に基づいて高周波
域の高次アンチノイズ信号を生成する高次アンチノイズ
信号生成部25と、低次アンチノイズ信号生成部24に
よって生成された低次アンチノイズ信号と高次アンチノ
イズ信号生成部25によって生成された高次アンチノイ
ズ信号とを所定タイミングで加算する加算部26と、加
算部26で加算された最終的アンチノイズ信号をアナロ
グ信号に変換するD/A変換部27とを有している。な
お、低次基準信号生成処理部21、高次ピーク信号生成
処理部22、残留騒音信号処理部23はそれぞれ、アナ
ログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部を含ん
で構成されている。
【0013】上記構成の車室用消音装置の主要部の作用
について、図3に示すフローチャートに従って説明す
る。まず、ステップSP1においてエンジン回転信号検
出部10によりエンジン回転信号を検出し、ステップS
P2において、低次基準信号生成処理部21が低次基準
信号を生成するとともに高次ピーク信号生成処理部22
が高次ピーク信号を生成し、ステップSP3において低
次アンチノイズ信号生成部24が低次基準信号に基づい
て低次アンチノイズ信号を生成し、ステップSP4にお
いて高次アンチノイズ信号生成部25が高次ピーク信号
に基づいて高次アンチノイズ信号を生成し、ステップS
P5において加算部26が低次アンチノイズ信号と高次
アンチノイズ信号を加算して最終的なアンチノイズ信号
を生成し、ステップSP6において相殺音発生用スピー
カ12から最終的なアンチノイズ信号による相殺音を発
生して、一連の処理を終了する。
【0014】なお、高次アンチノイズ波が加算された相
殺音が相殺音発生用スピーカ12(図1参照)から放射
されると、その相殺音の内、低周波に相当する相殺音成
分は車室3内のこもり音(例えば、約200Hz以下の
周波数)と干渉してこもり音を低減する。また、相殺音
の内、高周波に相当する相殺音成分はこもり音を消音し
たときに顕在化する高周波ピーク成分と干渉してその高
周波ピーク成分を消音する。また、低次アンチノイズ信
号生成部24、高次アンチノイズ信号生成部25は残留
騒音信号に基づいてそのデジタルフィルタ特性を変える
ことにより、それぞれ低次アンチノイズ信号、高次アン
チノイズ信号を騒音を消すのに最適なものにリアルタイ
ムで変化させる。
【0015】この車室用消音装置の作用を図4を参照し
てさらに説明する。エンジン回転信号検出部10から
は、図4(a)に示すようなエンジン回転信号が検出さ
れ、低次基準信号生成処理部21により図4(b)に示
すような基準信号(騒音一次信号に相当する)が生成さ
れる。低次アンチノイズ信号生成部24は低次基準信号
と低次基準信号に対応する周波数の残留騒音信号とに基
づいて、図4(c)に示すような低次アンチノイズ信号
を生成する。そして、高次アンチノイズ信号生成部25
も同じようにして、高次ピーク信号と高次ピーク信号に
対応する周波数の残留騒音信号に基づいて高次アンチノ
イズ信号(図4(d)に示す)を生成し、加算部26が
低次アンチノイズ信号に高次アンチノイズ信号を所定タ
イミングで加算して、図4(e)に示すような最終的な
アンチノイズ信号を生成する。
【0016】この車室用消音装置においては、図6に示
す高周波ピーク成分Pがエンジンの回転数の所定倍数毎
に発生することから、予めそのような高周波ピーク成分
Pに対応する高次アンチノイズ信号をエンジン回転信号
に基づいて生成し、低次アンチノイズ信号に重畳するこ
とにより、耳障りな高周波ピーク成分Pを相殺して、図
5に示すような高周波ピーク成分Pのない特性曲線31
を得るようにしている。なお、実施例においては、低次
基準信号生成処理部21と高次ピーク信号生成処理部2
2とがエンジン回転数に基づいてそれぞれ基準信号を発
生させているので、回路構成が簡単でコストを低減でき
る利点がある。
【0017】
【実施例2】次に、本発明の第2実施例について説明す
る。この実施例は、低次アンチノイズ信号、高次アンチ
ノイズ信号を生成する場合の具体的な方法の一例を示す
実施例であり、高速フーリエ変換により残留騒音信号を
周波数解析して、低次の周波数成分においてその振幅値
と位相を得てから、音響系の特性が線形になっているこ
とを条件として、高次の周波数成分での位相を直線位相
特性により予測するものである。なお、この実施例にお
いては、フーリエ変換の回数を1回だけにして演算回数
を減らし、汎用の低速プロセッサで車室用消音装置を構
成できるようにしている。
【0018】この実施例に係る車室用消音装置の基本的
配置は図1に示す構成と同様であり、その詳細は図7の
ブロック図に示す通りである。即ち、この実施例に係る
車室用消音装置1は、エンジン4の回転信号を検出する
エンジン回転信号検出部10と、アクティブノイズコン
トローラ(以下、ANCコントローラと称する)11a
と、車室の座席の下側所定位置に設けられた相殺音発生
用スピーカ12と、車室天井の所定位置に設けられた残
留騒音検出用マイク13とを有している。
【0019】ANCコントローラ11aは、図7に示す
ようにエンジン回転信号に基づいてサンプリングパルス
を発生するサンプリングパルス発生部41と、エンジン
回転信号に基づいて低周波域のこもり音に相当する信号
(例えば、f1)を生成するf1生成部42aとエンジン
回転信号に基づいて高周波域のピーク音に相当する信号
(例えば、f2,f3,……,fn)を生成するf2〜fn
生成部42bとを有する基準信号生成部42と、各周波
数成分(f1,f2,f3,……,fn)をデジタル信号に
変換するマルチプレクサA/D変換部43と、残留騒音
検出マイク13からの残留騒音信号をA/D変換するA
/D変換部44と、A/D変換部44のデジタル残留騒
音信号を高速フーリエ変換するとともに後述する抽出処
理を行うフーリエ変換処理部45と、マルチプレクサA
/D変換部43からの周波成分毎の基準信号と、フーリ
エ変換により周波数分解された残留騒音信号とに基づい
てアンチノイズ信号を生成するアンチノイズ信号生成部
46と、生成されたアンチノイズ信号をアナログ信号に
変換するD/A変換部47とを有している。
【0020】なお、本実施例において、f1生成部42
aとf1のA/D変換部が前記第1実施例における低次
基準信号生成処理部21に相当し、f2〜fn生成部42
bとf2,f3,……,fnのA/D変換部が第1実施例
における高次ピーク信号生成処理部22に相当する。ま
た、本実施例におけるA/D変換部44とフーリエ変換
処理部45とが第1実施例における残留騒音信号処理部
23に相当し、アンチノイズ信号生成部46が、第1実
施例における低次アンチノイズ信号生成部24、高次ア
ンチノイズ信号生成部25および加算部26に相当す
る。
【0021】図8は図7に示すフーリエ変換処理部45
とアンチノイズ信号生成部46の詳細を示すブロック図
である。フーリエ変換処理部45はフーリエ変換部51
と振幅・位相抽出部52とを有している。アンチノイズ
信号生成部46は振幅増減量Δa、位相進遅量Δpを算
出する比較・差算出部55と、各周波数成分毎に増減処
理、進遅処理を行う増減・進遅処理部56と、加算部5
7とを有している。なお、フーリエ変換部51、振幅・
位相抽出部52、比較・差算出部55、増減・進遅処理
部56はそれぞれ、f1に対応する信号を処理する低次
部(aをつけて示す)とf2,f3,……,fnに対応す
る信号を処理する高次部(bをつけて示す)とを有して
いる。
【0022】上記構成の車室用消音装置の主要部の作用
について、図9に示すフローチャートに従って説明す
る。まず、ステップSP1において基準信号生成部42
により、低次こもり音に相当するf1、高次ピーク音に
相当するf2,f3,……,fnの各基準信号を生成し、
ステップSP2においてこれらの基準信号と残留騒音検
出用マイク13からの残留騒音信号をサンプリングパル
ス発生部41からのサンプリングパルスにより各A/D
変換部43,44がそれぞれA/D変換を行い、ステッ
プSP3においてフーリエ変換部51が残留騒音信号を
フーリエ変換して周波数分解し、ステップSP4におい
て振幅・位相抽出部52が各周波数成分毎に振幅A,位
相P(図8においてf1(A1,P1),…,fn(An
n)で示す)を抽出する。
【0023】そしてステップSP5において、比較・差
算出部55がf1生成部42aとf2〜fn生成部42b
によって生成された各周波数成分の振幅aと位相p(f
1(a1,p1),…,fn(an,pn)で示される)と抽
出された振幅A,位相Pとを比較し、ステップSP6に
おいて残留騒音が最も小さくなるような振幅増減量Δ
a、位相進遅量Δpを算出し、ステップSP7において
増減・進遅処理部56が振幅増減量Δa、位相進遅量Δ
pに基づいて生成された各周波数成分において振幅増減
処理、位相進遅処理を行い、ステップSP8において加
算部57が各周波数成分を合成してデジタルアンチノイ
ズ信号を生成し、ステップSP9においてD/A変換部
47がデジタルアンチノイズ信号をアナログ信号に変換
して一連の処理を終了する。
【0024】この主要部の作用について、図10を参照
しつつさらに説明する。残留騒音信号はフーリエ変換部
51において周波数分解され、振幅Aと位相Pの情報が
抽出される。ここで、sinBとsinCの波(但し、
B=ωt,C=(ωt+θ))の重ね合わせを考える
と、
【0025】
【数1】
【0026】となり、騒音とその周波数に相当するアン
チノイズ波の重ね合わせは、数1から振幅A=2cos
(−θ/2)と位相P=θ/2で形成される波となって
いる。一方、その周波数に注目した時に、図10に示す
ようにフーリエ変換によりQ点(r1,i1)に変換さ
れ、そのr1,i1により、振幅AはA=(r1 2+i1 2
1/2により算出でき、位相PはP=tan-1(i1
1)により算出できる。これらA,Pの情報を使用し
て、f1生成部42aとf2〜fn生成部42bによって
得られた各周波数成分の振幅aと位相pをそれぞれ増
減,進遅させてアンチノイズ信号として出力する。この
処理によりエンジン回転数の基本波からn次高調波(高
周波ピーク成分に相当)までの各周波数に対してアンチ
ノイズ信号を得ることができ、これらのアンチノイズ信
号を加算することにより、高周波ピーク成分を効果的に
消音することができる。
【0027】また、高次の周波数成分の位相は低次の周
波数成分の振幅値、位相が分かれば、下記数2で示され
る直線位相特性により予測できる。
【数2】 但し、Nはデジタルフィルタのタップ数、Tはサンプリ
ング周期である。なお、図6に示したような広い帯域の
複数の高次ピーク音(f2,f3,……,fn)による騒
音を低減させる場合には、条件としてエンジン回転数が
一定であること、そしてエンジンまたはファン等の回転
基準パルス(位相0゜の基準パルス)を入力してやるこ
とにより、低い周波数領域から高い周波数領域までの各
周波数に対してアンチノイズ信号を生成することができ
る。
【0028】以上のように、この実施例の車室用消音装
置によれば、低次アンチノイズ波により消音された後に
おいて、耳障りな複数の高次ピーク音を効果的に低減す
ることができ、消音の性能を高めることができる。ま
た、フーリエ変換は残留騒音信号において1回だけ行え
ば良く、構成を簡単化できるとともに演算量を少なくす
ることができ、汎用のプロセッサで処理できる利点もあ
る。
【0029】
【実施例3】次に、本発明の第3実施例について説明す
る。図11は第3実施例の車室用消音装置の構成を示す
ブロック図である。この実施例が前記第1実施例と異な
る点は、高次アンチノイズ信号生成部25aが、エンジ
ン回転信号ではなく、低次アンチノイズ信号生成部24
により生成された低次アンチノイズ信号を基準にして高
次アンチノイズ信号を生成するように構成されている点
のみである。
【0030】エンジン等の周期性のある騒音源では、高
い周波数の成分も低周波数の2次的高調波であることが
多いので、低次アンチノイズ信号生成部24で生成され
た低次アンチノイズ信号を基準にして、高次アンチノイ
ズ信号を生成することにより耳障りな高調波成分を消音
することができる。
【0031】
【実施例4】次に、本発明の第4実施例について説明す
る。この実施例が前記第1実施例と異なる点は、図2に
おける高次ピーク信号生成処理部22がエンジン4の回
転に伴う周期性を考慮して、エンジン回転信号と高次ピ
ーク音との関係を示した特性データ(車室において、予
めエンジンの回転に対応して周期的に発生する高次ピー
ク音を回転数に対して求めておいた実験データ)をRO
M等にテーブル形式で記憶しておき、その特性データと
エンジン回転信号検出部10からのエンジン回転信号と
に基づいて高次ピーク音に対応する高次ピーク信号(例
えば、f2,f3,……,fn)を生成するようにした点
のみである。
【0032】この実施例によれば、予め、得た実験デー
タにより、エンジン回りの防音構成、車室の構成などの
状況に応じて高次アンチノイズ信号を発生できる利点が
ある。この発明は上記実施例に限定されるものではな
く、この発明の要旨を変更しない範囲内において種々の
設計変更を施すことが可能である。以下、そのような実
施例を説明する。
【0033】(1)前記実施例では、騒音の発生におい
て周波数的に周期性のある騒音源がエンジンである場合
を示したが、そのような周期性のある騒音源としてはエ
ンジンの他、モータ、コンプレッサーなどが例示でき
る。 (2)前記実施例では、騒音源の基準信号を検出する騒
音源基準信号検出手段として、エンジンのクランク角を
検出するエンジン回転信号検出部10を示したが、その
他にも実質的に騒音に相関のある騒音源の基準信号であ
れば、特に限定されない。
【0034】(3)前記実施例では、騒音源であるエン
ジンと、消音する場所である車室が離れている場合を例
示したが、消音ケース内にエンジンと発電機を収容した
エンジン発電機のように騒音源が配設される閉空間と相
殺音が放射される閉空間とが同一あるいは極めて近接し
ている場合も、本発明を適用することができる。また、
広い劇場などの開かれた空間において空調設備からの音
を消音した場合においても高周波ピーク成分が気になる
場合があるが、本発明はそのような場合にも適用するこ
とができる。
【0035】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、以下の特有の効果を奏する。 (イ)アクティブノイズコントロールにより低周波域の
音を消音した場合において高周波のピーク音を気になら
ないように消音することができる。 (ロ)従来の能動的消音装置に高周波アンチノイズ信号
生成手段と、重畳手段を加えるだけで構成できるので、
比較的簡単な構成で安価に実施できる。 (ハ)高周波アンチノイズ信号生成手段が、周期性に起
因する高周波ピーク成分を打ち消す高周波アンチノイズ
信号を生成するので、消音材で消音しにくい広い周波数
範囲の高周波ピーク成分を選択的に消音することができ
る。
【0036】請求項2の発明は、請求項1の発明の効果
に加え、騒音の発生上、最も周期性と相関のある回転信
号から騒音源基準信号を生成するので騒音低減の効果が
高いとともに、騒音源の回転信号は簡単に得ることがで
きるので装置構成を簡単化することができるという特有
の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての車室用消音装置を建
設用作業車の車室のこもり音を消音するために適用した
場合を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の一実施例を示す車室用消音装置のブロ
ック図である。
【図3】車室用消音装置の主要部の作用を示すフローチ
ャートである。
【図4】車室用消音装置の各部の信号を示す図である。
【図5】車室用消音装置によって高周波ピーク成分が消
音された特性曲線を示す図である。
【図6】従来の車室用消音装置の問題点を説明するため
の周波数−騒音レベル特性図である。
【図7】本発明の第2実施例を示す車室用消音装置のブ
ロック図である。
【図8】第2実施例の車室用消音装置の主要部の構成を
示すブロック図である。
【図9】第2実施例の車室用消音装置の作用を示すフロ
ーチャートである。
【図10】複素平面上においてフーリエ変換した波を示
す図である。
【図11】本発明の第3実施例を示す車室用消音装置の
ブロック図である。
【符号の説明】
4…4気筒ディーゼルエンジン、 10…エンジン回転
信号検出部、 12…相殺音発生用スピーカ、 13…
残留騒音検出用マイク、 21…低次基準信号生成処理
部、 24…低次アンチノイズ信号生成部、 25,2
5a…高次アンチノイズ信号生成部、 26…加算部、
55b…比較・差算出部の高次ピーク部、56b…増
減・進遅処理部の高次ピーク部。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 騒音の発生において周波数的に周期性の
    ある騒音源(4)を対象とし、その騒音に相関のある騒
    音源(4)の基準信号を生成する騒音源基準信号生成手
    段(10)(21)と、騒音源(4)から伝達される騒
    音に対する相殺音をアンチノイズ信号に基づいて発生す
    る相殺音発生手段(12)と、騒音と相殺音の干渉によ
    って残った残留騒音を検出する残留騒音検出手段(1
    3)と、検出された残留騒音信号と騒音源基準信号とに
    基づいて低周波域のアンチノイズ信号を生成する低周波
    アンチノイズ信号生成手段(24)とを備えた能動的消
    音装置において、 騒音源(4)からの騒音において前記周期性に起因する
    高周波ピーク成分のアンチノイズ信号を生成する高周波
    アンチノイズ信号生成手段(25)(25a)(55
    b)(56b)と、生成された高周波アンチノイズ信号
    を低周波アンチノイズ信号に重畳する重畳手段(26)
    (57)とを有し、重畳手段(26)(57)からの信
    号を最終的なアンチノイズ信号として相殺音発生手段
    (12)に供給することを特徴とする能動的消音装置。
  2. 【請求項2】 騒音源基準信号生成手段(10)(2
    1)が騒音源(4)の回転信号に基づいて騒音源基準信
    号を生成するものである請求項1に記載の能動的消音装
    置。
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