JPH0885121A - キャスティングボックスへのドープ供給方法 - Google Patents

キャスティングボックスへのドープ供給方法

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JPH0885121A
JPH0885121A JP22129294A JP22129294A JPH0885121A JP H0885121 A JPH0885121 A JP H0885121A JP 22129294 A JP22129294 A JP 22129294A JP 22129294 A JP22129294 A JP 22129294A JP H0885121 A JPH0885121 A JP H0885121A
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  • Processing And Handling Of Plastics And Other Materials For Molding In General (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 キャスティングボックスを介してエンドレス
ベルト、ドラム或いはキャリアフィルム等の支持体上に
溶液或いは懸濁液(以下ドープと呼ぶ)を流延する方
法、いわゆる、溶液流延法において得られるシートの厚
みの均一性を高めるとともに、運転開始時あるいは規格
変更時の厚み調整に要する時間を短縮する方法を提供す
る。 【構成】 V字型の構造を有するキャスティングボック
スにドープを定量供給するとともに、ドープを供給する
ノズルをキャスティングボックスの幅方向にオシレート
させ、ドープをエンドレスベルト、ドラム或いはキャリ
アフィルム上に流延する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶液或いは懸濁液(以
下ドープと呼ぶ)をキャスティングボックスを介してエ
ンドレスベルト、ドラム、或いは、キャリアフィルム等
の支持体上に流延する方法、いわゆる、溶液流延法にお
けるキャスティングボックスへのドープ供給方法に関
し、更に詳しくは得られるシートの厚みの均一性を高め
るとともに、運転開始時あるいは規格変更時の厚み調整
に要する時間を短縮する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリビニルアルコール、ポリカー
ボネート、各種セルロース誘導体等をフィルム化するに
あたり、一般的に溶液流延法が用いられてきた。この方
法は上記素材を水或いは有機溶媒に溶解し、その後、ろ
過、脱泡工程を経て得られたドープをキャスティングボ
ックスを介してエンドレスベルト、ドラム或いはキャリ
アフィルム等の支持体上に流延し、乾燥炉中で溶媒を揮
発させその後支持体からフィルムを剥離、巻き取るとい
う方法である。ここにおいて、キャスティングボックス
としては図1に示すようなV字型の構造を有し、ドープ
を自然流延させるタイプのもの、或いは、図2に示すよ
うなドープを加圧供給し、スリット(3)よりドープを
押し出すTダイタイプのものが用いられていた。溶液流
延法は、その性格上得られるフィルムの厚み精度は一般
の汎用熱可塑性樹脂のフィルム化において広く用いられ
ているインフレーション製膜法に比べ良好であるが、そ
れぞれ次のような問題点を有していた。まず、V字型の
構造を有するタイプのキャスティングボックスを使用す
る場合、どうしても、フィルムの両端部が中央部に比べ
て薄くなる傾向があった。またこのタイプのキャスティ
ングボックスを用いる場合、一般的に、厚み制御の手段
として、キャスティングボックス内に溜まったドープの
液面レベルを一定に保つという方法がとられているが、
この方法では、ドープのわずかの固形分濃度の変化によ
って引き起こされるドープの粘度変化によりキャスティ
ングボックスのスリット(3)から流延されるドープの
量が大きく変動し、それにともなって、得られるフイル
ムの厚みも変動するという問題を有していた。一方この
方法でフイルム化を行う場合、厚み制御手段としては、
流延、乾燥後、所望厚みと実際の厚みとの偏差割合から
支持体の移動速度を調整するという方法が一般的であ
る。しかしながら、キャスティングボックスのスリット
から流延されるドープの量は支持体上に流延されたドー
プの厚みに影響を受ける。即ち、支持体の移動速度が遅
く、支持体の単位面積上に流延されているドープの量が
多い場合には、すでに支持体上に流延されているドープ
がキャスティングボックスのスリットから流出するドー
プの量を減少させ、結果としてキャスティングボックス
のスリット(3)から流延されるドープの量が少なくな
る。逆に、支持体の移動速度が速く、支持体の単位面積
上に流延されているドープの量が少ない場合には、支持
体の移動速度が遅い場合に比べ、すでに支持体上に流延
されているドープがキャスティングボックスのスリット
から流出するドープの量を減少させる傾向は少なく、結
果としてキャスティングボックスのスリットから流延さ
れるドープの量が多くなるという傾向がある。この理由
により、支持体の移動速度の変更によってフィルムの厚
み調整を行う場合、支持体の移動速度と比例して厚みが
正確に増減するとは限らず、所定の厚みに調整を行うの
に長時間を要する原因となっていた。
【0003】また、Tダイタイプのキャスティングボッ
クスにドープを加圧供給し、キャスティングボックスに
設けられたスリットよりドープを押し出す方法の場合、
上述したような支持体の移動速度、即ち、支持体上に流
延されたドープの量によりキャスティングボックスのス
リットから流出するドープの量が影響を受けるという問
題は比較的少ないものの、フィルムの両端部が中央部に
比べて薄くなる傾向はあり、キャスティングボックスの
スリット間隔を調整して対応しなければならず、これに
は熟練した技術と調整に長い時間が必要であった。更
に、キャスティングボックスにドープを供給する定量供
給ポンプ(5)にも脈動があり製品の流れ方向の厚み精
度が不良となる傾向があった。
【0004】このようにいずれのタイプのキャスティン
グボックスを使用して製造したフィルムも、更なる高精
度の厚み精度が求められる用途には不向きであった。ま
た、このフィルム化方法においてフィルムの厚みを調整
するには流延後溶媒が揮発し、支持体から剥離して得ら
れたフィルムの厚みを計測後、所望厚みとの偏差割合か
ら支持体の移動速度を調整するというのが一般的であ
る。しかしながら、このフィルム化方法はドープを支持
体上に流延してからフィルムが得られるまでの時間が長
く、所望の厚みに調整を行うのに長時間を要するという
問題を有している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、キャスティ
ングボックスを介してエンドレスベルト、ドラム或いは
キャリアフィルム等の支持体上にドープを流延する方法
において製品の厚み精度を向上させ、更に運転開始時あ
るいは規格変更時の厚み調整に要する時間を短縮する方
法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはキャスティ
ングボックスを介してエンドレスベルト、ドラム或いは
キャリアフィルム等の支持体上にドープを流延する方
法、いわゆる、溶液流延法において得られるシートの厚
み精度を向上させる方法及び、運転開始時あるいは規格
変更時の厚み調整に要する時間を短縮する方法につき鋭
意研究を行った結果、V字型の構造を有するキャスティ
ングボックスを介し支持体上にドープを流延する方法に
おいて、キャスティングボックスに供給するドープの量
を定量ポンプにより一定にするとともに、キャスティン
グボックスにドープを供給するノズルをキャスティング
ボックスの幅方向にオシレートさせることによって上記
目的が達成できることを見いだし本発明に至ったのであ
る。
【0007】即ち、V字型の構造を有するキャスティン
グボックスにドープを定量供給することにより、Tダイ
タイプのキャスティングボックスに設けられたスリット
よりドープを押し出す方法に比べ、定量供給ポンプのド
ープ供給量の脈動をキャスティングボックスで緩衝する
ことができる。この結果、得られるフィルムの流れ方向
の厚み精度が向上するばかりでなく、ドープのわずかの
固形分濃度の変化によってドープの粘度変化が生じてキ
ャスティングボックスのスリットから流延されるドープ
の量が変化しても、キャスティングボックスには常に一
定量のドープが供給されているため、キャスティングボ
ックス内のドープの液面レベルの上昇、或いは、下降に
より緩衝され、短時間のうちに、キャスティングボック
スのスリットから流延されるドープの量は正常値に戻
る。この結果、製品フィルムの厚みがドープの固形分濃
度の変化にともなう粘度変化に影響されることがはるか
に少なくなる。また、前記した支持体上に流延されたド
ープの量によりキャスティングボックスのスリットから
流出するドープの量が影響を受け、厚み調整を支持体の
移動速度の変更では行いにくいという不都合もやはりキ
ャスティングボックスに常に一定量のドープが供給され
ているため、キャスティングボックス内のドープの液面
レベルの上昇、或いは、下降により短時間の内に緩衝さ
れてなくなり、厚みの変更が容易に行える。更に、キャ
スティングボックスにドープを供給するノズルをキャス
ティングボックスの幅方向にオシレートさせることによ
って、キャスティングボックス内に溜まるドープ液のレ
ベルがキャスティングボックスの幅方向に一定となり、
キャスティングボックスのスリットから流出するドープ
の量もキャスティングボックスの幅方向に一定となり、
結果として厚みの均一なフイルムが得られる。
【0008】一方、本発明において製品の所望厚み、製
品幅、ドープの固形分濃度、素材の比重及び流延速度か
ら、キャスティングボックスへのドープ供給量をあらか
じめ算出し、実際の生産時に同供給量にセットするよう
にすることによって、所望厚みの製品を得ることができ
るようになる。また、生産開始後、初めての厚み測定の
結果、所望厚みとのズレがあった場合、実際の厚みと所
望厚みの偏差割合によって支持体の移動速度を比例的に
増減すれば上記した理由により正確にしかも短時間のう
ちに所望厚みに修正することができる。
【0009】本発明で用いられるエンドレスベルト、ド
ラムとしては通常一般に用いられている装置が使用でき
る。また、キャスティングボックスについては本発明の
目的を達成するためにはTダイ式のものではなく、V字
型の構造を有する自然流下タイプのものでなくてはなら
ない。また、キャスティングボックスにドープを供給す
る方法としては、ギアポンプ、チュービングポンプ、モ
ーノポンプ等の定量供給能力のあるポンプが用いられ
る。
【0010】一方、キャスティングボックスにドープを
供給するパイプをキャスティングボックスの幅方向にオ
シレートさせる方法としては、柔軟なパイプ先端に取り
付けられたノズルをなんらかの方法でオシレートさせれ
ばよく、例えるならば後述するようにエアーシリンダー
を用いる方法、雄ネジを回転させて雌ネジに取り付けた
ノズルを移動させる方法等が用いられる。なお、いずれ
の場合も、キャスティングボックスの両端に取り付けら
れたリミットスイッチ、光電管スイッチ等によりノズル
の通過を感知し、ノズルの運動方向を反転させる。ま
た、広幅のキャスティングボックスに本方法を適用する
場合には複数のノズルと複数のオシレート装置を用い
て、キャスティングボックスの幅方向を分割してドープ
を供給するようにしてもなんら差し支えない。更に、一
つのオシレート装置に複数のノズルを取り付けることも
なんら差し支えない。
【0011】次に、本発明を図をもって説明する。図3
はV字型の構造を有するキャスティングボックスを用い
た一般的なエンドレスベルト式溶液流延装置の概略図で
ある。図4は、エンドレスベルト式溶液流延装置の進行
方向斜上側からキャスティングボックス方向を見た本発
明の実施形態を示す図である。
【0012】図3はごく一般的なエンドレスベルト式溶
液流延装置の概略を示すものである。即ち、ろ過、脱泡
された後ドープタンク(6)に貯蔵されたドープ(7)
はドープ供給ポンプ(4)によりキャスティングボック
ス(1)に供給される。そしてドープはキャスティング
ボックスより等速で移動するエンドレスベルト(11)
上に薄膜状に流延される。なお、エアー供給口(12)
より熱風、或いは常温の空気が供給される。またエアー
排出口(13)より空気が排出され、排出された空気は
必要に応じて溶剤回収装置に送られ溶剤が回収される。
このようにしてエンドレスベルト上に流延されたドープ
は乾燥されて、フィルム取り出し口(14)より取り出
され必要により二次乾燥工程に送られ巻き取られる。
【0013】次に、図4により本発明の特徴であるキャ
スティングボックスへのドープ供給方法を説明する。ま
ず、ろ過、脱泡された後、ドープタンク(6)に貯蔵さ
れたドープ(7)が定量供給ポンプ(5)により柔軟な
パイプ(15)からノズル(16)に送られる。ここに
おいてノズルはエアーシリンダー(17)によりキャス
ティングボックス(1)の幅方向にオシレートされる。
即ち、キャスティングボックスの幅方向両端に取り付け
られたリミットスイッチ(18)でノズルの位置を感知
しこの信号をリレー回路を組み込んだコントロールボッ
クス(19)で電磁弁のオン・オフ用の信号に変換し、
この信号によりコンプレッサー(21)からのエアーの
流れを電磁弁(20)で切り換え、エアーシリンダー
(17)に供給する。従って、ノズル(16)の通過を
感知したリミットスイッチ(18)からの信号によりノ
ズルの運動方向が反転する。かくして所望のフィルム厚
みに対応したドープ液がエンドレスベルト上に流延され
る。
【0014】
【実施例】
〔実施例1〕水を90重量部に対しポリビニルアルコー
ル9重量部を加え溶解した後、可塑剤としてグリセリン
を1重量部加え、ろ過の後24時間静置脱泡しドープと
した。得られたドープを、チュービングポンプにより、
エアーシリンダーによりオシレートされるノズルからV
字型の構造を有するキャスティングボックスに供給し、
エンドレスベルト上に流延、乾燥して厚み50μmのポ
リビニルアルコールフィルムを得た。流延条件は以下の
とうりである。 ・エンドレスベルト速度 300mm/分 ・乾燥温度 100℃ ・キャスティングボックス幅 250mm ・オシレート速度 2秒/往復(250m
m/秒) 次いで、得られたフィルムの幅方向の厚みを10mm間
隔で測定した。またフィルムの幅方向の中央部の厚みを
1mごとに20m測定し、最大、最小厚み及び平均厚
み、標準偏差σを求めた。結果を表1に示す。なお、チ
ュービングポンプによるドープ供給量は次の式(1)に
より計算し、45g/分に設定した。この結果、短時間
で所定厚みのフィルムが得られた。 100×ρ×L×t×V/C (1) ρ:樹脂密度(g/cm3) L:キャスティングボックス幅(cm) t:フィルム厚み(cm) V:エンドレスベルト速度(cm/分) C:固形分濃度(%) 〔比較例1〕キャスティングボックスにドープを供給す
るノズルをオシレートさせず、V字型の構造を有するキ
ャスティングボックスの幅方向の中央部にドープを供給
する他は実施例1と全く同様にして平均厚み50μmの
ポリビニルアルコールフィルムを得た。得られたフィル
ムの幅方向の厚みを10mm間隔で測定した。またフィ
ルムの幅方向の中央部の厚みを1mごとに20m測定
し、最大、最小厚み及び平均厚み、標準偏差σを求め
た。結果を表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によればキ
ャスティングボックスを介してエンドレスベルト、ドラ
ム或いはキャリアフィルム上にドープを流延する方法に
おいて製品の厚み精度を向上させ、更に運転開始時ある
いは規格変更時の厚み調整に要する時間を短縮すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】V字型の構造を有するタイプのキャスティング
ボックス及びドープ供給ラインの模式断面図である。
【図2】Tダイタイプのキャスティングボックス及びド
ープ供給ラインの模式断面図である。
【図3】図3はV字型の構造を有するキャスティングボ
ックスを用いた一般的なエンドレスベルト式溶液流延装
置の概略図である。
【図4】本発明の特徴であるキャスティングボックスへ
のドープ供給方法を示す概略図である。
【符号の説明】
1.V字型の構造を有するタイプのキャスティングボッ
クス 2.スリット間隔調整用板 3.スリット 4.ドープ供給ポンプ 5.定量供給ポンプ 6.ドープタンク 7.ドープ 8.Tダイタイプのキャスティングボックス 9.ドープ液溜まり 10.マニホールド 11.エンドレスベルト 12.エアー供給口 13.エアー排出口 14.フィルム取り出し口 15.パイプ 16.ノズル 17.エアーシリンダー 18.リミットスイッチ 19.コントロールボックス 20.電磁弁 21.コンプレッサー 22.流延されたドープ 22.信号線

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 V字型の構造を有するキャスティングボ
    ックスを介して支持体上にドープを流延する方法におい
    て、キャスティングボックスに供給するドープの量を定
    量ポンプにより一定にするとともに、キャスティングボ
    ックスにドープを供給するノズルをキャスティングボッ
    クスの幅方向にオシレートさせることを特徴とするキャ
    スティングボックスへのドープ供給方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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