JPH0885117A - 成型用金型及びその製造方法 - Google Patents
成型用金型及びその製造方法Info
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- JPH0885117A JPH0885117A JP22124894A JP22124894A JPH0885117A JP H0885117 A JPH0885117 A JP H0885117A JP 22124894 A JP22124894 A JP 22124894A JP 22124894 A JP22124894 A JP 22124894A JP H0885117 A JPH0885117 A JP H0885117A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 陽極酸化膜にクラックを発生し難くすること
により、金型の局所的な摩耗を防ぐことができる他、金
型の表面荒さを良好にすることにより、得られる成形品
の表面形状を良好にすることができるとともに、フィラ
ーによるアブレシブ摩耗を受け難くして陽極酸化膜の寿
命を長くすることができる。 【構成】 金型成形面をセラミックスと、金属、合金及
び金属間化合物のうち、少なくとも1種との混合面によ
って形成してなる。
により、金型の局所的な摩耗を防ぐことができる他、金
型の表面荒さを良好にすることにより、得られる成形品
の表面形状を良好にすることができるとともに、フィラ
ーによるアブレシブ摩耗を受け難くして陽極酸化膜の寿
命を長くすることができる。 【構成】 金型成形面をセラミックスと、金属、合金及
び金属間化合物のうち、少なくとも1種との混合面によ
って形成してなる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成型用金型及びその製
造方法に係り、詳しくは、射出成形用金型等に適用する
ことができ、特に、陽極酸化膜にクラックを発生し難く
することにより、金型の局所的な摩耗を防ぐことができ
る他、金型の表面荒さを良好にすることにより、得られ
る成形品の表面形状を良好にすることができるととも
に、フィラーによるアブレシブ摩耗を受け難くして陽極
酸化膜の寿命を長くすることができる成型用金型及びそ
の製造方法に関する。
造方法に係り、詳しくは、射出成形用金型等に適用する
ことができ、特に、陽極酸化膜にクラックを発生し難く
することにより、金型の局所的な摩耗を防ぐことができ
る他、金型の表面荒さを良好にすることにより、得られ
る成形品の表面形状を良好にすることができるととも
に、フィラーによるアブレシブ摩耗を受け難くして陽極
酸化膜の寿命を長くすることができる成型用金型及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、プラスチック材料の成形に用いら
れる成形方法においては、一般に成形品の強度を向上す
るために該プラスチック材料にガラス繊維等の材料を混
入させる方法が用いられている。このように、ガラス繊
維等の材料を混入させたプラスチック材料の成形方法で
は、ガラス繊維を混入させない場合よりも成型品の強度
の向上を齎す反面、プラスチック材料に混入させたガラ
ス繊維により金型の成形面に摩耗を生じさせ、金型寿命
の低下を齎すという問題がある。
れる成形方法においては、一般に成形品の強度を向上す
るために該プラスチック材料にガラス繊維等の材料を混
入させる方法が用いられている。このように、ガラス繊
維等の材料を混入させたプラスチック材料の成形方法で
は、ガラス繊維を混入させない場合よりも成型品の強度
の向上を齎す反面、プラスチック材料に混入させたガラ
ス繊維により金型の成形面に摩耗を生じさせ、金型寿命
の低下を齎すという問題がある。
【0003】特に加工性がよく、単納期化、軽量化を実
現できるという利点を有するアルミニウム合金を代表と
する非鉄金属系の金型材においては、鉄よりも耐摩耗性
の点で劣るため、前述した成形面に摩耗が生じるという
問題が顕著に現れる。上記プラスチック材料にガラス繊
維を混入させることにより金型成形面に摩耗が生じてし
まうという問題を解決する方法には、金型表面に次に述
べるような改質層を施す方法が用いられている。金型表
面に改質層を施す処理方法としては、陽極酸化や鍍金に
代表されるウエットプロセスで行われているものや、ス
パッタ法等ドライプロセスによる方法が検討されてい
る。
現できるという利点を有するアルミニウム合金を代表と
する非鉄金属系の金型材においては、鉄よりも耐摩耗性
の点で劣るため、前述した成形面に摩耗が生じるという
問題が顕著に現れる。上記プラスチック材料にガラス繊
維を混入させることにより金型成形面に摩耗が生じてし
まうという問題を解決する方法には、金型表面に次に述
べるような改質層を施す方法が用いられている。金型表
面に改質層を施す処理方法としては、陽極酸化や鍍金に
代表されるウエットプロセスで行われているものや、ス
パッタ法等ドライプロセスによる方法が検討されてい
る。
【0004】これらの処理のうち、鍍金は、陽極酸化よ
りやや劣るものの比較的低コストで処理できるという利
点を有するが、鍍金で形成した膜の硬度が低いために、
陽極酸化程の耐摩耗性は示さず、耐摩耗性の点で問題が
あった。ドライプロセスは、処理のし易さ、付きまわり
性等を考慮して厚膜化するために長時間スパッタ成膜す
ると、金型の温度が上ってしまうため、低融点なため低
温処理の必要なアルミニウム合金製の金型に対しては、
有効な方法とは言えない。このため、低コストで処理す
ることができるうえ、耐摩耗性を向上することができ、
しかも低温処理することができる陽極酸化が最も有望な
処理方法であると考えられている。
りやや劣るものの比較的低コストで処理できるという利
点を有するが、鍍金で形成した膜の硬度が低いために、
陽極酸化程の耐摩耗性は示さず、耐摩耗性の点で問題が
あった。ドライプロセスは、処理のし易さ、付きまわり
性等を考慮して厚膜化するために長時間スパッタ成膜す
ると、金型の温度が上ってしまうため、低融点なため低
温処理の必要なアルミニウム合金製の金型に対しては、
有効な方法とは言えない。このため、低コストで処理す
ることができるうえ、耐摩耗性を向上することができ、
しかも低温処理することができる陽極酸化が最も有望な
処理方法であると考えられている。
【0005】次に、例えば実開昭63−49911号公
報で報告された従来の成形用金型では、Al又はAl合
金からなる成形用金型上にアルマイト層を形成し、アル
マイト層の微細孔内に無電界鍍金を充填した後、更に鍍
金層を堆積して構成している。このため、この従来の成
形用金型では、熱伝導性を良好にして高速度で成形を行
うことができるという利点を有する。
報で報告された従来の成形用金型では、Al又はAl合
金からなる成形用金型上にアルマイト層を形成し、アル
マイト層の微細孔内に無電界鍍金を充填した後、更に鍍
金層を堆積して構成している。このため、この従来の成
形用金型では、熱伝導性を良好にして高速度で成形を行
うことができるという利点を有する。
【0006】次に、上記した特開昭63−303714
号公報で報告された従来の成形用金型では、Al又はA
l合金からなる成形用金型上にアルマイトを形成し、ア
ルマイトの微細孔に硬度の低い潤滑性を有する有機物等
の微小物質を析出し含浸させて充填して構成している。
このため、この従来の成形用金型では、加工性を良好に
することができるという利点を有する。
号公報で報告された従来の成形用金型では、Al又はA
l合金からなる成形用金型上にアルマイトを形成し、ア
ルマイトの微細孔に硬度の低い潤滑性を有する有機物等
の微小物質を析出し含浸させて充填して構成している。
このため、この従来の成形用金型では、加工性を良好に
することができるという利点を有する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た陽極酸化による改質膜を表面に形成した従来の成型用
金型では、改質膜となる陽極酸化膜がセラミックス膜で
あり、セラミックス膜と金型のアルミニウム母材との硬
度差が著しく大きいため、特に射出成型時にアルミニウ
ム母材の変形量が大きい場所で改質膜となるセラミック
ス膜がその変形に追随できずセラミックス膜にクラック
が発生して、そこから致命的な摩耗が発生することがあ
るという問題があった。
た陽極酸化による改質膜を表面に形成した従来の成型用
金型では、改質膜となる陽極酸化膜がセラミックス膜で
あり、セラミックス膜と金型のアルミニウム母材との硬
度差が著しく大きいため、特に射出成型時にアルミニウ
ム母材の変形量が大きい場所で改質膜となるセラミック
ス膜がその変形に追随できずセラミックス膜にクラック
が発生して、そこから致命的な摩耗が発生することがあ
るという問題があった。
【0008】そこで、この改質膜となるセラミックス膜
にクラックが発生するという問題を解決するためには、
セラミックス膜厚を厚くする方法が取られているが、こ
のように、セラミックス膜厚を厚くすると、金型の表面
性状、特に表面粗さの劣化を導き、これがそのまま成型
品に転写されるため、成型品の表面形状を悪化させるこ
とがあるという問題があった。
にクラックが発生するという問題を解決するためには、
セラミックス膜厚を厚くする方法が取られているが、こ
のように、セラミックス膜厚を厚くすると、金型の表面
性状、特に表面粗さの劣化を導き、これがそのまま成型
品に転写されるため、成型品の表面形状を悪化させるこ
とがあるという問題があった。
【0009】このため、表面性状が問題になる外装品に
は用いることができなかった。また、このように金型の
表面粗さが劣化すると、フィラーによるアブレシブ摩耗
を受け易くなるため、セラミックス膜の寿命が短くなっ
てしまうという問題があった。更に、陽極酸化膜は、ア
ルミニウム母材を反応させる改質膜であるため、仮に設
計変更等によって陽極酸化膜の除去が必要なときに前述
の如く、クラックを入り難くするために陽極酸化膜の膜
厚を大きくすると、変更することができなくなることが
あり、金型全体の破棄をせざるを得ない恐れもあった。
は用いることができなかった。また、このように金型の
表面粗さが劣化すると、フィラーによるアブレシブ摩耗
を受け易くなるため、セラミックス膜の寿命が短くなっ
てしまうという問題があった。更に、陽極酸化膜は、ア
ルミニウム母材を反応させる改質膜であるため、仮に設
計変更等によって陽極酸化膜の除去が必要なときに前述
の如く、クラックを入り難くするために陽極酸化膜の膜
厚を大きくすると、変更することができなくなることが
あり、金型全体の破棄をせざるを得ない恐れもあった。
【0010】次に、上記した実開昭63−49911号
公報で報告された従来の成形用金型では、金型表面に鍍
金層を形成しているため、前述の如く、膜の硬度が低
い。このため、金型表面に膜の硬度が高い陽極酸化膜を
露出させる場合よりも耐摩耗性の点で問題があった。次
に、上記した特開昭63−303714号公報で報告さ
れた従来の成形用金型では、金型表面のアルマイトの微
細孔に潤滑性を有する有機物等を充填しているため、一
度摩耗粉が発生すると、発生した摩耗粉が充填物質に埋
め込まれてしまい、これにより逆に摩耗粉を引き起こす
ことがあるという問題があった。
公報で報告された従来の成形用金型では、金型表面に鍍
金層を形成しているため、前述の如く、膜の硬度が低
い。このため、金型表面に膜の硬度が高い陽極酸化膜を
露出させる場合よりも耐摩耗性の点で問題があった。次
に、上記した特開昭63−303714号公報で報告さ
れた従来の成形用金型では、金型表面のアルマイトの微
細孔に潤滑性を有する有機物等を充填しているため、一
度摩耗粉が発生すると、発生した摩耗粉が充填物質に埋
め込まれてしまい、これにより逆に摩耗粉を引き起こす
ことがあるという問題があった。
【0011】そこで、本発明は、陽極酸化膜にクラック
を発生し難くすることにより、金型の局所的な摩耗を防
ぐことができる他、金型の表面荒さを良好にすることに
より、得られる成形品の表面形状を良好にすることがで
きるとともに、フィラーによるアブレシブ摩耗を受け難
くして陽極酸化膜の寿命を長くすることができる成型用
金型及びその製造方法を提供することを目的としてい
る。
を発生し難くすることにより、金型の局所的な摩耗を防
ぐことができる他、金型の表面荒さを良好にすることに
より、得られる成形品の表面形状を良好にすることがで
きるとともに、フィラーによるアブレシブ摩耗を受け難
くして陽極酸化膜の寿命を長くすることができる成型用
金型及びその製造方法を提供することを目的としてい
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
金型成形面をセラミックスと、金属、合金及び金属間化
合物のうち、少なくとも1種との混合面によって形成し
てなることを特徴とするものである。請求項2記載の発
明は、上記請求項1記載の発明において、前記セラミッ
クスは、アルミニウムの陽極酸化物からなり、前記金属
は、ニッケル又はタングステンからなることを特徴とす
るものである。
金型成形面をセラミックスと、金属、合金及び金属間化
合物のうち、少なくとも1種との混合面によって形成し
てなることを特徴とするものである。請求項2記載の発
明は、上記請求項1記載の発明において、前記セラミッ
クスは、アルミニウムの陽極酸化物からなり、前記金属
は、ニッケル又はタングステンからなることを特徴とす
るものである。
【0013】請求項3記載の発明は、上記請求項1記載
の発明において、前記セラミックスは、アルミニウムの
陽極酸化物からなり、前記金属間化合物は、ニッケルと
リンからなることを特徴とするものである。請求項4記
載の発明は、上記請求項2,3記載の発明において、前
記陽極酸化膜の膜厚は、3μm以上200μm以下の範
囲であることを特徴とするものである。
の発明において、前記セラミックスは、アルミニウムの
陽極酸化物からなり、前記金属間化合物は、ニッケルと
リンからなることを特徴とするものである。請求項4記
載の発明は、上記請求項2,3記載の発明において、前
記陽極酸化膜の膜厚は、3μm以上200μm以下の範
囲であることを特徴とするものである。
【0014】請求項5記載の発明は、金型成形面に陽極
酸化を行って複数のポアを有する陽極酸化膜を形成する
工程と、次いで、該ポア内に電気鍍金によって金属を充
填する工程と、次いで、前記電気鍍金の際に成形面近傍
に形成される拡散層の厚さを通常よりも極めて薄くして
鍍金することにより、該陽極酸化膜表面粗さの凹凸を金
属で埋める工程とを含むことを特徴とするものである。
酸化を行って複数のポアを有する陽極酸化膜を形成する
工程と、次いで、該ポア内に電気鍍金によって金属を充
填する工程と、次いで、前記電気鍍金の際に成形面近傍
に形成される拡散層の厚さを通常よりも極めて薄くして
鍍金することにより、該陽極酸化膜表面粗さの凹凸を金
属で埋める工程とを含むことを特徴とするものである。
【0015】請求項6記載の発明は、上記請求項5記載
の発明において、前記拡散層の厚さを通常よりも極めて
薄くする方法は、液撹拌を通常よりも速くして成形面で
の流速を高めることにより行うことを特徴とするもので
ある。請求項7記載の発明は、上記請求項5記載の発明
において、前記拡散層の厚さを通常よりも極めて薄くす
る方法は、印加電圧をパルス状にして鍍金を行うことを
特徴とするものである。
の発明において、前記拡散層の厚さを通常よりも極めて
薄くする方法は、液撹拌を通常よりも速くして成形面で
の流速を高めることにより行うことを特徴とするもので
ある。請求項7記載の発明は、上記請求項5記載の発明
において、前記拡散層の厚さを通常よりも極めて薄くす
る方法は、印加電圧をパルス状にして鍍金を行うことを
特徴とするものである。
【0016】請求項8記載の発明は、上記請求項5乃至
7記載の発明において、前記電気鍍金による前記金属の
析出状況を電気量をモニターすることによって行うこと
を特徴とするものである。
7記載の発明において、前記電気鍍金による前記金属の
析出状況を電気量をモニターすることによって行うこと
を特徴とするものである。
【0017】
【作用】上記目的を達成するために、本発明では、陽極
酸化膜の膜としての靭性の向上と表面粗さの向上を行っ
た。以下、具体的に図面を用いて説明する。図1,2は
陽極酸化膜の構造を示す斜視及び断面図、図3,4は陽
極酸化膜のポア内に金属、合金及び金属間化合物のう
ち、少なくとも1種からなる充填物質を充填した構造を
示す斜視及び断面図である。
酸化膜の膜としての靭性の向上と表面粗さの向上を行っ
た。以下、具体的に図面を用いて説明する。図1,2は
陽極酸化膜の構造を示す斜視及び断面図、図3,4は陽
極酸化膜のポア内に金属、合金及び金属間化合物のう
ち、少なくとも1種からなる充填物質を充填した構造を
示す斜視及び断面図である。
【0018】図1〜4において、1はAl2 O3 等のセ
ラミックスからなる陽極酸化膜であり、2は陽極酸化膜
1に形成された無数のポアであり、3はポア2内に充填
された金属、合金及び金属間化合物のうち、少なくとも
1種からなる充填物質である。図1,2に示す如く、陽
極酸化膜1の表面は、ハニカム構造のようになってお
り、無数のポア2(細孔)が形成されている(図1,
2)。このため、陽極酸化膜1の最表面では、強度が低
く、フィラーによるアブレシブ摩耗を受け易い。
ラミックスからなる陽極酸化膜であり、2は陽極酸化膜
1に形成された無数のポアであり、3はポア2内に充填
された金属、合金及び金属間化合物のうち、少なくとも
1種からなる充填物質である。図1,2に示す如く、陽
極酸化膜1の表面は、ハニカム構造のようになってお
り、無数のポア2(細孔)が形成されている(図1,
2)。このため、陽極酸化膜1の最表面では、強度が低
く、フィラーによるアブレシブ摩耗を受け易い。
【0019】そこで、図3,4に示す如く、この陽極酸
化膜1のポア2内部に金属、合金、金属間化合物のう
ち、少なくとも1種を完全に充填することを試みた。本
発明では、図3,4に示すように、陽極酸化膜1のポア
2内部と表面の凹凸を金属、合金及び金属間化合物のう
ち、少なくとも1種からなる充填物質3によって完全に
埋めるように構成するため、表面粗さを向上させること
ができる。
化膜1のポア2内部に金属、合金、金属間化合物のう
ち、少なくとも1種を完全に充填することを試みた。本
発明では、図3,4に示すように、陽極酸化膜1のポア
2内部と表面の凹凸を金属、合金及び金属間化合物のう
ち、少なくとも1種からなる充填物質3によって完全に
埋めるように構成するため、表面粗さを向上させること
ができる。
【0020】このため、型の表面粗さを向上させること
ができるので、得られる成形品の表面形状を良好にする
ことができるとともに、Al2 O3 陽極酸化膜1の表面
をセラミックスとセラミックスよりも強度が大きい金
属、合金及び金属間化合物のうち、少なくとも1種との
混合面にすることができるので、フィラーによるアブレ
シブ摩耗の発生を抑えて陽極酸化膜1の寿命を長くする
ことができる。
ができるので、得られる成形品の表面形状を良好にする
ことができるとともに、Al2 O3 陽極酸化膜1の表面
をセラミックスとセラミックスよりも強度が大きい金
属、合金及び金属間化合物のうち、少なくとも1種との
混合面にすることができるので、フィラーによるアブレ
シブ摩耗の発生を抑えて陽極酸化膜1の寿命を長くする
ことができる。
【0021】また、鍍金等による金属による析出層を形
成しないため、寸法変動を小さくすることができる。こ
のため、マスキングを必要とせず、金型全体に処理を行
うことができ、コストの低減を図ることができる。更
に、陽極酸化膜1のポア2内に金属、合金及び金属間化
合物のうち、少なくとも1種からなる充填物質3を充填
したため、膜としての強度を向上させることができるた
め、陽極酸化膜1へのクラックの発生を抑えることがで
き、型の局所的な摩耗の発生を抑えることができる。
成しないため、寸法変動を小さくすることができる。こ
のため、マスキングを必要とせず、金型全体に処理を行
うことができ、コストの低減を図ることができる。更
に、陽極酸化膜1のポア2内に金属、合金及び金属間化
合物のうち、少なくとも1種からなる充填物質3を充填
したため、膜としての強度を向上させることができるた
め、陽極酸化膜1へのクラックの発生を抑えることがで
き、型の局所的な摩耗の発生を抑えることができる。
【0022】電解着色も同様にしてポア2内部に金属を
析出させることができるが、ポア2内部の金属の厚さ
は、高々100nmであり、ポア2内部を完全に充填し
て表面に充填物質3が達することはない。これは、本発
明において、最も重要である表面がセラミックスと充填
物質の混合面という条件を満たしていない。また、前述
の如く、特開昭63−303714号公報で報告されて
いるような有機物等の硬度の低いものを充填して潤滑性
の向上を図る従来の方法では、一度摩耗粉が発生する
と、摩耗粉が充填物質に埋め込まれてこれが逆に摩耗を
引き起こすという問題が生じるが、本発明の場合は、陽
極酸化膜1のポア2内に硬度の高い充填物質3を充填し
て構成しているため、仮に摩耗粉が発生しても、摩耗粉
が充填物質3に埋め込まれて摩耗を引き起こすような問
題をほとんど生じないようにすることができる。
析出させることができるが、ポア2内部の金属の厚さ
は、高々100nmであり、ポア2内部を完全に充填し
て表面に充填物質3が達することはない。これは、本発
明において、最も重要である表面がセラミックスと充填
物質の混合面という条件を満たしていない。また、前述
の如く、特開昭63−303714号公報で報告されて
いるような有機物等の硬度の低いものを充填して潤滑性
の向上を図る従来の方法では、一度摩耗粉が発生する
と、摩耗粉が充填物質に埋め込まれてこれが逆に摩耗を
引き起こすという問題が生じるが、本発明の場合は、陽
極酸化膜1のポア2内に硬度の高い充填物質3を充填し
て構成しているため、仮に摩耗粉が発生しても、摩耗粉
が充填物質3に埋め込まれて摩耗を引き起こすような問
題をほとんど生じないようにすることができる。
【0023】以上のように、本発明において、充填物質
の導入方法において最も重要なのは、金型の最表面を金
属、合金及び金属間化合物のうち、少なくとも1種から
なる充填物質とセラミックスの混合面にすることであ
る。以下、その製造方法を具体的に図面を用いて説明す
る。図5は本発明に係る成形用金型の製造方法を示す図
である。
の導入方法において最も重要なのは、金型の最表面を金
属、合金及び金属間化合物のうち、少なくとも1種から
なる充填物質とセラミックスの混合面にすることであ
る。以下、その製造方法を具体的に図面を用いて説明す
る。図5は本発明に係る成形用金型の製造方法を示す図
である。
【0024】まず、図5(a)に示す金型1a成形面に
陽極酸化を行って複数のポア2を有する陽極酸化膜1を
形成する(図5(b))。この時、陽極酸化膜1の膜厚
は、薄くし過ぎると割れて本来の機能を達成し難くなる
ことを考慮すると、下限は3μm以上が好ましく、ま
た、厚くし過ぎると表面荒さが目立つうえ、形成時間が
かかり過ぎることを考慮すると、上限は200μm以下
が好ましい。
陽極酸化を行って複数のポア2を有する陽極酸化膜1を
形成する(図5(b))。この時、陽極酸化膜1の膜厚
は、薄くし過ぎると割れて本来の機能を達成し難くなる
ことを考慮すると、下限は3μm以上が好ましく、ま
た、厚くし過ぎると表面荒さが目立つうえ、形成時間が
かかり過ぎることを考慮すると、上限は200μm以下
が好ましい。
【0025】しかる後に、電気量のモニターをしながら
液撹拌を十分に行って電気鍍金を行った。陽極酸化膜1
に鍍金を行うと、ポア2の底部から金属の析出が開始さ
れる。この時の電流量を測定すると、図6に示す如く、
ポア2内部への充填が行われている時は、電気量は低い
が、ポア2内への充填が終了し(図5(c))、表面で
の析出が始まると、電気量は増加し始める。液撹拌を十
分に行うと拡散層の厚さは減少して平滑に析出する。
液撹拌を十分に行って電気鍍金を行った。陽極酸化膜1
に鍍金を行うと、ポア2の底部から金属の析出が開始さ
れる。この時の電流量を測定すると、図6に示す如く、
ポア2内部への充填が行われている時は、電気量は低い
が、ポア2内への充填が終了し(図5(c))、表面で
の析出が始まると、電気量は増加し始める。液撹拌を十
分に行うと拡散層の厚さは減少して平滑に析出する。
【0026】こうして、陽極酸化膜1の表面粗さを埋め
るように鍍金の析出が行われると、表面全体での析出が
始まり、電気量は一定値になるので、この電気量をモニ
ターしておいて、表面全体の析出になった時に析出を終
了すると、金型表面は、所望の金属と酸化物の混合面に
することができる(図5(d))。なお、鍍金を行う時
の電圧の印加方法は、直流または交流、交流に直流を重
量する方法等で行う。
るように鍍金の析出が行われると、表面全体での析出が
始まり、電気量は一定値になるので、この電気量をモニ
ターしておいて、表面全体の析出になった時に析出を終
了すると、金型表面は、所望の金属と酸化物の混合面に
することができる(図5(d))。なお、鍍金を行う時
の電圧の印加方法は、直流または交流、交流に直流を重
量する方法等で行う。
【0027】ポア内部に金属を充填する方法として無電
解鍍金法を用いる方法がある。これは、ポア内部に触媒
核を導入し、ここから鍍金を行うことでポア内部に金属
を充填する方法であるが、この方法には2つの欠点があ
る。1つは、ポア内部に確実に触媒核が入らないと、鍍
金によるポアフィリングができないことであり、もう1
つは、鍍金の入り具合をその場で把握できない点であ
る。
解鍍金法を用いる方法がある。これは、ポア内部に触媒
核を導入し、ここから鍍金を行うことでポア内部に金属
を充填する方法であるが、この方法には2つの欠点があ
る。1つは、ポア内部に確実に触媒核が入らないと、鍍
金によるポアフィリングができないことであり、もう1
つは、鍍金の入り具合をその場で把握できない点であ
る。
【0028】これに対し、本発明では、電気鍍金を用い
るので、初期の析出点はポア底部に限定されるために、
間違いなくポアの充填が行われる。また、電気量をモニ
タ−することで充填の様子を知ることができる。このた
め、本発明によって、最も重要な陽極酸化膜と金属(ま
たは金属原子を含む化合物)の混合物を容易に、かつ確
実に達成することができる。
るので、初期の析出点はポア底部に限定されるために、
間違いなくポアの充填が行われる。また、電気量をモニ
タ−することで充填の様子を知ることができる。このた
め、本発明によって、最も重要な陽極酸化膜と金属(ま
たは金属原子を含む化合物)の混合物を容易に、かつ確
実に達成することができる。
【0029】前述の如く、実開昭63−49911号公
報で報告されているようなポア内部に触媒核を入れて無
電解鍍金を行う従来の方法では、鍍金の析出状況を把握
することができない。このため、本発明において最も重
要な酸化物と金属の混合面を実現することが困難である
という問題があるが、本発明では、金属の析出状況を電
気量をモニターすることにより検出するように構成する
ため、金型表面に酸化物と金属の混合面を確実に、かつ
容易に形成することができるうえ、図5(c)のポア2
内部に金属を充填する工程と図5(d)の陽極酸化膜1
の表面粗さの凹凸を金属で埋める工程との見極めを容易
に、かつ確実に検出して決定することができる。
報で報告されているようなポア内部に触媒核を入れて無
電解鍍金を行う従来の方法では、鍍金の析出状況を把握
することができない。このため、本発明において最も重
要な酸化物と金属の混合面を実現することが困難である
という問題があるが、本発明では、金属の析出状況を電
気量をモニターすることにより検出するように構成する
ため、金型表面に酸化物と金属の混合面を確実に、かつ
容易に形成することができるうえ、図5(c)のポア2
内部に金属を充填する工程と図5(d)の陽極酸化膜1
の表面粗さの凹凸を金属で埋める工程との見極めを容易
に、かつ確実に検出して決定することができる。
【0030】次に、本発明においては、ポア2への充填
が終了して陽極酸化膜1の表面粗さを析出物で埋める工
程にパルス鍍金を用いて行うように構成してもよく、こ
の場合、パルス鍍金を行うことによって液撹拌を強くし
なくても拡散層を薄くすることができ、析出面を平滑化
することができる。
が終了して陽極酸化膜1の表面粗さを析出物で埋める工
程にパルス鍍金を用いて行うように構成してもよく、こ
の場合、パルス鍍金を行うことによって液撹拌を強くし
なくても拡散層を薄くすることができ、析出面を平滑化
することができる。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。本実施例の成形用金型の製造方法を前述した図5
を用いて説明する。本実施例では、まず、図5(a)に
示すアルミニウム合金を母材とする金型1a成形面に陽
極酸化を行って複数のポア2を有する膜厚5μm程度の
陽極酸化膜1を形成する(図5(b))。この時、陽極
酸化膜1の膜厚は、薄くし過ぎると割れて本来の機能を
達成し難くなることを考慮すると、下限は3μm以上が
好ましく、また、厚くし過ぎると表面荒さが目立つう
え、形成時間がかかり過ぎることを考慮すると、上限は
200μm以下が好ましい。
する。本実施例の成形用金型の製造方法を前述した図5
を用いて説明する。本実施例では、まず、図5(a)に
示すアルミニウム合金を母材とする金型1a成形面に陽
極酸化を行って複数のポア2を有する膜厚5μm程度の
陽極酸化膜1を形成する(図5(b))。この時、陽極
酸化膜1の膜厚は、薄くし過ぎると割れて本来の機能を
達成し難くなることを考慮すると、下限は3μm以上が
好ましく、また、厚くし過ぎると表面荒さが目立つう
え、形成時間がかかり過ぎることを考慮すると、上限は
200μm以下が好ましい。
【0032】しかる後に、電気量のモニターをしながら
液撹拌を十分に行って電気鍍金を行った。陽極酸化膜1
に鍍金を行うと、ポア2の底部から金属の析出が開始さ
れる。この時の電流量を測定すると、図6に示す如く、
ポア2内部への充填が行われている時は、電気量は低い
が、ポア2内への充填が終了し(図5(c))、表面で
の析出が始まると、電気量は増加し始める。この時、液
撹拌を十分に行うと、拡散層の厚さは減少して平滑に析
出する。
液撹拌を十分に行って電気鍍金を行った。陽極酸化膜1
に鍍金を行うと、ポア2の底部から金属の析出が開始さ
れる。この時の電流量を測定すると、図6に示す如く、
ポア2内部への充填が行われている時は、電気量は低い
が、ポア2内への充填が終了し(図5(c))、表面で
の析出が始まると、電気量は増加し始める。この時、液
撹拌を十分に行うと、拡散層の厚さは減少して平滑に析
出する。
【0033】こうして陽極酸化膜1の表面粗さを埋める
ように鍍金の析出が行われると、表面全体での析出が始
まり、電気量は一定値になるので、この電気量をモニタ
ーしておいて、表面全体の析出になった時に析出を終了
すると、表面は、所望の金属と酸化物の混合面にするこ
とができる(図5(d))。なお、鍍金を行う時の電圧
の印加方法は、直流または交流、交流に直流を重量する
方法等で行う。
ように鍍金の析出が行われると、表面全体での析出が始
まり、電気量は一定値になるので、この電気量をモニタ
ーしておいて、表面全体の析出になった時に析出を終了
すると、表面は、所望の金属と酸化物の混合面にするこ
とができる(図5(d))。なお、鍍金を行う時の電圧
の印加方法は、直流または交流、交流に直流を重量する
方法等で行う。
【0034】次に、本実施例の改質膜の耐摩耗性試験結
果を比較例の陽極酸化膜のみの場合と比較したところ、
図7に示す如く、明らかにニッケルを充填した効果が現
れていた。そして、この射出成形用金型を用いてガラス
繊維を含む樹脂の成形を5000回繰り返し行ったとこ
ろ、表面に微細な摩耗痕が発生するものの局部的な摩耗
は発生しなかった。
果を比較例の陽極酸化膜のみの場合と比較したところ、
図7に示す如く、明らかにニッケルを充填した効果が現
れていた。そして、この射出成形用金型を用いてガラス
繊維を含む樹脂の成形を5000回繰り返し行ったとこ
ろ、表面に微細な摩耗痕が発生するものの局部的な摩耗
は発生しなかった。
【0035】このように、本実施例では、Al2 O3 陽
極酸化膜1のポア2内部と表面の凹凸をNi金属からな
る充填物質3によって完全に埋めるように構成するた
め、表面粗さを向上させることができる。このため、型
の表面粗さを向上させることができるので、得られる成
形品の表面形状を良好にすることができるとともに、A
l2 O3 陽極酸化膜1の表面をセラミックスとセラミッ
クスよりも強度が大きいNi金属との混合面にすること
ができるため、フィラーによるアブレシブ摩耗の発生が
抑えて陽極酸化膜1の寿命を長くすることができる。
極酸化膜1のポア2内部と表面の凹凸をNi金属からな
る充填物質3によって完全に埋めるように構成するた
め、表面粗さを向上させることができる。このため、型
の表面粗さを向上させることができるので、得られる成
形品の表面形状を良好にすることができるとともに、A
l2 O3 陽極酸化膜1の表面をセラミックスとセラミッ
クスよりも強度が大きいNi金属との混合面にすること
ができるため、フィラーによるアブレシブ摩耗の発生が
抑えて陽極酸化膜1の寿命を長くすることができる。
【0036】また、鍍金等による金属による析出層を形
成しないため、寸法変動を小さくすることができる。こ
のため、マスキングを必要とせず金型全体に処理を行う
ことができ、コストの低減を図ることができる。更に、
陽極酸化膜1のポア2内にNi金属からなる充填物質3
を充填したため、膜としての強度を向上させることがで
きる。このため、陽極酸化膜1へのクラックの発生を抑
えることができるので、型の局所的な摩耗の発生を抑え
ることができる。
成しないため、寸法変動を小さくすることができる。こ
のため、マスキングを必要とせず金型全体に処理を行う
ことができ、コストの低減を図ることができる。更に、
陽極酸化膜1のポア2内にNi金属からなる充填物質3
を充填したため、膜としての強度を向上させることがで
きる。このため、陽極酸化膜1へのクラックの発生を抑
えることができるので、型の局所的な摩耗の発生を抑え
ることができる。
【0037】また、前述の如く、特開昭63−3037
14号公報で報告されているような有機物等の硬度の低
いものを充填して潤滑性の向上を図る従来の方法では、
一度摩耗粉が発生すると、摩耗粉が充填物質に埋め込ま
れてこれが逆に摩耗を引き起こすという問題が生じる
が、本発明では、陽極酸化膜1のポア2内に硬度の高い
Ni金属からなる充填物質3を充填して構成しているた
め、仮に摩耗粉が発生しても、摩耗粉がNi充填物質3
に埋め込まれて摩耗を引き起こすような問題をほとんど
生じないようにすることができる。
14号公報で報告されているような有機物等の硬度の低
いものを充填して潤滑性の向上を図る従来の方法では、
一度摩耗粉が発生すると、摩耗粉が充填物質に埋め込ま
れてこれが逆に摩耗を引き起こすという問題が生じる
が、本発明では、陽極酸化膜1のポア2内に硬度の高い
Ni金属からなる充填物質3を充填して構成しているた
め、仮に摩耗粉が発生しても、摩耗粉がNi充填物質3
に埋め込まれて摩耗を引き起こすような問題をほとんど
生じないようにすることができる。
【0038】本実施例は、Ni金属の析出状況を電気量
をモニターすることにより検出するように構成するた
め、金型表面に酸化物と金属の混合面を確実に、かつ容
易に形成することができるうえ、図5(c)のポア2内
部に金属を充填する工程と図5(d)の陽極酸化膜1の
表面粗さの凹凸を金属で埋める工程との見極めを容易
に、かつ確実に検出して決定することができる。
をモニターすることにより検出するように構成するた
め、金型表面に酸化物と金属の混合面を確実に、かつ容
易に形成することができるうえ、図5(c)のポア2内
部に金属を充填する工程と図5(d)の陽極酸化膜1の
表面粗さの凹凸を金属で埋める工程との見極めを容易
に、かつ確実に検出して決定することができる。
【0039】なお、上記実施例では、ポア2への充填が
終了して陽極酸化膜1の表面粗さを析出物で埋める工程
を、液撹拌を通常よりも速くして成形面での流速を高め
ることにより行う場合について説明したが、本発明はこ
れのみに限定されるものではなく、印加電圧をパルス状
にして鍍金を用いて行うように構成してもよく、この場
合、パルス鍍金を行うことによって液撹拌を強くしなく
ても拡散層を薄くすることができ、析出面を平滑化する
ことができる。
終了して陽極酸化膜1の表面粗さを析出物で埋める工程
を、液撹拌を通常よりも速くして成形面での流速を高め
ることにより行う場合について説明したが、本発明はこ
れのみに限定されるものではなく、印加電圧をパルス状
にして鍍金を用いて行うように構成してもよく、この場
合、パルス鍍金を行うことによって液撹拌を強くしなく
ても拡散層を薄くすることができ、析出面を平滑化する
ことができる。
【0040】この場合も、上記実施例と同様、得られた
射出成形用金型を用いてガラス繊維を含む樹脂の成形を
5000回繰り返し行ったところ、表面に微細な摩耗痕
が発生するものの局部的な摩耗は発生しなかった。上記
実施例は、陽極酸化膜1を構成するセラミックスにAl
2 O3 を用いて構成する場合について説明したが、本発
明はこれのみに限定されるものではなく、TiO2 等を
用いて構成してもよい。また、陽極酸化膜1のポア2内
に充填する充填物質3は、コスト及び制御性の点で好適
なNiを用いたが、W等の金属を用いてもよいし、また
は、Ni,Cu,Sn等の合金を用いてもよいし、若し
くはNi−B,Ni−P等の金属間化合物を用いてもよ
い。金属間化合物のうち、Ni−Pは、鍍金のし易さと
鍍金膜の硬度(耐摩耗性)の点で好適である。
射出成形用金型を用いてガラス繊維を含む樹脂の成形を
5000回繰り返し行ったところ、表面に微細な摩耗痕
が発生するものの局部的な摩耗は発生しなかった。上記
実施例は、陽極酸化膜1を構成するセラミックスにAl
2 O3 を用いて構成する場合について説明したが、本発
明はこれのみに限定されるものではなく、TiO2 等を
用いて構成してもよい。また、陽極酸化膜1のポア2内
に充填する充填物質3は、コスト及び制御性の点で好適
なNiを用いたが、W等の金属を用いてもよいし、また
は、Ni,Cu,Sn等の合金を用いてもよいし、若し
くはNi−B,Ni−P等の金属間化合物を用いてもよ
い。金属間化合物のうち、Ni−Pは、鍍金のし易さと
鍍金膜の硬度(耐摩耗性)の点で好適である。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、陽極酸化膜にクラック
を発生し難くすることにより、金型の局所的な摩耗を防
ぐことができる他、金型の表面荒さを良好にすることに
より、得られる成形品の表面形状を良好にすることがで
きるとともに、フィラーによるアブレシブ摩耗を受け難
くして陽極酸化膜の寿命を長くすることができるという
効果がある。
を発生し難くすることにより、金型の局所的な摩耗を防
ぐことができる他、金型の表面荒さを良好にすることに
より、得られる成形品の表面形状を良好にすることがで
きるとともに、フィラーによるアブレシブ摩耗を受け難
くして陽極酸化膜の寿命を長くすることができるという
効果がある。
【図1】本発明に係る陽極酸化膜の構造を示す斜視図で
ある。
ある。
【図2】本発明に係る陽極酸化膜の構造を示す断面図で
ある。
ある。
【図3】本発明に係る陽極酸化膜のポア内に充填物質を
充填した構造を示す斜視図である。
充填した構造を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る陽極酸化膜のポア内に充填物質を
充填した構造を示す断面図である。
充填した構造を示す断面図である。
【図5】本発明に係る成形用金型の製造工程を示す図で
ある。
ある。
【図6】図5に示す各工程での電気量の変化を示す図で
ある。
ある。
【図7】本発明と比較例における耐摩耗試験結果を示す
図である。
図である。
1 陽極酸化膜 1a 金型 2 ポア 3 充填物質
Claims (8)
- 【請求項1】金型成形面をセラミックスと、金属、合金
及び金属間化合物のうち、少なくとも1種との混合面に
よって形成してなることを特徴とする成型用金型。 - 【請求項2】前記セラミックスは、アルミニウムの陽極
酸化物からなり、前記金属は、ニッケル又はタングステ
ンからなることを特徴とする請求項1記載の成型用金
型。 - 【請求項3】前記セラミックスは、アルミニウムの陽極
酸化物からなり、前記金属間化合物は、ニッケルとリン
からなることを特徴とする請求項1記載の成型用金型。 - 【請求項4】前記陽極酸化膜の膜厚は、3μm以上20
0μm以下の範囲であることを特徴とする請求項2,3
記載の成型用金型。 - 【請求項5】金型成形面に陽極酸化を行って複数のポア
を有する陽極酸化膜を形成する工程と、次いで、該ポア
内に電気鍍金によって金属を充填する工程と、次いで、
前記電気鍍金の際に成形面近傍に形成される拡散層の厚
さを通常よりも極めて薄くして鍍金することにより、該
陽極酸化膜表面粗さの凹凸を金属で埋める工程とを含む
ことを特徴とする成型用金型の製造方法。 - 【請求項6】前記拡散層の厚さを通常よりも極めて薄く
する方法は、液撹拌を通常よりも速くして成形面での流
速を高めることにより行うことを特徴とする請求項5記
載の成型用金型の製造方法。 - 【請求項7】前記拡散層の厚さを通常よりも極めて薄く
する方法は、印加電圧をパルス状にして鍍金を行うこと
を特徴とする請求項5記載の成型用金型の製造方法。 - 【請求項8】前記電気鍍金による前記金属の析出状況を
電気量をモニターすることによって行うことを特徴とす
る請求項5乃至7記載の成型用金型。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22124894A JPH0885117A (ja) | 1994-09-16 | 1994-09-16 | 成型用金型及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP22124894A JPH0885117A (ja) | 1994-09-16 | 1994-09-16 | 成型用金型及びその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0885117A true JPH0885117A (ja) | 1996-04-02 |
Family
ID=16763798
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP22124894A Pending JPH0885117A (ja) | 1994-09-16 | 1994-09-16 | 成型用金型及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0885117A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010189695A (ja) * | 2009-02-17 | 2010-09-02 | Fujifilm Corp | 金属部材 |
USRE43694E1 (en) | 2000-04-28 | 2012-10-02 | Sharp Kabushiki Kaisha | Stamping tool, casting mold and methods for structuring a surface of a work piece |
-
1994
- 1994-09-16 JP JP22124894A patent/JPH0885117A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
USRE43694E1 (en) | 2000-04-28 | 2012-10-02 | Sharp Kabushiki Kaisha | Stamping tool, casting mold and methods for structuring a surface of a work piece |
USRE44830E1 (en) | 2000-04-28 | 2014-04-08 | Sharp Kabushiki Kaisha | Stamping tool, casting mold and methods for structuring a surface of a work piece |
USRE46606E1 (en) | 2000-04-28 | 2017-11-14 | Sharp Kabushiki Kaisha | Stamping tool, casting mold and methods for structuring a surface of a work piece |
JP2010189695A (ja) * | 2009-02-17 | 2010-09-02 | Fujifilm Corp | 金属部材 |
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