JPH0885037A - 工作機械の安全装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 オーバライド制御装置を利用して扉開閉検出
信号に基づいたオーバライド値を工作機械制御装置へ出
力することで、工作機械の動作を非常停止させた場合で
も速やかに運転再開が可能であり、別個の制御装置がな
くても工作機械の動作の減速が可能な工作機械の安全装
置を提供する。 【構成】 工作機械運転中、オーバライド制御装置１４
は扉開閉センサ１６から扉開検出信号Ｃを受取ると、オ
ーバライド値Ｂを所定の値に変更して工作機械制御装置
１３へ出力する。工作機械制御装置１３は変更されたオ
ーバライド値Ｂに従って工作機械の動作を停止又は減速
させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、工作機械の安全装置に
係り、特に内部に工作機械が設置された外装に設けられ
た扉が開くことに応じて工作機械の動作を停止または減
速させる工作機械の安全装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から工作機械本体が外装ハウジング
内に設けられ、その外装ハウジングに内部点検作業用の
開閉自在な扉が設けられてなる工作機械においては、工
作機械運転中に扉が開けられた時、作業者の安全を図る
ために扉の開閉を検出する装置を設けて、その検出信号
により工作機械に非常停止をかけたり、制御装置で減速
指令を作成して工作機械の運転速度を減速させるように
したものがある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、最近で
は、工作機械はコンピュータによる運転プログラムによ
り制御されていることから、上述のように工作機械の運
転を強制的に非常停止させてしまうと、プログラムは運
転開始時の初期の状態に戻るため、停止直前の状態から
運転を再開することはできず、最初から再スタートしな
ければならない。従って、工作機械を正常状態に復旧さ
せるためには工作機械内部に残ったワークを取り出す作
業をしなければならず、復旧に長時間を要していた。ま
た、扉が開かれたことの検出信号に基づいて工作機械の
動作を減速させる場合においては、通常、工作機械の制
御には、設定された速度で動作するようにプログラムが
組み込まれているので、減速した速度設定をさらにこの
プログラムに組み入れることは困難であり、工作機械に
減速指令を出すためには、そのための制御装置を別に設
けなければならず、安全装置のコストが割高になるとい
う問題があった。

【０００４】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、工作機械が備えているオーバラ
イド制御装置を利用して、扉の開閉検出時にオーバライ
ド値を変更することにより、工作機械の動作を停止又は
減速させるようにして、復旧のために煩雑な作業を要す
ることなく、速やかに工作機械の運転再開ができ、工作
機械に減速指令を出すための別個の制御装置がなくて
も、工作機械の動作を減速させることができる工作機械
の安全装置を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項１の発明は、内部に工作機械が設置された外装
に開閉自在な扉が設けられており、この扉が開かれるこ
とに応じて工作機械の動作を停止又は減速させる工作機
械の安全装置において、扉の開閉を検出する扉開閉検出
センサと、工作機械の動作速度を制御するオーバライド
制御装置と、オーバライド制御装置より出力されるオー
バライド値に基づいて、工作機械の動作を制御する工作
機械制御装置とを備え、オーバライド制御装置は、扉開
閉検出センサからの扉開閉検出信号を受取り、この信号
に基づいてオーバライド値を変更し、このオーバライド
値を工作機械制御装置へ出力し、工作機械制御装置は、
オーバライド制御装置から受取ったオーバライド値に従
って工作機械の動作を停止又は減速させるものである。
また、請求項２の発明は、請求項１記載の工作機械の安
全装置において、工作機械の動作速度を指定するオーバ
ライド信号を、オーバライド制御装置に出力するオーバ
ライド操作装置を備え、オーバライド制御装置は、扉開
閉検出センサから扉が開いたことを示す検出信号を受取
った時、工作機械制御装置へ出力するオーバライド値
を、オーバライド操作装置から受取るオーバライド信号
に基づいたオーバライド値から、予め指定しておいたオ
ーバライド値に変更するものである。また、請求項３の
発明は、請求項１又は請求項２記載の工作機械の安全装
置において、工作機械の動作速度を指定するオーバライ
ド信号を、オーバライド制御装置に出力するオーバライ
ド操作装置を備え、オーバライド制御装置は、扉開閉検
出センサから扉が閉じたことを示す検出信号を受取った
時、工作機械制御装置へ出力するオーバライド値を、扉
が開いたことを示す信号を受取った時に出力するオーバ
ライド信号から、オーバライド操作装置から受取るオー
バライド信号に基づいたオーバライド値に変更するもの
である。

【０００６】

【作用】上記構成を有する請求項１の発明によれば、工
作機械運転中に、内部に工作機械が設置された外装に設
けられた扉が開閉された時、オーバライド制御装置は、
扉開閉センサから扉開閉検出信号を受取り、これに基づ
いて、それまで工作機械制御装置へ出力していたオーバ
ライド値を変更して出力する。工作機械制御装置は変更
されたオーバライド値を受取って、これに従って工作機
械の動作を停止又は減速させる。このように、前記扉が
開かれたことによる工作機械の動作の停止又は減速は、
オーバライド制御装置が工作機械制御装置へ出力するオ
ーバライド値を変更することによって行うため、工作機
械通常運転中の動作を調整するためのオーバライド操作
装置等の装置の操作によって工作機械の動作を停止又は
減速させたと同等の作用が得られる。また、請求項２の
発明によれば、オーバライド制御装置は、扉が開いたこ
とを示す扉開閉検出信号を受取った時、工作機械制御装
置に出力するオーバライド値を、オーバライド操作装置
から出力されるオーバライド信号に基づいたオーバライ
ド値から、予め指定しておいたオーバライド値に変更
し、任意の速度で運転することができるため、上記と同
様の作用が得られる。また、請求項３の発明によれば、
オーバライド制御装置が、扉が閉じたことを示す扉開閉
検出信号を受取った時、工作機械制御装置に出力するオ
ーバライド値を、扉が開いたことを示す扉開閉検出信号
を受取った場合に出力するオーバライド値から、オーバ
ライド操作装置から出力されるオーバライド信号に基づ
いたオーバライド値に変更する。従って、工作機械は扉
が開く前の速度に速やかに復帰することができる。

【０００７】

【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図面を
参照して説明する。図１は、安全装置が備えられた工作
機械の外観構成図であり、工作機械の外装１の内部には
ワーク供給装置１１（図２）や工作機械本体１２（図
２）が備えられ、外装１には、左右方向に移動して開閉
自在な扉２ａ，２ｂ及び３ａ，３ｂが設けられている。
これらの扉は作業者によって内部の点検作業などを行う
ために開閉されるものである。また、外装１には工作機
械等の運転を操作するための操作盤４が設けられてい
る。

【０００８】図２は、本工作機械の安全装置におけるブ
ロック構成図である。工作機械の外装１内のワーク供給
装置１１はワークを工作機械本体１２（例えば、タッピ
ング装置等）に供給するものであり、これらの機械は工
作機械制御装置１３により制御される。この工作機械制
御装置１３には工作機械本体１２等の動作速度の制御の
ためにオーバライド値Ｂを出力するオーバライド制御装
置１４が接続され、工作機械制御装置１３は、オーバラ
イド制御装置１４からオーバライド値Ｂを受取り、この
ワーク供給装置１１と工作機械本体１２の動作を制御す
る。また、オーバライド制御装置１４には、工作機械本
体１２等の動作速度の指定のためオーバライド信号Ａを
出力するオーバライド操作装置１５が接続されている。
これら各装置１３、１４、１５は上記操作盤４に設けら
れている。また、外装１に設けられた開閉自在な扉２
ａ，２ｂ及び３ａ，３ｂには、その開閉を検出する扉開
閉センサ１６が設けられ、この扉開閉センサ１６による
検出信号Ｃ，Ｄはオーバライド制御装置１４に入力され
ている。

【０００９】さらに、上記構成各部の詳細を説明する
と、オーバライド操作装置１５は、図３に示すように、
目盛り１５ａの上にツマミ１５ｂを有し、ツマミ１５ｂ
の位置に応じたオーバライド信号Ａをオーバライド制御
装置１４に出力する。オーバライド制御装置１４は受取
ったオーバライド信号Ａに対応するオーバライド値Ｂを
工作機械制御装置１３へ出力する。工作機械制御装置１
３は工作機械本体１２及びワーク供給装置１１に接続さ
れており、受取ったオーバライド値Ｂに基いて工作機械
本体１２及びワーク供給装置１１の動作を制御する。扉
２ａ，２ｂ又は３ａ，３ｂが開閉され、これが扉開閉セ
ンサ１６により検出されると、扉開検出信号Ｃがオーバ
ライド制御装置１４へ出力される。この扉開閉検出信号
Ｃに基づき、オーバライド制御装置１４は工作機械制御
装置１３へ出力するオーバライド値Ｂを変更し、工作機
械本体１２及びワーク供給装置１１の動作を停止又は減
速させるように機能する。

【００１０】なお、上記オーバライド操作装置１５は、
ツマミ１５ｂの位置に対応したオーバライド値を３ビッ
ト２進数のオーバライド信号Ａに変換してオーバライド
制御装置１４に出力する。このときツマミ１５ｂが最も
左側の時には、オーバライド操作装置１５はオーバライ
ド信号Ａを２進数の０で、またツマミ１５ｂが最も右側
の時には、オーバライド信号を２進数の７で、さらにツ
マミ１５ｂが前記以外の中間の位置にあるときには、そ
の位置に応じてオーバライド信号Ａを２進数の１〜６と
して、オーバライド制御装置１４に出力するようにして
いる。

【００１１】また、オーバライド制御装置１４は、オー
バライド操作装置１５から出力されるオーバライド信号
Ａに基づいてオーバライド値Ｂを決定し、工作機械制御
装置１３へ出力しているが、本実施例においては、図４
に示すようにオーバライド操作装置１５から受取るオー
バライド信号Ａの数値に対応して、オーバライド値Ｂが
０％〜１００％になるように設定されている。これによ
り決定されたオーバライド値Ｂに応じて工作機械制御装
置１３は工作機械本体１２とワーク供給装置１１の動作
速度を、通常運転中の動作速度の０％（停止状態）か
ら、１００％（通常運転中の動作速度と同じ）まで制御
するものとされている。

【００１２】図５は本実施例におけるオーバライド制御
装置１４の処理の流れを示すフローチャートである。以
下、図５を用いて同装置１４の動作を説明する。扉２
ａ，２ｂ又は３ａ，３ｂが開けられた時、そのことは扉
開閉センサ１６によって検出され、その扉開閉検出信号
Ｃ，Ｄはオーバライド制御装置１４に出力される。オー
バライド制御装置１４は扉開閉検出信号Ｃ，Ｄを読み取
り（Ｓ１）、この信号より扉２ａ，２ｂ，３ａ，３ｂが
閉じられているか否かを調べる（Ｓ２）。オーバライド
制御装置１４が、扉２ａ，２ｂ，３ａ，３ｂが閉じられ
ていると判定した時は（Ｓ２でＹＥＳ）、オーバライド
操作装置１５からのオーバライド信号Ａを読み取って
（Ｓ３）、このオーバライド信号Ａに基づいてオーバラ
イド値Ｂを決定し（Ｓ４）、このオーバライド値Ｂを工
作機械制御装置１３へ出力する（Ｓ５）。これにより、
工作機械本体１２及びワーク供給装置１１は通常の動作
速度で運転される。

【００１３】上記Ｓ２において、扉２ａ，２ｂ，３ａ，
３ｂが閉じられていないと判定された時は（Ｓ２でＮ
Ｏ）、オーバライド制御装置１４は出力するオーバライ
ド値をオーバライド操作装置１５からのオーバライド信
号Ａに基づいたオーバライド値Ｂから、予め指定されて
いるオーバライド値Ｂに変更して（Ｓ６）、この変更し
たオーバライド値Ｂを工作機械制御装置１３に出力する
（Ｓ５）。例えば、扉開検出信号Ｃを受取るとオーバラ
イド値Ｂが１０％に変更されるように指定しておくと、
工作機械制御装置１３は通常運転中の動作速度の１０％
で動作するように工作機械本体１２及びワーク供給装置
１１を制御することになる。また、オーバライド値Ｂを
０％となるように指定しておくと、工作機械本体１２及
びワーク供給装置１１を停止させることができる。扉２
ａ，２ｂ又は３ａ，３ｂが閉じられている状態から開か
れ、その後、再び閉じられた時はオーバライド値は上記
Ｓ６の処理によって変更したオーバライド値Ｂから、再
びＳ４の処理によってオーバライド信号Ａに基づいて決
定されたオーバライド値Ｂに切り替わることになり、従
って、工作機械１２及びワーク供給装置１１は、扉２
ａ，２ｂ，３ａ，３ｂが開く前の動作速度に速やかに復
帰する。

【００１４】上記のような処理を行うことにより、扉２
ａ，２ｂ，３ａ，３ｂが開閉した時に行われる工作機械
本体１２及びワーク供給装置１１の動作の停止又は減速
は、オーバライド操作装置１５のツマミ１５ｂを操作し
て工作機械本体１２及びワーク供給装置１１の動作を停
止又は減速させた場合と同等の作用が得られる。このた
め、工作機械の運転を再開しようとする場合にも、扉２
ａ，２ｂ及び３ａ，３ｂを閉じることによって速やかに
扉２ａ，２ｂ，３ａ，３ｂが開かれる前の動作速度に復
帰でき、従来必要であった煩雑な復旧作業を行わずに運
転を続行することができる。また、扉開閉検出信号Ｃ，
Ｄはオーバライド制御装置１４において処理されるの
で、工作機械本体１２及びワーク供給装置１１に減速指
令を出すための別個の制御装置を必要とせずに、工作機
械本体１２及びワーク供給装置１１の動作を減速するこ
とができる。

【００１５】

【発明の効果】以上のように、請求項１記載の発明に係
る工作機械の安全装置によれば、扉開閉センサからの扉
開閉検出信号とオーバライド制御装置を利用することに
より、オーバライド値を変更して工作機械制御装置へ出
力することで、工作機械の動作の停止又は減速をさせる
ため、扉開閉センサからの扉開閉検出信号による工作機
械への非常停止をかけなくても、工作機械を停止させる
ことができる。従って、従来のようにプログラムが初期
の状態に戻って、最初から動作を再開しなければなら
ず、そのために工作機械内部に残ったワークを取り出す
といった作業を必要としなくなり、作業を停止した状態
から速やかに工作機械の運転再開を行うことができる。
また、工作機械の動作を減速させるために、工作機械に
減速指令を出すための別個の制御装置を必要としなくな
り、工作機械の安全装置の低コスト化が図れる。請求項
２記載の発明に係る工作機械の安全装置によれば、上記
の効果に加えて、オーバライド制御装置は、扉が開いた
ことを示す扉開閉検出信号を受取った時、工作機械制御
装置に出力するオーバライド値を、予め指定しておいた
オーバライド値に変更し、任意の速度で運転することが
できる。請求項３記載の発明に係る工作機械の安全装置
によれば、オーバライド制御装置は扉が閉じたことを示
す扉閉検出信号を受取った時、扉が開いたことを示す扉
開検出信号を受取った時に出力するオーバライド値か
ら、オーバライド操作装置からのオーバライド信号に基
づいたオーバライド値に変更して出力するため、停止又
は減速した状態から工作機械の運転を再開しようとする
際、従来のように作業復旧のための煩雑な作業を必要と
せず、再び扉を閉じることによって、停止又は減速した
状態から速やかに工作機械の運転を再開させることがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例による工作機械の安全装置が
備えられた工作機械の外観構成図である。

【図２】上記工作機械の安全装置のブロック構成図であ
る。

【図３】上記安全装置におけるオーバライド操作装置の
正面図である。

【図４】上記安全装置におけるオーバライド信号とオー
バライド値の対照を示す図である。

【図５】上記安全装置におけるオーバライド制御装置の
処理の流れを示すフローチャートである。

【符号の説明】

１２ 工作機械本体 １３ 工作機械制御装置 １４ オーバライド制御装置 １５ オーバライド操作装置 １６ 扉開閉センサ ２ａ，２ｂ，３ａ，３ｂ 扉 Ａ オーバライド信号 Ｂ オーバライド値 Ｃ，Ｄ 扉開閉検出信号

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に工作機械が設置された外装に開閉
   自在な扉が設けられており、この扉が開かれることに応
   じて工作機械の動作を停止又は減速させる工作機械の安
   全装置において、 前記扉の開閉を検出する扉開閉検出センサと、 工作機械の動作速度を制御するオーバライド制御装置
   と、 前記オーバライド制御装置より出力されるオーバライド
   値に基づいて、工作機械の動作を制御する工作機械制御
   装置とを備え、 前記オーバライド制御装置は、前記扉開閉検出センサか
   らの扉開閉検出信号を受取り、この信号に基づいてオー
   バライド値を変更し、このオーバライド値を前記工作機
   械制御装置へ出力し、 前記工作機械制御装置は、前記オーバライド制御装置か
   ら受取ったオーバライド値に従って工作機械の動作を停
   止又は減速させることを特徴とする工作機械の安全装
   置。
2. 【請求項２】 工作機械の動作速度を指定するオーバラ
   イド信号を、オーバライド制御装置に出力するオーバラ
   イド操作装置を備え、 前記オーバライド制御装置は、扉開閉検出センサから扉
   が開いたことを示す検出信号を受取った時、工作機械制
   御装置へ出力するオーバライド値を、前記オーバライド
   操作装置から受取るオーバライド信号に基づいたオーバ
   ライド値から、予め指定しておいたオーバライド値に変
   更することを特徴とする請求項１記載の工作機械の安全
   装置。
3. 【請求項３】 工作機械の動作速度を指定するオーバラ
   イド信号を、オーバライド制御装置に出力するオーバラ
   イド操作装置を備え、 前記オーバライド制御装置は、扉開閉検出センサから扉
   が閉じたことを示す検出信号を受取った時、工作機械制
   御装置へ出力するオーバライド値を、扉が開いたことを
   示す信号を受取った時に出力するオーバライド信号か
   ら、前記オーバライド操作装置から受取るオーバライド
   信号に基づいたオーバライド値に変更することを特徴と
   する請求項１又は請求項２に記載の工作機械の安全装
   置。