JPH088438Y2 - エンジンの試運転装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はエンジンの試運転装置に関する。

〔従来の技術〕

自動車工場においては、組立てられたエンジンはクレ
ーンで試運転台上に移動され、ここで動力計に連結され
試運転されて種々の計測が行われるのであるが、試運転
台では、運び込まれる種々の型式，サイズのエンジンを
手際よく、動力計に同軸的に据付けて、その出力軸をカ
ップリングを介して動力計に連結しなければならない。

この種の試験装置では、従来、第５図側面図に示すよ
うに、動力計Dynの軸端にラバーカップリング05を介し
てスプラインシャフト04が連結され、スプラインシャフ
ト04に挿入されたフエースプレート06を被検エンジンの
フライホイール07のダウエルピン08に嵌めて、フエース
プレート06及びフライホイール07を複数のボルト09で締
めつけている。

〔考案が解決しようとする課題〕

ラバーカップリングはエンジン出力軸と動力計の芯ず
れ及び芯ぶれを許容する大きなフレキシビリテイをもっ
てその動力を動力計に伝達することができるので、従来
広く採用されているところであるが、剛性に乏しい関係
上、片持ち梁状に張出されると、フエースプレートによ
る荷重のために下方に大きくうなだれるから、エンジン
との連結に当っては、これを一旦持ち上げダウエルピン
で位置合わせをしたのち、複数のボルトでフエースプレ
ートをフライホイールに連結しなければならず、また試
運転後エンジンを外す際にも複数のボルトを外すため
に、少なからざる手間がかかる。

また、被検エンジンはその出力の大小によりそのクラ
ッチデイスク中心孔のサイズに若干の差異がある故、こ
の点を考慮してエンジン試運転装置としては迅速確実な
連結を可能とすることが試運転上非常に重要である。

本考案はこのような事情に鑑みて提案されたもので、
種々の出力のエンジンとの連結作業を迅速かつ確実に行
うことができる広範囲の回転数及びトルクの計測に好適
な長寿命のエンジンの試運転装置を提供することを目的
とする。

〔課題を解決するための手段〕

そのために本考案は、被検エンジンと動力計の間に配
設されその軸線の下方に平行に延びる水平ガイドレール
と、上記ガイドレールに沿って摺動自在に付設された可
動軸受と、上記可動軸受に軸支され互いに同軸的にスプ
ライン嵌合された内軸及び外軸よりなり一方の軸が上記
動力計に連結され他方の軸がばね式可撓性緩衝接手の一
端に連結された伸縮自在の中間軸と、上記可撓性緩衝接
手の他端に突設され先端部に上記被検エンジンの出力軸
にスプライン嵌合するスプラインが刻設された連結軸と
を有するエンジンの試運転装置において、上記連結軸と
して上記緩衝接手にスプライン嵌合し後端が尖ったスプ
ライン歯よりなる後半部スプラインを有するとともに、
被検エンジンのクラッチディスクの中心孔にスプライン
嵌合し前端が尖ったスプライン歯よりなる前半部スプラ
インを有し、前半部，後半部スプラインがそれぞれ長い
スプライン歯と短いスプライン歯とを交互に配列してな
る連結スプライン軸を具えたことを特徴とする。

〔作用〕

このような構成によれば、連結スプライン軸は後半部
スプラインの形状は同一であるが、前半部スプラインの
形状は被検エンジンの出力の大小に応じて例えば小径，
中径，大径の差異を有する３種類のものを予め準備して
おき、被検エンジンによってこれを選択的に使用するこ
とができる。

連結スプライン軸のスプライン歯の前端部はそれぞれ
山型状に軸方向に尖っており、しかも交互に軸方向に若
干突出しているので、連結の際、容易に相手雌スプライ
ンに嵌合することができる。

〔実施例〕

本考案の一実施例を図面について説明すると、第１図
はその全体側面図、第２図は第１図の平面図、第３図は
第１図のスプライン軸を示す側面図，正面図及び背面
図、第４図は第１図のIV部の変形例を示す部分拡大図で
ある。

まず、第１〜３図において、１はベッドBedの央部で
被検エンジンの出力軸及び動力計の中心軸線の若干下方
でこれに平行に配設された水平ガイドレール、２はガイ
ドレール１上に上載されこれに沿って軸方向に摺動自在
の可動軸受、3,4はそれぞれ雄スプラインシャフト，雌
スプラインシャフトで、両者は互いに嵌合して伸縮自在
の中間軸を形成し、その雌スプラインシャフト４が可動
軸受２に軸支されるとともにその可動軸受２に対する軸
方向の相対的変位は拘束されている。５は可撓性緩衝接
手で、その前端は後記する連結スプライン軸６を介して
フライホイール７に付設されたクラッチの出力軸の雌ス
プラインに嵌合している。

12,14はそれぞれエンジンEngの前後端に突設された左
右一対のフロントマウンテイング，リアマウンテイン
グ,13,15はそれぞれベッドのエンジン据付部に配設され
フロントマウンテイング12,リアマウンテイング14を支
持するフロント支持部材，リア支持部材である。

ここで、連結スプライン軸６を説明すると、第３図に
示すように、前半部には被検エンジンのクラッチデイス
クの中心孔にスプライン嵌合する前端が尖った前半部ス
プライン6fを有するとともに、後半部には緩衝接手５に
スプライン嵌合する後端が尖った後半部スプライン6rを
有し、両スプライン6f,6rはそれぞれ長いスプライン歯
と若干短いスプライン歯とを交互に配列してなり、前半
部スプライン6fの前端寄りの部位には半径方向にボール
及びばねよりなるボールプランジャー6pが形成されてい
る。

この連結スプライン軸は、後半部スプライン6rの外径
をそれぞれ同一とし、前半部スプライン6fの外径を例え
ば小径，中径，大径というように異径とした３種類のも
のを準備し、被検エンジンによって若干差異のあるクラ
ッチの中心孔に応じて選択的に使用する。

このような連結スプライン軸を有するエンジン試運転
装置において、エンジンEngを据付けるには、まず可動
軸受２をガイドレール１に沿って動力計Dyn寄りに移動
したのち、エンジンをエンジン搬送台車で試運転装置に
搬入し、装置間の駆動ローラをリフトダウンして、その
フロントマウンテイング12及びリアマウンテイング14を
それぞれフロント支持部材13,リア支持部材15上に載置
固定し、そのクラッチの中心孔に連結スプライン軸６の
前半部スプライン6fを嵌合する。

しかる後、可動軸受２をエンジン寄りにシフトする
と、ターニングギア８の緩速回転に伴い可撓性緩衝接手
５の可撓性により連結スプライン軸６の後半部スプライ
ン6rは可撓性緩衝接手６の中心孔にスプライン嵌合する
から、直ちにエンジンの試運転に入ることができる。

その際、スプライン歯の前後端はそれぞれ軸方向に尖
っており、しかも交互に軸方向に出張っているので、軸
方向に押すことで容易に相手雌スプラインに嵌合する。

試運転終了後は可動軸受２を再び動力計寄りにシフト
すると、連結スプライン軸６はその前端部でボールプラ
ンジヤー6pの作用によりクラッチに軽くロックされてい
る関係で、その後半部スプライン6rが緩衝接手５の中心
孔から抜けるから、エンジンは直ちに駆動ローラをリス
トアップすることにより、フロントとリアのマウンティ
ングから離すことができるので次の工程へ移送すること
ができる。

試運転に際して、エンジンがフロント支持部材13及び
リア支持部材15上に支持された状態では、その軸芯は動
力計のそれに大してかなりのばらつきをもって芯ずれ及
び芯ぶれの状態にあるが、緩衝接手５はこれを許容する
とともに所要のばね特性をもってエンジンの広範囲にわ
たるトルク及び回転数を動力計に伝達することができ
る。

なお、連結スプライン軸６は、第４図に示すように、
雌スプライン治具16を介して緩衝接手５に接続すること
もできる。ここで、雌スプライン治具16の中心孔の前端
大径部には雌スプライン17がキー18を介して固着され、
その後端小径部にはスプリング19を介してプッシュロッ
ド20が挿入されている。

〔考案の効果〕

要するに本考案によれば、被検エンジンと動力計との
間に配設されその軸線の下方に平行に延びる水平ガイド
レールと、上記ガイドレールに沿って摺動自在に付設さ
れた可動軸受と、上記可動軸受に軸支され互いに同軸的
にスプライン嵌合された内軸及び外軸よりなり一方の軸
が上記動力計に連結され他方の軸がばね式可撓性緩衝接
手の一端に連結された伸縮自在の中間軸と、上記可撓性
緩衝接手の他端に突設され先端部に上記被検エンジンの
出力軸にスプライン嵌合するスプラインが刻設された連
結軸とを有するエンジンの試運転装置において、上記連
結軸として上記緩衝接手にスプライン嵌合し後端が尖っ
たスプライン歯よりなる後半部スプラインを有するとと
もに、被検エンジンのクラッチデイスクの中心孔にスプ
ライン嵌合し前端が尖ったスプライン歯よりなる前半部
スプラインを有し、前半部，後半部スプラインがそれぞ
れ長いスプライン歯と短いスプライン歯とを交互に配列
してなる連結スプライン軸を具えたことにより、種々の
出力のエンジンとの連結作業を迅速かつ確実に行うこと
ができる広範囲の回転数及びトルクの計測に好適な長寿
命のエンジンの試運転装置を得るから、本考案は産業上
極めて有益なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す全体側面図、第２図は
第１図の平面図、第３図は第１図のスプライン軸を示す
側面図，正面図及び背面図、第４図は第１図のIV部の変
形例を示す部分拡大図である。 第５図は公知のエンジン試運転装置を示す側面図であ
る。 １…水平ガイドレール、２…可動軸受、３…雄スプライ
ンシャフト、４…雌スプラインシャフト、５…可撓性緩
衝接手（緩衝接手）、６…連結スプライン軸、6f…前半
部スプライン、6p…ボールプランジャー、6r…後半部ス
プライン、７…フライホイール、８…ターニングギア、
９…ターニング用モーター、10…カバー、11…ストッパ
ー、12…フロントマウンテイング、13…フロント支持部
材、14…リアマウンテイング、15…リア支持部材、16…
雌スプライン治具、17…雌スプライン、18…キー、19…
スプリング、20…プッシュロッド、

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】被検エンジンと動力計との間に配設されそ
   の軸線の下方に平行に延びる水平ガイドレールと、上記
   ガイドレールに沿って摺動自在に付設された可動軸受
   と、上記可動軸受に軸支され互いに同軸的にスプライン
   嵌合された内軸及び外軸よりなり一方の軸が上記動力計
   に連結され他方の軸がばね式可撓性緩衝接手の一端に連
   結された伸縮自在の中間軸と、上記可撓性緩衝接手の他
   端に突設され先端部に上記被検エンジンの出力軸にスプ
   ライン嵌合するスプラインが刻設された連結軸とを有す
   るエンジンの試運転装置において、上記連結軸として上
   記緩衝接手にスプライン嵌合し後端が尖ったスプライン
   歯よりなる後半部スプラインを有するとともに、被検エ
   ンジンのクラッチデイスクの中心孔にスプライン嵌合し
   前端が尖ったスプライン歯よりなる前半部スプラインを
   有し、前半部，後半部スプラインがそれぞれ長いスプラ
   イン歯と短いスプライン歯とを交互に配列してなる連結
   スプライン軸を具えたことを特徴とするエンジンの試験
   装置。