JPH0883770A - 半導体超格子構造の形成方法 - Google Patents

半導体超格子構造の形成方法

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JPH0883770A
JPH0883770A JP21869794A JP21869794A JPH0883770A JP H0883770 A JPH0883770 A JP H0883770A JP 21869794 A JP21869794 A JP 21869794A JP 21869794 A JP21869794 A JP 21869794A JP H0883770 A JPH0883770 A JP H0883770A
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growth
forming
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JP21869794A
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Inventor
Yasuhiro Matsui
康浩 松井
Shin Arataira
慎 荒平
Hiroshi Ogawa
洋 小川
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Oki Electric Industry Co Ltd
Original Assignee
Oki Electric Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面置換反応を抑制でき、かつ、原料ガスの
切替を確実に行うことができる、半導体超格子構造の形
成方法の提供。 【構成】 先ず、有機金属気相成長法によりInGaA
s層を形成する。次に、TMIおよびTEGの供給を止
めることにより、結晶成長を止めて約10秒間の前期成
長中断期間を設ける。次に、第1回目の成長中断期間の
後に、InGaAs層と格子整合し、かつ、InGaA
sP層と実質同一の組成を有する中間層を、InGaA
s層上に成長させる。次に、再び、TMIおよびTEG
の供給を止めることにより、結晶成長を止めて30秒間
の後期成長中断期間を設ける。次に、この後期成長中断
期間の後に、この中間層上に、InGaAsP層を成長
させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、有機金属気相成長法
を用いた半導体超格子構造の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有機金属気相成長法による半導体超格子
構造の形成方法の一例が、文献:「Journal o
f Crystal Growth,93,pp.34
7−352,1988」に開示されている。ところで、
超格子構造を用いることによる量子効果を期待するため
には、超格子構造を構成する各層の膜厚をナノメートル
レベルで良く制御するだけでなく、各層の結晶界面での
組成が急峻に切り替わっていることが重要である。組成
を急峻に切り替えるためには、原料ガスの切替が設定通
りに急峻に行われる装置設計が必要となる。このため、
上記文献に開示の技術によれば、ガス切り替え方式とし
て、ベント−ランシステムを用いている。この方式は、
半導体超格子構造を結晶成長させる基板へ、原料ガスを
供するための「ラン」のラインと、これと平行して基板
上を通過しないで排気ポンプへ直接繋がっている「ベン
ト」のラインとを設け、スイッチングバルブを介して原
料ガスの流路を「ベント」と「ラン」との間で素早く切
り替えができる構造となっている。この「ベント」に原
料ガスを流している時間が成長中断時間となり、この間
に、基板に供給される原料ガスを入れ替えることによ
り、原料ガスの急峻な切り替えを図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際の
結晶成長においては、原料ガスの粘性のため、結晶成長
装置のガス配管内壁や反応管内壁の面上でガスの流速が
著しく遅くなっている。このため、気相中のガスの濃度
を急峻に切り替えることは困難である。特に、III−
V族化合物半導体のV族元素のリン(P)およびヒ素
(As)の原料ガスであるホスフィン(PH3 )および
アルシン(AsH3 )は粘性が高いために、急峻な切り
替えが非常に困難である。さらに、ホスフィンおよびア
ルシンは粘性が高いため、これらのガスを反応管に導入
した瞬間に反応管への配管中のガス圧力が上昇し、基板
に供給されるガス量を変動させるおそれがある。このた
め、原料ガスの切替を完全に行うには、数十秒程度の比
較的長い時間を要する場合もある。また、成長中断時間
が短いと、成長再開後に気相中の原料ガス濃度が時間と
共に変化していくことになるので、超格子界面での結晶
組成の変化の急峻性を損なうことになる。従って、原料
ガスの切替を完全に行うために、成長中断時間を長くす
る必要がある。
【0004】一方、V族ガスは、結晶表面からの離脱、
置換といった表面置換反応を起こし易く、成長中断時間
が長くなると、界面の結晶性が損なわれてしまう。従っ
て、表面置換反応を抑制するためには、成長中断時間を
短くする必要がある。
【0005】このように、成長中断時間の最適値は、原
料ガスの切替と表面置換反応との競合関係にある。この
最適値は、結晶成長装置の構造に強く依存しており、装
置の構造によっては、この最適値が大変狭く、さらには
存在しない場合も考えられる。
【0006】このため、結晶成長装置の構造による影響
が少なく、表面置換反応を抑制でき、かつ、原料ガスの
切替を確実に行うことができる、半導体超格子構造の形
成方法の実現が望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明の半導体超格子
構造の形成方法において、有機金属気相成長法を用い
て、第1組成の層と第2組成の層とを交互に結晶成長さ
せて、半導体超格子構造を形成するにあたり、第1組成
の層を形成した後に、前期成長中断期間を設ける工程
と、この前期成長中断期間の後に、この第1組成の層上
に、当該第1組成の層と格子整合しかつこの第2組成の
層と実質同一の組成を有する中間層を形成する工程と、
この中間層を形成した後に、後期成長中断期間を設ける
工程と、この後期成長中断期間の後に、この中間層上に
第2組成の層を形成する工程とを含むことを特徴とす
る。
【0008】また、好ましくは、中間層は、この中間層
を構成する分子を1〜3積層させると良い。
【0009】また、好ましくは、リン(P)を導入する
ための原料ガスとしてホスフィン(PH3 )を使用し、
ヒ素(As)を導入するため原料ガスとしてアルシン
(AsH3 )を使用して、第1組成の層としてのInG
aAs層を形成後、当該InGaAs層上に、第2組成
の層としてのInGaAsP層を形成するにあたり、I
nGaAs層を形成する工程と、このInGaAs層形
成後、少なくともインジウム(In)およびガリウム
(Ga)を導入するための原料ガスの供給を止めること
により前期成長中断期間を設ける工程と、第1回目の成
長中断期間の後に、InGaAs層と格子整合し、か
つ、InGaAsP層と実質同一の組成を有する中間層
を、InGaAs層上に成長させる工程と、この中間層
を成長させた後、少なくともInおよびGaを導入する
ための原料ガスの供給を止めることにより、後期成長中
断期間を設ける工程とこの後期成長中断期間の後に、こ
の中間層上に、InGaAsP層を成長させる工程とを
含むことが望ましい。
【0010】
【作用】この発明の半導体超格子構造の形成方法によれ
ば、原料ガスの切り替えにあたり、中間層の成長を挟ん
で、前期成長中断期間および後期成長中断期間を設け
る。前期成長中断期間は、従来の形成方法における成長
中断期間と同様に、界面の結晶性を損なわない程度に短
いことが望ましい。前期成長中断期間後に形成する中間
層は、後に形成する第2組成の層と実質同一の組成を有
する。このため、この中間層を形成することにより、界
面の結晶性の損失を抑制することができる。
【0011】さらにこの発明では、中間層形成後に、後
期成長中断期間を設けてある。これにより、界面の結晶
性を損なうことなく、原料ガスの切替のための時間を充
分にとることが可能となる。
【0012】また、この中間層の膜厚は、この中間層の
上下に形成される第1および第2組成の層との格子整合
を図るため、望ましくは、1〜3分子層の厚さであるこ
とが望ましい。特に、1分子層の場合は、中間層の物性
が現れないため、最も望まし。
【0013】
【実施例】以下、図面を参照して、この発明の半導体超
格子構造の形成方法の一例について説明する。尚、参照
する図面は、この発明が理解できる程度に各構成成分、
形状および配置関係を概略的に示してあるにすぎない。
従って、この発明はこの図示例にのみ限定されるもので
ないことは明らかである。
【0014】この実施例では、III−V族の元素から
なる化合物半導体のによる半導体超格子構造の形成方
法、特に、第1組成の層としてのInGaAs層を形成
後、当該InGaAs層上に、第2組成の層としてのI
nGaAsP層を形成する場合の組成の切り替えについ
て説明する。
【0015】図1は、この実施例の説明に供する、原料
ガスの供給量のタイムチャート図である。
【0016】この実施例では、V族の元素のリン(P)
を導入するための原料ガスとしてホスフィン(PH3
を使用し、V族の元素のヒ素(As)を導入するため原
料ガスとしてアルシン(AsH3 )を使用する。また、
III族の元素のインジウム(In)を導入するための
原料ガスとしてトリメチルインジウム(TMI)を使用
し、III族の元素のガリウム(Ga)を導入する原料
ガスとしてトリエチルガリウム(TEG)を使用する。
【0017】先ず、InGaAs層を形成する。通常、
有機金属気相成長法においては、成長基板温度を500
〜700℃程度とし、原料ガスの、V族元素の総モル量
とIII族元素の総モル量との比(V/III比)を5
0〜200の間の割合とする。このV/III比とする
ことで、結晶成長はIII族元素の原料ガスの供給の開
始により始まる。また、成長基板の温度が、III族元
素の原料ガスがほぼ100%分化する500℃以上なの
で、成長速度は、III族元素の原料ガスの供給律速と
なりこの原料ガスの供給量に比例する。
【0018】この実施例では、形成するInGaAs層
の組成をIn=0.53、Ga=0.47、As=1、
バンドギャップ波長1.67μmとする。
【0019】但し、ここで組成とは、Inの組成とGa
の組成との和が1となる値である。従って、Inの組成
をX、とすると、InX Ga1-X Asと表すことができ
る。
【0020】そして、成長条件は、成長温度650℃、
成長圧力50Torr、キャリアガス流量3L/min
とし、InGaAsPの原料ガスの流量は、それぞれT
MIを55sccm、TEGを60sccm、AsH3
を60sccmとして、厚さ10nmのInGaAs層
を形成する。
【0021】但し、ここで「sccm」とは、0℃、1
気圧の下での1分間の流量をccで表したもので、標準
体積(Standard cubic centimeter per minuits )を指
す。
【0022】次に、このInGaAs層形成後、少なく
ともインジウム(In)およびガリウム(Ga)を導入
するための原料ガスの供給を止めることにより前期成長
中断期間を設ける。
【0023】この実施例では、TMIおよびTEGの供
給を止めることにより、結晶成長を止めて前期成長中断
期間を設ける。但し、TMIおよびTEGの供給を止め
ると同時に、AsH3 の流量を9.1sccmに減らし
てこの前期中断期間中も流し続ける。これは、第2組成
の層としてのInGaAsPを成長させる際に、流量の
少ないAsH3 の流量を安定化させるためである。
【0024】前期成長中断期間は、約10秒間設ける。
尚、この実施例における成長条件の下で、表面置換反応
による界面の結晶性に重大な影響を及ぼさない最大限の
成長中断時間は、経験的に約10秒程度と考えられる。
この前期成長中断期間中に、流量制御計の場所で測定さ
れるAsH3 の流量は、ほぼ設定値の9.1sccm程
度に落ち着いてくると思われる。
【0025】次に、第1回目の成長中断期間の後に、I
nGaAs層と格子整合し、かつ、InGaAsP層と
実質同一の組成を有する中間層を、InGaAs層上に
成長させる。
【0026】この実施例では、中間層の形成に先立ち、
中間層の形成開始1秒前からPの原料ガスであるPH3
180sccmの供給を開始する。これは、PH3 の粘
性が高いため、大量のPH3 の供給を開始すると、原料
ガスの供給系の配管内圧力を上昇させるため、一時的
に、少量供給されているAsH3 の流量を低下させる攪
乱をもたらす可能性があるためである。
【0027】そして、PH3 の供給を開始してから1秒
後に、TMI260sccm、TEG52sccmを供
給することにより中間層の形成を開始する。ここでは、
TMIの供給量が後のInGaAsP層の形成時のTM
Iの供給量の205sccmよりも55sccmだけ多
いが、これは、先に形成したInGaAs層との格子整
合をとるためである。
【0028】この実施例では、1分子層程度の厚さの中
間層を形成する。1分子層程度の厚さだと、この中間層
を量子井戸とみなした場合、物性的にはポテンシャル形
状を歪める効果はかなり小さい。このため、この中間層
が、本来設計された井戸や障壁とは別の井戸や障壁とし
て付加的な作用を可能性はないと考えて良い。従って、
中間層の膜厚は分子1層分が最も望ましく、さらに、格
子整合が可能と考えられる1〜3分子であることが望ま
しい。
【0029】また、ここでは1秒間だけ中間層の結晶成
長を行ったが、例えば5秒間程度結晶成長を行うと、中
間層の厚さが厚くなりすぎるだけでなく、結晶欠陥が生
じてしまう。これは、AsH3 の供給量(9.1scc
m)に対してPH3 (180sccm)の供給量が圧倒
的に多いため、InGaAs層の表面いおいて、ヒ素の
離脱とその空孔へのリン吸着が激しく起こるためであ
る。従って、中間層の結晶成長に要する時間は1秒程度
が望ましい。
【0030】次に、この中間層を成長させた後、少なく
ともInおよびGaを導入するための原料ガスの供給を
止めることにより、後期成長中断期間を設ける。
【0031】この実施例では、再び、TMIおよびTE
Gの供給を止めることにより、結晶成長を止めて30秒
間の後期成長中断期間を設ける。但し、ここでは、PH
3 はこの後期中断期間中も流し続ける。PH3 を供給し
ても、III族元素の原料ガスであるTMIおよびTE
Gの供給を止めているので、結晶成長は起こらない。
【0032】また、この中間層のInGaAsP層のヒ
素およびリンの組成は、第2組成の層としてのInGa
AsP層の組成と比較的近いものとなっている。このた
め、後の後期成長中断期間において、V族の表面置換反
応を抑制することができる。その結果、30秒という長
い時間、後期成長中断期間を設けることができる。後期
成長中断時間を長くとることができるため、ガスの切替
を確実に行うことができる。
【0033】次に、この後期成長中断期間の後に、この
中間層上に、InGaAsP層を成長させる。
【0034】この実施例では、形成するInGaAsP
層の組成をIn=0.819、Ga=0.184、As
=0.399、P=0.601、バンドギャップ波長
1.2μmとする。但し、ここで組成とは、Inの組成
とGaの組成との和およびAsの組成のとPの組成との
和がそれぞれ1となる値である。従って、Inの組成を
X、Asの組成をYとすると、InX Ga1-X AsY
1-Y と表すことができる。
【0035】そして、成長条件は、成長温度650℃、
成長圧力50Torr、キャリアガス流量3L/min
とし、InGaAsPの原料ガスの流量を、それぞれT
MIを205sccm、TEGを52sccm、AsH
3 を9.1sccm、PH3を180sccmとして、
厚さ10nmのInGaAsP層を形成する。
【0036】次に、第2組成の層としてのInGaAs
P層上に、第1組成の層としてのInGaAs層を形成
する。この実施例では、この工程は従来の成長中断法を
用いて行う。
【0037】III族元素の原料ガスであるTMIおよ
びTEGの供給を停止することにより、第2組成の層と
してのInGaAsP層の結晶成長を終了させる。これ
と同時にAsH3 の供給量を9.1sccmから60s
ccmに増加し、またPH3の供給を停止する。III
族元素の原料ガスの供給を止めることにより、4秒間程
度の成長中断時間をもうける。この成長中断時間の後、
TMI55sccm、TEG60sccmの供給を開始
することにより、第1組成の層であるInGaAs層の
結晶成長を行う。
【0038】上述した工程を繰り返すことにより、この
実施例では、それぞれ10nmの厚さのInGaAs層
とInGaAsP層とを交互に30周期積層した半導体
超格子構造を形成する。
【0039】<評価>以下、この実施例で形成した半導
体超格子構造と、従来の成長中断法により形成した半導
体超格子構造とを、成長表面の微分干渉顕微鏡、フォト
ルミネッセンスおよびX線反射スペクトルによる評価方
法を用いてそれぞれ比較した結果について説明する。
【0040】<微分干渉顕微鏡>従来方法により形成し
た半導体超格子構造は、その表面の<110>、<−1
10>方向に沿った60°転位に起因するスクラッチ状
の欠陥が存在する領域が存在し、また、表面の白濁も生
じていることが分かった。スクラッチ状の欠陥は、In
GaAsP層のV族固相組成が、この層の成長初期の領
域で格子整合条件からずれていることに起因するもので
ある。また、表面の白濁は、成長中断期間の最中に基板
表面で起こるV族元素の表面置換反応に因るものと、歪
みを持った層が臨界膜厚を越えることにより三次元成長
が起こり始めることに因るものとの両方の理由による。
【0041】一方、本発明の形成方法で形成した半導体
超格子構造の表面は完全な境面であり、スクラッチ状の
欠陥や白濁は生じていない。
【0042】<フォトルミネッセンス>次に、フォトル
ミネッセンスによる半導体超格子構造の評価結果につい
て説明する。
【0043】先ず、図2のグラフに、従来の半導体超格
子構造の室温におけるフォトルミネッセンスによる測定
結果を示す。図2のグラフの横軸は、波長(μm)を表
し、縦軸は、フォトルミネッセンスの強度(相対値)を
表している。
【0044】従来の方法で形成した半導体超格子構造
は、結晶欠陥のために形成された非発光再結合中心の影
響で発光強度が、本発明の方法によって形成された半導
体超格子構造の強度(後述)の十分の一程度に減少して
いる。また、図2に示す測定結果では、明瞭なバンド端
の発光が観察されておらず、フォトルミネッセンスの半
値幅は150meV(1.35〜1.62μmに相当)
と非常に広くなっている。これは、結晶界面において、
組成が急峻に変化していないことによる量子井戸構造が
不完全であるため、および、結晶欠陥のためである。ま
た、結晶欠陥の存在を示唆する深い準位の発光も85m
eV程度バンド端より超波長側に強く観察されている。
【0045】次に、図3のグラフに、実施例の半導体超
格子構造の室温におけるフォトルミネッセンスによる測
定結果を示す。図3のグラフの横軸は、波長(μm)を
表し、縦軸は、フォトルミネッセンスの強度(相対値)
を表している。
【0046】実施例で形成した半導体超格子構造の場合
は、フォトルミネッセンスの発光強度は強く、また、図
3のグラフ中にHHで示した、電子と重い正孔の基底準
位との間の発光によるピーク、および、LHで示した、
電子と軽い正孔の基底準位との間の発光によるピークが
明瞭に観察された。また、HHのピークの半値幅も室温
で40meVと良好な値を示した。
【0047】次に、図4のグラフに、実施例の半導体超
格子構造の77Kにおけるフォトルミネッセンスによる
測定結果を示す。図3のグラフの横軸は、波長(μm)
を表し、縦軸は、フォトルミネッセンスの強度(相対
値)を表している。図3では、HHのピークの半値幅は
10meVと良好な値を示した。熱揺動の小さな77K
の温度で測定を行ったのは、HHのみ半値幅をみること
により、結晶周期の均一性を評価するためである。
【0048】<X線反射スペクトル>次に、X線反射ス
ペクトルによる半導体超格子構造の評価結果について説
明する。
【0049】超格子構造のX線反射スペクトルの特徴
は、InGaAsP層およびInGaAs層それぞれの
膜厚により重み付けした平均組成に対応する0次の反射
ぴーくが観測される。また、この0次の反射ピーク(図
中、0Pで示す)を中心として、InGaAsP層およ
びInGaAs層それぞれの膜厚の和である超格子の周
期に対応して現れる複数のサテライトピーク(図中、S
Pで示す)が観測される。これらのピークの半値幅の狭
さは、超格子としての各層の組成の切替の急峻性および
各層の繰り返し周期の正確さの指標となる。
【0050】先ず、図5のグラフに、従来の半導体超格
子構造のX線反射スペクトルによる測定結果を示す。図
5のグラフの横軸は、反射角度(秒)を表し、縦軸は、
X線反射のカウント数/秒(CPS))を表している。
【0051】次に、図6のグラフに、従来の半導体超格
子構造のX線反射スペクトルの動的シミュレーションに
よる計算結果を示す。図6のグラフの横軸は、反射角度
(秒)を表し、縦軸は、X線反射のカウント数/秒(C
PS))を表している。
【0052】この計算においては、InGaAs層のA
sの成長初期の組成を、格子整合条件の0.399より
も小さい値の0.27とし、成長するに従い徐々に0.
399に近づくように想定している。
【0053】図5のグラフにおける0次ピークおよびサ
テライトピークの半値幅は、図6のグラフに示された半
値幅の理論(30〜40秒)の2〜3倍程度に広がって
いる。また、図6のグラフにおいて、図5の測定結果に
示されたショルダーピーク(図中、ショルダーピークの
傾向をDPで示す破線で強調して示す)が良く再現され
ている。
【0054】次に、図7のグラフに、本発明の実施例の
半導体超格子構造のX線反射スペクトルによる測定結果
を示す。図7のグラフの横軸は、反射角度(秒)を表
し、縦軸は、X線反射のカウント数/秒(CPS))を
表している。
【0055】次に、図8のグラフに、本発明の実施例の
半導体超格子構造のX線反射スペクトルの理論計算結果
を示す。図8のグラフの横軸は、反射角度(秒)を表
し、縦軸は、X線反射のカウント数/秒(CPS))を
表している。
【0056】図7と図8との比較から、図7のグラフに
おいて、反射の0次ピークおよびサテライトピークの半
値幅は、いずれも図8の計算結果から期待される半値幅
にほぼ等しい値を示している。従って、本発明の形成方
法によって、理想的な超格子構造が得られているものと
思われる。
【0057】このように、上述した評価結果から、本発
明の半導体超格子構造の形成方法により、理想的な超格
子構造が形成されていることが分かる。
【0058】上述した実施例では、この発明を特定の材
料を使用し、特定の条件で形成した例について説明した
が、この発明は多くの変更および変形を行うことができ
る。例えば、上述した実施例では、InGaAs層から
InGaAsP層への切り替え時にのみこの方法を適用
した例について説明したが、この発明は、InGaAs
P層からInGaAs層への切り替え時にも適用するこ
とができる。
【0059】
【発明の効果】この発明の半導体超格子構造の形成方法
によれば、原料ガスの切り替えにあたり、中間層の成長
を挟んで、前期成長中断期間および後期成長中断期間を
設ける。前期成長中断期間は、従来の形成方法における
成長中断期間と同様に、界面の結晶性を損なわない程度
に短いことが望ましい。前期成長中断期間後に形成する
中間層は、後に形成する第2組成の層と実質同一の組成
を有する。このため、この中間層を形成することによ
り、界面の結晶性の損失を抑制することができる。
【0060】さらにこの発明では、中間層形成後に、後
期成長中断期間を設けてある。これにより、界面の結晶
性を損なうことなく、原料ガスの切替のための時間を充
分にとることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例における、原料ガスの供給量
のタイムチャートである。
【図2】従来例のフォトルミネッセンスによる測定結果
を示すグラフである。
【図3】実施例の室温におけるフォトルミネッセンスに
よる測定結果を示すグラフである。
【図4】実施例の77Kにおけるフォトルミネッセンス
による測定結果を示すグラフである。
【図5】X線反射スペクトルの測定結果を示すグラフで
ある。
【図6】X線反射スペクトルの計算結果を示すグラフで
ある。
【図7】X線反射スペクトルの測定結果を示すグラフで
ある。
【図8】X線反射スペクトルの計算結果を示すグラフで
ある。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機金属気相成長法を用いて、第1組成
    の層と第2組成の層とを交互に結晶成長させて、半導体
    超格子構造を形成するにあたり、 第1組成の層を形成した後に、前期成長中断期間を設け
    る工程と、 該前期成長中断期間の後に、該第1組成の層上に、当該
    第1組成の層と格子整合しかつ該第2組成の層と実質同
    一の組成を有する中間層を形成する工程と、 該中間層を形成した後に、後期成長中断期間を設ける工
    程と、 該後期成長中断期間の後に、該中間層上に第2組成の層
    を形成する工程とを含むことを特徴とする半導体超格子
    構造の形成方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の半導体超格子構造の形
    成方法において、前記中間層は、当該中間層を構成する
    分子を1〜3積層させることを特徴とする半導体超格子
    構造の形成方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の半導体超格子構造の形
    成方法において、 リン(P)を導入するための原料ガスとしてホスフィン
    (PH3 )を使用し、ヒ素(As)を導入するため原料
    ガスとしてアルシン(AsH3 )を使用して、第1組成
    の層としてのInGaAs層を形成後、当該InGaA
    s層上に、第2組成の層としてのInGaAsP層を形
    成するにあたり、 該InGaAs層を形成する工程と、 該InGaAs層形成後、少なくともインジウム(I
    n)およびガリウム(Ga)を導入するための原料ガス
    の供給を止めることにより前期成長中断期間を設ける工
    程と、 第1回目の成長中断期間の後に、InGaAs層と格子
    整合し、かつ、InGaAsP層と実質同一の組成を有
    する中間層を、前記InGaAs層上に成長させる工程
    と、 該中間層を成長させた後、少なくともInおよびGaを
    導入するための原料ガスの供給を止めることにより、後
    期成長中断期間を設ける工程と該後期成長中断期間の後
    に、該中間層上に、InGaAsP層を成長させる工程
    とを含むことを特徴とする半導体超格子構造の形成方
    法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008205270A (ja) * 2007-02-21 2008-09-04 Matsushita Electric Ind Co Ltd 半導体レーザ装置及びその製造方法
JP2010135490A (ja) * 2008-12-03 2010-06-17 Showa Denko Kk Iii族窒化物半導体発光素子及びその製造方法

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