JPH0881594A - ポリプロピレン樹脂組成物 - Google Patents

ポリプロピレン樹脂組成物

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JPH0881594A
JPH0881594A JP24343894A JP24343894A JPH0881594A JP H0881594 A JPH0881594 A JP H0881594A JP 24343894 A JP24343894 A JP 24343894A JP 24343894 A JP24343894 A JP 24343894A JP H0881594 A JPH0881594 A JP H0881594A
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JP
Japan
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polypropylene resin
ethylene
olefin
copolymer
impact resistance
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JP24343894A
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English (en)
Inventor
Satoshi Yamashita
敏 山下
Toru Shibata
徹 柴田
Takami Hirao
孝見 平尾
Yasuo Takeuchi
泰雄 竹内
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 A結晶性ポリプロピレン樹脂100重量部に
対し、Bα−オレフィン含量が25〜45重量%、ムー
ニー粘度ML1+4 、100℃が10〜150、GPC測
定による重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比M
w/Mnが2.2〜8、およびDSC測定による結晶融
解熱量において、全融解熱量が20〜50J/g、かつ
温度区分別の熱量比が−25℃以下:−25℃を超え0
℃まで:0℃を超え25℃まで:25℃を超え50℃ま
で:50℃を超える部分が10〜20:15〜30:1
5〜40:15〜30:5〜15である、エチレン・α
−オレフィン系共重合体5〜80重量部を含有するポリ
プロピレン樹脂組成物。 【効果】 耐衝撃性(特に低温での耐衝撃性)を改良
し、剛性、機械的強度、塗装性の優れたポリプロピレン
樹脂組成物が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、結晶性ポリプロピレン
樹脂組成物に関し、さらに詳細にはポリプロピレン樹脂
改質において、耐衝撃性(特に低温での耐衝撃性)/硬
度バランス、機械的強度および塗装性に優れたエチレン
・α−オレフィン系共重合体を含有するポリプロピレン
樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、結晶性ポリプロピレンは、剛
性、熱変形温度、表面硬度などに優れた汎用樹脂として
多方面の用途に使用されているが、耐衝撃性などに欠点
があることが知られている。かかる欠点を克服するた
め、ポリプロピレン樹脂にバナジウム系触媒を用いて得
られるエチレン・α−オレフィンまたはエチレン・α−
オレフィン・非共役ジエン共重合体(以下「エチレン・
α−オレフィン系共重合体」ともいう)などの改質材を
機械的に混練りする方法が一般的に用いられている。特
に、エチレン・α−オレフィン系共重合体の中でも、高
エチレン含量タイプでペレット形状を有するものが、取
り扱いが良好なため多く用いられている。
【0003】最近のポリプロピレン樹脂の耐衝撃性、特
に低温での耐衝撃性の更なる改良要求に対しては、エチ
レン・α−オレフィン系共重合体のα−オレフィン含量
を上げれば良いことは、従来から知られている。しかし
ながら、α−オレフィン含量を上げると、ポリマーの結
晶性が著しく低下し、ペレットまたはクラム形状ではブ
ロッキングなどを起こして取り扱いが悪くなる。さら
に、樹脂改質効果においては、高オレフィン含量タイプ
の共重合体が混練りした樹脂を著しく軟化させるため、
実用上限られた用途でしか使用できない。
【0004】本発明者らは、これらの改良を鋭意検討し
た結果、高分子量タイプのエチレン・α−オレフィン・
非共役ジエン共重合体を用いることが好ましい方向であ
ることを見出した。しかしながら、エチレン・α−オレ
フィン系共重合体の高分子量化および非共役ジエン化合
物の導入は、常温での耐衝撃性は改良されても、低温で
の耐衝撃性はα−オレフィン含量を上げたレベルまでに
は及ばなかった。また、エチレン・α−オレフィン系共
重合体の高分子量化は、ポリプロピレン樹脂の流動性を
著しく阻害してしまう。また、高流動性の傾向にあるポ
リプロピレン樹脂とゴム成分であるエチレン・α−オレ
フィン系共重合体との流動性の差が著しく拡がり、組成
物中でのゴムの分散性を悪化させ、成形時に金型内でゴ
ムの流動が乱れることによる成形外観不良を起こしやす
くなる。従って、実用上限られた用途にしか使用できな
い状況にある。
【0005】これに対し、特公平4−2021号公報、
特公平4−25975号公報などには、高α−オレフィ
ン含量タイプと低α−オレフィン含量タイプの2種類の
エチレン・α−オレフィン系共重合体をブレンドする技
術が提案されている。しかしながら、これらのブレンド
の主なる目的は、高α−オレフィン含量タイプの共重合
体をペレット(またはクラム形状)で取り扱えるように
すること、または結晶を付与して弾性率の向上を図るも
のであった。従って、極端に結晶性の異なる共重合体を
混合して用いるため、本来、高α−オレフィン含量タイ
プの結晶に基づく剛性、機械的強度の良さと、低α−オ
レフィン含量タイプの結晶に基づく剛性、機械的強度の
良さがお互いに干渉し合ってしまい、結果的には低温で
の耐衝撃性および剛性、機械的強度のバランスを悪化さ
せ満足のいくものではない。
【0006】一方、塗装性については、ポリプロピレン
樹脂組成物の成形表面に極性基含有の低分子量タイプの
ゴム成分を分散させることが提案されている(特公昭5
9−2452号公報)。しかしながら、低分子量成分を
用いることにより、成形表面へのブリードによるベタツ
キなどの発生により、満足のいく改良には至っていな
い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題を背景になされたもので、特定の組成と分子量
を有し、かつ示差走査熱量計(DSC)で求められる結
晶融解熱量を低温から高温にかけて特定の比率で存在す
るように結晶性を制御することにより、耐衝撃性(特に
低温での耐衝撃性)を改良し、必要最低限の結晶性を持
たせることで、剛性、機械的強度の低下を防ぎ、またペ
レットやクラム形状での使用が可能であり、さらに分子
量分布を特定の範囲でブロードにすることにより、塗装
性の低下を防ぐことができるエチレン・α−オレフィン
系共重合体を含有するポリプロピレン樹脂組成物を提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、(A)結晶性
ポリプロピレン樹脂100重量部に対し、(B)α−オ
レフィン含量が25〜45重量%、ムーニー粘度(ML
1+4 、100℃)が10〜150、ゲルパーミエーショ
ンクロマトグラフィー(GPC)測定による重量平均分
子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/M
n)が2.2〜8、およびDSC測定による結晶融解熱
量において、全融解熱量が20〜50ジュール(J)/
g、かつ温度区分別の熱量比が(−25℃以下):(−
25℃を超え0℃まで):(0℃を超え25℃まで):
(25℃を超え50℃まで):(50℃を超える部分)
が10〜20:15〜30:15〜40:15〜30:
5〜15である、エチレン・α−オレフィン系共重合体
5〜80重量部を含有することを特徴とするポリプロピ
レン樹脂組成物を提供するものである。
【0009】本発明に使用される(A)結晶性ポリプロ
ピレン樹脂は、プロピレンの単独重合体、または少量の
共重合成分を含むプロピレンの共重合体が用いられる。
この共重合成分としては、エチレン、ブテン−1、オク
テン−1などのα−オレフィンが挙げられる。なお、
(A)結晶性ポリプロピレン樹脂のメルトフローレート
(MFR)(JIS K7210、230℃、2.16
kg荷重)は、通常、0.3〜120g/10分、好ま
しくは1.0〜80g/10分程度である。
【0010】次に、本発明に使用される(B)エチレン
・α−オレフィン系共重合体のα−オレフィン含量は、
「低温での耐衝撃性」改良のため、25〜45重量%、
好ましくは30〜40重量%である。25重量%未満で
は、低温での耐衝撃性は改良されず、一方45重量%を
超えると、共重合体の持つ結晶性が低すぎるため組成物
を著しく軟化させてしまう。
【0011】また、(B)エチレン・α−オレフィン系
共重合体のムーニー粘度(ML1+4、100℃)は、1
0〜150、好ましくは20〜130の範囲であれば、
組み合わせる結晶性ポリプロピレン樹脂に合わせて選択
することができる。ムーニー粘度が、10未満では結晶
性プロピレン樹脂の耐衝撃性改質効果が著しく低下して
しまい、一方150を超えると該ポリプロピレン樹脂中
の分散性が著しく悪化し、目的の改質効果が得られな
い。ここで、ムーニー粘度の調整は、重合時の分子量調
節剤、重合温度などで行うことができる。
【0012】さらに、(B)エチレン・α−オレフィン
系共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、2.2〜
8、好ましくは2.3〜5である。分子量分布が、2.
2未満では塗装性が低下し、一方8を超えると含有され
る低分子量のため共重合体にベタツキが発生してしま
う。ここで、分子量分布の調整は、重合時の触媒量、重
合時間などで行うことができる。
【0013】さらに、(B)エチレン・α−オレフィン
系共重合体は、DSC測定による結晶融解熱量におい
て、全融解熱量が20〜50J/g、好ましくは30〜
40J/gである。全融解熱量がこの範囲にあると、組
成物の耐衝撃性と剛性のバランスを保つことができる。
全融解熱量が、20J/g未満であると共重合体の微結
晶量の低下によりポリプロピレン樹脂組成物を軟化させ
すぎてしまい、一方50J/gを超えると結晶性が高す
ぎて耐衝撃性が低下してしまう。ここで、全融解熱量の
調整は、共重合体のα−オレフィン含量により行うこと
ができる。
【0014】さらに、(B)エチレン・α−オレフィン
系共重合体は、DSC測定による結晶融解熱量におい
て、温度区分別の熱量比が(−25℃以下):(−25
℃を超え0℃まで):(0℃を超え25℃まで):(2
5℃を超え50℃まで):(50℃を超える部分)が1
0〜20:15〜30:15〜40:15〜30:5〜
15、好ましくは12〜18:17〜28:17〜3
6:17〜28:7〜13である。この温度区分別の熱
量比は、それぞれの温度領域での結晶融解熱量の存在
が、高結晶成分から低結晶成分まで連続的に特定した量
で含有していることを示している。本発明の目的である
「本来持っている低結晶性成分の耐衝撃性(特に低温に
おいて)と高結晶性成分の剛性、機械的強度を損なうこ
となく、バランス良く共有させる」ためには、これらの
比率で結晶融解熱量が示される共重合体であることが必
須で、どの温度領域の結晶性を欠くこともできない。
【0015】温度区分別の熱量比で、(−25℃以下)
が10未満では低温での耐衝撃性が満足できず、一方2
0を超えると結晶性が低下し、ポリプロピレン樹脂組成
物が軟化してしまう。(−25℃を超え0℃まで)が1
5未満では室温から低温にかけての耐衝撃性が満足でき
ず、一方30を超えては低温領域と高温領域での結晶性
のバランスを失い、耐衝撃性と剛性のバランスが低下す
る。(0℃を超え25℃まで)が15未満では室温から
低温にかけての耐衝撃性が満足できず、一方40を超え
ては低温領域と高温領域での結晶性のバランスを失い、
耐衝撃性と剛性のバランスが低下する。(25℃を超え
50℃まで)が15未満では剛性および機械的強度が低
下し、一方30を超えては低温側の非結晶性成分が不足
するため耐衝撃性を低下させる。(50℃を超える部
分)が5未満では剛性が低下してしまい、一方15を超
えては耐衝撃性が低下する。ここで、この温度区分別の
熱量比の調整は、共重合体に組成分布を付与するか、組
成の異なる共重合体の混合比を変化させることにより行
うことができる。
【0016】なお、(B)エチレン・α−オレフィン系
共重合体のヨウ素価は、特に限定されるものではなく、
通常、0〜25、好ましくは5〜20である。ヨウ素価
が高いほど、得られる組成物の塗装性がさらに改良され
る。ここで、ヨウ素価の調整は、重合時の非共役ジエン
化合物量を変えるか、ヨウ素価の異なる共重合体の混合
比を変えることにより行うことができる。また、本発明
に使用される(B)エチレン・α−オレフィン系共重合
体は、以上のような性状を有する結果、ペレットまたは
クラム形状で使用することが可能である。
【0017】本発明の組成物における(B)エチレン・
α−オレフィン系共重合体の割合は、(A)結晶性ポリ
プロピレン樹脂100重量部に対し、5〜80重量部、
好ましくは5〜70重量部である。(B)エチレン・α
−オレフィン系共重合体が、5重量部未満では満足のい
く樹脂改質効果が得られず、一方80重量部を超えると
ポリプロピレン樹脂の特徴を生かすことができなくな
る。
【0018】なお、本発明で使用される(B)エチレン
・α−オレフィン系共重合体は、例えばバナジウム/周
期律表第I〜IV族の金属の有機金属化合物、特に好まし
くは有機アルミニウムから形成される触媒の存在下に炭
化水素溶媒中で、エチレンとα−オレフィンと必要に応
じて不等価な非共役ジエン化合物を共重合することによ
り製造することができる。上記触媒系および重合法は、
例えば特公昭43−18709号公報、特公昭45−2
3759号公報などに記載されている。
【0019】すなわち、(B)エチレン・α−オレフィ
ン系共重合体の製造に用いられる触媒成分としては、バ
ナジウム化合物と周期律表第I〜IV族の金属の有機金属
化合物との組合わせからなる触媒を用いる。バナジウム
化合物としては、不活性有機溶剤に可溶な3〜5価のバ
ナジウム化合物が用いられる。このバナジウム化合物と
しては、バナジウムのハライド、オキシハライド、含酸
素化合物とのキレート錯体、バナジン酸エステルなどが
好ましい。これらの化合物を具体的に例示すれば、四塩
化バナジウム、オキシ三塩化バナジウム、バナジウムト
リスアセチルアセトナート、バナジン酸トリエトキシ
ド、バナジン酸トリ−n−ブトキシド、バナジン酸ジ−
n−ブトキシモノクロリド、バナジン酸エトキシジクロ
リド、四塩化バナジウムまたはオキシ三塩化バナジウム
とアルコールとの反応生成物などが挙げられる。これら
は単独で、または2種以上を混合して用いることができ
る。これらの化合物のうちさらに好ましくは四塩化バナ
ジウム、オキシ三塩化バナジウムおよびこれらのバナジ
ウム化合物とアルコールとの反応生成物である。
【0020】周期律表第I〜IV族の金属の有機金属化合
物としては、有機リチウム化合物、有機亜鉛化合物、有
機マグネシウム化合物および有機アルミニウム化合物を
挙げることができる。そのうち、有機アルミニウム化合
物が特に好ましい。有機アルミニウム化合物としては、
トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニ
ウム、トリ−イソプロピルアルミニウム、トリ−n−ブ
チルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ
−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアル
ミニウム、トリ−n−デシルアルミニウム、トリ−n−
ドデシルアルミニウム、ジエチルモノクロルアルミニウ
ム、ジブチルモノクロルアルミニウム、ジ−n−ヘキシ
ルモノクロルアルミニウム、ジ−n−オクチルモノクロ
ルアルミニウム、エチルアルミニウムセスキクロリド、
n−ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミ
ニウムジクロリド、n−ブチルアルミニウムジクロリ
ド、イソブチルアルミニウムジクロリド、n−ヘキシル
アルミニウムジクロリド、n−オクチルアルミニウムジ
クロリドなどが挙げられる。
【0021】これらの有機アルミニウムとアルコール、
アミンなどの反応物を使用することもできる。例えばメ
タノール、エタノール、n−ブタノール、イソブタノー
ル、t−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノ
ール、2−エチル−ヘキサノール、n−デカノール、ト
リエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n
−ブチルアミン、トリ−イソブチルアミン、トリ−n−
ヘキシルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−2
−エチルヘキシルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−ブ
チルアミン、ジ−イソブチルアミン、ジ−n−オクチル
アミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、エチルアミ
ン、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチ
ルアミン、2−エチルヘキシルアミンなどである。これ
らの有機アルミニウムと反応物の比は、アルミニウムに
対し0.01〜0.5、好ましくは0.05〜0.2
(モル比)である。これらの有機アルミニウムまたは有
機アルミニウムの反応物は、2種以上を混合して用いる
ことができる。
【0022】また、炭化水素溶媒としては、n−ペンタ
ン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソ
オクタン、シクロヘキサンなどが挙げられる。さらに、
重合条件としては、通常、温度0〜120℃、Al/V
(モル比)=20〜150、重合時間5秒〜1時間であ
る。
【0023】一方、(B)エチレン・α−オレフィン系
共重合体のα−オレフィン成分としては、例えばプロピ
レン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペ
ンテン、1−ヘキセンなどが挙げられ、好ましくはプロ
ピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−
ペンテン、さらに好ましくはプロピレン、1−ブテンで
ある。また、(B)エチレン・α−オレフィン系共重合
体には、必要に応じて非共役ジエン化合物を共重合して
もよく、この非共役ジエン化合物としては、エチリデン
ノルボルネン、プロペニルノルボルネン、ジシクロペン
タジエン、1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4
−ヘキサジエンなどが挙げられ、好ましくはエチリデン
ノルボルネンである。
【0024】本発明に使用される(B)エチレン・α−
オレフィン系共重合体は、目的の組成、分子量、分子量
分布および結晶融解熱量を備えていれば、その製造方法
についてはなんら制限されるものではない。可能であれ
ば、一段重合で製造しても、多段重合方法を用いても構
わない。また、各成分の良好な分散が得られれば、結晶
性の異なる複数の共重合体を混合して用いてもよい。混
合する場合は、重合工程、乾燥−ペレット化工程または
ペレット、クラム形状の製品になった後のいずれの段階
においても可能である。混合時のエチレン・α−オレフ
ィン系共重合体の状態は、液体でも固体でも何ら制限さ
れるものではない。従って、2段階重合方式で製造する
ことも、2基以上の重合容器で同時に重合した共重合体
をそのまま混合して用いることも、市販されているエチ
レン・α−オレフィン系共重合体をゴムまたは樹脂工業
において使用されるロールミル、バンバリーミキサー、
加圧ニーダー、押し出し機などを使用して混合すること
もできる。
【0025】なお、本発明に使用される(B)エチレン
・α−オレフィン系共重合体を2種以上を混合して用い
る場合には、そのα−オレフィン含量、ムーニー粘度
(ML1+4 、100℃)、GPC測定による重量平均分
子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/M
n)、ならびにDSC測定による全融解熱量および温度
区分別の熱量比は、いずれも混合物の数値を表すもので
ある。
【0026】本発明のポリプロピレン樹脂組成物には、
耐衝撃性、剛性、機械的強度、成形加工性などの物性を
損なわない範囲で、通常のゴムおよび樹脂に慣用の補助
添加剤を配合することができる。この補助添加剤として
は、ポリイソブチレン、ブチルゴム、スチレン−ブタジ
エンゴムの部分水素添加物、スチレン−イソプレンゴム
の部分水素添加物などのゴム成分、カーボンブラック、
シリカなどの補強剤、クレー、タルク、炭酸カルシウム
などの充填剤、そのほか鉱物油、可塑剤、熱安定剤、加
工助剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線安定剤、離型剤、
難燃剤などが挙げられる。
【0027】本発明のポリプロピレン樹脂組成物の製造
は、(A)〜(B)成分、さらに必要に応じてその他の
添加剤などを、各成分の良好な分散が得られれば如何な
る方法を採用してもよいが、通常、ゴム・樹脂工業に使
用されるロールミル、バンバリーミキサー、加圧ニーダ
ーなどの密閉型混練り機、または一軸押し出し機、二軸
押し出し機などによって製造することができる。なお、
本発明の組成物の製造において、混合温度(混練り温
度)は、少なくとも(A)〜(B)成分が溶融する温度
であり、通常、180〜280℃の範囲であり、また混
合時間(混練り時間)は、通常、3〜30分程度であ
る。
【0028】本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、
(A)〜(B)成分の良好な分散を与えるのみでよく、
通常、動的架橋工程を必要としないため、上記一般的な
製造機を用い、専門的技術を必要とせず短時間で容易に
行うことができる。
【0029】本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、耐
衝撃性(特に低温での耐衝撃性)、機械的強度、塗装性
に優れているエチレン・α−オレフィン系共重合体を含
有しているので、ポリプロピレン樹脂と安い混合費用で
使用し、自動車の内・外装部品、弱電部品のハウジング
などの部品、工業用部品などに使用することができる。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の
実施例に制約されるものではない。なお、実施例中、部
および%は、特に断らない限り重量基準である。また、
各種の測定方法は、下記のとおりである。 α−オレフィン含量およびヨウ素価は、赤外分析によ
り求めた。 ムーニー粘度は、JIS K6383に拠った。 アイゾット衝撃強度(IZ衝撃強度)は、ASTM
D256に拠った。 曲げ弾性率は、JIS K7203に拠った。 引張降伏強度は、JIS K7113に拠った。 メルトフローレートは、JIS K7210に拠っ
た。
【0031】DSCによる結晶融解熱量測定方法 サンプル量0.1mg、基準(reference)に
はアルミナ10.1mgを用いた。測定は、180℃ま
で加熱したのち、10℃/分の一定速度で−100℃ま
で冷却し、次に20℃/分の一定速度で170℃まで測
定した。高温側ベースラインA〜B部との接線(a)を
引き、接線と吸熱カーブで囲まれた斜線部分を全結晶成
分とし、その面積をインジウムを基準にして、各温度区
分別の熱量を算出した(添付図1参照)。
【0032】(B)エチレン・α−オレフィン系共重合
体は、次の方法で製造した。EP−1 内容積5Lの連続重合装置を用いて共重合を行った。チ
ッ素ガスで充分に置換された重合容器に、エチルセスキ
アルミニウムクロライド15mmol/時間、三塩化オ
キシバナジウム1mmol/時間、n−ヘキサン4L/
時間、プロピレン5.5NL/分、エチレン2NL/
分、水素0.05NL/分の流量で連続供給し、温度3
5℃に維持し、かつ圧力を4.5kgG/cm2 になる
ようにした。重合中は、重合容器の内容量が2.5Lに
保たれるように、連続的に反応物を抜き取った。このよ
うにして得られた共重合体は、イソプロピルアルコール
で反応を停止させ、酸化防止剤を含むアルコールで凝固
し、100℃の熱ロールで乾燥した。得られた共重合体
は、プロピレン含量65%、ムーニー粘度(ML1+4
100℃)70、Mw/Mn2.2、DSCによる結晶
融解熱量5J/gであった。
【0033】EP−2〜EP−9 EP−1と同様の方法で、プロピレン、エチレン、さら
にはEP−7にあってはエチリデンノルボルネンを追加
して、表1に示す性状のエチレン・α−オレフィン系共
重合体を得た。
【0034】EB−1 EP−1と同様の方法で、ブテン−1を2NL/分、エ
チレン10NL/分、水素0.1NL/分で連続供給し
重合して共重合体を得た。得られた共重合体は、ブテン
−1含量20%、メルトフローレート(MFR)(19
0℃、2.16kg荷重)0.5g/10分、Mw/M
n1.9、DSCによる結晶融解熱量58J/gであっ
た。
【0035】実施例1 上記で得たエチレン・α−オレフィン系共重合体(EP
−1)〜(EP−6)を、表2に示す配合処方で内容積
1Lバンバリーミキサー(予熱温度150℃、混練り時
間5分)で混合したのち、その混合物195gを30m
m二軸押し出し機にカッターを装着して、ポリプロピレ
ン樹脂〔三菱油化(株)製、BC−03GS、MFR=
30g/10分〕455gおよびタルク〔富士タルク
(株)製、LSM#100〕32.5gと混練りした。
その後、ロールを用いてシートにした。このシートを、
カッターを用いて角ペレットにし、射出成形機〔日本製
鋼所(株)製、6.5オンスインライクスクリュータイ
プ〕で物性評価用テストピースを作製した。
【0036】射出条件 射出圧 ;1次 500(kg/cm2 ) 2次 400(kg/cm2 ) 射出時間;15秒 成形温度;240℃ 冷却温度;40℃(金型) 冷却時間;20秒 テストピースの物性評価の結果を表2に示す。
【0037】塗装性(剥離強度)は、ポリプロピレン樹
脂組成物の射出成形品のテストピースをトリクロロエタ
ン蒸気に30秒2回さらし、この処理を施したテストピ
ースの片側に下塗りとしてプライマー〔日本ビーケミカ
ル社製、RB−291H〕を、厚さ5〜10μmになる
ように吹きつけ、90℃で20分間乾燥後、上塗りとし
てウレタン系塗料〔日本ビーケミカル社製、R−26
3〕を厚さ40〜45μmになるように吹きつけ、90
℃で40分間乾燥させ、さらに室温にて1日放置したの
ち、塗膜面を1cm幅で切込みを入れ、その塗膜を30
mm/分の速度で引っ張り剥離強度を測定した。物性の
評価結果を表2に示す。
【0038】実施例2、比較例1〜3 表2〜3に示すエチレン・α−オレフィン系共重合体を
記載とおりの比率で混合して用いた。共重合体の混合お
よびポリプロピレン樹脂との混練りについては、実施例
1と同様の方法で行った。結果を表2〜3に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、特定の組成と分子量を
有し、かつDSCで求められる結晶融解熱量を低温から
高温にかけて特定の比率で存在するように結晶性を制御
し、必要最低限の結晶性を持たせ、さらに分子量分布を
特定の範囲でブロードにするとともに、ペレットやクラ
ム形状で使用可能なエチレン・α−オレフィン系共重合
体を含有させることにより、耐衝撃性(特に低温での耐
衝撃性)を改良し、剛性、機械的強度、塗装性の優れた
ポリプロピレン樹脂組成物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】示差走査熱量計による結晶融解熱量の測定に用
いられる、温度と吸熱量との関係を示すグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 竹内 泰雄 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本合 成ゴム株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)結晶性ポリプロピレン樹脂100
    重量部に対し、(B)α−オレフィン含量が25〜45
    重量%、ムーニー粘度(ML1+4 、100℃)が10〜
    150、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(G
    PC)測定による重量平均分子量(Mw)と数平均分子
    量(Mn)の比(Mw/Mn)が2.2〜8、および示
    差走査熱量計(DSC)測定による結晶融解熱量におい
    て、全融解熱量が20〜50ジュール(J)/g、かつ
    温度区分別の熱量比が(−25℃以下):(−25℃を
    超え0℃まで):(0℃を超え25℃まで):(25℃
    を超え50℃まで):(50℃を超える部分)が10〜
    20:15〜30:15〜40:15〜30:5〜15
    である、エチレン・α−オレフィン系共重合体5〜80
    重量部を含有することを特徴とするポリプロピレン樹脂
    組成物。
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