JPH0881213A - 水熱安定性の向上した層間架橋粘土の合成法 - Google Patents

水熱安定性の向上した層間架橋粘土の合成法

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JPH0881213A
JPH0881213A JP24685294A JP24685294A JPH0881213A JP H0881213 A JPH0881213 A JP H0881213A JP 24685294 A JP24685294 A JP 24685294A JP 24685294 A JP24685294 A JP 24685294A JP H0881213 A JPH0881213 A JP H0881213A
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憲司 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、水熱安定性の向上した層間架橋粘
土の合成法を提供することを目的とする。 【構成】 層間架橋粘土は水熱処理により層間隔が減少
する。層間架橋粘土の使用に当たり、水熱条件下におい
ても層間隔が減少することなく保持されることが望まれ
る。しかるに、本発明は、水熱条件下に層間架橋粘土を
放置しても層間隔を広いまま保持し続ける層間架橋粘土
の合成法を提供するものである。具体的には、炭素の付
着した層間架橋粘土を合成することであり、その合成法
は層間架橋粘土と有機物の懸濁液に水熱処理を施すこと
である。水熱安定性は、付着した炭素量に影響され、炭
素付着量が多いほど高い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水熱安定性の向上した
層間架橋粘土の合成法を提供するものであり、層間架橋
粘土の水熱条件下での使用に際し非常に有効である。
【0002】
【従来の技術】従来、水熱安定性の向上した層間架橋粘
土の合成法については知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】層間架橋粘土は、膨潤
性粘土鉱物のシリケ−ト層間にアルミナやジルコニア等
の無機酸化物のピラ−を導入することにより合成され
る。細孔径に相当する層間隔は、ピラ−の大きさに相当
し、数〜数十オングストロ−ムである。層間架橋粘土
は、ゼオライトと細孔径の大きさや化学的性質が似てい
ることから、ゼオライトが使用されている触媒や触媒担
体、あるいは分離材、吸着材等に利用することが試みら
れている。層間架橋粘土の利用に際しては種々の雰囲気
が想定され、層間架橋粘土を冷却したり加熱したり、あ
るいは水熱条件下での利用等もある。層間架橋粘土を高
温下あるいは水熱条件下に放置すると層間隔が収縮し、
表面積や細孔容積が極度に減少し、利用に際し重大な支
障を来すことがしばしば起きる。しかるに、本発明は、
水熱条件下に放置しても層間隔の収縮が小さい水熱安定
性の向上した層間架橋粘土の合成法を提供するものであ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】層間架橋粘土は、モンモ
リロナイトやヘクトライト等の膨潤性粘土鉱物のシリケ
−ト層間にアルミナやジルコニア等の極微粒子を導入す
ることにより合成される。シリケ−ト層間には、アルミ
ナやジルコニア等の極微粒子の存在により層空間が構築
される。シリケ−ト層間の距離は層間隔と呼ばれ、アル
ミナやジルコニア等の大きさに相当し、その大きさは調
製条件により数〜数十オングストロ−ムの範囲で制御す
ることができる。層間架橋粘土は、その層空間を活用す
ることにより触媒や触媒担体、分離材、吸着材等に利用
することが試みられている。また、利用に際しての雰囲
気は、低温や高温、あるいは水熱条件下等であり、利用
に際して層間隔や比表面積、細孔容積等の変化ができる
限り小さいことが望ましい。ところが、層間架橋粘土を
水熱条件下に放置すると、層間隔の極度の減少が認めら
れる。層間架橋粘土の層間隔が極度に減少すると、各種
機能が発現しなくなるという重大な問題が発生する。し
かるに、本発明者は、鋭意研究の結果、水熱条件下に放
置しても層間隔の収縮が小さい水熱安定性の向上した層
間架橋粘土の合成法を見出し、本発明を成すに至った。
【0005】層間架橋粘土について詳しく説明する。母
材粘土鉱物には、陽イオン交換能および膨潤性質を有す
るスメクタイトが主として利用される。スメクタイトに
は多くの粘土鉱物が含まれるが、その一種であるモンモ
リロナイトは、シリケ−ト層が幾層にも積層した状態で
存在する。シリケ−ト層は、アルミナ八面体層の両側を
シリカ四面体層により挟まれた3層構造で出来ている。
アルミナ八面体の中心金属イオンであるAl3+の一部が
電荷量の少ないMg2+等に同型置換されており、そのた
めにシリケ−ト層は電荷の不足を生じている。また、シ
リカ四面体の中心金属イオンであるSi4+の一部がAl
3+等の電荷量の少ない陽イオンと同型置換している。シ
リケ−ト層は、電荷の異なる陽イオン同士の同型置換が
起きていることにより負の電荷を帯びている。一般に同
型置換の程度により陽イオン交換容量が決定する。すな
わち、同型置換量の多いスメクタイトの陽イオン交換容
量は大きく、同型置換量の少ないスメクタイトのそれは
小さい。モンモリロナイトは、シリケ−ト層の負電荷を
キャンセルするために層間にNa+ やCa2+、K+、M
2+等の陽イオンを含有しており、これらの陽イオンは
他の陽イオンと交換可能である。また、シリケ−ト層同
士の結合力が弱いことから、モンモリロナイトは水中に
おいて膨潤する。
【0006】層間架橋粘土は、水に懸濁し、膨潤させた
スメクタイトのシリケ−ト層間にピラ−前駆体を導入す
ることにより合成される。合成に際しては粘土鉱物の陽
イオン交換特性を利用することから、ピラ−前駆体は陽
イオン性であることが必要である。ピラ−前駆体に成り
得る陽イオン性無機オリゴマ−は各種知られている。例
えば、ピラ−がアルミナの場合は[Al134(OH)
24(H2O)127+(G.Johansson,Act
a Chem. Scand.,Vol.14,p.7
71(1960))、ピラ−がジルコニアの場合は[Z
4(OH)14(H2O)102+(S.Yamanaka
and G.W.Brindley, Clays
Clay Miner.,Vol.27,p.119
(1979))がそれぞれ用いられる。これらの陽イオ
ンは、シリケ−ト層間にイオン交換で導入、固定された
後、加水分解が進み、水酸化物に成る。その後、水洗、
乾燥、加熱等の操作により、アルミナやジルコニア等の
酸化物をピラ−に有する層間架橋粘土が合成される。層
間架橋粘土の層間隔および比表面積は、合成法により若
干異なるが、層間隔は約8オングストロ−ム、比表面積
は300〜500m2/gである。
【0007】層間架橋粘土の水熱安定性は、層間架橋粘
土の水熱処理前後における層間隔を調べることにより評
価することができる。すなわち、水熱安定性の低い層間
架橋粘土は、水熱処理後の層間隔が水熱処理前のそれに
比べて極度に小さい。一方、水熱安定性の高い層間架橋
粘土は、水熱処理後の層間隔が処理前のそれに比べて僅
かに小さい程度でほぼ同じである。水熱安定性の試験
は、水に懸濁した層間架橋粘土をオ−トクレ−ブ中で、
180℃で24時間処理し、放冷後回収、乾燥し、粉末
X線回折法で層間隔を調べることにより行う。層間隔
は、粉末X線回折法で得られるd(001)値からシリ
ケ−ト層一枚の厚みである9.6オングストロ−ムを差
し引くことにより求められる。
【0008】本発明の炭素を付着して水熱安定性の向上
した層間架橋粘土の合成法をアルミナ架橋モンモリロナ
イトについて説明する。アルミナ架橋モンモリロナイト
は、モンモリロナイトのシリケ−ト層間にアルミナを導
入した層間架橋粘土である。炭素を付着しないアルミナ
架橋モンモリロナイトの水熱処理前の層間隔は8.2オ
ングストロ−ムであり、180℃、24時間水熱処理後
の層間隔は4.7オングストロ−ムに減少した。このこ
とは炭素を付着しないアルミナ架橋モンモリロナイトは
水熱安定性が低いと見なすことができる。この水熱安定
性の低いアルミナ架橋モンモリロナイトに水熱安定性を
付与する方法を鋭意研究した結果、見出されたのが本発
明である。すなわち、層間架橋粘土の水熱安定性は、層
間架橋粘土に炭素を付着することにより向上することが
見出された。有機物は、水熱処理により簡単に炭化する
ことが知られていることから、層間架橋粘土に炭素を付
着する方法は、以下の通り行う。最初に、水を溶媒とし
て層間架橋粘土と有機物の懸濁液を調製する。調製した
懸濁液にオ−トクレ−ブを用いて水熱処理を施す。処理
条件は、有機物が炭化する条件を選ぶことが大切であ
る。本発明では、水熱温度180℃、処理時間24時間
を選んで説明するが、有機物が炭化する条件であればこ
れ以外の水熱条件でも構わない。ただし、水熱温度が高
くなるとスメクタイトの構造変化が生じるため、水熱温
度は300℃以下が望ましい。水熱処理後、水洗、乾燥
して回収した粘土が本発明品の炭素の付着した層間架橋
粘土である。なお、有機物を炭化する方法は、水熱処理
による方法以外の方法であっても有機物が炭化する手段
であれば使用することができる。本発明で用いる有機物
は、糖類およびそれらの誘導体、アミノ酸およびそれら
の誘導体、タンパク質および親水性有機ポリマ−から選
ばれた1種あるいは混合物である。親水性有機ポリマ−
は、水中で分子量あるいは濃度に由来するいろいろな大
きさを有するので、その大きさが層間架橋粘土の層間に
入り切れる程度のものであれば用いることが出来る。層
間架橋粘土に添加する有機物の量は、層間架橋粘土と同
量以上が望ましいが、使用する水熱条件によっては同量
以下であっても構わない。
【0009】以下、実施例において本発明をさらに詳し
く説明する。
【0010】
【実施例】蒸溜水200mlにNa‐モンモリロナイト
20gを添加し、撹拌、混合し懸濁液を調製した。次に
懸濁液を撹拌しながら10wt%Al2(OH)5Cl・
2.4H2O水溶液100mlを少しづつ添加し、添加
終了後室温で5日間静置した。ろ過して得られた粘土を
水洗後、60℃で乾燥し、次いで500℃、1時間加熱
してアルミナ架橋モンモリロナイトを合成した。合成し
たアルミナ架橋モンモリロナイトの層間隔は8.2オン
グストロ−ムであった。本アルミナ架橋モンモリロナイ
ト0.50gと最高20wt%までの各種濃度のショ糖
水溶液10mlを混合して懸濁液を調製し、オ−トクレ
−ブにて水熱処理を行った。水熱処理条件は水熱温度1
80℃、処理時間24時間であった。水熱処理終了後、
ろ別し、回収したアルミナ架橋モンモリロナイトを蒸溜
水で水洗し、60℃で乾燥した。以上の操作にて炭素の
付着したアルミナ架橋モンモリロナイトを合成した。
【0011】以下、各種濃度のショ糖で炭素の付着した
アルミナ架橋モンモリロナイトの水熱安定性を実施例1
から8までに説明する。水熱安定性の評価は、炭素の付
着したアルミナ架橋モンモリロナイトと蒸溜水の懸濁液
10mlを内容積30mlのテフロン製容器に入れ、密
封し、水熱温度180℃、処理時間24時間で水熱処理
を施し、水熱処理後の炭素の付着したアルミナ架橋モン
モリロナイトの層間隔を調べることにより行った。ま
た、炭素の付着していないアルミナ架橋モンモリロナイ
トの水熱処理後の層間隔を比較例として示す。
【0012】実施例 1 アルミナ架橋モンモリロナイト0.50gと2wt%シ
ョ糖水溶液10mlから調製された懸濁液に水熱処理を
施すことにより炭素の付着したアルミナ架橋モンモリロ
ナイト(層間架橋粘土A)を合成した。60℃乾燥後の
層間隔は7.2オングストロ−ムであった。層間架橋粘
土Aの0.51gに蒸溜水10mlを添加して懸濁液を
調製し、水熱処理を施した後の層間隔は6.5オングス
トロ−ムであった。水熱処理後の層間隔は0.7オング
ストロ−ム収縮した。
【0013】実施例 2 アルミナ架橋モンモリロナイト0.50gと4wt%シ
ョ糖水溶液10mlから調製された懸濁液に水熱処理を
施すことにより炭素の付着したアルミナ架橋モンモリロ
ナイト(層間架橋粘土B)を合成した。60℃乾燥後の
層間隔は8.2オングストロ−ムであった。層間架橋粘
土Bの0.56gに蒸溜水10mlを添加して懸濁液を
調製し、水熱処理を施した後の層間隔は7.4オングス
トロ−ムであった。水熱処理後の層間隔は0.8オング
ストロ−ム収縮した。
【0014】実施例 3 アルミナ架橋モンモリロナイト0.50gと6wt%シ
ョ糖水溶液10mlから調製された懸濁液に水熱処理を
施すことにより炭素の付着したアルミナ架橋モンモリロ
ナイト(層間架橋粘土C)を合成した。60℃乾燥後の
層間隔は8.7オングストロ−ムであった。層間架橋粘
土Cの0.62gに蒸溜水10mlを添加して懸濁液を
調製し、水熱処理を施した後の層間隔は8.4オングス
トロ−ムであった。水熱処理後の層間隔は0.3オング
ストロ−ム収縮した。
【0015】実施例 4 アルミナ架橋モンモリロナイト0.50gと8wt%シ
ョ糖水溶液10mlから調製された懸濁液に水熱処理を
施すことにより炭素の付着したアルミナ架橋モンモリロ
ナイト(層間架橋粘土D)を合成した。60℃乾燥後の
層間隔は8.9オングストロ−ムであった。層間架橋粘
土Dの0.71gに蒸溜水10mlを添加して懸濁液を
調製し、水熱処理を施した後の層間隔は8.5オングス
トロ−ムであった。水熱処理後の層間隔は0.4オング
ストロ−ム収縮した。
【0016】実施例 5 アルミナ架橋モンモリロナイト0.50gと10wt%
ショ糖水溶液10mlから調製された懸濁液に水熱処理
を施すことにより炭素の付着したアルミナ架橋モンモリ
ロナイト(層間架橋粘土E)を合成した。60℃乾燥後
の層間隔は8.9オングストロ−ムであった。層間架橋
粘土Eの0.82gに蒸溜水10mlを添加して懸濁液
を調製し、水熱処理を施した後の層間隔は8.6オング
ストロ−ムであった。水熱処理後の層間隔は0.3オン
グストロ−ム収縮した。
【0017】実施例 6 アルミナ架橋モンモリロナイト0.50gと12wt%
ショ糖水溶液10mlから調製された懸濁液に水熱処理
を施すことにより炭素の付着したアルミナ架橋モンモリ
ロナイト(層間架橋粘土F)を合成した。60℃乾燥後
の層間隔は8.9オングストロ−ムであった。層間架橋
粘土Fの0.90gに蒸溜水10mlを添加して懸濁液
を調製し、水熱処理を施した後の層間隔は8.8オング
ストロ−ムであった。水熱処理後の層間隔は0.1オン
グストロ−ム収縮した。
【0018】実施例 7 アルミナ架橋モンモリロナイト0.50gと16wt%
ショ糖水溶液10mlから調製された懸濁液に水熱処理
を施すことにより炭素の付着したアルミナ架橋モンモリ
ロナイト(層間架橋粘土G)を合成した。60℃乾燥後
の層間隔は8.9オングストロ−ムであった。層間架橋
粘土Gの1.07gに蒸溜水10mlを添加して懸濁液
を調製し、水熱処理を施した後の層間隔は8.8オング
ストロ−ムであった。水熱処理後の層間隔は0.1オン
グストロ−ム収縮した。
【0019】実施例 8 アルミナ架橋モンモリロナイト0.50gと20wt%
ショ糖水溶液10mlから調製された懸濁液に水熱処理
を施すことにより炭素の付着したアルミナ架橋モンモリ
ロナイト(層間架橋粘土H)を合成した。60℃乾燥後
の層間隔は8.9オングストロ−ムであった。層間架橋
粘土Hの1.27gに蒸溜水10mlを添加して懸濁液
を調製し、水熱処理を施した後の層間隔は9.0オング
ストロ−ムであった。水熱処理後の層間隔は0.1オン
グストロ−ム拡大した。
【0020】比較例 1 8.2オングストロ−ムの層間隔を有する炭素の付着し
ていないアルミナ架橋モンモリロナイト0.50gに蒸
溜水10mlを添加して懸濁液を調製し、水熱処理を施
した後の層間隔は約1/2の4.7オングストロ−ムで
あった。水熱処理後の層間隔は3.5オングストロ−ム
収縮した。
【0021】
【発明の効果】本発明は、水熱条件下でも使用すること
ができる層間架橋粘土を提供するものであり、層間架橋
粘土の使用雰囲気の制限を緩和するものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素を付着させることによる水熱安定性
    の向上した層間架橋粘土の合成法。
  2. 【請求項2】 該炭素の付着は層間架橋粘土に糖類およ
    びそれらの誘導体、アミノ酸およびそれらの誘導体、タ
    ンパク質および親水性有機ポリマ−から選ばれた1種あ
    るいは混合物を共存させて水熱処理を行う、請求項1に
    記載された水熱安定性の向上した層間架橋粘土の合成
    法。
JP24685294A 1994-09-13 1994-09-13 水熱安定性の向上した層間架橋粘土の合成法 Expired - Lifetime JP2636183B2 (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008019161A (ja) * 2006-07-12 2008-01-31 Haldor Topsoe As 階層型ゼオライトの製造
JP2008532911A (ja) * 2005-03-18 2008-08-21 ジュート−ヒェミー アクチェンゲゼルシャフト 天然の層状鉱物からなる粒質材ならびにその製造方法
JP2015017032A (ja) * 2013-06-12 2015-01-29 日立化成株式会社 アルミニウムケイ酸塩複合体

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